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審決分類 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A63F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A63F
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A63F
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A63F
管理番号 1371053
審判番号 訂正2020-390084  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-09-11 
確定日 2021-01-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6725850号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6725850号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6725850号(以下「本件特許」という。)は、平成30年3月13日に特許出願され、令和2年6月30日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年9月11日に訂正審判(以下「本件審判」という。)の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、本件審判の審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件審判の請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に
「リプレイに対応する図柄組合せが停止表示しなかった遊技において、非有利区間から有利区間への移行契機を満たした場合には、有利区間であることを示す有利区間信号を試験信号として出力する処理を開始してから、少なくとも所定時間が経過した後に、点灯データを前記所定の記憶手段に記憶し、」とあるのを、
「リプレイに対応する図柄組合せが停止表示しなかった遊技において、非有利区間から有利区間への移行契機を満たした場合には、有利区間であることを示す有利区間信号を試験信号として出力する処理を開始してから、少なくとも所定時間が経過した後に、前記投入要求ランプを点灯させるための点灯データを前記所定の記憶手段に記憶し、」に訂正する(以下「訂正事項」という。なお、下線は当審で付した。以下同様。)。

第4 当審の判断
1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
訂正事項は、訂正前の「リプレイに対応する図柄組合せが停止表示しなかった遊技において、非有利区間から有利区間への移行契機を満たした場合には、有利区間であることを示す有利区間信号を試験信号として出力する処理を開始してから、少なくとも所定時間が経過した後に、」「前記所定の記憶手段に記憶」される「点灯データ」を、「前記投入要求ランプを点灯させるための点灯データ」に限定するものである。
したがって、訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2 特許法第126条第5項(新規事項の追加)について
(1)本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、以下の記載がある。

ア メイン処理
「【2816】
図294(a)のメイン処理において、ステップS2851では、遊技開始時処理を実行する。……
【2817】
次のステップS2853では、スタートスイッチ受付け時処理を実行する。……
【2818】
次のステップS2854では、リール31の回転を開始する処理であり、……
次にステップS2856に進み、遊技終了時処理を実行する。この処理は、後述する図298の処理であり、作動状態フラグのクリア処理や、有利区間クリアカウンタの管理処理等を実行する。……」

イ 割込み処理
「【2820】
図294(b)の割込み処理において、……
【2821】
……
次にステップS2954に進み、試験信号管理を行う。この処理は、試射試験機300に各種の試験信号を出力する処理であり、後述する図303及び図304に示す処理である。……」

ウ メイン処理における遊技開始時処理
「【2822】
図295は、図294(a)中、ステップS2851における遊技開始時処理を示すフローチャートである。
……
次にステップS2862に進み、メイン制御基板50は、割込み処理が発生したか否かを判断する。……割込み処理が発生していないときは割込み処理が発生するまで待機し、割込み処理が発生したと判断したときはステップS2863に進む。ステップS2863では、再度、ステップS2862と同様の処理を実行する。……
【2823】
以上のステップS2862及びS2863により、2回の割込み処理が発生するまで待機する待機処理(「ウェイト処理」ともいう。)が実行される。このステップS2862及びS2863により、最大で「4.47ms」の待機処理が実行されるが、この処理が、図292中、遊技開始時におけるセットアップ時間tに相当する。なお、待機処理を実行している間も、割込み処理は実行される。……
……
【2825】
……次にステップS2868に進み、投入表示LED79eをオンにする。この処理は、LED表示データ(_PT_STS_LED )中、D4ビットを「1」にする処理である。そして本フローチャートによる処理を終了する。……」

エ メイン処理における遊技終了処理の有利区間クリアカウンタ管理
「【2850】
図299は、図298のステップS2915における有利区間クリアカウンタ管理を示すフローチャートである。……
……
【2862】
次にステップS2937に進み、メイン制御基板50は、有利区間種別フラグ(_NB_ADV_KND )が「0」(通常区間)であるか否かを判断する。……有利区間種別フラグが「0」でないとき、特に本実施形態では有利区間種別フラグが「1」(有利区間)であると判断したときはステップS2938に進む。なお、この時点で有利区間種別がフラグ「1」になっているのは、当該遊技で有利区間の移行抽選に当選し(たとえば図297中、ステップS2896の内部抽選において、有利区間に移行することに決定する当選番号に当選したとき)が挙げられる。……
【2863】
ステップS2938では、有利区間クリアカウンタ(_CT_ADV_CLR )に初期値をセットする。この処理は、有利区間クリアカウンタに「1500(D)」をセットする処理である。ここでは、HLレジスタ値が示すアドレスに「1500(D)」を記憶する。なお、HLレジスタには、ステップS2921において、「F022(H)」がセットされている。そして本フローチャートによる処理を終了する。」

オ 割込み処理における試験信号管理
「【2889】
図303?図305は、図294(b)におけるステップS2954の試験信号管理を示すフローチャートである。……
……
【2892】
ステップS2995では、メイン制御基板50は、有利区間クリアカウンタ(_CT_ADV_CLR )が「0」であるか否かを判断する。有利区間クリアカウンタが「0」でないと判断したときはステップS2996に進み、「0」であると判断したときはステップS2997に進む。
ステップS2996では、有利区間中信号のオンデータをセットする。有利区間中信号のオンデータは、「10000000(B)」(7ビット目が「1」)である。このデータと、前記所定のレジスタに記憶されているデータとをOR演算し、演算結果を前記所定のレジスタに記憶する。
……
【2897】
次に、条件装置信号を時分割して1回出力する方式(方式2)であるときは、図304のステップS3002に進み、前記所定のレジスタに記憶されているデータを試験信号として出力する。上記の処理により、ステップS3002の右側に示すように、0?4ビット目が作動状態フラグの信号、5ビット目が再遊技中信号、6ビット目が投入要求ランプ信号、7ビット目が有利区間中信号である試験信号が出力される。ステップS3006において試験信号を出力した後は、前記所定のレジスタをクリアする。
……」

(2)上記アないしオの摘記事項から、本件明細書には、遊技機で実行される処理に関し、
メイン処理において、有利区間クリアカウンタの管理処理等を実行する遊技終了時処理を実行し(【2816】【2818】)、
有利区間クリアカウンタ管理では、内部抽選において、有利区間に移行することに決定する当選番号に当選したと判断したときはステップS2938に進み、ステップS2938では有利区間クリアカウンタ(_CT_ADV_CLR )に初期値をセットし(【2850】【2862】【2863】)、
割込み処理では、試験信号管理を行い(【2820】【2821】)、
試験信号管理では、有利区間クリアカウンタが「0」でないと判断したときは有利区間中信号のオンデータをセットし、このデータと所定のレジスタに記憶されているデータとをOR演算し、演算結果を前記所定のレジスタに記憶し、前記所定のレジスタに記憶されているデータを試験信号として出力し、上記の処理により、6ビット目が投入要求ランプ信号、7ビット目が有利区間中信号である試験信号が出力され(【2889】【2892】【2897】)、
その後のメイン処理において、遊技開始時処理を実行し(【2816】)、
遊技開始時処理では、2回の割込み処理が発生するまで待機する待機処理(「ウェイト処理」ともいう。)が実行され(【2822】【2823】)、その後、投入表示LED79eをオンにするために、LED表示データ(_PT_STS_LED )中、D4ビットを「1」にすること(【2825】)、
すなわち、7ビット目が有利区間中信号である試験信号が出力されてから、2回の割込み処理が発生するまで待機する待機処理が実行された後、投入表示LED79eをオンにするために、LED表示データ(_PT_STS_LED )中、D4ビットを「1」にすること、
要するに、「非有利区間から有利区間への移行契機を満たした場合には、有利区間であることを示す有利区間信号を試験信号として出力する処理を開始してから、少なくとも所定時間が経過した後に、」「前記所定の記憶手段に記憶」される「点灯データ」が、「前記投入要求ランプを点灯させる」ものであること
が記載されていたと認められる。
また、リプレイに入賞しなかった遊技では、自動ベットが行われず、その後にメダルを投入する必要があるために、投入要求ランプを点灯させること、すなわち、「リプレイに対応する図柄組合せが停止表示しなかった遊技において、」「前記投入要求ランプを点灯させる」ことは、技術常識である。
そうすると、訂正事項は、本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。したがって、訂正事項は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
上記1で検討したように、訂正事項は、「点灯データ」を、「前記所定の記憶手段に前記投入要求ランプを点灯させるための点灯データ」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。したがって、訂正事項は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

4 特許法第126条第7項(特許出願の際独立して特許を受けることができること)について
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか検討したところ、当該発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。したがって、訂正事項は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5 むすび
以上のとおりであるから、訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値が投入可能な状況であるときに点灯可能な投入要求ランプを備え、
ストップスイッチの有利な操作情報を報知できない非有利区間から、ストップスイッチの有利な操作情報を報知可能な有利区間への移行契機を満たした場合には、有利区間であることを示す有利区間信号を試験信号として出力する処理を開始し、
有利区間における総差数に関する値が所定条件を満たした場合には、有利区間を終了し、
有利区間の終了に伴う第1初期化処理では、所定の記憶手段のうち、第1の記憶領域を初期化し、
設定変更に伴う第2初期化処理では、前記所定の記憶手段のうち、第2の記憶領域を初期化し、
第1の記憶領域は、第2の記憶領域に含まれ、
リプレイに対応する図柄組合せが停止表示しなかった遊技において、非有利区間から有利区間への移行契機を満たした場合には、有利区間であることを示す有利区間信号を試験信号として出力する処理を開始してから、少なくとも所定時間が経過した後に、前記投入要求ランプを点灯させるための点灯データを前記所定の記憶手段に記憶し、
前記所定の記憶手段に前記投入要求ランプを点灯させるための点灯データが記憶されていることに基づいて、遊技価値が投入可能であることを示す投入要求ランプ信号を試験信号として出力する処理を実行する
ことを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-12-02 
結審通知日 2020-12-07 
審決日 2020-12-22 
出願番号 特願2018-45621(P2018-45621)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (A63F)
P 1 41・ 841- Y (A63F)
P 1 41・ 851- Y (A63F)
P 1 41・ 854- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安藤 達哉  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 太田 恒明
▲高▼橋 祐介
登録日 2020-06-30 
登録番号 特許第6725850号(P6725850)
発明の名称 遊技機  
代理人 中村 正  
代理人 中村 正  

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