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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) C02F
管理番号 1366114
判定請求番号 判定2019-600041  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 判定 
判定請求日 2019-12-25 
確定日 2020-09-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第5799188号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号説明書に示す「ハイドロポッド セット」は、特許第5799188号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1 手続の経緯
本件に係る手続の経緯は、以下のとおりである。

平成27年 5月11日 特許出願(特願2015-96641号)
同年 8月28日 設定登録
令和 1年12月25日 本件判定請求書の提出
令和 2年 1月15日付 判定請求書副本送付
同年 2月25日 判定請求答弁書(被請求人)の提出
同年 3月12日 手続補正書(請求人)の提出
(判定請求書の被請求人名称に関する手続補
正)
同年 4月28日付 請求人に対する審尋の送付
同年 5月21日 回答書(請求人)の提出
同年 6月11日 回答書(請求人)の提出
同年 6月11日 手続補正書(請求人)の提出
(イ号説明書に対する手続補正)

2 請求の趣旨
請求人の請求の趣旨は、判定請求書及び令和2年5月21日付け回答書の「2 対象請求項(発明)の確認」の記載からみて、イ号説明書に示す「ハイドロポッド セット」は、特許第5799188号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?3に記載された発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

3 本件特許発明について
請求人が上記判定を求める請求項1?3に係る発明(以下、「本件特許発明1」などという。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、当審において、構成要件毎に分説し、符号A?Lを付した。ここで、本件特許発明1及び2の構成要件「内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素が溶存するペットボトルの形成方法」は、同一であるので、同一の符号Gを付した。また、符号Aなどのそれぞれを「構成要件A」などという。

【請求項1】
A ペットボトルに、先端部にねじ係合形態の蓋体を備えた、市販されているペットボトルを使用し、
B ペットボトルヘッド型水素発生器に、内部に水素発生部と水素発生部で発生した水素ガスをペットボトルの内部空間に導出させる水素導出路を形成し、
C 市販されているペットボトルに備えられた蓋体が、人為的にねじ係合形態が解除されて取り外され、
D 該取り外しによって露出されたねじ部に、ペットボトルに向けて形成された、露出されたねじ部に螺合されるねじ部をペットボトルヘッド型水素発生器に形成し、
E ペットボトル先端部の蓋体が取り外されたねじ部に、ねじ係合形態によってペットボトルヘッド型水素発生器をペットボトルに装着させて、該ねじ部を再使用することで、水又は水を主成分とする液体を収容する内部空間を備えたペットボトルに、該ペットボトルに着脱自在に装着されるペットボトルヘッド型水素発生器とを結合させ、
F ペットボトルヘッド型水素発生器が装着されたペットボトルを倒立逆回転させ、内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素発生部で発生した水素ガスを導出させて溶解させることを特徴とする
G 内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素が溶存するペットボトルの形成方法。
【請求項2】
H 請求項1に記載された内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素が溶存するペットボトルの形成方法において、
I 内部空間の上部に空間に貯められた水素ガスを、ペットボトルを振盪させて、内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に溶解させることを特徴とする
G 内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素が溶存するペットボトルの形成方法。
【請求項3】
J 請求項1に記載された内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素が溶存するペットボトルの形成方法に使用される、ペットボトルに装着されるペットボトルヘッド型水素発生器であって、
K 装着された時にペットボトル側に向けて開口した開口部およびが該開口部側面にねじ部設けられた(当審注:「ねじ部設けられた」は「ねじ部が設けられた」の誤記であると認められる。)、該ねじ部が、市販されているペットボトル先端部に設けられたねじ部を他側としてねじ係合形態されて、
L ペットボトルに着脱自在に装着されるペットボトルヘッド型水素発生器。

4 イ号方法及びイ号物品について
(1)請求人の提出した証拠方法
請求人は、イ号方法及びイ号物品を説明するものとして、甲第3号証?甲第13号証を提出している。
(証拠方法)
甲第3号証 イ号説明書
甲第4号証の1 ハイケアジャパン公式サイトページ
甲第4号証の2 (株)ビースタイル公式ホームページ
甲第4号証の3 (株)ビースタイル代表取締役岩永覚翔の名刺
甲第5号証 ハイケアジャパンのパンフレット
甲第6号証 ハイドロポッド 10L取扱説明書
甲第7号証 ハイドロ キャップ取扱説明書
甲第8号証 「ハイドロポッド セット」の図面(イ号図面)
甲第9号証 「ハイドロポッド セット」の写真(イ号写真)
甲第10号証 東北大学工学部材料科学総合学科ウェブページ
甲第11号証 平成16年度特許流通支援チャート 化学29 高効率
水素吸蔵合金、2005年、独立行政法人工業所有権情
報・研修館、第i頁?第iii頁
甲第12号証 ハイドロポッド 10L取扱説明書
甲第13号証 ハイドロ ミスト取扱説明書

なお、令和2年5月21日付けの証拠申出書によれば、甲第12号証及び甲第13号証は、甲第6号証及び甲第7号証に替わる証拠として提出されたものであるが、令和2年6月11日付け回答書には、甲第12号証及び甲第13号証は甲第6号証に替わる証拠であり、甲第7号証は証拠とする旨が主張されているため、甲第7号証、甲第12号証及び甲第13号証を証拠として採用する。また、甲第12号証の第3頁以降には、ハイドロ ミストの取扱いが記載され、甲第13号証の第3頁以降には、ハイドロポッド 10Lの取扱いが記載されているため、ハイドロポッド 10L取扱説明書である甲第6号証に替わる証拠は、甲第13号証であると認める。

(2)甲号証の記載内容
ア 甲第4号証の1の記載事項
甲第4号証の1には、次の事項が記載されている。
(ア)「製品の選択
・・・
STEP 1
ポッド(水素貯蔵装置)を選択して下さい。
・・・
・ハイドロポッド10L
・ハイドロポッド100L
・ハイケアLM(100L)
・ハイドロポッド500L
STEP 2
専用ツールを選択して下さい。
・・・
・ハイドロミスト(スプレー)
・ハイドロフォーム(泡生成)
・ハイドロドーザー(皮下浸透)
・ハイドロキャップ(水素水)
・ハイドロインへラー(吸入器)」(第9?11頁)
(イ)「Personal use製品

」(第25?26頁)

イ 甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、「HYCARE」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「携帯に便利!高純度「医療用水素」HYCARE」(第1頁)
(イ)「HYDROPOD 10L
ハイドロポッドは、高純度水素を専用容器に圧縮・貯蔵しています。FCV(燃料電池自動車)の技術を応用していますので大量の水素を貯めることが出来、充分な量を容器から取り出して利用できます。」(第1頁)
(ウ)「CAP 水素水専用キャップ
純度99.99%の水素ガスをわずか10秒で充填します。充填圧力は2?3気圧なので約4ppm以上の水素溶存濃度でお飲み頂けます。」(第1頁)
(エ)「

」(第1頁)

ウ 甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、「ハイドロ キャップ」の「使用方法」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「1.準備
以下の<1>?<4>(当審注:<1>は丸数字の1を示す。以下同様。)を準備してください。
<1>炭酸飲料用の250ml程度の小サイズのペットボトル
*ミネラルウォーター用の肉厚の薄いペットボトルは破裂する恐れがありますのでご使用にならないでください。
<2>ハイドロキャップ
<3>ハイドロポッド
<4>デジタル圧力計」(第2頁)
(イ)「2.水素充填
1)ペットボトルに、下記の写真程度まで飲み物を注入し、ハイドロキャップを軽く締めて取り付けてください。(市販の状態から一口か二口飲んだ状態)
・・・
3)ペットボトルを下写真のように指でつぶして、内部の空気を完全に排出した状態でキャップをしっかり締めてください。つぶれない場合は、キャップを少し緩めながらつぶしてください。
・・・
4)逆さにするなどして、内部の空気が残留していないことを確認してください。ペットボトルは下写真のようにつぶれた状態となります。
・・・
5)水素供給源のアダプター部にペットボトルキャップを押し込むと^(*)3秒程度で充填が完了します。充填時の向きや姿勢は任意です。

^(*)PODの水素残量が減るにつれ、充填時間は長くなります。
6)水素供給源からペットボトルキャップを離し、ペットボトルがパンパンになっていることを確認した上で、10?15秒程度、しっかり振ってください。
・・・
7)キャップを外し、すぐにお飲みください。一度キャップを緩めると、溶存水素量は時間と共に低下致しますので、早めにお飲みください。またキャップを締めていても、徐々に水素は抜けていきます。
・・・
8)ご使用後は、キャップのペットボトル側を良く水ですすいだ後、風通しの良い場所で十分に乾燥させてください。
*ハイドロポッド10Lを水素供給源として使用する場合、連続して水素充填を行うと、圧力が低下し溶存水素量も低下する場合があります。十分な間隔をおいて充填を行ってください。また水素の消費に伴い、圧力が低下し、溶存水素量も低下しますので、溶存水素量を正確に管理したい場合は、別売りのデジタル圧力計を使用し、充填前に圧力を確認するようお願いします。」(第2?4頁)

エ 第9号証の記載事項
甲第9号証には、「イ号写真」として、次の写真が記載されている。
「写真4



オ 甲第13号証の記載事項
甲第13号証には、「ハイドロポッド 10L」の取扱いに関して、次の事項が記載されている。
(ア)「2.各部の名称
各部の名称は以下の通りです。

」(第3頁)
(イ)「5.製品について
本製品は、燃料電池自動車(FCV)などに搭載される水素タンクの水素貯蔵技術を応用した製品です。一般的なガスボンベの内部が空洞であるのに対し、本製品の内部は水素吸蔵合金と呼ばれる特殊な金属で満たされており、この金属が水素化物として水素を捕捉します。一般的なガスボンベが、"高圧圧縮充填されたガスが勢いよく噴き出す"のに対し、金属に内包された水素が徐々に染み出すというイメージです。」(第7頁)

(3)イ号方法及びイ号物品の認定
ア 甲第5号証には、上記(2)イ(エ)のとおり、「HYDROPOD set」が「ハイドロポッド(純水素充填10L)」、「吸入器」、「ミスト」、「CAP」のセットであることが記載されている。そして、甲第4号証の1の上記(2)ア(ア)及び(イ)の記載を踏まえると、「ハイドロポッド(純水素充填10L)」、「吸入器」、「ミスト」、「CAP」は、それぞれ、「ハイドロポッド10L」、「ハイドロインへラー(吸入器)」、「ハイドロミスト(スプレー)」、「ハイドロキャップ(水素水)」であるといえるから、「ハイドロポッド セット(英字訳:HYDROPOD Set)」は、ハイドロポッド10L、ハイドロミスト、ハイドロキャップ、ハイドロインへラーを備えるものといえる。
そして、甲第7号証には、上記(2)ウ(ア)及び(イ)のとおり、「ハイドロ キャップ」の「使用方法」に関して、ペットボトル内の水に水素を充填することが記載されているし、また、甲第4号証の1には、「ハイドロキャップ(水素水)」(上記(2)ア(ア))と記載され、甲第5号証には、「水素水専用キャップ」(上記(2)イ(ウ))と記載されていることから、イ号方法の「ハイドロポッド セット」の使用方法は、ハイドロポッドセットを用いた水素水入りのペットボトルを形成する方法といえる。

イ 甲第7号証には、「<1>炭酸飲料用の250ml程度の小サイズのペットボトル」を準備すること(上記(2)ウ(ア))や、「市販の状態から一口か二口飲んだ状態」にして、「ハイドロキャップを軽く締めて取り付け」ること(上記(2)ウ(イ))が記載されているから、イ号方法では、市販のペットボトルを使用しているといえる。
そして、市販のペットボトルは、その先端部にねじ係合形態の蓋体を備えており、ハイドロキャップを取り付ける前に蓋体を取り外す必要があることは明らかである。

ウ 甲第7号証には、上記(2)ウ(ア)によれば、ペットボトルを準備するとともに、ハイドロキャップ及びハイドロポッドを準備することが記載されている。また、甲第7号証には、上記(2)ウ(イ)によれば、ペットボトルの内部に空気が残留しないようにハイドロキャップを締めて取り付けること、その後に、水素供給源であるハイドロポッド10Lのアダプター部にハイドロキャップを押し込むことで水素ガスを充填すること、充填時の向きや姿勢は任意であること、及び、水素充填後に水素供給源(ハイドロポッド10L)からハイドロキャップを離してから、ペットボトルを振ることが記載されているし、さらに、水素充填時の向きや姿勢を示す写真(上記(2)ウ(イ))からは、ハイドロキャップが取り付けられたペットボトルを倒立逆回転させて、水素供給源に押し込むことが見て取れる。
また、甲第5号証の上記(2)イ(イ)の記載、及び、甲第13号証の上記(2)オ(ア)及び(イ)の記載によれば、ハイドロポッド10Lは、内部に水素吸蔵合金を備え、水素吸蔵合金から染み出した水素を取り出すためのアダプターを備えていることが記載されている。
さらに、甲第9号証の写真4(上記(2)エ参照)から、ハイドロキャップは、キャップ本体とオスアダプターを備え、キャップ本体の内側には、ネジ部が形成されていることが見て取れる。

エ 上記ア?ウでの検討を踏まえると、イ号方法の「ハイドロポッド セット」の使用方法、及び、イ号物品の「ハイドロポッド セット」は次のとおりのものであると認める。
なお、a?f、iは、イ号方法を本件特許発明1及び2に対応するように分説し、各分説に付した記号であり、また、j?lは、イ号物品を本件特許発明3に対応するように分説し、各分説に付した記号であり、それぞれ「構成a」などという。

(イ号方法)
a ペットボトルに、先端部にねじ係合形態の蓋体を備えた、市販されているペットボトルを使用し、
b 内部に水素吸蔵合金を備え、該水素吸蔵合金から染み出した水素ガスを取り出すためのメスアダプターを備えているハイドロポッド10L、及び、前記ペットボトルの内部に水素ガスを導入するためオスアダプターを備えているハイドロキャップを準備し、
c 市販されているペットボトルに備えられた蓋体が、人為的にねじ係合形態が解除されて取り外され、
d 前記ハイドロキャップは、キャップ本体の内面にネジ部を備え、
e 前記ペットボトルの先端部の蓋体が取り外されたねじ部に、前記キャップ本体の前記ネジ部を締めて、前記ペットボトルに前記ハイドロキャップを取り付け、
f 前記ハイドロキャップが取り付けられたペットボトルを倒立逆回転させ、前記ハイドロポッド10Lの前記メスアダプターに、前記ペットボトルキャップの前記オスアダプターを押し込むことで、前記ペットボトルの内部に収容された水に、ハイドロポッド10L内部の該水素吸蔵合金から染み出した水素ガスを充填させ、
i 水素充填後に、前記ハイドロポッド10Lから前記ハイドロキャップを離してから、ペットボトルを振る
g ハイドロポッドセットを用いた水素水入りペットボトルの形成方法。
(イ号物品)
j イ号方法に使用される、ペットボトルに取り付けるハイドロキャップ及びハイドロポッド10Lを含むハイドロポッドセットであって、
k 前記ハイドロキャップは、キャップ本体の内面にネジ部を備え、市販されているペットボトルの先端部のねじ部に取り付けができる、
l ハイドロキャップ及びハイドロポッド10Lを含むハイドロポッドセット。

(4)請求人が特定するイ号について
請求人は、令和2年6月11日付け手続補正書により補正されたイ号説明書第5頁第19行?第6頁第11行において、甲第9号証の写真7?10に基づき、ハイドロポッド10Lにハイドロキャップを装着することで水素供給器が構成され、前記水素供給器をペットボトルに装着し、水素供給器の装着されたペットボトルが倒立回転され、水素供給器から水素ガスが倒立回転されたペットボトルに導入されるとの手順を示して、同イ号説明書第7頁第20行?第8頁末行に記載のとおりのイ号方法の構成b、d?f、及び、イ号物品の構成j?lを特定している。
しかしながら、甲第9号証の写真7?10に基づく上記手順は、ハイドロキャップの取扱説明書である甲第7号証に記載された手順でないし、また、甲第4号証の1?甲第5号証、甲第10号証?甲第13号証には、ハイドロポッドセットの使用方法において、ペットボトルにハイドロキャップを取り付ける前に、ハイドロポッド10Lにハイドロキャップを装着して水素供給器を形成することは記載されていないから、請求人が特定するイ号は採用できない。

5 対比、判断
(1)本件特許発明1について
構成要件充足性の判断
イ号方法の構成が本件特許発明1の各構成要件を充足するかを検討する。

(ア)構成要件Aについて
イ号方法の構成aは、「ペットボトルに、先端部にねじ係合形態の蓋体を備えた、市販されているペットボトルを使用」することであるから、本件特許発明1の構成要件Aを充足する。

(イ)構成要件B、E及びFについて
本件特許発明1の構成要件Bは、「ペットボトルヘッド型水素発生器に、内部に水素発生部と水素発生部で発生した水素ガスをペットボトルの内部空間に導出させる水素導出路を形成」することであり、「水素発生部」と「ペットボトルの内部空間に導出させる水素導出路」は、一体となって「ペットボトルヘッド型水素発生器」を構成するものといえ、また、同構成要件Eによれば、「ペットボトル型水素発生器」は、「ペットボトルに装着」され、更に、構成要件Fによれば、「ペットボトルヘッド型水素発生器が装着されたペットボトルを倒立逆回転させ」るものである。
これに対して、イ号方法の構成bの「ハイドロポッド10L」は、「内部に水素吸蔵合金を備え、該水素吸蔵合金から染み出した水素ガスを取り出すためのメスアダプターを備えて」おり、水素ガスを発生させるものであるといえるから、構成要件Bの「水素発生部」を備えるものといえ、また、イ号方法の構成bの「ハイドロキャップ」は、「ペットボトルの内部に水素ガスを導入するためオスアダプターを備えている」から、構成要件Bの「ペットボトルの内部空間に導出させる水素導出路」を備えるものといえる。
しかし、イ号方法の構成eによれば、「ハイドロキャップ」は、「ペットボトルの先端部の蓋体が取り外されたねじ部」に取り付けられ、同構成fによれば、「前記ハイドロキャップが取り付けられたペットボトルを倒立逆回転させ、前記ハイドロポッド10Lの前記メスアダプターに、前記ペットボトルキャップの前記オスアダプターを押し込むことで、前記ペットボトルの内部に収容された水に、ハイドロポッド10L内部の該水素吸蔵合金から染み出した水素ガスを充填させ」ていることからすると、「ハイドロポッド10L」と「ハイドロキャップ」とは、一体となって「ペットボトルに装着」されるものではないし、更に、「ハイドロキャップ」が取り付けられたペットボトルを倒立逆回転させる前に、「ハイドロポッド10L」を前記「ハイドロキャップ」と一体とするものでもない。
したがって、イ号方法の構成b、e及びfの「ハイドロポッド10L」及び「ハイドロキャップ」は、構成要件B、E及びFの「ペットボトルヘッド型水素発生器」に相当するとはいえない。
よって、イ号方法の構成b、e及びfは、本件特許発明1の構成要件B、E及びFを充足しない。

(ウ)構成要件Cについて
イ号方法の構成cは、「市販されているペットボトルに備えられた蓋体が、人為的にねじ係合形態が解除されて取り外され」ることであるから、本件特許発明1の構成要件Cを充足する。

(エ)構成要件Dについて
イ号方法の構成dの「ネジ部」は、ペットボトルの露出されたねじ部に螺合されるねじ部といえるものの、上記(イ)で検討したとおり、イ号方法の構成dの「ハイドロキャップ」は、構成要件Dの「ペットボトルヘッド型水素発生器」といえないから、イ号方法の構成dは、本件特許発明1の構成要件Dを充足しない。

(オ)構成要件Gについて
イ号方法の構成gの「水素水」は、構成fの「ペットボトルの内部に収容された水に」、「水素ガスを充填させる」ことによって得られるものであるから、構成要件Gの「内部空間に収納された水又は水を主成分とする液体に水素が溶存する」ことといえる。
よって、イ号方法の構成gは、本件特許発明1の構成要件Gを充足する。

イ 小括
以上のとおり、イ号方法は、構成要件B、D、E、Fを充足しないから、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。

(2)本件特許発明2について
イ号方法は、本件特許発明1の技術的範囲に属しないのであるから、本件特許発明1に他の構成要件を付加したものである本件特許発明2の技術的範囲に属しないことは明らかである。

(3)本件特許発明3について
イ号物品は、本件特許発明1の技術的範囲に属しないイ号方法に使用されるものであるから、本件特許発明1に使用される本件特許発明3の技術的範囲に属しないことは明らかである。

6 むすび
以上のとおりであるから、イ号方法及びイ号物品は、本件特許発明1?3の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。

 
判定日 2020-08-31 
出願番号 特願2015-96641(P2015-96641)
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 富永 正史  
特許庁審判長 菊地 則義
特許庁審判官 宮澤 尚之
後藤 政博
登録日 2015-08-28 
登録番号 特許第5799188号(P5799188)
発明の名称 ペットボトルの形成方法およびペットボトルヘッド型水素発生器  
代理人 特許業務法人 日峯国際特許事務所  

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