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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L |
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管理番号 | 1367863 |
審判番号 | 不服2018-16620 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-12 |
確定日 | 2020-12-04 |
事件の表示 | 特願2015- 3578「光ネットワークのパスに割り当てるリソースを決定する決定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月14日出願公開、特開2016-129312、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続きの経緯 本願は、平成27年1月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年6月14日付け :拒絶理由通知 平成30年7月11日 :意見書、手続補正書の提出 平成30年10月31日付け:拒絶査定(原査定) 平成30年12月12日 :審判請求書の提出 令和2年3月11日付け :拒絶理由通知 (以下、「当審拒絶理由通知」という。) 令和2年6月3日 :意見書の提出 第2.原査定の概要 原査定(平成30年10月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献A-Dに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2008-131247号公報 B.特開2014-241536号公報 C.特開2013-211798号公報 D.特開2006-25014号公報 第3.当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。 (理由1.) 本願の請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.釣谷 剛宏・角田 聖也・竹島 公貴、エラスティック光アグリゲーションネットワークのプロビジョニングシステムアーキテクチャの一検討、電子情報通信学会技術研究報告PN2013-102、日本、2014.02.24発行、Vol.113、No.455、p.63-66(当審において新たに引用した文献) 2.特開2005-244400号公報(当審において新たに引用した文献) 第4.本願発明 本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成30年7月11日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 光ネットワークのパスに割り当てるリソースの決定装置であって、 既に設定されている1つ以上の既存パスの優先度を示す情報を保持する保持手段と、 新たに設定する設定パスに割り当てることができる空きリソースがあると、当該空きリソースを前記設定パスに割り当てる割当手段と、 前記設定パスに割り当てることができる空きリソースがないと、前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスの内の1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する判定手段と、 を備えており、 前記判定手段は、前記設定パスにリソースを割り当てるために割り当てを解除する必要がある前記1つ以上の第1パスの優先度の合計より、前記設定パスの優先度が高い場合、当該1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除し、前記設定パスにリソースを割り当てると判定し、 前記判定手段が前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除すると判定すると、 前記割当手段は、リソースの割り当てを解除した前記1つ以上の第1パスのうちの第2パスに割り当てることができる空きリソースがあるかを判定し、割り当てることができる空きリソースがあると、当該空きリソースを前記第2パスに割り当て、 前記判定手段は、前記第2パスに割り当てることができる空きリソースがないと前記割当手段が判定すると、前記第2パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスのうちのリソースの割り当てを解除していない第3パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定することを特徴とする決定装置。 【請求項2】 前記判定手段は、前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスのうち、割り当てを解除する必要がある前記1つ以上の第1パスの組をそれぞれ求め、各組それぞれについて、組に含まれる前記1つ以上の第1パスの優先度の合計により組の優先度を求め、前記設定パスの優先度が、求めた組の優先度以下であると、前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスへのリソースの割り当てを解除しないと判定することを特徴とする請求項1に記載の決定装置。 【請求項3】 前記判定手段は、前記設定パスの優先度より優先度の低い組があると、前記設定パスの優先度より優先度の低い組を1つ選択し、選択した組に含まれる前記1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除し、前記設定パスにリソースを割り当てると判定することを特徴とする請求項2に記載の決定装置。 【請求項4】 前記判定手段は、前記設定パスの優先度より優先度の低い組の内の最も優先度が低い組を選択することを特徴とする請求項3に記載の決定装置。 【請求項5】 パスに割り当てるリソースは、周波数帯域及び経路の組み合わせであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の決定装置。 【請求項6】 請求項1から5のいずれか1項に記載の決定装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。」 第5.引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 令和2年3月11日付けの当審による拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のために当審が付与した。 「図2にシステムの機能ブロック及びブロック間のインタフェースを記載する.今回開発を行うEλANプロビジョニングシステムは,計算エンジン,収容管理データベース,品質管理データベース,計算マネージャから構成される.クライアントからのパス設定要求に対して,品質情報や収容情報を基に,計算エンジンが要求仕様(制約)に基づいて最適な経路を探索し,その最適な経路候補を基に計算マネージャがODNのエラスティックWSSを設定する.また,品質情報の問い合わせに対して,指定経路の品質情報を回答する,なお,図2右に記載するODNを経由してOLTからONUへのパスを今後エラスティック波長パス(赤実線)と呼ぶ.下記に各機能ブロックの詳細を示す.」(第64頁右欄) 「・波長パステーブル 既設されたエラスティック波長パスは「パスID:PathID」で管理する.なお,現用系と予備系は一つのIDで管理する.波長パスは,始点及び終点ノードのNodeID,信号方式(今回はOFDMを想定),変調方式(QPSK,16QAM,64QAM等),優先度で表現されている.」(第65頁左欄) 「(4)計算エンジン 複数のアルゴリズムが存在し,各々の方法で最適波長パスの経路探索を行う.また,必要な場合は既存経路の移設先の経路探索も行う」(第65頁左欄) 「図3に新設波長パスの探索手順を示す. (1)クライアント装置から,要求(ビットレート指定)を受け付ける. (2)計算マネージャは,最も理想的な(周波数帯域の小さい)変調フォーマットを求める.具体的には,予め保持する変調フォーマットマスタファイルから,要求ビットレート以上を満足し,信号帯域(Signal Bandwidth)が最も小さな変調方式を選択する.なお,処理(4)の品質チェックでNGとなった場合(処理(2)の二回目以降)は,次に理想的な(それ以前に求めた変調方式以外で最も信号帯域の小さい)変調フォーマットを求める.要求されたビットレートを超える変調フォーマットがそれ以上みつからない場合には,処理を中止する. (3)計算エンジンは,必要な周波数帯域の連続性を満たし,遅延時間が少なく,SN比が下限を下回らず,削除波長パス経路の合計優先度数が最小限となるよう,波長パス経路(必要な場合には冗長経路も含む)を探索し,1以上の設定候補を得る.なお,設定候補が得られない場合は(2)に戻る.経路探索処理の流れは以下のとおりである. 1)空きリソース探索:グラフネットワークを構築し,始終点ノード間の遅延時間最小のk-shortest path探索を行う,この際,要求されたFS数以上の連続した空きFSのないリンクは削除して探索を行う.なお,探索はk個の経路が見つかった時点,もしくは遅延時間が遅延時間上限値を超えた時点で探索を終了する. 2)使用周波数スロット決定1:1)の経路のうち,品質(OSNR)の下限値を満たせない経路は除外する.除外されなかった経路のうち,FS数の連続した周波数帯を周波数が大きい方(波長若番より)から今回は線形探索をする. 3)ディスジョイント候補抽出:冗長系が必要な場合,現用系と冗長系はノード及びリンクディスジョイントな組み合わせを選択する. 4)使用周波数スロット決定2:経路に含まれるリンクのFS数の最小値を“N”,要求されたFS数を“M”とするとき,連続した周波数帯は(N-M+1)通りとりうる.そこで,最終的に使用周波数帯域を決定する際,既存パスに付与した優先度を用いて候補経路に含まれる既存パスの優先度値の合計を求め,それが最少となる周波数帯を選択する.この手順は,将来のディフラグメンテーションにも適用可能である. (4)計算マネージャは,品質管理Dを参照して各設定候補について品質チェックを行う.なお,全ての設定候補で品質NGの場合は(2)に戻る. (5)(3)で設計した設定候補について,収容管理DBより名称情報を検索する (6)クライアント装置へ応答する.」(第65頁右欄-第66頁左欄。なお、「丸数字1」?「丸数字6」は「(1)」?「(6)」と表記した。) 「3.3.その他機能 新設波長パス探索結果に基づき,エラスティックWSSノードヘクロスコネクト設定を実行する機能,障害などネットワークトポロジーの状態に変化が生じた場合の影響のあった既存波長パスの移設先を探索する機能,外部からの各経路に関する品質問い合わせに対する情報回答機能,各リンクの空き周波数帯域の閲覧機能などを具備する.」(第66頁左欄) したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「EλANプロビジョニングシステムは,計算エンジン,収容管理データベース,品質管理データベース,計算マネージャから構成され, クライアントからのパス設定要求に対して,品質情報や収容情報を基に,計算エンジンが要求仕様(制約)に基づいて最適な経路を探索し, 波長パステーブルでは,既設されたエラスティック波長パスは始点及び終点ノードのNodeID,信号方式,変調方式,優先度で表現されており, 計算エンジンは,必要な場合は既存経路の移設先の経路探索も行い, 新設波長パスの探索手順として, クライアント装置から,要求(ビットレート指定)を受け付け, 必要な周波数帯域の連続性を満たし,遅延時間が少なく,SN比が下限を下回らず,削除波長パス経路の合計優先度数が最小限となるよう,波長パス経路を探索し,1以上の設定候補を得るために, 空きリソース探索として,グラフネットワークを構築し,始終点ノード間の遅延時間最小のk-shortest path探索を行い,探索はk個の経路が見つかった時点,もしくは遅延時間が遅延時間上限値を超えた時点で探索を終了し, FS数の連続した周波数帯を周波数が大きい方(波長若番より)から線形探索を行い, 最終的に使用周波数帯域を決定する際,既存パスに付与した優先度を用いて候補経路に含まれる既存パスの優先度値の合計を求め,それが最少となる周波数帯を選択し, クライアント装置へ応答し, 新設波長パス探索結果に基づき,エラスティックWSSノードヘクロスコネクト設定を実行する機能,障害などネットワークトポロジーの状態に変化が生じた場合の影響のあった既存波長パスの移設先を探索する機能を具備する EλANプロビジョニングシステム。」 2.引用文献2について 令和2年3月11日付けの当審による拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、優先制御を行う機能を有する光通信ネットワークシステムにおいて、通信パスの設定を動的に行う技術に関する。本発明は、例えばインターネット用の光通信ネットワークシステムに適用することができる。」 「【0030】 図2(A)に、初期(変更前)のLSCパス状態の例を概念的に示す。なお、図2では、トラフィックモニタTM1?TM6および外部ネットワークNW1?NW6は省略した。図2(A)に示した例では、光パスA-F-G-B、光パスB-G-H-C、光パスC-H-I-D、光パスA-F-G-H-I-D、光パスA-F-J-E、光パスD-I-J-Eが設定されている。 【0031】 次に、このようなパス状態で、新規な光パスA-F-G-H-C(図2(B)参照)を設定する要求が出された場合を考える。この要求は、例えば、各ルータ内の図示しない管理機能部等によって、出される。この管理機能部は、例えば、トラフィックモニタTM1?TM5から得た情報等に応じて、新規光パスの設定を要求する。以下、ルータA内の管理機能部(図示せず)が、パスの設定要求を出した場合を例に採って説明する。 【0032】 新規な光パスが設定される場合、まず、パス設定命令が、制御プレーン上で、各ノードA,F,G,H,Cに送られる。これにより、各ノードA,F,G,H,Cで、新しい光パスを設定するための資源確保動作が行われる。そして、かかる資源が無い場合には、優先度の低い光パスを解除する。本実施形態では、ノードG,H間の資源を確保するために、優先度の低い光パスA-F-G-H-I-Dを解除することにする(図2(C)参照)。本実施形態の通信ネットワークシステムでは、光パスA-F-G-H-I-Dの解除に先立って、かかる解除を全ノードに広告する。この広告を受けて、ルータA?Eは、光パスA-F-G-H-I-Dを使用しないようにIPパケットの転送経路を変更する。そして、この転送経路変更の後で、光パスA-F-G-H-I-Dの解除と新規光パスA-F-G-H-Cの設定とが行われる(図2(D)参照)。」 「【0043】 (8)続いて、新しい光パスA-F-G-H-Cの設定処理が行われる。この処理では、まず、ルータAのパス設定解除機能111aが、光パスA-F-G-H-Cを設定するための命令を発行する。この設定命令は、ルータAのパス設定解除機能111aから、光スイッチFのパス設定解除機能210a(図1参照)に送られる。光スイッチFのパス設定解除機能210aは、この設定命令を受け取ると、パス設定資源確認更新機能210b、パス資源情報管理機能210c等を用いて、ノードF-G間の資源に空きがあるか否かをチェックする。資源の空きがある場合、光スイッチFのパス設定解除機能210aは、この光パス用の資源を予約し、設定命令をスイッチGに転送する。スイッチGは、同様の方法でノードG-H間の資源をチェックし、空きがあれば資源の予約と設定命令の転送を行う。同様にして、スイッチHは、ノードH-C間の資源をチェックする。 【0044】 (9)ここで、ノードH-C間に、新しい光パスを設定するための資源がなかった場合を考える。この場合、スイッチHのパス設定解除機能210aは、パス資源不足時対応機能210d、解除パス検索機能210e等を用いて、解除候補を選択する。ここでは、光パスB-G-H-Cが解除候補に選ばれたものとする。スイッチHのパス設定解除機能210aは、光パスB-G-H-Cの優先度をチェックする。そして、スイッチHのパス設定解除機能210aは、この優先度が新しい光パスA-F-G-H-Cの優先度よりも低い場合、光パスB-G-H-Cの解除を決定する。このようなが決定がなされた場合、スイッチHのパス解除依頼機能210fは、ルータBのパス解除依頼受信対応機能111gに対して、光パスB-G-H-Cのの解除を要請する。」 したがって、上記引用文献2には次の以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「優先制御を行う機能を有する光通信ネットワークシステムにおいて、新規な光パスを設定する際、新しい光パスを設定するための資源がなかった場合、新しい光パスの優先度よりも低い優先度の光パスを解除する」技術的事項。 3.引用文献Aについて 平成30年10月31日付けの拒絶査定(原査定)において引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0069】 ネットワーク制御部14はスケジューリング部13において生成された伝送路の制御の手順情報を参照し、手順情報の内容にしたがってネットワーク機器を制御し、伝送路の設定、削除、または、設定の変更などを行う。ネットワーク制御部14は、Telnetクライアントソフトウェア、または、SSH(Secure Shell)クライアントソフトウェアを利用して実現できる。まず、スケジューリング部13がネットワーク機器を制御するための設定コマンドを列記した手順情報をスクリプトファイルに書き出す。」 「【0073】 ここで、イベント制御部16とネットワーク制御部14との相違を簡単に説明すると、イベント制御部16は、ネットワーク機器からSNMP Trapのようなプロトコルを通じて光パスの帯域不足などの通知を受け取り、スケジューリング部13と連携して追加光パス制御のためのルータの設定変更を決定し、追加光パスを設定するためにルータを制御する。このように、ネットワーク機器の状況に基づいてネットワーク機器を設定する。これに対し、ネットワーク制御部14は、単に、スケジューリング部13で決定された制御内容に基づいてネットワーク機器を制御するだけである。 【0074】 イベント制御部16の利用方法を図13?図15を参照して説明する。図13において、ネットワーク機器が伝送路♯1の流入出トラフィック量を監視し、流入出トラフィック量のデータ、ないし、ネットワーク機器の判断結果によってデータを加工したものをイベント制御部16に通知する。例えば、イベント制御部16は、受信した内容に従い、伝送路♯1の帯域が不足していると判断し、伝送路の始点のノードと終点のノードの同じ伝送路を追加するためのネットワーク管理情報を生成し、スケジューリング部13に通知する。 【0075】 スケジューリング部13は、ネットワーク管理情報を参照し、伝送路♯1と並行の伝送路の即時確保が必要であると判断し、判断結果に基づいて伝送路の即時確保が可能かどうかを前記の経路計算手法に基づいて計算する。スケジューリング部13は、帯域増設可能と判断する場合には、例えば、図13に示される伝送路♯2を設定するための手順情報を生成し、手順情報記憶部19に記憶し、イベント制御部16に生成された手順情報の実行を命令する。イベント制御部16は、手順情報記憶部19上の手順情報を参照してネットワーク機器を制御する。 【0076】 本発明により、ある区間の伝送路の帯域が不足している場合に新しい伝送路を即時に追加可能となる。逆に、伝送路の帯域が過剰の場合に過剰分の伝送路を削除可能となる。」 「【0079】 図15において、ネットワーク機器が現用伝送路の流入出トラフィックの通信品質を監視し、品質情報のデータ、ないし、ネットワーク機器の判断結果によってデータを加工したものをイベント制御部16に通知する。例えば、ネットワーク機器がイベント制御部16に対して新しい伝送路を設定し、新しい伝送路が優先度の高い伝送路であると通知する。 【0080】 イベント制御部16は、受信した内容をネットワーク管理情報記憶部17に記憶させて、受信内容と内部に設定された判断アルゴリズムとを比較する。例えば、イベント制御部16が新しい伝送路のために予備伝送路を設定する必要があると判断し、予備伝送路を設定するためのネットワーク管理情報を作成し、スケジューリング部13に通知する。 【0081】 スケジューリング部13は、ネットワーク管理情報を参照し、予備伝送路の即時確保が可能かどうかを前記の経路計算手法に基づいて計算する。スケジューリング部13は、予備伝送路の設定を可能と判断する場合には、例えば、図15に示される予備伝送路の設定するための手順情報を生成して手順情報記憶部19に記憶し、さらに、イベント制御部16に命令する。イベント制御部16は、手順情報記憶部19上の手順情報を参照し、参照内容に基づいてネットワーク機器を制御する。 【0082】 本発明により、現用系しかない伝送路に予備系の伝送路を動的に追加できる。さらに、ネットワーク機器が伝送路の流入出信号の優先度、および、トラフィック量などを監視し、監視情報、または、ネットワーク機器の判断結果によって監視情報を加工したものをイベント制御部16に通知する。例えば、イベント制御部16は、受信した内容をネットワーク管理情報記憶部18に記憶し、その受信内容と内部に設定された判断アルゴリズムとを比較する。 【0083】 イベント制御部16は、優先度の高い信号と優先度の低い伝送路とを別々に分けて異なる伝送路に収容する必要があると判断し、高優先度用、または、低優先度用の伝送路の即時確保のためのネットワーク管理情報を生成し、スケジューリング部13に通知する。スケジューリング部13は、受信されたネットワーク管理情報に基づいて伝送路の即時確保が可能かどうかを前記の経路計算手法に基づいて計算する。 【0084】 スケジューリング部13は高優先度用、または、低優先度用の伝送路の確保可能と判断する場合には、確保される伝送路を設定するための手順情報を生成し、手順情報記憶部19に記憶し、イベント制御部16に通知する。イベント制御部16は、手順情報記憶部19上の手順情報を参照し、手順情報に基づいてネットワーク機器を制御する。 【0085】 上記において、イベント制御部16は、生成したネットワーク管理情報をスケジューリング部13に直接通知していた。ただし、イベント制御部16は、形式適応部12、または、クライアント通信部11と形式適応部12とを経由してスケジューリング部13に通知してもよい。 【0086】 上記の場合には、予約、および、即時確保の要求毎に付与される優先度に応じ、競合する伝送路の予約などを廃棄し、優先度の高い要求を優先してもよい。即時に伝送路を追加したいという要求がある場合、かつ、既に予約された他の伝送路と競合して追加できない場合などに対し、追加したい伝送路の優先度と、既に予約された伝送路の優先度とを比較して優先度の高い伝送路を設定し、必要に応じて既に予約された伝送路の予約をキャンセルするという処理が可能となる。 【0087】 上記に示されるとおり、伝送路を追加、削除、または、変更された場合などにおいて、予約可能なネットワーク機器の設備、および、設備量などに変化が生じ、システム管理情報記憶部17上に管理されているシステム管理情報を更新する必要がある。 【0088】 本発明により、多種多様なクライアント装置の要求を一元的に管理可能なネットワーク管理装置10を実現可能となる。さらに、ネットワーク機器の発生するネットワーク構成の変更などの即時要求に応じてネットワーク機器の設定を変更可能となる。つまり、本発明のネットワーク管理装置10は、将来に伝送路利用を求められる予約系処理と、伝送路利用を即時に求められる即時系処理とを一元的に実行可能となる。」 したがって、上記引用文献Aには次の以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「ネットワーク制御部14はスケジューリング部13において生成された伝送路の制御の手順情報を参照し、手順情報の内容にしたがってネットワーク機器を制御し、伝送路の設定、削除、または、設定の変更などを行い、 イベント制御部16は、ネットワーク機器から光パスの帯域不足などの通知を受け取り、スケジューリング部13と連携して追加光パス制御のためのルータの設定変更を決定し、追加光パスを設定するためにルータを制御し、ネットワーク機器の状況に基づいてネットワーク機器を設定し、 ネットワーク制御部14は、スケジューリング部13で決定された制御内容に基づいてネットワーク機器を制御し、 ネットワーク機器が伝送路♯1の流入出トラフィック量を監視し、流入出トラフィック量のデータ、ないし、ネットワーク機器の判断結果によってデータを加工したものをイベント制御部16に通知し、 スケジューリング部13は、ネットワーク管理情報を参照し、伝送路♯1と並行の伝送路の即時確保が必要であると判断し、判断結果に基づいて伝送路の即時確保が可能かどうかを前記の経路計算手法に基づいて計算し、帯域増設可能と判断する場合には、伝送路♯2を設定するための手順情報を生成し、手順情報記憶部19に記憶し、イベント制御部16に生成された手順情報の実行を命令し、イベント制御部16は、手順情報記憶部19上の手順情報を参照してネットワーク機器を制御し、 これにより、ある区間の伝送路の帯域が不足している場合に新しい伝送路を即時に追加可能となり、逆に、伝送路の帯域が過剰の場合に過剰分の伝送路を削除可能となり、 ネットワーク機器が現用伝送路の流入出トラフィックの通信品質を監視し、品質情報のデータ、ないし、ネットワーク機器の判断結果によってデータを加工したものをイベント制御部16に通知し、例えば、ネットワーク機器がイベント制御部16に対して新しい伝送路を設定し、新しい伝送路が優先度の高い伝送路であると通知し、 イベント制御部16は、受信した内容をネットワーク管理情報記憶部17に記憶させて、受信内容と内部に設定された判断アルゴリズムとを比較し、例えば、イベント制御部16が新しい伝送路のために予備伝送路を設定する必要があると判断し、予備伝送路を設定するためのネットワーク管理情報を作成し、スケジューリング部13に通知し、スケジューリング部13は、ネットワーク管理情報を参照し、予備伝送路の即時確保が可能かどうかを前記の経路計算手法に基づいて計算し、スケジューリング部13は、予備伝送路の設定を可能と判断する場合には、予備伝送路の設定するための手順情報を生成して手順情報記憶部19に記憶し、さらに、イベント制御部16に命令し、イベント制御部16は、手順情報記憶部19上の手順情報を参照し、参照内容に基づいてネットワーク機器を制御し、 これにより、現用系しかない伝送路に予備系の伝送路を動的に追加でき、さらに、ネットワーク機器が伝送路の流入出信号の優先度、および、トラフィック量などを監視し、監視情報、または、ネットワーク機器の判断結果によって監視情報を加工したものをイベント制御部16に通知し、 イベント制御部16は、優先度の高い信号と優先度の低い伝送路とを別々に分けて異なる伝送路に収容する必要があると判断し、高優先度用、または、低優先度用の伝送路の即時確保のためのネットワーク管理情報を生成し、スケジューリング部13に通知し、スケジューリング部13は、受信されたネットワーク管理情報に基づいて伝送路の即時確保が可能かどうかを前記の経路計算手法に基づいて計算し、 スケジューリング部13は高優先度用、または、低優先度用の伝送路の確保可能と判断する場合には、確保される伝送路を設定するための手順情報を生成し、手順情報記憶部19に記憶し、イベント制御部16に通知し、イベント制御部16は、手順情報記憶部19上の手順情報を参照し、手順情報に基づいてネットワーク機器を制御し、上記の場合には、予約、および、即時確保の要求毎に付与される優先度に応じ、競合する伝送路の予約などを廃棄し、優先度の高い要求を優先してもよく、即時に伝送路を追加したいという要求がある場合、かつ、既に予約された他の伝送路と競合して追加できない場合などに対し、追加したい伝送路の優先度と、既に予約された伝送路の優先度とを比較して優先度の高い伝送路を設定し、必要に応じて既に予約された伝送路の予約をキャンセルするという処理が可能となり、 ネットワーク機器の発生するネットワーク構成の変更などの即時要求に応じてネットワーク機器の設定を変更可能となる、将来に伝送路利用を求められる予約系処理と、伝送路利用を即時に求められる即時系処理とを一元的に実行可能となるネットワーク管理装置10。」 4.引用文献Bについて 平成30年10月31日付けの拒絶査定(原査定)において引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0145】 この後、監視制御サーバ22は、通信サービスI2の警報情報を受信した場合には、通信サービスI2には平常時のサービス重要度「10」が割り当てられているため、通信サービスI2の復旧優先度を「10」と算出する。次に、監視制御サーバ22は、通信サービスL6の警報情報を受信した場合と同様に、パケットパスP3の復旧優先度、光パスW5の復旧優先度、及び光リンクセクションS5の復旧優先度を算出する。この場合、通信サービスI2の復旧優先度が「10」と算出されるため、パケットパスP3の復旧優先度、光パスW5の復旧優先度、及び光リンクセクションS5の復旧優先度は、通信サービスL6の受信時の復旧優先度「20」に通信サービスI2の復旧優先度「10」が加算され、「30」と算出される。 【0146】 次に、監視制御サーバ22は、通信サービスI3の警報情報を受信した場合には、通信サービスI3には平常時のサービス重要度「5」が割り当てられているため、通信サービスI3の復旧優先度を「5」と算出する。この場合、通信サービスI3の復旧優先度が「5」と算出されるため、パケットパスP3の復旧優先度、光パスW5の復旧優先度、及び光リンクセクションS5の復旧優先度は、通信サービスI2の警報情報の受信時の復旧優先度「30」に通信サービスI3の復旧優先度「5」が加算され、「35」と算出される。」 したがって、上記引用文献Bには、「復旧優先度を加算により算出する」という技術的事項が記載されていると認められる。 5.引用文献Cについて 平成30年10月31日付けの拒絶査定(原査定)において引用された引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0199】 優先度の欄には、パスの優先度に応じた数値が格納される。例えば、優先度の欄には、重要な信号を伝送するパス程、大きな数値を格納する。図36の例では、パス3の優先度が最も高く、次いで、パス1、パス2となっている。 【0200】 ノードの制御部は、動作パス数をカウントする際、優先度を考慮して計算する。例えば、制御部は、あるパスがある切替えパターンで動作する場合、変数‘動作数’に1を加算するのではなく、優先度の数値を加算する。これにより、ノードは、優先度の高いパスが残るように切替えを実施することになる。 【0201】 このように、ノードの制御部は、動作パス数をカウントする際、パスの優先度を考慮して計算するようにした。これにより、優先度のパスが残るように切替えが実施される。」 したがって、上記引用文献Cには、「優先度を加算する」という技術的事項が記載されていると認められる。 6.引用文献Dについて 平成30年10月31日付けの拒絶査定(原査定)において引用された引用文献Dには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0036】 以上説明したように本実施形態では、ポリシーベースの検索により唯一のパスルートだけでなく、複数の候補ルートをまず抽出する。そしてこれらのルートに対して、「通過するリンクごとのリソース占有数の最大値の少ない候補ルートほど、その順位を高くする(ルール1)」、「通過するリンクごとのリソース占有数の合計値の少ない候補ルートほど、その順位を高くする(ルール2)」、「通過するリンクごとのリソース占有数のばらつきの少ない候補ルートほど、その順位を高くする(ルール3)」、および、「通過するノードの持つリンク数の合計値の多い候補ルートほど、順位を高くする(ルール4)」というルールを適用し、最も順位の高い候補ルートにパスを設定するようにしている。 【0037】 このようにしたので、リンクごとに万遍なくパスを設定でき、ネットワーク全体におけるリソースの占有最大数を低減してリソースを高効率で使用することが可能になる。従って局所的なリソース超過の発生を抑圧できるようになり、ネットワークの利用の効率化を図ることが可能になる。」 したがって、上記引用文献Dには、「複数の候補ルートに対して、ルールに基づき順位を計算し、最も順位の高い候補ルートにパスを設定する」という技術的事項が記載されていると認められる。 第6.対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 上記本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア. 引用発明の「EλANプロビジョニングシステム」は、EλAN(エラスティック光アグリゲーションネットワーク)において、「波長パス」の「周波数帯」や「経路」の設定を管理していることから、本願発明の「光ネットワークのパスに割り当てるリソースの決定装置」に相当する。 イ. 引用発明の「波長パステーブル」は、「既設されたエラスティック波長パス」の「優先度」を管理していることから、本願発明の「既に設定されている1つ以上の既存パスの優先度を示す情報を保持する保持手段」に相当する。 ウ. 引用発明の「計算エンジン」は、「空きリソース探索」を行い、「新設波長パス」に「周波数帯」と「経路」を割り当てることから、本願発明の「新たに設定する設定パスに割り当てることができる空きリソースがあると、当該空きリソースを前記設定パスに割り当てる割当手段」と、「空きリソースを前記設定パスに割り当てる割当手段」という点で共通するといえる。 エ. 引用発明の「計算エンジン」は、「新設波長パスの探索」のために、「最終的に使用周波数帯域を決定する際」に、「既存パスに付与した優先度を用いて候補経路に含まれる既存パスの優先度値の合計を求め,それが最少となる周波数帯を選択」して、「合計優先度数が最小限となるよう」に、「波長パス経路」を「削除」することから、本願発明の「前記設定パスに割り当てることができる空きリソースがないと、前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスの内の1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する判定手段」と、「前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスの内の1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する判定手段」という点で共通するといえる。 オ.引用発明の「計算エンジン」は、「候補経路に含まれる既存パスの優先度値の合計」に基づいて「最終的に使用周波数帯域を決定」していることから、本願発明の「前記設定パスにリソースを割り当てるために割り当てを解除する必要がある前記1つ以上の第1パスの優先度の合計より、前記設定パスの優先度が高い場合、当該1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除し、前記設定パスにリソースを割り当てると判定」する「判定手段」と、「前記設定パスにリソースを割り当てるために割り当てを解除する必要がある前記1つ以上の第1パスの優先度の合計に基づいて、当該1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除し、前記設定パスにリソースを割り当てると判定」するという点で共通するといえる。 また同様に、引用発明の「計算エンジン」は、本願発明の「前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除すると判定する」「判定手段」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「光ネットワークのパスに割り当てるリソースの決定装置であって、 既に設定されている1つ以上の既存パスの優先度を示す情報を保持する保持手段と、 空きリソースを前記設定パスに割り当てる割当手段と、 前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスの内の1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する判定手段と、 を備えており、 前記判定手段は、前記設定パスにリソースを割り当てるために割り当てを解除する必要がある前記1つ以上の第1パスの優先度の合計に基づいて、当該1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除し、前記設定パスにリソースを割り当てると判定し、 前記判定手段が前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除すると判定する 決定装置。」 [相違点] (相違点1) 本願発明は、「新たに設定する設定パス」に「割り当てることができる空きリソースがある」場合と「割り当てることができる空きリソースがない」場合の判定を行って、「新たに設定する設定パスに割り当てることができる空きリソースがあると、」当該空きリソースを前記設定パスに割り当てる割当手段と、「前記設定パスに割り当てることができる空きリソースがないと、」前記設定パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスの内の1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する判定手段と、を備えているのに対し、引用発明では「空きリソース」の有無について判定する手段が特定されていない点。 (相違点2) 本願発明は、「前記設定パスにリソースを割り当てるために割り当てを解除する必要がある前記1つ以上の第1パスの優先度の合計」と、「前記設定パスの優先度」を比較し、「前記設定パスの優先度が高い場合」に「前記1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除し、前記設定パスにリソースを割り当てると判定する」のに対し、引用発明では「前記設定パスの優先度」が特定されておらず、「前記設定パスの優先度」との比較を行っていない点。 (相違点3) 本願発明は、「1つ以上の第1パスへのリソースの割り当てを解除すると判定する」と、 「前記割当手段は、リソースの割り当てを解除した前記1つ以上の第1パスのうちの第2パスに割り当てることができる空きリソースがあるかを判定し、割り当てることができる空きリソースがあると、当該空きリソースを前記第2パスに割り当て、」 「前記判定手段は、前記第2パスに割り当てることができる空きリソースがないと前記割当手段が判定すると、前記第2パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスのうちのリソースの割り当てを解除していない第3パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する」のに対し、 引用発明では、「計算エンジンは,必要な場合は既存経路の移設先の経路探索も行」うものであって、「新設波長パス探索結果に基づき,エラスティックWSSノードヘクロスコネクト設定を実行する機能,障害などネットワークトポロジーの状態に変化が生じた場合の影響のあった既存波長パスの移設先を探索する機能を具備する」との特定がされているにとどまる点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本願発明1の「前記割当手段は、リソースの割り当てを解除した前記1つ以上の第1パスのうちの第2パスに割り当てることができる空きリソースがあるかを判定し、割り当てることができる空きリソースがあると、当該空きリソースを前記第2パスに割り当て、」 「前記判定手段は、前記第2パスに割り当てることができる空きリソースがないと前記割当手段が判定すると、前記第2パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスのうちのリソースの割り当てを解除していない第3パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する」という構成は、上記引用文献1、2には記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。 特に、上記引用文献1には、「既存波長パスの移設先を探索する機能」との言及があるものの、当該機能が必要な場合として具体的に記載されているのは、「障害などネットワークトポロジーの状態に変化が生じた場合の影響のあった既存波長パス」に対する「移設先を探索する機能」であることから、上記相違点3に係る本願発明1の上記構成とは異なるものである。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-5について 本願発明2-5も、上記相違点3に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明6について 本願発明6も、上記相違点3に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるプログラムの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7.原査定についての判断 本願発明1-6は、上記「前記割当手段は、リソースの割り当てを解除した前記1つ以上の第1パスのうちの第2パスに割り当てることができる空きリソースがあるかを判定し、割り当てることができる空きリソースがあると、当該空きリソースを前記第2パスに割り当て、」 「前記判定手段は、前記第2パスに割り当てることができる空きリソースがないと前記割当手段が判定すると、前記第2パスにリソースを割り当てるために、前記1つ以上の既存パスのうちのリソースの割り当てを解除していない第3パスへのリソースの割り当てを解除するか否かを判定する」という構成を有し、当該構成は、上記「第5.3.」?「第5.6.」で示したように、原査定における引用文献A-Dには記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-6は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Dに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8.むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-11-17 |
出願番号 | 特願2015-3578(P2015-3578) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大石 博見 |
特許庁審判長 |
稲葉 和生 |
特許庁審判官 |
小田 浩 角田 慎治 |
発明の名称 | 光ネットワークのパスに割り当てるリソースを決定する決定装置 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 前田 浩次 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 坂本 隆志 |
代理人 | 大塚 康徳 |