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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G07G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07G
管理番号 1363957
審判番号 不服2019-13721  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-15 
確定日 2020-07-28 
事件の表示 特願2017-501858号「第1の商品登録装置、情報処理システム、プログラム、及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 1日国際公開、WO2016/136077、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)12月7日(優先権主張 2015年2月27日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成30年10月11日付けで拒絶理由が通知され、平成30年12月17日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年3月20日付けで拒絶理由が通知され、令和1年5月27日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年7月5日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和1年10月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和1年7月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1-8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2001-250169号公報(以下「引用文献1」という。)

第3 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和1年5月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置と、を有する情報処理システムにおける第1の商品登録装置であって、
前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信する送信手段を有し、
前記送信手段は、前記第1の精算装置に前記第1の精算情報を送信できない場合に、前記第3の精算装置に前記第1の精算情報を送信する、第1の商品登録装置。

【請求項2】
前記第1の精算装置との間の距離は、前記第3の精算装置との間の距離よりも短い、請求項1に記載の第1の商品登録装置。

【請求項3】
前記商品登録装置は、前記送信手段によって前記第1の精算装置に送信された前記第1の精算情報の識別情報を出力する識別情報出力手段を有し、
前記識別情報出力手段は、
前記第1の精算情報が前記第1の精算装置に送信された場合、前記第1の精算情報の識別情報を記憶手段又はサーバ装置へ出力し、
前記第1の精算情報が前記第3の精算装置に送信された場合、前記第1の精算情報の識別情報を可搬媒体に出力し、
前記第1の精算装置は、前記記憶手段又は前記サーバ装置から前記第1の精算情報の識別情報を取得し、
前記第3の精算装置は、前記可搬媒体から前記第1の精算情報の識別情報を取得する、請求項1又は2に記載の第1の商品登録装置。

【請求項4】
店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置を有し、
前記第1の商品登録装置は、前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信する送信手段を有し、
前記送信手段は、前記第1の精算装置に前記第1の精算情報を送信できない場合に、前記第3の精算装置に前記第1の精算情報を送信する、情報処理システム。

【請求項5】
前記第1の精算装置は、前記第1の精算情報を前記第1の商品登録装置のみから受信する、請求項4に記載の情報処理システム。

【請求項6】
店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置と、を有する情報処理システムにおける第1の商品登録装置によって実行される制御方法であって、
前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信し、
前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信できない場合、前記第1の精算情報を前記第3の精算装置に送信する、制御方法。

【請求項7】
店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置と、を有する情報処理システムにおいて実行される制御方法であって、
前記第1の商品登録装置は、前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信し、
前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信できない場合、前記第1の商品登録装置は、前記第1の精算情報を前記第3の精算装置に送信する、制御方法。

【請求項8】
情報処理システムにおける第1の商品登録装置として計算機を動作させるプログラムであって、
前記情報処理システムは、
店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置と、を有し、
当該プログラムは、前記計算機に、前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信する送信処理を実行させ、
前記送信処理は、前記第1の精算装置に前記第1の精算情報を送信できない場合に、前記第3の精算装置に前記第1の精算情報を送信する、プログラム。」

第4 引用文献
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。

「【0010】
本発明は大型スーパー、大型ディスカウント店等のPOSシステムに関し、更に詳細には、メンテナンスの作業性と操作上の利便性を向上させたPOSシステムに関するものであり、請求項1に記載のPOSシステムは、売上商品の売上情報を入力するチェッカー側Aと売上代金を決済するキャッシャー側Bとを配設したPOSシステムにおいて、チェッカー側Aで入力した売上情報を通信手段を介してサーバーCに蓄積すると共にキャッシャー側Bに売上情報の登録完了の信号を発信し、キャッシャー側Bはチェッカー側Aの売上情報の登録完了を確認すると共に前記サーバーCに蓄積した売上情報に基づいて代金決済をするものである。」

「【0015】
そして、本発明に用いるPOSシステムは、図1に図示する如く、売上商品の売上情報をバーコード読取器或いはパソコン自動読み取り器等の商品読取手段によって売上商品の売上情報を入力するチェッカー側Aと、お客との金銭をやり取りして決済するキャッシャー側Bとを配設しているものである。」

「【0019】
更には、図3に図示する第2実施様態の如く、キャッシャー側Bを人員を配置せずに自動金銭清算機としてもので、この場合、現金に限らず、各種のカード等を使用して決済することも可能とするものである。」

「【0021】
次に、図4に図示する実施様態では、チェッカー側A、つまり、チェッカー1はチェッカー1処理1.チェッカー1処理2.チェッカー1処理3として、チェッカー2はチェッカー2処理1.チェッカー2処理2.チェッカー2処理3として売上商品の売上情報を通信手段を介してサーバーCにC1データ1.C1データ2.C1データ3、及び、C2データ1.C2データ2.C2データ3として蓄積しているものであり、サーバーCに蓄積された売上情報のデータは、キャッシャー側B、つまり、キャッシャー1ではキャッシャー1C1データ1.キャッシャー1C1データ2.キャッシャー1C1データ3、及び、キャッシャー2ではキャッシャー2C2データ1.キャッシャー2C2データ2.キャッシャー2C2データ3としたデータを取り出し売上情報に基づき代金決済をするものである。」

「【0022】
そして、図示するように、キャッシャー側Bのキャッシャー1の機器にトラブルが発生して使用できなく成った場合には、チェッカー1とチェッカー2との双方の処理をキャッシャー2が行うもので、サーバーに書き込むデータにチェッカー区分の記号又は番号を持たすと共に、キャッシャーには管理するチェッカー区分を設けるものであり、キャッシャー2がチェッカー1からの指定変更の指示を受けてチェッカー1とチェッカー2との双方の処理を行うものである。」

2.認定事項
上記1.の記載事項から、以下のことが認定できる。
(1) 段落【0010】の「売上商品の売上情報を入力するチェッカー側Aと売上代金を決済するキャッシャー側Bとを配設したPOSシステム」との記載、及び段落【0021】の「チェッカー側A、つまり、チェッカー1は・・・、チェッカー2は・・・」「キャッシャー側B、つまり、キャッシャー1では・・・キャッシャー2では・・・」との記載から、「POSシステム」は、「チェッカー1、チェッカー2、キャッシャー1、及びキャッシャー2を配設したPOSシステム」であり、「チェッカー1」は、「POSシステム」における「チェッカー1」であること。

(2) 図4から、サーバーCが有する送信手段により、サーバーCに蓄積された売上情報をキャッシャー1、2が取り出すことは明らかであるところ、段落【0010】の「売上商品の売上情報を入力するチェッカー側Aと売上代金を決済するキャッシャー側Bとを配設したPOSシステム」において、「チェッカー側Aで入力した売上情報を通信手段を介してサーバーCに蓄積すると共にキャッシャー側Bに売上情報の登録完了の信号を発信し、キャッシャー側Bはチェッカー側Aの売上情報の登録完了を確認すると共に前記サーバーCに蓄積した売上情報に基づいて代金決済をする」との記載、及び段落【0021】の「チェッカー側A、つまり、チェッカー1はチェッカー1処理1.チェッカー1処理2.チェッカー1処理3として、チェッカー2はチェッカー2処理1.チェッカー2処理2.チェッカー2処理3として売上商品の売上情報を通信手段を介してサーバーCにC1データ1.C1データ2.C1データ3、及び、C2データ1.C2データ2.C2データ3として蓄積しているものであり、サーバーCに蓄積された売上情報のデータは、キャッシャー側B、つまり、キャッシャー1ではキャッシャー1C1データ1.キャッシャー1C1データ2.キャッシャー1C1データ3、及び、キャッシャー2ではキャッシャー2C2データ1.キャッシャー2C2データ2.キャッシャー2C2データ3としたデータを取り出し売上情報に基づき代金決済をする」との記載から、売上商品の売上情報を入力するチェッカー1及びチェッカー2、並びにチェッカー1から通信手段を介してサーバーCに蓄積された売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー1、及びチェッカー2から通信手段を介してサーバーCに蓄積された売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー2を備え、キャッシャー1はチェッカー1の売上情報に基づいて決済を行い、キャッシャー2はチェッカー2の売上情報に基づいて決済を行うPOSシステムであること。

(3) 図3から、チェッカー1、及びチェッカー2の操作は店員が行っていることは明らかであるところ、段落【0019】の「キャッシャー側Bを人員を配置せずに自動金銭清算機とし」との記載から、チェッカー1、及びチェッカー2は、店員が売上商品の売上情報を入力するものであり、キャッシャー1、及びキャッシャー2は、人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済するものであること。

(4) 段落【0021】の上記記載、及び段落【0022】の「キャッシャー側Bのキャッシャー1の機器にトラブルが発生して使用できなく成った場合には、チェッカー1とチェッカー2との双方の処理をキャッシャー2が行う」「キャッシャー2がチェッカー1からの指定変更の指示を受けてチェッカー1とチェッカー2との双方の処理を行う」との記載から、チェッカー1はキャッシャー1に売上情報の登録完了の信号を発信し、キャッシャー1はチェッカー1の売上情報の登録完了を確認すると共に、サーバーCに蓄積された売上情報を、サーバーCが有する送信手段により取り出すものであり、キャッシャー1の機器にトラブルが発生して使用できなくなった場合には、チェッカー1はキャッシャー2に指定変更の指示を出し、キャッシャー2は指定変更の指示を受けてチェッカー1及びチェッカー2の処理を行うこと。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「店員が売上商品の売上情報を入力するチェッカー1、
及び店員が売上商品の売上情報を入力するチェッカー2、
並びに人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済を行い、前記チェッカー1から通信手段を介してサーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー1、
及び人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済を行い、前記チェッカー2から通信手段を介してサーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー2、
を有するPOSシステムにおける前記チェッカー1であって、
前記チェッカー1は前記キャッシャー1に売上情報の登録完了の信号を発信し、前記キャッシャー1は前記チェッカー1の売上情報の登録完了を確認すると共に、前記サーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出し、
前記キャッシャー1の機器にトラブルが発生して使用できなくなった場合には、前記チェッカー1は前記キャッシャー2に指定変更の指示を出し、前記キャッシャー2は指定変更の指示を受けて前記チェッカー1及び前記チェッカー2の処理を行う、前記チェッカー1。」

第5 対比・判断
1.本願発明1
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、
ア 後者の「店員が売上商品の売上情報を入力するチェッカー1、及び店員が売上商品の売上情報を入力するチェッカー2」は、前者の「店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、店員が商品を登録する第2の商品登録装置」に相当し、後者の「人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済を行い、前記チェッカー1から通信手段を介してサーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー1、及び人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済を行い、前記チェッカー2から通信手段を介してサーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー2」は、前者の「顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置」に相当する。
イ 後者の「POSシステム」は、売上商品の売上情報等を取り扱うものであることから、前者の「情報処理システム」に相当する。
ウ 上記ア及びイから、
後者の「店員が売上商品の売上情報を入力するチェッカー1、
及び店員が売上商品の売上情報を入力するチェッカー2、
並びに人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済を行い、前記チェッカー1から通信手段を介してサーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出すキャッシャー1、
及び人員を配置せずお客と金銭をやり取りして決済を行い、前記チェッカー2から通信手段を介してサーバーCに蓄積された前記売上情報を取り出すキャッシャー2、
を有するPOSシステムにおける前記チェッカー1」は、
前者の「店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
を有する情報処理システムにおける第1の商品登録装置」に相当する。

そうすると、両者は、本願発明1の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「店員が商品を登録する第1の商品登録装置と、
店員が商品を登録する第2の商品登録装置と、
顧客が操作を行い、前記第1の商品登録装置で登録された商品の第1の精算情報を受信可能な第1の精算装置と、
顧客が操作を行い、前記第2の商品登録装置で登録された商品の第2の精算情報を受信可能な第2の精算装置と、
を有する情報処理システムにおける第1の商品登録装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明1は、「情報処理システム」が、「顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置」をさらに有し、「第1の商品登録装置」が、「前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信する送信手段を有し、前記送信手段は、前記第1の精算装置に前記第1の精算情報を送信できない場合に、前記第3の精算装置に前記第1の精算情報を送信する」のに対して、引用発明は、「前記チェッカー1は前記キャッシャー1に売上情報の登録完了の信号を発信し、前記キャッシャー1は前記チェッカー1の売上情報の登録完了を確認すると共に、通信手段を介して前記サーバーCに蓄積された前記売上情報をサーバーCが有する送信手段により取り出し、前記キャッシャー1の機器にトラブルが発生して使用できなくなった場合には、前記チェッカー1は前記キャッシャー2に指定変更の指示を出し、前記キャッシャー2は指定変更の指示を受けて前記チェッカー1及び前記チェッカー2の処理を行う」点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
ア キャッシャー1やキャッシャー2とは別の「顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置」は、引用発明に特定されておらず、引用文献1に記載されていない。
イ 引用発明は、「前記キャッシャー1の機器にトラブルが発生して使用できなくなった場合には」、「キャッシャー2は前記チェッカー1と前記チェッカー2との双方の処理を行う」構成ではあるが、かかる「キャッシャー2」は本願発明1の「第3の精算装置」になり得るものではない。
ウ このように、「第3の精算装置」は、引用発明に特定されておらず、引用文献1に記載も示唆もされていないから、構成の存在しない「第3の精算装置」に「前記第1の精算情報を送信する」こともできない。
したがって、本願発明1は、引用発明に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2、3について
本願発明2、3も、本願発明1の「情報処理システム」が、「顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置」をさらに有し、「第1の商品登録装置」が、「前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信する送信手段を有し、前記送信手段は、前記第1の精算装置に前記第1の精算情報を送信できない場合に、前記第3の精算装置に前記第1の精算情報を送信する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4-8について
本願発明4-8は、それぞれ、本願発明1の「情報処理システム」が、「顧客が操作を行い、前記第1の精算情報及び前記第2の精算情報を受信可能な第3の精算装置」をさらに有し、「第1の商品登録装置」が、「前記第1の精算情報を前記第1の精算装置に送信する送信手段を有し、前記送信手段は、前記第1の精算装置に前記第1の精算情報を送信できない場合に、前記第3の精算装置に前記第1の精算情報を送信する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-8は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-07-07 
出願番号 特願2017-501858(P2017-501858)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G07G)
P 1 8・ 113- WY (G07G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 洋  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 出口 昌哉
須賀 仁美
発明の名称 第1の商品登録装置、情報処理システム、プログラム、及び制御方法  
代理人 速水 進治  

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