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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01Q
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01Q
管理番号 1364905
異議申立番号 異議2019-700760  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-25 
確定日 2020-07-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6489182号発明「アンテナ一体型無線モジュール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6489182号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?12〕について訂正することを認める。 特許第6489182号の請求項1,3,4,6?12に係る特許を維持する。 特許第6489182号の請求項2,5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6489182号の請求項1ないし12に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)5月14日(優先権主張2013年7月29日、日本、2013年8月22日、日本)を国際出願日とする出願である特願2015-529415号の一部を、平成29年9月6日に新たな特許出願としたものであって、平成31年3月8日にその特許権の設定登録がされ、平成31年3月27日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和元年9月25日に特許異議申立人横山純子により特許異議の申立てがされ、当審は、令和元年12月3日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和2年2月6日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、当審は、令和2年2月21日付けで訂正請求があった旨を特許異議申立人横山純子に通知したが、特許異議申立人横山純子は、その指定期間内に意見書を提出しなかった。


第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

令和2年2月6日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下(1)ないし(11)のとおりである。なお、下線は訂正された箇所を表す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板と、
前記無線領域に配置され、前記基板の一方主面またはその内部のいずれか一方に設けられたRF回路を有する無線機能部と、
アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部と、
を備え、
前記基板の他方主面に、前記アンテナ部と接続されたアンテナ電極と、前記無線機能部と接続された信号電極とが設けられ、
前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、
前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成されている
ことを特徴とするアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板と、
前記無線領域に配置され、前記基板の一方主面またはその内部のいずれか一方に設けられたRF回路を有する無線機能部と、
アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部と、
少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層と、
を備え、
前記基板の他方主面に、前記アンテナ部と接続されたアンテナ電極と、前記無線機能部と接続された信号電極とが設けられ、
前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、
前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成され、
前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている
ことを特徴とするアンテナ一体型無線モジュール。」
に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項3,4,6?12も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3において、
「少なくとも前記アンテナ領域の直上部分を被覆しないようにして前記樹脂封止層の表面に形成されたシールド層を備えていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「少なくとも前記アンテナ領域の直上部分を被覆しないようにして前記樹脂封止層の表面に形成されたシールド層を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6において、
「前記シールド層は、前記樹脂封止層の前記段差の側面にも延出して形成されていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「前記シールド層は、前記樹脂封止層の前記段差の側面にも延出して形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記樹脂封止層に、前記段差の側面に沿って前記基板の一方主面に近接または到達する溝が形成され、前記シールド層は、前記溝の内側面に延出して形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「前記樹脂封止層に、前記段差の側面に沿って前記基板の一方主面に近接または到達する溝が形成され、前記シールド層は、前記溝の内側面に延出して形成されていることを特徴とする請求項3,4,6のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8において、
「前記無線領域を囲む前記樹脂封止層の側面に前記シールド層が延出して形成されていることを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「前記無線領域を囲む前記樹脂封止層の側面に前記シールド層が延出して形成されていることを特徴とする請求項3,4,6,7のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9において、
「前記アンテナ領域側の前記樹脂封止層の上面に、所定の認識マークが形成されていることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「前記アンテナ領域側の前記樹脂封止層の上面に、所定の認識マークが形成されていることを特徴とする請求項1,3,4,6?8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10において、
「複数の前記アンテナ領域が、前記無線領域を挟むように前記基板に設けられ、前記各アンテナ領域それぞれにおいて、前記基板の一方主面およびその内部の少なくともいずれか一方に前記アンテナ導体がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「複数の前記アンテナ領域が、前記無線領域を挟むように前記基板に設けられ、前記各アンテナ領域それぞれにおいて、前記基板の一方主面およびその内部の少なくともいずれか一方に前記アンテナ導体がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1,3,4,6?9のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11において、
「前記アンテナ領域を囲む前記樹脂封止層の側面の少なくとも一部に前記シールド層がさらに形成されていることを特徴とする請求項3ないし8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「前記アンテナ領域を囲む前記樹脂封止層の側面の少なくとも一部に前記シールド層がさらに形成されていることを特徴とする請求項3,4,6?8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12において、
「前記アンテナ電極は、前記アンテナ導体の一方端と接続された一方端用アンテナ電極と、前記アンテナ導体の他方端と接続された他方端用アンテナ電極とを備えることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」
と記載されているのを、
「前記アンテナ電極は、前記アンテナ導体の一方端と接続された一方端用アンテナ電極と、前記アンテナ導体の他方端と接続された他方端用アンテナ電極とを備えることを特徴とする請求項1,3,4,6?11のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」に訂正する。


2 訂正の適否に関する当審の判断

(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

ア 訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に「少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層」という発明特定事項を追加するとともに、当該「樹脂封止層」を「前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている」と限定する訂正である。
よって、訂正事項1による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、「少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層」については訂正前の請求項2に、「前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている」については訂正前の請求項5にそれぞれ対応するものであるから、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、請求項2を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」目的とする訂正に該当する。また、訂正事項2による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正事項2による訂正により請求項2が削除されたことに伴い、訂正後の請求項3が、削除された請求項2を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項3による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

エ 訂正事項4について
訂正事項4による訂正は、請求項5を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。また、訂正事項4による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは、明らかである。

オ 訂正事項5について
訂正事項5による訂正は、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項6が、削除された請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項5による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

カ 訂正事項6について
訂正事項6による訂正は、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項7が、削除された請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項6による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項6による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

キ 訂正事項7について
訂正事項7による訂正は、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項8が、削除された請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項7による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項7による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

ク 訂正事項8について
訂正事項8による訂正は、訂正事項2による訂正により請求項2が削除されたことと、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項9が、削除された請求項2又は請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項8による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項8による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

ケ 訂正事項9について
訂正事項9による訂正は、訂正事項2による訂正により請求項2が削除されたことと、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項10が、削除された請求項2又は請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項9による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項9による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

コ 訂正事項10について
訂正事項10による訂正は、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項11が、削除された請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項10による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項10による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである

サ 訂正事項11について
訂正事項11による訂正は、訂正事項2による訂正により請求項2が削除されたことと、訂正事項4による訂正により請求項5が削除されたことに伴い、訂正後の請求項12が、削除された請求項2又は請求項5を引用する記載となることを回避する訂正である。
したがって、訂正事項11による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項11による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである


(2)独立特許要件について
本件においては、訂正前のすべての請求項1?12に対して特許異議の申立てがなされているので、訂正事項1?11について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項は適用されない。


(3)一群の請求項について
本件訂正前の請求項2?12は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであり、上記訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1?12は一群の請求項である。したがって、本件訂正請求は、その一群の請求項についてされたものである。


(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
したがって、訂正後の請求項〔1?12〕について訂正を認める。


第3 訂正後の本件発明

本件訂正請求により訂正された請求項1?12に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明12」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるとおりのものである。なお、下線は訂正された箇所を表す。

(1)本件発明1
「一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板と、
前記無線領域に配置され、前記基板の一方主面またはその内部のいずれか一方に設けられたRF回路を有する無線機能部と、
アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部と、
少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層と、
を備え、
前記基板の他方主面に、前記アンテナ部と接続されたアンテナ電極と、前記無線機能部と接続された信号電極とが設けられ、
前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、
前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成され、
前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている
ことを特徴とするアンテナ一体型無線モジュール。」

(2)本件発明2
削除

(3)本件発明3
「少なくとも前記アンテナ領域の直上部分を被覆しないようにして前記樹脂封止層の表面に形成されたシールド層を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(4)本件発明4
「前記シールド層は、前記樹脂封止層の上面において、前記無線領域に前記基板の一方主面側からの平面視で重なる領域にのみ形成されていることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(5)本件発明5
削除

(6)本件発明6
「前記シールド層は、前記樹脂封止層の前記段差の側面にも延出して形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(7)本件発明7
「前記樹脂封止層に、前記段差の側面に沿って前記基板の一方主面に近接または到達する溝が形成され、前記シールド層は、前記溝の内側面に延出して形成されていることを特徴とする請求項3,4,6のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(8)本件発明8
「前記無線領域を囲む前記樹脂封止層の側面に前記シールド層が延出して形成されていることを特徴とする 請求項3,4,6,7のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(9)本件発明9
「前記アンテナ領域側の前記樹脂封止層の上面に、所定の認識マークが形成されていることを特徴とする請求項1,3,4,6?8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(10)本件発明10
「複数の前記アンテナ領域が、前記無線領域を挟むように前記基板に設けられ、前記各アンテナ領域それぞれにおいて、前記基板の一方主面およびその内部の少なくともいずれか一方に前記アンテナ導体がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1,3,4,6?9のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(11)本件発明11
「前記アンテナ領域を囲む前記樹脂封止層の側面の少なくとも一部に前記シールド層がさらに形成されていることを特徴とする請求項3,4,6?8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」

(12)本件発明12
「前記アンテナ電極は、前記アンテナ導体の一方端と接続された一方端用アンテナ電極と、前記アンテナ導体の他方端と接続された他方端用アンテナ電極とを備えることを特徴とする請求項1,3,4,6?11のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。」


第4 取消理由通知に記載した取消理由について

訂正前の請求項1?4,8,10,12に係る特許に対して、当審が令和元年12月3日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

1 請求項1に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2 請求項1に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証より容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3 請求項2?4に係る発明は、甲第1,3,4号証又は甲第2?4号証より容易に発明をすることができたものであるから、請求項2?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

4 請求項8に係る発明は、甲第1,3,4号証より容易に発明をすることができたものであるから、請求項8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

5 請求項10に係る発明は、甲第1,7号証より容易に発明をすることができたものであるから、請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

6 請求項12に係る発明は、甲第1,9号証より容易に発明をすることができたものであるから、請求項12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


第5 甲号証の記載

1 甲第1号証

甲第1号証(特開2013-55547号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「【0001】
本発明は、RF回路やアンテナ素子を有して無線通信等に好適な高周波モジュールと、この種の高周波モジュールをマザーボード上に実装してなる高周波機器とに関する。」

(2)「【0022】
本実施形態例に係る高周波モジュール1は、回路基板2と、回路基板2上に配設されたRF回路3およびアンテナ素子4と、回路基板2に取り付けられてRF回路3を覆うシールドケース5と、回路基板2上に搭載された同軸コネクタ6とによって主に構成されている。図3や図5に示すように、回路基板2にはRF回路3とアンテナ素子4との間に伝送線路が設けられている。この伝送線路のうちRF回路3側の第1伝送線路7は、回路基板2の上面から第1のビアホール8を介して裏面2a側へ導出されており、第1伝送線路7の先端部7aは半田接続ランドとして形成されている。同様に、アンテナ素子4側の第2伝送線路9は、回路基板2の上面から第2のビアホール10を介して裏面2a側へ導出されており、第2伝送線路9の先端部9aも半田接続ランドとして形成されている。図4や図5に示すように、両先端部7a,9aは相互の導通が遮断された状態で所定の間隔を存して位置している。」

(3)「【0024】
RF回路3を覆っているシールドケース5は接地されるため、RF回路3は電磁的にシールドされた状態になる。また、本実施形態例では、アンテナ素子4が回路基板2上にパターンアンテナとして形成されているが、アンテナ素子4として、回路基板2上に搭載して第2伝送線路9と接続させたチップアンテナを用いてもよい。いずれにせよ、高周波モジュール1の動作時には、RF回路3から第1および第2伝送線路7,9を介して給電信号がアンテナ素子4へ供給されることになるが、高周波モジュール1がマザーボード20上に実装されるまでは、第1および第2伝送線路7,9間の導通が遮断されているため、RF回路3とアンテナ素子4との間で信号の授受が行われることはない。つまり、この高周波モジュール1は、マザーボード20への実装時に、マザーボード20上に伝送線路橋絡用の半田接続ランドとして設けられている橋絡用接続ランド22(図6参照)に第1および第2伝送線路7,9の先端部7a,9aが半田付けされた段階で、第1伝送線路7と第2伝送線路9とが接続されるようになっている。」

(4)上記(1)から(3)の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されている。

「RF回路3やアンテナ素子4を有して無線通信等に好適な高周波モジュール1であって、
前記高周波モジュール1は、回路基板2と、回路基板2上に配設されたRF回路3およびアンテナ素子4と、回路基板2に取り付けられてRF回路3を覆うシールドケース5と、回路基板2上に搭載された同軸コネクタ6とによって主に構成されており、
前記回路基板2にはRF回路3とアンテナ素子4との間に伝送線路が設けられており、
前記伝送線路のうちRF回路3側の第1伝送線路7は、回路基板2の上面から第1のビアホール8を介して裏面2a側へ導出されており、第1伝送線路7の先端部7aは半田接続ランドとして形成されており、
前記伝送線路のうちアンテナ素子4側の第2伝送線路9は、回路基板2の上面から第2のビアホール10を介して裏面2a側へ導出されており、第2伝送線路9の先端部9aも半田接続ランドとして形成されており、
前記両先端部7a,9aは相互の導通が遮断された状態で所定の間隔を存して位置しており、
前記高周波モジュール1は、マザーボード20への実装時に、マザーボード20上に伝送線路橋絡用の半田接続ランドとして設けられている橋絡用接続ランド22に第1および第2伝送線路7,9の先端部7a,9aが半田付けされた段階で、第1伝送線路7と第2伝送線路9とが接続されるようになっている、
高周波モジュール。」


2 甲第2号証

甲第2号証(米国特許第6693593号明細書)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「The invention specifies a high frequency circuit with a connection for a printed antenna that together form a radio interface for short-range communication for an electronic device such as a computer, its accessories, a mobile phone or another communication or information technology terminal device.」(第1欄第4-9行目)

(当審仮訳:本発明は、高周波回路であって、印刷されたアンテナとの接続部を備え、当該アンテナと共に、コンピュータ、該コンピュータの付属品、携帯電話、または他の通信または情報技術端末装置などの電子機器のための短距離通信用の無線インターフェースを形成するものである。)

(2)「The module circuit board has contacts on it used to connect the HF-circuit to the host device. The feed line of the module antenna and the antenna port of the HF-circuit are located at separate places on the module circuit board and are connected using separate contacts. The module is placed on a host circuit board like an integrated circuit in a automated component placement process after checking and setting the operating values and is connected electrically and mechanically to the board during this process. The host circuit board has a conducting bridge near the contacts for the feed line and antenna port that connects both contacts to each other and implements a reliable electrical HF-connection when placing the module.」(第3欄第3-15行目)

(当審仮訳:モジュール回路基板は高周波回路をホストデバイスに接続するための接点を有する。モジュールアンテナの給電線と高周波回路のアンテナポートは、モジュール回路基板上の離れた場所にあり、離れた接点によって接続されている。モジュールは、動作値のチェックと設定後、自動部品実装工程において集積回路のようなホスト回路基板に配置され、この工程において基板に電気的および機械的に接続される。ホスト回路基板は、給電線とアンテナポートの接点の近くに導電性ブリッジを有し、両方の接点を相互に接続し、モジュールを配置するときに信頼性の高い電気的高周波接続を実現する。)

(3)「FIG. 1 shows a top view of a compact high frequency module according to the invention. It forms a radio interface for the circuit of an electronic host device (not shown), for example of a mobile computer, a mobile telephone or another communication or information technology terminal device. The actual module circuit RF-C is located on a module circuit board M-PCB and is located under a shielded cap. The circuit is preferably mounted on a surface of the module circuit board M-PCB using SMD components (surface mounted device). The details of the module circuit RF-C are not necessary to understand the invention and are therefore not shown. The use of the known F-antenna has proven to be favorable for the operating frequency used of approximately 2 GHz with respect to the technical values and the cost. In accordance with the invention, the F-antenna is placed on the module circuit board M-PCB near the antenna port AP of the module circuit RF-C as module antenna A_(M) and has a feed line FL as well as a ground point GND.」(第4欄第24-42行目)

(当審仮訳:図1は、本発明による小型高周波モジュールの上面図を示す。小型高周波モジュールは、例えば、モバイルコンピュータ、携帯電話、または他の通信・情報技術端末装置の電子ホストデバイス(図示せず)の回路のための無線インターフェースを形成するものである。実際のモジュール回路RF-Cは、モジュール回路基板M-PCB上に位置し、シールドキャップの下に位置する。モジュール回路RF-Cは、SDM(表面実装デバイス)コンポーネントを使用してモジュール回路基板M-PCBの表面に実装されることが好ましい。モジュール回路RF-Cの詳細は、本発明を理解するために必要ではないため、示されていない。既知のFアンテナの使用は、技術的な値とコストに関して、使用される約2GHzの動作周波数に適していることが証明されている。本発明によれば、FアンテナはモジュールアンテナA_(M)としてモジュール回路RF-CのアンテナポートAPの近くのモジュール回路基板M-PCB上に配置され、給電線FLならびに接地点GNDを有する。)

(4)「FIG. 2b shows a side view of a cross-section of the section shown in FIG. 2a. The cross-section runs along the lines A-B, where the arrow points in the direction of the line of vision. One metalized hole MB connects the antenna port AP to the contact C_(3) and another connects the feed line FL to a corresponding contact C_(FL). There are ground contacts for the HF-circuit on the contact side near contact C_(3), and contact C_(3) has a sufficiently large surface area to place a signal sender with contact pins TP there and to connect to at least one ground contact during the manufacturing of the module.」(第5欄第11-21行目)

(当審仮訳:図2bは、図2aに示されたセクションの断面の側面図を示す。断面は線A-Bに沿って延び、矢印は視線の方向を指す。1つのメタライズ孔MBはアンテナポートAPを接点C_(3)に接続し、別のメタライズ孔MBは給電線FLを対応する接点C_(FL)に接続する。接点C_(3)の近くの接点側には高周波回路用の接地接点があり、接点C_(3)には十分な表面積があり、信号送信機をそこに接触ピンTPで配置し、モジュールの製造中に少なくとも1つの接地接点に接続する。)

(5)「The drawings in FIG. 3a and FIG. 3b show corresponding sections of a host circuit board H-PCB, with an installed high frequency module. The host circuit board H-PCB_(1) has a conducting bridge CB, that, according to the invention, connects the contact surfaces C_(3) and C_(FL) to each other and therefore connects the feed line FL of the module antenna A_(M) to the antenna port AP when placed on the module circuit board M-PCB.」(第5欄第22-29行目)

(仮訳:図3aと図3bは、高周波モジュールが取り付けられたホスト回路基板H-PCBの対応するセクションを示している。ホスト回路基板H-PCB_(1)は、本発明によれば、モジュール回路基板M-PCB上に配置されたとき、接点C_(3)と接点C_(FL)を互いに接続することで、モジュールアンテナA_(M)の給電線FLをアンテナポートAPに接続する導電性ブリッジCBを有する。)

(6)FIG. 3b(図3b)


(7)上記(3)、(4)及び(6)の記載から、甲第2号証には次の技術事項も記載されているといえる。

「モジュール回路基板M-PCBの一方主面にモジュール回路RF-CとモジュールアンテナA_(M)が配置され、他方主面に接点C_(3)と接点C_(FL)が配置される」との技術事項。

(8)上記(1)から(6)の記載事項及び上記(7)の技術事項を総合すると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が開示されている。

「無線インターフェースを形成する小型高周波モジュールであって、
前記小型高周波モジュールは、モジュール回路基板M-PCB、モジュール回路RF-C、モジュールアンテナA_(M)、シールドキャップ、1つのメタライズ孔MB、別のメタライズ孔MB、接点C_(3)、接点C_(FL)を有し、
前記モジュール回路RF-Cは、モジュール回路基板M-PCBの一方主面のシールドキャップの下に配置され、アンテナポートAPを有し、
前記モジュールアンテナA_(M)は、モジュール回路RF-CのアンテナポートAPの近くのモジュール回路基板M-PCBの一方主面に配置され、給電線FLならびに接地点GNDを有し、
前記1つのメタライズ孔MBはアンテナポートAPを接点C_(3)に接続し、
前記別のメタライズ孔MBは給電線FLを対応する接点C_(FL)に接続し、
前記接点C_(3)と接点C_(FL)とはモジュール回路基板M-PCBの他方主面に配置され、
前記接点C_(3)と接点C_(FL)は、モジュール回路基板M-PCB上にホスト回路基板H-PCB_(1)が配置されたとき、ホスト回路基板H-PCB_(1)の導電性ブリッジCBによって接続される、
小型高周波モジュール。」


3 甲第3号証及び甲第4号証

(1)甲第3号証(登録実用新案第3171941号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付与したものである。)。

ア 「【0001】
本考案は、GPS受信用アンテナと受信器とが一体化されたアンテナ一体型GPS受信モジュールに関するものである。」

イ 「【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるアンテナ一体型GPS受信モジュールの上面図であり、図2は、同断面図であり、図3は、同下面図である。図4は、本実施の形態におけるアンテナ一体型GPS受信モジュールの等価回路図である。図1から図4において、GPSモジュール21は、樹脂製のプリント基板22の上面に装着された複数の電子部品3によって形成された受信回路31と、前記電子部品3を覆うように設けられたシールド部材23と、受信回路31の入力端子31aへ接続されたGPS用アンテナ(以降、単にアンテナ24という)とを有し、アンテナ24は、プリント基板22の上面に敷設されたプリントアンテナとしたものである。つまり、アンテナ24は、プリント基板22上において受信回路31の横に配置されることとなる。
【0017】
この構成により、アンテナ24はプリントアンテナであるので、受信回路31の厚み(プリント基板22とシールド部材23が合わさった厚みだけ)でGPSモジュール21を実現できる。さらに、アンテナ24はあらかじめプリント基板22上に敷設されたプリントアンテナであるので、このアンテナ24が形成されたプリント基板22へ電子部品3を装着すれば、容易にアンテナ24と受信回路とが一体化されたGPSモジュール21を得ることができる。したがって、非常に生産性の良好なGPSモジュール21を実現できる。
【0018】
では次に、本実施の形態におけるGPSモジュール21について、さらに詳しく説明する。プリント基板22は矩形状をなし、樹脂製の基材によって形成されている。具体的には4層のガラスエポキシ基板である。このプリント基板22の上面にはアンテナ24と電子部品3を装着するための装着パッドや受信回路3 1のグランドパターンなどが形成されている。一方、プリント基板22の下面側にはアンテナ24の地板25が形成されている。」

ウ 「【0020】
プリント基板22の上面には複数の装着パッド( 図示せず) が形成され、これら装着パッド上には、はんだなどによって複数の電子部品3が装着されている。そしてこれらの電子部品3により、プリント基板22上にはGPS用の受信回路31が形成される。
【0021】
シールド部材23は、電子部品3(受信回路31)を覆うように設けられる。ただし、アンテナ24はシールド部材23で覆われないようにしておく。ここで本実施の形態におけるシールド部材23には、金属製のカバーを用いており、カバーははんだなどによって、プリント基板22上へ固定される。なお、本実施の形態においては、カバーを用いたが、シールド部材23はこれに限るものではない。たとえば、プリント基板22の上面に、電子部品3を覆うように樹脂層を設け、この樹脂層の表面を覆うようにシールド部材23を形成してもよい。ただしこの場合、シールド部材23にはたとえばスパッタなどによる金属膜を用いる。」

エ 図2


オ 上記イからエの記載から、甲第3号証には次の技術事項も記載されているといえる。

「樹脂層の側面にもシールド部材23が形成されている」という技術事項。


(2)甲第4号証(特開2002-33419号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付与したものである。)。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線通信が可能なパーソナルコンピュータ等のような、無線通信機能を備えた情報処理装置、あるいは、携帯電話等の無線通信装置の分野において使用される高周波モジュール、および高周波モジュールの製造方法に関するものである。」

イ 「【0026】図1は、本発明に係る高周波モジュールの一実施形態の製造工程の途中における形状、および完成品の外観を示す斜視図である。なお、電気的構成は、図6に示す構成となっている。
【0027】図において、1は、高周波モジュールの基板を示している。また、7は、電子部品の1種である集積回路チップを示しており、8,・・・は、チップ化された電子部品のうち、集積回路チップ7を除く電子部品を示している。また、3は、集積回路チップ7と電子部品8,・・・とによって構成された高周波回路部を示している。また、2は、基板1の内層(内部側の層)に形成され、導体パターン(本実施形態では金属膜パターンとしている)からなるアンテナを示していて、高周波回路部3の回路パターン(図示を省略)に電気的に接続されている。
【0028】また4は、集積回路チップ7と電子部品8,・・・とを封入する樹脂モールドを示しており、5は、樹脂モールド4の表面に形成された金属膜を示している。また、6は、基板1の側面に形成された凹部を示している。なお、この凹部6は、樹脂モールド4の表面(詳細には、(c)に示された樹脂モールド4の裏側の面)に連接するアース経路面となっており、このアース経路面にも、金属膜が形成されている。すなわち、凹部6は、樹脂モールド4の表面に形成された金属膜と連続する金属膜が形成された接地電極となっている。
(中略)
【0031】また、アンテナ2は基板1の内層に形成されているので、上記した工程数の削減の効果の他に、高周波モジュールの形状の小型化ができる。かつ、アンテナ2の表面の酸化、アンテナ2への異物の付着、あるいは、アンテナ2の変形等といったような、外的な要因によるアンテナ2の性能の劣化が防止されるので、信頼性の向上が得られている。」

ウ 図1


エ 「【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る高周波モジュールは、基板上に搭載された電子部品でもって構成された高周波回路部と、高周波回路部を電磁遮蔽するシールド被覆とを備えた高周波モジュールにおいて、電子部品を封入する樹脂モールドを備え、シールド被覆を、樹脂モールドの表面に形成された金属膜としている。従って、シールド被覆とするための専用の部材が不要になるので、シールドを行うときにも、部品点数の増加を抑制することができる。」

オ 上記イとウの記載から、甲第4号証には次の技術事項も記載されているといえる。

「樹脂モールドの側面にも金属膜5が形成されている」という技術事項。


(3)上記(1)と(2)から甲第3号証と甲第4号証には以下の共通する技術事項が開示されており、当該技術事項は周知である。

「アンテナと電子部品から構成されるモジュールにおいて、電子部品を覆うように樹脂層を設け、この樹脂層の表面(側面を含む)を覆うように金属膜によってシールドを形成する」という技術事項。


4 甲第5号証

甲第5号証(特開特開2007-157891号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「【0001】
本発明は、部品内蔵基板を用いた回路モジュール、特に電磁シールド機能を備えた回路モジュールおよびその製造方法に関するものである。」

(2)「【0013】
本発明にかかる回路モジュールの製造方法について説明する。
まずモジュール基板を準備し、モジュール基板上に回路部品を実装し、回路部品の周囲を取り囲むようにモジュール基板上に枠状の側面シールド板を搭載する。回路部品の実装と側面シールド板の搭載とを同時に実施してもよい。集合基板状態のモジュール基板を使用した場合には、井桁状に組まれた側面シールド板をモジュール基板の子基板上にそれぞれ搭載してもよい。搭載方法として、例えばはんだ付けや導電性接着剤により固定してもよい。次に、回路部品を包み込み、かつ側面シールド板が埋設されるようにモジュール基板の上面全面に絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層の上面に、側面シールド板の上端部と接続されるように上面シールド層を形成する。絶縁樹脂層の形成方法としては、例えばプリプレグ(未硬化) 状態の絶縁樹脂層をモジュール基板上に圧着し、硬化させてもよいし、モジュール基板上に絶縁樹脂をモールドし、硬化させてもよい。絶縁樹脂層の形成により、絶縁樹脂層と側面シールド板とが密着する。その後、絶縁樹脂層の上面に上面シールド層となる電極をめっき等によって形成する。なお、絶縁樹脂層および上面シールド層の形成方法は任意である。
本発明における側面シールド板とは、金属材料で形成されたものに限らず、樹脂などの絶縁性枠体の内面または外面に電極膜を形成したものでもよい。側面シールド板が、網目状あるいは多数の貫通穴を備えた材料で形成されていてもよい。」

(3)「【0037】
図15,図16は第7実施例にかかる回路モジュールGを示す。なお、第1実施例と同一部分あるいは対応部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この回路モジュールGは、第5実施例の回路モジュールEの変形例であり、側面シールド板5を省略し、回路部品4aと回路部品4b,4c間を仕切る平面視L字形の中間シールド板14を設け、回路部品4aの上部にのみ中間シールド板14と接続された上面シールド層21aを設けたものである。この場合には、外部からの電磁波の侵入や外部への電磁波の漏洩は防止できないが、モジュール基板1上に実装された回路部品4a?4c同士のノイズや輻射による相互干渉を防止できる。
なお、図15では平面視L字形の中間シールド板14を用いたが、一部の部品を他の部品と仕切ることができるものであれば、平面視I形やコ字形など任意の形状とすることができる。また、回路部品4aの上部にのみ上面シールド層2 1aを設けたが、全面的に上面シールド層を設けてもよい。」

(4)図15


(5)図16



5 甲第6号証

甲第6号証(特開2014-17753号公報)には、以下の記載がある。(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「【0001】
本発明は、非接触でデータを読み取り又は書き込みを行うRFIDリーダ装置等に用いられる積層チップ共振器及びこれを備えたアンテナ装置に関する。」

(2)「【0018】
第1実施形態の積層チップ共振器1は、例えば電磁誘導方式で交信するRFIDシステム用であって、図1から図3に示すように、一対の端部電極4に接続された給電線FPを介して給電され少なくともデータを受信するアンテナ部とされる積層チップ共振器である。この積層チップ共振器1は、全体がチップ状に形成され、積層された複数の非磁性材料層2A?2Dと、隣接する非磁性材料層2A ,2Bの間に設けられたコイル状導体パターン3と、互いに対向する一対の端面に設けられコイル状導体パターン3の端部に接続された一対の端部電極4とを備えている。
【0019】
また、この積層チップ共振器1は、互いに対向する一対の側面のうち近傍に配されたコイル状導体パターン3の本数が反対側よりも1本少ない方を示すマークMが表面に形成され、マークMで示された側面の近傍に少なくとも一本の給電線FPを配して設置される。図1の(a)に示す場合では、左側の側面の近傍にコイル状導体パターン3が2本、該側面に沿って延在していると共に、右側の側面の近傍には、コイル状導体パターン3が3本、該側面に沿って延在している。」

(3)図1



6 甲第7号証

甲第7号証(米国特許第8451618号明細書)には、以下の記載がある。(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「The present disclosure relates generally to methods and systems related to radio frequency (RF) communication devices.」(第1欄第6-8
行目)

(当審仮訳:本開示は、一般に無線周波数(RF)通信装置に関連した方法及びシステムに関するものである。)

(2)「FIG. 3a illustrates a semiconductor module 300 having a package 304 comprising one or more integrated antennas 308 that are arranged on different sides of an integrated chip 302. The antennas 308 may be coupled to the integrated chip 302 by way of a redistribution layer 312 that extends beyond the bonding interconnect structure 310. In one embodiment, the redistribution layer 312 allows for the antennas 308 to be displaced outside of the bonding structure 310 (i.e., radially outside of the bonding structure relative to the IC 302) thereby providing for a package that is large enough to allow for different antennas (e.g., antennas 308a and 308b) to be locally isolated. Local isolation of the antennas 308 can reduce crosstalk between the antennas and/or provide for improved radiation characteristics over antennas not having local isolation between each other.」(第5欄第11-25行目)

(当審仮訳:図3aは、集積チップ302の異なる側に配置された1つ以上の集積アンテナ308を含むパッケージ304を有する半導体モジュール300を示す。アンテナ308は、ボンディング相互接続構造310を超えて延在する再分配層312によって集積チップ302に結合されてもよい。一実施形態では、再分配層312により、アンテナ308をボンディング構造310の外側(すなわち、IC302に対してボンディング構造の半径方向外側)に移動させることができ、それにより、位置的に分離されるべき異なるアンテナ(例えば、アンテナ308aと308b)を可能にするのに十分な大きさのパッケージを提供する。アンテナ308の位置的分離は、アンテナ間のクロストークを低減し、および/または互いの間の位置的分離を持たないアンテナよりも改善された放射特性を提供することができる。)

(3)FIG. 3a (図3a)


(4)上記(1)から(3)の記載事項から、甲第7号証には以下の技術事項が開示されている。

「無線周波数(RF)通信装置に用いる半導体モジュール300において、集積チップ302の異なる側に複数の集積アンテナ308を配置する」という技術事項。


7 甲第8号証

甲第8号証(米国特許出願公開第2013/0015563号明細書)には、以下の記載がある。(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「[0003] The present invention relates to a semiconductor package, and more particularly, to a semiconductor package including an antenna embedded in an inner portion thereof.」

(当審仮訳:[0003] 本発明は半導体パッケージ、特にアンテナが内部に埋め込まれた半導体パッケージに関するものである。)

(2)「[0045] The sealing part 20 may provided in a form in which it encloses both the semiconductor chip 10 and a main antenna 42 to be described below therein to thereby seal the semiconductor chip 10 and the main antenna 42.(中略)
[0046] As a method for forming the sealing part 20, a molding method may be used. In this case, an epoxy mold compound (EMC) may be used as a material of the sealing part 20. However, the present invention is not limited thereto. That is, various methods such as a printing method, a spin coating method, a jetting method, and the like, may be used for forming the sealing part 20 as needed.
(中略)
[0053] Meanwhile, the auxiliary antenna 45 is not electrically connected to the semiconductor chip 10 or the main antenna 42 and is paired with the main antenna 42 to thereby operate as a coupled antenna.」

(当審仮訳:[0045] 封止部20は以下に示すように半導体チップ10と主アンテナ42の両方を取り囲むように形成され、これにより半導体チップ10と主アンテナ42を封止する。(中略)
[0046] 封止部20の形成方法として成形法を用いることができる。この場合、封止部20の材料としてエポキシ成形材料(EMC)を用いてもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されない。すなわち、印刷方式、スピンコーティング方式、噴射方式など様々な方式が必要に応じて用いられる。
(中略)
[0053] 一方、補助アンテナ45は導体チップ10や主アンテナ42とは電気的に接続されておらず、主アンテナ42と組み合わされ、結合アンテナとして作用する。)

(3)「[0073] First, a semiconductor package 200 according to the present embodiment shown in FIG. 6 may have a similar configuration to that of the semiconductor package 100 (See FIG. 2) according to the above-mentioned embodiment and may be different therefrom in that a shielding film 50 as well as an auxiliary antenna 45 are formed on an outer surface, that is, an upper surface, of a sealing part 20.
(中略)
[0075] In addition, the shielding film 50, which is a metal plating layer, may be disposed in the vicinity of the auxiliary antenna 45 so that the auxiliary antenna 45 is disposed in an inner portion thereof. In the case of the present embodiment, the shielding film 50 may be formed in a form in which it covers the entire upper surface of the sealing part 20 except for a portion at which the auxiliary antenna 45 is formed.」

(当審仮訳:[0073] 最初に、図6に示す実施例である半導体パッケージ200は図2の半導体パッケージ100と類似の形状を有しており、遮蔽フィルム50と補助アンテナ45が封止部20の外面、すなわち上面に形成されている点で異なっている。
(中略)
[0075] また、補助アンテナ45が内部に配置されるように金属めっき層である遮蔽フィルム50を補助アンテナ近傍に配置してもよい。本実施例の場合、遮蔽フィルム50は、補助アンテナ45が形成される部分を除いて、封止部20の上面全体を覆うように形成されてもよい。)

(4)「[0083] Further, a semiconductor package 600 shown in FIG. 10 shows a case in which an outwardly protruding protrusion part 27 is formed on an outer surface, that is, an upper surface, of a sealing part 20, and an auxiliary antenna 45 is formed on an upper surface of the protrusion part 27 by way of example. Furthermore, a semiconductor package 700 shown in FIG. 11 shows a case in which a shielding film 50 is formed on an outer portion of the protrusion part 27 in the semiconductor package 600 of FIG. 10 by way of example.」

(当審仮訳:[0083] さらに、図10に示す半導体パッケージ600は、外側に突出した突出部27が封止部20の外面、すなわち上面に形成され、補助アンテナ45が突出部27の上面に形成された場合を例として示している。さらにまた、図11に示す半導体パッケージ700は、図10に示す半導体パッケージ600において、遮蔽フィルム50が突出部27の外側に形成された例である。)

(5)FIG. 10(図10)


(6)FIG. 11(図11)



8 甲第9号証

甲第9号証(特開2005-236534号公報)には、以下の記載がある。(下線は、当審にて付与したものである。)。

(1)「【0039】
図6は、表面実装用のチップアンテナ1を回路基板20に搭載した状態を示し、図7は、このチップアンテナ1を展開した状態を示し、図の左側より順に、下側主面、左側面、上側主面、右側面を示す。」

(2)「【0042】
図7に示すように、回路基板20の給電線23に接続する給電電極6は、誘電体基材4の左側面から上側主面に配し、ギャップ8を介して主放射電極2の一端に接続される。尚、ギャップ8は、側面、或いは上側主面の何れに形成しても良い。
上側主面の主放射電極2はミアンダ状に形成されており、右側面において複数の短絡電極5を介して回路基板20の地導体21に接続される。この電極構造は図4のものと類似している。
【0043】
主放射電極2が短絡電極5に接続される部分は、アンテナに流れる電流が大きいため電位の低い領域(すなわち、低電位部2b)となり、給電電極6に近い部分は電位の高い領域(すなわち、高電位部2a)となっている。
また、左側面には、上記給電電極6の他に複数の接地電極3を配し、各々を回路基板20の地導体21に接続する。これにより、上側主面の主放射電極(高電位部2a)は、左側面に配した複数の接地電極3と右側面に配した主放射電極(低電位部2b)で挟み込まれた形となっており、電磁気的にシールドされた状態となっている。このように、主放射電極2の近傍に接地電極3を断続的に配してもシールド効果は得られる。
尚、下側主面側については、上記各電極に対応した表面実装用の半田付端子12のみを配置している。」

(3)上記(1)と(2)の記載事項から、甲第9号証には以下の構成を有する表面実装用のチップアンテナが開示されている。

「一方端に給電電極6を設け、他方端に短絡電極5を設けた構成の表面実装用のチップアンテナ1。」


第6 当審の判断

1 本件発明1について

(1)甲1発明との対比・判断

ア 対比

本件発明1と甲1発明とを対比する。

(ア)甲1発明は、「RF回路3」や「アンテナ素子4」を有する「無線通信等に好適な高周波モジュール」であり、「RF回路3」や「アンテナ素子4」は、「上面」(本件発明1でいう『一方主面』に相当する。)と「裏面2a」(本件発明1でいう『他方主面』に相当する。)を有する「回路基板2」の「上面」に配設されるものである。
ここで、甲1発明の「回路基板2」における「RF回路3」が配置された領域を『無線領域』と称し、「アンテナ素子4」が配置された領域を『アンテナ領域』と称することは任意である。また、「RF回路3」が『無線機能部』を構成すること、「アンテナ素子4」が『アンテナ導体』を有することはいずれも自明である。
そうすると、甲1発明における、「高周波モジュール」、「回路基板2」、「RF回路3」、「アンテナ素子4」は、それぞれ、本件発明1でいう『アンテナ一体型無線モジュール』、『一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板』、『RF回路』、『アンテナ部』に相当し、また、本件発明1と甲1発明とは、『無線領域に配置され、前記基板の一方主面に設けられたRF回路を有する無線機能部』と、『アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部』とを備える点で共通する。

(イ)甲1発明では、「回路基板2にはRF回路3とアンテナ素子4との間に伝送線路が設けられており」、「前記伝送線路のうちアンテナ素子4側の第2伝送線路9は、回路基板2の上面から第2のビアホール10を介して裏面2a側へ導出されており、第2伝送線路9の先端部9aも半田接続ランドとして形成されて」いることから、甲1発明における「先端部9a」は、本件発明1でいう『基板の他方主面』に設けられた『アンテナ部と接続されたアンテナ電極』に相当する。

(ウ)甲1発明では、「回路基板2にはRF回路3とアンテナ素子4との間に伝送線路が設けられており」、「前記伝送線路のうちRF回路3側の第1伝送線路7は、回路基板2の上面から第1のビアホール8を介して裏面2a側へ導出されており、第1伝送線路7の先端部7aは半田接続ランドとして形成されて」いることから、甲1発明における「先端部7a」は、本件発明1でいう『基板の他方主面』に設けられた『無線機能部と接続された信号電極』に相当する。

(エ)甲1発明の「高周波モジュール1」は、「マザーボード20への実装時に、マザーボード20上に伝送線路橋絡用の半田接続ランドとして設けられている橋絡用接続ランド22に第1および第2伝送線路7,9の先端部7a,9aが半田付けされた段階で、第1伝送線路7と第2伝送線路9とが接続されるようになって」おり、「先端部7a」と「先端部9a」とが「マザーボード20」上の「橋絡用接続ランド22」(本件発明1における『外部の配線パターン』に相当する。)により電気的に接続される構成となっている。
したがって、甲1発明の「高周波モジュール1」は、本件発明1でいう『前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成されている』という構成を備えるものであるといえる。


イ 一致点及び相違点

上記アで検討したことを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、

「一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板と、
前記無線領域に配置され、前記基板の一方主面またはその内部のいずれか一方に設けられたRF回路を有する無線機能部と、
アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部と、
を備え、
前記基板の他方主面に、前記アンテナ部と接続されたアンテナ電極と、前記無線機能部と接続された信号電極とが設けられ、
前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、
前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成されている
アンテナ一体型無線モジュール。」で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]

本件発明1は『少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層』であって、『前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている』『樹脂封止層』を備えるのに対し、甲1発明は『樹脂封止層』を備えていない点。


ウ 判断

上記イの相違点について検討する。
アンテナと電子部品から構成されるモジュールにおいて、電子部品を覆うように樹脂層を設けることが一般的であるとしても、アンテナも樹脂層で覆い、かつ、電子部品を覆う樹脂層の厚みよりも薄く形成することは、甲第3号証及び甲第4号証には記載されておらず、他の甲号証にも記載されていない。また、それが当業者にとって周知の技術事項であるとする合理的理由もない。
したがって、甲1発明に、『少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層』であって、『前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている』『樹脂封止層』を付加することは、当業者といえども、容易に想到し得たとすることはできない。


(2)甲2発明との対比・判断

ア 対比

本件発明1と甲2発明とを対比する。

(ア)甲2発明は、「モジュール回路基板M-PCB」の一方主面に配置された「モジュール回路RF-C」と「モジュールアンテナA_(M)」を有する「無線インターフェースを形成する小型高周波モジュール」である。
ここで、甲2発明の「モジュール回路基板M-PCB」における「モジュール回路RF-C」が配置された領域を『無線領域』と称し、「モジュールアンテナA_(M)」が配置された領域を『アンテナ領域』と称することは任意である。また、「モジュール回路RF-C」が『無線機能部』を構成すること、「モジュールアンテナA_(M)」が『アンテナ導体』を有することはいずれも自明である。
そうすると、甲2発明における、「小型高周波モジュール」、「モジュール回路基板M-PCB」、「モジュール回路RF-C」、「モジュールアンテナA_(M)」は、それぞれ、本件発明1でいう『アンテナ一体型無線モジュール』、『一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板』、『RF回路』、『アンテナ部』に相当し、また、本件発明1に係る発明と甲2発明とは、『無線領域に配置され、前記基板の一方主面に設けられたRF回路を有する無線機能部』と、『アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部』とを備える点で共通する。

(イ)甲2発明では、「1つのメタライズ孔MB」は「接点C_(3)」と「モジュール回路RF-C」が有する「アンテナポートAP」とを接続するものであり、この「接点C_(3)」は「モジュール回路基板M-PCB」の他方主面に配置されるものであるから、甲2発明における「接点C_(3)」は、本件発明1でいう『基板の他方主面』に設けられた『無線機能部と接続された信号電極』に相当する。

(ウ)甲2発明では、「別のメタライズ孔MB」は「接点C_(FL)」と「モジュールアンテナA_(M)」が有する「給電線FL」とを接続するものであり、この「接点C_(FL)」は「モジュール回路基板M-PCB」の他方主面に配置されるものであるから、甲2発明における「接点C_(FL)」は、本件発明1でいう『基板の他方主面』に設けられた『アンテナ部と接続されたアンテナ電極』に相当する。

(エ)甲2発明の「小型高周波モジュール」が有する「接点C_(3)」と「接点C_(FL)」は、「モジュール回路基板M-PCBが実装されたとき、ホスト回路基板H-PCB_(1)の導電性ブリッジCBによって接続される」ものであり、「小型高周波モジュール」は「接点C_(3)」と「接点C_(FL)」とが「ホスト回路基板H-PCB_(1)」上の「導電性ブリッジCB」(本件発明1における『外部の配線パターン』に相当する。)により接続される構成を有している。
したがって、甲2発明の「小型高周波モジュール」は、本件発明1でいう『前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成されている』という構成を備えるものであるといえる。


イ 一致点及び相違点

上記アで検討したことを踏まえると、本件発明1と甲2発明とは、

「一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板と、
前記無線領域に配置され、前記基板の一方主面またはその内部のいずれか一方に設けられたRF回路を有する無線機能部と、
アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部と、
を備え、
前記基板の他方主面に、前記アンテナ部と接続されたアンテナ電極と、前記無線機能部と接続された信号電極とが設けられ、
前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、
前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成されている
アンテナ一体型無線モジュール。」で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]

本件発明1は『少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層』であって、『前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている』『樹脂封止層』を備えるのに対し、甲2発明は『樹脂封止層』を備えていない点。


ウ 判断

上記イの相違点について検討する。
アンテナと電子部品から構成されるモジュールにおいて、電子部品を覆うように樹脂層を設けることが一般的であるとしても、アンテナも樹脂層で覆い、かつ、電子部品を覆う樹脂層の厚みよりも薄く形成することは、甲第3号証及び甲第4号証には記載されておらず、他の甲号証にも記載されていない。また、それが当業者にとって周知の技術事項であるとする合理的理由もない。
したがって、甲2発明に、『少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層』であって、『前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている』『樹脂封止層』を付加することは、当業者といえども、容易に想到し得たとすることはできない。


(3) 小活

以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明と同一ではなく、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及びその他の甲号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。


2 本件発明3,4,6?12について

本件発明3,4,6?12は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるので、本件発明1と同様の理由により、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及びその他の甲号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。


3 本件発明2,5について

本件発明2,5は削除された。


第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由

訂正前の請求項5?7,9,11に係る特許に対して、特許異議申立人横山純子が申し立てたが、当審が取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

(1)特許異議申立理由1
訂正前の請求項5に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証から容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当する。

(2)特許異議申立理由2
訂正前の請求項6に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証から容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当する。

(3)特許異議申立理由3
訂正前の請求項7に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第5号証から容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当する。

(4)特許異議申立理由4
訂正前の請求項9に係る発明は、甲第1号証及び甲第6号証から容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当する。

(5)特許異議申立理由5
訂正前の請求項11に係る発明は、甲第1号証及び甲第8号証から容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第113条第2号に該当する。


2 当審の判断

上記1の特許異議申立理由1から5についての当審の判断は次のとおりである

(1)特許異議申立理由1について
特許異議申立人横山純子は、訂正前の請求項5に係る発明に関し、特許異議申立書(第23?24頁)において「甲第4号証には、外的な容易によるアンテナ性能の劣化を防止するため、アンテナを基板内に設けることが開示されている。また、甲第3号証には、樹脂製の基材によって基板を形成することが開示されている。甲第4号証に記載のアンテナを覆う基板が樹脂製である場合、樹脂モールド4の側面が本件発明5の段差に相当し、当該段差の側面には金属膜5が設けられている。したがって、甲第1号証、甲第3号証および甲第4号証の記載の組み合わせることで、本件発明5、6、および8は進歩性を有しない。」(合議体注:「外的な容易」は「外的な要因」の誤記と認められる。)と主張している。
しかしながら、甲第4号証(特に、段落【0027】、【図1】)には「基板1の内層(内部側の層)」に「アンテナ」を「形成する」とともに、「アンテナ」以外の「電子部品7,8」等を封入する「樹脂モールド4」を「基板1」上に備える構成は開示されているものの、当該構成は、訂正前の請求項5でいう『基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層』が『前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている』との構成とは明らかに異なる構成である。
また、特許異議申立人横山純子が主張するように、甲第3号証の段落【0017】に「プリント基板」が「樹脂製の基材によって形成されている」ことが開示されていたとしても、甲第4号証に開示された「基板1の内層(内部側の層)」に「アンテナ2」を「形成する」との構成に代えて、「電子部品7,8」等を封入する「樹脂モールド4」の厚みよりも薄く形成した“樹脂モールド”で「アンテナ2」を覆う構成を採用したうえで甲1発明に適用する動機付けは見当たらない。
したがって、訂正前の請求項5に係る発明は、甲1発明、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、特許異議申立人横山純子の上記1(1)の主張を採用することはできない。

(2)特許異議申立理由2について
訂正前の請求項6に係る発明は、訂正前の請求項5の構成を備え、更に限定した構成を付加されたものであるから、上記(1)と同様の理由により、特許異議申立人横山純子の上記1(2)の主張を採用することはできない。

(3)特許異議申立理由3について
訂正前の請求項7に係る発明は、訂正前の請求項5又は請求項6の構成を備え、更に限定した構成を付加されたものであるから、上記(1)又は(2)と同様の理由により、特許異議申立人横山純子の上記1(3)の主張を採用することはできない。

(4)特許異議申立理由4について
訂正前の請求項9に係る発明は本件特許出願の優先権の基礎となる出願の1つである特願2013-156563号(優先日:2013年7月29日)に記載(特に段落【0041】、【0061】、【図1】)されている事項であり、優先権主張が認められる。
甲第6号証は、上記優先日より後の2014年1月30日に頒布され、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであるから、特許法第29条第2項の引用例として適格性を欠くものである。
したがって、特許異議申立人横山純子の上記1(4)の主張を採用することはできない。

(5)特許異議申立理由5について
特許異議申立人横山純子は、訂正前の請求項11に係る発明に関し、特許異議申立書(第25?26頁)において「甲第6号証には、樹脂封止層に相当する突出部27の側面にシールド層に相当するシールド膜50が形成されている。したがって、甲第1号証に甲第6号証を適用することは容易に想到し得る。」(合議体注:「甲第6号証」は「甲第8号証」の誤記と認められる。)と主張している。
甲第8号証には、「遮蔽フィルム50」が「封止部20の外面、すなわち上面に形成されている」こと(段落[0073])及び、「突出部27の外側に形成された」ものであること(段落[0083])は記載されているものの、ここでいう「突出部27の外側」とは、図11も参酌すると、「封止部20」「上面」の「突出部27」以外の部分を示していると解釈するのが自然であって、甲第8号証の上記記載等から“突出部27の側面にシールド膜50が形成されている”ことまで読み取ることはできない。
また、仮に特許異議申立人横山純子が主張するように、甲第8号証には“突出部27の側面にシールド膜50が形成されている”構成が開示されていたとして、「封止部20」によって封止された「半導体チップ10」や「主アンテナ42」とは電気的に接続されておらず、「主アンテナ42」と組み合わされ、結合アンテナとして作用する「補助アンテナ45」を形成した「突出部27」の構成を甲1発明に適用する動機付けは見当たらない。
したがって、訂正前の請求項11に係る発明は、甲1発明及び甲第8号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、特許異議申立人横山純子の上記1(5)の主張を採用することはできない。

第8 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によって、本件請求項1,3,4,6?12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1,3,4,6?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

請求項2,5に係る特許は、訂正により削除されたので、特許異議の申立てについて、請求項2,5に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方主面と他方主面とを有し、無線領域とアンテナ領域とを有する基板と、
前記無線領域に配置され、前記基板の一方主面またはその内部のいずれか一方に設けられたRF回路を有する無線機能部と、
アンテナ導体を有し、前記アンテナ領域に配置されるアンテナ部と、
少なくとも前記無線領域の前記基板の一方主面側を被覆するように前記基板の一方主面に設けられた樹脂封止層と、
を備え、
前記基板の他方主面に、前記アンテナ部と接続されたアンテナ電極と、前記無線機能部と接続された信号電極とが設けられ、
前記アンテナ部と前記無線機能部とは電気的に接続されておらず、
前記アンテナ電極と前記信号電極とは、外部の配線パターンにより接続可能に構成され、
前記樹脂封止層の前記アンテナ領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みが、前記無線領域と前記基板の一方主面側からの平面視で重なる部分の厚みよりも薄く形成され、前記無線領域と前記アンテナ領域との間の前記樹脂封止層に段差が形成されている
ことを特徴とするアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
少なくとも前記アンテナ領域の直上部分を被覆しないようにして前記樹脂封止層の表面に形成されたシールド層を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項4】
前記シールド層は、前記樹脂封止層の上面において、前記無線領域に前記基板の一方主面側からの平面視で重なる領域にのみ形成されていることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記シールド層は、前記樹脂封止層の前記段差の側面にも延出して形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項7】
前記樹脂封止層に、前記段差の側面に沿って前記基板の一方主面に近接または到達する溝が形成され、前記シールド層は、前記溝の内側面に延出して形成されていることを特徴とする請求項3,4,6のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項8】
前記無線領域を囲む前記樹脂封止層の側面に前記シールド層が延出して形成されていることを特徴とする請求項3,4,6,7のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項9】
前記アンテナ領域側の前記樹脂封止層の上面に、所定の認識マークが形成されていることを特徴とする請求項1,3,4,6?8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項10】
複数の前記アンテナ領域が、前記無線領域を挟むように前記基板に設けられ、前記各アンテナ領域それぞれにおいて、前記基板の一方主面およびその内部の少なくともいずれか一方に前記アンテナ導体がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1,3,4,6?9のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項11】
前記アンテナ領域を囲む前記樹脂封止層の側面の少なくとも一部に前記シールド層がさらに形成されていることを特徴とする請求項3,4,6?8のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。
【請求項12】
前記アンテナ電極は、前記アンテナ導体の一方端と接続された一方端用アンテナ電極と、前記アンテナ導体の他方端と接続された他方端用アンテナ電極とを備えることを特徴とする請求項1,3,4,6?11のいずれかに記載のアンテナ一体型無線モジュール。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-23 
出願番号 特願2017-170894(P2017-170894)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H01Q)
P 1 651・ 121- YAA (H01Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 米倉 秀明  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 岡本 正紀
富澤 哲生
登録日 2019-03-08 
登録番号 特許第6489182号(P6489182)
権利者 株式会社村田製作所
発明の名称 アンテナ一体型無線モジュール  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 丸山 陽介  
代理人 梁瀬 右司  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 木村 公一  
代理人 丸山 陽介  
代理人 木村 公一  
代理人 梁瀬 右司  
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