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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1367478
審判番号 不服2018-15858  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-29 
確定日 2020-11-10 
事件の表示 特願2015-539691「コンピューティングデバイス上の構成可能なインジケータ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 1日国際公開、WO2014/066259、平成28年 1月 7日国内公表、特表2016-500179、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2013年(平成25年)10月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年10月25日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年10月11日 :手続補正書の提出
平成29年 5月31日付け:拒絶理由通知書
平成29年 9月 1日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年11月28日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年 2月26日 :意見書の提出
平成30年 7月24日付け:拒絶査定(原査定)
平成30年11月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年 4月17日付け:拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由
通知」という。)
令和 2年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定(平成30年 7月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-20に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2004-334882号公報
B.特開2009-140281号公報
C.特開2010-061494号公報
D.特表2007-535215号公報
E.特表2012-509526号公報


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-20に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2012-168731号公報(当審で新たに引用した文献)
2.特開平11-265332号公報 (当審で新たに引用した文献)
3.特開2009-140281号公報(拒絶査定時の引用文献B)
4.特表2009-509326号公報(当審で新たに引用した文献)


第4 本願発明

本願請求項1-24に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明24」という。)は、令和2年7月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-24に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-24は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
コンピューティングデバイスであって、
前面部及び背面部を有するディスプレイユニットを備え、前記前面部はディスプレイ画面を含み、前記背面部は前記前面部とは反対側であり、
ユーザのアクティビティ情報を受信し、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用し、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定するように構成されたポリシーエージェントと、
前記ディスプレイユニットの前記背面部上に存在し、少なくとも1つのコマンドに基づいて前記コンピューティングデバイスの非ユーザに複数の色のうちの少なくとも1つを表示するように構成された多色インジケータユニットと
を備え、
前記多色インジケータユニットによって表示される前記少なくとも1つの色は、前記アクティビティ情報によって示される、前記ユーザが前記コンピューティングデバイスを動作させている状態に基づく、コンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの表示ポリシーは、企業ポリシー、管理者ポリシー、ユーザの好み、及びアプリケーション設定のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記ポリシーエージェントは、複数の表示ポリシーの階層順に基づいてどの表示ポリシーを適用するかを決定するようにさらに構成されている、請求項1または請求項2に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスは、ラップトップコンピュータである、請求項1?請求項3のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】 前記コンピューティングデバイスは、コンピュータ処理ユニットに接続される前記ディスプレイユニットを有するデスクトップコンピュータである、請求項1?請求項4のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記多色インジケータユニットは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのうちの各セグメントは色を独立して表示することができ、前記多色インジケータユニットは前記複数のセグメントを有する光拡散及び取付けアセンブリをさらに含む、請求項1?請求項5のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記アクティビティ情報はインターネットアクティビティを含み、前記少なくとも1つの表示ポリシーは、前記インターネットアクティビティの制御に関係するインターネット利用制御ポリシーを含み、前記ポリシーエージェントは、前記インターネットアクティビティに前記インターネット利用制御ポリシーを適用し、前記インターネットアクティビティに適用されている前記インターネット利用制御ポリシーの結果に基づいて前記少なくとも1つのコマンドを決定するように構成されている、請求項1?請求項6のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記インターネット利用制御ポリシーは、親による制御ポリシーに関係する、請求項7に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記多色インジケータユニットは、前記少なくとも1つのコマンドに基づいて、安全なインターネットブラウジングに関する緑色、警告的なインターネットブラウジングに関する黄色、安全でないインターネットブラウジングに関する赤色のうちの1つを表示するように構成されている、請求項7または請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記アクティビティ情報は、少なくとも1つのユーザアクションを示すユーザアクション情報を含む、請求項1?請求項9のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記アクティビティ情報は、アプリケーションからのアプリケーション要求を含む、請求項1?請求項10のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記アクティビティ情報は、前記コンピューティングデバイスに関連するメンテナンスアップグレード情報又はエラーの数を含む、請求項1?請求項11のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記状態は、前記ユーザによって設定されるユーザのチャットの状態である、請求項1?請求項12のいずれか1項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記チャットの状態は、取り込み中の状態、チャットを手短にすることを希望している状態、および、チャットが可能である状態を含む、請求項13に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
コンピューティングデバイス上のインジケータを介して色を制御及び表示するための方法であって、
ポリシーエージェントによって、ユーザのアクティビティ情報を受信することと、
前記ポリシーエージェントによって、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用することと、
前記ポリシーエージェントによって、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定することと、
前記コンピューティングデバイスのディスプレイ画面とは反対側のディスプレイユニットの背面側に存在する多色インジケータユニットによって、前記少なくとも1つのコマンドに基づいて前記コンピューティングデバイスの非ユーザに複数の色のうちの少なくとも1つを表示することと
を含み、
前記多色インジケータユニットによって表示される前記少なくとも1つの色は、前記アクティビティ情報によって示される、前記ユーザが前記コンピューティングデバイスを動作させている状態に基づく、方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの表示ポリシーは、企業ポリシー、管理者ポリシー、ユーザの好み、及びアプリケーション設定のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリシーエージェントによって、複数の表示ポリシーの階層順に基づいてどの表示ポリシーを適用するかを決定することをさらに含む、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アクティビティ情報はインターネットアクティビティを含み、前記少なくとも1つの表示ポリシーは、前記インターネットアクティビティの制御に関係するインターネット利用制御ポリシーを含み、前記適用することは、前記インターネット利用制御ポリシーを前記インターネットアクティビティに適用し、前記決定することは、前記インターネットアクティビティに適用されている前記インターネット利用制御ポリシーの結果に基づいて前記少なくとも1つのコマンドを決定する、請求項15?請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記インターネット利用制御ポリシーは、親による制御ポリシーに関係する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記表示することは、前記少なくとも1つのコマンドに基づいて、安全なインターネットブラウジングに関する緑色、警告的なインターネットブラウジングに関する黄色、安全でないインターネットブラウジングに関する赤色のうちの1つを表示する、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アクティビティ情報は、少なくとも1つのユーザアクションを示すユーザアクション情報を含む、請求項15?請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記アクティビティ情報は、アプリケーションからのアプリケーション要求を含む、請求項15?請求項21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記状態は、前記ユーザによって設定されるユーザのチャットの状態である、請求項15?請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記チャットの状態は、取り込み中の状態、チャットを手短にすることを希望している状態、および、チャットが可能である状態を含む、請求項23に記載の方法。」


第5 引用文献、引用発明等

(1) 引用文献1の記載及び引用発明

引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下、同じ。)。

ア 段落【0001】-【0006】
「【技術分野】
【0001】
本件は、異常行動検出装置、プログラム及び方法、並びにユーザ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、大学等では、情報機器(PC:Personal Computer)を利用した授業が行われることが多くなってきている。情報機器を利用した授業を担当する講師の中には、生徒による居眠りや授業に関係しない操作(ゲームなど)等の行動(異常行動)が頻繁に行われることによる成績低下を懸念し、異常行動の自動検出が必要と考えている者もいる。

・・・(中略)・・・

【発明が解決しようとする課題】
【0005】

・・・(中略)・・・

【0006】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの異常行動を適切に検出することが可能な異常行動検出装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。また、本件は、ユーザの行動を適切に管理することが可能なユーザ管理システムを提供することを目的とする。」

イ 段落【0013】-【0035】
「【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ユーザ管理システムの一実施形態について、図1?図18に基づいて詳細に説明する。図1には、異常行動検出装置としての異常行動検出サーバ10を含むユーザ管理システム100が概略的に示されている。ユーザ管理システム100は、異常行動検出サーバ10と、電源タップ管理装置70と、教師用端末31と、を備える。異常行動検出サーバ10と、電源タップ管理装置70と、教師用端末31とは、インターネットなどのネットワーク60を介して接続されている。
【0014】
また、電源タップ管理装置70には、多数の生徒用端末30が接続されて
いる。生徒用端末30は、学校等において授業を受ける生徒(ユーザ)が利用する端末であり、教師用端末31は教師が利用する端末である。生徒用端末30と教師用端末31とは、ネットワーク60を介して接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。本実施形態のユーザ管理システム100では、異常行動検出サーバ10が、生徒用端末30を利用する生徒が異常行動(例えば、居眠りやゲームを行うなどの行動)を行っているか否かを検出し、教師用端末31に報告する処理が行われる。
【0015】
生徒用端末30は、図2に示すように、第1装置としてのPC(Personal Computer)40と、第2装置としてのLCD(LiquidCrystal Display)
などのディスプレイ(以下、「LCD」と表記する)80と、を備える。PC40は、図2に示すように、処理部42と、電源制御部44と、操作検知部46と、電源供給部48とを有する。なお、処理部42及び電源制御部44は、PC40が有するCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0016】
処理部42は、PCにおいて実行すべき処理を実行する。電源制御部44は、操作検知部46の検知結果に基づいて、PC40の電源を制御する。ここで、操作検知部46は、キーボードやマウスの操作を検知するものであ
る。したがって、電源制御部44は、キーボードやマウスの操作が所定時間(第1時間)行われないときに、PC40を電源がオンの状態(起動状態)から、スタンバイ状態に変更する。また、電源制御部44は、スタンバイ状態からキーボードやマウスの操作があったときに、PC40の電源をオンの状態(起動状態)に変更したりする。
【0017】
電源供給部48は、電源タップ50から電力を取得して、PC40の各部に供給するとともに、取得した電力の一部をLCD80の電源供給部88に対して供給する。
【0018】
LCD80は、表示部82と、電源制御部84と、人感センサ86と、電源供給部88と、を有する。
【0019】
表示部82は、PC40の処理部42で処理された情報を表示する。電源制御部84は、人感センサ86の検知結果に基づいて、LCD80の電源を制御する。ここで、人感センサ86は、温度センサや赤外線センサなどであり、LCD80の前に人が存在しているか否かを検知するセンサである。電源制御部84は、人感センサ86が人を検知しない状態が上述した第1時間よりも短い第2時間だけ継続したときに、LCD80を電源がオンの状態(起動状態)からスタンバイ状態に変更する。また、電源制御部44は、LCD80がスタンバイ状態にあるときに人感センサ86が人を検知した場合に、LCD80の電源をオンの状態に変更する。なお、LCD80が起動状態にある場合において、PC40が起動状態からスタンバイ状態になるときには、電源供給部88は、PC40がスタンバイ状態に変更されるのと同時又はほぼ同時に、LCD80を起動状態からスタンバイ状態に変更する。
【0020】
電源供給部88は、電源供給部48を介して、電源タップ50から電力を取得し、取得した電力をLCD80の各部に供給する。
【0021】
ここで、電源制御部44及び電源制御部84では、スタンバイ時間設定値(第1時間、第2時間)として、図3に示すような時間を設定している。すなわち、電源制御部44は、PC40が起動している状態から、操作検知部46においてキーボード、マウスの操作が5分間(第1時間)検知されない場合に、PC40(及びLCD80)をスタンバイ状態に変更する。また、電源制御部84は、LCD80が起動している状態から、人感センサ86において人が1分間(第2時間)検知されない場合に、LCD80をスタンバイ状態に変更する。
【0022】
したがって、本実施形態では、通常、生徒が生徒用端末30(LCD80)の前からいなくなった場合(離席した場合)、初めにLCD80がスタンバイ状態となり、その後に、PC40がスタンバイ状態になる。この場合、生徒用端末30における消費電力の変化は、図4(a)に示すようになる。
一方、生徒が生徒用端末30の前にいるが、当該生徒がキーボードやマウスを操作しなかった場合、PC40がスタンバイ状態になると同時に、LCD80もスタンバイ状態となる。この場合、生徒用端末30における消費電力の変化は、図4(b)に示すようになる。
【0023】
なお、各生徒用端末30の消費電力の変化は、図1に示す電源タップ50に内蔵された電力情報検出装置としてのセンサ52により検出することが可能である。センサ52は、例えば1W単位で、消費電力を検出することが可能であるものとする。センサ52の検出結果は、電源タップ管理装置70に送信され、当該電源タップ管理装置70において管理される。なお、図1の教師用端末31についても、生徒用端末30と同一の端末を採用することができる。ただし、これに限らず、教師用端末31としては、図2とは異なる構成の端末を採用してもよい。
【0024】
次に、図1の異常行動検出サーバ10について説明する。図5には、異常行動検出サーバ10のハードウェア構成が概略的に示されている。この図5に示すように、異常行動検出サーバ10は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えており、異常行動検出サーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。異常行動検出サーバ10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(異常行動検出プログラム)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(異常行動検出プログラム)をCPU90が実行することにより、図6の各部の機能が実現される。
【0025】
図6には、異常行動検出サーバ10の機能ブロック図が示されている。図6に示すように、異常行動検出サーバ10では、CPU90が異常行動検出プログラムを実行することにより、消費電力情報取得部20、取得部としての電力データ取得部22、特定部24、判断部26、表示部28、設定部32、としての機能を実現している。なお、図6では、RAM94、HDD96等に格納されている各種テーブルも図示している。各種テーブルには、電力判定閾値テーブル102と、消費電力情報テーブル104と、電力波形テーブル106と、異常行動監視時間算出テーブル108と、異常行動判断占有率テーブル110と、講義テーブル112と、異常行動回数(時間帯)テーブル114と、異常行動回数(講義)テーブル116と、が含まれる。
【0026】
消費電力情報取得部20は、各生徒用端末30の消費電力情報1?3を取得して、消費電力情報テーブル104に格納する。なお、消費電力情報1?3は、生徒用端末30の状態(起動状態やスタンバイ状態)ごとの消費電力情報を意味するが、当該情報の詳細については後述するものとする。
【0027】
電力データ取得部22は、電源タップ50の各コンセント(各生徒用端末30)で消費される電力を所定時間間隔(例えば、1分間隔)で取得し、電力波形テーブル106に格納する。
【0028】
特定部24は、電力データ取得部22が取得した各生徒用端末30の消費電力に基づいて、異常行動を行っている可能性がある生徒を特定する。判断部26は、特定部24が特定した生徒の利用する生徒用端末30の消費電力と、当該生徒と同一又は同等の行動をとるべき他の生徒(すなわち、同一の授業を受けている生徒)が利用する生徒用端末30の消費電力とが異なる状態にある場合に、特定部24が特定した生徒が異常行動をしていると判断する。
【0029】
表示部28は、判断部26が、異常行動を行っていると判断した生徒の情報を、教師用端末31に対して表示する。設定部32は、異常行動基準時間を設定する。
【0030】
電力判定閾値テーブル102は、消費電力情報1?3として、所定の幅を有する値を設定するため、当該幅を規定するテーブルである。電力判定閾値テーブル102は、図13(a)に示すようなテーブルであり、ここでは、幅として、±3Wが定義されている。消費電力情報テーブル104は、図13(b)に示すように、消費電力情報1?3の値を定義するテーブルである。
【0031】
電力波形テーブル106は、図14に示すように、各端末の、所定時間(例えば1分)ごとの消費電力を格納するテーブルである。
【0032】
異常行動監視時間算出テーブル108は、特定部24が、各生徒の異常行動の可能性を判断するために用いたり、設定部32が、異常行動監視時間を算出したりするのに用いるテーブルである。具体的には、図15に示すように、各生徒の異常行動の時間(他の生徒とは異なる行動を行っている時間)を格納する部分(A?Fの行)と、スタンバイ解除時間平均、異常行動監視基準時間、異常行動監視時間補正値、異常行動監視時間を格納する部分と、を有する。なお、異常行動監視時間補正値と、異常行動監視時間は、実際には、各生徒ごとに異なる値となるが、図示の便宜上、図15では、1つのみ(例えば生徒A)を記載している。なお、異常行動監視時間は、次式(1)にて求められる時間である。
異常行動監視時間=異常行動監視基準時間+異常行動監視時間補正値
…(1)
【0033】
異常行動判断占有率テーブル110は、異常行動を行っている可能性のある生徒の周辺の生徒のうち、異常行動を行っている可能性のある生徒と異なる行動をどの程度(占有率)の生徒がとっていれば、異常行動を実際に行っていると判定するかを定めるテーブルである。具体的には、異常行動判断占有率テーブル110は、図16に示すようなテーブルであり、占有率は、過去の異常行動回数に応じて定められているものとする。
【0034】
講義テーブル112は、各講義の情報と、各講義における異常行動監視基準時間とを格納する。具体的には、講義テーブル112は、図17に示すようなテーブルである。図17の講義テーブル112では、各講義の情報として、各講義の講義IDと、時限と、曜日と、講義名とが定義されている。
【0035】
異常行動回数(時間帯)テーブル114は、図18(a)に示すように、時間帯と、異常行動回数と、講義参加人数とを含む。また、異常行動回数(講義)テーブル116は、図18(b)に示すように、講義IDと、異常行動回数と、講義参加人数とを含む。なお、図18(a)、図18(b)のテーブルは、いずれも、生徒ごとに作成されるテーブルである。」

ウ よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「ユーザ管理システム100は、異常行動検出サーバ10と、電源タップ管理装置70と、教師用端末31と、を備え、異常行動検出サーバ10と、電源タップ管理装置70と、教師用端末31とは、インターネットなどのネットワーク60を介して接続されており、
電源タップ管理装置70には、多数の生徒用端末30が接続されており、生徒用端末30は、学校等において授業を受ける生徒(ユーザ)が利用する端末であり、教師用端末31は教師が利用する端末であり、
異常行動検出サーバ10は、生徒用端末30を利用する生徒が異常行動(例えば、居眠りやゲームを行うなどの行動)を行っているか否かを検出し、教師用端末31に報告する処理を行い、
生徒用端末30は、PC40と、LCDなどのディスプレイ(LCD)80と、を備え、
PC40は、処理部42と、電源制御部44と、操作検知部46と、電源供給部48とを有し、
電源制御部44は、操作検知部46の検知結果に基づいて、PC40の電源を制御し、操作検知部46は、キーボードやマウスの操作を検知するものであって、電源制御部44は、キーボードやマウスの操作が所定時間(第1時間)行われないときに、PC40を電源がオンの状態(起動状態)から、スタンバイ状態に変更し、また、スタンバイ状態からキーボードやマウスの操作があったときに、PC40の電源をオンの状態(起動状態)に変更したりし、
LCD80は、表示部82と、電源制御部84と、人感センサ86と、電源供給部88と、を有し、
電源制御部84は、人感センサ86の検知結果に基づいて、LCD80の電源を制御し、人感センサ86は、温度センサや赤外線センサなどであり、LCD80の前に人が存在しているか否かを検知するセンサであって、電源制御部84は、人感センサ86が人を検知しない状態が上述した第1時間よりも短い第2時間だけ継続したときに、LCD80を電源がオンの状態(起動状態)からスタンバイ状態に変更し、また、LCD80がスタンバイ状態にあるときに人感センサ86が人を検知した場合に、LCD80の電源をオンの状態に変更し、なお、LCD80が起動状態にある場合において、PC40が起動状態からスタンバイ状態になるときには、PC40がスタンバイ状態に変更されるのと同時又はほぼ同時に、LCD80を起動状態からスタンバイ状態に変更し、
通常、生徒が生徒用端末30(LCD80)の前からいなくなった場合(離席した場合)、初めにLCD80がスタンバイ状態となり、その後に、PC40がスタンバイ状態になる一方、生徒が生徒用端末30の前にいるが、当該生徒がキーボードやマウスを操作しなかった場合、PC40がスタンバイ状態になると同時に、LCD80もスタンバイ状態となり、
各生徒用端末30の消費電力の変化は、電源タップ50に内蔵された電力情報検出装置としてのセンサ52により検出することが可能であって、センサ52の検出結果は、電源タップ管理装置70に送信され、当該電源タップ管理装置70において管理され、
異常行動検出サーバ10は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD)96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えており、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(異常行動検出プログラム)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(異常行動検出プログラム)をCPU90が実行することにより、消費電力情報取得部20、取得部としての電力データ取得部22、特定部24、判断部26、表示部28、設定部32、としての機能を実現しており、
RAM94、HDD96等に格納されている各種テーブルには、電力判定閾値テーブル102と、消費電力情報テーブル104と、電力波形テーブル106と、異常行動監視時間算出テーブル108と、異常行動判断占有率テーブル110と、講義テーブル112と、異常行動回数(時間帯)テーブル114と、異常行動回数(講義)テーブル116と、が含まれ、
消費電力情報取得部20は、各生徒用端末30の消費電力情報1?3を取得して、消費電力情報テーブル104に格納し、なお、消費電力情報1?3は、生徒用端末30の状態(起動状態やスタンバイ状態)ごとの消費電力情報を意味し、
電力データ取得部22は、電源タップ50の各コンセント(各生徒用端末30)で消費される電力を所定時間間隔(例えば、1分間隔)で取得し、電力波形テーブル106に格納し、
特定部24は、電力データ取得部22が取得した各生徒用端末30の消費電力に基づいて、異常行動を行っている可能性がある生徒を特定し、
判断部26は、特定部24が特定した生徒の利用する生徒用端末30の消費電力と、当該生徒と同一又は同等の行動をとるべき他の生徒(すなわち、同一の授業を受けている生徒)が利用する生徒用端末30の消費電力とが異なる状態にある場合に、特定部24が特定した生徒が異常行動をしていると判断し、
表示部28は、判断部26が、異常行動を行っていると判断した生徒の情報を、教師用端末31に対して表示する、
ユーザ管理システム100における生徒用端末30。」

(2) 周知技術

ア 引用文献2の記載

引用文献2には、図面(特に、図7を参照。)とともに、以下の記載がある。

(ア) 段落【0001】-【0007】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子メールの送受信機能を有する、例えばポータブルタイプのワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、情報端末等の携帯型電子機器、及び電子メール着信報知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インターネット並びにパーソナルコンピュータの普及と通信インフラストラクチャの装備により電子メールが広く利用されるようになってきた。しかし現在のインターネットやパーソナルコンピュータ通信を使用する標準的な電子メールでは、本人宛の電子メールが到着しているか否かは、メールサーバと呼ばれる電子メール一時記憶装置にアクセスして確認する方法が一般的である。そのため電子メールが到着していない、所謂、空振りの場合は、操作のための時間、アクセスのための通信料等の無駄が生じていた。
【0003】一方、LANに接続されたパーソナルコンピュータ相互間で電子メールの交換をする方式では、電子メールが到着していることをパーソナルコンピュータの画面上に表示することが行なわれている。
【0004】この方式ではパーソナルコンピュータの電子メールソフトウェアを起動し、パーソナルコンピュータを使用中の人に電子メールの到着を知らせることが前提であり、不特定の人を対象に、任意の時間に(例えば着信時に)到着を知らせることが前提ではない。同じようにパーソナルコンピュータの画面上に電子メールの到着を表示するとともに、パーソナルコンピュータのブザーで知らせる方式もあるが,これも同様に不特定の人を対象に、任意の時間に到着を知らせることが前提ではない。
【0005】またパーソナルコンピュータのタイマ機能を使用して、パーソナルコンピュータの使用者が不在の時にも自動的に本人宛の電子メールが到着しているか否かメールサーバにアクセスして確認する方法を採用した場合でも到着を不特定の人に知らせる手段を持っていなかった。
【0006】従って、例えばオフィス等に於いて電子メール送受信機能をもつ複数台の端末を少人数で管理する場合、更にはメールによる緊急連絡、メールの優先度管理等に於いて不都合が生じていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑みなされたもので、電子メール着信報知専用の報知手段を設けて、機器の使用状態に関係なく、常時、メールの到着時にその旨を機器周囲に明確に報知して、メールによる緊急連絡、優先度管理等が容易かつ確実に行え、以て電子メールの機能拡充と信頼性の向上が図れる、携帯型電子機器及び電子メール着信報知方法を提供することを目的とする。」

(イ) 段落【0031】-【0039】
「【0031】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態による装置の構成を示すブロック図であり、ここではプリンタを備えた携帯型の情報端末(又はワードプロセッサ)を例にとる。

・・・(中略)・・・

【0036】25はシステム電源の制御及び管理を行う電源制御部(PS-CONT)であり、26は電源制御部(PS-CONT)25の制御の下にシステム電源を供給/遮断制御する電源回路(PS)、27は電源回路(PS)26に動作用の電力を供給するバッテリィ電源(BATT)、28は同じく動作用の電力を供給する外部電源(AC)である。
【0037】上記電源制御部(PS-CONT)25は、電源制御用のマイクロプロセッサ(MP)251を用いて構成され、当該マイクロプロセッサ(MP)251のプログラム制御によりシステム電源の制御及び管理を行う。ここではシステム電源オフ時に於いて電源回路(PS)26よりバックアップ動作電源(VBa)を受け、システム電源のオン/オフ状態に拘わらず、常時、電源スイッチのオン/オフ操作を含むシステム電源の状態監視及び電源制御を行っている。更に、ここでは、上記電源制御用マイクロプロセッサ(MP)251のプログラム制御により、電子メールの着信報知制御テーブル(TBL)252を用いて、図6に示すような電子メールの着信報知制御を行う。この電子メールの着信報知制御動作については後述する。
【0038】29は上記電源制御用マイクロプロセッサ(MP)251により駆動制御される表示器駆動回路(LAMP-DRV)であり、システム電源オフ時に於いてはバックアップ動作電源(VBb)を受けて、システム電源のオン/オフ状態に拘わらず、電子メールの着信時に電源制御部(PS-CONT)25の制御の下に後述する電子メール着信表示器(L)30を点灯駆動する。
【0039】30は当該表示器駆動回路(LAMP-DRV)29により点灯駆動制御される電子メール着信表示器(L)であり、ここでは図2及び図3に示すようにディスプレイユニット(DISP)23を実装した表示部筐体32の開閉位置に拘わらず常に視認できるように装置本体31に設けられるもので、その構成は後述する。」

(ウ) 段落【0043】
「【0043】図5は上記実施形態に於いて電源制御部(PS-CONT)25の電源制御用マイクロプロセッサ(MP)251により参照される電子メール着信報知制御テーブル(TBL)252の構成例を示す図であり、ここでは、着信報知の対象となるメールアドレスそれぞれに、報知形態として、表示色(ここでは赤、黄、緑の3色)と、報知音(例えばブザー、メロディ音等)との組み合わせ又は単独による設定が可能であり、記録形態として、印刷(プリントアウト)、及びメモリ保存(記憶)の双方又は単独による設定が可能である。これらの設定及び更新、解除はディスプレイユニット(DISP)23の表示画面上に於いて、シート形式によりキーボード(KB)17、ポインティングデバイス19等を用いて容易に行うことができる。」

(エ) 段落【0054】-【0055】
「【0054】図7は本発明の第2実施形態に於ける装置の外観構造を示すもので、ここではディスプレイユニット(DISP)23を実装した表示部筐体32A の背面部(蓋面部)に、電子メール着信表示器(L)30A を内部に設けた透明又は半透明のランプケース33A が設けられた構造をなす。
【0055】このような構造に於いても装置の使用状態に拘わらず、常に、電子メールの着信を外部に報知できる。即ち、装置本体31A には、ディスプレイユニット(DISP)23を実装した表示部筐体32A が回動自在に設けられ、非使用時は図2に示すように装置本体31A 上でキーボード(KB)17を塞ぐように閉じられている。従って、非使用時は、電子メールの着信検知に伴って、着信表示器(L)30A より放射された光が図示するようにランプケース33A を介して装置の周囲に放射され、遠方よりメールの着信をリアルタイムで容易に認識することができる。

イ 引用文献3の記載

引用文献3には、図面(特に、図14を参照。)とともに、以下の記載がある。

(ア) 段落【0001】-【0027】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等における内部システム(企業内システム)でのセキュリティを確保するための技術に関し、特に、その内部システムを利用する利用者(社員,従業員)に対して、当該内部システムのセキュリティを確保するための電子教育を、実態に即し且つ徹底して行なえるようにすると共に、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置(利用者端末,サーバ等)に保有される、個人情報や機密情報などを含むファイルを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】

・・・(中略)・・・

【0011】
また、近年は、個人情報の保護の意識の高まりに伴い、個人情報の不用意な流出・漏洩や個人情報の不正利用などを確実に防止することが望まれている。特に、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報取扱事業者は、個人情報の流出・漏洩や不正利用をより確実に防止する必要が生じている。ここで、個人情報とは、単体もしくは組合せによって特定の個人を識別することのできる情報で、例えば氏名,生年月日,連絡先(住所,居所,電話番号,電子メールアドレス等)などが含まれる。各種企業内で保存されて取り扱われる顧客情報,取引先情報などが個人情報に該当する場合が多い。
【0012】
このような個人情報は、当然、企業にとっては秘匿性の高い機密情報に該当するが、企業にとっての機密情報としては、個人情報のほかにも、発表前の新製品,特許出願前の技術,経営戦略などに係る情報が該当する。なお、システム監査学会によれば、機密情報とは、情報資産の中で、許可した者以外に開示したり、目的外に利用された場合、経営資源としての価値を損なうおそれのある情報と定義されている。
【0013】
上述のような個人情報や機密情報の流出・漏洩や不正利用を確実に防止するためには、集中管理システムを導入し、これらの個人情報や機密情報を一元的に管理することが望ましい。しかしながら、現実には、企業内において、顧客情報,取引先情報などの個人情報は、社員個人によって利用される複数の利用者端末〔パーソナルコンピュータ(以下、PCと略記する場合がある)〕や各部署のサーバに、ばらばらに分散して保存されている場合が多い。より具体的には、個々の社員が各自の業務都合で自分のPCに個人情報(顧客情報等)を保存していたり、中央データベース、あるいは、各社員によって独自に収集された個人情報のサブセットがPCにまちまちに存在していたりする。
【0014】
このため、上記集中管理システムを構築する場合、管理者は、まず最初に、企業内にばらばらに存在する個人情報や機密情報の洗い出しを行ない、企業内のどこにどのような個人情報や機密情報が存在しているかを把握する必要があるが、個人情報や機密情報の洗い出しは、管理者が各社員に指示し人間対人間で全社・全部門の人的な協力を得て行なわれることになる。

・・・(中略)・・・

【発明が解決しようとする課題】
【0018】

・・・(中略)・・・

【0021】
また、セキュリティに関連して、企業内の多数の端末に分散して存在する個人情報ファイルなどの情報を確実に探査し管理可能な状態に置くことが望まれている。ここで、各端末において新たに作成・追加された個人情報ファイルを確実に洗い出すためには、例えば定期的に個人情報ファイルの探査を行なう必要がある。また、各PCの個人情報ファイルをサーバなどによって把握し管理したとしても、各端末から書出された記憶媒体(FD、CD-R(RW)、DVD-R(RW)、半導体メモリ)、電子メールやファイル転送ソフトによる送信から個人情報が流出する可能性がある。
【0022】
したがって、各PCの個人情報ファイルを管理する際ことに加え、電子ファイルの外部記憶媒体への書出もしくは他のコンピュータへの送信を実行する行為についても管理を行う必要がある。しかし、各端末からの個人情報の書出もしくは送信などによる情報拡散について配慮されたシステムは存在していないのが現状であった。
【0023】
また、以上の特許文献7などのように、上述のごとく各社員からの申告といった人的な協力のもとで個人情報や機密情報の洗い出しを行なうと、手間がかかるだけでなく全ての個人情報や機密情報を確実に漏れなく洗い出すのは困難になる。特に、個人情報や機密情報の分散化が進んでいると、個人情報や機密情報の洗い出しは極めて困難になる。また、個人情報や機密情報の洗い出しに漏れがあると、その個人情報や機密情報の状態を管理できず、不用意な流出・漏洩や不正利用を招くおそれもある。
【0024】
また、特許文献8では、不正複写を防止するための技術が開示されているが、上述のごとく企業内で個人情報が分散して存在している場合の対処については開示されていない。
さらに、特許文献9においては、組織内部システムから重要情報が流出するのを防止するための技術が開示されているが、やはり、上述のごとく企業内で個人情報が分散して存在している場合の対処については開示されていない。
【0025】
この場合、パーソナルコンピュータを使用していない状態において、そのパーソナルコンピュータが個人情報を有するものであることを示すことは難しい。
なお、パーソナルコンピュータは小型あるいは薄型になっており、持ち出しがきわめて容易である。そのような状況で、意図しない状況で、あるいは、個人情報が格納されていることに気づかず、個人情報を有するパーソナルコンピュータを社内などの管理エリアから外部に持ち出してしまう状況が発生しうる。
【0026】
また、管理エリアの守衛所などでパーソナルコンピュータの持ち出し行為が発見されたとしても、そのパーソナルコンピュータに個人情報が含まれているか否か、持ち出し許可を得ているか否かを判断することが難しいという問題も生じてくる。
【0027】
なお、パーソナルコンピュータに保存されていて管理すべき対象となる情報としては、個人情報や機密情報以外の各種の情報、たとえば、法人(組織)情報、建築物などの営造物情報、各種設備・配備情報、警備情報、自然公園などでの植物情報、動物園などでの動物情報、その他各種の保護すべき情報についても、同様に管理することが望ましい。」

(イ) 段落【0121】-【0125】
「【0121】
また、上述した管理条件は、管理者側が定めた利用者端末の望ましい使用条件あるいは使用状態を意味しており、安全性が高いことや管理者の定めた方針に合致していることをも意味しており、具体的には下記項目(1)?(5)のものが挙げられる。いずれの管理条件も、各利用者端末10がその管理条件を満たす場合にその管理条件を満たさない場合よりも安全度合いや管理条件満足度合いが高くなるような条件である。
【0122】
(1)利用者端末10にセキュリティ対策ソフトウエアがインストールされ、オン設定になっていること。
(2)利用者端末10における、セキュリティ対策ソフトウエアとしてのセキュリティパッチ更新ソフトウエアのセキュリティパッチの更新情報が最新であること。
【0123】
(3)利用者端末10における、セキュリティ対策ソフトウエアとしてのウイルス対策ソフトウエアのウイルス定義ファイルの更新情報が最新であること。
(4)利用者端末10に危険ソフトウエアがインストールされていないこと。危険ソフトウエアとしては、仮想VPNソフトウエア,P2Pソフトウエア,スパイウエア,ファイル交換ソフトウエア(例えばWinny)などが挙げられる。
【0124】
(5)利用者端末10が、ソフトウエア等の不正コピーを保有していないこと。
または、管理条件は、管理者側が定めた利用者端末の望ましい使用条件あるいは使用状態として、上記(1)?(5)に加えて、下記項目(a)?(g)のものが挙げられる。いずれの管理条件も、各利用者端末10がその管理条件を満たす場合にその管理条件を満たさない場合よりも安全度合いや管理条件満足度合いが高くなるような条件である。
【0125】
(a)利用者端末に使用許可ソフトウエア以外のソフトウエアがインストールされていないこと、
(b)利用者端末に使用禁止ソフトウエアがインストールされていないこと、
(c)利用者端末に使用許可ソフトウエア以外のソフトウエア用のデータが保存されていないこと、
(d)利用者端末に使用禁止ソフトウエア用のデータが保存されていないこと、
(e)利用者端末に使用許可されていない共有設定が存在しないこと、
(e)利用者端末に許可されていないフォルダが作成されていないこと、
(f)利用者端末に使用許可周辺機器以外の周辺機器が接続されていないこと、
(g)利用者端末に使用禁止周辺機器が周辺機器が接続されていないこと、
なお、この管理条件は、管理者側が定めた利用者端末の望ましい使用条件あるいは使用状態として、上記項目(1)?(g)のうちのどの項目を満たすか、あるいは、幾つの項目数を満たすかを定めてもよい。」

(ウ) 段落【0233】-【0236】
「【0233】
〔2-2-1〕利用者端末の詳細構成:
図10(a)は本発明の第一実施形態としての管理システムの全体機能構成を示すブロック図で、この図10(a)に示される管理システム1は、複数の利用者端末(個人情報管理機能付き情報処理装置;パーソナルコンピュータ等の端末装置)10と、これらの利用者端末10とネットワーク〔例えばLAN(Local Area Network)〕30を介して相互に通信可能に接続されこれらの利用者端末10における個人情報ファイルを管理する管理サーバ20とを備えて構成されている。
【0234】
また、利用者端末10の近傍には、ネットワーク30に接続され、ICタグに対して書き込みを行うICタグライタ40が備えられている。さらに、利用者端末10が設置されている設置スペース2の出入り口に設けられたゲート100近傍に、ネットワーク30と接続されたICタグリーダ50と、ネットワーク30と接続された警報装置60とが備えられている。なお、この警報装置60は、ICタグリーダ50に内蔵されていてもよい。
【0235】
また、ICタグリーダ50は、利用者端末10が設置されている設置スペース2の内部や外部の複数の位置、たとえば、通路、他の部屋(同じ建物内だけでなく、各地の始点や営業所も含む)、階段、エレベータやエスカレータの出入り口、建物の出入り口、敷地の出入り口、などの各所に配置されていると、なお好ましい。
【0236】
また、本実施形態において、利用者端末10の設置スペース2とは、個人情報ファイルを有する利用者端末10が存在すべきとして定められた場所であり、特定の室内、特定のフロア、特定の建物全体、特定の工場や研究所などの施設における敷地内、などの何れかを意味している。」

(エ) 段落【0262】-【0263】
「【0262】
また、管理条件判断結果表示が要求された場合には、利用者端末10は、ICタグ10eに書き込まれている管理条件判断結果を、制御部10jの制御により状態表示部10kに表示する(図12中のステップS2008)。なお、この場合には、図13のように、ICタグ10e近傍に、利用者端末10の動作とは独立して動作する制御部10jと状態表示部10kとを設けておく。
【0263】
そして、図14のように、状態表示部10kを、利用者端末10の表示部18(図14(a)参照)とは独立して筐体表面などに配置しておく(図14(b)(c))。これにより、利用者端末10が動作状態になく、持ち出される状態においても、利用者端末10が管理条件を満たしていないかを確認することが容易に行える。図14(b)は管理条件を満たしていない状態であり、必要に応じてレベルの表示を行っても良い。また、図14(c)は管理条件違反が存在する場合の表示で、点滅させるなどによって目立つような表示とすることが望ましい。」

(オ) 段落【0273】-【0275】
「【0273】
または、この実施形態では、状態表示部10kを、図16(b)のように、導光板18iと反射板18jとの間、に有している。
そして、利用者端末10に状態表示部10kに表示を行った具体例を図17に示す。図17(a)は利用者端末10のメインディスプレイに積層状態に状態表示部10kを配置した具体例である。図17(b)は利用者端末10のサブディスプレイに積層状態に状態表示部10kを配置した具体例である。
【0274】
なお、図17(a)のように利用者端末10のメインディスプレイの全体に状態表示部10kを配置するかわりに、メインディスプレイの一部分に状態表示部10kをを配置しても良い。
【0275】
なお、状態表示部10kの表示としては、図17のような、評価結果や管理条件判断結果の他に、セキュリティレベル、持ち出し、アクセス権限、所定の情報ファイルの所有の有無などに関するメッセージ表示であってもよいし、アクセス権限やセキュリティレベルに応じた異なる色の表示や点滅表示であってもよいし、持ち出し許可であれば青色表示、持ち出し禁止であれば赤色点滅表示、などのように、色や点滅状態などの表示でも良い。」

ウ 周知技術

上記ア、イによれば、「パーソナルコンピュータにおいて、情報を表示する表示部を、ディスプレイが実装された筐体の背面に設けること」(特に、上記ア(エ)、イ(エ))や、「パーソナルコンピュータにおいて、情報の内容に対応付けられた色を用いて、情報を表示すること」(特に、上記ア(ウ)、イ(オ))は、周知技術である。

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「ユーザ管理システム100における生徒用端末30」は、本願発明1の「コンピューティングデバイス」に相当する。

イ 引用発明の「生徒用端末30は、PC40と、LCDなどのディスプレイ(LCD)80と、を備え」るものであって、「LCDなどのディスプレイ(LCD)80」は、前面部にディスプレイ画面を有するものであるから、引用発明の、前面部にディスプレイ画面を有する「LCDなどのディスプレイ(LCD)80」は、本願発明1の「前面部及び背面部を有するディスプレイユニット」であって、「前記前面部はディスプレイ画面を含み、前記背面部は前記前面部とは反対側であ」る「ディスプレイユニット」に相当する。

ウ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりであるといえる。

[一致点]
「コンピューティングデバイスであって、
前面部及び背面部を有するディスプレイユニットを備え、前記前面部はディスプレイ画面を含み、前記背面部は前記前面部とは反対側である、コンピューティングデバイス。」

[相違点1]
本願発明1では、コンピューティングデバイスが、「ユーザのアクティビティ情報を受信し、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用し、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定するように構成されたポリシーエージェント」を備えるのに対して、引用発明では、「ユーザ管理システム100における生徒用端末30」が、ポリシーエージェントに対応する機能手段を備えていない点。

[相違点2]
本願発明1は、「前記ディスプレイユニットの前記背面部上に存在し、少なくとも1つのコマンドに基づいて前記コンピューティングデバイスの非ユーザに複数の色のうちの少なくとも1つを表示するように構成された多色インジケータユニット」を備えるのに対して、引用発明は、そのような「多色インジケータユニット」を備えていない点。

[相違点3]
本願発明1では、「前記多色インジケータユニットによって表示される前記少なくとも1つの色は、前記アクティビティ情報によって示される、前記ユーザが前記コンピューティングデバイスを動作させている状態に基づく」ものであるのに対して、引用発明では、そもそも、「多色インジケータユニット」を備えていない点。

(2)相違点についての判断

ア 相違点1について

(ア) 引用発明の「生徒(ユーザ)」の「キーボードやマウスの操作を検知する」「操作検知部46の検知結果は、本願発明1の「ユーザのアクティビティ情報」に相当する。同様に、引用発明の「生徒(ユーザ)」が「LCD80の前に」「存在しているか否かを検知する」「人感センサ86の検知結果」も、本願発明1の「ユーザのアクティビティ情報」に相当する。

(イ) そして、引用発明の「生徒用端末30」の「電源制御部44」は、「生徒(ユーザ)」の「キーボードやマウスの操作を検知する」「操作検知部46の検知結果に基づいて、」「キーボードやマウスの操作が所定時間(第1時間)行われないときに、PC40を電源がオンの状態(起動状態)から、スタンバイ状態に変更し、また、スタンバイ状態からキーボードやマウスの操作があったときに、PC40の電源をオンの状態(起動状態)に変更したり」するものであって、「異常行動検出サーバ10」において、「特定部24は、電力データ取得部22が取得した各生徒用端末30の消費電力に基づいて、異常行動を行っている可能性がある生徒を特定し、判断部26は、特定部24が特定した生徒の利用する生徒用端末30の消費電力と、当該生徒と同一又は同等の行動をとるべき他の生徒(すなわち、同一の授業を受けている生徒)が利用する生徒用端末30の消費電力とが異なる状態にある場合に、特定部24が特定した生徒が異常行動をしていると判断し、表示部28は、判断部26が、異常行動を行っていると判断した生徒の情報を、教師用端末31に対して表示する」ものである。
ここで、「特定部24が特定した生徒の利用する生徒用端末30の消費電力と、当該生徒と同一又は同等の行動をとるべき他の生徒(すなわち、同一の授業を受けている生徒)が利用する生徒用端末30の消費電力とが異なる状態にある場合に、特定部24が特定した生徒が異常行動をしていると判断」することは、ポリシーを適用した判断ということができ、また、「異常行動を行っていると判断した生徒の情報を、教師用端末31に対して表示する」ための所定のコマンドが決定されて、教師用端末31に送信されていることは、システム構成上、自明な構成であるといえる。
そうしてみると、「特定部24が特定した生徒の利用する生徒用端末30の消費電力と、当該生徒と同一又は同等の行動をとるべき他の生徒(すなわち、同一の授業を受けている生徒)が利用する生徒用端末30の消費電力とが異なる状態にある場合に、特定部24が特定した生徒が異常行動をしていると判断し、」「異常行動を行っていると判断した生徒の情報を、教師用端末31に対して表示する」ことから、「異常行動検出サーバ10」は、「生徒用端末30」におけるユーザのアクティビティ情報を受信し、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用し、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定するように構成された」ものであると認めることができる。

(ウ)しかしながら、引用発明の「異常行動検出サーバ10」における上記構成を「生徒用端末30」に備えるようにすることについて、引用文献1には記載も示唆もなく、特に、引用発明では、「特定した生徒の利用する生徒用端末30の消費電力と、当該生徒と同一又は同等の行動をとるべき他の生徒が利用する生徒用端末30の消費電力とが異なる状態にある」という生徒用端末間の相対的な状態に基づいて、生徒の異常行動を判断していることから、引用発明の「異常行動検出サーバ10」における上記構成を「生徒用端末30」に備えるようにして、各「生徒用端末30」が単独で生徒の異常行動を判断することまで想定されていたとは認められない。
また、引用発明の「異常行動検出サーバ10」は、「生徒用端末30」におけるユーザのアクティビティ情報を受信し、異常行動を行っていると判断した生徒の情報を「教師用端末31」に対して表示するものであることから、引用発明の「異常行動検出サーバ10」における上記構成を「生徒用端末30」に備えるようにしたとしても、直ちにその判断した生徒の情報を当該「生徒用端末30」における表示に活用するものを容易に想到し得たとまではいえない。

(エ)そうしてみると、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。また、相違点1に係る本願発明1の構成は、上記引用文献2-4には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるとも言えない。

イ したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-14について

本願発明2-14も、本願発明1の「コンピューティングデバイスが、ユーザのアクティビティ情報を受信し、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用し、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定するように構成されたポリシーエージェントを備える」という同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明15-24について

本願発明15-24は、本願発明1-3、7-11、13、14に対応する方法の発明であり、本願発明1の「コンピューティングデバイスが、ユーザのアクティビティ情報を受信し、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用し、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定するように構成されたポリシーエージェントを備える」ことに対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2、3に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断

令和2年7月21日にされた手続補正により、補正後の請求項1-14は、「コンピューティングデバイスが、ユーザのアクティビティ情報を受信し、前記アクティビティ情報に少なくとも1つの表示ポリシーを適用し、前記アクティビティ情報に適用されている前記少なくとも1つの表示ポリシーの結果に基づいて少なくとも1つのコマンドを決定するように構成されたポリシーエージェントを備える」という技術的事項を有し、また、請求項15-24は、上記技術的事項に対応する構成を備えるものとなった。
当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Eには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-24は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-10-20 
出願番号 特願2015-539691(P2015-539691)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐賀野 秀一  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 野崎 大進
▲吉▼田 耕一
発明の名称 コンピューティングデバイス上の構成可能なインジケータ  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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