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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1365375
審判番号 不服2019-14208  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-25 
確定日 2020-08-13 
事件の表示 特願2015-168241「インクジェットヘッド、および液体噴射記録装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日出願公開、特開2017- 43023〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月27日に特許出願されたものであって、平成31年2月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月16日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正書が提出され、令和1年8月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


第2 本願発明
特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成31年4月16日付けで提出された手続補正書により補正された、以下のとおりのものである。
「複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズルプレートと、
インクが充填されると共に前記ノズル孔に連通する複数のチャネルを有するアクチュエータプレートと、
前記ノズルプレートの前記インクが吐出される側の吐出面に設けられ、前記ノズル孔に対応する位置に、該ノズル孔に連通する貫通孔が形成されている保護プレートと、
を備え、
前記ノズルプレートの前記アクチュエータプレートとの接合面を避けた位置の一部には、前記ノズルプレートの前記吐出面とは反対側の背面に、前記保護プレートを露出させる露出部が設けられ、
前記保護プレートは、前記露出部を介して電気的に接地されていることを特徴とするインクジェットヘッド。」


第3 原査定における拒絶の理由
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1-3,6
・引用文献等1

・請求項4-5
・引用文献等1-2

<引用文献等一覧>
1.特開2007-210123号公報
2.特開平11-34324号公報


第4 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前の平成19年8月23日に、頒布された特開2007-210123号公報には、次の事項が記載されていると認められる。(下線は当審で付した。)
1 「【背景技術】
【0002】
従来のインクジェットヘッドの主要部の断面を図9示す。このインクジェットヘッド2aの先端部にはノズルプレート4が取り付けられている。このノズルプレート4にノズル5がインク室6に対応して形成されている。アクチュエータ9の電極10に駆動電源から電流が供給されるとアクチュエータ9が動作し、ノズル5からインクが吐出される。また、ノズル5から吐出されるインクが通過可能なようにノズル5の近傍に開口部が形成されたプレート7がノズルプレート4に当接されている。このプレート7は、ノズル5から滲み出したインクによってインクジエット2aの先端部が汚染されるのを防止するために設けられたものであり、例えば、特許文献1に開示されている。」
2 「【0005】
そこで本発明の目的は、上記したような問題点を解決するためにノズル近傍のインクによる汚染を防止するとともに、パージを繰り返しても、駆動ICの異常温度上昇やその温度上昇による駆動ICの破壊を引き起こすことがないインクジェットヘッドの駆動ICの保護機構を供することである。」
3 「【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドユニットについて図1乃至図6を用いて説明する。図1にインクジェットヘッドユニット1を示す。このインクジェットヘッドユニット1の底面に設けられているベースプレート11にインクジェットヘッド2とインクジェットヘッド2を駆動する駆動電源40(図8参照)を含む制御回路基板3が取り付けられている。なお、インクジェットヘッド2の構造について図9に示した従来のインクジエトヘッド2aと同一部分は同一符号を付しその詳細な説明を省略する。ノズルプレート4には、インクを吐出するための複数のノズル5が圧力室となるインク室6に対応して所定のピッチで形成されている。
【0009】
また、ノズルプレート4には、ノズル5から吐出されるインクが通過可能なようにノズル5の近傍に長尺状の開口部16が形成されたプレート7がノズルプレート4に接着剤51(図3参照)によって貼り付けられている。接着以外の手段、例えば、インクジェットヘッド2の側面に固定金具を取り付けて(図示しない)、固定金具とプレート7の間にスプリングを介在させて機械的な圧力を加えてプレート7をノズルプレートに当接させてもよい。プレート7は、図1に示すようにノズルプレート4の面全体と平面的に嵌合する船底部を有する形状をしており、例えば厚みが0.1mmの板材で形成されている。なお、ノズルプレート4は、その表面が印字動作の休止期間にクリーニングされるとき、表面に塗布されている撥インク層がクリーニングブレードの摺動圧力によって剥離されない程度の段差を有し、かつ、ノズルプレート4にはみ出したインクがインクジェットヘッド2の側面に這い上がらない程度の厚みを有している。
【0010】
また、インク室6(図3参照)にインクを供給するインク供給管18が蓋体19の所定の位置に取り付けられている。制御回路基板3には、インクジェットヘッド2を駆動する駆動電源40(図8参照)を含む制御回路とその制御回路の一部を構成しアクチュエータ9を動作させる駆動IC20が搭載されている。また、制御回路基板3には、外部のコントローラ(図示しない)から駆動電源や駆動制御信号が供給される接続ケーブル21が設けられている。また、アクチュエータ9に形成されている電極10(図3参照)を外部へ接続する電極端子(図示しない)と制御回路基板3に搭載されている駆動IC20の電極が、フレキシブルPC板で電気的に接続されている。なお、図2は上記したプレート7をノズルプレート4に取付けた状態の正面図である。
【0011】
ここで、本発明に至る前に、インクジェットヘッド2aの動作試験を行い、その際に見いだした問題点・課題について図7と図8を用いて説明する。図7は、インクジェットヘッド2aのノズル5を下向きに配置した場合の図である。インクジェットヘッド2aを動作させて繰り返し動作試験を行った。しばらく動作させないとノズル5の近傍のインクは、溶媒が蒸発し増粘現象を起こす。その結果ノズル内の流体抵抗が高くなりインクが吐出しなくなる。そこで、図7に示すようにインク供給路に圧力を加えてノズル5近傍のインクを強制的に排出させて増粘したインクを除去するためにパージを繰り返し行った。図7は、パージによってノズル近傍のインクが排出された盛り上がり部分30を示す。このようなパージを頻繁に行ったところ、制御回路基板3に搭載されている駆動IC20の表面が異常に熱くなっていることが見いだされた。この状態でパージを繰り返すと駆動IC20が発熱のために破壊されるおそれがあることがわかった。
【0012】
本実験を行った結果について以下の検討を行った。本実験に使用したインクの体積抵抗が105Ωcm程度と比較的低かったために、パージの際にアクチュエータ9に電圧が加わっていると駆動電源40から電流が駆動IC20を経由して接地25に流れることすることが判明した。この電流はプレート7とノズルプレート4との段差部分に溜まって盛り上がったインク30を介して流れていることがわかった。
【0013】
さらに、この現象の解析したところ、パージの際に図8の等価回路に示すような電流経路が形成されることがわかった。本来、アクチュエータ9を駆動する時に駆動電源40から供給される駆動電流はIzであるが、パージする際にアクチュエータ9に電圧が加わっているとインク(抵抗Ri)を介してプレート7(抵抗Rm)に電流が流れる。この電流をImとすると駆動IC20に流れる電流Ipは、Iz+Imとなる。この場合、インクの体積抵抗が小さくかつプレート7の抵抗値が小さいと、電流Imが増加し、駆動IC20に流れる電流Ipが増加する。
【0014】
なお、上記した現象は電極10が絶縁層によって被膜されていてもピンホールなどの欠陥がある場合は、ピンホールを経由して電流が流れるため同様な現象が起こりうる。
【0015】
次に上記したようにパージする際に起こる現象を防止するために行った本発明の実施例について説明する。
【0016】
[実施例1]
本発明の第1の実施例について図3を参照して説明する。図3は図2のA-A線に沿った断面図であり、実施例1に係るインクジェットヘッド2bのノズル5付近を示す。図3において、図9と同一部分には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。プレート7はSUS板、ニッケル板、アルミ板や真鍮板などの導電性を有する金属板によって形成され、抵抗器33を介して接地されている。抵抗器33は、インクの体積抵抗の10から1000倍程度のものを用いる。抵抗器33の抵抗値は、駆動IC20の消費電力や発熱量から決定すればよい。このようにプレート7と接地25の間に抵抗器33を設けたことで、プレート7が被印刷物と触れたりすることで帯電しても抵抗器33を介して放電するので電流が制限され駆動IC20の破壊が防止できる。
【0017】
また、導電性を有するインクを用いた場合に、パージの際にノズル5近傍にはみ出したインクを介して電極10とプレート7が導通しても、抵抗器33によって接地25に流れる電流が制限されるため、駆動ICの消費電力の増大、発熱量の増大、それらの増大による故障を防ぐことができる。なお、抵抗器33の実装は、ディスクリート部品を用いても、インクジェットヘッド2の一部に厚膜抵抗を印刷するなどの方法を採用してもよい。」
4 「


5 図2及び図3より、ノズル5を有するノズルプレート4と、インクが充填されると共にノズル5に連通する圧力室となるインク室6を有するアクチュエータ9と、ノズルプレート4のインクが吐出される側の吐出面に設けられ、前記吐出面には、ノズル5に対応する位置に、ノズル5に連通する開口部16が形成されているプレート7と、を備えたインクジェットヘッド2であって、プレート7は、インクが吐出される側の吐出面の屈曲した先の部分を介して電気的に接地されていることが看取できる。
そして、複数のノズル5に対応して圧力室となるインク室6も複数設けられていることは明らかである。
6 上記1【0009】の「プレート7は、ノズルプレート4の面全体と平面的に嵌合する船底部を有する形状をしており」との記載に照らせば、図3より、プレート7のインクが吐出される側の吐出面とは反対側の背面の屈曲した先の部分には、ノズルプレート4が設けられていない、プレート7を露出させる部分が看取できる。

上記記載事項1乃至6から、引用文献には次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明」という。)
「複数のノズル5を有するノズルプレート4と、インクが充填されると共に複数のノズル5に連通する圧力室となる複数のインク室6を有するアクチュエータ9と、ノズルプレート4のインクが吐出される側の吐出面に設けられ、ノズル5に対応する位置に、ノズル5に連通する開口部16が形成されているプレート7と、を備え、
プレート7のインクが吐出される側の吐出面とは反対側の背面の屈曲した先の部分には、ノズルプレート4が設けられていない、プレート7を露出させる部分が設けられ、
プレート7のインクが吐出される側の吐出面の屈曲した先の部分から接地されている、インクジェットヘッド2。」


第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
後者の「複数のノズル5」、「ノズルプレート4」、「インクが充填されると共に複数のノズル5に連通する圧力室となる複数のインク室6」、「アクチュエータ9」、「ノズルプレート4のインクが吐出される側の吐出面に設けられ、ノズル5に対応する位置に、ノズル5に連通する開口部16が形成されているプレート7」、「プレート7を露出させる部分」及び「プレート7の屈曲した先の部分から接地されている」は、それぞれ、前者の「複数のノズル孔からなるノズル列」、「ノズルプレート」、「インクが充填されると共にノズル孔に連通する複数のチャネル」、「アクチュエータプレート」、「ノズルプレートのインクが吐出される側の吐出面に設けられ、ノズル孔に対応する位置に、該ノズル孔に連通する貫通孔が形成されている保護プレート」、「保護プレートを露出させる露出部」及び「『保護プレート』は、『電気的に接地されている』」に相当する。
ここで、本願発明の「ノズルプレートのアクチュエータプレートとの接合面を避けた位置の一部には、前記ノズルプレートの吐出面とは反対側の背面に、前記保護プレートを露出させる露出部が設けられ」との特定事項における「露出部」が「ノズルプレート」の一部を指すものなのか、それとも、「保護プレート」の一部を指すものなのか、が定かでなく、よって、前記特定事項の構成が特定できないところ、願書に添付した明細書には、「【0061】 このように、各プレート43,61,62を形成することにより、これらプレート43,61,62を重ね合わせた際に長手方向両端に段差が形成される。すなわち、ノズルプレート43を背面43d側からみると、補強プレート62の長手方向端からそれぞれノズルプレート43の長手方向両端が露出しており、さらに、ノズルプレート43の長手方向両端からそれぞれ保護プレート61の長手方向両端が露出する。換言すれば、ノズルプレート43の背面43dには、長手方向両端に、保護プレート61が露出する露出部44が設けられている。」と記載されていることから、本願発明の「ノズルプレートのアクチュエータプレートとの接合面を避けた位置の一部には、前記ノズルプレートの吐出面とは反対側の背面に、前記保護プレートを露出させる露出部が設けられ」とは、“保護プレート61の吐出面とは反対側であって、ノズルプレート43が設けられていない部分が露出されていること”、との意味に解され、本願発明の「露出部」とは、“保護プレート61の吐出面とは反対側であって、ノズルプレート43が設けられていない露出した部分”と解される。
そうすると、後者の「プレート7を露出させる部分」は、プレート7のインクが吐出される側の吐出面とは反対側の背面の屈曲した先の部分で、ノズルプレート4が設けられていない部分であるから、後者の「プレート7を露出させる部分」は、前者の「露出部」に相当し、前者の「インクジェットヘッド」と後者の「インクジェットヘッド2」とは、「ノズルプレートのアクチュエータプレートとの接合面を避けた位置の一部には、前記ノズルプレートの吐出面とは反対側の背面に、前記保護プレートを露出させる露出部が設けられ」たとの概念で共通する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズルプレートと、
インクが充填されると共に前記ノズル孔に連通する複数のチャネルを有するアクチュエータプレートと、
前記ノズルプレートの前記インクが吐出される側の吐出面に設けられ、前記ノズル孔に対応する位置に、該ノズル孔に連通する貫通孔が形成されている保護プレートと、
を備え、
前記ノズルプレートの前記アクチュエータプレートとの接合面を避けた位置の一部には、前記ノズルプレートの前記吐出面とは反対側の背面に、前記保護プレートを露出させる露出部が設けられ、
前記保護プレートは、電気的に接地されているインクジェットヘッド。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
保護プレートが電気的に接地されているのが、本願発明は、「露出部を介して」いるのに対し、引用発明は、プレート7のインクが吐出される側の吐出面の屈曲した先の部分である点。

第6 判断
上記相違点について、以下に検討する。
インクジェットヘッドにおいて、インクの飛翔特性(飛翔距離、着弾精度等)の関係から、ノズルプレートもしくはノズルプレートの表面に設けられた保護プレートと、被記録媒体とは、至極近距離に設定され、ノズルプレートもしくはノズルプレートの表面に設けられた保護プレートの表面に接地するための接点を設けると、該接点と被記録媒体とが干渉してしまうことは技術常識といえる事項である。
そして、上記第4 4 図3 より、引用発明のプレート7が接地されている部分は、インクが吐出される側の吐出面であっても、屈曲した先の部分であって、被記録媒体と干渉しない部分とされていることが理解できる。
そうすると、引用発明において、プレート7の接地する部分は、被記録媒体と干渉しない部分であれば事足り、その部分を、いずれの部分とするかは、設計に際し、当業者が適宜選択し得る事項といえる。
してみると、引用発明において、プレート7の接地する部分を、被記録媒体と対向しない露出された部分とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
してみると、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明において、当業者が適宜なし得る程度のことである。

審判請求人は、
「引用文献1には、「ノズル5から滲み出したインクによってインクジェット2aの先端部が汚染されるのを防止するために設けられる」(段落[0002]参照)プレート7がノズルプレート4を覆うことについては記載されているが、ノズルプレート4よりも大きく露出部を形成するようにプレート7を設けることについては、記載されていない。プレート7を大きくすることは、インクジェットヘッドの大型化につながるため、明確な動機がない限り行われないものと思料する。」
と主張する。
しかし、引用文献に「プレート7は、図1に示すようにノズルプレート4の面全体と平面的に嵌合する船底部を有する形状をしており」との記載(上記第4 3参照。)されていることからすれば、プレート7のノズルプレート4が嵌合していない屈曲した先の部分が露出していることは明らかである。
また、審判請求人は、
「仮に本願発明に対応する構成が、引用文献1の図面から認識できたとしても、「ノズル5から滲み出したインクによってインクジェット2aの先端部が汚染されるのを防止するために設けられる」(段落[0002]参照)という課題があるにも関わらず、引用文献1の図3,図9を参照すると、プレート7の前面を介して電気的に接地されていることが見て取れる。当該構成では、「接地させる箇所(ノズルプレートの背面側に保護プレートが露出している箇所)にインクが万遍なく付着してしまうこともないので、アクチュエータプレートを駆動させる際にショートすることもない。このため、インクジェットヘッドの動作を安定させることができると共に、部品点数の増加を抑え、インクジェットヘッドを小型化できる。」(本願明細書の段落[0012]参照)との作用効果を奏することができず、本願発明の課題を解決することができないため、この引用文献1における図3,図9の記載は、本願発明に対する「阻害要因」であると思料する。」
と主張する。
しかし、上述のとおり、引用発明において、プレート7は、インクによる汚染を防止するために設けたものであることから、引用発明に、インクの付着による弊害を防止する課題が内在しているといえる。
そして、引用発明の電気的な接地は、プレート7の屈曲した先の部分から接地されているのであるから、プレート7のインク吐出面に比べて、吐出されたインクが付着する虞が少ないことは明らかである。
そうすると、引用発明において、プレート7から電気的な接地を取るにあたって、露出部を選択することに、阻害要因があるとはいえない。
よって、上記審判請求人の主張は採用できない。

そして、本願発明によって奏される効果も、引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものといえる。

したがって、本願発明は、引用発明より、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-06-15 
結審通知日 2020-06-16 
審決日 2020-06-29 
出願番号 特願2015-168241(P2015-168241)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村石 桂一  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 畑井 順一
藤本 義仁
発明の名称 インクジェットヘッド、および液体噴射記録装置  
代理人 特許業務法人つばさ国際特許事務所  

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