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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C03B
管理番号 1364025
異議申立番号 異議2020-700128  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-27 
確定日 2020-07-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第6567516号発明「ガラス小瓶の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6567516号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯

本件特許第6567516号の請求項1?14に係る発明についての出願は、2014年(平成26年)6月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年7月17日、ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、令和1年8月9日にその特許権の設定登録がされ、令和1年8月28日に特許掲載公報が発行された。その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和 2年 2月27日付け:特許異議申立人 合同会社SAS(代表者:塚本晃)(以下、「特許異議申立人」という。)による甲第1号証?甲第8号証を証拠方法とした請求項1?14に係る特許に対する特許異議の申立て

第2.本件発明について

本件特許の請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明14」という。)は、本件特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
ガラスチューブ(10)からガラス小瓶を製造する方法において、
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
(a)前記ガラスチューブ(10)をその長手方向軸(12)の周りで200回転/分から500回転/分の回転数で回転させるステップと、
(b)バーナ(14)を用いて、少なくとも一方の側から、少なくともガラスの軟化温度(E_(W))まで前記ガラスチューブ(10)を局所的に加熱するステップと、
(b2)前記バーナ(14)を前記ガラスチューブ(10)から遠ざけるステップと、
(c)加熱領域(16)に少なくとも1つの成形体(28)を側方から押し付けることによって直径を低減させるステップと、
(d)前記バーナ(14)を用いて前記ガラスチューブ(10)を切り離すステップと、
を有し、
前記成形体(28)は、前記ガラスチューブ(10)に押し付ける面が平面であるか、または、1つの凸部を有する凸状である、
ことを特徴とする方法。

【請求項2】
前記ステップ(b)の後、収縮領域(16)を形成するため、回転する前記ガラスチューブ(10)を軸方向に引っ張り伸ばすステップ(b1)を付加的に実行する、
請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記ガラスチューブ(10)を回転させて、前記ステップ(a)?(d)および必要に応じて前記ステップ(b1)を示した順序で実行する、
請求項1に記載の方法。

【請求項4】
前記切り離しステップ(d)の後、残存する閉じたガラスチューブ(10III)の閉じた端部(21)をバーナ(20)によって穴開けする、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記ステップ(a)の後まず、回転する前記ガラスチューブ(10)の一方の端部を加熱して成形して、成形すべき小瓶(18)のネック領域(23)を形成し、引き続いて前記ステップ(b)にしたがい、前記端部からあらかじめ定めた間隔で、前記端部を加熱する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
250回転/分から450回転/分の回転数で前記ガラスチューブ(10)を駆動する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
300回転/分から400回転/分の回転数で前記ガラスチューブ(10)を駆動する、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
前記成形体(28,28a)は、タングステン合金から、電気黒鉛から、または耐熱鋼から構成される、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項9】
前記成形体(28,28a)を回転駆動する、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項10】
前記成形体(28,28a)を加熱する、
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項11】
前記成形体(28,28a)は、前記ガラスチューブ(10)に向かって先細りになっている、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項12】
前記成形体(28,28a)は、尖って形成されている、
請求項11に記載の方法。

【請求項13】
両側から前記成形体(28)を送り出す、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。

【請求項14】
前記ガラス小瓶(18)を製造するため、ホウケイ酸ガラスの形態の中性ガラスからなるガラスチューブ(10)を使用する、
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。」

第3.特許異議申立理由について

1.特許異議申立理由の概要

特許異議申立人による特許異議申立理由の概要は以下のとおりである。

理由1(進歩性)
本件発明1?14は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証?甲第6号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する分野における通常の意識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

2.各甲号証

甲第1号証:特公昭35-15545号公報(ガラス瓶の底を形成する方法に関する文献)
甲第2号証:特開平4-119932号公報(ランプ用ガラス対の製造方法に関する文献)
甲第3号証:米国特許第2447568号明細書(ガラス瓶の製造装置関する文献)
甲第4号証:米国特許第2935819号明細書(ガラス瓶の製造装置関する文献)
甲第5号証:特開2010-274091号公報(医療用ガラス容器の製造方法に関する文献)
甲第6号証:特公昭30-7797号公報(アンプルの製造方法に関する文献)
甲第7号証:特許異議申立人による甲第3号証の第3カラム第21行?第4カラム第41行の和訳
甲第8号証:特許異議申立人による甲第4号証の第5カラム第13行?第25行の和訳

3.当審の判断

(1)特許異議申立人が提出した証拠の記載事項

ア.甲第1号証

甲第1号証には、以下の記載がある。

(アa)
「従来壜底の成形には管素材の一端を閉塞しておいて他端から空気を送入し壜胴体を成形すると共に壜底を形成するか又は加熱軟化した管素材1に扁平ローラー14を押圧して断面V字状の周溝15を形成した後左右に伸延して赤熱しつゝ溶断して壜底を形成したが(第6図及び第7図参照)扁平ローラー14によつて押圧し左右に伸延するとその周溝15の肉厚が主として管素材の延びによつて形成されるために壜底の周辺部の肉厚が薄くなって強度の低い壜底とならざるを得ない欠点があつたが、本発明は管素材1を廻転ローラー2上で廻転しつゝガスバーナー3で壜底に相当する部分を徐徐に加熱し(第1工程第1図)次にその加熱部に両側辺4,4を弧面としたほゞ楕円形の主体5にその軸方向と直角に周溝6を穿設した転子7を押圧して緩傾斜の狭窄溝8を形成し又その際転子7の周溝6内に熱を貯えると共に管素材1と転子7との接触面積を減小して無理なく狭窄し(第2工程第2図)次に上記転子7を退避させてガスバーナー9で狭窄溝8の中央部を赤熱して溶断し(第3工程第3図)続いて二又ノズルのガスバーナー10で左右両溶断部11,12を加熱して管素材1の廻転による遠心力と相俟つて対称的に壜底13の周辺を肉薄としないで同時に2個の壜底を成型できるものである(第4工程第4図)なお上記転子7を管素材1にあてるときその冷却を防止するためにガスバーナー9で加熱するものである。」(第1頁左欄第22行?右欄第16行)

(アb)
「本文に詳記したように管素材を回転ローラー上で廻転しつゝ所要個所をガスバーナーで加熱する第1工程と冷却しない以前に壜底に相当する部分を両側辺を孤面としたほゞ楕円形の主体にその軸方向と直角に周溝を穿設した転子を押圧して狭窄溝を形成する第2工程と上記狭窄溝をガスバーナーで加熱して溶断する第3工程と溶断した管素材のそれぞれの溶断部を二叉のガスバーナーで溶融しつゝ廻転による遠心力と相俟つて壜底の周辺部が肉薄とならないように閉塞する第4工程の各工程の結合を特徴とする壜底形成法。」(特許請求の範囲)

(アc)




(アd)




(アe)




(アf)




(アg)





上記(アb)で摘示したように、甲第1号証には、管素材を回転ローラー上で廻転しつゝ所要個所をガスバーナーで加熱する第1工程と、冷却しない以前に壜底に相当する部分を両側辺を孤面としたほゞ楕円形の主体にその軸方向と直角に周溝を穿設した転子を押圧して狭窄溝を形成する第2工程と、上記狭窄溝をガスバーナーで加熱して溶断する第3工程と、溶断した管素材のそれぞれの溶断部を二叉のガスバーナーで溶融しつゝ廻転による遠心力と相俟つて壜底の周辺部が肉薄とならないように閉塞する第4工程の各工程の結合を特徴とする壜底形成法が記載されている。また、上記(アc)で摘示した第1図には管素材を長手方向を軸として廻転させながらその一部を一方の側からガスバーナーで加熱することが記載されている。さらに、上記(アd)で摘示した第2図には、転子を管素材の側方から接触させることが記載されている。
すると、甲第1号証には、
「管素材を長手方向を軸として回転ローラー上で廻転しつつ、管素材の一部を一方の側からガスバーナーで加熱する第1工程と、冷却しない以前に壜底に相当する部分を両側辺を孤面としたほぼ楕円形の主体にその軸方向と直角に周溝を穿設した転子を押圧して狭窄溝を形成する第2工程と、上記狭窄溝をガスバーナーで加熱して溶断する第3工程と、溶断した管素材のそれぞれの溶断部を二叉のガスバーナーで溶融しつつ廻転による遠心力と相俟って壜底の周辺部が肉薄とならないように閉塞する第4工程の各工程の結合を特徴とする壜底形成法」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

イ.甲第2号証

甲第2号証には、以下の記載がある。

(イa)




ウ.甲第3号証

甲第3号証には、以下の記載がある。

(ウa)




エ.甲第4号証

甲第4号証には、以下の記載がある。

(エa)




オ.甲第5号証

甲第5号証には、以下の記載がある。

(オa)




カ.甲第6号証

甲第6号証には、以下の記載がある。

(カa)




(2)対比・判断

ア.本件発明1について

本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「管素材」は、本件発明1における「チューブ」に相当し、引用発明の「長手方向を軸として管素材1を廻転」することは、本件発明1における「チューブ」を「長手方向軸の周りで」「回転させるステップ」に相当する。また、引用発明の「管素材の一部を一方の側からガスバーナー3で加熱する」こと及び「上記狭窄溝をガスバーナーで加熱して溶断する第3工程」は、本件発明1における「チューブ」を「バーナーを用いて、少なくとも一方の側から」「局所的に加熱するステップ」及び「バーナーを用いて」「チューブ」を「切り離すステップ」にそれぞれ相当する。さらに、上記(アd)で摘示した第2図においては、転子により管素材を狭窄することで、管素材の直径は低減していることから、引用発明の「転子」は、本件発明1における「成形体」に相当し、引用発明の「冷却しない以前に壜底に相当する部分を両側辺を孤面としたほぼ楕円形の主体にその軸方向と直角に周溝を穿設した転子を押圧して狭窄溝を形成する第2工程」は、本件発明1における「加熱領域に少なくとも1つの成型体を側方から押し付けることによって直径を低減させるステップ」に相当する。そして、引用発明は「壜底形成法」であり、壜底を形成することは壜を製造する工程の一部であって、引用発明の「壜」は、本件発明1における「瓶」に相当するから、引用発明の「壜底形成法」は、本件発明1における「チューブ」から「瓶を製造する方法」に相当する。
すると、本件発明1と引用発明とは、
「チューブから瓶を製造する方法において、
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
(a)前記チューブをその長手方向軸の周りで回転させるステップと、
(b)バーナーを用いて少なくとも一方の側から局所的に加熱するステップと、
(c)加熱領域に少なくとも1つの成形体を側方から押し付けることによって直径を低減させるステップと、
(d)バーナーを用いてチューブを切り離すステップと、
を有する方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本件発明1は、「ガラスチューブからガラス小瓶を製造する方法」であるのに対し、引用発明は、チューブから壜を製造する方法である点。

相違点2
本件発明1は、チューブを「その長手方向軸の周りで200回転/分から500回転/分の回転数で回転」させているのに対し、引用発明は、チューブをその長手方向軸周りで回転させているがその回転数が不明である点。

相違点3
本件発明1は、チューブを局所的に加熱する際に「少なくともガラス軟化温度(E_(W))まで」加熱しているのに対し、引用発明は、チューブを局所的に加熱する際の加熱温度が不明な点。

相違点4
本件発明1は、バーナーを「チューブから遠ざけるステップ」を有するのに対し、引用発明は、バーナーをチューブから遠ざけるステップを有するか不明である点。

相違点5
本件発明1は、チューブを切り離す際に用いるバーナーが「前記バーナー」であって、チューブを局所的に加熱するステップで用いるバーナーと同一のバーナーであるのに対し、引用発明は、チューブを切り離す際に用いるバーナーが、チューブを局所的に加熱するステップで用いるバーナーと同一のバーナーであるか不明である点。

相違点6
本件発明1の成形体は、チューブに押し付ける面が「平面であるか、または、1つの凸部を有する凸状である」のに対し、引用発明の成形体は、ほぼ楕円形の主体にその軸方向と直角に周溝を穿設した転子である点。

事案に鑑み、始めに上記相違点6について検討する。
甲第1号証には、上記(アg)で摘示した第6図に、チューブに押し付ける面が1つの凸部を有する凸状である成形体が記載されている。しかし、第6図の成形体は、従来の壜底成形に用いられるものであって、上記(アa)で摘示したように、「扁平ローラー14によつて押圧し左右に伸延するとその周溝15の肉厚が主として管素材の延びによつて形成されるために壜底の周辺部の肉厚が薄くなって強度の低い壜底とならざるを得ない欠点があつた」ものである。
一方、引用発明1は、上記欠点を解消するために、上記(アd)で摘示した第2図に記載されているほぼ楕円形の主体にその軸方向と直角に中央部に周溝を有する転子を成形体として用いて壜底を成形するものであるため、引用発明の成形体を、第6図に記載されているチューブに押し付ける面が1つの凸部を有する凸状である成形体に置換した際には、上記欠点を解消できないものであり、成形体を置換することに対して阻害要因が存在する。
したがって、上記相違点6は、引用発明及び甲第1号証に記載されている技術的事項から、当業者が容易に想到することができたものではない。
さらに、上記(ウa)?(カa)で摘示した甲第3号証のFig5、6、甲第4号証のFig.5、甲第5号証の図3及び甲第6号証の第3図には、チューブに押し付ける面が「平面であるか、または、1つの凸部を有する凸状である」成形体が記載されているが、引用発明において、「ほぼ楕円形の主体にその軸方向と直角に中央部に周溝を有する転子」からなる成形体を「平面であるか、または、1つの凸部を有する凸状である」成形体に置換することに阻害要因が存在し、当業者が容易に想到することができなかったものであることは上記のとおりである。なお、上記(イa)で摘示した甲第2号証の第1図には、引用発明の転子と類似の「その軸方向と直角に中央部に周溝を有する」成形体が記載されており、チューブに押し付ける面が「平面であるか、または、1つの凸部を有する凸状である」成形体は記載されていない。
また、特許異議申立人は、特許異議申立書において、「(a)前記ガラスチューブ(10)をその長手方向軸(12)の周りで200回転/分から500回転/分の回転数で回転させるステップ」は、甲第2号証の技術を考慮すれば、「(d)前記バーナ(14)を用いて前記ガラスチューブ(10)を切り離すステップ」は、甲第3号証の技術を考慮すれば、それぞれ容易に発明し得るものであることを主張しているが、引用発明において、「ほぼ楕円形の主体にその軸方向と直角に中央部に周溝を有する転子」からなる成形体を別形状の成形体に置換することに阻害要因が存在し、当業者が容易に想到することができなかったものであることは上記のとおりである。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び甲第1号証?甲第6号証に記載されている技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件発明2?14について

本件発明2?14は、本件発明1の上記相違点に係る発明特定事項を少なくとも有するものであることから、本件発明1と同じ理由により、本件発明2?14は、当業者であっても、引用発明及び甲第1号証?甲第6号証に記載されている技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.特許異議申立書における申立ての具体的理由について

特許異議申立人は、特許異議申立書において、「一つの凸部を有する凸状である成形体は、甲第1号証の従来技術である図6に明確に開示されている」(第14頁第1行?第3行)、及び「特許法第29条第2項の「前項各号に掲げる発明」が示唆する特許法第29条第1項第3号に記載の「頒布された刊行物に記載された発明」は、発明として刊行物に記載されたものだけを指すものではなく、従来技術や比較例として記載されたものも、「頒布された刊行物に記載された発明」に該当する」(同第4行?第7行)と指摘したうえで、「甲第1号証の図6に記載の従来技術に使用する扁平ローラーは、特許法第29条第1項第3号に規定されている「頒布された刊行物に記載された発明」に該当」(同第16行?第18行)し、「(a)前記ガラスチューブ(10)をその長手方向軸(12)の周りで200回転/分から500回転/分の回転数で回転させるステップ」は、甲第2号証の技術を考慮すれば、「(d)前記バーナ(14)を用いて前記ガラスチューブ(10)を切り離すステップ」は、甲第3号証の技術を考慮すれば、それぞれ容易に発明し得るものであることを主張している。
しかし、上記(アa)で摘示したように、第6図に記載されている一つの凸部を有する凸状である成形体は従来技術の成形体であり、従来技術において第6図以外の工程がどのような工程であるかは、甲第1号証には記載されていない。そして、甲第1号証の第1図の工程、第3図の工程及び第4図の工程が従来技術の工程であることは自明ではないため、甲第1号証に、第1図の工程、第6図の工程、第3図の工程及び第4図の工程の順で行われる壜底成形法が記載されているとまでは認められないし、まして、甲第2号証及び甲第3号証の技術をさらに適用させたものは、当業者といえども容易に想到することはできない。
また、甲第1号証の第2図において、成形体を第6図に記載されている従来技術の成形体に置換することに阻害要因が存在することは、上記3.(2)のア.で検討したとおりである。
したがって、特許異議申立人の主張は、採用しない。

5.まとめ

本件発明1?14に係る特許は、甲第1号証?甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第4.むすび

以上のとおり、請求項1?14に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、取り消すことはできない。さらに、他に請求項1?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2020-06-30 
出願番号 特願2016-526478(P2016-526478)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C03B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 有田 恭子飯濱 翔太郎  
特許庁審判長 菊地 則義
特許庁審判官 川村 裕二
金 公彦
登録日 2019-08-09 
登録番号 特許第6567516号(P6567516)
権利者 ショット アクチエンゲゼルシャフト
発明の名称 ガラス小瓶の製造方法  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 前川 純一  
代理人 上島 類  
代理人 二宮 浩康  

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