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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B31B
管理番号 1363811
審判番号 不服2019-14333  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-28 
確定日 2020-07-21 
事件の表示 特願2015- 9573「製袋方法および製袋機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月25日出願公開、特開2016-132212、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月21日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。

平成30年8月17日付け 拒絶理由通知
平成30年10月29日 意見書及び手続補正書の提出
平成31年1月4日付け 拒絶理由通知(最後)
平成31年3月18日 意見書及び手続補正書の提出
令和元年7月22日付け 平成31年3月18日にした補正の却下の決定
令和元年7月22日付け 拒絶査定
令和元年10月28日 本件審判請求、同時に手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1?6に係る発明(以下「本願発明1」等という。)は、令和元年10月28日にした手続補正により補正された本願特許請求の範囲の請求項1?6にそれぞれ記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明1?6は次のとおりのものである。

「【請求項1】
連続した包装袋の樹脂フィルムからなる基材を長手方向に間欠的に搬送しながら、前記樹脂フィルムからなる基材を熱シールして包装袋を成形する製袋方法であって、
前記樹脂フィルムからなる基材を熱シールする工程は、前記樹脂フィルムからなる基材のシール箇所を、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の両側から対向する押圧部材で押圧しながら加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱された前記シール箇所を、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の両側から対向する押圧部材で押圧しながら冷却する冷却工程とを有し、
前記冷却工程では、前記押圧部材により同一のシール箇所を間欠的搬送の1ピッチ又は2ピッチ以上押圧しながら冷却し、そのうち最初の1ピッチにおいて前記押圧部材が凹部を有することにより、前記シール箇所に凸の基材加工部を形成し、
前記最初の1ピッチの押圧部材は、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の片側に金型を有し、その反対側にゴム台を有し、前記金型は、前記樹脂フィルムからなる基材側の面に前記凹部を有することを特徴とする製袋方法。
【請求項2】
前記基材加工部が形成される前記シール箇所は、前記包装袋の胴部、底部、注出口周辺部から選択される少なくとも一つに設けられることを特徴とする請求項1に記載の製袋方法。
【請求項3】
前記基材加工部の少なくとも一つは、視覚的効果を有することを特徴とする請求項1または2に記載の製袋方法。
【請求項4】
前記基材加工部の少なくとも一つは、触覚的効果を有することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の製袋方法。
【請求項5】
前記基材加工部の少なくとも一つは、包装袋の形状保持、包装袋の持ちやすさ、包装袋の開封のしやすさ、包装袋から内容物の注出のしやすさから選択される少なくとも1つの効果を有することを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の製袋方法。
【請求項6】
連続した包装袋の樹脂フィルムからなる基材を供給する供給手段と、
前記樹脂フィルムからなる基材を長手方向に間欠的に搬送する搬送手段と、
前記樹脂フィルムからなる基材を熱シールして包装袋を成形する熱シール手段とを備え
請求項1?5のいずれか1項に記載の製袋方法を行う製袋機であって、
前記熱シール手段は、
前記樹脂フィルムからなる基材のシール箇所を、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の両側から対向する押圧部材で押圧しながら加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された前記シール箇所を、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の両側から対向する押圧部材で押圧しながら冷却する冷却手段とを備え、
前記冷却手段では、前記押圧部材により同一のシール箇所を間欠的搬送の1ピッチ又は2ピッチ以上押圧しながら冷却し、そのうち最初の1ピッチにおいて前記押圧部材が凹部を有することにより、前記シール箇所に凸の基材加工部を形成し、
前記最初の1ピッチの押圧部材は、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の片側に金型を有し、その反対側にゴム台を有し、前記金型は、前記樹脂フィルムからなる基材側の面に前記凹部を有することを特徴とする製袋機。」

第3 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶理由は、平成31年1月4日付け拒絶理由通知書に記載した「理由1」で、その概要は次のとおりである。

理由1 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1?8
・引用文献1?4

<引 用 文 献 等 一 覧>
1.特開2008-254747号公報
2.特開2008-100467号公報
3.特開2003-291910号公報
4.特開2002-46712号公報

第4 当審の判断
1. 本願発明1について
(1) 引用文献
原査定の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である引用文献1には、【0005】?【0045】の記載及び【図1】?【図16】の図示があり、それらを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「プラスチックフィルムからなるフィルムFを長手方向に間欠的に搬送しながら、前記プラスチックフィルムからなるフィルムFをヒートシールしてパウチを成形する方法であって、
前記プラスチックフィルムからなるフィルムFをヒートシールする工程は、前記プラスチックフィルムからなるフィルムFのシール箇所を、加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱された前記シール箇所を、前記プラスチックフィルムからなるフィルムFの厚さ方向の両側から対向する雄型(A、B)と雌型(A‘、B’)からなる金型で押圧しながら冷却する冷却工程とを有し、
前記冷却工程では、前記金型により同一のシール箇所を間欠的搬送の1ピッチ又は2ピッチ以上押圧しながら冷却し、そのうち最初の1ピッチにおいて凹部を有する前記金型の雌型(A‘)であることにより、前記シール箇所に凸部を形成し、
前記最初の1ピッチの金型は、前記プラスチックフィルムからなるフィルムFの厚さ方向の片側に雌型(A‘)を有し、その反対側に雄型(A)を有し、前記雌型(A‘)は、前記プラスチックフィルムからなるフィルムF側の面に前記凹部を有するパウチを成形する方法」

(2) 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「プラスチックフィルム」、「フィルムF」、「ヒートシール」、「パウチ」、「パウチを成形する方法」、「シール箇所」、「加熱工程」「雄型(A、B)と雌型(A’、B’)からなる金型」、「冷却工程」、「凹部」、「凸部」、「雌型(A’)」は、
それぞれ本願発明1の「樹脂フィルム」、「基材」、「熱シール」、「包装袋」、「製袋方法」、「シール箇所」、「加熱工程」「押圧部材」、「冷却工程」、「凹部」、「凸部」、「金型」にそれぞれ相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明1とは、次の点で一致し、かつ、相違する。

<一致点>
「樹脂フィルムからなる基材を長手方向に間欠的に搬送しながら、前記樹脂フィルムからなる基材を熱シールして包装袋を成形する製袋方法であって、
前記樹脂フィルムからなる基材を熱シールする工程は、前記樹脂フィルムからなる基材のシール箇所を、加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱された前記シール箇所を、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の両側から対向する押圧部材で押圧しながら冷却する冷却工程とを有し、
前記冷却工程では、前記押圧部材により同一のシール箇所を間欠的搬送の1ピッチ又は2ピッチ以上押圧しながら冷却し、そのうち最初の1ピッチにおいて前記押圧部材が凹部を有することにより、前記シール箇所に凸の基材加工部を形成し、
前記最初の1ピッチの押圧部材は、前記樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の片側に金型を有し、前記金型は、前記樹脂フィルムからなる基材側の面に前記凹部を有することを特徴とする製袋方法。」

<相違点1>
本願発明1の「製袋方法」は、「連続した包装袋の樹脂フィルム」からなる基材を長手方向に間欠的に搬送するものであるのに対し、引用発明の「パウチを成形する方法」はそのようなものであるか明らかではない点。

<相違点2>
本願発明1の「押圧部材」は、樹脂フィルムの厚さ方向にみてその片側に金型を有し、その反対側に「ゴム台」を有するものであるのに対し、引用発明の「雄型(A、B)と雌型(A’、B’)からなる金型」の「反対側」にあるのは、「雄型(A)」である点。

(3) 相違点についての検討
まず、<相違点2>から検討する。
製袋方法の冷却工程において、シール箇所に凸の基材加工部を形成する凹部を有する押圧部材を、樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の片側の基材側の面に前記凹部を有する金型を有し、その反対側にゴム台を有したものは、上記第3に示した引用文献2には記載されていないし、示唆する記載もない。
同引用文献3には、段落【0033】?【0037】、【図6】に、横シール機構6によってヒートシールされることによって形成された「横シールFS箇所」を、狭着部材30Aによって挟み付けることにより、「狭着部材30Aの一方に形成された突起部31が他方の柔軟性材料にて形成された狭着部材30Aに押圧されて突起部31に対応する他方の挟着部材30A箇所が凹むことによって、挟まれているシール箇所の包装フィルムF部分に突起部31からなる点字による標記部Dを簡単に形成することができ」(段落【0037】)るものが記載されている。しかし、「標記部D」を狭着によって形成する「狭着部材30A」に有するのは「凹部」ではなく「突起部31」である。
同引用文献4には、「【0029】ヒーターバー16の加圧面(ヒーター受けバー17との対向面)には、ヒーターバー16の幅方向すなわち筒状フィルム40の幅方向に延びるストライプ状の凹凸16aが形成されている。筒状フィルム40がヒーターバー16とヒーター受けバー17とで加圧されるとき、筒状フィルム40は、凹凸16aの凸の部分で加圧され、凹の部分では実質的には加圧されない。一方、ヒーター受けバー17の加圧面(ヒーターバー16との対向面)には、ヒーターバー16のクッションとなり、かつ、ヒーターバー16からの熱により半溶融状態となっている筒状フィルム40が付着しないようにするために、シリコーンゴムからなるマット18が貼り付けられている。」、「【0041】一方、第1の横シール装置10の下方では、第2の横シール装置15により、筒状フィルム40の、ヒーターバー16とヒーター受けバー17との間の部分が幅方向に熱シールされる。この第2の横シール装置15による熱シールは、加圧面に横目が設けられた従来の横シール装置による熱シールと同様である。すなわち、ヒーターバー16の加圧面に設けられた凹凸16a(図1参照)の凸部分が筒状フィルム40に食い込み、筒状フィルム40を圧縮し、フィルム同士が剥離しないような十分なシール強度で、筒状フィルム40をストライプ状に熱シールする。」という記載がある。そうすると、引用文献4に記載されたものにおいて、「ストライプ状の凹凸16a」が形成された「ヒーターバー16」の「加圧面」と「ヒーター受けバー17」の「マット18」とで加圧されるのは、加熱工程であって、冷却工程ではない。

さらに、令和元年12月27日付けの前置報告書には、「押圧部材が凹部を有することにより、基材に凸の基材加工部を形成し、押圧部材は、基材の厚さの方向の片側に金型を有し、その反対側にゴム台を有し、金型は、基材側の凹部を有する点」は、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭61-92840号公報(以下「引用文献5」という。)及び実公昭48-18801号公報(以下「引用文献6」という。)に例示されるように従来周知の事項である旨、記載されているから、検討する。
引用文献5は、「ゴムの如き弾性体と凹型との間に被エンボス材を挟んでプレスすると、凹型の凹陥部に弾性体が凸型状に変形して、被エンボス材を伸ばしながら押し込むことになり、美しい均一なエンボスが得られるものである」(2ページ左上欄10?14行)ところ、「被エンボス材」として、「名刺、ハガキ、身分証明書、許可証」(1ページ左欄10?11行)が例示されているものの樹脂フィルムは例示されていない。さらに、「プレス」が冷却工程で行われるか否かも明らかではない。
引用文献6に記載されたものは、「抄紙機によつて漉きあげた湿紙を第1ドライヤにおいて水分を適度に除去したのち表面に特殊な凹凸部を設けた型付ロールと、表面に軟質なゴムを覆着した押圧ロールとの間を通過させることにより紙の両面に数多の凹凸部を形成することを特徴とする緩衝材となる紙の型押し装置」(1欄20?25行)に関するものであって、「型付ロール4」と「ゴム9」を覆着した「押圧ロール5」との間で押圧されるのは、樹脂シートではなく、「紙層a」である。
そうすると、製袋方法の冷却工程において、シール箇所に凸の基材加工部を形成する凹部を有する押圧部材を、樹脂フィルムからなる基材の厚さ方向の片側の基材側の面に前記凹部を有する金型を有し、その反対側にゴム台を有したものは、引用文献3?6のいずれにも記載はないし、示唆する記載もないから、この点、従来周知の事項であるとはいえない。

以上のとおりであるから、引用発明において上記<相違点2>に係る本願発明1の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になしえた事項であるとはいえない。
そして、本願発明は、上記<相違点2>に係る構成を備えることによって、以下に示す当業者が予測し得ない格別な作用効果を奏するものである。
すなわち、凹型とゴム台の場合、ゴムが樹脂フィルムに追従して変形(【0030】)するので、樹脂フィルムとゴムが密着状態となり、さらにゴムの突出変形によって樹脂フィルムと凹型も密着するため、できあがった凹凸は精度の高い(角の立った、形が凹型に沿った)形状になることが明らかである。加えて、ゴムの変形により押圧するため、樹脂フィルムが局所的に薄くなることや、破れることはないから、型の位置決めや型の動作に、高い精度が不要となる、との格別な作用効果を奏する。

(4) 本願発明1についての小活
以上のとおりであるから、上記<相違点1>について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

2. 本願発明2?6について
本願発明2?5は、本願発明1の製袋方法を引用する製袋方法の発明であり、本願発明6は、本願発明1の製袋方法を行う製袋機の発明である。
そうすると、上記1.に示したように、本願発明1は、引用発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本願発明1を引用し、さらに限定した発明である本願発明2?5や、本願発明1で特定された製袋方法を行う製袋機の発明である本願発明6も、引用発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明1?6は、引用発明及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。
また、他に拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-06-30 
出願番号 特願2015-9573(P2015-9573)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B31B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西山 智宏小川 悟史  
特許庁審判長 高山 芳之
特許庁審判官 久保 克彦
横溝 顕範
発明の名称 製袋方法および製袋機  
代理人 大浪 一徳  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 貞廣 知行  
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