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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1367665
審判番号 不服2019-16016  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-27 
確定日 2020-10-30 
事件の表示 特願2016-88472号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年9月23日出願公開、特開2016-168343号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成27年3月12日に出願した特願2015-49791号の一部を平成28年4月26日に新たな特許出願(特願2016-88472号)としたものであって、同年12月22日に上申書および手続補正書が提出され、平成29年7月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月25日に意見書および手続補正書が提出され、平成30年2月23日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月5日に意見書および手続補正書が提出され、さらに、同年12月20日付けで最後の拒絶の理由が通知され、令和1年5月7日に意見書および手続補正書が提出されたところ、同年8月21日付け(送達日:同年9月3日)で、令和1年5月7日付け手続補正書が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和1年11月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年11月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成30年7月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
所定位置に配置された検出センサ部と、
前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、
前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
前記コネクタ部材に起因する前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が設けられ、
前記電圧かさ上げ部は、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されたことによる、前記検知回路部の誤検知を回避するために、前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わるための前記電圧出力部からの電圧をかさ上げし、
前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサであることを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和1年11月27日付け)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
所定位置に配置された検出センサ部と、
前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、が備えられた遊技機において、
前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
前記コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定電圧が印加されたことによる、前記検知回路部の誤検知を回避するために、前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わらないように前記所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる電圧かさ上げ部を有し、
前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサであることを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「電圧かさ上げ部」に関して、「前記コネクタ部材に起因する前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が設けられ、」「前記電圧かさ上げ部は、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されたことによる、前記検知回路部の誤検知を回避するために、前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わるための前記電圧出力部からの電圧をかさ上げし、」と分けられていたものを、「前記コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定電圧が印加されたことによる、前記検知回路部の誤検知を回避するために、前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わらないように前記所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる電圧かさ上げ部を有し、」と一つにまとめるとともに、「電圧かさ上げ部」の構成が、「ツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる」点を限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【1645】、【1663】の記載、および、【図177】の図示内容に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Gは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 所定位置に配置された検出センサ部と、
B 前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
C 前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、が備えられた遊技機において、
D 前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
E 前記コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定電圧が印加されたことによる、前記検知回路部の誤検知を回避するために、前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わらないように前記所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる電圧かさ上げ部を有し、
F 前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサである
G ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された、本願の出願前に頒布された特開2012-95835号公報(平成24年5月24日公開)(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機やスロットマシンなど、遊技動作に起因する抽選処理によって大当たり状態を発生させる遊技機に関し、特に、違法遊技を有効に排除でき、機種変更も容易な遊技機に関する。」

(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遊技盤のデザインは、遊技機毎に変更されるので、磁気センサの配置個数や配置位置を一定化させることはできない。そのため、磁気センサの個数の変更に対応して、その都度、制御基板の回路構成を変更する必要が生じるが、かかる機種変更時に必要最小限の回路変更だけで対応できる構成が望まれる。また、磁気センサに代えて、電波センサを配置する場合でも、その配置位置や配置個数の変更に容易に対応できる構成が望まれる。
また、これらセンサの断線を直ちに検出できる簡易な構成も望まれる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、違法遊技を効果的に排除することができ、また、遊技機の機種変更にも最小限の回路変更で対処できる遊技機を提供することを目的とする。」

(ウ)「【図面の簡単な説明】
【0014】
・・・
【図4】遊技盤中継基板の回路構成を示すブロック図である。
・・・
【図7】 遊技盤中継基板の変形回路構成を示すブロック図である。
・・・
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。図1は、本実施態様のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。」

(エ)「【0043】
図4は、遊技盤中継基板29の部分を詳細に図示した回路図である。図示の通り、本実施形態の遊技盤中継基板29には、開閉爪15a及び開閉板16aに対応する2つのソレノイドL1,L2と、各種の入賞口15?17及びゲート18に対応する合計7個の検出スイッチSW1?SW7と、が接続されている。なお、ソレノイドL1,L2は、主制御基板21のドライバで駆動され、検出スイッチSW1?SW7の検出出力は、主制御基板21のバッファに伝送される。
【0044】
また、本実施例では、図柄始動口15や大入賞口16に対応して、複数個の磁気センサSE1?SEnのセンサユニットが遊技盤の適所に配置されている。そして、磁気センサSE1?SEnは、コネクタCo1?Conを通して、遊技盤中継基板29に接続されている。ここで、磁気センサSE1?SEnは、正常時にはON動作し、違法磁気を検出するとOFF動作する出力スイッチQSが設けられている。
【0045】
一方、遊技盤中継基板29には、磁気センサSE1?SEnに対応して、n個のスイッチングトランジスタQs1?Qsnが配置され、各トランジスタQs1?Qsnのベース端子には磁気センサSE1?SEnの出力が供給されている。各トランジスタQs1?Qsnのベース端子は、バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnを通して、直流電圧5Vを受けており、各エミッタ端子はグランドに接続されている。また、全てのコレクタ端子は、オープンコレクタ状態で、単一のプルアップ抵抗Rpに接続され、プルアップ抵抗Rpには直流電圧5Vが供給されている。
【0046】
上記の構成を有する遊技盤中継基板29は、コネクタCN2を通して、主制御基板21のコネクタCN3に接続されている。そして、2つのコネクタCN2,CN3は3本の配線ケーブルで接続されており、3本の配線ケーブルは、直流電圧5Vの電源ラインVccと、グランドラインGNDと、各トランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGとを構成している。
【0047】
コネクタCN3の信号ラインSGは、スイッチングトランジスタQのベース端子に接続され、そのエミッタ端子はグランドに接続されている。また、トランジスタQのコレクタ端子は、負荷抵抗RLを通して、直流電圧5Vに接続されて、異常検出信号Voを出力している。
【0048】
本実施例の遊技盤中継基板29と主制御基板21は、上記の通りに構成されているので、次の通りに動作する。先ず、正常時には、全ての磁気センサSE1?SEnがON状態であるので、全てのトランジスタQs1?QsnはOFF状態となる。そのため、信号ラインSGはHレベルとなり、主制御基板21のトランジスタQはON状態となり、異常検出電圧VoはLレベル(正常レベル)となる。
【0049】
一方、磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し、これに対応して信号ラインSGがLレベルとなる。そのため、主制御基板21のトランジスタQはON状態からOFF状態に遷移して、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる。したがって、このことを検知した主制御基板21のCPUは、適宜な異常報知動作を実行することができる。
【0050】
ところで、本実施例の構成によれば、遊技機の設計変更などによって入賞口の数や配置位置が変更されても、遊技盤中継基板29だけを交換すれば足り、主制御基板21の回路変更が不要となる。すなわち、入賞口の個数や磁気センサの個数に対応する回路構成を有する遊技盤中継基板29を用意するだけで、遊技機の設計変更に対応することができる。
【0051】
また、本実施例の構成によれば、磁気センサSE1?SEnの断線や、コネクタCN2?CN3間の断線を検出することもできる。例えば、違法遊技者が磁気センサSEiを外したような場合には、対応するトランジスタQsiがON状態となるので、上記した異常検知時と同様の動作によって、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる。また、コネクタCN2?CN3間の断線時にも、トランジスタQがOFF動作することで、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる。」

(オ)「【図4】



(カ)「【0060】
このような場合、電流制限抵抗rは、r=(V1-Vf)/Ifより、50Ω程度である。そして、抵抗R1,R2は、このような正常時にもトランジスタQが確実にON動作する値に設計されている。具体的には、トランジスタのベース・エミッタ間の電圧Vbeに対応してベース電流IbがIb=(V1-Vbe)/R2となるので、例えばIb=0.1mAを確保するためには、Vbe=0.6Vとして、R2=19KΩ程度となる。」

(キ)「【0065】
なお、発光ダイオードDiによって、異常発生箇所を報知する構成は、図4の回路構成に付加することもできる。図7は、この回路構成を例示したものであり、各トランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子には、発光ダイオードD1?Dnが接続されている。そして、信号ラインSGと発光ダイオードD1?Dnのアノード端子の間には、バイアス抵抗(ベース抵抗)R2が接続され、電源ラインVccと発光ダイオードD1?Dnのアノード端子の間には、プルアップ抵抗R1が接続されている。また、主制御基板のトランジスタQのベース端子には、OFF動作を担保するための3個のダイオードDa?Dcが直列接続されている。
・・・
【0068】
また、この実施例では、トランジスタQsiのON動作に対応して、主制御基板21のトランジスタQがOFF状態に遷移するよう構成されているので、検出電圧VoはHレベル(異常レベル)となる。トランジスタQをOFF遷移させる構成は、以下の通りである。
【0069】
ここでは、発光ダイオードDiの通電時の順方向電圧降下VFは、説明の都合上、約2.0Vであると仮定する。すると、何れか1個以上の発光ダイオードDiの通電時には、発光ダイオードDiのアノード端子の電圧V1は、トランジスタQsiの電圧降下を加味して2.2V程度になる。しかし、トランジスタQのベース端子には、3つのダイオードDa?Dcが直列接続されているので、この程度の電圧では、トランジスタQのON状態を維持できず、OFF状態に遷移する。」

(ク)「【図7】



イ 認定事項
(ア)センサユニットと遊技盤中継基板の回路構成を示すブロック図である【図4】の図示内容から、引用文献1には、次の技術事項が示されているものと認められる。
「センサユニットの出力スイッチQSは、コレクタ端子、エミッタ端子を有し、
遊技盤中継基板29に配置されたn個のスイッチングトランジスタQs1?Qsnは、ベース端子、コレクタ端子、エミッタ端子を有し、
出力スイッチQSのコレクタ端子は、コネクタCo1?Conを通して、各バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnの他端に接続され、さらに、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子に接続され、
出力スイッチQSのエミッタ端子は、接地され、
スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に信号ラインSGが接続されていること。」

ウ 引用発明
上記アの記載事項および上記イの認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「a、f
図柄始動口15や大入賞口16に対応して遊技盤の適所に配置された、磁気センサSE1?SEn(【0044】)を備えたパチンコ機GM(【0015】)において、
b?d
複数個の磁気センサSE1?SEnのセンサユニットには、正常時にはON動作し、違法磁気を検出するとOFF動作する出力スイッチQSが設けられ(【0044】)、
遊技盤中継基板29には、磁気センサSE1?SEnに対応して、n個のスイッチングトランジスタQs1?Qsnが配置され(【0045】)、
出力スイッチQSのコレクタ端子は、コネクタCo1?Conを通して、一端に電圧5Vの印加された各バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnの他端に接続され、さらに、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子に接続され(【0044】、【0045】、認定事項(ア))、
スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子は、各バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnを通して、直流電圧5Vを受け(【0045】)、
スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子が、直流電圧5Vが供給されている単一のプルアップ抵抗Rpに接続され(【0045】)、
正常時には、全ての磁気センサSE1?SEnがON状態であるので、全てのスイッチングトランジスタQs1?QsnはOFF状態となり、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGは、Hレベルとなり(【0048】、認定事項(ア))、
磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するスイッチングトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し、これに対応して、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGがLレベルとなる(【0049】、認定事項(ア))
g パチンコ機GM(【0015】)。」

エ 引用文献1に記載された技術事項
引用文献1には、引用発明として認定した実施例とは別の実施例としてではあるが、主基板に搭載されたトランジスタQについて、次の技術事項(以下「引用文献1に記載された技術事項」という。)が記載されている。
「検出電圧VoがHレベル(異常レベル)の場合、発光ダイオードDiのアノード端子の電圧V1は、2.2V程度になるが、トランジスタQのベース端子に3つのダイオードDa?Dcが直列接続されているので、トランジスタQのOFF動作が担保されること(【0065】、【0068】、【0069】、【図7】)。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a、f)
引用発明の「図柄始動口15や大入賞口16に対応して遊技盤の適所に配置された」ことは、本件補正発明の「所定位置に配置された」ことに相当する。
そして、引用発明の「磁気センサSE1?SEn」は、構成b?dによると、「違法磁気を検出する」ものであるから、本件補正発明の「検出センサ部」および「遊技機の異常を検出するための異常検出センサである」「検出センサ部」に相当する。
したがって、引用発明の構成a、fは、本件補正発明の構成A、Fに相当する。

(b)
まず、引用発明の構成b?dの「正常時には、全ての磁気センサSE1?SEnがON状態であるので、全てのスイッチングトランジスタQs1?QsnはOFF状態となり、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGは、Hレベルとな」ることは、内部抵抗による影響を考慮しない場合、「全ての磁気センサSE1?SEnの出力スイッチQSがON状態である」と、全てのバイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnに電流が流れ、バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnを通して、全てのスイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子に直流電圧0Vが印加されることで、全てのスイッチングトランジスタQs1?QsnはOFF動作し、そのため、「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGはHレベルとな」るものである。
次に、引用発明の構成b?dの「磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するスイッチングトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し、これに対応して、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGがLレベルとなる」ことは、内部抵抗による影響を考慮しない場合、「磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiの出力スイッチQSがOFF動作することで」、対応するバイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnに電流が流れず、バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnを通して、対応するスイッチングトランジスタQsiのベース端子に直流電圧5Vが印加されることで、「対応するスイッチングトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し」、これに対応して、「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGがLレベルになる」ものである。
ここで、引用発明の構成b?dの「磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出する」とき、「全ての磁気センサSE1?SEnの出力スイッチQSがON状態である」「正常時」は、それぞれ、本件補正発明の構成Bの「検出センサ部が第1の状態のとき」、「検出センサ部が第2の状態のとき」に相当する。
そして、上記した、引用発明の構成b?dから導かれる「直流電圧5V」、「直流電圧0V」は、それぞれ、本件補正発明における構成Bの「第1の電圧」、「第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧」に相当する。
次に、引用発明のバイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnについて検討する。
引用発明の構成b?dの「バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsn」は、上記したことからみて、「全ての磁気センサSE1?SEnの出力スイッチQSがON状態である」場合、全てのバイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnに電流が流れることで、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子に直流電圧0Vを印加し、「磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出」し、「該当する磁気センサSEiの出力スイッチQSがOFF動作する」場合、バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnに電流が流れないことで、スイッチングトランジスタQsiのベース端子に直流電圧5Vを印加するものである。
したがって、引用発明の構成b?dの「バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsn」は、本件補正発明の構成Bの「検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、検出センサ部が第2の状態のときは第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部」に相当する。

(c)
上記(b)によると、引用発明の「バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsn」は、スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子に直流電圧0V、もしくは、直流電圧5Vを印加するものである。
そして、引用発明の「スイッチングトランジスタQs1?Qsn」は、「バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsn」を通して、全てのスイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子に直流電圧0Vが印加されることで、全てのスイッチングトランジスタQs1?QsnはOFF動作し、そのため、「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGはHレベルとなり」、「バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsn」を通して、対応するスイッチングトランジスタQsiのベース端子に直流電圧5Vが印加されることで、対応するスイッチングトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し、これに対応して「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGがLレベルとな」るものである。
ここで、上記(b)より、引用発明の構成b?dより導かれる「直流電圧5V」、「直流電圧0V」は、それぞれ、本件補正発明の「第1の電圧」、「第2の電圧」に相当する。
また、引用発明の「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSG」が「Hレベル」となること、あるいは、「Lレベル」となることは、本件補正発明における「検出信号の出力のオンオフ」に相当する。
したがって、引用発明における構成b?dの「スイッチングトランジスタQs1?Qsn」と、「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子」「に接続され」た、「直流電圧5Vが供給されている単一のプルアップ抵抗Rp」とを併せたものは、本件補正発明における構成Cの「電圧出力部からの第1の電圧または第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部」に相当する。

(d)
上記(a、f)より、引用発明の「磁気センサSE1?SEn」は、本件補正発明の「検出センサ部」に相当する。
そして、上記(b)より、引用発明の「バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsn」は、本件補正発明の「電圧出力部」に相当する。
また、引用発明の「コネクタCo1?Con」は、本件補正発明の「コネクタ部材」に相当する。
したがって、引用発明の構成b?dの「磁気センサSE1?SEn」の各「出力スイッチQSのコレクタ端子」が、コネクタCo1?Conを通して、一端に電圧5Vの印加された各バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnの他端に接続され」ることは、本件補正発明の構成Dの「検出センサ部と電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され」ることに相当する。

(g)
引用発明に構成gの「パチンコ機GM」は、本件補正発明の構成Gの「遊技機」に相当する。

上記(a、f)?(g)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 所定位置に配置された検出センサ部と、
B 前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
C 前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、が備えられた遊技機において、
D 前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
F 前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサである
G 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点](構成E)
本件補正発明は、コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定電圧が印加されたことによる、検知回路部の誤検知を回避するために、検知回路部の検出信号の出力が切り換わらないように所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる電圧かさ上げ部を有するのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。

(4)当審判合議体の判断
ア 相違点について
上記相違点について検討する。
まず、遊技機の技術分野において、リーク電流やノイズによる影響を防止するために、検知回路部の検出信号の出力が切り換わらないように所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる電圧かさ上げ部を、スイッチングトランジスタのベース側端子側に設け、スイッチングトランジスタの誤動作を防止することは、原出願の出願前に周知の技術事項である(以下「周知の技術事項1」という。)。
例えば、特開2010-167046号公報には、以下の記載がある。
「【技術分野】【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に係り、詳しくは、断線等の異常状態を検知し得るように構成された遊技機に関する。」
「【0063】
また、異常検知回路61Aは、npnトランジスタT3、入力側から入ってくるリーク電流やノイズ等をグランドGNDに落とすことで該トランジスタT3の誤動作を防ぐベース・エミッタ間抵抗R4、及び入力電圧を電流に変換して該トランジスタT3を動作安定させるベース抵抗R5からなるスイッチング部68と、電源供給部67とスイッチング部68との間に挿入接続された分圧抵抗R6と、抵抗R7とを備えている。」
そして、以下に示す図5には、npnトランジスタT3の周辺にベース・エミッタ間抵抗となる抵抗R4とベース抵抗となる抵抗R5を含んだ構成が図示されている。
「【図5】



上記記載により、抵抗R4と抵抗R5によって、リーク電流やノイズ等をグランドGNDに落とすことでトランジスタT3の誤動作を防ぐ構成が開示されているといえる。
特開2010-66471号公報には、
「【技術分野】【0001】
・・・パチンコ機・・・」との記載、
「【0059】
・・・ブザー駆動回路BzCのデジトラDT2・・・」との記載があり、以下に示す図8に示す回路図には、トランジスタと、そのベース抵抗およびベース・エミッタ間抵抗である2つの抵抗からなる「デジトラDT2」が示されている。
「【図8】


特開2015-16014号公報には、以下の記載がある。
「【技術分野】【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。」
「【0384】
電源投入時から予め定めた期間内において払出制御基板4110に備える操作スイッチ860aからの操作信号を伝える伝送ラインは、図23に示すように、一端が+12V電源ラインと電気的に接続されるプルアップ抵抗MR2の他端と電気的に接続されるとともに抵抗MR3を介してトランジスタMTR0のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR0のベース端子は、抵抗MR3と電気的に接続されるほかに、一端がグランド(GND)と接地される抵抗MR4の他端と電気的に接続されている。」
そして、以下に示す図23に示す回路図には、「トランジスタMTR0」のベース抵抗である「抵抗MR3」と、ベース・エミッタ間抵抗である「抵抗MR4」を含んだ構成が示されている。
「【図23】



次に、電子回路の技術分野において、コネクタの接触不良に基づく接触抵抗の発生により異常電流が流れ、接触抵抗に異常電流が流れることにより生じる電力損失に基づく異常電圧が発生することは、原出願の出願前に電子回路一般の技術分野に限らず、遊技機の技術分野においても広く知られた技術的課題である(以下「周知の課題」という。)。
例えば、原査定の拒絶理由で引用文献3として引用された特開2005-175749号公報の【0014】に「・・・コネクタが斜めに挿入されてコモン端子の接触状態が不良になっても、異常電流が流れて本来オフであるべきフォトカプラがオンになることがない・・・」との記載があり、
特開2013-59601号公報の【0266】に「充電経路EL22がハーネスHを介していない分だけ、充電経路EL22を短くすることができる。これにより、配線抵抗やコネクタの接触抵抗による電力損失を軽減することができる・・・」との記載があり、
特開2003-38728号公報の【0042】に「図7は、図2に示した遊技球検出器230の駆動電流あるいは、・・・、あるいは、制御基板200と遊技球検出器230を接続するコネクタの接触抵抗の増大、遊技球検出器230の諸特性の劣化、等によって、EDGE回路208に、図3に示したような信号が得られる状態から若干の変化を起こした場合の例を示している。」との記載があり、
特開平5-96050号公報の【0005】に「また、導電部材の裏面に誘導樋の下面へ突き出る差込端子を設け、誘導樋の組付後にこれをリード線のコネクタに接続するのも、コネクタと差込端子との間で何回か断続を繰り返すうちに接触抵抗が次第に大きく変化してしまうため、その部分に帯電してノイズを飛散させやすい。」との記載があり、
特開平4-75676号公報の【発明が解決しようとする課題】の項に「そのため、各種入出力部品と電気的制御装置を直接接続せずに、各種入出力部品と電気的制御装置との間に中継基板を介在させ、各種入出力部品より多数のコネクタを介して入力される信号を少数のコネクタを介して電気的制御装置へ出力すると共に、電気的制御装置より少数のコネクタな介して入力される信号を多数のコネクタを介して各入出力部品へ出力する方式か採られている。
しかし、このように各種入出力部品と電気的制御装置との間に中継基板を介在させると、各種入出力部品と電気的制御装置とを接続する接続線か長くなり、各配線か煩雑となって、当該パチンコ機の修理や日常のメンテナンス時には多大な労力を要すると共に、コネクタの接続ミスやコネクタ抜け、信号線路の断線等が生じ易い。
しかも、接触抵抗の高いコネクタ接続部が増えることで、接続線路中で入出力信号の減衰率か高まり、比較的微少な電力で授受される入出力信号においては、信号線路中の電力損失が多大な影響を及ぼすことになるため、信号線路中の減衰量を勘案して信号出力する必要が生ずる。」との記載がある。
そして、このようなコネクタの接触抵抗に電流が流れることにより異常電圧が発生するという上記周知の課題が、引用発明における「コネクタCo1?Con」を有する「磁気検出回路」の「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子」側においても生じる課題であることは、当業者であれば当然把握している技術事項である。

そうであれば、引用発明の「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子」側において、かさ上げ抵抗を設けて、コネクタの接触抵抗等による誤動作を防止するように構成することは、当業者であれば容易になし得たものである。

なお、引用文献1に記載された技術事項は、「異常レベル」の検出回路における「トランジスタQ」の「OFF動作を担保する」ものであり、「トランジスタQのベース端子」に「直列接続されている」「3つのダイオードDa?Dc」は、本件補正発明における「検知回路部の誤検知を回避するために、検知回路部の検出信号の出力が切り換わらないように所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用い」ない「電圧かさ上げ部」に相当することから、本件補正発明の構成Eの電圧かさ上げ部に関連する構成が示されている。

イ 請求人の主張について
請求人は、令和1年11月27日付け審判請求書において、次の主張をしている。
「1)審査官殿のご認定について」に記載した審査官殿のご認定に鑑み、補正後の本願発明は前述した第1補正事項により「・・・前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わらないように前記所定電圧による作用を回避させるツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる電圧かさ上げ部を有し、」とする補正を行っております。
この補正により、本願発明における「電圧かさ上げ部」が「ツェナーダイオード」で構成されるものを包含しないものであることが明らかになったものと思料いたします。

このため、引用文献2-4に記載された「コネクタの接触不良や残留電圧による影響を回避するため、下限電圧よりも高くツェナー電圧(上限電圧)よりも低い所定の電圧が印加されても、印加された箇所に対する前記所定の電圧による作用を回避するツェナーダイオードを備える」という技術を引用文献1に対してどのように適用しても、補正後の本願発明に想到しないことは明らかであります。」([4]2)補正後の本願発明について)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
審決では、審判請求時に提出された手続補正書(令和1年11月27日付け)の特許請求の範囲の請求項1により、構成Eについて限定された事項を含む特定事項を、上記「(3)対比」において、本件補正発明と引用発明との相違点(構成E)として抽出した。そして、上記イにおいて、請求人が主張する審判請求時の補正に係る技術事項である「抵抗素子からなる電圧かさ上げ部」を設けることが、原出願の出願前に周知の技術事項1であると認定し、上記ウにおいて、引用発明に当該周知の技術事項1を適用することは、当業者が容易になし得たものであるとした。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

ウ 小括
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、および、上記周知の技術事項1から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明、および、上記周知の技術事項1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(5)まとめ
上記(1)?(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年7月5日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「A 所定位置に配置された検出センサ部と、
B 前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
C 前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、
D 前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
E1 前記コネクタ部材に起因する前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が設けられ、
E2 前記電圧かさ上げ部は、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されたことによる、前記検知回路部の誤検知を回避するために、前記検知回路部の前記検出信号の出力が切り換わるための前記電圧出力部からの電圧をかさ上げし、
F 前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサである
G ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2012-95835号公報
2.特開2001-129207号公報(周知技術等を示す文献)
3.特開2005-175749号公報(周知技術等を示す文献)
4.特開平4-266388号公報(周知技術等を示す文献)

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された引用文献1の記載事項、および、引用発明の認定については、前記「第2[理由] 2 2-2(2)引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、実質的に、前記「第2[理由] 2 2-2(1)」で検討した本件補正発明から、構成Eに関して、「電圧かさ上げ部」の構成が、「ツェナーダイオードを用いずに抵抗素子からなる」との限定事項を省くものである。
そして、本願発明の構成AないしD、F、および、Gは、本件補正発明の構成AないしD、F、および、Gに相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、前記「第2[理由] 2 2-2(3)対比」における検討内容からみて、次の相違点1で相違し、その余の点において一致する。

[相違点1](構成E1、E2)
本願発明は、コネクタ部材に起因する第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、検知回路部に対する所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が設けられ、電圧かさ上げ部は、コネクタ部材に発生する接触抵抗に起因し、当該接触抵抗に電流が流れたときに生じえる第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されたことによる、検知回路部の誤検知を回避するために、検知回路部の検出信号の出力が切り換わるための電圧出力部からの電圧をかさ上げするのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。

そこで上記相違点1について検討する。
遊技機の技術分野において、コネクタの接触不良や残留電圧等による影響を回避するために、下限電圧よりも高くツェナー電圧(上限電圧)よりも低い所定の電圧が印加されても、印加された箇所に対する所定の電圧による作用を回避するツェナーダイオードを素子の入力側に設けることは、原出願の出願前に周知の技術事項である(以下「周知の技術事項2」という。)。
例えば、原査定の拒絶の理由で引用文献2として通知した、特開2001-129207号公報には、以下の記載がある。
「【0007】さらに、例えば、センサスイッチ903が2線式の近接スイッチである場合については、非検出状態では出力電圧(残留電圧)が存在するが、この電圧がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧より低く設定されている為、ツェナーダイオードZD2はOFFの状態であり、従って、トランジスタTr2もOFFの状態となり、検出及び電圧変換回路904の出力端はHレベル信号を有する状態となる。また、センサスイッチ903が検出状態においては、出力電圧(残留電圧)がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧より高くなる為、ツェナーダイオードZD2はONの状態となり、従って、トランジスタTr2もONの状態となり、検出及び電圧変換回路904の出力端はLレベル信号を有する状態となる。」
「【図14】



同じく、原査定の拒絶の理由で引用文献3として通知した、上記特開2005-175749号公報には、以下の記載がある。
「【0014】
従って本発明が解決しようとする課題は、コネクタが斜めに挿入されてコモン端子の接触状態が不良になっても、異常電流が流れて本来オフであるべきフォトカプラがオンになることがない多点デジタル入力回路および2重化された多点デジタル入力回路を提供することにある。
・・・
【0024】
コモンの接続が不完全であってもこの双方向性ツェナダイオードに阻止されて異常電流が流れることがないので、本来オフになるべきフォトカプラがオンになることがなくなるという効果がある。また、従来入力端子に直列に接続した電流制限抵抗のみで消費していた電力を、この抵抗と双方向性ツェナダイオードで分担することができるので、より小さい部品を使用することができ、かつ部品の温度上昇を抑えることが出来るという効果もある。
・・・
【0036】
前述したように、これらの双方向性ツェナダイオードのツェナ電圧は、入力信号の最大電圧の1/3以上になるように選択されている。そのため、経路33に電流が流れることはなく、デジタル入力部12内のフォトカプラはオフになる。」
「【図1】


「【図2】



したがって、本件補正発明に関する、前記「第2[理由] 2 2-2(4)ア 相違点について」において検討したように、引用発明における「コネクタCo1?Con」を有する「磁気検出回路」の「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子」側においても、コネクタの接触抵抗に電流が流れることにより異常電圧が発生するという課題を内在するものである。
そうすると、引用発明と上記周知の技術事項2とは、コネクタの接触不良や残留電圧等による影響を回避するという共通の課題を解決するものである。
よって、引用発明に上記周知の技術事項2を適用して、「スイッチングトランジスタQs1?Qsnのベース端子」側にツェナーダイオードからなる電圧かさ上げ部を設け、コネクタの接触不良等による影響を回避し、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

5 むすび
上記1?4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-08-27 
結審通知日 2020-08-28 
審決日 2020-09-15 
出願番号 特願2016-88472(P2016-88472)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福田 知喜柳 重幸  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
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