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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1372160
審判番号 不服2020-6676  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-15 
確定日 2021-03-19 
事件の表示 特願2015-167559号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日出願公開、特開2017- 42395号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成27年8月27日の出願であって、平成31年2月21日に手続補正書が提出され、同年4月22日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年8月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月27日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年2月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年3月4日付け(送達日:同年同月9日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和2年2月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(なお、記号AないしFは、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「特定事項A」等という。)。
「A 所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
B 前記遊技盤が装着される本体枠と、
C 前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
D 前記扉枠に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿本体と、
E 底壁部と立壁部とで貯留領域を形成し、所定の供給口から遊技媒体が前記貯留領域へ流入可能に前記扉枠に設けられる下皿本体と、
を備え、
E1 前記下皿本体は、第1下皿部と前記第1下皿部と一体的に設けられる第2下皿部とを有し、
E2 前記第1下皿部は、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記扉枠前方に臨んで、少なくとも前記扉枠が閉じられた状態では遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成され、
E3 前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側端の端部底壁部および端部立壁部は、前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機前方に臨まないように構成され、
E4 前記底壁部のうちの前記立壁部と接しない位置に、前記下皿本体から遊技球を下方へ排出させる下皿球抜き孔が形成され、
E5 前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側の前記端部底壁部には、前記下皿球抜き孔方向へ下り傾斜する傾斜底面が形成され、
E6 前記端部立壁部の前記貯留領域側と反対側の面は前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機外部に露出しないように構成されている
F ことを特徴とする遊技機。」

第3 拒絶査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2014-33692号公報
2.特開2010-35811号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2009-28390号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2007-50165号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2013-116169号公報(周知技術を示す文献)

令和2年2月25日付け手続補正書による補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3等に記載された周知技術及び引用文献4、5等に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易にその発明をすることができたものである。

第4 引用例の記載、引用発明及び周知技術
1 引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された特開2014-33692号公報(平成26年2月24日公開)(以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機前面のデザイン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技機の前面枠にガラス枠が取り付けられ、さらにそのガラス枠の下部側に上皿ユニットが一体となって設けられる遊技機(例えば、パチンコ機)が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、遊技装置として遊技球を複数の通路に振り分ける振り分け手段を遊技盤に備え、マジックミラーを利用して遊技者に振り分け手段を視認可能にすることで演出効果を高めるものがある(特許文献2参照)。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の遊技機は画一的で面白みがなく、遊技者は飽きていた。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、斬新なデザインの遊技機を提供することを目的とする。」

(2)「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、遊技機1の説明における前後左右とは、遊技中の遊技者から見た方向を指すものとする。
【0012】
〔遊技機全体図〕
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態の遊技機1について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の前面枠及びクリア部材保持枠を閉じた状態の遊技機の斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態の遊技機の下側部分の正面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、遊技機1は島設備に固定される本体枠2に、ヒンジ8を介して開閉回動自在に取り付けられる開閉枠3を備える。開閉枠3は、前面枠4及びクリア部材保持枠5によって構成されている。
【0014】
前面枠4には、遊技領域31を有する遊技盤30(図3参照)が交換可能に配設されるとともに、遊技盤30の前面を覆うクリア部材5aを備えたクリア部材保持枠5が取り付けられる。ここで、クリア部材5aは、ガラス、アクリル、ポリカーボネイト等の透明部材である。このように、クリア部材5aは、遊技盤30の遊技領域31を視認可能とする遊技視認領域として機能する。」

(3)「【0022】
クリア部材保持枠5の下部には、前面枠4の下部に設置される上皿ユニット10や遊技装置100を覆うカバーユニット150が取り付けられている。
【0023】
上皿ユニット10には、遊技球を貯留可能な上皿11が形成されている。上皿11は、上面が開口した箱状に形成されており、貯留されている遊技球を一球ずつ球発射装置(図示省略)に供給するように構成されている。」

(4)「【0032】
上皿ユニット10よりも下方の前面枠4には、球発射装置(図示省略)の動作を制御するための操作ハンドル14と、遊技球を貯留可能な下皿(貯留皿)15とが設けられている。また、上皿ユニット10の右側の前面枠4には、クリア部材保持枠5を施錠するための鍵穴部16が備えられている。
【0033】
操作ハンドル14は、前面枠4の右下部であって、右側の下スピーカー7bの下方に配置されている。遊技者が操作ハンドル14を回動操作することによって、球発射装置は上皿11から供給された遊技球を遊技盤30の遊技領域31(図3参照)に発射する。球発射装置から発射される遊技球の発射速度は、操作ハンドル14の回動操作量が大きくなるほど速くなるように設定されている。
【0034】
下皿15は、上皿11に対して所定の間隔をあけて、上皿11の下方に配置されている。下皿15は、当該下皿15の底面を上下方向に貫通する球抜き穴15a(図2参照)と、球抜き穴15aを開閉するための開閉操作部15bと、を有している。球抜き穴15aは、遊技機1の左右方向(幅方向)の中央に位置するように、下皿15の底面に設けられている。
【0035】
そして、遊技者が開閉操作部15bを操作して、球抜き穴15aを開くことによって、下皿15に貯留されていた遊技球を球抜き穴15aを通じて外部に排出することができる。また、球抜き穴15aを遊技機1の左右方向中央に配置するので、遊技機1に各台計数機を備えることもできる。
【0036】
上皿ユニット10の上皿11及び演出操作部12と下皿15との間には、遊技装置100を収容可能な収容スペース17(図25及び図26(A)参照)が形成されており、遊技装置100は、収容スペース17に収容された状態で、前面枠4の前面下部に着脱自在に取り付けられる。遊技装置100とは、遊技の進行状態に応じて使用される演出装置である。」

(5)「【0330】
〔カバーユニットの構造〕
図25に示すように、カバーユニット150は、クリア部材保持枠5の下部に固定されるフレームベース151と、フレームベース151に嵌め込まれるカバー部材152と、を備える。
【0331】
フレームベース151は、上面に形成された開口151aと、前面に形成された開口151bと、を有している。フレームベース151は、カバー部材152の縁部分を縁取るような形状に構成されている。ここで、カバー部材152は前述したように樹脂によって形成された透明部材であって、フレームベース151の裏面側に取り付けられる。このようなフレームベース151にカバー部材152を取り付けることで、カバー部材152の強度を高めることが可能となる。
【0332】
また、フレームベース151の表面には、フレームベース151の装飾性を高めるためにメッキ加工が施されている。このように、フレームベース151は、カバー部材152を支持する支持部材として機能するだけでなく、装飾部材としても機能する。なお、フレームベース151は、メッキ加工されたものに限定されず、装飾性があればよい。
【0333】
前面枠4及びクリア部材保持枠5の両方が閉じられている場合には、図1、図2及び図26(A)に示すように、遊技装置100はフレームベース151及びカバー部材152によって覆われて保護された状態となる。このとき遊技装置100は、開口151a及び開口151bに位置するカバー部材152越しに遊技者から視認可能となる。本発明の第1の実施の形態では、フレームベース151の上面に開口151aを形成しているので、開口151aのカバー部材152を介して、遊技中の遊技者も遊技装置100を容易に視認することができる。
【0334】
なお、クリア部材保持枠5のみが開放された場合には、図24及び図26(B)に示すように、クリア部材保持枠5の回動に伴ってカバーユニット150を構成するフレームベース151及びカバー部材152も回動するので、前面枠4に取り付けられている遊技装置100が露出する。このようにクリア部材保持枠5を開くことによって、遊技装置100にアクセスすることが可能となり、遊技装置100のメンテナンスや取り替え等を容易に行うことができる。
【0335】
また、図24、図26(B)及び図27に示すように、カバーユニット150のフレームベース151は、上部側がクリア部材保持枠5に固定されるように構成されており、下部側がクリア部材保持枠5から垂れ下がるように構成されている。フレームベース151の下部側である垂下部151cは、下皿15の右端部分に対して上方から覆い被さるように構成されている。このように、下皿15の右端部分は、フレームベース151の垂下部151cにより遮蔽されている。前面枠4に取り付けられた下皿15の前面の一部を、クリア部材保持枠5に取り付けられたフレームベース151(カバーユニット150)の垂下部151cで遮蔽するような構成は、従来の遊技機にはない構成であり、遊技者に斬新な印象を与えることができる。
【0336】
〔下皿の球出口〕
図26(A)及び図27に示すように、下皿15の後側壁15cには、上皿11から流下してきた遊技球を下皿15に供給するための球出口15dが形成されている。この球出口15dは、フレームベース151の垂下部151cの後方に位置するように設定される。
【0337】
球出口15dの前方にフレームベース151の垂下部151cがない場合には、流下勢の強い遊技球が球出口15dから下皿15内に流入したときに遊技球が下皿15の前側壁を超えて飛び出し、遊技機1外に落下してしまう虞がある。しかしながら本発明の第1の実施の形態の遊技機1では、球出口15dの前方にフレームベース151の垂下部151cが位置しているので、遊技球が下皿15の前側壁から飛び出しても図27に示す矢印のように遊技球は垂下部151cに衝突して下皿15内に戻る。このため、下皿15から遊技球が落下してしまうことがない。
【0338】
また、下皿15の球抜き穴15aも、フレームベース151の垂下部151cの後方に位置するように配設されている。このように構成することで、球抜き穴15aをフレームベース151の垂下部151cで遮蔽することができ、下皿15の装飾性を損なうことがない。このとき球抜き穴15aの全体が垂下部151cの後方に位置するように配設してもよいし、球抜き穴15aの一部が垂下部151cの後方に位置するように配設してもよい。」

(6)「【図24】


【図25】


・・・略・・・
【図27】




(7)「【0409】
(第1の実施の形態の変形例3)
前述の第1の実施の形態における遊技装置100(回転点灯器110)を収納する収容スペース17は、図25に示すように前面枠4側の前面下部に設けられている。これに対し、変形例3の収容スペース17は、クリア部材保持枠5側に設けられる。
【0410】
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例3について図43及び図44を参照して説明する。
【0411】
図43は、本発明の第1の実施の形態の変形例3の収容スペース17について説明する図であり、(A)はカバーユニット150と下皿15の右側面の概念図、(B)はカバーユニット150と下皿15の上面の概念図、(C)はカバーユニット150、遊技装置100及び上皿ユニット10の分解斜視図である。
【0412】
図43(A)に示すように変形例3の収容スペース17は、クリア部材保持枠5の下部に固定されるフレームベース151を支持枠とするカバーユニット150側に設けられる。したがって、図43(C)に示すように遊技装置100は、クリア部材保持枠5側に設けられる。
【0413】
なお、図43(B)に示すように、変形例3の下皿15は、球出口15dがフレームベース151の垂下部151cの後方に位置する。このため、球出口15d部分の下皿15の前後幅は他よりも狭い。図26(A)及び図27で述べたように、球出口15dの前方に垂下部151cの裏面が位置するように配設すれば、確実に球出口15dから流下する遊技球を下皿15内に留めておくことができる。そこで、フレームベース151の垂下部151cの前後幅を球出口15d部分の下皿15の前後幅よりも優先して確保すればよい。」

(8)「【図43】




(9)【0014】(上記(2))の記載を考慮しつつ、図24(上記(6))の記載をみると、クリア部材保持枠5が、前面枠4に開閉自在に取り付けられていることが看取できる。
また、【0336】(上記(5))の記載を考慮しつつ、図27(上記(6))の記載をみると、下皿15が底部と側壁とを有し、該側壁の一部が後側壁15cであり、底部には側壁と接しない位置に球抜き穴15aが形成され、底部が各側壁の箇所から球抜き穴15aに向かって傾斜していることが看取できる。

(10)上記(1)ないし(9)からみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aないしfについては本願発明のAないしFに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 遊技領域31を有する遊技盤30(【0014】)と、
b 遊技盤30が交換可能に配設されている前面枠4(【0014】)と、
c 前面枠4に開閉自在に取り付けられ、遊技盤30の前面を覆うクリア部材5aを備えたクリア部材保持枠5(【0014】、図24、上記(9))と、
d クリア部材保持枠5の下部であって、前面枠4の下部に設置される上皿ユニット10に形成されている遊技球を貯留可能な上皿11(【0022】、【0023】)と、
e 上皿ユニット10よりも下方の前面枠4に設けられ、底部と側壁とを有し、該側壁の後側壁15cに上皿11から流下してきた遊技球が供給されるための球出口15dが形成されている、遊技球を貯留可能な下皿15(【0032】、【0336】、図27、上記(9))と、を備え、
e1-e3、e6 上皿ユニット10の上皿11と下皿15との間に、遊技装置100を収容可能な収容スペース17が形成されていて、遊技装置100が収容スペース17に収容された状態で前面枠4の前面下部又はクリア部材保持枠5に取り付けられるものであって、遊技装置100が遊技の進行状態に応じて使用される演出装置よりなるものであり(【0036】、【0412】)、
クリア部材保持枠5の下部に取り付けられるカバーユニット150(【0022】)が、クリア部材保持枠5の下部に固定されるフレームベース151と、フレームベース151に嵌め込まれるカバー部材152とを備え(【0330】)、
カバーユニット150のフレームベース151の下部側である垂下部151cが、下皿15の右端部分に対して上方から覆い被さるように構成されていて、下皿15の右端部分がフレームベース151の垂下部151cにより遮蔽され(【0335】)、
下皿15の球抜き穴15aが、フレームベース151の垂下部151cの後方に位置するように配設され、このように構成することで、球抜き穴15aはフレームベース151の垂下部151cで遮蔽され(【0338】)、
e4、e5 下皿15の底部には、側壁と接しない位置に球抜き穴15aが形成され、底部が各側壁の箇所から球抜き穴15aに向かって傾斜している(【0336】、図27、上記(9))、
f 遊技機1(【0013】)。」(以下「引用発明」という。)

2 周知例及び周知技術
(1)周知例1
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された特開2010-35811号公報(平成22年2月18日公開)(以下「周知例1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【0010】
<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0011】
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。外枠11は木製の板材などを四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
【0012】
遊技機本体12は、遊技機ベースユニット13と、その遊技機ベースユニット13の前方に配置される遊技機前面ユニット14と、遊技機ベースユニット13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち遊技機ベースユニット13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として遊技機ベースユニット13が前方へ回動可能(開閉可能)とされている。
【0013】
遊技機ベースユニット13には、図2に示すように、遊技機前面ユニット14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能(開閉可能)とされている。また、遊技機ベースユニット13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能(開閉可能)とされている。」

イ 「【0015】
<パチンコ機10の前面側の構成について>
次に、パチンコ機10の前面側の構成について説明する。
【0016】
遊技機ベースユニット13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の中央部には略楕円形状の窓孔22が形成されている。樹脂ベース21には遊技盤23が着脱可能に取り付けられている。遊技盤23は合板よりなり、遊技盤23の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース21の窓孔22を通じて遊技機ベースユニット13の前面側に露出した状態となっている。
・・・略・・・
【0024】
遊技機前面ユニット14の構成について以下に説明する。かかる遊技機前面ユニット14の説明に際しては図1及び図2を参照するとともに、図5を適宜参照する。図5は、図1のA?A線部分の断面図である。なお、図5において、遊技機ベースユニット13及び遊技盤23の背面側の構成は、説明の便宜上、省略する。
【0025】
遊技機前面ユニット14は、図5に示すように、その基礎となるベース部材として、ベース枠51を備えており、当該ベース枠51に対して各種部材が取り付けられて構成されている。ベース枠51は、ABS樹脂などの合成樹脂製であり、図2に示すように、外形が遊技機ベースユニット13の外形とほぼ同一形状をなしている。なお、遊技機前面ユニット14において当該ベース枠51が遊技機ベースユニット13に回動可能に支持されている。
・・・略・・・
【0034】
ベース枠51において窓部52の下方には、上皿ユニット71及び下皿ユニット72が上下に並設されている。これら上皿ユニット71及び下皿ユニット72はベース枠51の前面下部を覆うようにしてパチンコ機10前方から取り付けられており、ベース枠51の背面側からネジ固定されている。この場合、当該固定は、所定の工具を用いることなく着脱自在となるように行われている。」

ウ 「【図2】




(2)周知例2
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の出願前に頒布された特開2009-28390号公報(平成21年2月12日公開)(以下「周知例2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の斜視図、図2はパチンコ機10を構成する外枠11の斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図5はパチンコ機10の背面図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0067】
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部21とを有する。
・・・略・・・
【0071】
遊技機主部21は、遊技機ベースユニット(本体枠又は内枠)22と、その遊技機ベースユニット22の前方に配置される遊技機前面ユニット(前面扉又は前枠)23と、遊技機ベースユニット22の後方に配置される裏パックユニット24とを備えている。遊技機主部21のうち遊技機ベースユニット22が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として遊技機ベースユニット22が前方へ回動可能(開閉可能)とされている。
・・・略・・・
【0077】
遊技機ベースユニット22には、図3に示すように、遊技機前面ユニット23が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として前方へ回動可能(開閉可能)とされている。また、遊技機ベースユニット22には、図4に示すように、裏パックユニット24が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として後方へ回動可能(開閉可能)とされている。」

イ 「【0119】
<遊技機前面ユニット23>
次に、遊技機前面ユニット23の構成について説明する。図11は遊技機前面ユニット23の正面図、図12は遊技機前面ユニット23の一部の構成を分解して示す分解斜視図、図13は遊技機前面ユニット23の背面図である。
【0120】
遊技機前面ユニット23は、図12に示すように、その基礎となるベース部材としてのベース枠151を備えており、当該ベース枠151に対して各種部材が取り付けられて構成されている。このうち、ベース枠151の前面に対しては複数の前面カバー171?173,213及び各ユニット181,182が取り付けられており、これら前面カバー171?173,213及び各ユニット181,182によりベース枠151の前面全体が覆われている。当該構成について以下に詳細に説明する。
・・・略・・・
【0134】
ベース枠151において窓部161の下方には、上皿ユニット181及び下皿ユニット182が設けられている。これら上皿ユニット181及び下皿ユニット182はベース枠151の前面下部を覆うようにしてパチンコ機10前方から取り付けられており、当該ベース枠151に対してネジ固定されている。これらのネジ固定は、可逆的螺着部材としての複数又は多数のネジ183,184により、ベース枠151の背面側から行われている。つまり、上皿ユニット181及び下皿ユニット182はベース枠151に対して着脱自在に取り付けられている。」

ウ 「【図3】




(3)上記(1)及び(2)からみて、次の事項が周知といえる。
「遊技盤が装着される本体枠に対して回動開閉する扉枠に、上皿及び下皿を設けた遊技機。」(以下「周知技術」という。)

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。

1 特定事項Aについて
引用発明の「遊技領域31を有する遊技盤30」は、本願発明の「所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤」に相当するから、引用発明のaは、本願発明の特定事項Aに相当する。

2 特定事項Bについて
引用発明の「遊技盤30が交換可能に配設されている前面枠4」は、本願発明の「前記遊技盤が装着される本体枠」に相当するから、引用発明のbは、本願発明の特定事項Bに相当する。

3 特定事項Cについて
引用発明の「前面枠4に開閉自在に取り付けられ、遊技盤30の前面を覆うクリア部材5aを備えたクリア部材保持枠5」は、本願発明の「前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠」に相当するから、引用発明のcは、本願発明の特定事項Cに相当する。

4 特定事項Dについて
引用発明の「遊技球」及び「上皿」は、それぞれ本願発明の「遊技媒体」及び「上皿本体」に相当する。
そして、引用発明のdは、クリア部材保持枠5(扉枠)の下部であって、前面枠4(本体枠)の下部に設置される上皿ユニット10に形成されている遊技球(遊技媒体)を貯留可能な上皿11(上皿本体)を備えるというものである。
そうすると、引用発明のdと、本願発明の特定事項Dとは、「前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿本体」で一致する。

5 特定事項Eについて
引用発明の「底部」、「側壁」、「上皿11から流下してきた遊技球が供給されるための球出口15d」及び「下皿15」は、それぞれ本願発明の「底壁部」、「立壁部」、「所定の供給口」及び「下皿本体」に相当する。
そして、引用発明のeにおいて、「下皿15」(下皿本体)は、底部(底壁部)と側壁(立壁部)とを有し、遊技球(遊技媒体)を貯留可能であり、上皿11から流下してきた遊技球が供給されるための球出口15dが形成されているから、引用発明のeと、本願発明の特定事項Eとは、「底壁部と立壁部とで貯留領域を形成し、所定の供給口から遊技媒体が前記貯留領域へ流入可能に」「設けられる下皿本体」で一致する。

6 特定事項E1ないしE3、E6について
引用発明のe1-e3、e6において、下皿15(下皿本体)の右端部分がフレームベース151の垂下部151cにより遮蔽されているから、下皿15(下皿本体)の右端部分、すなわち左端部分の反対側端における底部と側壁は遊技機前方に臨まないものといえる。そうすると、引用発明の「『下皿15の右端部分』の『底部』」、「『下皿15の右端部分』の『側壁』」及び「下皿15の右端部分」は、それぞれ本願発明の「端部底壁部」、「端部立壁部」及び「第2下皿部」に相当する。
また、引用発明において、下皿15(下皿本体)の右端部分以外の部分は、フレームベース151の垂下部151cにより遮蔽されていないから、クリア部材保持枠5(扉枠)前方に臨んで、遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成されているといえる。そうすると、引用発明の「『下皿15の右端部分』以外の部分」は、本願発明の「第1下皿部」に相当する。
してみると、引用発明のe1-e3、e6と、本願発明の特定事項E2とは、「前記第1下皿部は、」「前記扉枠前方に臨んで、」「遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成され、」で一致し、引用発明のe1-e3、e6と、本願発明の特定事項E3とは、「前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側端の端部底壁部および端部立壁部は、」「遊技機前方に臨まないように構成され、」で一致する。
以上のとおり、引用発明のe1-e3、e6において、下皿15(下皿本体)が下皿15の右端部分(第2下皿部)と該右端部分以外の部分(第1下皿部)とで一体的に設けられていることが明らかであるから、引用発明のe1-e3、e6は、本願発明の「E1 前記下皿本体は、第1下皿部と前記第1下皿部と一体的に設けられる第2下皿部とを有し、」との特定事項を備えるといえる。

7 特定事項E4について
引用発明の「球抜き穴15a」は、本願発明の「下皿球抜き孔」に相当する。
引用発明のe4、e5は、下皿15(下皿本体)の底部(底壁部)には、側壁(立壁部)と接しない位置に球抜き穴15a(下皿球抜き孔)が形成されるのであるから、本願発明の特定事項E4に相当する構成を備える。

8 特定事項E5について
引用発明e4、e5は、下皿15の底部が各側壁の箇所から球抜き穴15a(下皿球抜き孔)に向かって傾斜しているから、下皿15の右端部分の底部(端部底壁部)についても、球抜き穴15a(下皿球抜き孔)に向かって下り傾斜する傾斜底面となっていることは明らかである。
そうすると、引用発明のe4、e5は、本願発明の「E5 前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側の前記端部底壁部には、前記下皿球抜き孔方向へ下り傾斜する傾斜底面が形成され、」との特定事項を備える。

9 特定事項E6について
上記6で示したように、引用発明のe1-e3、e6において、下皿15の右端部分の側壁(端部立壁部)は、フレームベース151の垂下部151cにより遮蔽されているから、遊技機前方に臨まないものである。
本願発明の特定事項E6の「露出」が、その文言のどおり、「あらわに、むき出しになること。むき出しにすること。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」であると解されることからみて、引用発明の下皿15の右端部分の側壁(端部立壁部)は、下皿15の遊技球が貯留される内面側及び該内面側の反対側の面である外面側のうち、いずれの面も、遊技機外部に露出しないように構成されているといえる。
してみると、引用発明のe1-e3、e6と、本願発明の特定事項E6とは、「前記端部立壁部の前記貯留領域側と反対側の面は」「遊技機外部に露出しないように構成されている」で一致する。

10 特定事項Fについて
引用発明の「遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当するから、引用発明のfは、本願発明の特定事項Fに相当する。

11 上記1ないし10からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
B 前記遊技盤が装着される本体枠と、
C 前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
D’前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿本体と、
E’底壁部と立壁部とで貯留領域を形成し、所定の供給口から遊技媒体が前記貯留領域へ流入可能に設けられる下皿本体と、
を備え、
E1 前記下皿本体は、第1下皿部と前記第1下皿部と一体的に設けられる第2下皿部とを有し、
E2’前記第1下皿部は、前記扉枠前方に臨んで、遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成され、
E3’前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側端の端部底壁部および端部立壁部は、遊技機前方に臨まないように構成され、
E4 前記底壁部のうちの前記立壁部と接しない位置に、前記下皿本体から遊技球を下方へ排出させる下皿球抜き孔が形成され、
E5 前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側の前記端部底壁部には、前記下皿球抜き孔方向へ下り傾斜する傾斜底面が形成され、
E6’前記端部立壁部の前記貯留領域側と反対側の面は遊技機外部に露出しないように構成されている
F 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項D、E)
「上皿本体」及び「下皿本体」が、
本願発明では、「前記扉枠に設けられ」ているのに対し、
引用発明では、クリア部材保持枠5(扉枠)でなく、前面枠4(本体枠)に設けられている点。

・相違点2(特定事項E2、E3、E6)
「遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成され」た「第1下皿部」、及び、「端部底壁部および端部立壁部」が「遊技機前方に臨まないように構成され」た「第2下皿部」に関して、
本願発明では、「前記第1下皿部は、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記扉枠前方に臨んで、少なくとも前記扉枠が閉じられた状態では遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成され」、「前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側端の端部底壁部および端部立壁部は、前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機前方に臨まないように構成され」、「前記端部立壁部の前記貯留領域側と反対側の面は前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機外部に露出しないように構成されている」のに対し、
引用発明では、クリア部材保持枠5(扉枠)が閉じられた状態では、下皿15の右端部分を除いた左部分(第1下皿部)は、クリア部材保持枠5(扉枠)前方に臨んで、遊技者が遊技機1の前方から視認容易な領域が形成され、右端部分(第2下皿部)における左部分(第1下皿部)と反対側端の底壁部(端部底壁部)および立壁部(端部立壁部)は、遊技機1の前方に臨まないように構成され、前記立壁部の貯留領域側と反対側の面は遊技機1の外部に露出しないように構成されているものの、本願発明のように「前記第1下皿部は、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記扉枠前方に臨んで、少なくとも前記扉枠が閉じられた状態では遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成され」、「前記第2下皿部における前記第1下皿部と反対側端の端部底壁部および端部立壁部は、前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機前方に臨まないように構成され」、「前記端部立壁部の前記貯留領域側と反対側の面は前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機外部に露出しないように構成されている」という特定がない点。

第6 判断
1 相違点1及び2について
上記相違点1及び2は関連するため、まとめて検討する。
(1)周知技術(上記第4の2(3))を再掲すると、「遊技盤が装着される本体枠に対して回動開閉する扉枠に、上皿及び下皿を設けた遊技機。」というものである。周知技術の「本体枠」、「扉枠」、「上皿」及び「下皿」は、それぞれ本願発明の「本体枠」、「扉枠」、「上皿本体」及び「下皿本体」に相当する。

(2)引用発明と周知技術とは、遊技盤を設けた本体枠、扉枠、上皿及び下皿を設けた遊技機という技術分野で共通するから、引用発明及び周知技術に接した当業者であれば、周知技術を引用発明に適宜適用し得るものである。
そして、引用発明は、上皿11(上皿本体)及び下皿15(下皿本体)ではないが、遊技装置100が前面枠4(本体枠)に取り付けられている態様に換えて、クリア部材保持枠5(扉枠)に取り付けられる態様としてもよいものであるから、遊技機の前面側を構成する部材の取付対象を前面枠4(本体枠)とするか、それともクリア部材保持枠5(扉枠)とするか、当業者が必要に応じ適宜選択できる。
そうすると、周知技術も併せて考慮すれば、引用発明において、上皿11(上皿本体)及び下皿15(下皿本体)を、クリア部材保持枠5(扉枠)に設けるものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。
そして、このように、上皿11(上皿本体)及び下皿15(下皿本体)をクリア部材保持枠5(扉枠)に設ける構成とした場合、引用発明は、クリア部材保持枠5(扉枠)に、下皿15(下皿本体)を覆う部分となるカバーユニット150におけるフレームベース151の垂下部151cが形成されているものであるから、垂下部151cに覆われる下皿15(下皿本体)の右端部分(第2下皿部)の底部(端部底壁部)及び側壁(端部立壁部)は、クリア部材保持枠5(扉枠)の開閉にかかわらず、遊技機前方に臨まないように構成され、下皿15の右端部分(第2下皿部)の側壁(端部立壁部)のうち、遊技球が貯留される内面側の反対側の面である外面側(貯留領域側と反対側の面)は、クリア部材保持枠5(扉枠)の開閉状態にかかわらず遊技機外部に露出しないものとなり、下皿15の右端部分以外の部分(第1下皿部)は、クリア部材保持枠5(扉枠)が開いた状態でも、クリア部材保持枠5(扉枠)前方に臨んで、少なくともクリア部材保持枠5(扉枠)が閉じられた状態では遊技者が遊技機前方から視認容易な領域が形成されるものとなる。

(3)したがって、引用発明において、上記相違点1及び2に係る本願発明の特定事項のようになすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

2 本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

3 小括
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書の「4.本願発明が特許されるべき理由」において、概ね以下のとおり主張している。
「すなわち、引用文献1は、「下皿の一部を遮蔽する」にあたり、「前面枠4に取り付けられた下皿15の前面の一部を、クリア部材保持枠5に取り付けられたフレームベース151(カバーユニット150)の垂下部151cで遮蔽するような構成」としているのであり、下皿を本体枠に設けることは周知であることから引用文献1の下皿15の構成に対して違和感もないので、「上皿及び下皿を遊技板が装着される本体枠に対して回動開閉する扉枠に設けた遊技機」が周知であるとしても、その周知技術が「下皿の一部を遮蔽する」思想を有していない以上、引用文献1の下皿15をクリア部材保持枠5に取り付けて下皿15の一部をクリア部材保持枠5(垂下部151c)で遮蔽するような構成に改変する動機付けにはならないものと思料いたします。
・・・略・・・
しかしながら、引用文献1の段落[0333]の記載によれば、前面枠4及びクリア部材保持枠5の両方が閉じられている場合に、遊技装置100がフレームベース151及びカバー部材152によって覆われて保護された状態となることが記載されているものの、「下皿15における右方向端部の立壁部の貯留領域側と反対側の面」がフレームベース151及びカバー部材152によって覆われることは記載も示唆もされておりません。
そして、図46をみても、「下皿15における右方向端部の立壁部の貯留領域側と反対側の面」がフレームベース151及びカバー部材152によって覆われているか否か定かではありません。
むしろ図43を参酌すると「下皿15における右方向端部の立壁部」はカバーユニット150の垂下部151cの右方向端部とほぼ同じ位置にあるものと看取できます。
すなわち、引用文献1の「下皿15における右方向端部の立壁部の貯留領域側と反対側の面」はクリア部材保持枠5の開閉状態にかかわらず遊技機外部に露出するように構成されているものと理解するのが合理的であると思料いたします。
・・・略・・・
したがって、相違点3に係る本願の特定事項である「前記端部立壁部の前記貯留領域側と反対側の面は前記扉枠の開閉状態にかかわらず遊技機外部に露出しないように構成されている」ことを引用文献1には記載も示唆もされていないものと思料いたします。」

(2)上記主張について検討する。
ア 上記1(2)で示したとおり、当業者であれば「上皿及び下皿を遊技板が装着される本体枠に対して回動開閉する扉枠に設けた遊技機」という周知技術を引用発明に適宜適用することができるものである。

イ 上記第5の9で示したように、「露出」が「あらわに、むき出しになること。むき出しにすること。」であると解されることからみて、引用発明の下皿15の右端部分の側壁(端部立壁部)は、下皿15の遊技球が貯留される内面側及び該内面側の反対側の面である外面側のうち、いずれの面も、遊技機外部に露出しない、すなわち、むき出しになっていないように構成されているといえる。

ウ 以上のとおり、請求人の上記主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-01-19 
結審通知日 2021-01-20 
審決日 2021-02-02 
出願番号 特願2015-167559(P2015-167559)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大隈 俊哉上田 正樹  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 ▲高▼木 尚哉
鉄 豊郎
発明の名称 遊技機  

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