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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1367479
審判番号 不服2020-803  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-21 
確定日 2020-11-10 
事件の表示 特願2017- 98213号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月 6日出願公開、特開2018-191984号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年5月17日の出願であって、平成31年3月8日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年5月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月24日付け(送達日:同年同月29日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和2年1月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和1年10月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2014-136036号公報
2.特開2010-227237号公報

第3 審判請求時の補正について
1 本件補正の内容
令和2年1月21日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和1年5月15日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
特別表示結果が導出されたときに特別状態に制御する状態制御手段と、
前記特別表示結果の導出の許容を示唆する特定演出を実行する演出手段とを備え、
前記事前決定手段の決定結果には、
第1特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第1決定結果と、
前記第1特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第2決定結果と、
第2特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第3決定結果と、
前記第2特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第4決定結果とが含まれ、
前記第2特定表示結果の導出が許容されるときは、前記第1特定表示結果の導出が許容されるときに比べて前記特別表示結果の導出が併せて許容される確率が高く、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となった以降において、当該第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった以降において、当該第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果であるときは、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果であるときに比べて遊技の有利度合いが向上する確率が高く、
前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果、前記第2決定結果、前記第3決定結果、および前記第4決定結果のいずれであっても前記特定演出を実行可能であり、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第1決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第3決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短い、スロットマシン。」とあったものを、

「 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
特別表示結果が導出されたときに特別状態に制御する状態制御手段と、
前記特別表示結果の導出の許容を示唆する特定演出を実行する演出手段とを備え、
前記事前決定手段の決定結果には、
第1特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第1決定結果と、
前記第1特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第2決定結果と、
第2特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第3決定結果と、
前記第2特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第4決定結果とが含まれ、
前記第2特定表示結果の導出が許容されるときは、前記第1特定表示結果の導出が許容されるときに比べて前記特別表示結果の導出が併せて許容される確率が高く、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となった次の遊技から所定期間に亘って、当該第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった次の遊技から所定期間に亘って、当該第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果であるときは、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果であるときに比べて遊技の有利度合いが向上する確率が高く、
前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果、前記第2決定結果、前記第3決定結果、および前記第4決定結果のいずれであっても前記特定演出を実行可能であり、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第1決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第3決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合、および、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合に、前記特定演出を終了した後に有利度合いが向上したことを示す示唆演出を実行する、スロットマシン。」とする補正を含むものである(下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について
(1)補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、(i)「当該第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する」期間に関して、「前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった以降において」を「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となった次の遊技から所定期間に亘って」に限定し、(ii)「当該第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する」期間に関して、「前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった以降において」を「前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった次の遊技から所定期間に亘って」に限定し、(iii)「演出手段」に関して、「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合、および、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合に、前記特定演出を終了した後に有利度合いが向上したことを示す示唆演出を実行する」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項
本件補正は、本願の願書の最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0044】及び【0119】の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(3)独立特許要件について
下記「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものであるから、特許法第17条の2第6項に規定する要件を満たす。

(4)小括
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

第4 本願発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)を再掲すると、次のとおりのものである(当審においてA?Nに分説した。)。

「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
D 特別表示結果が導出されたときに特別状態に制御する状態制御手段と、
E 前記特別表示結果の導出の許容を示唆する特定演出を実行する演出手段とを備え、
C1 前記事前決定手段の決定結果には、
第1特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第1決定結果と、
C2 前記第1特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第2決定結果と、
C3 第2特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第3決定結果と、
C4 前記第2特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第4決定結果とが含まれ、
F 前記第2特定表示結果の導出が許容されるときは、前記第1特定表示結果の導出が許容されるときに比べて前記特別表示結果の導出が併せて許容される確率が高く、
G 前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となった次の遊技から所定期間に亘って、当該第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
H 前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった次の遊技から所定期間に亘っ
て、当該第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
I 前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果であるときは、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果であるときに比べて遊技の有利度合いが向上する確率が高く、
J 前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果、前記第2決定結果、前記第3決定結果、および前記第4決定結果のいずれであっても前記特定演出を実行可能であり、
K 前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第1決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
L 前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第3決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
M 前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短く、
N 前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合、および、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合に、前記特定演出を終了した後に有利度合いが向上したことを示す示唆演出を実行する、
B スロットマシン。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(1)
「【0015】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、前面が開放した箱形の筐体1aの内部に各種の機器が設けられるとともに、この筐体1aの前面に、ヒンジ2a(図2参照)を介して前面枠2が片開き形式に開閉可能に設けられている。この前面枠2の上部には、遊技に応じて表示による演出や情報表示を行う画像表示装置3、音による演出を行うスピーカ4等が設けられている。画像表示装置3は、例えば液晶表示パネルで構成され、遊技に関する演出表示のほか、様々な情報を表示する。そして、画像表示装置3における各種演出表示や履歴情報表示は、演出制御装置70(図4参照)によって制御される。すなわち、画像表示装置3が、ゲームの進行に応じた演出を表示することが可能な演出表示手段をなし、演出制御装置70が、演出表示手段の表示制御を行うことが可能な表示制御手段をなす。」

(2)
「【0019】
リール用モータ64によりリール6を回転させることによって、図柄表示窓5から視認される複数種類の図柄を、例えば上から下へと循環するように変動させる(変動表示)。一方、リール6が停止している状態では、各リール6a,6b,6cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄、つまり3×3の計9つの図柄が図柄表示窓5を介して視認可能となっている。すなわち、図柄表示窓5を透して、ゲームの停止結果を導出表示するためのリール6a,6b,6cの有効表示部を視認可能となっている。すなわち、リール6a,6b,6cが複数の図柄を変動表示可能な複数の変動表示部をなす。」

(3)
「【0086】
ここで、本実施形態のスロットマシン1における遊技の進行について簡単に説明する。スロットマシン1においてゲームを行う場合、遊技者は、まずメダルをメダル投入口15から投入するか、或いはマックスベットボタン17を操作して、賭数を入力する(賭入力)。賭入力が行われると、有効ラインが設定され、スタートレバー21の操作が有効な状態、すなわちゲームを開始可能な状態となる。そして、スタートレバー21を操作すると、遊技制御装置50において内部抽選処理がなされて入賞(役)の当選/非当選が決定されるとともに、リール6a,6b,6cの変動が開始される。
【0087】
所定時間経過後、停止操作が有効となったリールストップボタン24a,24b,24cの操作に基づいて、リール6a,6b,6cの回転が停止され、図柄表示窓5に所定の図柄が表示される。そして、内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に入賞が成立し、この入賞に対応するメダルが払い出される。以上で一区切りのゲームが終了し、以降、この操作を繰り返すことによってゲームを進行させるようになっている。」

(4)
「【0097】
遊技制御装置50における内部抽選により、上記何れかの入賞に内部当選すると、この内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が所定の有効ライン上に導出可能とされる。一方、何れの入賞にも内部当選しない場合にははずれとなり、入賞に対応する図柄組合せ態様は有効ライン上に形成されない。
・・・
【0099】
図8には、レア小役(レア役)の停止型の一例を示した。これらのレア小役はBB1入賞、BB2入賞又はRB入賞と重複して内部当選する可能性がある小役入賞である。なお、図中「ANY」とは当該リール6の停止型を問わないという意味である。また、図8(a)、(c)における左リール6a、右リール6cのスイカは黒スイカであっても良い。また、図8(d)における右リール6cの中段は、黒リプレイ以外の図柄という意味である。
【0100】
図9には、本実施形態のスロットマシン1において発生し得る内部抽選役の一覧を示した。小役入賞には、小役入賞が単独で当選する単独当選の他、他の小役入賞や特別入賞と重複して当選する重複当選がある。なお、3枚役AからEやベルG,1枚役A,Bのように「重複当選あり」と記載しているものは単独当選を含むことを意味している。また、3枚役C(中段チェリー)は、BB入賞と重複して当選しない場合には、成立した小役の導出をアシストするAT状態への移行権利であるAT権利が発生してストックされる。」

(5)
「【0104】
特別入賞役のうち、PB入賞は単独当選のみであり、BB1入賞、BB2入賞及びRB入賞は単独当選の他、レア小役との重複当選がある。レア小役とは3枚役AからE(弱、強、中段チェリー、弱、強スイカ)、ベルG(中段ベル)、1枚役(チャンス目A,B)である。なお、レア小役として、何れの入賞にも内部当選しない純ハズレを含んでも良い。」

(6)
「【0108】
また、通常遊技状態ST10で、AT権利のストックがあり(ATストックあり)、ATを発動させるまで実行される前兆ゲームの消化が終了した移行条件を充足した場合は、特定遊技状態ST30の準備AT状態ST34に移行する。また、通常遊技状態ST10で、昇格リプレイ(特殊リプレイ1)に内部当選し、対応する図柄組合せ態様が導出されて入賞が成立することで移行条件が成立した場合は、特定遊技状態ST30の移行チャンス状態ST31に移行する。」

(7)
「【0120】
準備AT状態ST34では、成立小役の導出をアシストするゲームが実行されるが、リプレイ入賞の内部当選確率は通常遊技状態ST10と同等とされる。したがって、小役入賞の成立により得られる遊技価値を増加させながら特別入賞への当選を期待できるが、1ゲームあたりのメダル増加期待値はART状態ST35よりも低い期待値となっている。また、成立小役の導出のアシストは、所定の押し順でなければ成立しないベル入賞を取りこぼした(押し順ベルこぼし)ゲームの次ゲームから開始される。
【0121】
この準備AT状態ST34で昇格条件が成立した場合は、ART待機状態ST33に移行する。なお、昇格条件が成立した場合とは、昇格リプレイ(特殊リプレイ1)に内部当選して対応する図柄組合せ態様が導出されて入賞が成立した場合である。一方、準備AT状態ST34で違反の発生による転落条件が成立した場合は通常遊技状態ST10に移行する。ここでの違反の発生による転落条件の成立とは、転落リプレイ(特殊リプレイ3)入賞又はSIN入賞の成立、所定の押し順でなければ成立しないベル入賞を取りこぼした(押し順ベルこぼし)である。ただし、アシスト開始前は押し順ベルこぼしが発生しても転落条件の成立とはらなない。」

(8)
「【0165】
〔内部抽選処理〕
図16には、図14に示した遊技制御処理における内部抽選処理を示した。なお、当該内部抽選処理中は、賭操作やリール6の停止操作などの各種操作の入力を受け付けずに無効なものとするように構成されている。この内部抽選処理では、まず、乱数発生器50eから乱数値(入賞判定用乱数)を取得し(ステップS41)、現在の遊技状態に応じた入賞当選判定テーブル(図17参照)をセットする(ステップS42)。
【0166】
次に、ステップS41で取得した乱数値と、ステップS42でセットした入賞当選判定テーブルとに基づいて、入賞に内部当選したか否かを判定する入賞当選判定処理(ステップS43)を行う。なお、本実施形態では、入賞に内部当選したか否かを、乱数発生器50eで生成される乱数値、すなわちハードウェアで生成されるハード乱数を用いて判定するように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、入賞に内部当選したか否かを、ソフトウェアで生成されるソフト乱数に基づいて判定するように構成することも可能である。」

(9)
「【0223】
一方、何れかのボーナス中でない場合(ステップS141;N)は、入賞判定結果情報を取得し(ステップS142)、ボーナス入賞(特別入賞)があるか(成立したか)を判定する(ステップS143)。ボーナス入賞がある場合(ステップS143;Y)は、成立した特別入賞に対応する特別遊技状態(PB状態、BB1状態、BB2状態、RB状態の何れか)をセットし(ステップS155)、ボーナス当選フラグ及び待機フリーズに関する情報をクリアして(ステップS156)、ステップS161に移行する。すなわち、遊技制御装置50が、内部抽選で特別役(特別入賞)に当選するとともに、当該特別役に対応する出目が導出されたことに基づいて、遊技者に有利な特別状態を発生させることが可能な特別状態発生手段をなす。」

(10)
「【0232】
次に、演出制御装置70による処理について説明する。演出制御装置70による処理は、演出を統括的に制御する演出制御処理(図26参照)と、所定時間毎(例えば、約2msec毎)に行われるタイマ割込み処理(図27参照)とを含む。」

(11)
「【0250】
〔ゲーム演出決定処理〕
図30には、図26に示した演出制御処理におけるゲーム演出決定処理を示した。このゲーム演出決定処理では、まず、ボーナス中(PB状態、BB1状態、BB2状態又はRB状態)であるかを判定する(ステップS261)。ボーナス中である場合(ステップS261;Y)は、ボーナスに対応する演出を決定するボーナス中演出決定処理(ステップS272)を行い、ゲーム演出決定処理を終了する。また、ボーナス中でない場合(ステップS261;N)は、ロングフリーズ(60秒フリーズ演出)があるかを判定する(ステップS262)。
【0251】
ロングフリーズがある場合(ステップS262;Y)は、当該フリーズ演出の終了後におけるボーナス確定演出の実行をセットし(ステップS273)、ゲーム演出決定処理を終了する。また、ロングフリーズがない場合(ステップS262;N)は、ボーナス入賞当選フラグの持越中、すなわち特別入賞に内部当選したゲームの次以降のゲームであって当該特別入賞が成立していないゲーム中であるかを判定する(ステップS263)。
【0252】
ボーナス入賞当選フラグの持越中である場合(ステップS263;Y)は、特別入賞に当選した場合に実行可能となる連続予告である当り連続予告の設定があるかを判定する(ステップS274)。当り連続予告の設定がある場合(ステップS274:Y)は、当り連続予告の実行をセットし(ステップS275)、ゲーム演出決定処理を終了する。また、当り連続予告の設定がない場合、つまり当り連続予告が終了している場合等(ステップS274;N)は、ボーナス確定演出の実行をセットし(ステップS276)、今回の内部抽選の結果がハズレ当選であるかを判定する(ステップS277)。」

(12)
「【0378】
〔ストック抽選処理〕
図49には、図47に示したストック獲得判定処理におけるストック抽選処理を示した。このストック抽選処理では、まず、抽選対象役(レア)役に当選したかを判定する(ステップS501)。抽選対象役(レア)役に当選していない場合(ステップS501;N)は、純ハズレに当選したかを判定する(ステップS513)。純ハズレに当選していない場合(ステップS513;N)は、ストック抽選処理を終了する。また、純ハズレに当選した場合(ステップS513;Y)は、ステップS510に移行する。
【0379】
一方、抽選対象役(レア小役)に当選した場合(ステップS501;Y)は、レア役カウンタを+1更新し(ステップS502)、レア役カウンタが上限値(例えば9)に達したかを判定する(ステップS503)。レア役カウンタが上限値に達していない場合(ステップS503;N)は、抽選確率状態に対応するストック判定テーブルをセットし(ステップS504)、セット済みテーブルから当選役に応じた役別ストック判定テーブルをセットする(ステップS507)。
【0380】
図50に示すようにストック判定テーブルには、AT権利の抽選確率状態に対応したテーブルが用意されている。抽選確率状態が低確状態である場合は低確中ストック判定テーブルがセットされる。このストック判定テーブルが選択された場合にAT権利を獲得する確率(ストック期待度)は2%となっている。また、抽選確率状態が高確状態である場合は高確中ストック判定テーブルがセットされ、抽選確率状態が超高確状態である場合は超高確中ストック判定テーブルがセットされ、それぞれのテーブルに応じたストック期待度でAT権利の獲得抽選が行われる。
【0381】
また、レア役カウンタが上限値に達した場合(ステップS503;Y)は、レア役カウンタを0クリアし(ステップS505)、超高確中ストック判定テーブルをセットして(ステップS506)、セット済みテーブルから当選役に応じた役別ストック判定テーブルをセットする(ステップS507)。レア小役の当選回数が所定回数(例えば9回)になった場合は、特典として当該所定回数目の当選に基づくAT権利の獲得抽選をそのときの抽選確率状態によらずに超高確状態の確率で行うようにしている。
【0382】
また、当選役に応じた役別ストック判定テーブルは、各ストック判定テーブルに対応して設定されているものであり、当選役毎のAT権利の当選確率が定められている。また、各当選役での当選確率は、図48に示したような順となるように定められている。なお、各ストック判定テーブルにおいて、対応する当選役に応じた役別ストック判定テーブルでのAT権利の当選確率を合成すると図50に示したストック期待度となるようにされている。
【0383】
セット済みテーブルから当選役に応じた役別ストック判定テーブルをセットする(ステップS507)処理を行った後、AT用乱数1に基づきAT権利をストックするか否かを決定し(ステップS508)、AT権利のストック獲得が決定されたかを判定する(ステップS509)。AT権利のストック獲得が決定されなかった場合(ステップS509;N)は、ストック抽選処理を終了する。」

(13)
「【0402】
〔連続予告設定処理〕
図57には、図26に示した演出制御処理における連続予告設定処理を示した。この連続予告設定処理では、まず、ボーナス中(特別遊技状態中)であるかを判定し(ステップS581)、ボーナス中である場合(ステップS581;Y)は、連続予告設定処理を終了する。また、ボーナス中でない場合(ステップS581;N)は、今回のゲームでボーナス入賞(特別入賞)が成立したかを判定する(ステップS582)。
【0403】
今回のゲームでボーナス入賞が成立した場合(ステップS582;Y)は、連続予告設定処理を終了する。また、今回のゲームでボーナス入賞が成立していない場合(ステップS582;N)は、今回のゲームでボーナス入賞に当選したかを判定する(ステップS583)。今回のゲームでボーナス入賞に当選していない場合(ステップS583;N)は、本前兆演出又はガセ前兆演出の実行中であるかを判定する(ステップS584)。
【0404】
本前兆演出又はガセ前兆演出の実行中である場合(ステップS584;Y)は、連続予告設定処理を終了する。また、本前兆演出又はガセ前兆演出の実行中でない場合(ステップS584;N)は、レア役(レア小役)に当選したかを判定する(ステップS585)。そして、レア役に当選していない場合(ステップS585;N)は、連続予告設定処理を終了する。また、レア役に当選した場合(ステップS585;Y)は、ハズレ連続予告実行決定処理を行い(ステップS586)、ハズレ連続予告の実行が決定されたかを判定する(ステップS587)。
【0405】
ハズレ連続予告実行決定処理では、遊技状態や当選したレア小役の種類に応じた確率でハズレ連続予告の実行を決定する。レア小役は特別入賞と重複して当選する場合があるため、特別入賞と重複して当選しなかった場合にハズレ連続予告を実行可能とすることで、特別入賞の当選に対する期待感を高め、遊技の興趣を向上することができる。なお、遊技状態によってはハズレ連続予告の実行を決定しないようにしても良く、例えば特化ゾーン中である場合はハズレ連続予告の実行を決定しないようにする。また、特別入賞の当選フラグが持ち越されている場合にもハズレ連続予告の実行を決定しないようにする。ハズレ連続予告の実行が決定された場合(ステップS587;Y)は、ハズレ連続予告テーブルからハズレ連続予告パターンを決定し(ステップS588)、ハズレ連続予告を設定して(ステップS589)、連続予告設定処理を終了する。
【0406】
一方、今回のゲームでボーナス入賞に当選した場合(ステップS583;Y)は、ハズレ連続予告の設定があるかを判定する(ステップS590)。ハズレ連続予告の設定がある場合(ステップS590;Y)は、ハズレ連続予告の設定を当り連続予告の設定に差替える処理(ステップS591)を行い、連続予告設定処理を終了する。ハズレ連続予告の設定を当り連続予告の設定に差替える処理(ステップS591)では、実行前又は実行中のハズレ連続予告について、当該連続予告を実行するゲーム数である連続予告ゲーム数や実行パターンは変更せずに、連続予告の最後に行われる結果報知演出をハズレ結果演出から当り結果演出に差替える。
【0407】
また、ハズレ連続予告設定がない場合(ステップS590;N)は、当り連続予告テーブルから当り連続予告パターンを決定し(ステップS592)、当り連続予告を設定して(ステップS593)、連続予告設定処理を終了する。すなわち、演出制御装置70が、内部抽選で特別役又は当該特別役と重複して当選する可能性のある重複対象役(レア小役)に当選したことに基づいて、複数のゲームに跨って連続予告を行うことが可能な連続予告実行手段をなす。」

(14)
「【0416】
図58(a)に示すように当り連続予告パターンには、連続予告を実行するゲーム数である連続予告ゲーム数が4?7ゲームであって、それぞれ含まれる連続演出の系統としてA系統とB系統の2種類がある合計8種類のパターンがある。また、図58(b)に示すようにハズレ連続予告パターンには、連続予告を実行するゲーム数である連続予告ゲーム数が4?6ゲームであって、それぞれ含まれる連続演出の系統としてA系統とB系統の2種類がある合計6種類のパターンがある。
【0417】
連続予告ゲーム数が4?6ゲームの実行パターンは当り、ハズレで共通であり、最終的に行われる結果報知演出までは結果がわからない状態となる。ただし、連続予告の途中において結果を示唆する演出を行うようにしても良い。また、連続予告ゲーム数が7ゲームの実行パターンは当りの場合のみ選択可能であり、連続予告が6ゲームを超えた時点で当りであることが認識できる。」

(15)認定事項(ア)
図17(b)
「【図17(b)】


には、ボーナス重複当選期待度は、中段ベルの方が強スイカよりも高いことが図示されている。

(16)認定事項(イ)
図48
「【図48】


には、AT権利ストックの期待度は、強スイカの方が中段ベルよりも高いことが図示されている。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「a 複数の図柄を変動表示可能な複数の変動表示部をなすリール6a,6b,6cを備え(【0019】)、
b スタートレバー21の操作が有効な状態でスタートレバー21を操作すると、遊技制御装置50において内部抽選処理がなされて入賞(役)の当選/非当選が決定されるとともに、リール6a,6b,6cの変動が開始され、所定時間経過後、停止操作が有効となったリールストップボタン24a,24b,24cの操作に基づいて、リール6a,6b,6cの回転が停止され、図柄表示窓5に所定の図柄が表示され、内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に入賞が成立する(【0086】?【0087】)スロットマシン1(【0015】)において、
c 遊技制御装置50における内部抽選処理では、乱数発生器50eから乱数値を取得し(ステップS41)、現在の遊技状態に応じた入賞当選判定テーブルをセットし(ステップS42)、ステップS41で取得した乱数値と、ステップS42でセットした入賞当選判定テーブルとに基づいて、入賞に内部当選したか否かを判定する入賞当選判定処理(ステップS43)を行い、何れかの入賞に内部当選すると、この内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が所定の有効ライン上に導出可能とされ(【0097】、【0165】?【0166】、図17)、
d 遊技制御装置50が、内部抽選で特別役(特別入賞)に当選するとともに、当該特別役に対応する出目が導出されたことに基づいて、遊技者に有利な特別状態を発生させることが可能な特別状態発生手段をなし(【0223】)、
c1?c4 特別入賞役のうち、BB1入賞、BB2入賞及びRB入賞はレア小役との重複当選があり、レア小役の内部抽選役には強スイカや中段ベルが含まれ、強スイカや中段ベルは単独当選を含み(【0100】、【0104】、図9)、強スイカ及び中段ベルの停止型は図8
「【図8】


に示されるとおりであり(【0099】、図8)、
f ボーナス重複当選期待度は、中段ベルの方が強スイカよりも高く(認定事項(ア))、
g、h 通常遊技状態ST10で、AT権利のストックがあり(ATストックあり)、ATを発動させるまで実行される前兆ゲームの消化が終了した移行条件を充足した場合は、特定遊技状態ST30の準備AT状態ST34に移行し(【0108】)、準備AT状態ST34では、成立小役の導出をアシストするゲームが実行され(【0120】)、準備AT状態ST34で転落リプレイ入賞又はSIN入賞の成立、押し順ベルこぼしによって、通常遊技状態ST10に移行し(【0121】)、
AT権利のストックは、ストック抽選処理において、レア小役に当選した場合(ステップS501;Y)、当選役に応じた役別ストック判定テーブルをセットし(ステップS507)、テーブルに応じたストック期待度でAT権利の獲得抽選が行われ、AT用乱数1に基づきAT権利をストックするか否かを決定する(ステップS508)ことで獲得され(【0378】?【0385】、図49)、
i AT権利ストックの期待度は、強スイカの方が中段ベルよりも高く(認定事項(イ))、
e、j 演出制御装置70が処理する演出制御処理におけるゲーム演出決定処理では(【0232】、【0250】)、特別入賞に内部当選したゲームの次以降のゲームであって当該特別入賞が成立していないボーナス入賞当選フラグの持越中である場合(ステップS263;Y)は、特別入賞に当選した場合に実行可能となる連続予告である当り連続予告の設定があるかを判定し(ステップS274)、当り連続予告の設定がある場合(ステップS274:Y)は、当り連続予告の実行をセットし(ステップS275)(【0251】?【0252】)、
演出制御処理における連続予告設定処理において、今回のゲームでボーナス入賞に当選した場合(ステップS583;Y)は、当り連続予告テーブルから当り連続予告パターンを決定し(ステップS592)、当り連続予告を設定する(ステップS593)ことで、演出制御装置70が、内部抽選で特別役又は当該特別役と重複して当選する可能性のある重複対象役(レア小役)に当選したことに基づいて、複数のゲームに跨って連続予告を行うことが可能な連続予告実行手段をなし(【0406】?【0407】)、
今回のゲームでボーナス入賞に当選していない場合(ステップS583;N)レア小役に当選したかを判定し(ステップS585)、レア役に当選した場合(ステップS585;Y)は、ハズレ連続予告実行決定処理を行い(ステップS586)、ハズレ連続予告実行決定処理では、特別入賞と重複して当選しなかった場合に、遊技状態や当選したレア小役の種類に応じた確率でハズレ連続予告の実行を決定し、ハズレ連続予告の実行が決定された場合(ステップS587;Y)は、ハズレ連続予告テーブルからハズレ連続予告パターンを決定(ステップS588)するとともに(【0402】?【0405】)、
当り連続予告パターンには、連続予告を実行するゲーム数である連続予告ゲーム数が4?7ゲームの8種類のパターンがあり、ハズレ連続予告パターンは、連続予告ゲーム数が4?6ゲームの6種類のパターンがあり、連続予告ゲーム数が4?6ゲームの実行パターンは当り、ハズレで共通であり、連続予告ゲーム数が7ゲームの実行パターンは当りの場合のみ選択可能であり、連続予告が6ゲームを超えた時点で当りであることが認識できる(【0416】?【0417】)、
b スロットマシン1。」

2 引用文献2について
引用文献2には、
「 全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となり、入賞となる役の種類は、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、があり、各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選する必要があるスロットマシン1において(【0145】)、
遊技状態がRT(0)では、RB、BB(1)、BB(2)、RB+チェリー、RB+チェリー+1枚(1)、RB+チェリー+1枚(2)、RB+リプレイ(1)、RB+ベル、BB(1)+チェリー、BB(1)+チェリー+1枚(1)、BB(1)+チェリー+1枚(2)、BB(1)+リプレイ(1)、BB(1)+ベル、BB(2)+チェリー、BB(2)+チェリー+1枚(1)、BB(2)+チェリー+1枚(2)、BB(2)+リプレイ(1)、BB(2)+ベル、リプレイ(1)、リプレイGR(1)(リプレイ(2)+リプレイ(3))、リプレイGR(2)(リプレイ(2)+リプレイ(4))、リプレイGR(3)(リプレイ(5)+リプレイ(6))、チェリー、チェリー+1枚(1)、チェリー+1枚(2)、小役GR(1)(12枚(1)+11枚(2))、小役GR(2)(12枚(1)+11枚(3))、小役GR(3)(12枚(2)+11枚(1))、小役GR(4)(12枚(2)+11枚(3))、小役GR(5)(12枚(3)+11枚(1))、小役GR(6)(12枚(3)+11枚(2))、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出され(【0156】)、
チェリー+1枚が同時当選している場合、すなわち左リールにおいて「チェリー」図柄が停止した位置が中段である場合に特別役に当選している割合が最も高く、次いでチェリーが単独で当選している場合、すなわち左リールにおいて「チェリー」図柄が停止した位置が上段または下段である場合に特別役に当選している割合が高く、次いでベルが当選している場合、すなわち「ベル-ベル-ベル」がいずれかの入賞ラインに揃った場合に特別役に当選している割合が高く、次いでリプレイ(1)が当選している場合、すなわち「リプレイ-リプレイ-リプレイ」がいずれかの入賞ラインに揃った場合に特別役に当選している割合が高く(【0231】)、
サブCPU91aは、RT(0)?(6)において、特別役と同時当選する可能性のあるリプレイ(1)、ベル、チェリー、チェリー+1枚の当選時に、複数ゲームに亘り継続し、最終的に特別役に当選しているか否かを示す演出結果を導く特別役当選示唆演出を実行するか否か及び実行する特別役当選示唆演出の演出パターンを決定する特別役当選示唆演出抽選を実行し、いずれかの演出パターンの特別役当選示唆演出に当選した場合には、当選した演出パターンの特別役当選示唆演出を実行し(【0322】?【0323】)、
特別役当選示唆演出抽選では、当選した小役の種類、特別役の当選の有無、報知状態回数の残存数(ストック)に応じて異なる確率で演出パターン0?7を選択し(【0349】)、
演出パターン0は、特別役当選示唆演出を実行しないパターンであり(【0333】)、演出パターン1?6は、4ゲームに渡って行われる演出であり(【0334】?【0343】、図12)、
演出パターン7は、他の演出パターンに比較して継続ゲーム数が短い2ゲームに渡って行われ、、最も特別役に当選している可能性が高いチェリー+1枚の当選時においてのみ当選するにも関わらず、特別役当選示唆演出が実行された際に、他の演出パターンに比較して継続ゲーム数が短い場合には、他の演出パターンに比較して特別役に当選している可能性が低くなる(【0344】、【0375】、図12、図15)、
スロットマシン1。」(以下、「引用文献2に記載の技術」という。)
が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる(見出し(a)?(j)は、本願発明の特定事項A?Jに対応する。)。

(a)引用発明1の構成aにおける「複数の図柄」は、本願発明の構成Aの「複数種類の識別情報」に相当するとともに、これら「複数の図柄」は、図柄の各々を識別することが可能であるといえる。
また、同構成aの「リール6a,6b,6c」は、「複数の図柄を変動表示可能な複数の変動表示部をなす」ものであるから、同構成Aの「識別情報を変動表示可能な可変表示部」に相当する。
してみると、引用発明1の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。

(b)引用発明1の構成bにおける、「リール6a,6b,6cの回転」は、上記(a)の説示も踏まえると、本願発明の構成Bの「可変表示部の変動表示」に相当する。
また、同構成bの「図柄表示窓5に所定の図柄が表示され」ること、「内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が有効ライン上に形成され」て「入賞が成立する」こと、及び、「スロットマシン1」は、それぞれ、同構成Bの「表示結果を導出」すること、「該表示結果に応じて入賞が発生」すること、及び、「スロットマシン」に相当する。
してみると、引用発明1の構成bは、本願発明の構成Bに相当する。

(c)引用発明1の構成cにおける、「何れかの入賞に内部当選すると、この内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が所定の有効ライン上に導出可能とされ」ることは、「内部当選した入賞に対応する図柄組合せ」の「導出」が許容されることであるから、同構成cの「所定の有効ライン上に導出可能とされ」る「内部当選した入賞に対応する図柄組合せ」は、本願発明の構成Cの「導出を許容する表示結果」に相当する。
また、同構成cの「入賞に内部当選したか否かを判定する入賞当選判定処理」を実行する「遊技制御装置50」は、同構成Cの「事前決定手段」に相当する。
してみると、引用発明1の構成cは、本願発明の構成Cに相当する。

(d)引用発明1の構成dにおける、「特別役に対応する出目」及び「遊技者に有利な特別状態」は、それぞれ本願発明の構成Dの「特別表示結果」及び「特別状態」に相当し、同構成dの「特別状態発生手段をな」す「遊技制御装置50」は、同構成Dの「状態制御手段」に相当する。
してみると、引用発明1の構成dは、本願発明の構成Dに相当する。

(e)引用発明1の構成e、jにおける「当り連続予告」は、「特別入賞に当選した場合に実行可能となる連続予告であ」り、上記構成dより、「特別入賞に当選する」と、「特別役に対応する出目が導出され」ることから、当該「当り連続予告」は、「特別役に対応する出目」(特別表示結果)の導出の許容を示唆するものであるといえる。よって、当該「当り連続予告」は、本願発明の構成Eの「特定演出」に相当するとともに、同構成e、jの「当り連続予告の実行をセット」する「処理」を行う「演出制御装置70」が、同構成Eの「演出手段」に相当する。
また、同構成e、jの「ハズレ連続予告」は、その「ハズレ連続予告パターン」が、「連続予告ゲーム数が4?6ゲームの実行パターンは当り、ハズレで共通であ」るから、当該「ハズレ連続予告」は、「当り連続予告」と同様、「特別役に対応する出目」(特別表示結果)の導出の許容を示唆するものであるといえ、当該「ハズレ連続予告」も、本願発明の構成Eの「特定演出」に相当するとともに、同構成e、jの「ハズレ連続予告の実行をセット」する「処理」を行う「演出制御装置70」が、同構成Eの「演出手段」に相当する。
してみると、引用発明1の構成e、jは、本願発明の構成Eに相当する構成を備える。

(c1?c4) 引用発明1の構成c1?c4における「強スイカ」及び「中段ベル」の「レア小役」の「内部抽選役」は、「単独当選を含み」、上記構成b及び構成cより、何れかの入賞に内部当選すると、この内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が所定の有効ライン上に導出可能とされることから、当該内部当選役が当選すると、対応する図柄組合せ態様である、「強スイカ」の停止型及び「中段ベル」の停止型が導出可能となる。ここで、「強スイカの停止型」及び「中段ベルの停止型」が、それぞれ本願発明の構成C1及びC2の「第1特定表示結果」及び同構成C3及びC4の「第2特定表示結果」に相当する。
加えて、「強スイカ」及び「中段ベル」の「レア小役」は、「BB1入賞、BB2入賞及びRB入賞」の「特別入賞役」と「重複当選」し、上記構成c及び構成dより、特別入賞(特別役)に当選すると、当該特別役に対応する出目(特別表示結果)の導出が可能となることから、同構成c1?c4における「強スイカ」及び「中段ベル」の「レア小役」が内部当選することは、特別入賞に対応する出目(特別表示結果)の導出が許容されることになるといえる。
また、同構成c1?c4の「強スイカ」に「単独当選」することは、当該当選役以外の当選役には当選しないことを示すことから、特別入賞には当選することがないといえ、上記の説示も踏まえると、本願発明の構成C2の「前記第1特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない」ことに相当し、「中段ベル」に「単独当選」することは、本願発明の構成C4の「前記第2特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない」ことに相当する。
そして、同構成c1?c4の「強スイカ」と、「BB1入賞、BB2入賞及びRB入賞」の「特別入賞役」とに「重複当選」することは、同構成C1の「第1特定表示結果の導出が許容されるとともに」「特別表示結果の導出が許容される」ことに相当し、「中段ベル」と、「BB1入賞、BB2入賞及びRB入賞」の「特別入賞役」とに「重複当選」することは、同構成C3の「第2特定表示結果の導出が許容されるとともに」「特別表示結果の導出が許容される」ことに相当する。
してみると、引用発明1の構成c1?c4は、本願発明の構成C1?C4に相当する。

(f)引用発明1の構成fにおける、ボーナス重複当選期待度は、中段ベルの方が強スイカよりも高いことは、上記(c1?c4)の説示内容も踏まえると、本願発明の構成Fの「前記第2特定表示結果の導出が許容されるときは、前記第1特定表示結果の導出が許容されるときに比べて前記特別表示結果の導出が併せて許容される確率が高」いことに相当する。
してみると、引用発明1の構成fは、本願発明の構成Fに相当する。

(g、h)引用発明1の構成g、hにおいて、「準備AT状態ST34に移行」すると、「成立小役の導出をアシストするゲームが実行され」るところ、「成立小役の導出をアシストするゲーム」は、通常状態と比較して遊技の有利度合いが向上しているといえることから、「準備AT状態ST34」は、当該遊技状態になる前の「通常遊技状態ST10」よりも、遊技の有利度合いが向上しているといえる。
また、「準備AT状態ST34」は、「転落リプレイ入賞」、「SIN入賞」または「押し順ベルこぼし」が「成立」すると「通常遊技状態ST10に移行」し、これら条件成立までの所定ゲームに亘って「準備AT状態ST34」が継続すると認められる。
上記(c1?c4)の説示内容も踏まえると、引用発明1の構成g、hにおいて、「強スイカ」の「レア小役」が「単独当選」したときに行われる「AT権利の獲得抽選」で「AT権利をストック」することが決定されると、準備AT状態ST34に移行することは、本願発明の構成Gと、「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となった後、所定期間に亘って、当該第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあ」る点で共通する。
また、引用発明1の構成g、hにおいて、「中段ベル」の「レア小役」が「単独当選」したときに行われる「AT権利の獲得抽選」で「AT権利をストック」することが決定されると、準備AT状態ST34に移行することは、本願発明の構成Hと、「前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった後、所定期間に亘って、当該第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあ」る点で共通する。

(i)引用発明1の構成iにおける、AT権利ストックの期待度は、強スイカの方が中段ベルよりも高いことは、上記(c1?c4)の説示内容も踏まえると、本願発明の構成Iの「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果であるときは、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果であるときに比べて遊技の有利度合いが向上する確率が高」いことに相当する。
してみると、引用発明1の構成iは、本願発明の構成Iに相当する。

(j)引用発明1の構成e、jにおける「当り連続予告」は、「内部抽選で特別役又は当該特別役と重複して当選する可能性のある重複対象役(レア小役)に当選したことに基づいて、複数のゲームに跨って連続予告を行うことが可能」であるから、「強スイカ」及び「中段ベル」と「特別入賞役」との「重複当選」したときに実行可能であるといえる。
また、「ハズレ連続予告」は、「今回のゲームでボーナス入賞に当選していない場合(ステップS583;N)」であって、「レア小役」「に当選した場合(ステップS585;Y)」に実行され得ることから、「強スイカ」及び「中段ベル」が「特別入賞と重複して当選しなかった場合」に実行可能であるといえる。
上記(c1?c4)の説示内容も踏まえると、引用発明1の構成e、jは、本願発明の構成Jに相当する構成を備える。

したがって、本願発明と引用発明1との間には、次の一致点、相違点がある。

(一致点)
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
D 特別表示結果が導出されたときに特別状態に制御する状態制御手段と、
E 前記特別表示結果の導出の許容を示唆する特定演出を実行する演出手段とを備え、
C1 前記事前決定手段の決定結果には、
第1特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第1決定結果と、
C2 前記第1特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第2決定結果と、
C3 第2特定表示結果の導出が許容されるとともに前記特別表示結果の導出が許容される第3決定結果と、
C4 前記第2特定表示結果の導出が許容される一方で前記特別表示結果の導出が許容されない第4決定結果とが含まれ、
F 前記第2特定表示結果の導出が許容されるときは、前記第1特定表示結果の導出が許容されるときに比べて前記特別表示結果の導出が併せて許容される確率が高く、
G 所定期間に亘って、当該第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
H 前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった後から所定期間に亘って、当該第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上することがあり、
I 前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果であるときは、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果であるときに比べて遊技の有利度合いが向上する確率が高く、
J 前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果、前記第2決定結果、前記第3決定結果、および前記第4決定結果のいずれであっても前記特定演出を実行可能である、
B スロットマシン。」

(相違点)
・相違点1(特定事項G)
「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となった」後、「遊技の有利度合いが向上する」状態の開始時が、本願発明は「次の遊技から」であるのに対して、引用発明1は、「ATを発動させるまで実行される前兆ゲームの消化が終了した移行条件を充足した場合」である点。

・相違点2(特定事項H)
「前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となった」後、「遊技の有利度合いが向上する」状態の開始時が、本願発明は「次の遊技から」であるのに対して、引用発明1は、「ATを発動させるまで実行される前兆ゲームの消化が終了した移行条件を充足した場合」である点。

・相違点3(特定事項K、L)
本願発明は、「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第1決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短」く、「前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第3決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短」いのに対して、引用発明1は、「当り連続予告テーブル」及び「ハズレ連続予告テーブル」の具体的な内容が不明であるため、当該「当り連続予告テーブル」及び「ハズレ連続予告テーブル」と当選役との関係を導くことができず、「強スイカ」の「単独当選」または「中段ベル」の「単独当選」となったときの「ハズレ連続予告パターン」の「連続予告ゲーム数」が、「強スイカ」または「中段ベル」と「特別入賞」が「重複当選」したときの「当り連続予告パターン」の「連続予告ゲーム数」より短いのか否かが不明である点。

・相違点4(特定事項M)
本願発明は、「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短」いのに対して、引用発明1は、「ハズレ連続予告テーブル」の具体的な内容が不明であるため、当該「ハズレ連続予告テーブル」と当選役との関係を導くことができず、「強スイカ」の「単独当選」となったときの「ハズレ連続予告パターン」の「連続予告ゲーム数」が、「中段ベル」の「単独当選」となったときの「ハズレ連続予告パターン」の「連続予告ゲーム数」より短いのか否かが不明である点。

・相違点5(特定事項N)
本願発明は、「前記演出手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合、および、前記事前決定手段の決定結果が前記第4決定結果となる前よりも遊技の有利度合いが向上する場合に、前記特定演出を終了した後に有利度合いが向上したことを示す示唆演出を実行する」のに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点4についてまず検討する。

ア 引用文献2に記載の技術について
(ア)上記「第4 引用文献、引用発明等」「2 引用文献2について」の「引用文献2に記載の技術」における、「特別役」の「図柄の組合せ」は、本願発明の「特別表示結果」に相当する。
また、同技術において、「チェリー+1枚」に同時当選し、「左リールにおいて「チェリー」図柄が停止した位置が中段である場合」の方が、「チェリー」に「単独当選」し、「左リールにおいて「チェリー」図柄が停止した位置が上段または下段である場合」、「ベル」に「当選」し、「「ベル-ベル-ベル」がいずれかの入賞ラインに揃った場合」及び「リプレイ(1)」に「当選」し、「「リプレイ-リプレイ-リプレイ」がいずれかの入賞ラインに揃った場合」よりも「特別役と同時当選」「している割合が高」いから、「左リールにおいて「チェリー」図柄が停止した位置が中段である場合」が、本願発明の「第2特定表示結果」に相当し、他の「左リールにおいて「チェリー」図柄が停止した位置が上段または下段である場合」、「「ベル-ベル-ベル」がいずれかの入賞ラインに揃った場合」及び「「リプレイ-リプレイ-リプレイ」がいずれかの入賞ラインに揃った場合」のいずれかが、「第1特定表示結果」に相当する。
すると、同技術における「チェリー」「単独」、「ベル」、「リプレイ(1)」が当選した場合であって特別役非当選の場合、及び、「チェリー+1枚」に同時当選した場合であって特別役非当選の場合が、それぞれ本願発明の「第2決定結果」、及び、「第4決定結果」に相当する。

(イ)一方、「他の演出パターンに比較して継続ゲーム数が短い」「演出パターン7」は、「チェリー+1枚の当選時においてのみ当選する」のであるから、「特別役当選示唆演出」の「継続ゲーム数」の期待度は、「チェリー」「単独」、「ベル」、「リプレイ(1)」の当選時は4ゲームとなり、「チェリー+1枚」の当選時は4ゲームよりも少なくなる。
すると、「チェリー」「単独」、「ベル」、「リプレイ(1)」が「当選」してから、「特別役当選示唆演出」が終了するまでの期間(本願発明の構成Mの「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間」に相当。)は、「チェリー+1枚」が「当選」してから、「特別役当選示唆演出」が終了するまでの期間(同構成Mの「前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間」に相当。)に比べて長くなるといえ、引用文献2に記載の技術は、「前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間は、前記第4決定結果となってから前記特定演出が終了するまでの期間に比べて短」い本願発明の構成Mと、逆の構成となっている。
よって、上記相違点に係る本願発明の構成Mは、引用文献2に示されていない。

イ 相違点4に係る本願発明の構成の効果について
そして、相違点4に係る本願発明の構成(構成M)の効果について検討すると、本願発明の構成Mを採用することの効果として、本願明細書の【0128】に記載される、「ボーナスに制御される可能性が有利AT状態に制御される可能性よりも低く、ボーナスに当選していることに対しての期待感が低い遊技においては、ボーナスに対する期待感を高める演出を短くして、有利ATに制御されていることを報知する演出を実行する期間を長くすることができる。」効果が認められるところ、当該効果は、引用文献1にも引用文献2にも記載されておらず、引用発明1及び上記引用文献2に記載の技術から当業者にとって自明の効果であるともいえない。

上記ア?イより、引用文献2には、上記相違点4に係る構成が開示されていない。

(3)小括
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本願発明は、引用文献1に記載された発明と、引用文献2に記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について
本願発明は、上記「第5 対比・判断」で示したとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1及び引用文献2に基いて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-10-20 
出願番号 特願2017-98213(P2017-98213)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 赤坂 祐樹
▲高▼橋 祐介
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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