• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1367890
審判番号 不服2020-7861  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-08 
確定日 2020-12-01 
事件の表示 特願2018-150865「サーバ、方法、プログラム、動画像放送システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月30日出願公開、特開2020- 17244、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続きの経緯

本願は、平成30年7月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年7月31日付け:拒絶理由通知
令和2年3月2日付け :拒絶査定(原査定)
令和2年6月8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和2年8月3日付け :拒絶理由通知
(以下、「当審拒絶理由通知」という。)
令和2年9月29日 :意見書、手続補正書の提出

第2.原査定の概要

原査定(令和2年3月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1:本願は、請求項9-10に係る発明について、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

理由2:本願は、請求項1-8の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1及び7に記載の「仮想アイテムのデータを制御」及び「仮想アイテムのデータを前記仮想空間のデータと合わせて」とは、技術的に何を意図するのか不明である。
また、請求項1を引用する請求項2-6、及び請求項7を引用する請求項8も同様である。

第3.当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。

(理由1)
本願の請求項1-3及び5-8に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特願2018-91781号(特開2019-195536号)

(理由2)
本願は、請求項1-8の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(理由3)
本願は、請求項1-8の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



(1)請求項1及び7の「配信者端末および/または視聴者端末から受付ける」との記載は、本願明細書に記載された課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されていないため、本願明細書に記載された範囲を超えている。また、本願明細書に記載された課題との関係から不明確な内容である。
また、請求項1を引用する請求項2-6、及び請求項7を引用する請求項8も同様である。
(2)請求項4の「他の視聴者端末および/または配信者端末に報知しない」との記載は、本願明細書に記載された課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されていないため、本願明細書に記載された範囲を超えている。また、本願明細書に記載された課題との関係から不明確な内容である。
また、請求項4を引用する請求項5-6も同様である。

第4.本願発明

本願の請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和2年9月29日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-8は以下のとおりの発明である(下線部は、補正箇所である。)。

「 【請求項1】
配信者端末によって操作されるオブジェクトが存在する仮想空間のデータを視聴者端末及び前記配信者端末に配信する配信部と、
前記仮想空間内へ投入される仮想アイテムの投入入力を前記視聴者端末から受付ける受付部と、
前記仮想アイテムのデータを記憶する記憶部と、
前記投入入力に従って前記記憶部に記憶されている前記仮想アイテムのデータを用いて、前記仮想アイテムを前記仮想空間に投入させる投入実行部と、
前記仮想アイテムの演出を制御するとともに、投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する仮想アイテム制御部と、
を備え、
前記配信部は、前記仮想アイテム制御部によって前記演出を制御された仮想アイテム付仮想空間のデータを配信することを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記仮想アイテム制御部は、前記仮想空間内に投入された前記仮想アイテムの外観を変化させることを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記仮想アイテム制御部は、前記仮想空間内に投入された前記仮想アイテムを消失、透明化、分解、変形、または拡大縮小させることを特徴とする請求項1または2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記仮想アイテム制御部は、前記仮想空間内に投入された前記仮想アイテムを一部の視聴者端末および/または配信者端末に報知し、他の視聴者端末に報知しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項5】
前記仮想アイテム制御部は、前記仮想空間内に投入される前記仮想アイテムの上限数を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記仮想アイテム制御部は、前記仮想アイテムが前記仮想空間内に投入されることが可能な時間を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項7】
配信者端末によって操作されるオブジェクトが存在する仮想空間のデータを視聴者端末及び前記配信者端末に配信するステップと、
前記仮想空間内へ投入される仮想アイテムの投入入力を前記視聴者端末から受付けるステップと、
前記仮想アイテムのデータを記憶するステップと、
前記投入入力に従って記憶部に記憶されている前記仮想アイテムのデータを用いて、前記仮想アイテムを前記仮想空間に投入させるステップと、
前記仮想アイテムの演出を制御するとともに、投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御するステップと、
を備え、
前記配信するステップにおいて、前記仮想アイテムの演出を制御するステップで前記演出を制御された仮想アイテム付仮想空間のデータを配信することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法を実行するプログラム。」

第5.先願1、先願発明等

1.先願1について
令和2年8月3日付けの当審による拒絶の理由に引用された、本願の出願日前の他の特許出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2018-91781号(特開2019-195536号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のために当審が付与した。

「【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る動画配信システム10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。動画配信システム10は、図示するように、インターネット等の通信ネットワーク20を介してユーザ端末30と通信可能に接続されている。図1においては、1つのユーザ端末30のみが図示されているが、システム10は、複数のユーザ端末30と通信可能に接続されている。システム10は、配信者が提供する動画を複数の視聴者に配信するための動画配信サービスを、ユーザ端末30を介して提供する。本実施形態において、ユーザ端末30のユーザは、配信者として動画を配信することができ、また、視聴者として、他のユーザによって配信される動画を視聴することもできる。」

「【0019】
このように構成された動画配信システム10は、ウェブサーバ及びアプリケーションサーバとしての機能を有し、ユーザ端末30にインストールされているウェブブラウザ及びその他のアプリケーション(例えば、動画配信サービス用のアプリケーション)からの要求に応答して各種の処理を実行し、当該処理の結果に応じた画面データ(例えば、HTMLデータ又は制御データ等)をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30では、受信したデータに基づくウェブページ又はその他の画面が表示される。」

「【0027】
次に、本実施形態の動画配信システム10が有する機能について説明する。図2は、動画配信システム10が有する機能を概略的に示すブロック図である。システム10は、図示するように、様々な情報を記憶及び管理する情報記憶管理部41と、動画配信サービスの基本機能を制御する基本機能制御部43と、配信する動画が再生される仮想空間を制御する仮想空間制御部45とを有する。」

「【0030】
動画配信システム10の仮想空間制御部45は、仮想空間の制御に関する様々な処理を実行する。例えば、仮想空間制御部45は、仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示するように構成されている。仮想空間は、配信者が提供する動画が再生されるように構成されている。例えば、仮想空間制御部45は、視聴者用画面を表示するための画面データ(HTMLデータ又は制御データ等)を複数の視聴者の各々のユーザ端末30に送信するように構成される。
【0031】
本実施形態において、仮想空間制御部45は、視聴者によって入力された所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成されている。例えば、視聴者用画面が、視聴者による所定のオブジェクトの入力指示を受け付けるように構成されており、仮想空間制御部45は、視聴者のユーザ端末30において表示される視聴者用画面を介して所定のオブジェクトの入力指示を受け付けると、当該所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成される。
【0032】
また、仮想空間制御部45は、動画の配信中に行われる所定のゲームの進行の制御に関する様々な処理を実行するように構成されている。本実施形態において、当該所定のゲームは、仮想空間に配置された上記所定のオブジェクトを用いたゲームとして構成されており、配信者による操作に基づいてその進行が制御される。例えば、仮想空間制御部45は、配信者のユーザ端末30を介した当該配信者による操作に基づいて、所定のゲームの進行を制御するように構成される。」

「【0036】
また、仮想空間制御部45は、仮想空間に位置する配信者のアバターの動作を、配信者による操作に少なくとも基づいて制御し、当該アバターの動作に少なくとも基づいて、上記所定のゲームの進行を制御するように構成され得る。例えば、当該アバターは、配信者のユーザ端末30を介した操作(例えば、物理コントローラを用いた操作、カメラを介して撮影される画像に含まれる配信者の姿勢に基づく操作、及び、タッチパネル(配信者用画面等)に対するタッチ操作等が含まれ得る。)に基づいて、その動作が制御される。当該アバターは、現実の配信者に代わって動画に登場(出演)するバーチャル配信者と考えることもできる。こうした構成は、配信者のアバターを所定のゲームにおけるプレイヤキャラクタとして用いることを可能とする。」

「【0039】
次に、このような機能を有する本実施形態の動画配信システム10の具体例について説明する。この具体例における動画配信システム10は、配信者のユーザ端末30のカメラ及びマイクを介して入力される映像及び音声によって構成されるライブ動画を、複数の視聴者に対して配信可能なライブ動画配信サービスを提供するように構成されている。」

「【0045】
図5は、この例において、複数の視聴者の各々のユーザ端末30において表示される視聴者用画面50を例示する。当該画面50は、例えば、視聴者が、ユーザ端末30において表示される画面を介して、その時点で配信中のライブ動画(番組)の一覧の中から所望の動画を選択したときに、当該ユーザ端末30において表示される。
【0046】
視聴者用画面50は、図5に示すように、画面全体において、選択されているライブ動画(番組)に対応する仮想空間100を表示し、画面下端の左側に位置するコメント入力領域52と、同じく画面下端の右側に位置するギフティングボタン54と、コメント入力領域52の上側に位置するコメント表示領域56とが、当該仮想空間100に重ねて配置されている。」

「【0049】
視聴者がギフティングボタン54を選択すると、相互に種類の異なる第1-第3ギフティングアイテムの中から予め設定されているギフティングアイテムが仮想空間100に投入される。ギフティングアイテムが投入されると、当該アイテムを投入した視聴者に対して貢献ポイントが付与されると共に、この配信の配信者に対して支援ポイントが付与される。
【0050】
図6は、ギフティングボタン54の選択に応じて投入されるギフティングアイテムの種類を予め設定するためのギフティングアイテム設定用オブジェクト541を例示する。当該オブジェクト541は、ギフティングボタン54に対する所定の操作(例えば、ロングタップ操作)に応じて、視聴者用画面50に重ねて表示される。当該オブジェクト541は、相互に種類の異なる第1-第3ギフティングアイテム110を選択可能に表示し、また、これらの3種類のアイテム110の各々の対応する視聴者による保有数を表示する。当該保有数は、ユーザ情報テーブル411において管理されている。第1-第3ギフティングアイテム110は、同じハート型の形状を有するが、その色が異なっている。視聴者は、当該ギフティングアイテム設定用オブジェクト541を介して、ギフティングボタン54の選択に応じて投入されるアイテムの種類を予め設定することができる。なお、ギフティングボタン54は、その時点で設定されている種類のギフティングアイテムを表示するように構成されている。
【0051】
図7は、ギフティングアイテム110が仮想空間100に投入されている状態の視聴者用画面50を例示する。この例では、視聴者から投入されたアイテム110は、仮想空間100の上方(天井方向)からフロア104に向けて、所定の速度で落下するように制御される。また、当該アイテム110は、フロア104に着地すると消滅する。また、この例では、投入されたギフティングアイテム110の仮想空間100における水平方向(横方向)の位置はランダムに決定される。なお、視聴者が、投入するギフティングアイテム110の水平方向の位置やギフティングアイテム110の移動速度、移動方向等を指定できるようにしても良い。
【0052】
図8は、図7の状態において、配信者のユーザ端末30において表示される配信者用画面60を例示する。当該画面60は、図示するように、視聴者用画面50と同様に、画面全体において仮想空間100を表示し、画面下端の左側に位置するコメント入力領域62と、当該領域62の上側に位置するコメント表示領域66とが、当該仮想空間100に重ねて配置されている。また、配信者用画面60は、画面下端の右側には、視聴者用画面50におけるギフティングボタン54に代えて、動画の配信を終了するための配信終了ボタン64が配置されている。
【0053】
この例では、配信者用画面60は、ミニゲームの操作が可能となるように構成されている。当該ミニゲームは、視聴者によって投入されて仮想空間100の上方から落ちてくるギフティングアイテム110を、配信者が、タップ操作で獲得することによって得点を得るゲームとして構成されている。
【0054】
具体的には、落下するギフティングアイテム110に対するタップ操作を行って配信者が当該アイテム110を獲得すると、当該アイテム110は消滅し、対応する得点がスコアに加算される。一方、配信者が獲得するよりも前に、アイテム110がフロア104に着地して消滅してしまった場合には、配信者に対するペナルティとして、HPから所定の値が減じられる。」

「【0056】
また、この例では、HPがゼロとなるまでは、ミニゲームのプレイが可能である。なお、配信者が、動画の配信中において、ミニゲームを開始及び/又は終了するタイミングを指定できるようにしても良い。この場合、ミニゲームの開始前、及び、終了後においては、ギフティングアイテム110の投入は可能であるものの、ミニゲームは進行しない。
【0057】
このように、この例では、配信者は、複数の視聴者の各々が投入したギフティングアイテム110を用いたミニゲームを楽しむことができる。また、各視聴者は、自身が投入したギフティングアイテム110を用いたミニゲームを配信者がプレイする様子を、視聴者用画面50を介して観覧することができる。
【0058】
上述した例では、仮想空間100のスクリーンオブジェクト102において、配信者のユーザ端末30のカメラを介して入力されるライブ映像を表示するように構成したが、本実施形態の他の例では、こうしたライブ映像に代えて、配信者のアバターが登場する映像を表示するように構成される。
【0059】
図9は、当該他の例における配信者用画面60Aを例示する。図示するように、この例における仮想空間100Aでは、上述した仮想空間100のスクリーンオブジェクト102に代えて、ステージオブジェクト103Aが配置されている。そして、当該ステージオブジェクト103Aの上に、配信者のアバター120Aが配置されている。
【0060】
この例におけるアバター120Aは、配信者のユーザ端末30における物理コントローラを介して操作される。配信者は、アバター120Aを操作しながら、ユーザ端末30のマイクを介して音声を入力する(話す)ことにより、アバター120Aを仮想的な配信者(演者)として登場させたライブ動画の配信を行うことができる。なお、アバター120Aの操作は、物理コントローラを介した操作に限定されず、例えば、ユーザ端末30が有するカメラを介して入力される画像に含まれる配信者の姿勢に基づいて、アバター120Aを操作するようにしても良い。例えば、当該画像に含まれる配信者の身体の所定の部位(例えば、顔及び両手)を認識し、認識した所定の部位の配置に基づいて、アバター120Aを操作する(例えば、配信者の所定の部位の動きを追随するようにアバター120Aの動作を制御する)ようにしても良い。この場合、配信者の所定の部位に所定の外観を有するマーカーを設けておき(例えば、両手の手の平に所定の色の所定の形状のマーカーを描いておき)、当該マーカーを検出することによって所定の部位を認識するようにしても良い。また、画像に含まれる配信者の姿勢の認識は、公知の人物姿勢推定技術を適用して実現することもできる。こうすれば、例えば、配信者の実際の姿勢の変化(つまり、動き)に連動するようにアバター120Aの動作を制御することが可能となる。
【0061】
この例におけるミニゲームは、上述した例におけるミニゲームと同様のルールが適用されるが、ギフティングアイテム110を獲得する方法が異なる。即ち、この例では、アバター120Aの手の部分がギフティングアイテム110に触れることにより、当該アイテム110を獲得し、対応する得点がスコアに加算される。このように、この例のミニゲームは、配信者のアバター120Aが、ゲームにおけるプレイヤキャラクタとして用いられる。」

したがって、上記先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

「インターネット等の通信ネットワーク20を介して複数のユーザ端末30と通信可能に接続されている動画配信システム10であって、当該動画配信システム10は、配信者が提供する動画を複数の視聴者に配信するための動画配信サービスを、ユーザ端末30を介して提供するものであり、ユーザ端末30のユーザは、配信者として動画を配信することができ、また、視聴者として、他のユーザによって配信される動画を視聴することもでき、(【0012】)
当該動画配信システム10は、ウェブサーバ及びアプリケーションサーバとしての機能を有し、ユーザ端末30にインストールされているウェブブラウザ及びその他のアプリケーション(例えば、動画配信サービス用のアプリケーション)からの要求に応答して各種の処理を実行し、当該処理の結果に応じた画面データ(例えば、HTMLデータ又は制御データ等)をユーザ端末30に送信し、ユーザ端末30では、受信したデータに基づくウェブページ又はその他の画面が表示され、(【0019】)
当該動画配信システム10は、様々な情報を記憶及び管理する情報記憶管理部41と、動画配信サービスの基本機能を制御する基本機能制御部43と、配信する動画が再生される仮想空間を制御する仮想空間制御部45とを有し、(【0027】)
仮想空間制御部45は、仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示するように構成され、仮想空間は、配信者が提供する動画が再生されるように構成され、例えば、視聴者用画面を表示するための画面データ(HTMLデータ又は制御データ等)を複数の視聴者の各々のユーザ端末30に送信するように構成され、(【0030】)
当該仮想空間制御部45は、視聴者によって入力された所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成され、例えば、視聴者用画面が、視聴者による所定のオブジェクトの入力指示を受け付けるように構成されており、視聴者のユーザ端末30において表示される視聴者用画面を介して所定のオブジェクトの入力指示を受け付けると、当該所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成され、(【0031】)
また、仮想空間制御部45は、動画の配信中に行われる所定のゲームの進行の制御に関する様々な処理を実行するように構成され、当該所定のゲームは、仮想空間に配置された上記所定のオブジェクトを用いたゲームとして構成されており、配信者による操作に基づいてその進行が制御され、例えば、仮想空間制御部45は、配信者のユーザ端末30を介した当該配信者による操作に基づいて、所定のゲームの進行を制御するように構成され、(【0032】)
また、仮想空間制御部45は、仮想空間に位置する配信者のアバターの動作を、配信者による操作に基づいて制御し、当該アバターの動作に基づいて、上記所定のゲームの進行を制御するように構成され、例えば、当該アバターは、配信者のユーザ端末30を介した操作(例えば、物理コントローラを用いた操作、カメラを介して撮影される画像に含まれる配信者の姿勢に基づく操作、及び、タッチパネル(配信者用画面等)に対するタッチ操作等が含まれ得る。)に基づいて、その動作が制御され、(【0036】)
具体例として、動画配信システム10は、配信者のユーザ端末30のカメラ及びマイクを介して入力される映像及び音声によって構成されるライブ動画を、複数の視聴者に対して配信可能なライブ動画配信サービスを提供するように構成され、(【0039】)
複数の視聴者の各々のユーザ端末30において表示される視聴者用画面50は、例えば、視聴者が、ユーザ端末30において表示される画面を介して、その時点で配信中のライブ動画(番組)の一覧の中から所望の動画を選択したときに、当該ユーザ端末30において表示され、画面全体において、選択されているライブ動画(番組)に対応する仮想空間100を表示し、画面下端の右側に位置するギフティングボタン54が、当該仮想空間100に重ねて配置されており、(【0045】-【0046】)
視聴者がギフティングボタン54を選択すると、相互に種類の異なる第1-第3ギフティングアイテムの中から予め設定されているギフティングアイテムが仮想空間100に投入され、(【0049】)
当該第1-第3ギフティングアイテム110は、同じハート型の形状を有するが、その色が異なっているものであり、(【0050】)
当該ギフティングアイテム110が仮想空間に投入されている状態の視聴者用画面50では、視聴者から投入された当該ギフティングアイテム110は、仮想空間100の上方(天井方向)からフロア104に向けて、所定の速度で落下するように制御され、フロア104に着地すると消滅し、(【0051】)、
配信者のユーザ端末30において表示される配信者用画面60は、視聴者用画面50と同様に、画面全体において仮想空間100を表示し、ミニゲームの操作が可能となるように構成され、当該ミニゲームは、視聴者によって投入されて仮想空間100の上方から落ちてくるギフティングアイテム110を、配信者が、タップ操作で獲得することによって得点を得るゲームとして構成されており、具体的には、落下するギフティングアイテム110に対するタップ操作を行って配信者が当該アイテム110を獲得すると、当該アイテム110は消滅し、対応する得点がスコアに加算され、(【0052】-【0054】)
配信者は、動画の配信中において、ミニゲームを開始及び/又は終了するタイミングを指定できるようにしてもよく、この場合、ミニゲームの開始前、及び、終了後においては、ギフティングアイテム110の投入は可能であるものの、ミニゲームは進行しないように指定でき、(【0056】)
配信者は、複数の視聴者の各々が投入したギフティングアイテム110を用いたミニゲームを楽しむことができ、また、各視聴者は、自身が投入したギフティングアイテム110を用いたミニゲームを配信者がプレイする様子を、視聴者用画面50を介して観覧することができ、(【0057】)
上述した例では、配信者のユーザ端末30のカメラを介して入力されるライブ映像を表示するように構成したが、こうしたライブ映像に代えて、配信者のアバターが登場する映像を表示するように構成することもでき、この場合の仮想空間100Aでは、ステージオブジェクト103Aと、当該ステージオブジェクト103Aの上に、配信者のアバター120Aが配置され、(【0058】-【0059】)
アバター120Aは、配信者のユーザ端末30における物理コントローラを介して操作され、配信者は、アバター120Aを操作しながら、アバター120Aを仮想的な配信者(演者)として登場させたライブ動画の配信を行うことができ、この場合のミニゲームは、上述したミニゲームと同様のルールが適用されるが、この例では、アバター120Aの手の部分がギフティングアイテム110に触れることにより、当該アイテム110を獲得するように表示される、(【0060】-【0061】)
動画配信システム10。」

第6.対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比
上記本願発明1と先願発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.先願発明の「配信者のユーザ端末30」、「仮想空間」、「視聴者のユーザ端末30」は、それぞれ、本願発明1の「配信者端末」、「仮想空間」、「視聴者端末」に相当する。また、先願発明の「アバター120A」は、仮想空間に存在し、配信者のユーザ端末30における物理コントローラを介して操作される仮想的な配信者(演者)であるから、本願発明1の「配信者端末によって操作されるオブジェクト」に相当する。さらに、先願発明に記載された「画面データ」は、動画配信システム10がウェブサーバ及びアプリケーションサーバとしての機能を有し、ユーザ端末30からの要求に応答して各種の処理を実行し、当該処理の結果に応じて、ユーザ端末30に送信するデータであって、ユーザ端末30では、受信した当該データに基づく画面が表示されるものであり(【0019】)、配信者が提供する動画が複数の視聴者の各々のユーザ端末30に送信され、仮想空間を表示するように送信されるデータであり(【0030】)、さらに、視聴者によって入力された所定のオブジェクトは仮想空間に配置されるものであることから(【0031】)、本願発明1の「仮想空間のデータ」に相当するデータを含み、さらに、本願発明1の「仮想アイテムのデータ」に相当するデータを含むものといえる。
以上のことにより、先願発明に記載された動画配信システム10における「仮想空間制御部45」は、アバター120Aが登場するライブ動画を、視聴者及び配信者のユーザ端末30に配信するから、本願発明1における、「配信者端末によって操作されるオブジェクトが存在する仮想空間のデータを視聴者及び前記配信者端末に配信する配信部」に相当するといえる。

イ.先願発明に記載された「所定のオブジェクト」は、具体例として、「ギフティングアイテム110」として記載されているように、視聴者によって仮想空間に配置するように入力指示を受けて仮想空間に投入されるものであるから、本願発明1における「仮想空間内へ投入される仮想アイテム」に相当する。そして、先願発明に記載された動画配信システム10における「仮想空間制御部45」は、視聴者による所定のオブジェクトの入力指示を受け付けることから、本願発明1における「仮想空間内へ投入される仮想アイテムの投入入力を前記視聴者端末から受付ける受付部」に相当するといえる。

ウ.先願発明に記載された動画配信システム10における「仮想空間制御部45」は、視聴者から所定のオブジェクトの入力指示を受け付けると、当該所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成されるものであり、具体例として、視聴者からギフティングボタン54が選択されると、ギフティングアイテム110が仮想空間に投入されるように構成されるものであるから、本願発明1の「前記投入入力に従って前記記憶部に記憶されている前記仮想アイテムのデータを用いて、前記仮想アイテムを前記仮想空間に投入させる投入実行部」とは、「前記投入入力に従って仮想アイテムを前記仮想空間に投入させる投入実行部」である点で共通するといえる。

エ.先願発明に記載された動画配信システム10における「仮想空間制御部45」は、動画の配信中に行われる所定のゲームの進行の制御に関する様々な処理を実行するように構成され、当該所定のゲームは、仮想空間に配置された上記所定のオブジェクトを用いたゲームとして構成されており、具体例として、上記所定のオブジェクトであるギフティングアイテム110が仮想空間に投入されている状態の視聴者用画面50では、視聴者から投入された当該ギフティングアイテム110は、仮想空間100の上方(天井方向)からフロア104に向けて、所定の速度で落下するように制御され、フロア104に着地すると消滅するような表示がされていることから、本願発明1の「前記仮想アイテムの演出を制御するとともに、投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する仮想アイテム制御部」とは、「仮想アイテムを制御する仮想アイテム制御部」である点で共通するといえる。

オ.先願発明に記載された動画配信システム10の「仮想空間制御部45」は、仮想空間100においてアバター120Aが登場するライブ動画を、視聴者及び配信者のユーザ端末30に配信する際、上記ギフティングアイテム110が仮想空間に投入されている状態の画面を配信していることから、本願発明1の「配信部」が「前記仮想アイテム制御部によって前記演出を制御された仮想アイテム付仮想空間のデータを配信する」こととは、「前記仮想アイテム制御部によって制御された仮想アイテム付仮想空間のデータを配信する」点で共通するといえる。

カ.先願発明に記載された「動画配信システム10」は、ウェブサーバ及びアプリケーションサーバとしての機能を有していることから、本願発明1の「サーバ」に相当する。

したがって、本願発明1と先願発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「配信者端末によって操作されるオブジェクトが存在する仮想空間のデータを視聴者端末及び前記配信者端末に配信する配信部と、
前記仮想空間内へ投入される仮想アイテムの投入入力を前記視聴者端末から受付ける受付部と、
前記投入入力に従って、前記仮想アイテムを前記仮想空間に投入させる投入実行部と、
前記仮想アイテムを制御する仮想アイテム制御部と、
を備え、
前記配信部は、前記仮想アイテム制御部によって制御された仮想アイテム付仮想空間のデータを配信することを特徴とするサーバ。」

[相違点]
(相違点1)
サーバにおいて、本願発明1では、視聴者端末から投入入力された「仮想アイテムのデータを記憶する記憶部」を備えているのに対し、先願発明では、記憶手段として「情報記憶管理部41」の記載があるものの、当該情報記憶管理部41が、視聴者端末から投入された所定のオブジェクトが配置された仮想空間の画面データを記憶するものとは明記されていない点。

(相違点2)
仮想アイテム制御部において仮想アイテムを制御するのに、本願発明1では、「仮想アイテムの演出を制御する」のに対し、先願発明では、「演出」との記載がない点。

(相違点3)
仮想アイテム制御部において、本願発明1では、「投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する」のに対し、先願発明には、そのような特定がされていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本願発明1の「投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する」という構成は、上記先願明細書等には記載されておらず、また、本願出願時において、上記構成が周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であるとも認められず、この構成により、本願明細書記載の「インターネット生放送などで、番組や演者へ賛同や称賛を示す目的で仮想アイテムの投げ込みを行う際に、過度の投げ込みの集中を防ぐことができ、投げ込みを行うユーザのモチベーションを向上させ、更に投げ込みの対象となる演者等もメリットが享受できる」との格別の効果を奏するものと認められるから、上記構成は、課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1と先願発明は、同一であるとはいえない。

2.本願発明2-6について

本願発明2-6も、本願発明1の「投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-6と先願発明は、同一であるとはいえない。

3.本願発明7について

本願発明7は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明7と先願発明は、同一であるとはいえない。

4.本願発明8について

本願発明8も、本願発明7の「投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する」という構成と同一の構成を備えるプログラムの発明であるから、本願発明7と同じ理由により、本願発明8と先願発明は、同一であるとはいえない。

第7.当審拒絶理由2、3について

1.特許法第36条第6項第1号及び第2号について

(1)当審では、請求項1及び7の「配信者端末および/または視聴者端末から受付ける」との記載は、本願明細書に記載された課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されていないため、本願明細書に記載された範囲を超えており、また、本願明細書に記載された課題との関係から不明確な内容であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年9月29日の手続補正により補正された請求項1及び7の上記記載は、「視聴者端末から受付ける」と補正された結果、本願明細書に記載されたものとなり、また明確となったため、この拒絶の理由は解消した。
また、請求項1を引用する請求項2-6、及び請求項7を引用する請求項8も同様に、この拒絶の理由は解消した。

(2)当審では、請求項4の「他の視聴者端末および/または配信者端末に報知しない」との記載は、本願明細書に記載された課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されていないため、本願明細書に記載された範囲を超えており、また、本願明細書に記載された課題との関係から不明確な内容であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年9月29日の手続補正により補正された請求項4の上記記載は、「他の視聴者端末に報知しない」と補正された結果、本願明細書に記載されたものとなり、また明確となったため、この拒絶の理由は解消した。
また、請求項4を引用する請求項5-6も同様に、この拒絶の理由は解消した。

第8.原査定について

1.理由1(特許法第37条)について
令和2年9月29日の手続補正による補正後の本願発明1-8は、「前記仮想アイテムの演出を制御するとともに、投入された前記仮想アイテムの数又は前記仮想アイテムが占める総面積に基づいて前記仮想アイテムの投げ込みの集中を制御する」という共通の技術的特徴を有しており、原査定の理由1を維持することはできない。

2.理由2(特許法第36条第6項第2号)について
令和2年9月29日の手続補正により、原査定時の請求項1及び7における「仮想アイテムのデータを制御」及び「仮想アイテムのデータを前記仮想空間のデータと合わせて」との記載は、それぞれ「仮想アイテムの演出を制御」及び「仮想アイテム付仮想空間データを」に補正されており、これにより補正後の請求項1及び7に記載された技術的事項は明確になったことから、原査定の理由2を維持することはできない。
また、請求項1を引用する請求項2-6、及び請求項7を引用する請求項8も同様に、原査定の理由2を維持することはできない。

第9.むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-11-10 
出願番号 特願2018-150865(P2018-150865)
審決分類 P 1 8・ 161- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安藤 一道  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 太田 龍一
角田 慎治
発明の名称 サーバ、方法、プログラム、動画像放送システム  
代理人 井上 正  
代理人 野河 信久  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 飯野 茂  
代理人 金子 早苗  
代理人 河野 直樹  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ