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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B32B
管理番号 1363988
異議申立番号 異議2019-700248  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-01 
確定日 2020-06-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6398261号発明「加飾シート及び加飾樹脂成形品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6398261号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?10〕、11について訂正することを認める。 特許第6398261号の請求項1?11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6398261号(以下「本件特許」という。)の請求項1?11に係る特許についての出願は、平成26年3月28日(優先権主張平成25年9月30日)の出願であって、平成30年9月14日にその特許権の設定登録がされ(特許掲載公報平成30年10月3日発行)、その後、その特許について、平成31年4月1日に特許異議申立人渡辺寛(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和1年7月8日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年9月6日に特許権者から意見書及び訂正の請求がされ、令和1年10月29日に申立人から意見書が提出され、令和1年12月6日付けで取消理由(予告)が通知され、その指定期間内である令和2年2月7日に特許権者から意見書及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、令和2年3月23日に申立人から意見書が提出されたものである。
なお、特許権者の令和1年9月6日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の請求について
1.訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第6398261号の特許請求の範囲を本請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?10〕、11について訂正する」ことを求めるものであり、その訂正の内容は、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲を、次のように訂正するものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下である、」と記載されているのを、
「前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下であり、前記各盛上部によって表現される意匠は、前記各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2?10も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「加飾シート。」と記載されているのを、
「射出成形法に用いるための加飾シート。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2?10も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項11に
「少なくとも、成形樹脂層と、」と記載されているのを、
「少なくとも、射出成形樹脂層と、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11に
「前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下である、」と記載されているのを、
「前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下であり、前記各盛上部によって表現される意匠は、前記各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、」に訂正する。

2.訂正の適否
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項2?10は、訂正前の請求項1を直接又は間接に引用するものであって、訂正事項1及び訂正事項2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。

(2)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1が、盛上部によって表現される意匠について特定されていなかったものを、「各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1の「各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、」との事項は、特許がされた明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0057】に「盛上部3の形状は、特に限定されず、・・・・幾何学模様、文字状などの形状が好ましく挙げられる。また。・・・・各盛上部3によって表現される意匠は、各盛上部3が規則的に並んだような定形のパターン形状でもよいし、不定型な絵柄であってもよい。」と記載されていることから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1が、加飾シートの用途について特定されていなかったものを、「射出成形法に用いるための」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2の「射出成形法に用いるための」との事項は、本件特許明細書の段落【0002】に「従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。」と記載されていることから、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項11が、成形樹脂層の形成方法について特定されていなかったものを、「射出成形樹脂層」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3の「射出成形樹脂層」との事項は、本件特許明細書の段落【0002】に「従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。」と記載され、訂正前の「成形樹脂層」が射出成形により形成されるものといえるから、訂正事項3は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の特許請求の範囲の請求項11が、盛上部によって表現される意匠について特定されていなかったものを、「各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4は、訂正事項1と同様に、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

3.訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?10〕、11について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.本件特許発明
上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1?11に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなり、
前記表面保護層及び前記盛上部が別個の層であり、
前記表面保護層が前記基材層の全面上に積層されており、
前記盛上部の厚みが10μm以上であり、
前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下であり、
前記各盛上部によって表現される意匠は、前記各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、射出成形法に用いるための加飾シート。
【請求項2】
前記各盛上部は、それぞれ、前記加飾シートの積層方向から見た場合の面積が50mm^(2)以下である、請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記盛上部のマルテンス硬度が、10?120N/mm^(2)の範囲にある、請求項1又は2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記表面保護層の前記電離放射線硬化性樹脂組成物におけるシリコーン成分の含有量が、5質量%以下である、請求項1?3のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項5】
前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む、請求項1?4のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項6】
前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、5千以上である、請求項5に記載の加飾シート。
【請求項7】
前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項5または6に記載の加飾シート。
【請求項8】
前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、前記ウレタン(メタ)アクリレートとの質量比が、50:50?99:1の範囲にある、請求項7に記載の加飾シート。
【請求項9】
前記表面保護層の厚みが、1?30μmである、請求項1?8のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項10】
前記基材層と前記表面保護層との間に、装飾層をさらに有する、請求項1?9のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項11】
少なくとも、射出成形樹脂層と、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなり、
前記表面保護層及び前記盛上部が別個の層であり、
前記表面保護層が前記基材層の全面上に積層されており、
前記盛上部の厚みが10μm以上であり、
前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下であり、
前記各盛上部によって表現される意匠は、前記各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、加飾樹脂成形品。」

2.取消理由の要旨
令和1年9月6日付け訂正請求で訂正された請求項1?11に係る特許(以下、「本件訂正前発明1」等という。)に対して、令和1年12月6付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件訂正前発明1?11は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
《引用文献》
引用文献2:特開2002-347399号公報(甲第2号証)
引用文献4:特開2008-280449号公報(甲第5号証)
引用文献5:特開2013-82216号公報
本件訂正前発明1は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件訂正前発明2は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件訂正前発明3は、引用文献2に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件訂正前発明4は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件訂正前発明5?8は、引用文献2に記載された発明及び引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件訂正前発明9?11は、引用文献2に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.当審の判断
(1)引用文献2に記載された発明
ア 引用文献2には、以下の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材シート上に架橋硬化樹脂の凹凸模様が形成されてなる化粧シートであって、
該凹凸模様は、平面視形状が有限長の蛇行した曲線分の集合体から成り、且つ横断面形状が上に凸の連続曲線から成る、化粧シート。
【請求項2】 前記曲線分は、更に、途中で蛇行するか又は蛇行し無い曲線分の分岐を有する、請求項1記載の化粧シート。
【請求項3】 前記曲線分は、平面視形状に於いて、幅が0.1?1.5mm、外接円直径が1?10mm、隣接する曲線分同士の最短距離が0.1?1mmであり、且つ横断面形状に於いて凹凸模様の高さが5?50μmである、請求項1又は2記載の化粧シート。
【請求項4】 前記基材シートと前記凹凸模様との間に、架橋硬化樹脂から成る下塗塗膜層を有する、請求項1?3のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項5】 前記基材シートと前記凹凸模様との間、或いは前記基材シートと上記下塗塗膜層との間に、絵柄インキ層を有する、請求項1?4のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項6】 被着基材上に、請求項1?5のいずれか1項に記載の化粧シートを、その基材シートが被着基材と対向する向きで積層して成る、化粧材。」
(イ)「【0014】〔概要〕図3は本発明の化粧シートS(被着基材貼着済み)と化粧材Dの一形態を例示する斜視図である。同図で例示される本発明の化粧シートSは、上記特定樹脂及び特定形状からなる凹凸模様1が、基材シート2上に、全面の下塗塗膜層3を介して、形成された構成である。凹凸模様1(曲線分)が無い部分は、基材シート2上の下塗塗膜層3が露出している。そして、同図に例示される本発明の化粧材Dは、該化粧シートSが、接着剤層4を介して被着基材Bに貼着された構成である。なお、図3に例示の構成では、絵柄インキ層は無いが、絵柄インキ層を設けても良い。この場合、耐擦傷性及び耐摩耗性の点から、凹凸模様1の下側が好ましく、また、下塗塗膜層が有る場合は、該下地塗膜層の下側がより好ましい。」
(ウ)「【0016】〔凹凸模様〕凹凸模様1は、平面視形状が、有限長且つ有限幅の曲線分(曲線の線分)を成し、横断面形状が上(図面上方)に凸の連続曲線を成す凸状部の集合体である。・・・・
【0019】凹凸模様を成す曲線分の大きさは、該凹凸模様を形成する架橋硬化樹脂として通常の架橋硬化樹脂を用いて、従来の架橋硬化樹脂塗膜に比べて、十分な耐擦傷性、及び耐摩耗性を得ると共に、被着基材表面凹凸による目痩せ防止効果を得ると言う、本発明の作用効果上、好ましい範囲は、以下の通りである。
但し、個々の具体的実用上に於いて、本発明の作用効果を享受し得るならば、この範囲から多少外れた数値であっても良い。
【0020】すなわち、凹凸模様の大きさを表すパラメータは以下の通りである。平面視形状に於いて、曲線分の振幅は全振幅(最大値?最小値)Laの1/2で定義されるが、La/2=0.5?5mm、曲線分の外接円直径Ld=1?10mm(これは、曲線分の空間的な広がりを表す)、曲線分の幅Lw=0.1?1mm、隣接する曲線分間の最短距離Ls=0.1?1mm、且つ、横断面形状に於いて曲線分の凹凸模様の高さLh=5?50μmである。
【0021】また、曲線分の形状は、円弧、楕円弧、正弦波、ベッセル関数曲線、楕円関数曲線等の関数曲線(の一部)、これらの関数曲線を(振幅、周波数、或いは位相)変調したもの、これら関数曲線のうち異種のもの同士2種以上の組合わせ、或いはランダムな曲線等が用いられる。曲線としては、閉曲線を原則とするが、一部閉曲線が混在しても良い。
【0022】なお、曲線分の集合体内に於いて、個々の曲線分に関する数値は、全て同一では無く、最大限、上記数値範囲内で乱雑(ランダム)な分布とするのが、凹凸模様による耐摩耗性や耐擦傷性の強度ムラを与えない点で、及び、凹凸模様に視覚的な不均一感を与えて、ムラを感じさせない点で、好ましい。」
(エ)「【0039】〔架橋硬化樹脂〕凹凸模様1を形成する架橋硬化樹脂は、架橋硬化性樹脂の架橋硬化物から成る。なお、ここで、用語中に「性」が付いている場合は、未硬化状態を表す。また、「性」が付いて無い場合は、架橋硬化済みの状態を表す。該架橋硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が使用される。硬化性樹脂を架橋硬化させた架橋硬化物を用いることで、耐擦傷性及び耐摩耗性に優れた凹凸模様とすることができる。」
(オ)「【0050】〔下塗塗膜層〕下塗塗膜層3は、架橋硬化樹脂で形成する。凹凸模様1の非形成部(曲線分と曲線分の間)は、そのままでは基材シート2が露出するので、この露出部分に起因する耐擦傷性や耐摩耗性の低下、或いは耐汚染性の低下が所望の要求性能実現に支障を来す場合には、この下塗塗膜層を設けることが好ましい。
【0051】下塗塗膜層を構成する架橋硬化樹脂としては、一般には、凹凸模様と少なくとも成分の一部が同一の組成物、或いは類似の樹脂系の組成物を用いることが、凹凸模様と下塗塗膜層との密着性の点で好ましい。従って、下塗塗膜層に用いる樹脂としては、前述凹凸模様で述べた様な架橋硬化性樹脂が使用できる。・・・・
【0053】下塗塗膜層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷法、或いは、ロールコート等の公知の塗工法で形成できる。なお、下塗塗膜層の厚みは、通常1?10μmである。」
(カ)「【0059】被着基材Bとしては、化粧シートが積層できる形状であれば、特に制限は無い。例えば、被着基材の材質は、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等である。・・・・プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料がある。また、被着基材の形状としては、平板、曲面板、多角柱等任意である。」
(キ)「【0063】〔実施例1〕先ず、基材シート2として、坪量30g/m^(2)のL材パルプからなるアクリル樹脂含浸紙を用意した。この基材シート上に、先ず、表1の組成Aのインキを用いて、グラビア印刷により、全面に乾燥時塗工量3g/m^(2)のベタ印刷を施して、隠蔽層を兼用する絵柄インキ層を形成した。
【0064】次いで、表1の組成Bのインキをグラビア印刷にて乾燥時塗工量7g/m^(2)で全面ベタとして塗工し、希釈溶剤を乾燥させ指触乾燥(表面非粘着)状態として、下塗塗膜層3を形成した。
【0065】次いで、下塗塗膜層の上に、表1の組成Cから成るインキを用いて、グラビア印刷にて、図2の平面視形状(拡大図示)、及び図1の横断面形状、且つ図3の斜視図の如き凹凸模様1を印刷形成して、希釈溶剤は乾燥させた。
【0066】而る後、上記の如くして、絵柄インキ層、下塗塗膜層及び凹凸模様を形成した基材シートの印刷面側に、電子線照射装置にて、加速エネルギー175keV、被爆線量50kGyの条件で、電子線を照射し、上記絵柄インキ層、下塗塗膜層及び凹凸模様を架橋硬化させて架橋硬化物とした。以って、本発明実施例1の化粧シートを得た。
【0067】得られた凹凸模様の形状は、平面視形状に於いて、曲線分の振幅La/2=0.2?4mm、曲線分の外接円直径Ld=1?8mm、曲線分の幅Lw=0.2?1.5mm、且つ、隣接する曲線分間の最短距離Ls=0.2?1mmであった。一方、横断面形状に於いては、曲線分の凹凸模様の高さLh=10?40μmであった。」
(ク)「


イ 引用文献2には、被着基材上に積層する「化粧シート」について記載され(上記(ア))、その「化粧シート」は、「特定形状からなる凹凸模様1が、基材シート2上に、全面の下塗塗膜層3を介して」形成され、「凹凸模様1」が「無い部分は、基材シート2上の下塗塗膜層3が露出している」(上記(イ))。
また、「凹凸模様1を形成する架橋硬化樹脂」には、「電離放射線硬化性樹脂」が使用され、「凹凸模様」の高さは「5?50μm」である(上記(オ))。
さらに、下塗塗膜層3を構成する架橋硬化樹脂としては、「凹凸模様と少なくとも成分の一部が同一の組成物、或いは類似の樹脂系の組成物を用いることが、凹凸模様と下塗塗膜層との密着性の点で好まし」いとされる(上記(オ))。
上記(ク)の図示事項からみて、凹凸模様1と下塗塗膜層3は別個の層であり、下塗塗膜層3は基材シート2の全面上に積層されている。
ウ.そうすると、引用文献2には、次の「引用発明2」が記載されているものといえる。
「特定形状からなる凹凸模様1が、基材シート2上に、全面の下塗塗膜層3を介して形成され、凹凸模様1が無い部分は、基材シート2上の下塗塗膜層3が露出している、化粧シートであって、
凹凸模様1を形成する架橋硬化樹脂には、電離放射線硬化性樹脂が使用され、凹凸模様の高さが5?50μmであり、
凹凸模様1と下塗塗膜層3は別個の層であり、下塗塗膜層3は基材シート2の全面上に積層されており、
下塗塗膜層を構成する架橋硬化樹脂としては、凹凸模様と少なくとも成分の一部が同一の組成物、或いは類似の樹脂系の組成物を用いることが、凹凸模様と下塗塗膜層との密着性の点で好ましいとされる、化粧シート。」

(2)本件発明1について
ア 本件発明1と引用発明2を対比すると、本件発明1の「基材層」、「表面保護層」、「盛上部」、「加飾シート」は、それぞれ、引用発明2の「基材シート2」、「下塗塗膜層3」、「凹凸模様1」、「化粧シート」に相当し、
本件発明1と引用発明2とは、
「少なくとも、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、
前記盛上部が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなり、前記表面保護層及び前記盛上部が別個の層であり、
前記表面保護層が前記基材層の全面上に積層されている、加飾シート。」
で一致し、次の相違点2A?相違点2Eで相違する。
相違点2A:本件発明1の表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されているのに対し、引用発明2の下塗塗膜層3は、凹凸模様と少なくとも成分の一部が同一の組成物、或いは類似の樹脂系の組成物を用いることが、凹凸模様と下塗塗膜層との密着性の点で好ましいとされる点。
相違点2B:本件発明1の盛上部の厚みが10μm以上であるのに対し、引用発明2の凹凸模様の高さが5?50μmである点。
相違点2C:本件発明1の盛上部の総面積が、表面保護層の全面の面積に対して90%以下であるのに対し、引用発明2は、下塗塗膜層3に対する凹凸模様1の占有面積が特定されていない点。
相違点2D:本件発明1の各盛上部によって表現される意匠は、各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様であるのに対し、引用発明2の凹凸模様1の形状は特定されていない点。
相違点2E:本件発明1が、射出成形法に用いるための加飾シートであるのに対し、引用発明2は、化粧シートであり、射出成形法に用いるものとは特定されていない点。
イ まず、上記相違点2Eについて検討する。
引用発明2の化粧シートは、被着基材に貼着して建築物内装材や建具等に使用されるが(甲2の【0002】)、「硬質塗膜層を設けた化粧シートでは、耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分」であり、「化粧紙、塗工紙等の基材シートが紙等で薄い化粧シートの場合では、ラワン合板、パーチクルボード等の木質基板等の被着基材に化粧シートを貼着して化粧材とした場合に、被着基材表面の導管等の凹凸が化粧シート表面にまで浮き出て目立ってしまう、所謂「目痩せ」という不具合が起き易」(同【0004】)いという課題があり、引用発明2は、「特に化粧紙等の化粧シート、或いはそれを貼着した化粧材に於いて、特殊な塗料は用いず通常の電子線硬化性樹脂塗料の使用によって、耐擦傷性及び耐摩耗性を、従来の通常の電子線硬化性樹脂塗膜による場合よりも十分に改善すると共に、なお且つ目痩せが目立ち難くく(原文ママ)する事」(同【0005】)を解決しようとする課題とするものである。
一方、本件発明1の加飾シートは、「従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用され」、「このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている」(本件特許明細書の【0002】)が、従来の加飾シートでは、「折り曲げ加工性が悪く、例えばインサート成形法において、予備成形を行なった後に余分な部分を取り除くトリミングを行なう際に加飾シートに割れが発生しまうなどの総合的な成形性としては問題が残る場合」(同【0008】)があり、本件発明1は、「表面に複数の盛上部を有する加飾シートであって、成形性に優れた加飾シートを提供することを主な目的とする」(同【0008】)ものである。そして、本件発明1は、「少なくとも、基材層と、表面保護層と、表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなる加飾シート」とすることにより、「成形性及び耐傷付き性に優れる」という効果(同【0011】)を奏することができるものである。
そのため、射出成形時の成形性について引用文献2に記載のない以上、木質基板等の被着基材に貼着する引用発明2の化粧シートを、敢えて成形性が求められる射出成形法に用いようとする動機付けは、あるとはいえない。また、他にこのことを示す証拠もない。
よって、本件発明1の上記相違点2Eに係る構成は、引用発明2に基いて、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
ウ 申立人は、令和2年3月23日の意見書(「(2-3)反論2」)において、「また、本件発明1及び11は、上記の用途限定のない物として認定されるべきです。その理由は、第一に、上記の用途限定が、その物の用途に特に適した構造等を意味しないからです。第二に、本件発明1及び11は、用途発明(ある物の未知の属性を発見し、その属性により、その物が新たな用途に適することを見いだしたことに基づく発明)に該当しないからです。」と主張する。
しかし、上記イで述べたように、本件発明1は、本件発明1の構成を備えることにより、射出成形法で求められる成形性に優れた加飾シートとすることができるという格別な効果を奏するものであり、本件発明1の射出成形法に用いるための加飾シートは、「その物の用途に特に適した物」を意味するといえる。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
エ 以上より、本件発明1は、上記相違点2A?相違点2Dを検討するまでもなく、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明2?10について
本件発明2?10は、本件発明1の発明特定事項を、直接又は間接的にすべて含むものであるところ、上記(2)のとおり、本件発明1は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の発明特定事項をすべて含む本件発明2?10も、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明11について
引用文献2には、引用発明2の化粧シートを、基材シートを木質基板等の被着基材に対向する向きで貼り合わせて積層して成る、化粧材に係る発明(以下「引用発明2’」)が記載されている。
本件発明11と引用発明2’を対比すると、両者は上記相違点2A?相違点2Dのほか、以下の相違点2E’でも相違する。
相違点2E’:本件発明11の加飾樹脂成形品が、「少なくとも、射出成形樹脂層と、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層された積層体」からなるのに対し、引用発明2’は、化粧シートを木質基板等の被着基材に貼り合わせて積層したものであり、射出成形で積層した「射出成形樹脂層」を備えるものではない点。
この相違点2E’について検討する。
引用発明2’の化粧材は、引用発明2の化粧シートを木質基板等の被着基材に貼着したものであるが、上記(2)で述べたように、射出成形法により成形する際には、加飾シートには成形性が求められるものであるから、成形性向上を意図するものとはいえない引用発明2の化粧シートに、射出成形により射出成形樹脂層を積層しようとする動機付けがあるとはいえない。
よって、本件発明11の上記相違点2E’に係る構成は、引用発明2’に基いて、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
以上より、本件発明11は、上記相違点2A?相違点2Dを検討するまでもなく、引用発明2’に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)小活
よって、本件発明1?11は、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないから、本件発明1?11に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

4.令和1年7月8日付け取消理由について
令和1年7月8日付けで特許権者に通知した取消理由は、上記2.に示した取消理由のほか、
1)本件特許の請求項1?11に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2008-87155号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開2002-347399号公報(甲第2号証)
引用文献3:特開2001-96674号公報(甲第3号証)
引用文献4:特開2008-280449号公報(甲第5号証)
引用文献5:特開2013-82216号公報
2)「マルテンス硬度」は、測定位置での測定対象物の厚みや、測定対象物が積層構造を構成する層であった場合には、当該層の下側層の材質や厚み等の影響を受けることが技術常識であるところ、本件特許明細書には、測定位置によってその厚みが異なり得る「盛上部」のどの位置で測定するのかといったことや、「基材層」の材質や厚みの影響を、どのようにして受けないようにするのかといった具体的な説明が記載されておらず、測定条件が不明確である。そのため、本件発明3?10は、その発明特定事項の一部である「マルテンス硬度が10?120N/mm^(2)の範囲にある」との事項について、その測定条件が不明確であり、明確であるとはいえず、
また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明3?10について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、
本件特許は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない、というものである。

しかし、上記1)の引用文献1を主な引用例とする理由については、上記3.(2)で引用文献2について述べた理由と同様に、引用文献1の化粧シートは、金属板や木質系の板に貼着するもので、射出成形法において用いることを意図するものではなく、射出成形時の成形性について引用文献1には、何ら記載されていないから、このような引用文献1の化粧シートを、本件発明1?11のような射出成形法に用いるための加飾シートとすることが、当業者にとって容易に想到することができたものとはいえない。
また、上記2)の記載不備に係る理由についても、
「測定位置によってその厚みが異なり得る「盛上部」のどの位置で測定するのか」という点については、本件特許明細書の【0062】に「盛上部3のマルテンス硬度は、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM-500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて、温度25℃及び相対湿度50%の環境下において測定される値」と記載され、特許権者が令和1年9月6日の意見書に添付した、この「表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM-500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)」の取扱説明書(乙第1号証)の、「試験片は、インデンター先端の支持面(φ6mm(0.24”))が試験片に完全かつ平らに接触するのに十分な大きさまたは長さである必要がある。」(「5.2」)との記載を参照すれば、当業者であれば、「盛上部」の最も厚く平坦な箇所を測定位置として選択し得るものであり、
また、「「基材層」の材質や厚みの影響を、どのようにして受けないようにするのか」という点についても、上記乙第1号証に、試験片又はコーティングの厚さがインデント深さhの10倍以上で測定することが記載(「5.1.1」)されており、本件特許明細書には、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM-500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)で、実施例11?30の紫外線硬化性樹脂G(マルテンス硬度140N/mm^(2))及び紫外線硬化性樹脂H(マルテンス硬度112N/mm^(2))の盛上部に対し、押し込み荷重Fを2mNとしてダイヤモンド圧子を押し込んだ際の押し込み深さhは、同【0062】の【数1】によれば、それぞれ、0.74μm、0.82μmであり、厚さ30μmの盛上部(同【0100】)と比べて十分小さいことからすれば、盛上部の下地の基材層の材質や厚みの影響を考慮する必要がないことが理解できる。
よって、いずれの理由によっても、本件発明1?11に係る特許を取り消すべきものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1?11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層されており、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなり、
前記表面保護層及び前記盛上部が別個の層であり、
前記表面保護層が前記基材層の全面上に積層されており、
前記盛上部の厚みが10μm以上であり、
前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下であり、
前記各盛上部によって表現される意匠は、前記各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、射出成形法に用いるための加飾シート。
【請求項2】
前記各盛上部は、それぞれ、前記加飾シートの積層方向から見た場合の面積が50mm^(2)以下である、請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記盛上部のマルテンス硬度が、10?120N/mm^(2)の範囲にある、請求項1又は2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記表面保護層の前記電離放射線硬化性樹脂組成物におけるシリコーン成分の含有量が、5質量%以下である、請求項1?3のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項5】
前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む、請求項1?4のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項6】
前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、5千以上である、請求項5に記載の加飾シート。
【請求項7】
前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項5または6に記載の加飾シート。
【請求項8】
前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、前記ウレタン(メタ)アクリレートとの質量比が、50:50?99:1の範囲にある、請求項7に記載の加飾シート。
【請求項9】
前記表面保護層の厚みが、1?30μmである、請求項1?8のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項10】
前記基材層と前記表面保護層との間に、装飾層をさらに有する、請求項1?9のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項11】
少なくとも、射出成形樹脂層と、基材層と、表面保護層と、前記表面保護層の表面の一部に形成された複数の盛上部とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層及び盛上部が、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されてなり、
前記表面保護層及び前記盛上部が別個の層であり、
前記表面保護層が前記基材層の全面上に積層されており、
前記盛上部の厚みが10μm以上であり、
前記盛上部の総面積が、前記表面保護層の全面の面積に対して90%以下であり、
前記各盛上部によって表現される意匠は、前記各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状であり、前記盛上部が全体で形成する絵柄が幾何学模様である、加飾樹脂成形品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-05-19 
出願番号 特願2014-70293(P2014-70293)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B32B)
P 1 651・ 536- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高崎 久子  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 杉山 悟史
井上 茂夫
登録日 2018-09-14 
登録番号 特許第6398261号(P6398261)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 加飾シート及び加飾樹脂成形品  
代理人 立花 顕治  
代理人 田中 順也  
代理人 松井 宏記  
代理人 水谷 馨也  
代理人 山田 威一郎  
代理人 水谷 馨也  
代理人 立花 顕治  
代理人 田中 順也  
代理人 松井 宏記  
代理人 山田 威一郎  

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