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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C11D |
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管理番号 | 1369439 |
審判番号 | 不服2020-4144 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-03-27 |
確定日 | 2021-01-05 |
事件の表示 | 特願2019-505134「低レベルのカプラー/ヒドロトロープを使用した凝固プロセス」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月26日国際公開、WO2017/184440、令和 1年 5月30日国内公表、特表2019-513889、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)4月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年4月18日、米国)を国際出願日とする特許出願であって、令和元年9月19日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月18日に意見書及び誤訳訂正書が提出され、同年12月2日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年3月27日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同時に手続補正がされ、同年7月13日に上申書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 1 原査定の概要 原査定の概要は、本願の令和元年10月18日付け誤訳訂正書によって誤訳訂正された請求項1?17に係る発明は、以下2の引用文献1、2に記載された発明及び周知技術等に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 2 引用文献等 引用文献1:特表2015-521669号公報 引用文献2:米国特許出願公開第2005/0101516号明細書 第3 本願の請求項に係る発明(本願発明) 本願請求項1?17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明17」という。)は、令和2年3月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1?17には、次のように記載されている。 「【請求項1】 (a)10重量%?45重量%の2つ以上の固体非イオン性界面活性剤と、 (b)5重量%?40重量%の会合破壊剤と、 (c)2重量%?10重量%のヒドロトロープと、 (d)10重量%?35重量%の硬化剤と、 (e)水と、を含む、固体すすぎ助剤組成物であって、 前記固体非イオン性界面活性剤は、21モルのEOを有するC10-C12アルコールアルコキシレート、25モルのEOを有するC16-C18アルキルアルコールエトキシレート、及びアルキルで末端封鎖した直鎖アルコールエトキシレートのうちの2つ以上であり、 前記会合破壊剤は、アルコールアルコキシレートEO/PO界面活性剤であり、 前記ヒドロトロープは、1つ又は複数の短鎖アルキルベンゼン及び/もしくはアルキルナフタレンスルホン酸塩であり、 前記硬化剤は尿素、硫酸塩、又はこれらの組み合わせを含み、 前記組成物は、逆ブロックEO/POコポリマーを含まない、固体すすぎ助剤組成物。 【請求項2】 前記短鎖アルキルベンゼン及び/もしくはアルキルナフタレンスルホン酸塩が、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸カルシウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、及びブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム短鎖アルキルベンゼンのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の固体すすぎ助剤。 【請求項3】 保存剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。 【請求項4】 前記保存剤が、ピリチオンナトリウムである、請求項3に記載の組成物。 【請求項5】 金属イオン封鎖剤をさらに含む、請求項1?4のいずれか一項に記載の固体すすぎ助剤。 【請求項6】 閾値抑制剤をさらに含む、請求項1?5のいずれか一項に記載の固体すすぎ助剤。 【請求項7】 前記固形物が、押出成形によって形成される、請求項1?6のいずれか一項に記載の固体すすぎ助剤。 【請求項8】 請求項1?7のいずれか一項に記載の固体すすぎ助剤組成物を作製する方法であって、 a)10重量%?45重量%の2つ以上の固体非イオン性界面活性剤、5重量%?40重量%の会合破壊剤、2重量%?10重量%のヒドロトロープ、10重量%?35重量%の硬化剤、及び水を合わせて、混合物を形成することと、 b)前記混合物を固形物に形成することと、を含み、 前記固体非イオン性界面活性剤は、21モルのEOを有するC10-C12アルコールアルコキシレート、25モルのEOを有するC16-C18アルキルアルコールエトキシレート、及びアルキルで末端封鎖した直鎖アルコールエトキシレートのうちの2つ以上であり、 前記会合破壊剤は、アルコールアルコキシレートEO/PO界面活性剤であり、 前記ヒドロトロープは、1つ又は複数の短鎖アルキルベンゼン及び/もしくはアルキルナフタレンスルホン酸塩であり、 前記硬化剤は尿素、硫酸塩、又はこれらの組み合わせを含み、 前記組成物は、逆ブロックEO/POコポリマーを含まない、方法。 【請求項9】 前記固形物を形成することが、加圧することによるものである、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 前記固形物を形成することが、押出成形によるものである、請求項8に記載の方法。 【請求項11】 前記固形物を形成することが、キャスティングによるものである、請求項8に記載の方法。 【請求項12】 前記混合物が、1日又は複数日硬化される、請求項8?11のいずれか一項に記載の方法。 【請求項13】 洗浄用途において硬質表面をすすぐための方法であって、 a.請求項1?7のいずれか一項に記載の固体すすぎ助剤組成物を提供することと、 b.前記すすぎ助剤組成物を水と接触させて、使用溶液を形成することと、 c.前記使用溶液を前記硬質表面に適用することと、を含む、方法。 【請求項14】 前記使用溶液が、2,000ppm以下の前記使用溶液の非水性部分を含む、請求項13に記載の方法。 【請求項15】 前記接触させることが、すすぎ助剤の固体ブロックに水を導くことによるものである、 請求項13又は14に記載の方法。 【請求項16】 前記固体すすぎ助剤が、前記すすぎ助剤組成物を水と前記接触させることにより溶解されて、使用溶液になる、請求項13?15のいずれか一項に記載の方法。 【請求項17】 前記硬質表面が、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、またはタイルを含む、請求項13?16のいずれか一項に記載の方法。」 第4 引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明(引用発明) 1 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「高い総溶存固形分水条件のための固体の速い水切り/乾燥すすぎ助剤」(発明の名称)について、次の記載がある。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 固体のすすぎ助剤組成物であって、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸カルシウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムおよびブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを含む群から選択される、該すすぎ助剤組成物の固化のために十分な量の、1種もしくは2種以上の短鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩および/またはアルキルナフタレンスルホン酸塩;ならびに有効な量の被膜剤を含んでなる、固体のすすぎ助剤組成物。 ・・・ 【請求項3】 前記固化剤が、約60質量%?約90質量%の量で存在し、かつ前記被膜剤が、約15質量%?約30質量%の量で存在し、前記組成物が更に水および/または保存料を含む、請求項1記載のすすぎ助剤。 【請求項4】 消泡剤および1種もしくは2種以上の会合破壊剤を更に含む、請求項3記載のすすぎ助剤。 【請求項5】 前記会合破壊剤が、アルコールアルコキシレートであり、かつ該アルコキシレートが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシド、ならびにそれらの混合物および誘導体からなる群から選択される、請求項4記載のすすぎ助剤。 【請求項6】 前記被膜剤が、式(I): R-O-(CH_(2)CH_(2)O)n-H (I) の、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレートを含む、請求項1記載のすすぎ助剤。 ・・・」 (2)「【0046】 本発明は、有効な量の、短鎖アルキルベンゼンまたはアルキルナフタレンスルホン酸塩の固化剤を含む、固体のすすぎ助剤組成物を提供する。驚くべきことに、この種類のヒドロトープ(hydrotopes)は、固体のすすぎ助剤の性能に加えて、同様に、固化剤として機能することが見出された。また、短鎖アルキルベンゼンまたはアルキルナフタレンスルホン酸塩は、ビルダーとしても機能する。固体のすすぎ助剤組成物は、典型的には110°F超の融点を有しており、そして寸法的に安定である。幾つかの態様では、短鎖アルキルベンゼンまたはアルキルナフタレンスルホン酸塩の固化剤は、60質量%?90質量%で存在する。また、固体のすすぎ助剤は、幾つかの態様では、そしてこれ以降に示されるように、付加的な固化成分、例えばポリエチレングリコールまたは尿素を含むことができる。付加的な固化剤は、もしも用いられる場合には、約.1質量%?約10質量%の量で存在する。」 (3)「【0061】 被膜剤(Sheeting Agent) 固体のすすぎ助剤組成物は被膜剤を含む。固体すすぎ助剤組成物の被膜剤は、有効量の、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレート化合物を含む。典型的には、固体すすぎ助剤組成物の被膜剤は、有効量の、12個以下の炭素原子を有するアルキル基を含む1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレート化合物を含む。典型的には、被膜剤中の1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレート化合物の混合物は、例えば、100°F(約38℃)以上、しばしば110°F(約43℃)超、そして、しばしば110°F?120°F(約43℃?約49℃)の範囲の融点を有することによって、室温で固体である。少なくともいくつかの態様では、アルコールエトキシレート化合物は、以下の式Iで表される構造をそれぞれ独立して有することができる。 R-O-(CH_(2)CH_(2)O)n-H (I) 式中、Rは、(C_(1)-C_(12))アルキル基であり、nは、1?100の範囲の整数である。いくつかの態様では、Rは、(C_(8)-C_(12))アルキル基であることができ、または(C_(8)-C_(10))アルキル基であることができる。同様に、いくつかの態様では、nは、10?50の範囲、15?30の範囲、または20?25の範囲の整数である。いくつかの態様では、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレート化合物は直鎖の疎水性物質である。」 (4)「【0084】 会合破壊剤 態様によっては、すすぎ助剤組成物はまた、1種もしくは2種以上の会合破壊剤を含むことができる。本発明の組成物における使用に好適な会合破壊剤としては、本発明のすすぎ助剤中に含まれる他の活性剤、例えば被膜剤および消泡剤の会合を、変える、例えば妨げることができる界面活性剤が挙げられる。 【0085】 態様によっては、本発明のすすぎ助剤組成物中に含まれる会合破壊剤は、すすぎ助剤組成物の接触角を低下させる。例えば、態様によっては、会合破壊剤は、すすぎ助剤組成物の接触角を、約5°、約10°だけ、または約15°だけ低下させる。いずれかの特定の理論によって拘束されることは望まないが、接触角が小さければ小さいほど、組成物は被膜をより引き起こすと考えられる。すなわち、より小さい接触角を備えた組成物は、より大きな接触角を備えた組成物よりも、より大きな表面積で基質上に液滴を形成する。増大した表面積は、より迅速な乾燥時間をもたらし、基質上に形成される斑点がより少ない。 【0086】 種々の会合破壊剤を、本発明のすすぎ助剤組成物中に用いることができる。態様によっては、会合破壊剤はアルコールアルコキシレートを含んでいる。態様によっては、アルコールアルコキシレートとしては、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体界面活性剤(「アルコールEO/PO界面活性剤」)が挙げられる。アルコールEO/PO界面活性剤としては、EOおよびPO基が小さなブロックの形態またはランダムの形態にある、コンパクトなEO/PO界面活性剤を挙げることができる。他の態様では、アルコールアルコキシレートは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、へキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシド、およびそれらの混合物を含んでいる。態様によっては、1種もしくは2種以上の会合破壊剤は、C12?C14脂肪族アルコールEO/PO界面活性剤を含んでいる。」 (5)「【実施例】 【0162】 例において、以下の材料が用いられる。 水 Pluronic 25R2:ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック Plurifac LF-221:アルコキシル化アルコール Genapol EP-2454:脂肪族アルコールアルコキシレート Novel II 1012-GB-21:アルコールエトキシレートC10-C12,21EO Kathon:Dow Chemicalから入手可能な保存料で、活性成分が、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 尿素 FD&C Blue #1 FD&C Yellow #5 キシレンスルホン酸ナトリウム ・・・ 【0176】 個々の界面活性剤および界面活性剤の組み合わせの接触角の検討 図1には、ポリカーボネート、ポリプロピレン、繊維ガラス、ステンレス鋼316、およびガラス表面上の接触角が、幾つかの異なる高TDS成分とともに、タイプ1(25R2)、タイプII(Genapol)およびタイプIII(LF-221)技術(technology)について示されている。測定は、固定した総濃度(約129.2ppmの界面活性剤の活性濃度)で行った。 【0177】 これは、界面活性剤と、異なる高固形分TDS原材料との間の相互作用を示しているので、これは特に重要な検討である。これは、異なるTDS成分が如何に接触角に影響を与えるかを示している。それぞれの組の配合が、下記の表6に列挙されている。結果が、表7に示されている。 【0178】 【表7】 【0179】 【表8】 」 2 引用文献1に記載された発明(引用発明) 引用文献1の請求項1を引用する請求項3を引用する請求項4を引用する請求項5について、請求項6の被膜剤を含むものは、次のように表すことができる。 「固体のすすぎ助剤組成物であって、 キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸カルシウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムおよびブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを含む群から選択される、該すすぎ助剤組成物の固化のために十分な量の、1種もしくは2種以上の短鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩および/またはアルキルナフタレンスルホン酸塩の固化剤; 有効な量のR-O-(CH_(2)CH_(2)O)n-Hの、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレートを含む被膜剤; 水および/または保存料;並びに、 消泡剤および1種もしくは2種以上のアルコールアルコキシレートであり、かつ該アルコキシレートが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシド、ならびにそれらの混合物および誘導体からなる群から選択される会合破壊剤;を含み、 前記固化剤が、約60質量%?約90質量%の量で存在し、かつ前記被膜剤が、約15質量%?約30質量%の量で存在する、固体のすすぎ助剤組成物。」(以下、「引用発明」という。) 第5 原査定の理由についての当審の判断 1 本願発明1について 本願発明1と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「R-O-(CH_(2)CH_(2)O)n-Hの、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレートを含む被膜剤」は、「室温で固体であ」(上記第4 1(3)の【0061】)り、その組成式からみて非イオン性界面活性剤といえるものであるから、それらが2種以上含まれる場合、本願発明1の「2つ以上の固体非イオン性界面活性剤」に相当する。しかも、その含有量は、本願発明1の範囲内のものである。 (2)引用発明の「1種もしくは2種以上のアルコールアルコキシレートであり、かつ該アルコキシレートが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシド、ならびにそれらの混合物および誘導体からなる群から選択される会合破壊剤」は、上記第4 1(4)の【0086】の記載からも、アルコールアルコキシレートEO/PO界面活性剤を含む会合破壊剤であることは明らかであって、本願発明1の「アルコールアルコキシレートEO/PO界面活性剤」である「会合破壊剤」に相当する。 (3)引用発明の「1種もしくは2種以上の短鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩および/またはアルキルナフタレンスルホン酸塩の固化剤」は、本願発明1の「1つ又は複数の短鎖アルキルベンゼン及び/もしくはアルキルナフタレンスルホン酸塩であ」る「ヒドロトロープ」に相当する。 (4)引用発明の「水」は、本願発明1の「水」に相当する。 (5)引用発明の「固体のすすぎ助剤組成物」は、本願発明1の「固体すすぎ助剤組成物」に相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明とは、 「(a)10重量%?45重量%の2つ以上の固体非イオン性界面活性剤と、 (b)会合破壊剤と、 (c)ヒドロトロープと、 (e)水と、を含む、固体すすぎ助剤組成物であって、 前記会合破壊剤は、アルコールアルコキシレートEO/PO界面活性剤であり、 前記ヒドロトロープは、1つ又は複数の短鎖アルキルベンゼン及び/もしくはアルキルナフタレンスルホン酸塩である、固体すすぎ助剤組成物。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。 (相違点1) 2つ以上の固体非イオン性界面活性剤について、本願発明1は、「21モルのEOを有するC10-C12アルコールアルコキシレート、25モルのEOを有するC16-C18アルキルアルコールエトキシレート、及びアルキルで末端封鎖した直鎖アルコールエトキシレートのうちの2つ以上」であるのに対し、引用発明は「R-O-(CH_(2)CH_(2)O)n-Hの、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレートを含む被膜剤」である点。 (相違点2) 会合破壊剤の含有量について、本願発明1は、「5重量%?40重量%」であることが特定されているのに対し、引用発明の会合破壊剤の含有量は規定されていない点。 (相違点3) 硬化剤について、本願発明1は、「10重量%?35重量%の硬化剤」を含み、「前記硬化剤は尿素、硫酸塩、又はこれらの組み合わせを含み」と特定されているのに対し、引用発明は、尿素、硫酸塩、又はこれらの組み合わせを含むことについては規定されていない点。 (相違点4) 本願発明1は、「組成物は、逆ブロックEO/POコポリマーを含まない」ことが特定されているのに対し、引用発明は、このようなことは特定されていない点。 ここで、相違点について検討する。 事案に鑑み、相違点1及び4について検討する。 相違点1について、引用文献1には、「R-O-(CH_(2)CH_(2)O)n-Hの、1種もしくは2種以上のアルコールエトキシレートを含む被膜剤」について、被覆剤に関して記載された【0061】(上記1(3))には、「21モルのEOを有するC10-C12アルコールアルコキシレート、25モルのEOを有するC16-C18アルキルアルコールエトキシレート、及びアルキルで末端封鎖した直鎖アルコールエトキシレートのうちの2つ以上」を満たす被覆剤とすることについては、記載も示唆もされていない。 また、上記第4 1(5)の【0178】の表6(【表7】)、【0179】の表7(【表8】)の実施例においても、本願発明1の上記固体非イオン性界面活性剤の規定を満たすものは記載されていない。なお、それらの実施例は、いずれも、Pluronic 25R2(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック)を含むものであって、これは、上記相違点4に係る、本願発明1において含まないことが規定された「逆ブロックEO/POコポリマー」に相当する。 そうすると、引用文献1の記載から、上記相違点1及び4に係る本願発明1の発明特定事項を想到することは当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 また、引用文献2にも、相違点1に係る本願発明1の上記固体非イオン性界面活性剤の規定を満たすものについて、具体的に記載されているとは認められない。 一方、本願明細書において、上記相違点1及び4に係る発明特定事項を有する本願発明1は、本願発明1に含まれない固体非イオン性界面活性剤を含むものと比較して、急速に硬化し、押し出し固形物形成に適した固体すすぎ助剤組成物となる、という格別顕著な作用効果を奏するものであること記載され、その作用効果は、実施例において確認されているといえる。 そうすると、引用発明において、上記相違点1及び4に係る本願発明の発明特定事項を備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、上記相違点2及び3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2の記載に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2?17について 本願発明2?17は、本願発明1を直接的又は間接的に引用してさらに限定するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2の記載に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-12-09 |
出願番号 | 特願2019-505134(P2019-505134) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(C11D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 林 建二 |
特許庁審判長 |
蔵野 雅昭 |
特許庁審判官 |
門前 浩一 川端 修 |
発明の名称 | 低レベルのカプラー/ヒドロトロープを使用した凝固プロセス |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 渡辺 陽一 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 高橋 正俊 |
代理人 | 胡田 尚則 |