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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1369387
審判番号 不服2019-9381  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-12 
確定日 2020-12-10 
事件の表示 特願2015-41222号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年9月5日出願公開、特開2016-158918号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成27年3月3日の出願であって、平成30年10月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年5月28日付け(送達日:同年6月4日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年7月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、令和2年1月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年2月25日に意見書及び手続補正書が提出され、これに対し、同年5月19日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年6月15日提出の手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年6月15日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲、すなわち令和2年2月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下のとおり、補正後の特許請求の範囲の請求項1のものに補正するものである(下線は補正箇所を示す。)。

(補正前)
「【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な始動領域と、
前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記始動領域への遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する可変入賞装置と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な普通始動領域と、
前記普通始動領域への遊技球の通過により普通判定情報を取得する普通判定情報取得手段と、
前記普通判定情報取得手段により取得された前記普通判定情報に基づいて、前記可変入賞装置を前記第1の態様から前記第2の態様に変位させる普通遊技を行うか否かを判定する普通判定手段と、を備え、
前記特別可変入賞装置は前記可変入賞装置に近接して設けられ、
前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を複数回行うことが可能な構成としたことを特徴とする遊技機。」

(補正後)
「【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な複数の始動領域と、
前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた1つの特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記複数の始動領域のうち、一方への遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する可変入賞装置と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な普通始動領域と、
前記普通始動領域への遊技球の通過により普通判定情報を取得する普通判定情報取得手段と、
前記普通判定情報取得手段により取得された前記普通判定情報に基づいて、前記可変入賞装置を前記第1の態様から前記第2の態様に変位させる普通遊技を行うか否かを判定する普通判定手段と、を備え、
前記特別可変入賞装置は前記可変入賞装置に近接して設けられ、
前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を複数回行うことが可能な構成としたことを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否

(1) 特許法第17条の2第5項に関する要件について

ア 補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1における「遊技球が入球可能な始動領域」を「遊技球が入球可能な複数の始動領域」に補正し、同「前記遊技領域の下方位置に設けられた特別可変入賞装置」を「前記遊技領域の下方位置に設けられた1つの特別可変入賞装置」に補正し、同「前記始動領域への遊技球の入球」を、「前記複数の始動領域のうち、一方への遊技球の入球」に補正するものである。
上記補正は、実質的に「始動領域」が「複数」である点、「特別可変入賞装置」が「一つ」である点、及び、「可変入賞装置」が「遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する」ことによって「遊技球の入球」の困難さ又は容易さが変化する始動領域が「前記複数の始動領域のうち、一方」である点を限定するものであるから、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明を対比すると、両者は産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められる。

イ 新規事項の有無について
本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0023】には、「・・・遊技領域15内には、・・・第1始動入賞口(始動口)24および第2始動入賞口(始動口)26・・・等が設けられている。・・・」との記載があり、段落【0024】には「・・・第2始動入賞口26はスライド式の可動片26bを有しており、始動入賞口開閉ソレノイド26c(図5参照)に通電がなされると可動片26bが遊技盤14の前面側へ突出した位置に移動する。このとき遊技盤14の前面側に突出した可動片26bは、遊技領域15の上流側から流下してくる遊技球を受け止めて、第2始動入賞口26に遊技球を案内する。・・・」との記載がある。そして、図4には、蓋部材70bや大入賞口71等から構成される1つのアタッカー装置70が遊技領域15の下方に設けられていることが開示されている。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載の範囲内のものといえる。

ウ 小括
よって、本件補正は、上記アより、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、上記イにおいて検討したように、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2) 独立特許要件について

(2-1) 本願補正発明

本願補正発明は、令和2年6月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定されるとおりのもの(上記1の(補正後)の記載を参照。)であり、分説しAないしJの符号を付与すると、次のとおりのものである。

「【請求項1】
A 遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な複数の始動領域と、
B 前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
C 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた1つの特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
D 前記複数の始動領域のうち、一方への遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する可変入賞装置と、
E 前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な普通始動領域と、
F 前記普通始動領域への遊技球の通過により普通判定情報を取得する普通判定情報取得手段と、
G 前記普通判定情報取得手段により取得された前記普通判定情報に基づいて、前記可変入賞装置を前記第1の態様から前記第2の態様に変位させる普通遊技を行うか否かを判定する普通判定手段と、を備え、
H 前記特別可変入賞装置は前記可変入賞装置に近接して設けられ、
I 前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を複数回行うことが可能な構成とした
J ことを特徴とする遊技機。」

(2-2) 引用文献とそれに記載された事項

ア 引用文献1

(ア) 引用文献1に記載された事項

当審における令和2年5月19日付けの拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-68729号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

引1-ア
「【0001】
本発明は、遊技球が転動可能な遊技盤の遊技領域において遊技球の入球又は通過を可能とする入球装置を備えた遊技機に関する。」

引1-イ
「【図面の簡単な説明】
【0014】
・・・
【図2】遊技盤の表面を示す正面図。
・・・
【0016】
図1には、遊技に関する制御を行うパチンコ遊技機10と、該パチンコ遊技機10が遊技場の遊技機設置設備(遊技島)に設置された際に並設される遊技媒体貸出用ユニットとしてのカードユニット装置11とが略示されている。カードユニット装置11には、遊技者に貸し出される貸出用遊技媒体としての遊技球(貸し球)と交換可能な交換媒体としてのプリペイドカードを投入するための投入口11aが設けられている。カードユニット装置11は、投入されたプリペイドカードの価値を読み書き可能な構成となっている。」

引1-ウ
「【0024】
次に、遊技盤YBの構成について図2を参照して詳しく説明する。
図2に示すように、遊技盤YBの前面には、発射ハンドル24の操作によって発射された遊技球を誘導し、かつパチンコ遊技の主体となるほぼ円形の遊技領域H1を形成する誘導レール30が円形渦巻き状に敷設されている。この誘導レール30によって遊技盤YBには、該遊技盤YBの左下方から左上方に向かって延びる遊技球の誘導路30aが形成されるとともに、誘導レール30の内側に遊技球が転動可能な遊技領域H1が形成される。誘導路30aの下方には、中枠に装着されるとともに、発射ユニット83(図4に示す)の作動によって打球される遊技球を案内する図示しない発射レールが配置されている。また、遊技盤YBの前面であって誘導レール30の外側となる遊技領域H1外は、パチンコ遊技に直接関与しない非遊技領域H2とされている。
【0025】
遊技盤YBのほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部33aを有する演出表示装置33が配設されている。報知手段としての演出表示装置33には、複数の図柄列(本実施形態では3列)を変動表示させて行う図柄変動ゲーム(以下、「変動ゲーム」と示す)を含み、該変動ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。なお、演出表示装置33の変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄、以下、「飾図」と示す)を用いて行われる。」

引1-エ
「【0036】
また、本実施形態において、第1変動ゲームと第2変動ゲームとが同時に実行されないように構成されており、変動ゲーム(第1変動ゲーム又は第2変動ゲーム)が終了した場合に第1保留記憶数と第2保留記憶数とが共に「1」以上であるときには、第2保留記憶数に基づく第2変動ゲームが優先して実行される。また、本実施形態において、変動ゲームと普図ゲームとは同時に実行可能である。
【0037】
演出表示装置33の下方には、遊技球の第1入賞口37aを有する第1始動入賞口37が配設されている。第1始動入賞口37の奥方には入賞した遊技球を検知する第1始動口スイッチSW1(図4及び図5に示す)が配設されている。第1始動入賞口37は、入賞した遊技球を第1始動口スイッチSW1で検知することにより、第1変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。なお、本実施形態において、符号Yに示すように遊技球が遊技盤YBの右側から転動したときには、符号Xに示すように遊技盤YBの左側から転動したときよりも、第1始動入賞口37に入賞し難くなるように、障害釘等が配設されている。つまり、第1始動入賞口37は、遊技盤YBの左側を主とする第1流路Xに設けられている。
【0038】
また、演出表示装置33の右下には、遊技球の第2入賞口38aを有する第2始動入賞口38が配設されている。第2始動入賞口38は普通電動役物とされ、普通電動役物ソレノイドSOL1(図4に示す)の作動により開閉動作を行う開閉手段としての開閉扉38bを備えている。第2始動入賞口38は、開閉扉38bの開動作により第2入賞口38aが開放されることで遊技球の入賞が許容される。つまり、第2始動入賞口38は、開閉扉38bの開動作により開状態(第1状態)とされたときには、閉状態(第2状態)とされたときよりも第2入賞口38aに遊技球が入賞(入球)し易くなる。そして、第2始動入賞口38の奥方には入賞した遊技球を検知する第2始動口スイッチSW2(図4及び図5に示す)が配設されている。第2始動入賞口38は、入賞した遊技球を第2始動口スイッチSW2で検知することにより、変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。なお、本実施形態において、遊技球が遊技盤YBの右側から転動するときには、遊技盤YBの左側から転動するときよりも、第2始動入賞口38に入賞し易くなるように障害釘等が配設されている。つまり、第2始動入賞口38は、遊技盤YBの左側を主とする第1流路Xとは異なり、遊技盤YBの右側を主とする第2流路Yに設けられている。
【0039】
また、第2始動入賞口38の上には、作動ゲート39が配設されている。作動ゲート39の奥方には、通過した遊技球を検知するゲートスイッチSW5(図4及び図5に示す)が配設されている。作動ゲート39は、通過した遊技球をゲートスイッチSW5で検知することにより、普図ゲームの始動条件を付与し得る。普図ゲームは、第2始動入賞口38の開閉扉38bを開状態とするか否かの抽選結果を導出するために行われる演出である。即ち、普通当り抽選に当選すると、開閉扉38bの開放によって第2始動入賞口38に遊技球を入賞させ易くなり、遊技者は、第2変動ゲームの始動条件と賞球を容易に獲得できる機会を得ることができる。
【0040】
また、第2始動入賞口38の下方には、第1大入賞口ソレノイドSOL2(図4に示す)の作動により開閉動作を行う第1大入賞口扉40aを備えた第1大入賞口40が配設されている。第1大入賞口40の奥方には、入賞した遊技球を検知する第1カウントスイッチSW3(図4及び図5に示す)が配設されている。第1大入賞口40は、入賞した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。第1大入賞口40は、変動ゲームにおける大当り遊技中に第1大入賞口扉40aが奥行き方向に移動する開動作によって開放されることで遊技球の入賞が許容される。このため、大当り遊技中、遊技者は、賞球を獲得できる機会を得ることができる。なお、本実施形態において、遊技球が遊技盤YBの右側から転動するときには、遊技盤YBの左側から転動するときよりも、第1大入賞口40に入賞し易くなるように障害釘等が配設されている。
【0041】
また、作動ゲート39の左方には、第2大入賞口ソレノイドSOL3(図4に示す)の作動により開閉動作を行う第2大入賞口羽根41aを備えた第2大入賞口41が配設されている。第2大入賞口41の奥方には、入賞した遊技球を検知する第2カウントスイッチSW4(図4及び図5に示す)が配設されている。第2大入賞口41は、入賞した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。第2大入賞口41は、変動ゲームにおける大当り遊技中に第2大入賞口羽根41aが奥行き方向に移動する開動作によって開放されることで遊技球の入賞が許容される。なお、本実施形態において、遊技球が遊技盤YBの右側から転動するときには、遊技盤YBの左側から転動するときよりも、第2大入賞口41に入賞し易くなるように障害釘等が配設されている。」

引1-オ
「【0044】
また、本実施形態において、第1変動ゲームにおいて小当り抽選に当選することはないが、第2変動ゲームにおいて小当り抽選に当選することがある。小当り抽選で小当りに当選し、第2特別図柄表示装置34bで小当り図柄が確定停止表示されたときには、第2変動ゲームの終了後に、小当り遊技が開始される。小当り遊技が開始されると、第2大入賞口41が開放される。小当り遊技は、第2大入賞口41の開閉が所定回数行われる迄であり、規定個数(入賞上限個数)の遊技球が入賞する迄の間、又は規定時間が経過するまでの間、第2大入賞口41が開放される。また、小当り遊技が開始されてから規定時間が経過した場合には、開閉片45が開放動作を行い、予め定められた開放時間だけ特定領域43を開放させる。この小当り遊技において第2大入賞口41に遊技球が入賞し、その遊技球が特定領域43を通過すると、小当り遊技の終了後に、大当り抽選に当選したときと同じように、大当り遊技が付与される。なお、本実施形態において、各入賞口37?41は、遊技球の入球又は通過が可能な入球装置に相当し、各スイッチSW1?SW7が入球検知手段に相当する。特に、本実施形態における第2大入賞口41は、遊技球が入賞した場合において特定領域43を通過することによって、遊技者に有利な大当り遊技が付与される入球装置に相当する。
【0045】
また、本実施形態のパチンコ遊技機では、大当り遊技の終了後には、変動短縮状態(以下、「変短状態」と示す)が付与される場合がある。この変短状態では、変短状態が付与されていない非変短状態と比較して、変動ゲームの変動時間が短縮される場合がある(短縮され得る)。また、変短状態では、開閉扉38bを開動作させるか否かの抽選結果を導出する普図ゲームの変動時間が、非変短状態と比較して短縮される。また、変短状態では、普通当り抽選に当選した際、非変短状態とは異なる動作パターンで開閉扉38bが開閉動作するようになっている。なお、本実施形態において、非変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、開閉扉38bが短開放する一方で、変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、開閉扉38bが長開放する。つまり、開閉扉38bは、変短状態では、非変短状態と比較して、1回の普通当りに対応する合計開放時間が長く、遊技者にとって有利に動作するように設定されている。このため、変短状態は、開閉扉38bが開放状態に動作し易い入球率向上状態であり、変動ゲーム(第2変動ゲーム)が実行され易くなる傾向がある。なお、小当り遊技の終了後には、小当り遊技の開始前の遊技状態を維持する。」

引1-カ
「【0049】
なお、本実施形態におけるパチンコ遊技機での仕様は以下の通りである。飾図としては[1]?[8]の8種類の数字が採用されており、大当り図柄としては[111][222][333][444][555][666][777][888]が採用されている。また、大当りの当選確率としては、第1変動ゲームと第2変動ゲームとの両方で同じ165/65536が規定されている。また、小当りの当選確率としては、第2変動ゲームにおいて、非変短状態であるか変短状態であるかに拘わらず、65371/65536が規定されており、第1変動ゲームでは小当りに当選しない。普通当りの当選確率としては、非変短状態であるか変短状態であるかに拘わらず、65262/65536が規定されている。
【0050】
また、遊技球の賞球数としては、第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38に対して3個が、第1大入賞口40及び第2大入賞口41に対して14個がそれぞれ規定されている。また、開閉扉38bの短開放としては、開閉扉38bが1回開放し、開放してから0.088s経過するまで開放状態を維持する態様が、開閉扉38bの長開放としては、開閉扉38bが3回開放し、開放してから1.7s経過するまで開放状態を維持する態様が、それぞれ規定されている。このため、非変短状態では、作動ゲート39への遊技球の通過に伴って普図ゲームにおいて普通当りに当選した場合であっても、開閉扉38bが短開放されるため、第2始動入賞口38に遊技球がほとんど入球しない。また、開閉扉38bの閉鎖条件である入賞上限個数としては、5球が規定されている。また、普図ゲームの変動時間としては、非変短状態で4.0sが、変短状態で1.5sがそれぞれ規定されている。また、大当り遊技中では、規定ラウンド数として「15」が、各ラウンド遊技における第1大入賞口40の開放回数として「1回」が、開放時間として「30s」が、入賞上限個数として「10球」がそれぞれ設定されている。また、小当り遊技中では、第2大入賞口41の開放回数として「1回」が、開放時間として「1.6s」が、入賞上限個数として「5球」がそれぞれ設定されている。また、開閉片45の動作により特定領域43が開放される開放時間は、第2大入賞口が開放してから1sが経過した後から0.388s間が規定されている。」

引1-キ
「【0053】
変短状態においては、右打ちにより、作動ゲート39に遊技球を通過させ、それに伴って開放させた第2始動入賞口38に遊技球を入賞させることで、第2変動ゲームにおいて当りに当選させるようなパチンコ遊技が行われる(165/65536の大当り当選確率、65371/65536の小当り当選確率)。なお、この場合、極めて高い確率で小当りに当選することとなり、ほぼ毎変動ゲームで小当りに当選し、大当りに当選することは稀となる。第2変動ゲームにおいて小当りに当選した場合には、第2大入賞口41が開放可能となる小当り遊技が付与され、右打ちが継続され、第2大入賞口41に遊技球を入賞させるようなパチンコ遊技が行われる。そして、第2大入賞口41に遊技球が入賞した場合において、第2大入賞口41の奥方に形成されている特定領域43(図3に示す)に遊技球が通過したときには、第2変動ゲームにおける大当り遊技が付与されることとなる。この場合も、第1変動ゲームにおいて大当り遊技と同じように、第1大入賞口40が開放可能となる大当り遊技が付与され、右打ちが継続され、第1大入賞口40に遊技球を入賞させるようなパチンコ遊技が行われる。その一方で、第2大入賞口41に遊技球が入賞しなかった場合や、遊技球が第2大入賞口41に入賞したが特定領域43を通過しなかった場合には、第2変動ゲームにおける大当り遊技が付与されることなく、変短状態が維持され、引き続き変短状態におけるパチンコ遊技が行われる。そして、第2変動ゲームにおける大当り遊技の終了後に変短状態が付与された場合には、右打ちが継続され、再度、変短状態におけるパチンコ遊技が行われる(変短継続率75%)。その一方で、第2変動ゲームにおける大当り遊技の終了後に変短状態が付与されなかった場合には、左打ちにより非変短状態におけるパチンコ遊技が行われる。」

引1-ク
「【0056】
また、パチンコ遊技機10の機裏側には、主制御基板54と、電源基板55と、払出制御基板56と、発射制御基板57と(ともに図4に示す)が、保護ケースにより覆われるように配置されており、更には、主制御中継端子板58と遊技球等貸出装置接続端子板59と(ともに図4に示す)が装着されている。
【0057】
主制御基板54は、遊技の進行を制御する第1制御手段(制御手段)として機能し、パチンコ遊技機10全体を制御する。電源基板55は、電源スイッチと、遊技機設置設備の電源に接続される電源コードとを有し、パチンコ遊技機10の各種制御基板や各種演出装置に対して電源を供給する。さらに、電源基板55には、パチンコ遊技機10の電源投入時に操作することにより、バックアップデータをクリアするRWMクリアスイッチRCS(図4に示す)が設けられている。払出制御基板56は、遊技球を払出す払出ユニット61(図4に示す)の払出動作を制御する第2制御手段(制御手段)として機能し、賞球又は貸し球として払出す遊技球の払出しに関する払出制御を実行する。発射制御基板57は、発射ハンドル24の操作状態を検知し、その検知結果に応じて遊技球の発射間隔や発射強度などの発射制御を実行する。主制御中継端子板58は、主制御基板54と払出制御基板56との間に接続される基板である。遊技球等貸出装置接続端子板59は、カードユニット装置11と球貸し操作部26とを払出制御基板56に接続する基板である。
【0058】
本実施形態のパチンコ遊技機10では、機種毎に専用部品となる主制御基板54を遊技盤YBに装着し、機種に関係なく流用可能な共通部品となる電源基板55、払出制御基板56及び発射制御基板57を中枠に装着している。この構成により、遊技盤YBを交換し、その他の部材をそのまま流用して機種変更を行う場合(盤代えによる機種変更)において、主制御基板54などの遊技盤YBに装着される専用部品は交換対象の部品となり、払出制御基板56などの中枠に装着される共通部品は非交換対象の部品となる。

引1-ケ
「【0075】
主制御基板54には、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用CPU(Central Processing Unit)54aと、主制御用CPU54aの制御プログラムを格納する主制御用ROM(Read Only Memory)54bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RWM(Read Write Memory)54cなどが設けられている。主制御用CPU54aは、大当り又は小当りに当選するか否かを判定するための当り判定用乱数、特図の種類を決定するための特図振分乱数、はずれリーチ変動とするか否かを決定するためのリーチ判定用乱数などの各種乱数値を所定の周期毎にカウントし、発生させる。」

引1-コ
「【0108】
特別図柄入力処理について以下に説明する。
最初に、主制御用CPU54aは、第1始動口スイッチSW1から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第1始動入賞口37に遊技球が入賞したか否かを判定する。この判定結果が肯定の場合、主制御用CPU54aは、主制御用RWM54cに記憶されている第1保留記憶数が上限数の「4」未満であるか否かを判定する。第1保留記憶数が「4」未満である場合、主制御用CPU54aは、第1保留記憶数を「1」加算する。第1保留記憶数を更新(「1」加算)した主制御用CPU54aは、更新後(加算後)の第1保留記憶数を表示するように第1特別図柄保留表示装置35aの表示内容を制御する。次に、主制御用CPU54aは、各種乱数の値(本実施形態では当り判定用乱数の値など)を主制御用RWM54cから読み出して取得し、該値を第1保留記憶数に対応する主制御用RWM54cの所定の記憶領域に設定する。その後、主制御用CPU54aは、特別図柄入力処理を終了する。
【0109】
その一方で、第1始動入賞口37に遊技球が入賞しない場合、又は第1始動入賞口37に遊技球が入賞したが第1保留記憶数が「4」未満でない場合、主制御用CPU54aは、第2始動口スイッチSW2から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第2始動入賞口38に遊技球が入賞したか否かを判定する。この判定結果が肯定の場合、主制御用CPU54aは、主制御用RWM54cに記憶されている第2保留記憶数が上限数の「4」未満であるか否かを判定する。第2保留記憶数が「4」未満でない場合、主制御用CPU54aは、特別図柄入力処理を終了する。一方、第2保留記憶数が「4」未満である場合、主制御用CPU54aは、第2保留記憶数を「1」加算する。第2保留記憶数を更新(「1」加算)した主制御用CPU54aは、更新後(加算後)の第2保留記憶数を表示するように第2特別図柄保留表示装置35bの表示内容を制御する。次に、主制御用CPU54aは、各種乱数の値(本実施形態では当り判定用乱数の値など)を主制御用RWM54cから読み出して取得し、該値を第2保留記憶数に対応する主制御用RWM54cの所定の記憶領域に設定する。その後、主制御用CPU54aは、特別図柄入力処理を終了する。」

引1-サ
「【0119】
その一方で、第2大当り判定処理において、主制御用CPU54aは、第2保留記憶数に対応付けられて主制御用RWM54cの所定の記憶領域に記憶されている当り判定用乱数の値を読み出す。続いて、主制御用CPU54aは、第2保留記憶数に対応付けられた当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、両値が一致するか否かの大当り判定をする。
【0120】
この大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU54aは、大当りとなる変動ゲームであることを示す大当りフラグに「1」を設定し、大当りとなる変動ゲームを実行させるための第2大当り時変動処理を実行する。第2大当り時変動処理において主制御用CPU54aは、第2保留記憶数に対応付けられた特図振分乱数の値を主制御用RWM54cから読み出し、該特図振分乱数の値に基づいて、第2特別図柄表示装置34bに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定する。続いて、主制御用CPU54aは、大当り変動用変動パターンの中から何れかを選択し、決定する。その後、主制御用CPU54aは、特別図柄開始処理を終了する。
【0121】
その一方で、上記大当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU54aは、当り判定用乱数の値と小当り判定値を比較し、両値が一致するか否かの小当り判定をする。
この小当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU54aは、小当りとなる変動ゲームであることを示す小当りフラグに「1」を設定し、小当りとなる変動ゲームを実行させるための第2小当り時変動処理を実行する。第2小当り時変動処理において主制御用CPU54aは、第2保留記憶数に対応付けられた特図振分乱数の値を主制御用RWM54cから読み出し、該特図振分乱数の値に基づいて、第2特別図柄表示装置34bに確定停止表示させる特図として小当り図柄を決定し、小当り変動用変動パターンの中から何れかを選択し、決定する。その後、主制御用CPU54aは、特別図柄開始処理を終了する。」

引1-シ
「【0132】
次に、普図ゲームに関する普通図柄入力処理について以下に説明する。
普通図柄入力処理において、主制御用CPU54aは、遊技球が作動ゲート39を通過したと判定した場合、主制御用RWM54cに記憶されている普図保留記憶数が上限数の「4」未満であるか否かを判定する。そして、その判定結果が肯定(普図保留記憶数<「4」)の場合、主制御用CPU54aは、普図保留記憶数を「1」加算し、普図保留記憶数を書き換える。続いて、主制御用CPU54aは、普通当り判定用乱数の値を主制御用RWM54cから読み出して取得し、該値を普図保留記憶数に対応付けられた主制御用RWM54cの所定の記憶領域に設定し、普通図柄入力処理を終了する。
【0133】
次に、主制御用CPU54aは、以下のような処理を所定の制御周期(本実施形態では、4ms)毎に実行する。主制御用CPU54aは、まず、普図が変動表示中又は普通当り遊技中ではない場合において、読み出した普図保留記憶数が「0」よりも大きいときには、普図保留記憶数の数を「1」減算し、当該普図保留記憶数に対応付けられて主制御用RWM54cの所定の記憶領域に記憶されている普通当り判定用乱数の値を取得する。そして、主制御用CPU54aは、取得した普通当り判定用乱数の値が主制御用ROM54bに記憶されている普通当り判定値と一致するか否かを判定して普通当り判定を行い、判定結果に対応する普図を、普通図柄表示装置36にて確定停止表示される最終停止図柄として決定する。そして、主制御用CPU54aは、普図の変動表示を開始させるように普通図柄表示装置36の表示内容を制御するなど、普図ゲームに関する各種処理を実行する。
【0134】
そして、主制御用CPU54aは、普通当りを決定した場合、普図ゲームの終了後、普通当り遊技に関する制御を実行する。また、主制御用CPU54aは、普図ゲームが開始したときに変短状態が付与されているか否かによって異なる開放態様にて、開閉扉38bを開放させるよう普通電動役物ソレノイドSOL1を制御する。」

引1-ス
「【0181】
・上記実施形態において、カードユニット装置11を接続しないパチンコ遊技機に本発明を提供してもよい。
・上記実施形態において、2つの大入賞口40,41を備えたが、これに限らず、1つ又は3つ以上の大入賞口を備えてもよい。」

引1-セ
「【図2】



(イ) 引用文献1の記載より認定できる事項

図2は「遊技盤の表側を示す正面図」(【0014】)であり、図2には、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38、作動ゲート39、第1大入賞口40、及び、第2大入賞口41の遊技盤における配置が記載されている。
そして、第1大入賞口40及び第2大入賞口41は、遊技領域H1の下方位置に設けられた点が見て取れ、また、第1入賞口40及び第2大入賞口41が、第2始動入賞口38に近接して設けられた点も見て取れる。

(ウ) 引用発明1

よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。aないしjの符号は、本願発明の構成AないしJに対応させて合議体により付与した。

「a 遊技球が転動可能な遊技領域H1が形成された遊技盤YBのほぼ中央には演出表示装置33が配設され(【0024】、【0025】)、演出表示装置33の下方には、遊技球の第1入賞口37aを有する第1始動入賞口37が配設され(【0037】)、演出表示装置33の右下には、遊技球の第2入賞口38aを有する第2始動入賞口38が配置され(【0038】)、
b 遊技の進行を制御する制御手段として機能する主制御基板54が遊技盤YBに装着され(【0056】-【0058】)、主制御基板54には主制御用CPU54aが設けられ(【0075】)、第1始動入賞口37は、入賞した遊技球を第1始動口スイッチSW1で検知することにより、第1変動ゲームの始動条件を付与し得るものであり(【0037】)、第2始動入賞口38は、入賞した遊技球を第2始動入賞口スイッチSW2で検知することにより第2変動ゲームの始動条件を付与し得るものであり(【0038】)、主制御用CPU54aは、第1始動口スイッチSW1から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第1始動入賞口37に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合、当り判定用乱数の値を取得し(【0108】)、主制御用CPU54aは、第2始動口スイッチSW2から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第2始動入賞口38に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合、当り判定用乱数の値を取得し(【0109】)、
c 遊技領域H1の下方位置には、第1大入賞口40及び第2大入賞口41が配設され(【0040】、【0041】、(イ))、主制御用CPU54aは、第2保留記憶数に対応付けられた当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、両値が一致するか否かの大当り判定をし(【0119】)、この大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りとなる第2変動ゲームを実行させ(【0120】)、この大当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU54aは、当り判定用乱数の値と小当り判定値とを比較し、両値が一致するか否かの小当り判定をし、この小当り判定の判定結果が肯定の場合(【0121】)、遊技領域H1の下方位置に設けられた第2大入賞口41が開放可能となる小当り遊技が付与され(【0053】、(イ))、
d 第2始動入賞口38は、開閉扉38bを備え、開閉扉38bの開動作により第2入賞口38aが開放されることで遊技球の入球が許容され(【0038】)、
e 第2始動入賞口38の上には、作動ゲート39が配設され(【0039】)、
f 作動ゲート39は、通過した遊技球をゲートスイッチSW5で検知することにより、普図ゲームの始動条件を付与し得るものであり(【0039】)、主制御用CPU54aは、遊技球が作動ゲート39を通過したと判定した場合、普通当り判定用乱数の値を取得し(【0132】)、
g 主制御用CPU54aは、取得した普通当り判定用乱数の値が普通当り判定値と一致するか否かを判定して普通当り判定を行い(【0133】)、普通当りを決定した場合、開閉扉38bを開放させるように制御し(【0134】)、
h 第1大入賞口40及び第2大入賞口41は、第2始動入賞口38に近接して設けられ((イ))、
i 第1変動ゲーム又は第2変動ゲームと普図ゲームとは同時に実行可能であり(【0036】)、第1変動ゲーム又は第2変動ゲームの変動時間が短縮される変短状態と、非変短状態があり(【0036】、【0045】)、変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、開閉扉38bが長開放し、非変短状態と比較して、1回の普通当りに対応する合計開放時間が長く、遊技者にとって有利に動作するように設定されており(【0045】)、変短状態では、普図ゲームの変動時間としては1.5sが規定され、開閉扉38bの長開放としては、第2始動入賞口38の開閉扉38bが3回開放し、開放してから1.7s経過するまで開放状態を維持する態様が規定され(【0045】、【0049】、【0050】)、第2変動ゲームにおいて、小当りに当選し、小当り遊技が開始されると、第2大入賞口41が開放され(【0044】)、小当り遊技中では第2大入賞口41の開放回数として「1回」が、開放時間として「1.6s」がそれぞれ設定された態様がある(【0050】)
j パチンコ遊技機10(【0016】)。」

イ 引用文献2

(ア) 引用文献2に記載された事項

当審における令和2年5月19日付けの拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-20019号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。

引2-ア
「【0013】
[パチンコ遊技機1の概略構成例]
まず、図1及び図2を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。・・・。」

引2-イ
「【0076】
ここで、図8に示すように、普通図柄判定の結果には短開放当たりと、長開放当たりと、ハズレとがある。短開放当たりとなる確率は、例えば1/50に設定され、長開放当たりとなる確率は、例えば1/50に設定され、ハズレとなる確率は、例えば48/50に設定される。
【0077】
また、短開放当たりになった場合には、電動チューリップ17は0.1秒間だけ開姿勢に変化されて、第2始動口12は短開放される。長開放当たりになった場合には、電動チューリップ17は0.1秒間だけ開姿勢に変化された後、さらに5.8秒間だけ開姿勢に変化されて、第2始動口12は長開放される。」

引2-ウ
「【0086】
このように、第2特別図柄の変動時間は0.5秒と短いため、小当たり遊技終了後すぐに次の小当たり遊技が行われる。このような小当たり遊技が複数回行われることによって、特定領域進入口52が短期間に連続的に開放され、特定領域50に遊技球が進入し易くなる。
【0087】
なお、第2特別図柄の変動時間が0.5秒であり、第2特別図柄の変動に基づく小当たり遊技の時間は、0.6秒×2回=1.2秒である。第2特別図柄の停止時間(例えば、0.5秒)を含めると、第2特別図柄の変動から次の第2特別図柄の変動までの期間は、約2.2秒程度となる。普通図柄判定において長開放当たりとなった場合の第2始動口12の開放時間は約5.8秒(>特2変動時間+小当たり遊技の時間)であるため、この期間に、第2特別図柄の変動および小当たり遊技が、1回?2回行われることが可能である。第2特別図柄判定の権利は最大で4つ保留可能であるが、第2始動口12が開放している間に、保留が2つ消化されると、さらに2つの権利を保留可能である。すなわち、第2始動口12の長開放によって第2特別図柄判定の権利が4つ保留された場合において、1つの権利が消化されると、保留数は3つの減少する。すると、さらに1つの権利を保留することが可能となり、第2始動口12がまだ開放していれば、遊技球が入賞可能となる。従って、普通図柄判定において長開放当たりとなった結果として、5?7回の小当たり遊技が行われる場合があり、遊技者にとってより有利となる。
【0088】
以上のように、本実施形態のパチンコ遊技機1では、第2始動口12を長開放(複数の遊技球が入球可能なように開放。例えば、3?6秒の間)することにより、小当たり遊技を連続的に発生させることができる。これにより、V入賞口53に遊技球が入賞する機会が増え、遊技者に有利な状態にすることができる。」

(イ) 引用文献2記載事項

上記した記載事項に基づくと、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「普通図柄判定の結果には短開放当たりと、長開放当たりと、ハズレとがあり、長開放当たりになった場合には、電動チューリップ17は0.1秒間だけ開姿勢に変化された後、さらに5.8秒間だけ開姿勢に変化されて、第2始動口12は長開放され(【0076】、【0077】)、第2特別図柄の変動時間は0.5秒と短いため、小当たり遊技終了後すぐに次の小当たり遊技が行われ(【0086】)、第2特別図柄の変動から次の第2特別図柄の変動までの期間は、約2.2秒程度となり、普通図柄判定において長開放当たりとなった場合の第2始動口12の開放時間は約5.8秒(>特2変動時間+小当たり遊技の時間)であるため、この期間に、第2特別図柄の変動および小当たり遊技が、1回?2回行われることが可能である(【0087】)パチンコ遊技機1(【0013】)。」

(2-3) 本願補正発明と引用発明1との対比

本願補正発明と引用発明1とを対比する。

ア 本願補正発明の構成Aについて
(ア)引用発明1の構成aにおける「遊技球が転動可能な遊技領域H1」は、本願補正発明の「遊技球が流下する遊技領域」に相当する。
(イ)引用発明1の構成aにおける「第1始動入賞口37」及び「第2始動入賞口38」は、いずれも本願補正発明の「始動領域」に相当する。そして、それらが「遊技領域H1」に設けられていることは当業者にとって明らかである。
(ウ)したがって、引用発明1の構成aにおける「遊技球が転動可能な遊技領域H1」に設けられた「第1始動入賞口37」及び「第2始動入賞口38」は、本願補正発明の「遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な複数の始動領域」に相当する。
(エ)よって、引用発明1は、本願補正発明の構成Aに相当する構成を有する。

イ 本願補正発明の構成Bについて
(ア)引用発明1の構成bにおける「主制御基板54」に「設けられ」た「主制御用CPU54a」は、「第1始動口スイッチSW1から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第1始動入賞口37に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合、当り判定用乱数の値を取得」し、また「第2始動口スイッチSW2から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第2始動入賞口38に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合、当り判定用乱数の値を取得」するものであり、ここにおいて、引用発明1の「当り判定用乱数の値」は、本願補正発明の「判定情報」に相当し、引用発明1の「第1始動入賞口37に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合」又は「第2始動入賞口38に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合」は、本願補正発明の「前記始動領域への遊技球の入球」に相当する。
(イ)したがって、引用発明1の構成bにおける「第1始動口スイッチSW1から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第1始動入賞口37に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合、当り判定用乱数の値を取得」し、また「第2始動口スイッチSW2から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第2始動入賞口38に遊技球が入賞したか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合、当り判定用乱数の値を取得」する「主制御用CPU54a」は、本願補正発明の「前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段」としての機能を有する。
(ウ)よって、引用発明1は、本願補正発明の構成Bに相当する構成を有する。

ウ 本願補正発明の構成Cについて
(ア)引用発明1の構成cにおける「遊技領域H1の下方位置に設けられた第2大入賞口41」と本願補正発明の「前記遊技領域の下方位置に設けられた1つの特別可変入賞装置」とは、「前記遊技領域の下方位置に設けられた」「特別可変入賞装置」である点で一致する。
(イ)引用発明1の構成cにおける「小当り遊技」は、「第2大入賞口41」が「開放可能」となる遊技であるから、本願補正発明の「特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技」に相当する。
(ウ)引用発明1の構成cにおける「当り判定用乱数の値と小当り判定値とを比較し、両値が一致するか否かの小当り判定をし」、「この小当り判定の判定結果が肯定の場合」、「遊技領域H1の下方位置に設けられた第2大入賞口41が開放可能となる小当り遊技が付与され」ることは、「当り判定用乱数の値」に基づいて「小当り遊技が付与され」るか否かが判定されていることから、本願補正発明の「前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた」「特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する」ことに相当する。
(エ)引用発明1の構成cにおける「大当り判定」及び「小当り判定」をする「主制御用CPU54a」は、本願補正発明の「特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段」としての機能を有する。
(オ)よって、本願補正発明と引用発明1とは、「前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた」「特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段」を有する点で一致する。

エ 本願補正発明の構成Dについて
(ア)引用発明1の構成dにおける「第2始動入賞口38」は、本願補正発明の「前記複数の始動領域のうち」の「一方」に相当する。
(イ)引用発明1の構成dにおける「第2始動入賞口38」が「備え」る「開閉扉38bの開動作により第2入賞口38aが開放されること」は、「遊技球の入球が許容され」る態様であるから、引用発明1において、「第2入賞口38aが開放され」ない態様は、本願補正発明の「遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様」に相当し、引用発明1における「開閉扉38bの開動作により第2入賞口38aが開放される」態様は、本願補正発明の「この第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様」に相当する。
(ウ)したがって、引用発明1の構成dにおける「開動作により」「第2始動入賞口38」が有する「第2入賞口38aが開放されることで遊技球の入球が許容され」る「開閉扉38b」は、本願補正発明の「前記複数の始動領域のうち、一方への遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する可変入賞装置」に相当する。
(エ)よって、引用発明1は、本願補正発明の構成Dに相当する構成を有する。

オ 本願補正発明の構成Eについて
(ア)引用発明1の構成eにおける「第2始動入賞口38の上」に「配設され」た「作動ゲート39」は、「遊技領域H1」に設けられたものであり、構成fより、遊技球が通過可能なものであることは明らかである。
(イ)したがって、引用発明1の構成eにおける「作動ゲート39」は、本願補正発明の「前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な普通始動領域」に相当する。
(ウ)よって、引用発明1は、本願補正発明の構成Eに相当する構成を有する。

カ 本願補正発明の構成Fついて
(ア)引用発明1の構成fにおける「普通当り判定用乱数の値」は、本願補正発明の「普通判定情報」に相当する。
(イ)引用発明1の構成fにおける「遊技球が作動ゲート39を通過したと判定した場合、普通当り判定用乱数の値を取得」する「主制御用CPU54a」は、本願補正発明の「前記普通始動領域への遊技球の通過により普通判定情報を取得する普通判定情報取得手段」としての機能を有する。
(ウ)したがって、引用発明1は、本願補正発明の構成Fに相当する構成を有する。

キ 本願補正発明の構成Gについて
(ア)引用発明1の構成gにおける「取得した普通当り判定用乱数の値が普通当り判定値と一致するか否かを判定して普通当り判定を行」うことは、本願補正発明の「取得された前記普通判定情報に基づいて」「普通遊技を行うか否かを判定する」ことに相当する。
(イ)引用発明1の構成gにおける「開閉扉38bを開放させるように制御」することは、本願補正発明の「前記可変入賞装置を前記第1の態様から前記第2の態様に変位させる」ことに相当する。
(ウ)引用発明1の構成gにおける「取得した普通当り判定用乱数の値が普通当り判定値と一致するか否かを判定して普通当り判定を行」う「主制御用CPU54a」は、本願補正発明の「普通遊技を行うか否かを判定する普通判定手段」としての機能を有する。
(エ)したがって、引用発明1は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を有する。

ク 本願補正発明の構成Hについて
(ア)引用発明の構成hにおける「第2大入賞口41は、第2始動入賞口38に近接して設けられ」たことは、本願補正発明の「前記特別可変入賞装置は前記可変入賞装置に近接して設けられ」たことに相当する。
(イ)したがって、引用発明1は、本願補正発明の構成Hに相当する構成を有する。

ケ 本願補正発明の構成Iについて
(ア)引用発明1の構成iの「第2始動入賞口38の開閉扉38bが3回開放し、」「開放状態を維持」される「開放してから1.7s経過するまで」の時間と、本願補正発明の構成Iの「前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間」とは、「前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間」に含まれる時間である点で一致する。
(イ)引用発明1の構成iの「第2変動ゲームにおいて」「当選」する「第2大入賞口41の」「1回」の「開放回数」の「1.6s」の「開放時間」を含む「小当り遊技」の時間は、本願補正発明の構成Iの「特別遊技」の時間に相当する。
(ウ)引用発明1の構成iの「第2変動ゲームと普図ゲームとは同時に実行可能であ」ることと、本願補正発明の構成Iの「前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を複数回行うことが可能」なこととは、「前記普通判定手段による判定の結果に応じ、」「前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を」「行うことが可能である」点で一致する。

コ 本願補正発明の構成Jについて
引用発明1の構成jの「パチンコ遊技機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

以上のことから、本願補正発明と引用発明1とは、以下の点で一致する。

<一致点>
A 遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な複数の始動領域と、
B 前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
C’ 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
D 前記複数の始動領域のうち、一方への遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する可変入賞装置と、
E 前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な普通始動領域と、
F 前記普通始動領域への遊技球の通過により普通判定情報を取得する普通判定情報取得手段と、
G 前記普通判定情報取得手段により取得された前記普通判定情報に基づいて、前記可変入賞装置を前記第1の態様から前記第2の態様に変位させる普通遊技を行うか否かを判定する普通判定手段と、を備え、
H 前記特別可変入賞装置は前記可変入賞装置に近接して設けられ、
I’ 前記普通判定手段による判定の結果に応じ、前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を行うことが可能である
J 遊技機。

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点1> (構成Cに関して)
特別可変入賞装置に関して、本願補正発明は、特別可変入賞装置が「一つの特別可変入賞装置」であるのに対して、引用発明1は、「第1大入賞口40及び第2大入賞口41が配設され」ていることから、特別可変入賞装置が一つではない点。

<相違点2> (構成Iに関して)
本願補正発明は、「普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の普通遊技が行われている間に、特別遊技を複数回行うことが可能な構成」とされているのに対して、引用発明1は、1回の普通遊技が行われている間に相当する時間が「第2始動入賞口38の開閉扉38bが3回開放し、」「開放状態を維持」される「開放してから1.7s経過するまで」を含む時間であり、特別遊技の時間が、「第2変動ゲームにおいて」「当選」する「第2大入賞口41の」「1回」の「開放回数」の「1.6s」の「開放時間」を含む「小当り遊技」の時間であり、2回の「小当り遊技」を行う場合には、1回目の「小当り遊技」の時間と、2回目の「小当り遊技」の前に行われる「第2変動ゲーム」の時間と、2回目の「小当り遊技」の時間を合計した時間が必要である点までは特定できるものの、1回の普通遊技が行われている間に、特別遊技を複数回行うことが可能であるか否かは不明である点。

(2-4) 当審の判断

ア 相違点についての検討
(ア) 相違点1について
上記(2-2)ア(ア)の引1-スに示した引用文献1の段落【0181】には、以下の記載がある。
「上記実施形態において、2つの大入賞口40,41を備えたが、これに限らず、1つ又は3つ以上の大入賞口を備えてもよい。」
してみると、引用発明1は、開閉扉38bを備えた第2始動入賞口38に近接して、大入賞口として、2つの大入賞口40,41を備えているが、引用文献1には、それらの大入賞口を1つとすることが示唆されていると認められ、引用発明1において、引用文献1の上記の記載を参酌し、大入賞口を1つとし、本願補正発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ) 相違点2について
本願補正発明の上記相違点2に係る構成と、上記(2-2)イ(イ)に示した引用文献2記載事項とを対比すると、引用文献2記載事項は、「普通図柄判定の結果」「長開放当たりになった場合には、」「第2始動口12の開放時間は約5.8秒」「であるため、この期間に、第2特別図柄の変動および小当たり遊技が、1回?2回行われることが可能である」ものであり、引用文献2記載事項における「普通図柄判定の結果」は、上記相違点2に係る構成の「普通判定手段による判定の結果」に相当し、引用文献2記載事項における「第2始動口12の開放時間」である「約5.8秒」は、上記相違点2に係る構成の「1回の普通遊技が行われている間」の一部に相当し、引用文献2記載事項における「小当たり遊技が、」「2回行われることが可能である」ことは、上記相違点2に係る構成の「1回の前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を複数回行うことが可能」なことに相当する。
してみると、引用文献2記載事項は、本願補正発明の上記相違点2に係る構成を全て有するものと認められる。

引用発明1と引用文献2記載事項は、いずれも、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な始動入賞口を用いることにより、始動入賞口の開放時間が異なる複数種類の普通遊技を行うものであり、かつ、小当り判定の判定結果が肯定の場合に大入賞口が開放可能となる小当り遊技を行う遊技機という点で技術分野が共通している。
また、引用発明1と引用文献2記載事項は、ともに、興趣性の向上という共通の課題を有するものであることは明らかである。

そして、引用発明1は、構成iにおいて特定されているように、「変短状態」が、「非変短状態と比較して、1回の普通当りに対応する合計開放時間が長く、遊技者にとって有利に動作するように設定され」たものであることを勘案すると、引用発明1においても、相対的に1回の普通遊技を長くするという技術思想が内在していると認められる。

してみると、引用発明1において、相対的に1回の普通遊技を長くするという技術思想を具現化するために、普通遊技の時間と、特別遊技を1回行うことが可能な時間の長さに関して、引用文献2記載事項を適用し、1回の普通遊技が行われている間に、特別遊技を複数回行うことが可能な構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 本願補正発明の奏する作用効果

本願補正発明によって奏される効果は、引用文献1及び引用文献2に記載された事項から、当業者が予測し得る程度のものである。

ウ 請求人の主張への反論

(ア) 請求人の主張
請求人は、令和2年6月15日に提出された意見書において、
「引用文献1には、段落0043、0044に、大当たり遊技では、第1大入賞口40が開放され、小当たり遊技では、第2大入賞口41が開放されることが記載されています。
そして、第2図には、第1大入賞口40の上部に第2大入賞口41を別々に設けた構成が開示されています。
したがいまして、補正後の本願発明と引用文献1に記載された発明(引用発明1)を対比すると、先の拒絶理由通知で挙げられた相違点の他に、本願発明は特別可変入賞装置は1つであるのに対し、引用発明1は特別可変入賞装置は2つであるという相違点2が少なくとも存在します。
そしてこの相違点2に係る構成が意味することは、本願発明は大当たり遊技も小当たり遊技も1つの特別可変入賞装置で行うのに対し、引用発明1は、大当たり遊技は第1大入賞口40で行い、小当たり遊技は第2大入賞口41で行い、当たりの種類により大入賞口を変えて行うということです。引用発明1の第1大入賞口40と第2大入賞口41は構造上異なっており、また役割が違うため設置場所も異なるため、1つにすることは困難と思料されます。」
と主張している。

(イ) 請求人の主張に対する反論
しかしながら、引用発明1は、第1大入賞口40、第2大入賞口41のいずれも、遊技領域H1の下方位置であって、開閉扉38bを備えた第2始動入賞口38に近接した部位に設けられており、上記ア(ア)において指摘したように、引用文献1には、「上記実施形態において、2つの大入賞口40,41を備えたが、これに限らず、1つ又は3つ以上の大入賞口を備えてもよい。」と記載されていることを勘案すれば、第1大入賞口40と第2大入賞口41を1つにすることが困難であるとはいえず、また、そのように大入賞口を1つにする際に、それらの機能及び役割を1つにし、遊技性を考慮して、大当たり遊技も小当たり遊技も1つの大入賞口で行われるようにすることは、当業者であれば、容易に想到し得ることであると認められる。
したがって、請求人の上記の主張は採用できない。

(2-5) 小括

よって、本願補正発明は、引用発明1、引用文献1に記載された事項、及び、引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3) むすび

以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和2年6月15日提出の手続補正書による補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、同年2月25日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(上記第2[理由]1の(補正前)の記載を参照)(以下「本願発明」という。)であり、分説してAないしJの符号を付与すると、以下のとおりである。

「A 遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な始動領域と、
B 前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
C 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報に基づいて、前記遊技領域の下方位置に設けられた特別可変入賞装置が所定の態様で開閉する特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
D 前記始動領域への遊技球の入球が不可能若しくは困難な第1の態様、およびこの第1の態様よりも遊技球の入球が容易な第2の態様に変位する可変入賞装置と、
E 前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な普通始動領域と、
F 前記普通始動領域への遊技球の通過により普通判定情報を取得する普通判定情報取得手段と、
G 前記普通判定情報取得手段により取得された前記普通判定情報に基づいて、前記可変入賞装置を前記第1の態様から前記第2の態様に変位させる普通遊技を行うか否かを判定する普通判定手段と、を備え、
H 前記特別可変入賞装置は前記可変入賞装置に近接して設けられ、
I 前記普通判定手段による判定の結果に応じ、1回の前記普通遊技が行われている間に、前記特別遊技を複数回行うことが可能な構成とした
J ことを特徴とする遊技機。」

2 令和2年5月19日付け拒絶理由通知における拒絶の理由

令和2年5月19日付け拒絶理由通知における拒絶の理由の概要は以下のとおりである。

本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び引用文献2に記載された事項に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2014-68729号公報
引用文献2:特開2015-20019号公報

3 引用文献とそれに記載された事項

上記拒絶理由通知の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2は、それぞれ上記第2における引用文献1及び引用文献2に対応し、その記載事項は、上記第2[理由]2(2)(2-2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から、「遊技球が入球可能な複数の始動領域」について、「複数の」とした限定事項(本願補正発明のAの構成の一部)を削除し、「前記遊技領域の下方位置に設けられた1つの特別可変入賞装置」について、「1つの」との限定事項(本願補正発明のCの構成の一部)を削除し、「前記複数の始動領域のうち、一方への遊技球の入球」について、「複数の」及び「のうち、一方」との限定事項(本願補正発明のDの構成の一部)を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の[理由]2(2)及び(3)に記載したとおり、引用発明1、引用文献1に記載された事項、及び、引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1、引用文献1に記載された事項、及び、引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-10-01 
結審通知日 2020-10-06 
審決日 2020-10-20 
出願番号 特願2015-41222(P2015-41222)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳 重幸  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 鷲崎 亮
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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