• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1367761
審判番号 不服2019-13620  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-11 
確定日 2020-10-28 
事件の表示 特願2017-501077「無線ウェアラブルデバイスを用いて運動モニタリングと視覚データを組み合わせる運動モニタリングのための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月24日国際公開、WO2015/142817、平成29年 4月20日国内公表、特表2017-511235〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)3月17日(パリ条約による優先権主張 2014年3月20日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年11月1日付けで拒絶理由が通知され、平成31年1月25日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和元年6月5日付けで拒絶査定されたところ、同年10月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所を示す。)。

「 【請求項1】
ウェアラブルな無線インターネットデバイスを使用して運動をモニタリングする方法において、前記無線インターネットデバイスは、人に携行されるよう構成された携帯電話であり、デジタルカメラと、グラフィクス、写真及びビデオクリップを含む画像を表示するユーザインタフェースを提供するためのディスプレイと、一体型のGPSデバイス、加速度計又はタイマーを含み、前記無線インターネットデバイスは、ネットワークと無線通信で接続され、当該方法は、
運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取り、前記GPSデバイス、前記加速度計又は前記タイマーから、実行される運動作業の定量的な量である第2のタイプのデータを更に受け取るステップと;
運動中に前記デジタルカメラによってキャプチャされた視覚画像を表す、第3のタイプのデータを受け取るステップであって、前記視覚画像が前記運動中の写真又はビデオ画像を含む、ステップと;
前記ネットワークを介した無線通信により、前記第1、第2又は第3のタイプのデータを、1つ以上のインターネットサーバに伝送するステップと;
前記ネットワークを介した無線通信により、前記1つ以上のインターネットサーバから、前記第1、第2又は第3のタイプのデータの処理されたデータを受け取り、前記ユーザインタフェース上に表示するステップと;
を含む、方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
「 【請求項1】
ウェアラブルな無線インターネットデバイスを使用して運動をモニタリングする方法において、前記無線インターネットデバイスは、人に携行されるよう構成され、デジタルカメラと、グラフィクス、写真及びビデオクリップを含む画像を表示するユーザインタフェースを提供するためのディスプレイとを含み、前記無線インターネットデバイスは、ネットワークと無線通信で接続され、当該方法は、
運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを受け取り、GPSデバイス、加速度計又はタイマーから、実行される運動作業の定量的な量である第2のタイプのデータを更に受け取るステップと;
運動中に前記デジタルカメラによってキャプチャされた視覚画像を表す、第3のタイプのデータを受け取るステップであって、前記視覚画像が前記運動中の写真又はビデオ画像を含む、ステップと;
前記ネットワークを介した無線通信により、前記第1、第2又は第3のタイプのデータを、1つ以上のインターネットサーバに伝送するステップと;
前記ネットワークを介した無線通信により、前記1つ以上のインターネットサーバから、前記第1、第2又は第3のタイプのデータの処理されたデータを受け取り、前記ユーザインタフェース上に表示するステップと;
を含む、方法。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記無線インターネットデバイス」について、「人に携行されるよう構成され、」を、「人に携行されるよう構成された携帯電話であり、」と、「携帯電話である」との限定を付加し、
さらに、「前記無線インターネットデバイス」について、「ディスプレイとを含み、」を、「ディスプレイと、一体型のGPSデバイス、加速度計又はタイマーを含み、」と、「一体型のGPSデバイス、加速度計又はタイマーを含む」との限定を付加し、
さらに、「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを受け取」ることについて、「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを受け取り、」を、「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取り、」と、「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータ」を「前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取」るとの限定を付加し、表現を整えたものである。

したがって、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

3 引用文献及びその記載事項
(1)本願の優先権主張日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2010/0120585号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、以下の摘記において、(2)の引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。

ア 記載事項について
(1-ア)
「[0004] The present invention relates to monitoring of living subjects, such as during exercise, and more particularly to exercise monitoring of persons where measured or input exercise data is communicated by a mobile communications device to and from the internet.」
(当審訳:
[0004]
本出願は、例えば運動中等の生体のモニタリングに関し、より具体的には、測定又は入力される運動データがモバイル通信デバイスによってインターネットへ及びインターネットから通信される、人の運動モニタリングに関する。)

(1-イ)
「[0009] The deployment of the above systems also currently lacks employment of full back-end server functionality with which to provide a wide range of interactive communication with the patient. Instead, such systems, if internet-enabled, are often limited to mere one-way non-interactive data transfer via a modem.
SUMMARY OF THE INVENTION
[0010]Embodiments of the present invention overcome one or more of the disadvantages of the prior art by providing a full-feature health and exercise monitoring system that may wirelessly connect to a back-end server application via the internet. The invention allows wireless access to and from a wide variety of present exercise or health-related instruments and devices, while maintaining the capability of connecting to future such devices.
[0011]The advent of multimedia mobile phones and other personal communications devices that include a digital camera, or are able to connect with one, allows the capture and transmission of health and exercise information, including images. In embodiments of the present invention, multimedia mobile phones are used to transmit voice and images as well as data from an exercise monitoring device. In addition to the uploading of images, the display screen of a wireless internet device ("WID"), such as a smart phone, is used to allow the display of images such as illustrations, diagrams or video clips which may be downloaded from a server as part of an interactive user interface (e.g., for the purpose of describing to a user how to set up an exercise regime). The ability to include images in a system that is based on a WID connected to a exercise monitoring device helps facilitate the remote analysis and monitoring of exercise, fitness, nutrition, or health.」
(当審訳:
[0009]
上記システムの開発は、現在、患者との広範な対話的通信を提供する完全なバックエンドサーバの機能の利用にも欠ける。代わりに、そのようなシステムは、インターネット対応型の場合、モデムを介した一方向の非対話的なデータ転送に制限されることが多い。
発明の概要
[0010]
本発明の実施形態は、インターネットを介してバックエンドのサーバアプリケーションと無線で接続することができるフル機能の健康及び運動モニタリングシステムを提供することによって、先行技術の欠点のうちの1つ以上を克服する。本発明は、将来のデバイスへの接続する能力を維持しつつ、多様な現在の運動又は健康関連の機器及びデバイスへの無線アクセス並びにこれらの機器及びデバイスからの無線アクセスを可能にする。
[0011]
デジタルカメラを含むかデジタルカメラに接続可能な、マルチメディア携帯電話及び他の個人通信デバイスの出現は、画像を含め、健康及び運動情報のキャプチャ及び伝送を可能にする。本発明の実施形態では、マルチメディア携帯電話を使用して、音声及び画像だけでなく、運動モニタリングデバイスからのデータを伝送する。画像のアップロードに加えて、スマートフォン等の無線インターネットデバイス(「WID:wireless internet device」)のディスプレイ画面を使用して、(例えば運動計画をどのように設定するかについてユーザに説明する目的のために)対話的ユーザインタフェースの一部としてサーバからダウンロードされ得る、イラストレーション、図表、ビデオクリップ等のような画像の表示を可能にする。運動モニタリングデバイスに接続されるWIDに基づく、システム内に画像を含める能力は、運動、フィットネス、栄養又は健康についてのリモート分析及びモニタリングを容易にすることを助ける。)

(1-ウ)
「[0017] A major advantage of embodiments of the invention is that the same frees the patient from the constraints of wired systems. The same allows users with consumer "off-the-shelf" wireless devices, e.g. mobile phone, to significantly extend the range of connectivity over that of wired computers, or even wireless telemetry systems.
[0018] The WID may be a web-enabled mobile phone. Alternatively, the WID may be a PDA, palm, handheld, tablet, netbook, or laptop computer, equipped with a wireless modem. Besides these, the WID may be a hybrid device that combines the functions of a computer, PDA and telephone in some fashion. It should also be noted that the WID may be a web-enabled mobile phone or hybrid device using a satellite communications network.」
(当審訳:
[0017]
本発明の実施形態の主な利点は、有線システムの制約から患者を解放することにある。
また、本発明の実施形態は、ユーザが、消費者の「既製の(off-the-shelf)」無線デバイス、例えば携帯電話とともに、接続の範囲を有線コンピュータの接続範囲に、あるいは無線テレメトリシステムの接続範囲にわたって大いに拡張することを可能にする。
[0018]
WIDは、ウェブ対応型の携帯電話であってよい。あるいは、WIDは、無線モデムを備えたPDA、パルム、ハンドヘルド、タブレット、ネットブック又はラップトップのコンピュータであってもよい。これらに加えて、WIDは、何らかの方法でコンピュータ、PDA及び電話の機能を組み合わせるハイブリッドデバイスであってもよい。WIDは、星通信ネットワークを使用するウェブ対応型の携帯電話又はハイブリッドデバイスであってもよいことにも留意されたい。)

(1-エ)
「[0031] The use of a WID equipped with a "hands-free" earpiece and microphone allows the user to interact with the trainer, coach, or health care professional while recording exercise data. The use of a camera-equipped mobile phone further allows the trainer or health care professional to instruct the user to send photographs or video to assist in the exercise performance or analysis. The deployment of voice processing technology may be used to allow an even more convenient user interface.
[0032] In all of these respects, the portable aspect of the WID is important: to with, the user may conveniently carry the WID on their person wherever they go, allowing data entry at the time needed or as is convenient.」
(当審訳:
[0031]
「ハンズフリー」のイヤホン及びマイクを備えたWIDの使用は、運動データを記録している間に、ユーザが、トレーナー、コーチ又は医療専門家と対話することを可能にする。カメラを装備した携帯電話の使用は更に、トレーナー又は医療専門家が、運動のパフォーマンス又は分析を助けるために写真又はビデオを送信するようにユーザに指示することを可能にする。音声処理技術の発展を使用して、更にいっそう便利なユーザインタフェースを可能にすることができる。
[0032]これらの観点の全てにおいて、WIDのポータブルな側面は重要である:ユーザが、出掛けるときにいつでもWIDを身に着けて便利に持ち運ぶことができ、必要な時間又は便利にデータ入力を可能にすることが可能になるということが分かる。)

(1-オ)
「[0051] Referring to FIG. 2, a first embodiment of WEMA 10 is shown. WEMA 10 includes an HMD 11, which may include an optional monitor screen 40, coupled via an optional adaptor 42 to a WID 12. WID 12 connects wirelessly via an antenna 60 to base station 15 (see FIG. 1). One function of WID 12 may be to provide the user interface; other functions are described below.
[0052]As noted above, HMD 11 may include a physiological sensor 24 which connects to the HMD via a connection 44 (or which may alternatively connect directly to the WID) or a sensor 24' tracking an amount of exercise performed that connects to the WID (or HMD) via a connection 44'; or may include a manual system 36 for input of physiological and exercise data via a connection 34. Manual system 36 may also be used to input data directly into WID 12 via a connection 32. Manual system 36 may include, e.g., a keyboard or keypad 30, a mouse 26, a pen-type device 28, touch screen 28' and may also employ a separate monitor (not shown). Of course, the user may also view information on monitor 40 or on a screen 41 of WID 12.
・・・
[0055] For exercise devices and applications, physiological sensor 24 may include, e.g., a sensor appropriate for measuring heart rate, respiration, blood glucose levels, blood oxygen levels, blood pressure, electrocardiograms (ECG), or any other desired physiological parameter. Sensor 24 may connect via an optional cable 44 to subject 38. Alternatively, sensor 24 may be distal of HMD 11, i.e., at or within subject 38. In other words, if cable 44 is employed, sensor 24 may be proximal or distal of cable 44. In some applications, such as some types of cardiac monitoring, sensor 24 is implanted within the patient. The sensor 24' tracking the exercise performed may include, e.g. a pedometer, accelerometer, biofeedback device, timer, GPS device, or other sensor tracking duration, rate, intensity or total amount of exercise. Either or both the physiological sensor and/or sensor tracking the amount of exercise may be incorporated in exercise machines such as a treadmill, exercise bicycle, stepper and so forth. Alternatively, other exercise monitors may also be employed so long as the measured data may either be transferred to WID 12, e.g., via optional adaptor 42, described in further detail below, or by being read by a user, e.g., from a display, and manually input to the WID.」
(当審訳:
[0051]
図2を参照すると、第1の実施形態のWEMA10が図示されている。WEMA10はHMD11を含む。HMD11は、任意選択のモニタ画面40を含んでよく、任意選択のアダプタ42を介してWID12に結合される。WID12は、アンテナ60を介して基地局15(図1を参照されたい)に無線で接続する。WID12の1つの機能は、ユーザインタフェースを提供することであってよく、他の機能は以下で説明する。
[0052]
上記のように、HMD11は、接続44を介してHMDに接続する(又は代替的にWIDに直接接続してもよい)生理センサ24か、接続44’を介してWID(又はHMD)に接続する、実行される運動の量を追跡するセンサ24’を含むことができ;あるいは接続34を介する生理学的データ及び運動データの入力のための手動システム36を含むこともできる。手動システム36は、接続32を介してWID12に直接データを入力するように使用されることもある。手動システム36は、例えばキーボード又はキーパッド30、マウス26、ペンタイプのデバイス28、タッチスクリーン28を含んでよく、また、別個のモニタ(図示せず)を採用してもよい。当然、ユーザは、モニタ40又はWID12の画面41上で情報を見ることもできる。
・・・
[0055]
運動デバイス及びアプリケーションのために、生理センサ24は、例えば心拍、呼吸、血糖値、血液酸素レベル、血圧、心電図(ECG)又は任意の他の所望の生理学的パラメータを測定するのに適したセンサを含み得る。センサ24は任意選択のケーブル44を介して被検体38へ接続することができる。あるいは、センサ24はHMD11の遠位であってよい。すなわち、センサ24は、被検体38にあるか、被検体38内にあってよい。言い換えると、ケーブル44を用いる場合、センサ24は、ケーブル44の近くであっても、遠位であってもよい。一部のタイプの心臓モニタリング等のような一部の用法では、センサ24が患者の内部に埋め込まれる。実行される運動を追跡するセンサ24’は、例えば歩数計、加速度計、生体フィードバックデバイス、タイマー、GPSデバイス、あるいは運動の期間、速度、強度又は全体の量を追跡する他のセンサを含み得る。生理センサ及び/又は運動量を追跡するセンサのいずれか又は双方を、トレッドミルやエクササイズバイク、ステッパー等のような運動マシン内に組み込むことができる。あるいは、測定データが以下で更に説明される任意選択のアダプタ42を介してWID12へ転送されるか、例えばディスプレイからユーザが読み取ることによってWIDへ手動で入力され得る限りにおいて、他の運動モニタを採用することもできる。)

(1-カ)
「[0078] The extent to which server application 62 interacts with wireless application 70 depends on the use to which the system is put. For example, in a less interactive embodiment, device application 70 may act to measure a user's heart rate during exercise and report the same to server application 62. In this case, a trainer may simply review the measured value and send the user a response reporting that the value is acceptable or not. In a highly interactive embodiment, a user may have numerous HMDs 11 measuring a variety of physiological data and/or other data tracking the amount of exercise performed, connected via optional adaptors to a WID 12, and wireless application 70 may correspondingly send a large amount of exercise data to server application 62. The trainer, coach, or physician accessing server application 62, may in turn send detailed plans for an exercise regimen via connection 72. The received data may be analyzed using algorithm 63, external data source 74, and AI system 76. In this sense, the two applications may be highly interactive.」
(当審訳:
[0078]
サーバアプリケーション62が無線アプリケーション70と対話する範囲は、システムが置かれる用途に依存する。例えばあまり対話的でない実施形態では、デバイスアプリケーション70は、運動中にユーザの心拍を測定して、この心拍をサーバアプリケーション62へ報告するように動作し得る。この場合、トレーナーは単に、測定された値をレビューして、その値が受け入れ可能であるか否かを報告する応答をユーザに送信することができる。かなり対話的な実施形態では、ユーザは、様々な生理学的データ及び/又は実行された運動量を追跡する他のデータを測定し、かつ任意選択のアダプタを介してWID12に接続される、様々なHMD11を有することがあり、無線アプリケーション70は、これに対応して大量の運動データをサーバアプリケーション62に送信し得る。次いで、サーバアプリケーション62にアクセスするトレーナー、コーチ又は医師が、接続72を介して運動計画について詳細なプランを送信することができる。受け取ったデータは、アルゴリズム63、外部データソース74及びAIシステム76を使用して分析され得る。この意味において、2つのアプリケーションは非常に対話的である。)

(1-キ)
「[0082] Referring to FIG. 6, a flowchart of a method is shown for a system of exercise, fitness, nutrition or health monitoring, and/or exercise management. In this example, the HMD is in the form of a general exercise machine such as a treadmill, stepper, exercise bicycle and so forth. An exercise monitor may be integral to the exercise machine or may be separate.
[0083] In the method, both exercise data and visual data may be wirelessly transmitted from the WID. Visual data include that corresponding to photographic pictures, both still and video, and graphical or visual data output images from an HMD, e.g., an exercise machine or equipment display screen, or other images related to the exercise being performed. A trainer or coach may review these images and use them to guide the user as appropriate as described below.
[0084] After the start (step 242) of the method, a user interacts with a WID (step 240). By the interaction, visual data may be captured (step 241'), and/or the user may send supplemental data to the server and server application (step 241).
[0085] To obtain the visual data noted above, photographic data, a camera may be employed, which is either resident on the WID (camera 224 of FIG. 3) or is otherwise available by way of a link. The WID may store photographic data, either still or video, and transmit the same wirelessly to a point of collection, e.g., a server application, or may save the photographic data on the memory device for contemporaneous or later transmission, again either via a streamed, non-streamed, or other transmission method (step 208 of FIG. 6).
[0086] Also after the program is started (step 242), a sensor measures an exercise parameter (step 216), where the exercise parameter corresponds to physiological data or to data corresponding to the amount of exercise performed.
[0087] The exercise monitor sensor may send the parameter to the exercise machine (step 218) or the parameter may be sent directly to the WID (step 218'). It is understood here that the "sensor" may pertain to any of the exercise monitors discussed above.
[0088] If the parameter is sent to the exercise machine as an intermediate step, the exercise machine then sends the parameter to the WID (step 220). In any case, the WID wirelessly communicates the parameter to the application server (step 222), e.g., via the wireless web.
[0089] An alternative and complementary way of entering the parameter is by user input. For example, the user may enter the parameter into the exercise machine or into the WID. This parameter may correspond to an amount of exercise performed, an amount of food consumed, etc. Such data and other types are termed supplemental data, and may be transmitted to the server and server application (step 241). Calculations by the server application may take into account the supplemental data as well as the visual data and exercise data.
[0090] The server application processes the parameter (step 224 and optionally step 225), and calculates a response (step 226) based at least in part on the parameter. The server application may optionally employ external data (step 232) or an AI system (step 234) in the calculation. The application server then sends the response to the WID (step 228), where the response is displayed (step 230). Alternatively, the application server may sends the response to an alternate WID (step 228'), such as that of a coach or teammate, where the response is displayed (step 230').」
(当審訳:
[0082]
図6を参照すると、運動、フィットネス、栄養又は健康モニタリング及び/又は運動管理のシステムのための方法のフローチャートが図示されている。この例では、HMDは、トレッドミル、ステッパー、エクササイズバイク等のような一般的な運動マシンの形である。運動モニタは、運動マシンと統合されてもよく、別個であってもよい。
[0083]
この方法では、運動データと視覚データの双方がWIDから無線で伝送され得る。視覚データは、静止画とビデオの双方の写真ピクチャに対応し、例えば運動マシン又は装置のディスプレイ画面等のHMDからのグラフィカル又は視覚データ出力画像、あるいは実行されている運動に関連する他の画像を含む。トレーナー又はコーチは、これらの画像をレビューし、これらの画像を使用して、上述のように適切にユーザをガイドすることができる。
[0084]
方法の開始(ステップ242)の後、ユーザがWIDと対話する(ステップ240)。
対話によって、視覚データをキャプチャすることができ(ステップ241’)、かつ/又はユーザはサーバ又はサーバアプリケーションに補足データを送信することができる(ステップ241)。
[0085]
上記の視覚データ、すなわち写真データを取得するために、カメラを用いることができる。カメラは、WID内に存在するか(図3のカメラ224)、そうでなければリンクを介して利用可能である。WIDは、静止画又はビデオのいずれかの写真データを格納して、例えばサーバアプリケーション等の収集ポイントへこの写真データを無線で送信してもよく、あるいはストリーム型、非ストリーム型又は伝送方法による他の同時又は後の伝送のために写真データをメモリデバイス上に保存してもよい(図6のステップ208)。
[0086]
また、プログラムが開始された後(ステップ242)、センサは、運動パラメータを測定する(ステップ216)。この場合、運動データは、生理学的データ又は実行された運動量に対応するデータに対応する。
[0087]
運動モニタセンサは、パラメータを運動マシンに送信してもよく(ステップ218)、
パラメータをWIDに直接送信してもよい(ステップ218’)。ここでは、「センサ」
とは、上述の運動モニタのうちのいずれかに関連し得ることが理解される。
[0088]
中間ステップとして、パラメータが運動マシンに送信される場合、運動マシンは、次いでパラメータをWIDに送信する(ステップ220)。いずれの場合も、WIDは、例えば無線ウェブを介して、パラメータをアプリケーションサーバに無線で通信する(ステップ222)。
[0089]
パラメータを入力する代替的な補完的方法は、ユーザ入力によるものである。例えばユーザは、パラメータを運動マシンへ、あるいはWIDへ入力する。このパラメータは、実行した運動量、消費した食べ物の量等に対応し得る。そのようなデータ及び他のタイプのものは補足データと呼ばれ、サーバ及びサーバアプリケーションへ伝送され得る(ステップ241)。サーバアプリケーションによる計算は、補足データに加えて、視覚データ及び運動データも考慮し得る。
[0090]
サーバアプリケーションはパラメータを処理し(ステップ224及び任意選択のステップ225)、少なくともそのパラメータに基づいて、応答を計算する(ステップ226)。サーバアプリケーションは、任意選択により、その計算の際に外部データ(ステップ232)又はAIシステムを用いる(ステップ234)ことができる。次いで、アプリケーションサーバは、応答をWIDへ送信し(ステップ228)、ここで応答が表示される(ステップ230)。あるいは、アプリケーションサーバは、コーチ又はチームメイトのWID等のような代わりのWIDへ応答を送信してもよく(ステップ228’)、ここで応答が表示される(ステップ230’)。)

(1-ク)
FIG.2



イ 引用発明について
(ア)記載事項の整理
a 上記摘記(1-キ)[0086]の「センサは、運動パラメータを測定する(ステップ216)。この場合、運動データは、生理学的データ又は実行された運動量に対応するデータに対応する。」における「センサ」とは、摘記(1-オ)の[0052]における「生理センサ24」及び「実行される運動の量を追跡するセンサ24’」のことである。

b 摘記(1-キ)における、[0086]の「運動パラメータ」と、[0088],[0090]の「パラメータ」は、同じものを示しているといえることから、両者を「パラメータ」と記載する。

(イ)引用発明
上記(ア)を踏まえると、上記ア(1-ア)?(1-ク)から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。
「(a)デジタルカメラを含む、スマートフォン等のウェブ対応型の携帯電話である無線インターネットデバイス(「WID:wireless internet device」)を使用する、運動についてのモニタリング方法であって、[0011][0018][0082]
(b)前記WIDは、ユーザが出掛けるときにいつでも身に着けて便利に持ち運ぶことができるものであり、[0031]
(c)対話的ユーザインタフェースの一部としてイラストレーション、図表、ビデオクリップ等のような画像の表示を可能にするディスプレイを含み、[0011]
(d)WID内に存在するカメラによって、視覚データをキャプチャすることができ、視覚データは静止画又はビデオのいずれかの写真データであり、[0084][0085]
(e)接続44を介して前記WIDに直接接続する生理センサ24、接続44’を介して前記WIDに接続する、実行される運動の量を追跡するセンサ24’があり、[0052]
(f)センサ24、24’は、生理学的データ又は実行された運動量に対応するデータであるパラメータを測定し、[0086]
(g)センサ24’は、加速度計、タイマー、GPSデバイス等の実行される運動を追跡するものであり、[0055]
(h)前記WIDは、無線ウェブを介して、パラメータをアプリケーションサーバに無線で通信し、[0088]
(i)サーバアプリケーションはパラメータを処理し、少なくともそのパラメータに基づいて、応答を計算し、[0090]
(j)次いで、アプリケーションサーバは、応答をWIDへ送信し、ここで応答が表示される[0090]
方法。」

(2)本願の優先権主張日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-78134号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
(2-ア)
「【0014】
図示されている携帯型電子処理装置102は、走者101の腕に装着されている。腕に装着されることに加えて、携帯型電子処理装置102は、例えば、走者の腰等といった、走者の身体のどこか他の場所に装着されてもよい。携帯型電子処理装置102は、例えば、ウエストポーチやバックパックに入れて携帯されてもよい。
【0015】
或る実施形態では、携帯型電子処理装置102は、例えば、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)又は音楽ファイルプレイヤー(例えば、MPEG-1オーディオレイヤ3(MP3)音楽ファイルプレイヤー)等といった装置であって、スポーツ動作モードを有する。」

(2-イ)
「【0060】
或る実施形態では、携帯型電子処理装置300は、必要に応じて、衛星を利用した測位システム(例えば、全地球測位システム(GPS)又はガリレオ・システム)の受信器305も含む。これにより、携帯型電子処理装置300が地球上のどこにあってもその場所を判定できる。衛星を利用した測位システム(例えば、GPS)の受信器305は、アンテナ307に接続されている。」

(2-ウ)
「【0232】
図29は、本発明の或る実施形態による、スポーツ用電子トレーニングシステムの電話設定機能を示す図である。本発明の、携帯型電子処理装置が携帯電話である複数の実施形態では、表示画面2402で「電話」選択肢を選択すると、表示画面2902が表示される。」

(2-エ)
「【0239】
図33に示されるように、或る実施形態では、携帯型電子処理装置は歩数計として動作できる。ユーザが表示画面2402で「歩数計」選択肢を選択した場合には、歩数計表示画面3302が現れる。歩数計用の情報は、例えば、携帯型電子処理装置に統合された運動モニタ104、加速度計又は他のセンサから入力され得る。」

(3)本願の優先権主張日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-18234号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
(3-ア)「【0001】
本発明は、眼鏡に配設されたセンサから生体に関する情報を取得して人体の健康管理を行う健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を取得することができるセンサチップ等の技術向上により、高齢者や要介護者向けに、生体情報を常時取得して健康管理する技術が広まっている。つまり、高齢者や要介護者の生体情報を常時取得してモニタリングすることで、病院内の看護士や介護者の手間を省き、効率よく健康管理を行うことができる。
【0003】
生体情報を取得するためには各種のセンサを身体に取り付ける必要があるが、特に、高齢者や徘徊性認知症者のような対象者の場合、センサの取り付けを嫌う傾向があり、腕時計やリストバンドを利用したセンサでは外されてしまうことが多い。」


(4)本願の優先権主張日前に頒布された特開2013-212315号公報(以下、「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。なお、引用文献4は、上記「2」で記載したように、本件補正により追加された「前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取」るとの事項を示すために提示する文献である。

(4-ア)「【0002】
従来の装着型使用者状態情報取得装置である無線センサ端末について図6を用いて説明する。無線センサ端末は、腕時計として使用者に装着される。腕時計は必需品であり、使用者は余計なものを装着している感じをもたなくなり、日常的かつ自然な感覚で無線センサ端末を装着できる。一言で言えば、装着による違和感がなくなるのである。したがって、装着率が上がり、当然のことながら一日の使用時間も長くなる。また、装着による使用者の負担も激減する。
【0003】
使用中、使用者の脈拍が脈拍センサ40により検出され、そのデータがプロセッサ基板30上の無線回路から発信される。この無線回路は単なる通信機能だけでなく無線中継機能を有し、これによりマルチホップによる無線センサネットワークシステム(MOTEシステム)を構築することは前述したとおりである。」

(4-イ)「【0051】
無線通信部131がIEEE802.11シリーズを用いる場合、無線通信部131は、所定のルータ等の中間接続装置を介してインターネットに接続し、健康管理サーバに使用者状態情報を送信すればよい。一方、無線通信部131がBLUETOOTHを用いる場合、BLUETOOTHが利用できる携帯電話(例えば、スマートフォン)に接続し、一旦、携帯電話に使用者状態情報を送信し、使用者状態情報を受信した携帯電話が、利用可能なインターネットとの接続網を介して健康管理サーバに使用者状態情報を送信すればよい。」

(4-ウ)
図6



4 引用発明との対比・判断
(1)運動をモニタリングする方法について
ア 引用発明の「(a)」「WID」は、本願発明の「無線インターネットデバイス」に相当する。
また、引用発明の「(b)前記WID」は、「ユーザが出掛けるときにいつでも身に着けて便利に持ち運ぶことができるものであ」る。
そうすると、引用発明の「(a) デジタルカメラを含む スマートフォン等のウェブ対応型の携帯電話である無線インターネットデバイス(「WID:wireless internet device」)を使用」する「運動についてのモニタリング方法」と、
補正発明の「ウェアラブルな無線インターネットデバイスを使用して運動をモニタリングする方法」とは、
「身に着けて持ち運ぶことができる無線インターネットデバイスを使用して運動をモニタリングする方法」で共通する。

(2)無線インターネットデバイスについて
ア 引用発明の「ユーザが出掛けるときにいつでも身に着けて便利に持ち運ぶことができるもの」とは、「人に携行されるよう構成された」ものといえる。
そうすると、上記(1)アを踏まえると、引用発明の「(a)」「無線インターネットデバイス(「WID:wireless internet device」)」であって「(b)前記WIDは、ユーザが出掛けるときにいつでも身に着けて便利に持ち運ぶことができるもの」は、「スマートフォン等」の「ウェブ対応型の携帯電話」であるから、補正発明の「無線インターネットデバイス」であって「人に携行されるよう構成された携帯電話」に相当する。

イ (1)アを踏まえれば、引用発明の「(a)」「WID」は、「デジタルカメラを含む」から、補正発明の「デジタルカメラ」「を含」む「無線インターネットデバイス」に相当する。

ウ 引用発明の「(c)」「イラストレーション、図表、ビデオクリップ等のような画像」は、補正発明の「グラフィクス、写真及びビデオクリップを含む画像」に相当する。
そうすると、引用発明の「(b)」「WID」は、「(c)対話的ユーザインタフェースの一部としてイラストレーション、図表、ビデオクリップ等のような画像の表示を可能にするディスプレイを含」むものであるから、補正発明の「グラフィクス、写真及びビデオクリップを含む画像を表示するユーザインタフェースを提供するためのディスプレイ」「を含」む「無線インターネットデバイス」に相当する。

エ 引用発明の「(g)」「加速度計、タイマー、GPSデバイス等の実行される運動を追跡する」「センサ24’」が「(e)」「接続44’を介して」「接続」されている「前記WID」と、
補正発明の「一体型のGPSデバイス、加速度計又はタイマーを含」む「無線インターネットデバイス」とは、
上位概念として「GPSデバイス、加速度計又はタイマー」がある「無線インターネットデバイス」の点で共通するといえる。

オ ウェブは、インターネットで用いられる情報網であり、ネットワークである。
そうすると、引用発明の「(h)前記WID」は、「無線ウェブを介して、パラメータをアプリケーションサーバに無線で通信」するから、補正発明の「ネットワークと無線通信で接続され」た「無線インターネットデバイス」に相当する。

(3)3つのタイプのデータを受け取るステップについて
ア 引用発明の「(f)センサ」が「測定」する「生理学的データ」は、「(a)」「運動についてのモニタリング方法」で用いるものであるから、補正発明の「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータ」に相当する。
したがって、引用発明の「(f)センサ」が、「生理学的データ」「を測定」することと、
補正発明の「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取」ることとは、
「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサから受け取」る点で共通する。

イ 引用発明の「(f)センサ」が「測定」する「実行された運動量に対応するデータ」は、「運動パラメータ」であり、「(a)」「運動についてのモニタリング方法」で用いるものであって、「(d)」「センサ24’」として「加速度計、タイマー、GPSデバイス等の実行される運動を追跡する」ものを「含」むから、補正発明の「前記GPSデバイス、前記加速度計又は前記タイマーから」、「更に受け取る」「実行される運動作業の定量的な量である第2のタイプのデータ」に相当する。

ウ 上記ア、イより、引用発明の「(f)センサ24、24’は、生理学的データ又は実行された運動量に対応するデータである運動パラメータを測定」することと、
補正発明の「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取り、前記GPSデバイス、前記加速度計又は前記タイマーから、実行される運動作業の定量的な量である第2のタイプのデータを更に受け取るステップ」とは、
「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサから受け取り、前記GPSデバイス、前記加速度計又は前記タイマーから、実行される運動作業の定量的な量である第2のタイプのデータを更に受け取るステップ」で共通する。

エ 引用発明の「(d)WID内に存在するカメラによって、視覚データをキャプチャすること」は、「(a)」「運動についてのモニタリング方法」であるから運動中であることは明らかであり、「視覚データは静止画又はビデオのいずれかの写真データ」であるから、「写真データを取得」する「カメラ」がデジタルカメラであることは明らかである。
そうすると、引用発明の「(d)WID内に存在するカメラによって、視覚データをキャプチャすること」は、補正発明の「運動中に前記デジタルカメラによってキャプチャされた視覚画像を表す、第3のタイプのデータを受け取るステップであって、前記視覚画像が前記運動中の写真又はビデオ画像を含む、ステップ」に相当する。

オ 引用発明の「(h)WIDは、無線ウェブを介して、パラメータをアプリケーションサーバに無線で通信」することは、補正発明の「前記ネットワークを介した無線通信により、前記第1、第2又は第3のタイプのデータを、1つ以上のインターネットサーバに伝送するステップと」に相当する。

カ 引用発明の「(i)サーバアプリケーションはパラメータを処理し、少なくともそのパラメータに基づいて、応答を計算し、
(j)次いで、アプリケーションサーバは、応答をWIDへ送信し、ここで応答が表示される」ことは、補正発明の「前記ネットワークを介した無線通信により、前記1つ以上のインターネットサーバから、前記第1、第2又は第3のタイプのデータの処理されたデータを受け取り、前記ユーザインタフェース上に表示するステップ」に相当する。

(4)よって、補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点1?3で相違する。

(一致点)
「身に着けて持ち運ぶことができる無線インターネットデバイスを使用して運動をモニタリングする方法において、前記無線インターネットデバイスは、人に携行されるよう構成された携帯電話であり、デジタルカメラと、グラフィクス、写真及びビデオクリップを含む画像を表示するユーザインタフェースを提供するためのディスプレイを含む、GPSデバイス、加速度計又はタイマーがある前記無線インターネットデバイスは、ネットワークと無線通信で接続され、当該方法は、
運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサから受け取り、前記GPSデバイス、前記加速度計又は前記タイマーから、実行される運動作業の定量的な量である第2のタイプのデータを更に受け取るステップと;
運動中に前記デジタルカメラによってキャプチャされた視覚画像を表す、第3のタイプのデータを受け取るステップであって、前記視覚画像が前記運動中の写真又はビデオ画像を含む、ステップと;
前記ネットワークを介した無線通信により、前記第1、第2又は第3のタイプのデータを、1つ以上のインターネットサーバに伝送するステップと;
前記ネットワークを介した無線通信により、前記1つ以上のインターネットサーバから、前記第1、第2又は第3のタイプのデータの処理されたデータを受け取り、前記ユーザインタフェース上に表示するステップと;
を含む、方法。」

(相違点1)
身に着けて持ち運ぶことができる無線インターネットデバイスについて、補正発明では、「ウェアラブルな」ものであるのに対して、引用発明では、そのような特定をしていない点。

(相違点2)
GPSデバイス、加速度計又はタイマーについて、補正発明では、無線インターネットデバイスと「一体型」とされており、それに「含」まれているのに対して、引用発明では、センサ24’が無線インターネットデバイス(WID)と接続されている点。

(相違点3)
生理学的データを測定するセンサについて、補正発明では、「時計と一体化」されているのに対して、引用発明では、生理センサ24が、時計と一体化されていない点。

(5)判断
ア 相違点1についての検討
引用文献2に、腕に装着する、すなわち、ウェアラブルな携帯型電子処理装置(例えば携帯電話)が記載されている。
そして、ランニング等のトレーニングに用いるものを、身につけて取れずらく落ちないようにする(ウェアラブル)要求は、ランニング等のトレーニングをする人が普通に考えることである。
そうすると、引用発明の無線インターネットデバイス(WID)に、引用文献2に記載された携帯型電子処理装置を腕に装着する構成を採用し、ウェアラブルなものとし、相違点1に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到するものである。

イ 相違点2についての検討
引用文献2に、携帯型電子処理装置が携帯電話である実施形態、携帯型電子処理装置300がGPSの受信器305も含むもの、携帯型電子処理装置に統合された加速度計が記載されている。また、タイマーも携帯型電子処理装置に一般に備えられた機能の一つであるように、GPSデバイス、加速度計又はタイマーについて、無線インターネットデバイスと一体型のものは、慣用されている。
したがって、引用発明の無線インターネットデバイス(WID)において、センサ24’と一体型のもの採用し、相違点2に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到するものである。

ウ 相違点3についての検討
生体情報を取得するための腕時計を利用したセンサは周知慣用の技術である(例えば、引用文献4の腕時計として使用者に装着される脈拍センサ40参照。)。
そして、腕時計は、外出するときに携帯する物として普通のものであるから、引用発明の生理センサ24を上記周知慣用の技術を用いて時計と一体化し、相違点3に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到するものである。

エ そして、補正発明の作用効果は、引用文献1、2及び周知、慣用の技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものともいえない。

オ したがって、補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知、慣用の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


5 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?13に係る発明は、平成31年1月25日付けの手続き補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由] 1(2)」に記載したとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は以下のとおりである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献等に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(進歩性)について

・請求項 1?13
・引用文献等 1?3
請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないと説示している。

<引用文献等一覧>
引用文献1.米国特許出願公開第2010/0120585号明細書
引用文献2.特開2009-78134号公報
引用文献3.特開2014-18234号公報

3 引用文献及びその記載事項
本願の優先権主張日前に頒布された引用文献1?3の記載事項及び引用発明は、上記「第2[理由] 3」に記載したとおりである。

4 当審の判断
本願発明は、補正発明を特定するために必要な事項である「前記無線インターネットデバイス」について、「人に携行されるよう構成された携帯電話であり、」から、「携帯電話である」との限定事項を削除し「人に携行されるよう構成され、」とし、
さらに、「前記無線インターネットデバイス」について、「ディスプレイと、一体型のGPSデバイス、加速度計又はタイマーを含み、」から「一体型のGPSデバイス、加速度計又はタイマーを含む」との限定事項を削除し「ディスプレイとを含み、」とし、
さらに、「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを受け取」ることについて、
「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取り、」から、「前記生理学的データを測定するセンサが一体化された時計から受け取」るとの限定事項を削除し「運動中に測定される生理学的データである第1のタイプのデータを受け取り、」とし、整えた表現を元に戻したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2[理由]4」に記載したとおり、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知、慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知、慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-06-01 
結審通知日 2020-06-02 
審決日 2020-06-15 
出願番号 特願2017-501077(P2017-501077)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 森 竜介
信田 昌男
発明の名称 無線ウェアラブルデバイスを用いて運動モニタリングと視覚データを組み合わせる運動モニタリングのための方法及び装置  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ