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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1363801
審判番号 不服2019-6172  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-13 
確定日 2020-07-02 
事件の表示 特願2015-148386号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開、特開2017- 23628号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月28日の出願であって、平成30年7月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年2月15日付け(謄本送達日:同年同月26日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年11月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月24日に意見書及び手続補正書が提出され、これに対し、当審において、令和2年1月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年3月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Jは、本願発明を分説するために当審で付与した)。
「【請求項1】
A 変動表示を行い、変動表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動前演出画像を表示する複数の変動前演出を実行可能な変動前演出実行手段と、
C 実行中の変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動中演出画像を表示する複数の変動中演出を実行可能な変動中演出実行手段と、
D 前記変動中演出を選択する変動中演出選択手段と、
E 前記変動中演出選択手段による選択の後に前記変動前演出を選択する変動前演出選択手段と、
F 未だ開始されていない変動表示に関する所定情報を記憶可能な記憶手段と、
を備え、
B 前記変動前演出実行手段は、
B1 対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が低い第1変動前演出と、
B2 対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第1変動前演出よりも高い第2変動前演出と、
B3 対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第2変動前演出よりも高い第3変動前演出と、
を実行可能であり、
C 前記変動中演出実行手段は、
C1 対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が低い第1変動中演出と、
C2 対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第1変動中演出よりも高い第2変動中演出と、
C3 対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第2変動中演出よりも高い第3変動中演出と、
を実行可能であり、
G 対象となる実行中の変動表示が開始されるよりも前から前記第2変動前演出が実行される場合に、該変動表示に関する前記変動中演出を実行する場合は、前記第2変動中演出と前記第3変動中演出とのうち、少なくともどちらか一方を実行し、
H1 前記第1変動中演出の変動中演出画像は、前記第1変動前演出の変動前演出画像と関連しており、
H2 前記第2変動中演出の変動中演出画像は、前記第2変動前演出の変動前演出画像と関連しており、
H3 前記第3変動中演出の変動中演出画像は、前記第3変動前演出の変動前演出画像と関連しており、
E 前記変動前演出選択手段は、
E1 前記変動中演出選択手段により前記第1変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出を選択し、
E2 前記変動中演出選択手段により前記第2変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出と前記第2変動前演出とのうち少なくともどちらか一方を選択し、
E3 前記変動中演出選択手段により前記第3変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出、前記第2変動前演出または前記第3変動前演出のうち少なくともいずれか一つを選択し、
I 前記記憶手段は、前記変動中演出を前記第1変動中演出、前記第2変動中演出、前記第3変動中演出のいずれに決定したかを特定可能な変動中演出情報を前記所定情報に対応付けて記憶可能である、
J ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
令和2年1月27日付けの当審における拒絶の理由の概要は、以下のとおりのものである。

(進歩性)本件出願の請求項1?3に記載された発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(進歩性)について
●請求項1に記載された発明について
・引用文献 1?3

引用文献1:特開2014-236861号公報
引用文献2:特開2011-171号公報
引用文献3:特開2015-83192号公報

第4 引用文献に記載された事項
1 引用文献1
当審における拒絶の理由(令和2年1月27日付け拒絶理由通知書)に引用文献1として引用された本願の出願前に頒布された特開2014-236861号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。また、【0132】に「演出パターンEP501は、コメントの表示色が白色となる演出パターンであり、演出パターンEP502は、コメントの表示色が青色となる演出パターンであり、演出パターンEP501は、コメントの表示色が緑色となる演出パターンであり、演出パターンEP501は、コメントの表示色が赤色となる演出パターンである。」と記載されているが、図12には「EP501 白」、「EP503 緑」、「EP504 赤」と記載されており、「コメントの表示色」に応じて「演出パターン」が異なることは明らかであるから、上記【0132】の「演出パターンEP501は、コメントの表示色が緑色となる演出パターンであり、演出パターンEP501は、コメントの表示色が赤色となる演出パターンである。」は、「演出パターンEP503は、コメントの表示色が緑色となる演出パターンであり、演出パターンEP504は、コメントの表示色が赤色となる演出パターンである。」の誤記であると当審で認めた)。

(1)「【0013】
図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する演出実行手段としての演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数の図柄列(本実施形態では3列)を変動表示させて行う結果導出演出としての図柄変動ゲーム(以下、「変動ゲーム」と示す)を含み、該変動ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。なお、演出表示装置11の変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄、以下、「飾図」と示す)を用いて行われる。
【0014】
また、演出表示装置11の右下には、7セグメント型の表示手段としての特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、特別図柄(以下、「特図」と示す)を変動させて表示する変動ゲームが行われる。特図は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。本実施形態において、変動ゲームは、特別図柄表示装置12において、特図の変動表示が開始されてから確定停止表示される迄を1回として実行される。
【0015】
本実施形態において特別図柄表示装置12には、複数種類の特図の中から、大当り抽選の抽選結果に対応する1つの特図が選択され、その選択された特図が変動ゲームの終了によって個別に確定停止表示される。複数種類の特図は、大当りを認識し得る図柄となる大当り図柄(大当り表示結果)と、はずれを認識し得る図柄となるはずれ図柄(はずれ表示結果)とに分類される。また、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。つまり、変動ゲームでは、図柄が確定停止表示されることによって大当り抽選の抽選結果が導出される。」

(2)「【0046】
また、演出制御用CPU31aには、保留ランプ21a?21dが接続されており、演出制御用CPU31aからの信号の入力により所定の表示色で発光させるようになっている。」

(3)「【0074】
また、本実施形態においては、遊技球の始動入賞による変動ゲームの実行が保留されているときに、その始動入賞により始動保留球に対応して記憶された各種乱数からその変動ゲームの大当り期待度についての事前判定が行われるとともに、その事前判定の結果に基づいて大当り期待度を示す先読み演出(事前予告演出)が実行可能である。また、この先読み演出は、保留ランプ21a?21dにより行われる演出であり、演出表示装置11における演出とは別の演出である。
・・・
【0076】
本実施形態における先読み演出には、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出が含まれている。つまり、保留予告演出には、特定変動ゲームに対応する保留ランプの表示色という演出要素が含まれている。
【0077】
なお、本実施形態において、保留予告演出として、保留ランプが赤色で表示(点灯)される場合には、緑色で表示される場合よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高く、保留ランプが緑色で表示(点灯)される場合には、青色で表示される場合よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高くなるように規定されている。
・・・
【0079】
このような保留予告演出以外にも、演出表示装置11において表示されるコメント内容と表示色(白色、青色、緑色、赤色)とによって、実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント予告演出が実行される場合がある。つまり、コメント予告演出にも、保留予告演出と同じように、表示色という演出要素が含まれている。
【0080】
なお、コメント予告演出として、コメント内容が赤色で表示される場合には、緑色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなるように規定されている。コメント予告演出として、コメント内容が緑色で表示される場合には、青色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなり、青色で表示される場合には、白色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなるように規定されている。
・・・
【0083】
ここで、図5を参照して演出表示装置11の画像表示部GHに表示される画像の具体的な一例について説明する。
まず、図5(a)に示すように、画像表示部GHにおいて、飾図が変動表示されており、保留ランプ21aが白色で点灯しており、保留記憶数が「1」であることを示している。
・・・
【0089】
続いて、図5(g)に示すように、保留ランプ21aが緑色で点滅した後、同じ変動ゲームの実行中に、飾図がリーチ状態を形成するとともに、コメント画像CGが表示され、「これはチャンスですぞ」というコメント内容が赤色で表示され、実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント予告演出が実行される。」

(4)「【0117】
ステップS203において、演出制御用CPU31aは、入力された先読みコマンドに基づいて、先読み演出を実行させるか否かを決定する先読み演出抽選処理を実行する。特に、大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で、先読み演出の実行が決定される。特に、12R確変大当り(図柄ZA)に当選する場合には、5R確変大当り(図柄ZB)又は5R非確変大当り(図柄ZC)に当選する場合よりも高い確率で、先読み演出の実行が決定される。
・・・
【0119】
その一方で、この判定結果が肯定の場合(先読み演出抽選において当選した)、演出制御用CPU31aは、入力された先読みコマンドに基づいて、図10に示す保留表示色決定テーブルに基づいて、各変動ゲーム(非特定変動ゲーム及び特定変動ゲーム)における保留予告演出の表示色を決定する(ステップS205)。そして、演出制御用CPU31aは、先読み演出の実行中となるため、先読みフラグを有効に設定し、ステップS206に移行する。なお、演出制御用CPU31aは、先読み演出の実行が終了すると先読みフラグを無効に設定する。
【0120】
ステップS206において、演出制御用CPU31aは、ステップS205において決定された決定結果を示す情報(保留予告演出の表示色)を、各変動ゲームに対応するように演出制御用RAM31cに設定する。また、演出制御用CPU31aは、各変動ゲームに対応するように特定変動ゲームであるか非特定変動ゲームであるかが特定可能となる情報も合わせて設定する。そして、演出制御用CPU31aは、始動入賞時先読み演出決定処理を終了する。」

(5)「【0128】
ステップS222において、演出制御用CPU31aは、図12に示すコメント表示色決定テーブルを参照して、変動パターン指定コマンドに指定された変動パターンと、特図指定コマンドに指定された特図と、最終の保留予告演出の表示色とに基づいて、実行を開始させる変動ゲームにおけるコメント予告演出の表示色を決定する。また、演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドに指定された変動パターンに基づいて、実行を開始させる変動ゲームにおけるコメント予告演出のコメント内容を決定する。
【0129】
そして、演出制御用CPU31aは、決定された決定結果を示す情報(コメント予告演出のコメント内容を示す演出パターンと表示色を示す演出パターン)を、実行を開始させる変動ゲームに対応するように演出制御用RAM31cに設定し(ステップS223)、変動開始時コメント演出決定処理を終了する。
【0130】
ここで、図12を参照して、コメント予告演出の表示色を決定するためのコメント表示色決定テーブルについて説明する。
図12に示すように、コメント表示色決定テーブルは、特定変動ゲームにおけるコメント予告演出の表示色を決定するためのテーブルである。コメント表示色決定テーブルには、保留予告演出の最終の表示色(図中では「最終保留表示色」と示す)に対応するように特定変動ゲームにおけるコメント予告演出の表示色を指定する複数種類の演出パターンが規定されている。
【0131】
具体的に、コメント表示色決定テーブルには、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合、演出パターンEP502?EP504が規定されている。また、コメント表示色決定テーブルには、保留予告演出の最終の表示色として緑色が表示されていた場合、演出パターンEP503,EP504が、保留予告演出の最終の表示色として赤色が表示されていた場合、演出パターンEP504が、それぞれ規定されている。なお、本実施形態において、保留予告演出が実行されていない場合において、コメント予告演出が実行されると決定されたときには、演出パターンEP501?EP504が規定されている。
【0132】
演出パターンEP501は、コメントの表示色が白色となる演出パターンであり、演出パターンEP502は、コメントの表示色が青色となる演出パターンであり、演出パターンEP503は、コメントの表示色が緑色となる演出パターンであり、演出パターンEP504は、コメントの表示色が赤色となる演出パターンである。」

(6)「【0138】
また、変動パターン指定コマンドの入力を契機として、演出制御用CPU31aは、演出制御用RAM31cからコメント予告演出のコメント内容、表示色を示す演出パターンを特定する。そして、演出制御用CPU31aは、特定した演出パターンに対応する表示色で、対応するコメント内容を示す各種画像を演出表示装置11の画像表示部GHに表示させることによって、コメント予告演出を実行させる。
【0139】
つまり、演出制御用CPU31aは、先読み演出を実行させると決定された場合、特定変動ゲームに対する大当り判定の判定前である非特定変動ゲームや特定変動ゲームの実行開始時において、保留予告演出を実行させる制御を行う。そして、演出制御用CPU31aは、特定変動ゲームにおいて、保留予告演出とは演出種別が異なるコメント予告演出を実行させる場合には、保留予告演出の最終の表示色に基づいて、その最終の表示色よりも有利度合いが同じ又は高い表示色でコメント予告演出を実行させる制御を行うこととなる。」

(7)「【0178】
・上記実施形態において、始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出の表示色を決定し、変動ゲームの開始を契機として、保留予告演出の表示色に基づいて、その表示色以上となるコメント予告演出の表示色が決定されたが、これに限らない。例えば、始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出とコメント予告演出との両方を実行させると決定した場合、コメント予告演出の表示色を決定し、そのコメント予告演出の表示色に基づいて、その表示色以下となる保留予告演出の最終の表示色が決定されてもよい。つまり、特定変動ゲームにおけるコメント予告演出の表示色と、コメント予告演出の直前に実行される保留予告演出の表示色との何れか一方に基づいて何れか他方を決定することによって、保留予告演出の表示色とコメント予告演出の表示色とを対応させるように決定してもよい。また、例えば、保留予告演出の表示色とコメント予告演出の表示色とが対応付けられたテーブルが演出制御用ROM31bに記憶されており、始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出、コメント予告演出を実行させるか否かを決定した場合、保留予告演出の表示色とコメント予告演出の表示色との両方が決定されてもよい。つまり、特定変動ゲームにおけるコメント予告演出の表示色と、コメント予告演出の直前に実行される最終の保留予告演出の表示色との対応関係を決定することによって、保留予告演出の表示色とコメント予告演出の表示色とを対応させるように決定してもよい。また、各種演出の決定タイミングも、始動入賞口14,15への遊技球の入賞や、変動ゲームの開始を問わず、各種演出の実行タイミングも、始動入賞口14,15への遊技球の入賞や、変動ゲームの開始を問わない。特に、第2実施形態において、始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機としてコメント予告演出の表示色を決定する場合には、特定変動ゲームにおける先読みコマンドに基づいて変動サイクルの回数が特定され、その変動サイクルの回数によって、コメント予告演出の表示色が決定される。」

(8)図12

上記【0130】の「図12を参照して、コメント予告演出の表示色を決定するためのコメント表示色決定テーブルについて説明する」との記載、上記【0132】の「演出パターンEP501は、コメントの表示色が白色となる演出パターンであり」との記載、上記【0076】の「先読み演出には、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出が含まれている」との記載、及び上記【0083】の「保留ランプ21aが白色で点灯しており」との記載を参酌すると、図12には、コメント予告演出のコメントの表示色が白色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなることが記載されている。

また、上記【0130】、【0076】、【0083】の記載、及び上記【0132】の「演出パターンEP502は、コメントの表示色が青色となる演出パターンであり」との記載を参酌すると、図12には、コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されることが選択されることが記載されている。

そして、上記【0130】、【0076】、【0083】の記載、及び上記【0132】の「演出パターンEP503は、コメントの表示色が緑色となる演出パターンであり」との記載を参酌すると、図12には、コメント予告演出のコメントの表示色が緑色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されること、緑色が表示されることが選択されることが記載されている。

上記記載事項(1)?(8)より、以下の事項が導かれる。
なお、(a)?(j)は、本願発明の構成A?Jに対応した事項を示している。
(a)上記【0014】には「特別図柄表示装置12では、特別図柄(以下、「特図」と示す)を変動させて表示する変動ゲームが行われ」と記載され、上記【0015】には「大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される」と記載され、上記【0013】には「パチンコ遊技機」と記載されているから、引用文献1には、特別図柄表示装置12では、特図を変動させて表示する変動ゲームが行われ、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与されるパチンコ遊技機が記載されている。

(b)上記【0074】には「遊技球の始動入賞による変動ゲームの実行が保留されているときに、・・・大当り期待度を示す先読み演出・・・が実行可能である」と記載され、上記【0117】には「大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で、先読み演出の実行が決定される」と記載され、上記【0076】には「先読み演出には、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出が含まれている」と記載され、上記【0083】には「保留ランプ21aが白色で点灯しており」と記載され、上記【0139】には「演出制御用CPU31aは、・・・保留予告演出を実行させる制御を行う」と記載され、上記【0046】には「演出制御用CPU31aには、保留ランプ21a?21dが接続されており、演出制御用CPU31aからの信号の入力により所定の表示色で発光させる」と記載されているから、引用文献1には、遊技球の始動入賞による変動ゲームの実行が保留されているときに、大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で実行が決定される演出であり、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出である先読み演出、及び、保留ランプを白色で点灯することを実行可能な演出制御用CPU31aが記載されている。

(c)上記【0079】には「演出表示装置11において表示されるコメント内容と表示色(白色、青色、緑色、赤色)とによって、実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント予告演出が実行される」と記載され、上記【0089】には「コメント画像CGが表示され、・・・コメント予告演出が実行される」と記載され、上記【0138】には「演出制御用CPU31aは、・・・コメント予告演出を実行させる」と記載されているから、引用文献1には、演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって、実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出を実行する演出制御用CPU31aが記載されている。

(d)上記【0178】には「始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、・・・コメント予告演出の表示色を決定し」と記載され、上記【0119】には「演出制御用CPU31aは、・・・コメント予告演出の表示色を決定する」と記載されているから、引用文献1には、始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、コメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31aが記載されている。

(e)上記【0178】には「始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出とコメント予告演出との両方を実行させると決定した場合、コメント予告演出の表示色を決定し、そのコメント予告演出の表示色に基づいて、その表示色以下となる保留予告演出の最終の表示色が決定され」と記載され、上記【0131】には「保留予告演出が実行されていない場合において、コメント予告演出が実行されると決定され」と記載されているから、引用文献1には、始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出とコメント予告演出との両方を実行させると決定した場合、コメント予告演出の表示色を決定し、そのコメント予告演出の表示色に基づいて、その表示色以下となる保留予告演出の最終の表示色を決定し、保留予告演出が実行されない場合においても、コメント予告演出が実行されると決定してコメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31aが記載されている。

(f)上記【0119】には「保留予告演出の表示色を決定する」と記載され、上記【0120】には「決定された決定結果を示す情報(保留予告演出の表示色)を、各変動ゲームに対応するように演出制御用RAM31cに設定する」と記載されているから、引用文献1には、決定された保留予告演出の表示色を示す情報を、各変動ゲームに対応するように設定する演出制御用RAM31cが記載されている。

(b1)上記【0083】には「保留ランプ21aが白色で点灯しており」と記載されているから、引用文献1には、保留ランプを白色で点灯することが記載されている。

(b2)上記【0077】には「保留予告演出として、・・・保留ランプが・・・青色で表示される」と記載されているから、引用文献1には、保留ランプが青色で表示される保留予告演出が記載されている。

(b3)上記【0077】には「保留予告演出として、・・・保留ランプが緑色で表示(点灯)される場合には、青色で表示される場合よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高くなる」と記載されているから、引用文献1には、保留ランプが青色で表示される場合よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高くなる、保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出が記載されている。

(c1)上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・が・・・白色で表示される」と記載されているから、引用文献1には、コメントが白色で表示されるコメント予告演出が記載されている。

(c2)上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・青色で表示される場合には、白色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる」と記載されているから、引用文献1には、コメントが白色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが青色で表示されるコメント予告演出が記載されている。

(c3)上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・が緑色で表示される場合には、青色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなり」と記載されているから、引用文献1には、コメントが青色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが緑色で表示されるコメント予告演出が記載されている。

(g)上記【0131】には「保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合、演出パターンEP502?EP504が規定されている・・・コメント予告演出が実行される」と記載され、上記【0132】には「演出パターンEP502は、コメントの表示色が青色となる演出パターンであり、演出パターンEP503は、コメントの表示色が緑色となる演出パターンであり、演出パターンEP504は、コメントの表示色が赤色となる演出パターンである」と記載され、上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・が赤色で表示される場合には、緑色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる」と記載されているから、引用文献1には、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合、コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターン、緑色となる演出パターン、コメントが緑色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高いコメントが赤色となる演出パターンのいずれかが実行されることが記載されている。

(h1)上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・が・・・白色で表示される」と記載され、上記【0083】には「保留ランプ21aが白色で点灯しており」と記載されているから、引用文献1には、コメントが白色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプを白色で点灯することが記載されている。

(h2)上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・が・・・青色で表示される」と記載され、上記【0077】には「保留予告演出として、・・・保留ランプが・・・青色で表示される」と記載されているから、引用文献1には、コメントが青色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプが青色で表示される保留予告演出があることが記載されている。

(h3)上記【0080】には「コメント予告演出として、コメント・・・が緑色で表示される」と記載され、上記【0077】には「保留予告演出として、・・・保留ランプが緑色で表示(点灯)される」と記載されているから、引用文献1には、コメントが緑色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出があることが記載されている。

(e1)上記図12には「コメント予告演出のコメントの表示色が白色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなる」ことが記載されている。

(e2)上記図12には「コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されることが選択される」ことが記載されている。

(e3)上記図12には「コメント予告演出のコメントの表示色が緑色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されること、緑色が表示されることが選択される」ことが記載されている。

(i)上記【0128】には「コメント予告演出の表示色を決定する」と記載され、上記【0129】には「決定された決定結果を示す情報(コメント予告演出の・・・表示色を示す演出パターン)を、・・・変動ゲームに対応するように演出制御用RAM31cに設定し」と記載されているから、引用文献1には、演出制御用RAM31cは、決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報が変動ゲームに対応するように設定されることが記載されている。

(j)上記【0013】には「パチンコ遊技機」と記載されている。

上記記載事項(1)?(8)及び上記(a)?(j)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?jは、発明の構成を分説するため当審で付与した)。
「a 特別図柄表示装置12では、特図を変動させて表示する変動ゲームが行われ、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与されるパチンコ遊技機であって
b 遊技球の始動入賞による変動ゲームの実行が保留されているときに、大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で実行が決定される演出であり、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出である先読み演出、及び、保留ランプを白色で点灯することを実行可能な演出制御用CPU31aと、
c 演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって、実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出を実行する演出制御用CPU31aと、
d 始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、コメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31aと、
e 始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出とコメント予告演出との両方を実行させると決定した場合、コメント予告演出の表示色を決定し、そのコメント予告演出の表示色に基づいて、その表示色以下となる保留予告演出の最終の表示色を決定し、保留予告演出が実行されない場合においても、コメント予告演出が実行されると決定してコメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31aと、
f 決定された保留予告演出の表示色を示す情報を、各変動ゲームに対応するように設定する演出制御用RAM31cと、
を備え、
b 演出制御用CPU31aは、
b1 保留ランプを白色で点灯することと、
b2 保留ランプが青色で表示される保留予告演出と、
b3 保留ランプが青色で表示される場合よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高くなる、保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出と、
を実行することができ、
c 演出制御用CPU31aは、
c1 コメントが白色で表示されるコメント予告演出と、
c2 コメントが白色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが青色で表示されるコメント予告演出と、
c3 コメントが青色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが緑色で表示されるコメント予告演出と、
を実行することができ、
g 保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合、コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターン、緑色となる演出パターン、コメントが緑色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高いコメントが赤色となる演出パターンのいずれかが実行され、
h1 コメントが白色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプを白色で点灯することがあり、
h2 コメントが青色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプが青色で表示される保留予告演出があり、
h3 コメントが緑色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出があり、
e 演出制御用CPU31aは、
e1 コメント予告演出のコメントの表示色が白色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなり、
e2 コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されることが選択され、
e3 コメント予告演出のコメントの表示色が緑色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されること、緑色が表示されることが選択され、
i 演出制御用RAM31cは、決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報が変動ゲームに対応するように設定される、
j パチンコ遊技機。」

第5 対比、判断
本願発明と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の「特図を変動させて表示する変動ゲームが行われ」ること、「大当り図柄が確定停止表示され」ること、及び「パチンコ遊技機」は、それぞれ、本願発明の「変動表示を行」うこと、「特定表示結果が導出表示され」ること、及び「遊技機」に相当する。
また、大当りに当選し、大当り図柄が確定表示されることにより移行する「大当り遊技」が、遊技者にとって有利な遊技状態であることは、パチンコの技術分野の技術常識であるから、引用発明の「遊技者には、大当り遊技が付与される」ことは、本願発明の「遊技者にとって有利な有利状態に制御」することに相当する。
したがって、引用発明の「特別図柄表示装置12では、特図を変動させて表示する変動ゲームが行われ、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与されるパチンコ遊技機」は、
本願発明の「変動表示を行い、変動表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明の「実行が保留されている」「遊技球の始動入賞による変動ゲーム」は、本願発明の「未だ開始されていない変動表示」に相当する。
また、本願明細書の【0006】には「第1変動前演出(例えば、青色の保留記憶表示)」と記載され、同【0041】には「尚、青色の保留記憶表示が通常の表示態様であり、緑色や赤色の保留記憶表示が特定の表示態様であり、この保留記憶表示の色により保留表示予告演出が実行される。」と記載されているから、保留記憶表示の通常の表示態様も、本願発明の「有利状態に制御されることを示唆する」「変動前演出」に含まれるといえる。
このことから、通常の表示態様である引用発明の「保留ランプを白色で点灯すること」も、「有利状態に制御されることを示唆する」「変動前演出」であり、引用発明の「保留ランプ」は画像を表示するものではないが、引用発明の「大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で実行が決定される演出であり、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出である先読み演出」、及び「保留ランプを白色で点灯すること」は、本願発明の「有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動前演出」「を表示する複数の変動前演出」に相当する。
したがって、引用発明の「遊技球の始動入賞による変動ゲームの実行が保留されているときに、大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で実行が決定される演出であり、4つの保留ランプ21a?21dのうち特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出である先読み演出、及び、保留ランプを白色で点灯することを実行可能な演出制御用CPU31a」は、
本願発明の特定事項Bと、「未だ開始されていない変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動前演出」「を表示する複数の変動前演出を実行可能な変動前演出実行手段」である点で共通している。

(c)引用発明の「実行中の変動ゲーム」は、本願発明の「実行中の変動表示」に相当する。
また、引用発明の「演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって」「大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出」は、大当り遊技が付与される期待度を示す演出であるから、本願発明の「有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動中演出画像を表示する複数の変動中演出」に相当する。
したがって、引用発明の「演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって、実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出を実行する演出制御用CPU31a」は、
本願発明の「実行中の変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動中演出画像を表示する複数の変動中演出を実行可能な変動中演出実行手段」に相当する。

(d)引用発明は、「コメント予告演出の表示色を決定する」ことにより、「コメント予告演出の表示色を」選択している。
したがって、引用発明の「始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、コメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31a」は、
本願発明の「前記変動中演出を選択する変動中演出選択手段」に相当する。

(e)引用発明は、「保留予告演出の最終の表示色を決定する」ことにより、「保留予告演出の最終の表示色を」選択している。
したがって、引用発明の「始動入賞口14,15への遊技球の入賞を契機として、保留予告演出とコメント予告演出との両方を実行させると決定した場合、コメント予告演出の表示色を決定し、そのコメント予告演出の表示色に基づいて、その表示色以下となる保留予告演出の最終の表示色を決定し、保留予告演出が実行されない場合においても、コメント予告演出が実行されると決定してコメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31a」は、
本願発明の「前記変動中演出選択手段による選択の後に前記変動前演出を選択する変動前演出選択手段」に相当する。

(f)引用発明の「決定された保留予告演出の表示色を示す情報」、及び「演出制御用RAM31c」は、それぞれ、本願発明の「未だ開始されていない変動表示に関する所定情報」及び「記憶手段」に相当する。
したがって、引用発明の「決定された保留予告演出の表示色を示す情報を、各変動ゲームに対応するように設定する演出制御用RAM31c」は、
本願発明の「未だ開始されていない変動表示に関する所定情報を記憶可能な記憶手段」に相当する。

(b1)上記(b)において既に検討したように、引用発明の「保留ランプを白色で点灯すること」は、「有利状態に制御されることを示唆する」「変動前演出」であるとともに、「実行が保留されている」「遊技球の始動入賞による変動ゲーム」(未だ開始されていない変動表示)を対象に実行するものである。
また、引用発明の「保留ランプを白色で点灯すること」は、特定事項bの「大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で実行が決定される演出」である「保留予告演出」ではないので、特定事項b2の「保留ランプが青色で表示される保留予告演出」、及び特定事項b3の「保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出」よりも、大当りに当選し大当り遊技が付与される大当り期待度が低いものと認められる。
したがって、引用発明の「保留ランプを白色で点灯すること」は、
本願発明の「対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が低い第1変動前演出」に相当する。

(b2)引用発明の「保留ランプが青色で表示される保留予告演出」は、特定事項bの「大当りに当選する場合には、大当りに当選しない(はずれとなる)場合よりも高い確率で実行が決定される演出」であり、「特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出である先読み演出」(変動前演出)であるから、上記(b1)において検討したように、「保留ランプを白色で点灯すること」(第1変動前演出)よりも、大当りに当選し大当り遊技が付与される大当り期待度が高いものと認められる。
したがって、引用発明の「保留ランプが青色で表示される保留予告演出」は、
本願発明の「対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第1変動前演出よりも高い第2変動前演出」に相当する。

(b3)引用発明の「保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出」は、特定事項bの「特定変動ゲームに対応する保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させることによって、特定変動ゲームにおける大当り期待度を示す保留予告演出である先読み演出」(変動前演出)であり、「保留ランプが青色で表示される場合」(第2変動前演出)「よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高くなる」「保留予告演出」(変動前演出)である。
したがって、引用発明の「保留ランプが青色で表示される場合よりも特定変動ゲームの大当り期待度が高くなる、保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出」は、
本願発明の「対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第2変動前演出よりも高い第3変動前演出」に相当する。

(c1)引用発明の「コメントが白色で表示されるコメント予告演出」は、特定事項cの「演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって、実行中の変動ゲーム」(実行中の変動表示)「の大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出」(変動中演出)であり、特定事項c2の「コメントが白色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが青色で表示されるコメント予告演出」、及び特定事項c3の「コメントが青色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが緑色で表示されるコメント予告演出」よりも、大当り遊技が付与される大当り期待度が低い「コメント予告演出」(変動中演出)である。
したがって、引用発明の「コメントが白色で表示されるコメント予告演出」は、
本願発明の「対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が低い第1変動中演出」に相当する。

(c2)引用発明の「コメントが青色で表示されるコメント予告演出」も、特定事項cの「演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって、実行中の変動ゲーム」(実行中の変動表示)「の大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出」(変動中演出)である。
したがって、引用発明の「コメントが白色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが青色で表示されるコメント予告演出」は、
本願発明の「対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第1変動中演出よりも高い第2変動中演出」に相当する。

(c3)引用発明の「コメントが緑色で表示されるコメント予告演出」も、特定事項cの「演出表示装置11において表示される表示色(白色、青色、緑色、赤色)によって、実行中の変動ゲーム」(実行中の変動表示)「の大当り期待度を示すコメント画像CGを表示するコメント予告演出」(変動中演出)である。
したがって、引用発明の「コメントが青色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高くなる、コメントが緑色で表示されるコメント予告演出」は、
本願発明の「対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第2変動中演出よりも高い第3変動中演出」に相当する。

(g)引用発明の「最終の表示色として青色が表示され」る「保留予告演出」、「コメントの表示色が青色となる演出パターン」の「コメント予告演出」、及び「コメントの表示色が」「緑色となる演出パターン」の「コメント予告演出」は、ぞれぞれ、本願発明の「第2変動前演出」、「第2変動中演出」、及び「第3変動中演出」に相当する。
また、引用発明の「保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合」は、保留予告演出が継続中で、青色の「保留予告演出」に対応する変動表示がまだ行われていないときであるから、本願発明の「対象となる実行中の変動表示が開始されるよりも前から前記第2変動前演出が実行される場合」に相当する。
しかしながら、引用発明は「保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合」(第2変動前演出が実行される場合)、「コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターン、緑色となる演出パターン」(第2変動中演出、第3変動中演出)以外に、「コメント予告演出のコメントの表示色が」「赤色となる演出パターン」「が実行され」ることがある。
したがって、引用発明の「保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されていた場合、コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターン、緑色となる演出パターン、コメントが緑色で表示される場合よりも変動ゲームの大当り期待度が高いコメントが赤色となる演出パターンのいずれかが実行され」ることは、
本願発明の特定事項Gと、「対象となる実行中の変動表示が開始されるよりも前から前記第2変動前演出が実行される場合に、該変動表示に関する前記変動中演出を実行する場合は、前記第2変動中演出と前記第3変動中演出」が「実行」可能である点で共通する。

(h1)引用発明の「コメント予告演出」(変動中演出)は、特定事項cの「実行中の変動ゲームの大当り期待度を示すコメント画像CGを表示する」特定事項を有しているから、画像を表示するものである。
また、引用発明の「コメントが白色で表示されるコメント予告演出」(第1変動中演出)と「保留ランプを白色で点灯すること」(第1変動前演出)とは、「コメント」の「色」と「保留ランプ」の「色」が「白色」で共通するから、関連している。
しかしながら、引用発明の「保留ランプ」は、「画像」を表示するものではない。
したがって、引用発明の「コメントが白色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプを白色で点灯することがあ」ることは、
本願発明の特定事項H1と、「前記第1変動中演出の変動中演出画像は、前記第1変動前演出の変動前演出」「と関連して」いる点で共通する。

(h2)引用発明の「コメントが青色で表示されるコメント予告演出」(第2変動中演出)と「保留ランプが青色で表示される保留予告演出」(第2変動前演出)とは、「コメント」の「色」と「保留ランプ」の「色」が「青色」で共通するから、関連している。
しかしながら、引用発明の「保留ランプ」は、「画像」を表示するものではない。
したがって、引用発明の「コメントが青色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプが青色で表示される保留予告演出があ」ることは、
本願発明の特定事項H2と、「前記第2変動中演出の変動中演出画像は、前記第2変動前演出の変動前演出」「と関連して」いる点で共通する。

(h3)引用発明の「コメントが緑色で表示されるコメント予告演出」(第3変動中演出)と「保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出」(第3変動前演出)とは、「コメント」の「色」と「保留ランプ」の「色」が「緑色」で共通するから、関連している。
しかしながら、引用発明の「保留ランプ」は、「画像」を表示するものではない。
したがって、引用発明の「コメントが緑色で表示されるコメント予告演出と、保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出があ」ることは、
本願発明の特定事項H2と、「前記第3変動中演出の変動中演出画像は、前記第3変動前演出の変動前演出」「と関連して」いる点で共通する。

(e1)引用発明の「コメント予告演出」(変動中演出)「のコメントの表示色」は、特定事項dの「コメント予告演出の表示色を決定する演出制御用CPU31a」(変動中演出選択手段)が、決定することにより選択している。
また、引用発明の「コメントの表示色が白色となる演出パターン」の「コメント予告演出」、及び「保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯すること」は、それぞれ、本願発明の「第1変動中演出」、及び「第1変動前演出」に相当する。
したがって、引用発明の「コメント予告演出のコメントの表示色が白色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとな」ることは、
本願発明の「前記変動中演出選択手段により前記第1変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出を選択」することに相当する。

(e2)引用発明の「コメントの表示色が青色となる演出パターン」の「コメント予告演出」、「保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯すること」、及び「最終の表示色として青色が表示される」「保留予告演出」は、それぞれ、本願発明の「第2変動中演出」、「第1変動前演出」及び「第2変動前演出」に相当する。
したがって、引用発明の「コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されることが選択され」ることは、
本願発明の「前記変動中演出選択手段により前記第2変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出と前記第2変動前演出とのうち少なくともどちらか一方を選択」することに相当する。

(e3)引用発明の「コメントの表示色が緑色となる演出パターン」の「コメント予告演出」、「保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯すること」、「最終の表示色として青色が表示される」「保留予告演出」、及び「最終の表示色として」「緑色が表示される」「保留予告演出」は、それぞれ、本願発明の「第3変動中演出」、「第1変動前演出」、「第2変動前演出」、及び「第3変動前演出」に相当する。
したがって、引用発明の「コメント予告演出のコメントの表示色が緑色となる演出パターンの場合、保留予告演出の最終の表示色なしが選択され、保留ランプを特定の表示色(青色、緑色、赤色)以外の白色で点灯することとなるか、保留予告演出の最終の表示色として青色が表示されること、緑色が表示されることが選択され」ることは、
本願発明の「前記変動中演出選択手段により前記第3変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出、前記第2変動前演出または前記第3変動前演出のうち少なくともいずれか一つを選択」することに相当する。

(i)引用発明の「決定されたコメント予告演出の表示色を示す演出パターンを示す情報」は、特定事項cの「コメント予告演出」(変動中演出)の「表示色(白色、青色、緑色、赤色)」をどの表示色に決定したかを特定可能な情報であるから、本願発明の「変動中演出情報」に相当する。
また、引用発明の「演出制御用RAM31cは、決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報」(変動中演出情報)「が変動ゲームに対応するように設定され」ているとともに、特定事項fの「演出制御用RAM31c」は「決定された保留予告演出の表示色を示す情報」(所定情報)「を、各変動ゲームに対応するように設定」されているから、「演出制御用RAM31c」(記憶手段)において、「変動ゲームに対応するように」、「決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報」(変動中演出情報)と「決定された保留予告演出の表示色を示す情報」(所定情報)とが設定されることにより、「決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報」(変動中演出情報)と「決定された保留予告演出の表示色を示す情報」(所定情報)とが対応付けて「演出制御用RAM31c」(記憶手段)に記憶されているといえる。
しかしながら、「コメント予告演出」(変動中演出)は、特定事項(c1)?(c3)の「コメントの表示色が白色となる演出パターン」の「コメント予告演」(第1変動中演出)、「コメントの表示色が青色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第2変動中演出)、「コメントの表示色が緑色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第3変動中演出)以外に、特定事項gの「コメントの表示色が」「赤色となる演出パターン」の「コメント予告演出」がある。
したがって、引用発明の「演出制御用RAM31cは、決定されたコメント予告演出の表示色を示す演出パターンを示す情報が変動ゲームに対応するように設定される」ことは、
本願発明の特定事項Iと、「前記記憶手段は、前記変動中演出を」「特定可能な変動中演出情報を前記所定情報に対応付けて記憶可能である」点で共通する。

(j)引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

以上のことから、本願発明と引用発明とは、
[一致点]
「A 変動表示を行い、変動表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B’ 未だ開始されていない変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動前演出を表示する複数の変動前演出を実行可能な変動前演出実行手段と、
C 実行中の変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として、それぞれ異なる変動中演出画像を表示する複数の変動中演出を実行可能な変動中演出実行手段と、
D 前記変動中演出を選択する変動中演出選択手段と、
E 前記変動中演出選択手段による選択の後に前記変動前演出を選択する変動前演出選択手段と、
F 未だ開始されていない変動表示に関する所定情報を記憶可能な記憶手段と、
を備え、
B 前記変動前演出実行手段は、
B1 対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が低い第1変動前演出と、
B2 対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第1変動前演出よりも高い第2変動前演出と、
B3 対象となる未だ開始されていない変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第2変動前演出よりも高い第3変動前演出と、
を実行可能であり、
C 前記変動中演出実行手段は、
C1 対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が低い第1変動中演出と、
C2 対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第1変動中演出よりも高い第2変動中演出と、
C3 対象となる実行中の変動表示の前記有利状態に制御される期待度が該第2変動中演出よりも高い第3変動中演出と、
を実行可能であり、
G’ 対象となる実行中の変動表示が開始されるよりも前から前記第2変動前演出が実行される場合に、該変動表示に関する前記変動中演出を実行する場合は、前記第2変動中演出と前記第3変動中演出が実行可能であり、
H1’ 前記第1変動中演出の変動中演出画像は、前記第1変動前演出の変動前演出と関連しており、
H2’ 前記第2変動中演出の変動中演出画像は、前記第2変動前演出の変動前演出と関連しており、
H3’ 前記第3変動中演出の変動中演出画像は、前記第3変動前演出の変動前演出と関連しており、
E 前記変動前演出選択手段は、
E1 前記変動中演出選択手段により前記第1変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出を選択し、
E2 前記変動中演出選択手段により前記第2変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出と前記第2変動前演出とのうち少なくともどちらか一方を選択し、
E3 前記変動中演出選択手段により前記第3変動中演出が選択された場合は、前記第1変動前演出、前記第2変動前演出または前記第3変動前演出のうち少なくともいずれか一つを選択し、
I’ 前記記憶手段は、前記変動中演出を特定可能な変動中演出情報を前記所定情報に対応付けて記憶可能である、
J 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項B)
「未だ開始されていない変動表示を対象に前記有利状態に制御されることを示唆する演出として」「複数の変動前演出を実行可能な変動前演出実行手段」が「表示する」「それぞれ異なる変動前演出」に関して、
本願発明は、「変動前演出画像」であるのに対して、
引用発明は、「保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させる」「保留予告演出である先読み演出」(変動前演出)、及び、「保留ランプを白色で点灯すること」(変動前演出)であり、画像でない点。

[相違点2](特定事項G)
「対象となる実行中の変動表示が開始されるよりも前から前記第2変動前演出が実行される場合に、該変動表示に関する前記変動中演出を実行する場合」に関して、
本願発明は、「前記第2変動中演出と前記第3変動中演出とのうち、少なくともどちらか一方を実行」するのに対して、
引用発明は、「コメント予告演出のコメントの表示色が青色となる演出パターン、緑色となる演出パターン」(第2変動中演出、第3変動中演出)以外に、「コメント予告演出のコメントの表示色が」「赤色となる演出パターン」「が実行され」ることがある点。

[相違点3](特定事項H1?3)
「第1変動前演出」、「第2変動前演出」及び「第3変動前演出」の「変動前演出」に関して、
本願発明は、「変動前演出画像」であるのに対して、
引用発明は、「保留ランプを白色で点灯すること」(第1変動前演出)、「保留ランプが青色で表示される保留予告演出」(第2変動前演出)及び「保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出」(第3変動前演出)であり、画像でない点。

[相違点4](特定事項I)
「前記記憶手段」が「前記所定情報に対応付けて記憶可能である」、「前記変動中演出を」「特定可能な変動中演出情報」に関して、
本願発明は、「前記変動中演出を前記第1変動中演出、前記第2変動中演出、前記第3変動中演出のいずれに決定したかを特定可能な変動中演出情報」であるのに対して、
引用発明は、「コメント予告演出」(変動中演出)は、「コメントの表示色が白色となる演出パターン」の「コメント予告演」(第1変動中演出)、「コメントの表示色が青色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第2変動中演出)、「コメントの表示色が緑色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第3変動中演出)以外に、「コメントの表示色が」「赤色となる演出パターン」の「コメント予告演出」があるため、「決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報」(変動中演出情報)が本願発明のような特定事項でない点。

以下、上記相違点1?4について検討する。

[判断]
(1)相違点1及び3について
相違点1及び3は、関連するのでまとめて検討する。

保留(始動記憶)の表示色で大当たり期待度を示唆する先読み予告演出(変動前演出)を、保留画像(始動記憶表示画像)を用いて行うことは、令和2年1月27日付けの当審における拒絶の理由において引用文献2として引用された特開2011-171号公報(画像を表示する液晶表示装置50において[【0045】]、先読み予告表示では、保留玉の表示色により、その始動記憶に係る変動表示ゲームの大当たりとなる期待度を示唆するものであり[【0058】]、飾り特図始動記憶表示51,52の表示色は、通常は青色とされ[【0114】、図14]、期待度「中」であるときは飾り特図始動記憶表示51,52の表示色を「黄色」とし、期待度「高」のときは表示色を「赤色」とする[【0117】]遊技機100[【0058】]が記載されている。)、同じく引用文献3として引用された特開2015-83192号公報(液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する演出表示装置11において[【0012】]、保留記憶数を示す保留画像を、通常時における青色とは異なる緑色[【0108】]、緑色より大当り期待度が高い赤色[【0112】、図8]の表示態様で表示させることによって、その保留記憶数に対応する変動ゲームおける大当り期待度を示唆する保留先読み予告演出[【0108】]が実行される[【0112】]パチンコ遊技機[【0012】]が記載されている。)に記載されているように、周知(以下、「周知技術」という。)である。
引用発明に上記周知技術を適用して、「保留ランプを特定の表示色(白色以外の青色、緑色、赤色)で表示させる」「保留予告演出である先読み演出」(変動前演出)、「保留ランプを白色で点灯すること」(変動前演出、第1変動前演出)、「保留ランプが青色で表示される保留予告演出」(第2変動前演出)及び「保留ランプが緑色で表示(点灯)される保留予告演出」(第3変動前演出)が、演出表示装置11において画像で表示されるようにして、上記相違点1及び3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点2及び4について
相違点2及び4は、関連するのでまとめて検討する。

引用発明において、「コメント予告演出」(変動中演出)「のコメントの表示色」の種類を何種類にするかは、設定的事項程度のことにすぎず、「コメント予告演出」(変動中演出)「のコメントの表示色」の種類を、白色、青色、緑色の3種類にすると、「コメント予告演出のコメントの表示色が」「赤色となる演出パターン」「が実行され」なくなるとともに、「決定されたコメント予告演出の表示色を示す演出パターンを示す情報」(変動中演出情報)が、「コメント予告演出」(変動中演出)を、「コメントの表示色が白色となる演出パターン」の「コメント予告演」(第1変動中演出)、「コメントの表示色が青色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第2変動中演出)、「コメントの表示色が緑色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第3変動中演出)のいずれに決定したかを特定可能な情報になるから、上記相違点2及び4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び上記周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

第6 請求人の主張について
審判請求人は、令和2年3月12日付け意見書の「(4)本発明と引用文献に記載の発明との対比」において、概ね以下のように主張している。

引用文献1は、単に、保留情報を記憶可能なものでしかなく、本発明のように、変動中演出を第1変動中演出、第2変動中演出、第3変動中演出のいずれに決定したかを特定可能な変動中演出情報を所定情報に対応付けて記憶可能であることについて何ら開示ないし示唆するものではありません。よって、引用文献1は、変動中演出や変動前演出の選択における処理負荷を低減することができないものに過ぎません。
変動中演出や変動前演出の選択における処理負荷を低減するための上記した本発明の特徴構成A(「未だ開始されていない変動表示に関する所定情報を記憶可能な記憶手段と、を備え、前記記憶手段は、前記変動中演出を前記第1変動中演出、前記第2変動中演出、前記第3変動中演出のいずれに決定したかを特定可能な変動中演出情報を前記所定情報に対応付けて記憶可能である、」なる特徴構成)は、引用文献1?3に開示も示唆もされておらず、本発明は引用文献1?3にもとづいて容易に想到できるものではありません。

しかしながら、引用発明は、「決定された保留予告演出の表示色を示す情報を、各変動ゲームに対応するように設定する演出制御用RAM31c」(特定事項f)、及び「決定されたコメント予告演出の表示色の演出パターンを示す情報が変動ゲームに対応するように設定される」「演出制御用RAM31c」(特定事項i)を有している。
そして、「コメント予告演出」(変動中演出)「のコメントの表示色」の種類を何種類にするかは、上記「第5 対比、判断 [判断](2)相違点2及び4について」において既に検討したように、設定的事項程度のことにすぎず、「コメント予告演出」(変動中演出)「のコメントの表示色」の種類を、白色、青色、緑色の3種類にすると、「決定されたコメント予告演出の表示色を示す演出パターンを示す情報」(変動中演出情報)が、「コメント予告演出」(変動中演出)を、「コメントの表示色が白色となる演出パターン」の「コメント予告演」(第1変動中演出)、「コメントの表示色が青色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第2変動中演出)、「コメントの表示色が緑色となる演出パターン」の「コメント予告演出」(第3変動中演出)のいずれに決定したかを特定可能な情報になるから、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
そうすると、特定事項f、iを有している引用発明に上記設計的事項を加えた発明は、請求人が主張する、変動中演出や変動前演出の選択における処理負荷を低減する効果を奏するといえる。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-04-01 
結審通知日 2020-04-07 
審決日 2020-05-12 
出願番号 特願2015-148386(P2015-148386)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩永 寛道柳 重幸  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 瀬津 太朗
木村 隆一
発明の名称 遊技機  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 石川 好文  
代理人 溝渕 良一  
代理人 重信 和男  
代理人 林 修身  

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