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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25D
管理番号 1366372
審判番号 不服2019-7439  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-05 
確定日 2020-09-17 
事件の表示 特願2015- 41232「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 5日出願公開、特開2016-161231〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年11月26日付けで拒絶理由通知
平成31年2月1日に意見書及び手続補正書の提出
平成31年3月4日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和1年6月5日に審判請求書及び手続補正書の提出

第2 令和1年6月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年6月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
断熱性を有する断熱壁によって箱状に形成され内部に貯蔵室を有する断熱 箱体を備え、
前記断熱壁は、
前記貯蔵室側の面を構成する内板と、
前記断熱箱体の外側の面を構成する外板と、
芯材を包袋に収容して構成され前記内板と前記外板との間に設けられた真空断熱パネルと、
前記冷凍サイクルの放熱パイプとは別構成であって前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられ、通電及び断電を切り替えることで前記冷凍サイクルの駆動から独立した駆動制御が可能なヒータと、を有している冷蔵庫。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、平成31年2月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
断熱性を有する断熱壁によって箱状に形成され内部に貯蔵室を有する断熱箱体を備え、
前記断熱壁は、
前記貯蔵室側の面を構成する内板と、
前記断熱箱体の外側の面を構成する外板と、
前記内板と前記外板との間に設けられた真空断熱パネルと、
前記冷凍サイクルの放熱パイプとは別構成であって前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられ、通電及び断電を切り替えることで前記冷凍サイクルの駆動から独立した駆動制御が可能なヒータと、を有している冷蔵庫。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1を特定するために必要な事項である「真空断熱パネル」について、「芯材を包袋に収容して構成され」ることの限定を付加する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2000-227272号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、下線は当審において付したものである。)。
「【請求項2】 前記断熱パネルに結露防止ヒータを設け、この結露防止ヒータに前記ペルチエ素子を接続したことを特徴とする請求項1記載の貯蔵庫。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱パネルを有する貯蔵庫に関する。

「【0019】図1及び図2において、1は冷却貯蔵庫を示す。この冷却貯蔵庫1は断熱箱体3を有し、この断熱箱体3の上部には機械室5が設けられている。この機械室5には、冷凍装置9が設けられ、この冷凍装置9は、図示しない圧縮機、凝縮器、減圧装置、冷却器等によって構成されている。この冷凍装置9の冷却器によって庫内が冷却されている。
【0020】断熱箱体3は断熱パネル4で構成されている。図3は断熱パネル4を示し、この断熱パネル4は、外板11と内板13とを有し、この外板11と内板13との間には断熱材15が充填されており、この断熱材15の中にペルチエ素子17が埋設されている。
【0021】このペルチエ素子17の一面17bは内板13の内面に当接し、ペルチエ素子17の他面17aには伝熱性に優れる伝熱板19が当接し、この伝熱板19は、外板11の内面に当接している。この伝熱板19は断熱パネル4の断熱効果を損ねることなく、外板11から伝熱する外部からの熱をペルチエ素子17に効率よく伝熱している。
【0022】断熱箱体3には、図1に示すように、4枚の断熱扉7が設けられている。この断熱扉7は、前述した断熱箱体3とほぼ同じ構造になっており、断熱材15の中に、コントロールパネル用の充電器27bが埋設され、外板11にコントロールパネル25の表示部26が設けられている。
【0023】21は結露防止用のヒータ、31は断熱扉7が開いたことを検知するスイッチである。
【0024】このペルチエ素子17は、図4に示すように、P型半導体とN型半導体とを向かい合わせて交互に導電体で接続し、この導電体に接続した金属16aと16bとで形成されている。内板13の内面に当接する面17bは吸熱面であり、伝熱板19に当接する面17aは放熱面である。このペルチエ素子17では、これらの面17aと17bとの間に温度差が生じると起電力が発生する。
【0025】ペルチエ素子17には図5?図7に示すように配線29a?29cが接続されており、この配線29a?29cは、結露防止ヒータ21と庫内灯23とコントロールパネル25と庫内灯用の充電器27aとコントロールパネル用の充電器27bとに接続されている。この実施の形態では、複数のペルチエ素子17を直列に接続して、個々のペルチエ素子から発生する微小の起電力を合計して高出力電力を得ている。
【0026】次に、この冷却貯蔵庫1の運転動作を説明する。
【0027】冷凍装置9の運転を開始すると庫内は冷却される。例えば、外気温が25℃であった場合、庫内の温度が0℃に達すると、25℃の温度差が発生し、庫内側からの吸熱で冷却され、外板11の表面に温度低下した部分が生じ、この部分で外気中の飽和水蒸気(空気中の水分)が結露し始める。
【0028】また、ペルチエ素子17の両面17a、17bの25℃の温度差で、ペルチエ素子17に起電力が発生する。この起電力は、図5の回路に示すように結露防止ヒータ21に給電され、結露防止ヒータ21の運転が開始され、外板11の表面温度を上昇させて結露を防止する。
【0029】この結露防止ヒータ21の使用電力は、ペルチエ素子17から供給されるため、商用電源などに依存せず、電力コストを削減することができ、扉7にあっては、商用電源からの電源配線をヒンジの中を通して接続する必要がなく、電線の引き回しが短くなり、生産性が向上する。」









(イ)上記(ア)及び図面の記載から認められる事項
上記(ア)及び図面の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 上記(ア)の段落【0001】、【0019】-【0020】及び図2の記載によれば、引用文献1には、冷却貯蔵庫が記載されている。
b 上記(ア)の段落【0001】、【0019】-【0020】及び図2の記載によれば、引用文献1には、断熱パネルによって箱状に形成され、内部に貯蔵空間を有した断熱箱体が記載されている。
c 上記(ア)の段落【0020】及び図3の記載によれば、断熱パネルは、貯蔵空間の内側の面を構成する内板と、断熱箱体の外側の面を構成する外板と、内板と外板との間に設けられた断熱材を有していることが記載されている。
d 上記(ア)の、請求項2、段落【0025】、【0028】-【0029】及び図5の記載によれば、断熱パネルの内部にペルチェ素子が設けられ、当該ペルチェ素子に接続されて、ペルチェ素子が発生する起電力により給電される、結露防止ヒータが、断熱パネルに設けられる態様が記載されている。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「断熱パネルによって箱状に形成され内部に貯蔵空間を有する断熱箱体を備え、
前記断熱パネルは、
前記貯蔵空間の内側の面を構成する内板と、
前記断熱箱体の外側の面を構成する外板と、
内板と外板との間に設けられた断熱材と、
前記断熱パネルの内部にペルチェ素子が設けられ、当該ペルチェ素子に接続されて、ペルチェ素子が発生する起電力により給電される、前記断熱パネルに設けられた結露防止ヒータと、
を有している冷却貯蔵庫。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2012-87993号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明の実施形態は、断熱キャビネットに関する。」
「【0018】
左側壁部1cは、図2に示すように、平壁状を成し、従って、これの外殻11と内殻12もほゞ平板状を成していて、その外殻11及び内殻12の両内面に真空断熱パネル13を貼着している。但し、真空断熱パネル13は、図6、図8、及び図9に示すように、内殻12より上下に大きく、外殻11よりは小さくて、外殻11の上下と後側に真空断熱パネル13が貼着されない部分を余している。又、外殻11と内殻12は、互いの各前縁部を接合していて、外殻11の上下の両縁部と後縁部には、それぞれ内側へほゞ直角の接合部たる折曲部32,33,34 を形成し、内殻12の後縁部に同じく内側へほゞ直角の接合部たる折曲部35を形成している。
【0019】
右側壁部1dも、図2に示すように、平壁状を成し、従って、これの外殻14と内殻15もほゞ平板状を成していて、その外殻14及び内殻15の両内面に真空断熱パネル16を貼着している。但し、真空断熱パネル16は、図6、図8、及び図9に示すように、内殻15より上下に大きく、外殻14よりは小さくて、外殻14の上下と後側に真空断熱パネル16が貼着されない部分を余している。又、外殻14と内殻15は、互いの各前縁部を接合していて、外殻14の上下の両縁部と後縁部には、それぞれ内側へほゞ直角の接合部たる折曲部36,37,38を形成し、内殻15の後縁部に同じく内側へほゞ直角の接合部たる折曲部39を形成している。」
「【0036】
そして、図13には、冷凍サイクルの凝縮器の一部である放熱パイプ49を示しており、この放熱パイプ49は、左側壁部1c、右側壁部1d、及び奥壁部1eに配設している。具体的には、図14に示すように、左側壁部1c、右側壁部1d、及び奥壁部1eの外殻11,14,17にそれぞれ内向きの凹条部50を形成し、この凹条部50内に収めて各真空断熱パネル13,16,19との間に放熱パイプ49を配設している。
なお、図13には、上述のようにして製造した断熱キャビネット1の前面の開口部を冷蔵室や製氷室及び冷凍室等の室別に開閉するように設けた扉51,52,53をも示している。」
「【0049】
すなわち、真空断熱パネル4,8?10,13,16,19は真空度が劣化したときに断熱性能が低下するという事情を有するが、真空断熱パネル4と発泡断熱材5を併用した天井壁部1aと、真空断熱パネル8?10と発泡断熱材5を併用した底壁部1bは、真空断熱パネル4の断熱性能が低下しても発泡断熱材5によって断熱性能の低下が少なくされる。一方、発泡断熱材5を併用しない(真空断熱パネル13,16,19のみを使用する)左側壁部1cと右側壁部1d及び奥壁部1eは、真空断熱パネル13,16,19の断熱性能が低下すれば、壁部としての断熱性能がそのまま低下し、壁面の温度が大幅に低下して結露が発生する懸念を有する。
【0050】
それに対して、本実施形態においては、発泡断熱材5を併用しない左側壁部1cと右側壁部1d及び奥壁部1eに放熱パイプ49を配設している。これにより、真空断熱パネル4の断熱性能が低下したときの結露が発生を、その放熱パイプ49の放熱により抑制することができる。」









(イ)引用文献2に記載された技術
上記(ア)から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用2技術」という。)が記載されていると認められる。
「断熱キャビネットにおいて、外殻11,14,17及び内殻12,15,18の両内面に真空断熱パネル13,16,19を貼着し、外殻11,14,17と各真空断熱パネル13,16,19との間に、結露の発生を抑制する、放熱パイプ49を配設すること。」
ウ 引用文献6
(ア)引用文献6の記載
原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2014-202374号公報(以下、「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、冷却庫に関する。」
「【0016】
前面開口部17の周縁には、結露防止ヒータ39(図5参照)が埋設されている。
収納室12の上方における機械室3 4 の下方に連なる位置には、冷却器18が収容される冷却器室19が設けられている。
冷却器室19は、冷却器18と収納室12を仕切るダクトパネル20を有する。
ダクトパネル20は、ステンレス鋼板等の金属板からなり、水平方向に対して傾斜した方向に延びて固定されており、吸込口を有するとともに、庫内ファン21が設けられている。」
「【0027】
制御部30は、冷却装置制御部41と、霜取制御部42と、ヒータ制御部43と、記憶部44とを有する。
冷却装置制御部41は、冷却装置45の運転を制御する。通常の冷却運転中は、冷却装置制御部41によって、圧縮機22と凝縮器ファン24と庫内ファン21が制御され、設定温度近傍に庫内温度が維持される。
霜取制御部42は、除霜ヒータ26のオンオフを制御しており、霜取開始時刻となると、除霜ヒータ26をオンにする。霜取制御部42は、冷却器18の除霜が終了した等の霜取終了条件が満たされると、除霜ヒータ26をオフにする。
ヒータ制御部43は、結露防止ヒータ39のオンオフを制御する。」
エ 引用文献7
(ア)引用文献7の記載
原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2014-119170号公報(以下、「引用文献7」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。」
「【0019】
次に図5において、回転仕切16について、さらに詳細に説明する。図において、16は回転仕切であり、この回転仕切16は、樹脂で形成された箱体22、仕切鉄板23(シール部材受面鉄板)、断熱材24、防露ヒータ25等により構成されている。そして、回転仕切16の厚み(T寸法)は20mm?30mm前後となるよう箱体22、仕切鉄板23が作られている。」
「【0023】
制御装置として、冷蔵庫1の天井壁上面側にはCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板28が配置されている(図2参照)。制御基板28は、前記した外気温度センサ26、外気湿度センサ27、各貯蔵室扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ、左冷蔵室扉7に設けられた温度設定器、省電力モード設定器等と接続する。前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、防露ヒータON/OFF制御等を行う。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
後者における「断熱パネル」は、前者における「断熱性を有する断熱壁」に相当し、以下同様に、「貯蔵空間」は「貯蔵室」に、「断熱箱体」は「断熱箱体」に、「貯蔵空間の内側」は「貯蔵室側」に、「内板」は「内板」に、「外板」は「外板」に、「結露防止ヒータ」は「ヒータ」に、「冷却貯蔵庫」は「冷蔵庫」に、それぞれ相当する。
後者の「前記断熱パネルの内部にペルチェ素子が設けられ、当該ペルチェ素子に接続されて、ペルチェ素子が発生する起電力により給電される、結露防止ヒータ」は、「ペルチェ素子が発生する起電力」が「結露防止ヒータ」にのみ供給され、「結露防止ヒータ」とその電源が冷凍サイクルなどの他の装置から独立していることから、独立した駆動制御が可能であり、前者の「前記冷凍サイクルの放熱パイプとは別構成であって」、「前記冷凍サイクルの駆動から独立した駆動制御が可能なヒータ」に相当する。
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「断熱性を有する断熱壁によって箱状に形成され内部に貯蔵室を有する断熱箱体を備え、
前記断熱壁は、
前記貯蔵室側の面を構成する内板と、
前記断熱箱体の外側の面を構成する外板と、
前記冷凍サイクルの放熱パイプとは別構成であって、前記冷凍サイクルの駆動から独立した駆動制御が可能なヒータと、を有している冷蔵庫」である点。
[相違点1]
断熱壁の内板と外板との間に、本件補正発明では、「芯材を包袋に収容して構成され」た「真空断熱パネル」を備え、「ヒータ」が、「前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられ」ているのに対し、引用発明では、「断熱材」を備え、「結露防止ヒータ」が「前記断熱パネルに設けられ」ているものの具体的な位置が不明である点(以下、「相違点1」という。)。
[相違点2]
ヒータの「冷凍サイクルの駆動から独立した駆動制御」を本件補正発明では、「通電及び断電を切り替えることで」行っているのに対し、引用発明では、「当該ペルチェ素子に接続されて、ペルチェ素子が発生する起電力により給電される」ものの、通電及び断電を切り替えることを行っていない点(以下、「相違点2」という。)。
(4)判断
ア 相違点1について
引用2技術の「断熱キャビネット」はその機能、構成及び技術的意味からみて本件補正発明の「断熱箱体」に相当し、以下同様に、「外殻」は「外板」に、「内殻」は「内板」に、「真空断熱パネル」は「真空断熱パネル」に、相当する。
そして、引用発明と引用2技術は共に、冷蔵庫の断熱材や結露防止部材に関する発明である。
してみれば、引用発明の「断熱材」において、引用2技術を適用し、「真空断熱パネル」を用いることは、当業者が容易になし得た事項である。
また、「真空断熱パネル」は、通常、芯材を包袋に収容して構成されるものであり、「真空断熱パネル」を「芯材を包袋に収容して構成」することは、当業者にとって、当然の事項である。
さらに、引用発明の「結露防止ヒータ」と、引用2技術の「結露の発生を抑制する、放熱パイプ」は共に結露の発生を抑えるものであり、結露の発生する場所に設けられるものであると認められるところ、引用発明の「結露防止ヒータ」を配設する際に、引用2発明の「放熱パイプ」が設けられている場所である「外殻」と「真空断熱パネル」との間に配設することにより、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。
イ 相違点2について
引用発明の「結露防止ヒータ」において、結露が生じる恐れがある状況でヒータに「通電」し、結露が生じない状況で、駆動する必要のないヒータの電源を切る「断電」をおこなうことは、引用文献6及び7にも記載されているように周知の技術であり、引用発明において、必要に応じて「通電及び断電を切り替える」ようにして「結露防止ヒータ」を機能させるか否かを選択的に行うことは、当業者が容易になし得た事項である。また、その場合に、結露防止ヒータが冷凍サイクルの駆動から独立した駆動可能なヒータとなっていることは明らかである。さらに、引用発明において、結露が生じない状況下で結露ヒータの断電を行うことに関する阻害要件も存在しない。
そうすると、引用発明において、上記周知の技術を適用して上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 請求人の主張について
なお、請求人は、令和1年6月5日に提出された審判請求書において、「すなわち、拒絶理由通知書で審査官が指摘しているように、引用文献2に開示されている発明は、『断熱キャビネットにおいて、真空断熱パネル13と外殻11との間に放熱パイプ49を備える』構成である。
そして、引用文献2には、『断熱キャビネットにおいて、真空断熱パネル13と外殻11との間に『放熱パイプとは別構成であって通電及び断電を切り替えることで前記冷凍サイクルの駆動から独立した駆動制御が可能なヒータ』を備える』構成は開示も示唆もされていない。
そのため、仮に引用文献1、2を組み合わせたとしても、引用文献1の断熱材15と外板11との間に、引用文献2の放熱パイプ49が設けられた構成となるだけである。」(第4ページ第14行目-23行目)と主張する。
しかしながら、上記ア及びイで述べたとおり、引用発明の「結露防止ヒータ」において、引用2技術の「放熱パイプ」が設けられている場所である「外殻」と「真空断熱パネル」との間に配設することは、引用発明の「結露防止ヒータ」、引用2技術の「放熱パイプ」が共に結露の発生の防止を目的としており、結露が生じやすい場所に設けられる熱源であることを考慮すれば、当業者が容易になし得た事項である。
また、相違点1について引用文献2以外にもたとえば、特開2014-238238号公報には、段落【0006】に「パイプヒーターと冷凍冷蔵庫の内板との間に、ウレタン発砲断熱材及び真空断熱材を搭載できるため」と記載されており、「パイプヒーター」を「真空断熱材」の外側、つまり「外板」と「真空断熱材」との間に設けることが示唆されている。
エ 効果について
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用2技術及び周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用2技術及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成31年2月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の一部は、以下のとおりである。
(1)理由1(進歩性)
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2000-227272号公報
引用文献2:特開2012-87993号公報
引用文献6:特開2014-202374号公報
引用文献7:特開2014-119170号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2、6及び7の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記第2 1(2)で検討した本願補正発明から、「真空断熱パネル」についての「芯材を包袋に収容して構成され」ることの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の[理由]2(4)で検討したとおり、引用発明、引用2技術及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、前記第2の[理由]2(4)の検討を踏まえると、引用発明、引用2技術及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2020-07-09 
結審通知日 2020-07-14 
審決日 2020-07-30 
出願番号 特願2015-41232(P2015-41232)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25D)
P 1 8・ 575- Z (F25D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅家 裕輔  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 山崎 勝司
塚本 英隆
発明の名称 冷蔵庫  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  
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