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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1366073
異議申立番号 異議2019-700161  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-27 
確定日 2020-07-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6381715号発明「提供装置、提供方法、提供プログラム、決定装置、決定方法、及び決定プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6381715号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項〔1?10〕、11、12、〔13、14〕、15、16について訂正することを認める。 特許第6381715号の請求項1?8、11?16に係る特許を取り消す。 特許第6381715号の請求項9及び10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6381715号の請求項1?16に係る特許についての出願は、平成29年3月13日に出願され、平成30年8月10日にその特許権の設定登録がされ、同年同月29日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
平成31年 2月27日 : 特許異議申立人遠藤 眞理子(以下、「申立人」という。)による請求項1?16に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 元年 6月11日付け: 取消理由通知書
令和 元年 8月 9日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 元年11月 1日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和 元年12月27日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 2年 1月14日付け: 手続補正指令書(方式)
令和 2年 2月17日 : 手続補正書
令和 2年 3月 6日付け: 申立人に対する訂正請求があった旨の通知

2 訂正の適否
(1)訂正の内容
令和2年2月17日提出の手続補正書による補正後の令和元年12月27日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正請求」という。)の内容は、次のとおりである。
なお、令和元年8月9日提出の訂正請求書による訂正は、本件訂正請求により取り下げられたものと見なされる。(以下、この訂正を「みなし取下げとなった訂正請求」という。)

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、以下の事項により特定されるとおりに訂正する。(請求項1を引用する請求項2?8も同様に訂正する。)

「【請求項1】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供部と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部と、
を備え、
前記決定部は、
前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定し、
前記提供部は、
前記決定部により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供することを特徴とする提供装置。」

(「【請求項2】
前記取得部は、
前記ユーザが利用する端末装置により検知されるセンサ情報により捕捉される前記ユーザの当該移動手段の利用に応じて、当該事業者に課金が発生する前記スポンサードルートに関する前記スポンサードルート情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記提供部は、
前記複数の移動手段とは異なる表示態様により表示される前記スポンサードルート含む前記一覧情報を、前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の提供装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記端末装置から移動区間の検索クエリを取得し、
前記提供部は、
前記検索クエリに対応する前記移動区間の前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の提供装置。
【請求項5】
前記提供部は、
前記スポンサードルートが前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群に関する所定の条件を満たす場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項4に記載の提供装置。
【請求項6】
前記提供部は、
前記検索クエリにより抽出される移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項5に記載の提供装置。
【請求項7】
前記提供部は、
前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群のうち、所定の順位以内の移動手段を含む部分移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項6に記載の提供装置。
【請求項8】
前記提供部は、
前記移動区間に関して前記事業者により入札された入札移動手段である前記スポンサードルート含む前記一覧情報を提供する
ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の提供装置。」)

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11を、以下の事項により特定されるとおりに訂正する。

「【請求項11】
コンピュータが実行する提供方法であって、
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供工程と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定工程と、
を含み、
前記決定工程は、
前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定し、
前記提供工程は、
前記決定工程により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供することを特徴とする提供方法。」

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項12を、以下の事項により特定されるとおりに訂正する。

「【請求項12】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供手順と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記決定手順は、
前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定し、
前記提供手順は、
前記決定手順により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供することを特徴とする提供プログラム。」

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項13を、以下の事項により特定されるとおりに訂正する。(請求項13を引用する請求項14も同様に訂正する。)

「【請求項13】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得部と、
前記取得部により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定し、前記スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部、
を備えたことを特徴とする決定装置。」

(「【請求項14】
前記取得部は、
前記ユーザが利用する端末装置により検知されるセンサ情報により捕捉される前記ユーザの当該移動手段の利用に応じて、当該事業者に課金が発生する前記スポンサードルートに関する前記スポンサードルート情報を取得する
ことを特徴とする請求項13に記載の決定装置。」)

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項15を、以下の事項により特定されるとおりに訂正する。

「【請求項15】
コンピュータが実行する決定方法であって、
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定し、前記スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定工程、
を含むことを特徴とする決定方法。」

ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16を、以下の事項により特定されるとおりに訂正する。

「【請求項16】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定し、前記スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とする決定プログラム。」

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1に係る請求項1とこれを引用する請求項2?8についての訂正は、「前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部」を備える旨、及び、この「決定部」が「前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定」するものであり、「提供部」が「前記決定部により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する」ものである旨を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許明細書の「例えば、提供装置100は、所定のスコアに基づいて、端末装置10に提供する入札移動手段を決定してもよい。例えば、事業者への課金が端末装置10に表示された入札移動手段をユーザが選択した場合に発生する場合、入札移動手段の選択率(いわゆるクリック率:Click Through Rate)と入札額とに基づいて算出されるスコアに基づいて、端末装置10に提供する入札移動手段を決定してもよい。入札移動手段の選択率と入札額とに基づいて算出されるスコア(指標値)、いわゆるeCPM(effective Cost Per Mille)と同様にスコアに基づいて、端末装置10に提供する入札移動手段を決定してもよい。」(段落【0039】)等の記載からみて、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項2
訂正事項2に係る請求項9についての訂正は、請求項の削除による特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項3
訂正事項3に係る請求項10についての訂正は、請求項の削除による特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ 訂正事項4
訂正事項4に係る請求項11についての訂正についても、アと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

オ 訂正事項5
訂正事項5に係る請求項12についての訂正についても、アと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

カ 訂正事項6
訂正事項6に係る請求項13とこれを引用する請求項14についての訂正についても、アと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

キ 訂正事項7
訂正事項7に係る請求項15についての訂正についても、アと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ク 訂正事項8
訂正事項8に係る請求項16についての訂正についても、アと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)小括
上記のとおり、訂正事項1ないし訂正事項8に係る訂正は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項〔1?10〕、11、12、〔13、14〕、15、16について訂正することを認める。

3 取消理由の概要
本件訂正請求による訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和元年6月11日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

請求項1?16に係る発明は、甲第1号証(特開2016-75490号公報)に記載された発明と甲第2号証(特開2015-10895号公報)に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

4 当審の判断
(1)訂正後の請求項1?16に係る発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1?16に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明16」という。)は、上記2(1)において示したとおりのものである。

(2)各甲号証の記載、引用発明
ア 甲第1号証の記載、引用発明
取消理由通知において引用した甲第1号証(特開2016-75490号公報)は、公開日が平成28年5月12日である公開特許公報であって、以下の事項が記載されている。(下線は、当審にて付与したものである。)

(ア)「【0011】
<広告出稿システム>
(広告出稿システムの第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る広告出稿システム1について説明する。本実施形態に係る広告出稿システム1は、モバイル端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等)やパソコン等の電子機器の使用者(以下、単に「ユーザ」ともいう。)に対して提示するための広告経路を出稿するシステムである。
【0012】
ここで、広告経路とは、広告対象の移動手段(以下、単に「広告移動手段」ともいう。)を利用する移動経路のことである。移動手段は、例えば、所定の鉄道会社の路線や特急列車、あるいは駅と空港を結ぶリムジンバス等である。
【0013】
なお、広告経路において、広告移動手段は全移動区間にわたって利用される場合に限らず、一部の移動区間に利用されるものも含む。例えば、A駅、B駅およびC駅をそれぞれ、出発駅、乗換駅および到着駅とする場合、A駅からB駅まで広告移動手段で移動し、B駅からC駅までは広告移動手段以外の移動手段で移動する場合も広告経路に含まれる。
【0014】
広告出稿システム1は、図1に示すように、出稿端末2と、サーバ3とを備えている。出稿端末2とサーバ3とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。ネットワークは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、出稿端末2、サーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0015】
出稿端末2は、広告経路を出稿するために出稿者(広告出稿情報入力者)が使用するものであり、例えば、デスクトップ型のパソコンである。なお、出稿端末2は、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末であってもよい。
【0016】
出稿端末2は、図1に示すように、通信部21と、制御部22と、入力部23と、出力部24とを有する。まず、出稿端末2の構成要素のうち、制御部22以外の構成要素、即ち、通信部21、入力部23および出力部24について説明する。」

(イ)「【0020】
次に、出稿端末2の制御部22について説明する。制御部22は、図1に示すように、出稿情報受付部221を有する。この出稿情報受付部221は、出稿端末2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0021】
出稿情報受付部221は、広告経路出力条件情報と、広告経路構成情報とを入力部23を介して出稿者から受付ける。
【0022】
ここで、広告経路出力条件情報は、広告経路を出力するための条件(広告経路の出力条件)を示す。モバイル端末等のユーザが経路探索を行う際に入力した探索条件(より正確には、探索条件から抽出されたマッチング条件(後述))が広告経路出力条件情報に合致する場合に、その広告経路出力条件情報に対応付けられた広告経路が出力されることになる。これについては、後ほど情報処理システム5の説明において詳しく述べる。
【0023】
広告経路出力条件情報は、例えば、出発地および目的地を示す情報である。その他、広告経路出力条件情報は、経由地(乗換駅)、使用路線、出発エリア(新宿エリア等)、目的エリア(東京・日本橋エリア等)、出発時刻、到着時刻を含んでもよい。」

(ウ)「【0029】
広告経路構成情報は、広告経路を構成するための情報である。この広告経路構成情報は、広告経路のノード、または経路探索部分条件を含む。
【0030】
広告経路のノードとは、広告経路を構成するノード(結節点)のことであり、例えば、広告経路の出発地、目的地、経由地(乗換駅)、広告移動手段の乗車地や降車地(駅、停留所等)である。
【0031】
経路探索部分条件とは、経路探索に必要な探索条件の一部である。この経路探索部分条件と、モバイル端末等のユーザが入力した探索条件(の少なくとも一部)とが合わさることで、時刻情報等を含む広告経路の経路探索が可能となる。この場合、経路探索部分条件とユーザが入力した探索条件とに基づく経路探索により広告経路が構成される。
【0032】
なお、広告経路構成情報には、出発時刻/到着時刻等の時刻情報は含まれない。」

(エ)「【0033】
次に、サーバ3について説明する。図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。制御部32について説明する前に、通信部31および記憶部33について説明する。
【0034】
通信部31は、ネットワークを介して出稿端末2と、サーバ3の制御部32との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0035】
記憶部33は、例えばハードディスク等の固定型データストレージであり、後述の出稿情報データベース331を有する。なお、記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられなくてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。」

(オ)「【0038】
出稿情報データベース331について図2を参照してより詳しく説明する。図2は、出稿情報データベース331の一例を示している。図2に示すように、出稿情報データベース331は、出稿者情報と、広告経路出力条件情報および広告経路構成情報を含む出稿情報とを有する。
【0039】
出稿者情報は、広告主、広告移動手段およびグループを含んでいる。図2の例では、広告主には、X交通、Y電鉄、Z電鉄がおり、X交通の広告移動手段はリムジンバスAであり、Y電鉄の広告移動手段はライナーBと特急Cであり、Z電鉄の広告移動手段はエクスプレスDである。」

(カ)「【0041】
出稿情報は、図2に示すように、広告経路出力条件情報、広告経路構成情報および広告単価を含んでいる。図2の例では、広告経路出力条件情報は、出発地、目的地、経由地(乗換駅)および使用路線を含む。なお、各出稿情報にはユニークな広告IDが割り当てられる。」

(キ)「【0047】
出稿情報の広告単価は、出稿者が設定可能である。なお、広告単価は、広告経路の表示回数当たりの単価(表示単価)でもよいし、あるいは広告経路の選択回数当たりの単価(クリック単価)でもよいし、あるいは実際にユーザが移動した回数や移動によって発生した運賃に応じて決められた単価(移動実績単価)でもよい。ここで、移動実績単価を設定する場合、移動による広告主の売り上げのうち所定の割合を設定するようにしてもよい。出稿者が広告単価を設定すると、データベース作成部321は、図2に示すように、広告経路構成情報と関連付けて広告単価を出稿情報データベース331に記憶させる。」

(ク)「【0071】
次に、上記の広告出稿システムで得られた出稿情報データベースを用いてユーザに広告経路を提示する情報処理システムについて説明する。
【0072】
<情報処理システム>
情報処理システム5は、図8に示すように、端末装置6と、サーバ7とを備えている。端末装置6とサーバ7とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。ネットワークは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置6、サーバ7の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0073】
サーバ7は広告出稿システム1、1Aのサーバ3とネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。あるいは、サーバ7はサーバ3と一体のサーバとして構成されてもよい。」

(ケ)「【0081】
探索条件取得部621は、経路探索用の探索条件を取得する。探索条件は、出発地および目的地のうち少なくともいずれか一方を含む。出発地や目的地は、鉄道の駅に限られず、任意の地点、例えば、バスの停留所、空港、港、自宅、会社、あるいは、GPSやWifi測位等の測位手段によって検出された現在位置などであってもよい。」

(コ)「【0087】
次に、サーバ7について説明する。図8に示すように、サーバ7は、通信部71と、制御部72と、記憶部73とを有する。制御部72について説明する前に、通信部71および記憶部73について説明する。
【0088】
通信部71は、ネットワークを介して端末装置6と、サーバ7の制御部72との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0089】
記憶部73は、例えばハードディスク等の固定型データストレージであり、後述の各種データベースを格納する。なお、記憶部73は、必ずしもサーバ7内に設けられなくてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0090】
記憶部73は、出稿情報データベース731と、経路ネットワークデータベース732とを有する。なお、出稿情報データベース731および経路ネットワークデータベース732は、同じ記憶装置に格納される場合に限られず、異なる記憶装置に別々に格納されてもよい。
【0091】
出稿情報データベース731は、前述の出稿情報データベース作成部321により作成されたデータベースであり、出稿情報データベース331と同じ内容のものである。
【0092】
経路ネットワークデータベース732は、経路探索用のデータベースであり、経路ネットワーク情報として、例えば地図情報、および交通ネットワーク情報を含む。地図情報は、全国または各地方の道路地図などの地図データを含み、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報(施設情報、注記情報、記号情報等)を含んでもよい。交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点(ノード)のデータと、結節点間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0093】
次に、サーバ7の制御部72について説明する。制御部72は、図8に示すように、マッチング条件取得部721と、広告経路構成情報取得部722と、経路探索部723とを有する。これら各部は、サーバ7内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。」

(サ)「【0098】
経路探索部723は、経路ネットワークデータベース732を参照して経路探索を実行することにより、探索条件を満たす1つまたは複数の移動経路を示す移動経路情報を求める。この移動経路情報は、例えば出発地から目的地までの移動手段や移動距離、所要時間、料金、乗換回数、出発時刻および到着時刻等の情報を含む。」

(シ)「【0102】
次に、図9を参照して、上記の構成を有する情報処理システム5の処理動作の一例について説明する。
【0103】
まず、端末装置6の探索条件取得部621が、経路探索用の探索条件を取得する(ステップS61)。そして、端末装置6の通信部61が当該探索条件をサーバ7に送信し(ステップS62)、サーバ7の通信部71が当該探索条件を受信する(ステップS71)。
【0104】
次に、サーバ7の経路探索部723が、端末装置6から受信した探索条件に基づいて経路探索を実行し、探索結果(移動経路情報)を出力する(ステップS72)。
【0105】
次に、サーバ7のマッチング条件取得部721がステップS72で出力された移動経路情報からマッチング条件を取得する(ステップS73)。即ち、マッチング条件取得部721は、移動経路情報を解析してマッチング条件を抽出する。
なお、本ステップにおいてマッチング条件取得部721は端末装置6から受信した探索条件からマッチング条件を取得してもよい。
【0106】
ステップS73において、マッチング条件取得部721は、例えば、使用路線:ライナーB、目的地:成田空港をマッチング条件として抽出する。
【0107】
次に、サーバ7の広告経路構成情報取得部722は、マッチング条件に基づいて前述の広告経路構成情報を取得する(ステップS74)。本ステップにより、例えば、[出発地]→最寄りリムジンバス停留所→(リムジンバスA移動)→成田空港という広告経路構成情報が取得される。
【0108】
なお、ステップS73においてマッチング条件を満たす出稿情報が複数存在した場合、本ステップS74において複数の広告経路構成情報が取得される。例えば、マッチング条件として出発地:東京駅、目的地:成田空港、経由地(乗換駅):上野駅が取得された場合、図2の出稿情報データベースによれば、広告IDがC-1-01、C-1-02およびC-3-13(目的地:成田空港、経由地(乗換駅):上野駅)」等の複数の広告経路出力条件がマッチング条件を満たす。このような場合は、広告経路構成情報取得部722は、それら全ての広告経路構成情報を出力してもよいし、あるいは、予め決められた順序(例えば広告単価の高い順、経路品質評価結果の高い順)に基づいて選択された一つまたは複数の広告経路構成情報を出力するようにしてもよい。また、広告経路構成情報取得部722は全ての広告経路構成情報を出力しておき、端末装置6の情報提示部622がサーバ7から受信した広告経路構成情報を取捨選択してユーザに提示するようにしてもよい。
【0109】
次に、サーバ7の経路探索部723は、広告経路構成情報取得部722により取得された広告経路構成情報および端末装置6から受信した探索条件に基づいて経路探索を行い、広告経路を構成する(ステップS75)。この広告経路は、出発時刻および到着時刻等の情報を含む。なお、広告経路構成情報を端末装置6のユーザにそのまま提示する場合には、本ステップは不要である。
【0110】
ここで、広告経路の構成方法について2つのケースを説明する。
【0111】
第1のケースは、広告主が広告出稿時に予め出稿情報データベースに登録しておいた広告経経路構成情報をそのまま広告経路とする場合である。具体的には、出発地:東京駅、目的地:成田空港、使用路線:リムジンバスA、所要時間:平均的な所要時間、料金:○○円といった移動経路情報を予め出稿情報データベースに登録しておく。この場合、サーバ7は登録された情報を出稿情報データベース731から読み出し、端末装置6で表示可能なようにデータを加工するだけである。
【0112】
第2のケースは、広告経路構成情報取得部722により広告経路構成情報が取得されるたびにサーバ7が経路探索を行って広告経路を構成する場合である。第1のケースと比べてサーバ7側で探索処理が実行されるため、処理負荷が増大し、ユーザへの応答時間が長くなることがある。しかし、第2のケースの場合は、時刻(出発時刻、到着時刻等)や、渋滞情報などのリアルタイム情報を考慮することが可能であるため、より正確な広告経路をユーザに提示することができる。
【0113】
次に、サーバ7の通信部71が広告経路とステップS72で得られた経路探索結果(即ち、通常候補経路)を端末装置6に送信し(ステップS76)、端末装置6の通信部61が広告経路と通常候補経路を受信する(ステップS63)。
【0114】
次に、端末装置6の情報提示部622が出力部64を介して広告経路と通常候補経路をユーザに提示する(ステップS64)。」

(ス)「【0116】
なお、広告経路が通常候補経路と一致する場合、情報提示部622は、ユーザが広告経路を認識し易くするために、広告経路を強調して提示してもよい。図12は、この場合における端末装置6の表示画面の一例である。この表示画面は、出発地がK駅、目的地がH駅、出発時刻が2014年7月2日10時23分の探索条件で経路探索を要求した場合の結果を示している。図13は、ユーザが図12の広告経路を選択(クリック等)した場合における広告経路の詳細を示している。
【0117】
図12に示すように、通常候補経路1?4のうち通常候補経路3が広告経路と一致しており、通常候補経路3を太線で囲って強調表示することで、広告経路であることを示している。また、広告移動手段の名称(この例ではライナーB)も表示して強調してもよい。広告移動手段が予約可能であれば、図12に示すように、予約サイトに接続するためのボタンTを表示してもよい。このボタンTには、「ネット予約できます」のようなメッセージを表示してもよい。」

【図12】


上記(ア)から(ス)の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明が開示されている。(以下、「引用発明」という。)

「インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続された端末装置6とサーバ7とを備えた情報処理システム5であって(【0072】)、
前記サーバ7は、広告出稿システム1のサーバ3とネットワークを介して通信可能に接続され、あるいは、前記サーバ3と一体のサーバとして構成され(【0073】)、

ここで、前記広告出稿システム1は、
モバイル端末やパソコン等の電子機器の使用者(以下、単に「ユーザ」ともいう。)に対して提示するための広告経路を出稿するシステムであって(【0011】)、
出稿端末2と、サーバ3とを備えており(【0014】)、
前記出稿端末2は、通信部21と、制御部22と、入力部23と、出力部24とを有し(【0016】)、前記制御部22は、出稿情報受付部221を有し(【0020】)、当該出稿情報受付部221は、広告経路出力条件情報と、広告経路構成情報とを入力部23を介して出稿者から受付けるものであり(【0021】)、前記広告経路出力条件情報は、広告経路を出力するための条件(広告経路の出力条件)を示し(【0022】)、例えば、出発地および目的地を示す情報であり(【0023】)、広告経路構成情報は、例えば、広告経路の出発地、目的地、経由地(乗換駅)、広告移動手段の乗車地や降車地(駅、停留所等)である広告経路のノード、または経路探索部分条件を含むものであり(【0029】【0030】)、
前記サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有し(【0033】)、前記記憶部33における出稿情報データベース331は、出稿者情報、広告経路出力条件情報、広告経路構成情報及び広告単価を含む出稿情報を有しており、出稿者情報に含まれる広告主には、例えば、X交通、Y電鉄、Z電鉄がおり(【0035】【0038】【0039】【0041】)、前記広告単価は、出稿者が設定可能であって、広告経路の表示回数当たりの単価(表示単価)で
もよく、出稿者が広告単価を設定すると、データベース作成部321は、広告経路構成情報と関連付けて広告単価を出稿情報データベース331に記憶させる(【0047】)、
広告出稿システム1であって、

前記情報処理システム5は、前記出稿情報データベース331を用いてユーザに広告経路を提示する情報処理システムであって(【0071】)、
前記サーバ7は、通信部71と、制御部72と、記憶部73とを有し(【0087】)、前記記憶部73は、出稿情報データベース731と、経路ネットワークデータベース732とを有し(【0090】)、前記出稿情報データベース731は、出稿情報データベース331と同じ内容のものであり(【0091】)、
前記制御部72は、マッチング条件取得部721と、広告経路構成情報取得部722と、経路探索部723とを有し(【0093】)、

情報処理システム5において経路探索が実行される際には、
まず、端末装置6の探索条件取得部621が、経路探索用の探索条件を取得し(ステップS61)、
次に、端末装置6の通信部61が当該探索条件をサーバ7に送信し(ステップS62)、ここで、前記探索条件は、出発地及び目的地を含み(【0081】)、
次に、サーバ7の経路探索部723が、端末装置6から受信した探索条件に基づいて経路探索を実行し、探索結果(移動経路情報)を出力し(ステップS72)(【0104】)、
次に、サーバ7のマッチング条件取得部721が、ステップS72で出力された移動経路情報からマッチング条件を取得し(ステップS73)、又は、マッチング条件取得部721が、端末装置6から受信した探索条件からマッチング条件を取得し(【0105】)、この移動経路情報は、例えば出発地から目的地までの移動手段や移動距離、所要時間、料金、乗換回数、出発時刻および到着時刻等の情報を含むものであり(【0098】)、
次に、サーバ7の広告経路構成情報取得部722は、マッチング条件に基づいて広告経路構成情報を取得し(ステップS74)(【0107】)、
次に、前記ステップS73においてマッチング条件を満たす出稿情報が複数存在した場合、ステップS74において複数の広告経路構成情報が取得され、予め決められた順序(例えば広告単価の高い順、経路品質評価結果の高い順)に基づいて選択された一つまたは複数の広告経路構成情報を出力するようにし(【0108】)、
ここで、広告経路の構成方法として、広告主が広告出稿時に予め出稿情報データベースに登録しておいた広告経路構成情報をそのまま広告経路とする場合があり(【0110】【0111】)、
次に、サーバ7の通信部71が広告経路とステップS72で得られた経路探索結果(即ち、通常候補経路)を端末装置6に送信すると(ステップS76)、端末装置6の情報提示部622が出力部64を介して広告経路と通常候補経路をユーザに提示し(ステップS64)(【0113】【0114】)、
ここで、広告経路が通常候補経路と一致する場合、情報提示部622は、ユーザが広告経路を認識し易くするために、広告経路を強調して提示してもよく(【0116】)、例えば、通常候補経路1?4のうち通常候補経路3が広告経路と一致しており、通常候補経路3を太線で囲って強調表示することで、広告経路であることを示す(【0117】)、
情報処理システム5。」

イ 甲第2号証の記載
甲第2号証(特開2015-10895号公報)は、公開日が平成27年1月19日である公開特許公報であって、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、複数の候補経路の中で、利用者が実際に選択した経路を把握することができる、選択経路データベース生成システム、端末装置、サーバ装置、選択経路データベース生成方法、および、プログラムを提供することを目的とする。」

(イ)「【0025】
[サーバ装置200の構成]
ここで、図1において、サーバ装置200は、端末装置100から送信される、経路探索条件を受信し、受信した経路探索条件に基づいて複数の候補経路を取得し、取得した複数の候補経路の情報を端末装置100に送信し、端末装置100から送信される、選択経路の情報を受信し、受信した選択経路の情報を記憶部206に格納する等の機能を有する。サーバ装置200は、通信制御インターフェース部204を介してネットワーク300を経由し、端末装置100等と相互に通信可能に接続されており、制御部202と記憶部206とを備える。」

(ウ)「【0040】
[端末装置100の構成]
また、図1において、端末装置100は、経路探索条件をサーバ装置200に送信し、サーバ装置200から送信される、経路探索条件に基づく複数の候補経路の情報を受信し、受信した複数の候補経路の情報に基づいて、複数の候補経路を出力部114に出力し、入力部116からの入力情報に基づいて、出力された複数の候補経路のうち、利用者が選択した選択経路を判定し、判定された選択経路の情報をサーバ装置200に送信する等の機能を有する。端末装置100は、例えば、一般に市販されるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、携帯電話やPHSやPDA等の携帯端末装置、および、走行経路案内等を行なうナビゲーション端末等である。ここで、端末装置100は、インターネットブラウザ等を搭載していてもよく、経路案内アプリケーションや乗換案内アプリケーション等を搭載していてもよい。また、端末装置100は、リアルタイムに現在位置取得が行えるよう、GPS機能やIMES機能等を有する位置取得部112を備えている。また、端末装置100は、出力部114と入力部116を備えている。ここで、出力部114は、経路探索結果に基づく表示案内データ等の表示画面を表示する表示手段(例えば、液晶や有機EL等から構成されるディスプレイやモニタ等)や、経路探索結果に基づく音声案内データ等を音声として出力する音声出力手段(例えば、スピーカ等)等である。また、入力部116は、経路探索条件の入力等を行う入力手段(例えば、キー入力部、タッチパネル、キーボード、マイク、利用者を撮像する撮像手段(インカメラなど)等)である。なお、後述する位置取得部112を「入力部」として用いてもよい。また、入出力制御インターフェース部108は、位置取得部112、出力部114、入力部116等の制御を行う。」

上記(ア)から(ウ)の記載事項から、甲第2号証には、以下の技術事項が開示されている。

「複数の候補経路の中で、利用者が実際に選択した経路を把握することができる、選択経路データベース生成システムにおいて(【0006】)、
サーバ装置200は、端末装置100から送信される、経路探索条件を受信し、受信した経路探索条件に基づいて複数の候補経路を取得し、取得した複数の候補経路の情報を端末装置100に送信し、端末装置100から送信される、選択経路の情報を受信し、受信した選択経路の情報を記憶部206に格納する等の機能を有し(【0025】)、
端末装置100は、複数の候補経路を出力部114に出力し、入力部116からの入力情報に基づいて、出力された複数の候補経路のうち、利用者が選択した選択経路を判定し、判定された選択経路の情報をサーバ装置200に送信する機能を有しており、また、端末装置100は、GPS機能やIMES機能等を有する位置取得部112を備え、当該位置取得部112を「入力部」として用いる(【0040】)。」との技術事項。

(3)本件発明1についての対比、判断
ア 本件発明1の「取得部」に関して
引用発明の『サーバ7』は、出稿者の出稿端末2から受け付けた『広告経路構成情報』を『広告経路』として『端末装置6』に送信し、『端末装置6』の『出力部64』を介して『ユーザ』に前記『広告経路』を提示するものであり、また、前記『広告経路構成情報』の出稿者である『広告主』としては、『X交通、Y電鉄、Z電鉄』が例示されているところ、引用発明における『X交通』等の『広告主』は、本件発明1の「所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者」(以下、単に「事業者」ともいう。)に相当する。
そして、引用発明の『広告経路構成情報』は、広告経路の出発地及び目的地のみならず、経由地(乗換駅)、広告移動手段の乗車地や降車地(駅、停留所等)である広告経路のノードを含むものであり、本件発明1の「移動手段」を示すものであるといえるから、「事業者」である引用発明の『広告主』が出稿端末2から登録した『広告経路構成情報』は、本件発明1の「所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段」に相当する。
さらに、引用発明の『出稿情報データベース732』において、『広告経路構成情報』に対応して登録された『広告単価』は、事業者の出稿に係る『広告経路の表示回数当たりの単価(表示単価)』であることから、引用発明において『ユーザ』に提示される『広告経路』としての『広告経路構成情報』は、本件発明1の「ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルート」に相当する。
なお、引用発明においては、『サーバ7』における『広告経路構成情報取得部722』が、前記『広告経路構成情報』を取得している。
したがって、引用発明の『サーバ7』における前記『広告経路構成情報取得部722』は、本件発明1の「所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得部」に相当する。

イ 本件発明1の「決定部」について
引用発明では、『サーバ7』の『広告経路構成情報取得部722』が、端末装置6から受信した『探索条件』による探索結果から取得されたマッチング条件に基づいて端末装置6に出力する『広告経路構成情報』を決定するから、引用発明の『サーバ7』は、本件発明1の「スポンサードルートを決定する決定部」に相当する構成を備えているといえる。
そして、引用発明は、「マッチング条件を満たす出稿情報が複数存在した場合」、複数の出稿情報に対応する「複数の広告経路構成情報」が「取得」されて「広告単価の高い順」のような「予め決められた順序」に基づいて「選択」された「一つまたは複数の」広告経路構成情報を出力するものであるところ、ここで例示された「広告単価の高い順」に「広告経路構成情報」を出力する場合の広告単価は、本件発明1の「入札額」に相当するから、引用発明は、入札額に基づいて提供されるスポンサードルートを決定するものといえる。
そうすると、引用発明は、「マッチング条件を満たす出稿情報が複数存在した場合」に「広告単価の高い順」のような「予め決められた順序」に基づいて「選択」された広告経路構成情報を出力するために、本件発明1の「前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部」に相当する構成を備えており、この点において、本件発明1と共通しているといえる。

ウ 本件発明1の「提供部」に関して
引用発明においては、『サーバ7』が、『広告経路』と『経路探索結果(即ち、通常候補経路)』を端末装置6に送信すると、端末装置6の情報提示部622は、通常候補経路1?4のうち広告経路と一致する通常候補経路3を、広告経路であることを示すために太線で囲って強調表示することから、引用発明における前記通常候補経路1?4のうち通常経路候補3を除く通常候補経路は、本件発明1の「前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段」に相当し,引用発明の広告経路である前記通常候補経路3は,本件発明1の「スポンサードルート」に相当する。
(なお,取消理由通知(決定の予告)において一応の相違点とした点は,本件訂正請求に含まれていない(みなし取下げとなった訂正請求に含まれている)ものであるから,ここでは一応の相違点とならない。)
さらに、甲第1号証の図12を参照すると、前記通常候補経路1、2、4と、広告経路である前記通常候補経路3とは、端末装置6の表示画面において上下方向に並んで表示されていることから、引用発明においては、本件発明1のように「スポンサードルート」が「複数の移動手段とともに」「所定の方向に」並んでいるといえるから、端末装置6の表示画面に表示された前記通常候補経路1、2、4及び広告経路である前記通常候補経路3は、本件発明1の「前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報」に相当する。
したがって、引用発明の『サーバ7』は、本件発明1の「前記取得部により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供部」に相当する構成を備えており、この点において、本件発明1と引用発明とは共通しており、さらに、この「提供部」によって端末装置に提供される「一覧情報」に含まれる「スポンサードルート」が、上記イにおいて示した「決定部」において決定されるから,「前記提供部は、前記決定部により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する」点においても、本件発明1と引用発明とは共通しているといえる。

エ 本件発明1の「提供装置」に関して
上記アないしウから、引用発明の『サーバ7』は、本件発明1の前記「取得部」と前記「決定部」と前記「提供部」を備えた「提供装置」に相当する。

オ よって、本件発明1は、次の一致点において一致し、相違点1において相違する。

<一致点>
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動経路である複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供部と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部とを備え、
前記提供部は、前記決定部により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する提供装置。

<相違点1>
本件発明1の「決定部」は、「前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて」端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定するのに対し、引用発明では、「予め決められた順序(例えば広告単価の高い順、経路品質評価結果の高い順)に基づいて」端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する点。

カ 相違点1について検討する。
(ア)引用発明は、「広告単価の高い順」のような「予め決められた順序」に係る指標の例として、『広告単価』以外に『経路品質評価結果』を記載している(甲第1号証段落【0108】)ところ、甲第1号証の当該記載に接した当業者においては、『広告単価』又は『経路品質評価結果』の一方のみに基づくのではなく、『広告単価』及び「CTR」等の「選択率」のような『経路品質評価結果』から算出される値に基づいて「スポンサードルート」を決定することは、通常の創作能力を発揮することによって適宜なし得ることである。
すなわち、甲第1号証のこの記載は、「予め決められた順序」に係る指標、つまり、広告の選択のための指標として『広告単価』を用いることが可能であることを最初に示すとともに、『経路品質評価結果』を踏まえた指標を用いることも可能であることを示しているのであって、(イ)において後述する「CTR」等の「選択率」のような経路品質評価の指標を用いることの採用を示唆するものであるから、『広告単価』及び「CTR」等の「選択率」のような『経路品質評価結果』から算出される値に基づいて「スポンサードルート」を決定するように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。
また、(イ)において後述するように、広告の選択のための指標として『広告単価』に加えて『経路品質評価結果』をも用いること、つまり、「入札額」に経路品質評価の指標である「CTR」等の「選択率」をも加味して算出されたスコアを用いて提示すべき広告を決定したり提示する広告を順序付けること、も、周知技術であり、上記記載は、この周知技術のスコアの採用を示唆するものともいえる。
(イ)経路品質評価の指標として「CTR」等の「選択率」を用いることは、文献を示すまでもない技術常識ないし周知技術である。また、「入札額」のみならず「入札額」に経路品質評価の指標である「CTR」等の「選択率」をも加味して算出されたスコアを用いて提示すべき広告を決定したり提示する広告を順序付けること自体も、下記の文献A?Dの記載に示されているように、周知技術である。
A 特開2016-62380号公報(平成28年4月28日公開)
「【0098】(広告の選択手法)上記実施形態では、広告配信サーバ10は、該当する広告コンテンツの中から、入札額の高い広告コンテンツを優先的に配信する一例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、広告配信サーバ10は、入札額と広告評価値(例えばCTR(Click Through Ratio)とに基づき算出されるeCPM(effective Cost Per Mill)を用いて、広告コンテンツの配信を制御することができる。
【0099】すなわち、広告配信サーバ10は、eCPMが高く、広告効果の高い広告コンテンツから優先的に配信することができる。なお、CTRについては、例えば広告主2の過去のCTRの平均値や分散値などを用いることもできる。」
B 特表2016-500191号公報(平成28年1月7日公表)
「【0005】検索エンジン広告プラットフォームの観点からすると、収益は、多ければ多いほど、優れた、かつ持続可能なものになる。したがって、検索エンジンの広告プラットフォームは、クエリをサブミットされるたびに、そのクエリに関連する広告群を見つけ出す。広告プラットフォームは、関連する広告ごとに、クリックスルーレートを予測するとともに、ECPM(インプレッション1000回あたりの期待コスト、すなわち表示1000回あたりの期待収益)=クリックスルーレート×入札価格×1000を計算することもできる。次いで、検索エンジン広告プラットフォームは、これらの関連広告を、ECPMが高いものから順にランク付けすることができる。ECPMが高い関連広告は、より多くの収益をその検索エンジン(この例では情報公開者)のために生み出すと予測されるので、ECPMが高い関連広告の表示は、ECPMが低い関連広告よりも、高い優先順位を割り振られる(例えば、より目立つエリアに提示される)。」
C 特表2012-521054号公報(平成24年9月10日公表)
「【0040】・・・広告選択サーバ120は、該結果リスト内の各広告毎に、千回掲載当たりの広告料金の予測値(eCPM)を計算する。このeCPMは、広告がどれだけ利益をもたらすかの予測値である。或る広告についてのeCPMを計算するために、広告選択サーバ120は、該広告に関連付けられた予測クリック率(pCTR)と1クリック毎のコスト(CPC:Cost Per Click)を使用する。eCPMを計算するための式は次のとおりである。
eCPM=pCTR * CPC
このpCTRは、該広告が或る視聴者に提示されたときに該視聴者が該広告をクリックする可能性を示すスコアである。一実施例において、プロモータは広告を製作するときに該広告のCPCを設定する。
【0041】このpCTRは多数のファクタ(要因)を使用して広告選択サーバ120によって計算される。該ファクタとしては、該広告とのユーザの相互作用(例えば、該広告が視聴者に提示された合計回数、該広告が視聴者によってクリックされた合計回数など)に基づいて決定された広告計量値を含んでいてよい。」
「【0044】該広告のpCTRが計算されると、広告選択サーバ120は、該pCTRとCPCを使用して該広告のeCPMを計算する。広告選択サーバ120は、結果リスト内で各広告毎に計算されたeCPMに基づいて結果リスト内における広告をランク付けする。一実施例において、広告選択サーバ120は、該結果リスト内において最も高くランク付けされている或る設定された数の広告を選択し、視聴者に提示する。別の実施例において、広告選択サーバ120は、或る設定された閾値以上のeCPMを持つ該結果リスト内の広告を、視聴者に提示する広告として、選択する。」
D 特開2013-37713号公報(平成25年2月21日公開)
「【0009】1つの実施形態では広告システムは、広告主特定の広告計画および広告システムの目標の解析に基づいてユーザに提供するために広告を選択する。広告計画は、広告の識別子、訪問位置、入札額、およびユーザに広告を提供するための掲載基準を含む。掲載基準は、ユーザ位置、検索語、検索の種類、ユーザの人口統計、検索時間、モバイル装置の種類などを含むことができる。広告システムが広告の機会を提供されるとき、広告システムは、掲載基準が、広告がユーザに提供されることができる候補広告であることを示す広告を識別する。次いで広告システムは、どの候補広告が広告システムの目標(例えば、利益を最大限にする)を達成する助けをする可能性が最も高いかを識別することができる。広告システムは、どの候補広告が提示のために選択するべきかを決定するときに様々な問題を考慮に入れることができる。例えば、広告システムは、予期される広告のコンバージョンレート(conversion rate)(例えば、ユーザが訪問位置を訪問することになる見込み)、広告の入札額、ユーザの移動方向、ユーザの移動モード(例えば、自動車、自転車、または徒歩)、ユーザの過去のパターンなどを考慮することができる。広告システムは、広告システムの目標の達成でのその値を示す候補広告ごとの目標スコアの生成でこれらの様々な問題を考慮に入れることができる。次いで広告システムは、最高の目標スコアを有する候補広告を提供するように選択する。広告システムは、目標スコアが提供するために選択されるにはしばしば低過ぎる候補広告は非活性化することができる。この種の低い目標スコアは、広告計画が何らかの点で欠陥があるという表示でありうる(例えば、低過ぎる入札額または一般的過ぎるユーザ位置)。」
(ウ)よって、引用発明において技術常識ないし周知技術を採用して相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、当業者が適宜なし得ることである。

キ してみると、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明2についての対比、判断
本件発明2と引用発明とを対比すると、さらに、以下の相違点があるといえる。

<相違点2>
本件発明2は、「前記取得部は、前記ユーザが利用する端末装置により検知されるセンサ情報により捕捉される前記ユーザの当該移動手段の利用に応じて、当該事業者に課金が発生する前記スポンサードルートに関する前記スポンサードルート情報を取得する」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

以下、上記相違点2について検討する。

甲第2号証には、複数の候補経路を端末装置100に送信したサーバ装置200が、前記端末装置100の位置取得部112が検知した位置情報に基づいて、前記複数の候補経路のうち前記端末装置100の利用者が実際に使用した経路に関する情報を取得する旨が開示されており、甲第2号証において、『端末装置100』の『位置取得部112』により検知される位置情報は、本件発明2の「前記ユーザが利用する端末装置により検知されるセンサ情報」に相当し、さらに、
前記位置情報に基づいて把握される、端末装置100の利用者が実際に使用した経路に関する情報は、本件発明2の『センサ情報により補足される前記ユーザの当該移動手段の利用」に相当する。
ここで、甲第2号証に開示されたサーバ装置200は、端末装置に複数の候補経路を提供するものであるという点において、引用発明の『サーバ7』と共通する機能を有するものである。
したがって、引用発明の『サーバ7』に、甲第2号証に記載された技術を適用し、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本件発明3についての対比、判断
引用発明では、『ユーザが広告経路を認識し易くするために、広告経路を強調して提示』する、例えば、『通常候補経路3を太線で囲って強調表示する』ことから、引用発明の提供装置は、本件発明3の「前記取得部は、前記複数の移動手段とは異なる表示態様により表示される前記スポンサードルート含む前記一覧情報を、前記端末装置に提供する」という構成を備えているといえる。
してみると、本件発明3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本件発明4についての対比、判断
引用発明では、『端末装置6』が送信した、出発地及び目的地を含む『探索条件』を受信した『サーバ7』が、前記『探索条件』に基づいて経路探索を実行し、『経路探索結果(即ち、通常経路候補)』と『広告経路』を端末装置6に提供することから、引用発明の提供装置は、本件発明4の「前記取得部は、前記端末装置から移動区間の検索クエリを取得し、前記提供部は、前記検索クエリに対応する前記移動区間の前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する」という構成を備えているといえる。
してみると、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)本件発明5及び6についての対比、判断
引用発明では、上記「(3)本件発明1についての対比、判断」において言及したとおり、経路探索の結果として、通常候補経路1?4のうち広告経路と一致する通常候補経路3を、広告経路として表示しており、引用発明の『通常候補経路1?4』は、本件発明5の「前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群」に相当し、引用発明の『広告経路』は、本件発明5の「スポンサードルート」に相当する。
したがって、引用発明の提供装置は、本件発明5の「前記提供部は、前記スポンサードルートが前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群に関する所定の条件を満たす場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する」という構成、及び、本件発明6の「前記提供部は、前記検索クエリにより抽出される移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する」という構成を備えているといえる。
してみると、本件発明5及び6は、いずれも、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)本件発明7についての対比、判断
引用発明では、通常候補経路として1?4の4つの経路をサーバ7が端末装置6に提供している。
ここで、サーバ7が端末装置6に提供している経路の数がどのようにして決定されるのかは、甲第1号証には記載されていないものの、技術常識を考慮すると、サーバ7における経路探索の結果として取得された全ての経路を端末装置6に提供するのではなく、端末装置6における表示領域や解像度等の制限、また、視認性の観点等から、探索結果のうち所定数の経路のみ(例えば、経路探索の結果として10個の経路が取得された場合に、そのうちの4位内の経路のみ)を端末装置6に提供するものであると理解するのが妥当である。
そして、引用発明では、経路探索の結果として取得された移動手段のうち上位4位内である3位にスポンサードルートが含まれる場合において、当該スポンサードルートを含む移動手段の一覧が端末装置6に提供されている。
してみると、引用発明における『通常候補経路1?4』が、本件発明7の「所定の順位以内の移動手段を含む部分移動手段群」に相当し、引用発明において、前記『通常候補経路1?4』のうちの『通常候補経路3』が『広告経路』であるという場合が、本件発明7の「所定の順位以内の移動手段を含む部分移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合」に相当する。
したがって、引用発明の提供装置も、本件発明7の提供装置と同様の「前記提供部は、前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群のうち、所定の順位以内の移動手段を含む部分移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する」という構成を備えているといえる。
してみると、本件発明7は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)本件発明8についての対比、判断
引用発明では、経路探索結果として複数の広告経路構成情報が取得された場合には、『予め決められた順序(例えば広告単価の高い順、経路品質評価結果の高い順)に基づいて選択された一つまたは複数の広告経路構成情報を出力する』ことから、引用発明は、本件発明8の「前記提供部は、前記移動区間に関して前記事業者により入札された入札移動手段である前記スポンサードルート含む前記一覧情報を提供する」という構成を備えているといえる。
してみると、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)本件発明11及び12についての対比、判断
本件発明11及び12は、本件発明1のカテゴリ違いの発明であり、上記「(3)本件発明1についての対比、判断」で検討したのと同様の理由により、本件発明11及び12は、引用発明のカテゴリ違いの発明と相違しない。
よって、本件発明11及び12は、いずれも、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10)本件発明13についての対比、判断
ア 本件発明13の「取得部」に関して
本件発明13の「所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し」という構成については、上記「(3)本件発明1についての対比、判断」において言及したとおり、引用発明の『サーバ7』が当該構成に相当する構成を備えているといえる。
また、引用発明では、『端末装置6』が送信した『探索条件』を受信した『サーバ7』が経路探索を実行することから、引用発明の『端末装置6』及び『探索条件』は、甲13発明の「前記ユーザが利用する端末装置」及び「移動手段に関する情報要求」に相当し、引用発明の『サーバ7』は、本件発明13の「前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得部」に相当する構成を備えているといえる。
したがって、引用発明の『サーバ7』は、本件発明13の「所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得部」に相当する構成を備えているといえる。

イ 本件発明13の「決定部」に関して
引用発明では、『サーバ7』の『広告経路構成情報取得部722』が、端末装置6から受信した『探索条件』(上述したとおり、本件発明13の「移動手段に関する情報要求」に相当)による探索結果から取得されたマッチング条件に基づいて、『広告経路構成情報』(上述したとおり、本件発明13の「スポンサードルート」に相当)を取得することから、引用発明の『サーバ7』は、本件発明13の「前記取得部により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定する決定部」に相当する構成を備えているといえる。
そして、引用発明は、「マッチング条件を満たす出稿情報が複数存在した場合」、複数の出稿情報に対応する「複数の広告経路構成情報」が「取得」されて「広告単価の高い順」のような「予め決められた順序」に基づいて「選択」された「一つまたは複数の」広告経路構成情報を出力するものであるところ、ここで例示された「広告単価の高い順」に「広告経路構成情報」を出力する場合の広告単価は、本件発明1の「入札額」に相当するから、引用発明は、入札額に基づいて提供されるスポンサードルートを決定するものといえる。
そうすると、引用発明は、「マッチング条件を満たす出稿情報が複数存在した場合」に「広告単価の高い順」のような「予め決められた順序」に基づいて「選択」された広告経路構成情報を出力するために、本件発明13の「前記取得部により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定する決定部」に相当する構成を備えており、この点において、本件発明1と共通しているといえる。

ウ 本件発明13の「決定装置」に関して
上記ア及びイから、引用発明の『サーバ7』は、本件発明13の前記「取得部」と前記「決定部」とを備えた「決定装置」に相当する。

エ よって、本件発明13は、次の一致点において一致し、相違点1’において相違する。

<一致点>
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得部と、
前記取得部により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定する決定部、
を備えたことを特徴とする決定装置。

<相違点1’>
本件発明13の「決定部」は、「前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて」端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定するのに対し、引用発明では、「予め決められた順序(例えば広告単価の高い順、経路品質評価結果の高い順)に基づいて」端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する点

オ 相違点1’については、(3)カにおいて上述したとおり、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、引用発明において技術常識ないし周知技術を採用して当業者が適宜なし得ることである。

カ よって、本件発明13は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11)本件発明14についての対比、判断
本件発明14は、本件発明13の「取得部」について請求項2の記載事項と同様の限定を追加したものであるところ、上記「(10)本件発明13についての対比、判断」及び「(4)本件発明2についての対比、判断」で検討したのと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(12)本件発明15及び16についての対比、判断
本件発明15及び16は、本件発明13のカテゴリ違いの発明であり、引用発明のカテゴリ違いの発明と対比すれば、「(10)本件発明13についての対比、判断」で検討したのと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 特許権者の意見について
特許権者は、令和2年2月17日提出の手続補正書による補正後の令和元年12月27日提出の意見書において、本件特許は、スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する点を特徴とするものであり、この特徴の結果、ユーザの満足度の低下を抑制しつつ、課金の対象となるスポンサードルートをユーザに提供可能にすることができる旨、及び、引用文献1及び引用文献2においては、この特徴が記載も示唆もされていない旨を主張している。
これらの特許権者の意見のうち、引用文献1において上記の特徴が記載されていない旨をいう点は理由があり、本件発明1ないし14と引用発明との相違点は、4(3)オ及び4(10)エにおいて上述した相違点1又は相違点1’となる。
しかし、この相違点1又は相違点1’については、オ4(3)カ及び4(10)オにおいて上述したとおり、引用発明において技術常識ないし周知技術を採用して当業者が適宜なし得ることである。さらに、特許権者が主張するユーザの満足度の低下を抑制しつつ課金の対象となるスポンサードルートをユーザに提供可能にすることができるとの効果は、引用発明において技術常識ないし周知技術を採用することに伴う効果であって格別のものではない。

なお、この点について、改めて取消理由を通知することを要しない。
(令和元年6月11日付けで通知した取消理由(及び令和1年11月1日付けで通知した取消理由(決定の予告))において、本件訂正請求による訂正前の請求項10(及びみなし取下げとなった訂正請求における請求項10)について、『広告単価』又は『経路品質評価結果』の一方のみに基づくのではなく『広告単価』及び『経路品質評価結果』から算出される値に基づいて「スポンサードルート」を決定することが当業者における通常の創作能力の発揮である旨を通知している。そして、経路品質評価の指標として「CTR」等の「選択率」を用いることが文献を示すまでもない技術常識ないし周知技術である。これらを踏まえると、オ4(3)カ及び4(10)オにおいて上述した相違点1の判断については、既に実質的に訂正請求及び意見書の提出の機会が与えられているといわざるを得ない。)

6 むすび
以上のとおり、本件発明1?8、11?16は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術的事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明1?8、11?16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1?8、11?16に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項9及び10に係る特許は、上記のとおり、本件訂正請求により削除され、これにより、請求項9及び10に係る特許異議申立ては、申立ての対象が存在しないものとなる。このため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供部と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部と、
を備え、
前記決定部は、
前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定し、
前記提供部は、
前記決定部により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供することを特徴とする提供装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記ユーザが利用する端末装置により検知されるセンサ情報により捕捉される前記ユーザの当該移動手段の利用に応じて、当該事業者に課金が発生する前記スポンサードルートに関する前記スポンサードルート情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記提供部は、
前記複数の移動手段とは異なる表示態様により表示される前記スポンサードルート含む前記一覧情報を、前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の提供装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記端末装置から移動区間の検索クエリを取得し、
前記提供部は、
前記検索クエリに対応する前記移動区間の前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の提供装置。
【請求項5】
前記提供部は、
前記スポンサードルートが前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群に関する所定の条件を満たす場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項4に記載の提供装置。
【請求項6】
前記提供部は、
前記検索クエリにより抽出される移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項5に記載の提供装置。
【請求項7】
前記提供部は、
前記検索クエリにより前記スポンサードルート情報以外の情報から抽出される移動手段群のうち、所定の順位以内の移動手段を含む部分移動手段群に前記スポンサードルートが含まれる場合、前記スポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供する
ことを特徴とする請求項6に記載の提供装置。
【請求項8】
前記提供部は、
前記移動区間に関して前記事業者により入札された入札移動手段である前記スポンサードルート含む前記一覧情報を提供する
ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の提供装置。
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
コンピュータが実行する提供方法であって、
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供工程と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定工程と、
を含み、
前記決定工程は、
前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定し、
前記提供工程は、
前記決定工程により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供することを特徴とする提供方法。
【請求項12】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得されたスポンサードルート情報に基づいて、前記移動区間に対応する複数の移動手段であって、前記スポンサードルートとは異なる複数の移動手段とともに前記スポンサードルートを所定の方向に並べた一覧情報を、前記ユーザが利用する端末装置に提供する提供手順と、
前記移動区間に関して入札された複数のスポンサードルートのうち、各スポンサードルートの入札額に基づいて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記決定手順は、
前記各スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定し、
前記提供手順は、
前記決定手順により決定されたスポンサードルート含む前記一覧情報を前記端末装置に提供することを特徴とする提供プログラム。
【請求項13】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得部と、
前記取得部により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定し、前記スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定部、
を備えたことを特徴とする決定装置。
【請求項14】
前記取得部は、
前記ユーザが利用する端末装置により検知されるセンサ情報により捕捉される前記ユーザの当該移動手段の利用に応じて、当該事業者に課金が発生する前記スポンサードルートに関する前記スポンサードルート情報を取得する
ことを特徴とする請求項13に記載の決定装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する決定方法であって、
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定し、前記スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定工程、
を含むことを特徴とする決定方法。
【請求項16】
所定の出発点と所定の到着点との間の移動区間を運行する事業者が所定の登録を行った移動手段であって、ユーザへの当該移動手段に関する情報提供に応じて、当該事業者に課金が発生する移動手段であるスポンサードルートに関するスポンサードルート情報を取得し、前記ユーザが利用する端末装置から移動手段に関する情報要求を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得されたスポンサードルート情報と、前記取得部により取得された情報要求とに基づいて、当該情報要求に対応するスポンサードルートを決定し、前記スポンサードルートの選択率と入札額とに基づいて算出されるスコアを用いて、前記端末装置に情報提供するスポンサードルートを決定する決定手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とする決定プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-04 
出願番号 特願2017-47622(P2017-47622)
審決分類 P 1 651・ 121- ZAA (G06Q)
最終処分 取消  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 相崎 裕恒
松田 直也
登録日 2018-08-10 
登録番号 特許第6381715号(P6381715)
権利者 ヤフー株式会社
発明の名称 提供装置、提供方法、提供プログラム、決定装置、決定方法、及び決定プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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