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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09J
審判 全部申し立て 特174条1項  C09J
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
管理番号 1372677
異議申立番号 異議2019-700988  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-04 
確定日 2021-02-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6525085号発明「接着剤層付き積層体、並びに、これを用いたフレキシブル銅張積層板及びフレキシブルフラットケーブル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6525085号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?14〕について訂正することを認める。 特許第6525085号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6525085号の請求項1?14に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)7月21日(優先権主張 平成26年7月31日、日本国)を国際出願日とする特願2016-538280号の一部を、平成30年4月27日に新たな特許出願としたものであって、令和元年5月17日にその特許権の設定登録がされ、同年6月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年12月4日に特許異議申立人戸塚清貴(以下、「申立人」という。)は特許異議の申立てを行い、当審は、令和2年2月17日付けで取消理由を通知した。この取消理由通知に対して、特許権者は、同年4月21日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。その訂正の請求に対して、申立人は同年6月17日に意見書を提出した。当審は、同年7月7日付けで訂正拒絶理由を通知し、特許権者は、同年8月12日に意見書を提出した。当審は、同年9月1日付けで取消理由(決定の予告)を通知した。この取消理由通知に対して、特許権者は、同年11月4日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。その訂正の請求に対して、申立人は令和3年1月7日に意見書を提出した。

第2 訂正の可否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1及び2のとおりである。
なお、訂正前の請求項1?14は、請求項2?14が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1?14について請求されている。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記接着剤層の厚さは、25?100μmであり、」を追加するととともに、「6mmφのパンチ穴を開けた前記接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.01mm以上0.30mm以下である」(「発明特定事項A」)と記載されているのを、「6mmφのパンチ穴を開けた前記接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下である」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?14も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10に、「上記接着剤層の厚さが、5?100μmである」と記載されているのを、「上記接着剤層の厚さが、25?50μmである」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び新規事項導入の存否について
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1は、訂正前発明において「接着剤層付き積層体」の「接着剤層の厚さ」が特定されていなかったものを、訂正後発明では、「25?100μm」と特定し、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さ」について、訂正前の「0.01mm以上0.3mm以下」という範囲を狭めて、「0.05mm以上0.25mm以下」とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。

一方、訂正前の本件明細書の【0048】には、「Bステージ状の接着剤層の厚さは、5?100μmであることが好ましく、10?70μmであることがより好ましく、10?50μmであることが更に好ましい。」と記載されていることから、同明細書には、上記「接着剤層の厚さ」の好ましい上限は100μmであることが記載されていると認められる。
また、同明細書の【0057】には、「Bステージ状の接着剤層」の「(2)反り性」の評価が接着剤層が厚さ25μmのものについて行われていることが記載されていると認められる。
そうすると、同明細書には、「接着剤層付き積層体」の「接着剤層の厚さ」を、25?100μmとすることが記載されているということができる。
また、同明細書の【0068】の【表1】には、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さ」について、0.05mmのもの(実施例2の「積層体A」等)、及び、0.25mmのもの(実施例1の「積層体B」等)が記載されている。
そうすると、同明細書には、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さ」を、0.05mm以上0.25mm以下とすることも記載されているということができる。

したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2?14についても同様である。

(2)訂正事項2について
訂正前の本件明細書の【0048】に、「Bステージ状の接着剤層の厚さは、5?100μmであることが好ましく、10?70μmであることがより好ましく、10?50μmであることが更に好ましい。」と記載されていることから、同明細書には、上記「接着剤層の厚さ」の更に好ましい上限は50μmであることが記載されていると認められる。
また、上記(1)で述べたように、同明細書において、「(2)反り性」の評価が接着剤層が厚さ25μmのものについて行われていることが記載されていると認められる。
そうすると、同明細書には、上記「接着剤層の厚さ」として、25?50μmのものについて記載されているといえる。
そして、訂正事項2は、上記「接着剤層の厚さ」について、「5?100μm」から「25?50μm」と、その範囲を狭めるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。訂正後の請求項10を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項11?14についても同様である。

3 むすび
以上のとおり、訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?14〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2で述べたとおり、令和2年11月4日付けの訂正請求は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1?14に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に応じて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)。
「【請求項1】
基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤層とを備える接着剤層付き積層体であって、
前記接着剤層は、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤とを含有する接着剤組成物からなるものであり、前記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の含有量が、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であり、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)100質量部に対して1?20質量部であり、
前記接着剤層はBステージ状であり、
前記接着剤層の厚さは、25?100μmであり、
6mmφのパンチ穴を開けた前記接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下であることを特徴とする
接着剤層付き積層体。
【請求項2】
上記接着剤層が、上記接着剤組成物及び溶媒を含有する樹脂ワニスを、上記基材フィルムの表面に塗布して樹脂ワニス層を形成した後、該樹脂ワニス層から前記溶媒を除去することにより形成されたものである請求項1に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項3】
正方形状の接着剤層付き積層体を、接着剤層を上にして水平面上に載置したときに、前記積層体の端部の浮き上がり高さ(H)と、前記積層体の一辺の長さ(L)との比(H/L)が、0.05未満である請求項1又は2に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項4】
上記基材フィルムが、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコーン離型処理紙、ポリオレフィン樹脂コート紙、TPXフィルム、及びフッ素系樹脂フィルムよりなる群から選択される少なくとも1種のフィルムである請求項1?3のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項5】
上記基材フィルムの厚さが、5?100μmである請求項1?4のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項6】
上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の酸価が、0.1?25mgKOH/gである請求項1?5のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項7】
上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)が、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のスチレン系エラストマーを、不飽和カルボン酸で変性したものである請求項1?6のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項8】
上記エポキシ樹脂(B)が、グリシジルアミノ基を有しないエポキシ樹脂である請求項1?7のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項9】
上記エポキシ樹脂(B)が、脂環骨格を有する多官能エポキシ樹脂である請求項1?8のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項10】
上記接着剤層の厚さが、25?50μmである請求項1?9のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項11】
上記接着剤層の厚さが、基材フィルムの厚さと同じである、又は基材フィルムの厚さより厚い請求項1?10のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項12】
上記接着剤層を硬化させた後、周波数1GHzで測定した接着剤層付き積層体の誘電率が3.0未満であり、かつ、該誘電正接が0.01未満である請求項1?11のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項13】
請求項1?12のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体の接着剤層に、銅箔を貼り合せてなることを特徴とするフレキシブル銅張積層板。
【請求項14】
請求項1?12のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体の接着剤層に、銅配線を貼り合せてなることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。」

第4 取消理由(決定の予告)の概要
訂正前の請求項1?14に係る特許に対して、特許権者に通知した取消理由は、次の理由1、2のとおりである。
1 理由1(新規事項)
平成30年5月24日付け手続補正書で補正された、請求項1の「6mmφのパンチ穴を開けた前記接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.01mm以上0.30mm以下であ」るという発明特定事項(以下、「訂正前の発明特定事項A」という。)は、出願当初の明細書又は特許請求の範囲(以下、「当初明細書等」ともいう。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 理由2(実施可能要件)
「接着剤の最大流出長さ」は接着剤層の厚さによって変化することは明らかであり、接着剤層が薄くなれば、「接着剤の最大流出長さ」は小さくなり、接着剤層が厚くなれば、「接着剤の最大流出長さ」は長くなることから、接着剤層の厚さがどのようなものであっても、「接着剤の最大流出長さが0.01mm以上0.30mm以下であ」るようにすることは、本件の明細書には記載されておらず、当業者にとって明らかなことともいえないことから、厚さが特定されない接着剤層について、「接着剤の最大流出長さが0.01mm以上0.30mm以下であ」るようにすることは、当業者にとって困難であるか、仮に、可能だとしても、接着剤層の成分やその含有量、架橋の程度等を当業者に期待しうる程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を行って定める必要があるといえる。
したがって、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

第5 取消理由(決定の予告)に対する当審の判断
1 理由1(新規事項)について
当初明細書等の発明の詳細な説明には、実施例1?8の接着剤について、【0068】【表1】の「評価結果」の欄には、「積層体Aの樹脂流れ出し性(mm)」が、実施例1?8について、それぞれ、0.20、0.05、0.05、0.15、0.15、0.20、0.10、0.10であり、「積層体Bの樹脂流れ出し性(mm)」が、実施例1?8について、それぞれ、0.25、0.15、0.2、0.2、0.2、0.25、0.15、0.15であることが記載され、【0060】には、「(5)樹脂流れ出し性」について、「流出長さが小さいものが良好で、大きいものほど樹脂流れ出し性が劣ると判断した。」という記載がある。
そうする、上記「補正前の発明特定事項A」のうち、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さ」について、「0.01mm以上0.05mm未満、0.25を超えて0.30mm以下である」ものは記載されていないとしても、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下である」ものは記載されているといえる。
そして、上記「補正前の発明特定事項A」は、本件訂正により、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さ」について、「0.01mm以上0.05mm未満、0.25を超えて0.30mm以下である」ものは除かれ、「0.05mm以上0.25mm以下である」ものに限定されたことにより、上記理由1は理由がないものとなった。

2 理由2(実施可能要件)について
本件訂正によって、接着剤層の厚さは、25?100μmであることが特定された。
そして、本件明細書において、接着剤層の厚さが25μmのものである実施例2、3について、接着剤の最大流出長さが0.05mmであることが示されており、令和2年4月21日付け意見書に添付された実験成績証明書において、接着剤層の厚さが、それぞれ50及び100μmのものである追加実験例1、2について、接着剤の最大流出長さが0.25mmであることが示されている。
そうすると、「接着剤の最大流出長さ」は接着剤層の厚さによって変化するとしても、これらの実施例や追加実験例を手がかりとして、接着剤層の厚さが、25?100μmであることが規定された本件発明1について、「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下である」ようにすることは、当業者にとって困難であるともいえないし、そのようなことが当業者に期待しうる程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を行って定める必要があるともいえない。
したがって、本件特許は、本件発明1?14について、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1?14を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえ、上記理由2は理由がない。

第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 上記第4で述べた取消理由の理由1は、特許異議申立て理由の「イ.新規事項、分割要件違反」に関する申立理由に相当するものであり、同理由2は、「エ.実施可能要件違反・サポート要件違反」のうち「実施可能要件違反」に関する申立て理由に相当するものであるから、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立て理由は、次の(1)?(3)の理由3?5である。
なお、特許異議申立て理由の「イ.新規事項、分割要件違反」において主張された、「分割要件違反」及び「新規性進歩性の欠如」についての申立て理由は、「新規事項違反」を前提とするものであり、上記第5(1)で述べたように、本件について「新規事項違反」があるとはいえないことから上記主張は前提を欠くものとなり、上記「分割要件違反」についての申立て理由は理由がない。また、以下の特許異議申立て理由における「本件発明」とは、本件訂正前のものである。
(1)理由3(ウ.新規性進歩性欠如)
本件発明1?14は、甲第3号証(特開2002-88332号公報、以下、「甲3」という。)に記載された発明であるか、甲3に記載された発明から容易になし得た発明であるから、本件特許は、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項に違反して特許されたものである。
(2)理由4(エ.実施可能要件・サポート要件違反)
本件発明1は、「6mmφのパンチ穴を開けた前記接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.01mm以上0.30mm以下である」という達成すべき結果によって物を特定しようとする記載を含んでいるところ、本件明細書に実施例として具体的に記載された接着剤組成のものを、本件発明1の範囲にまで拡張ないし一般化できるとはいえない。
(3)理由5(オ.明確性要件違反)
積層体からの接着剤の流出は、離型フィルムのクッション性や追従性によって変化するものであり、離型フィルムのクッション性や追従性は、離型フィルムに用いられる樹脂の種類やその含有量、及び厚みによって変化するものであるところ、本件発明1では、用いる離型フィルムについて特定されておらず、用いる離型フィルムの種類によっては接着剤の最大流出長さが異なることになることから、本件発明1は不明確である。また、本件発明1を引用する本件発明2?14についても同様である。したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に違反して特許されたものである。

2 特許異議申し立て理由についての当審の判断
(1)理由3(ウ.新規性進歩性欠如)について
ア 甲3の記載
甲3には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤組成物および接着シートに関する。本発明の接着剤組成物および接着シートは、電子部品等の固定用途、特にICパッケージ等の電子部品内で使用される金属の補強材とポリイミドフィルム等の耐熱フィルムの接着に有利に利用することができる。」
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の電子部品固定用の接着剤組成物及び接着シートが有していた前記のごとき問題点を解決して、低圧・短時間の接着処理にて強固な接着強度を発現し、ハンダリフロー時の200℃以上の高温においてもリフロークラックのない高耐熱性を有し、しかも糊はみ出しが生じない前記接着剤組成物及び接着シートを提供することを目的とする。さらには、常温保存可能で貯蔵安定性が良好な接着剤組成物及び接着シートを提供することを目的とする。」
「【0029】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて、より具体的に説明する。なお、表中の各成分の数値は重量部を意味する。
【0030】実施例1?3、比較例1?2
マレイン酸変性ブロック共重合体(旭化成工業(株)製、商品名タフテックM1943)、グリシジルアミノ基含有エポキシ化合物(三菱ガス化学(株)製、商品名TETRAD-C)およびエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828または1004)をそれぞれ表1の組成比となるように配合し、濃度20重量%となるようにトルエン溶媒に溶解し、接着剤組成物溶液を作成した。ただし、実施例3では、4,4′-ジアミノジフェニルスルホン、比較例2ではシリカを各々表1の組成比となるように混合した。
【0031】上記接着剤組成物溶液を、剥離ライナーとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、150℃で3分乾燥させることにより、厚さ50μmの熱硬化型接着剤の層を形成して、熱硬化型接着シートとした。
【0032】上記の実施例1?3及び比較例1?2で得られた熱硬化型接着シートについて、以下の方法により、接着強度、糊はみ出し、ハンダ耐熱性に関する試験を行つた。また、貯蔵安定性の促進試験として、各接着シートを50℃、120℃に168時間放置したサンプルについて接着強度の試験を行った。これらの結果を表1に示す。
【0033】<90°ピール接着強度>幅10mm、長さ50mmの接着シートを、厚さが75μmのポリイミドフィルムに接着し、これをSUS(BA304)に接着した。このサンプルを200℃×10kg/cm2 ×10秒のプレス条件で圧着し、150℃×2時間熱風オーブン中で加熱処理により硬化させた後、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気条件で30分放置後、23℃の雰囲気条件で、引張り速度50mm/分で90°方向に引張り、その中心値を90°ピール接着強度(N/cm)とした。
【0034】<糊はみ出し>10cm角にカットした接着シート中央に直径2cmの穴をあけ、温度200℃、圧力0.98MPa、プレス時間10秒のプレス条件にて圧着した後、穴中にはみ出した糊の長さの最大値を測定した。
【0035】<ハンダ耐熱性>接着テープにより、SUS(BA304)とポリイミドフイルム(75μm)とを、両者間に気泡が入らないように貼り合わせた。これを30mm角に切断したサンプルを、200℃×0.98MPa×10秒のプレス条件で圧着し、150℃×2時間の加熱処理により硬化させた後、35℃/80%RHの加湿条件に168時間放置した後、SUS(BA304)を上にして、260℃に溶融したハンダ浴浮かせた状態で60秒間処理した。処理後のシート貼り合わせ状態を目視で観察し、接着剤の発泡と、接着異常(浮き、しわ、剥がれ、ずれ)の有無を判別した。○:変化・異常なし、×:変化・異常あり、と評価した。
【0036】
【表1】

注1:タフテックM1943(旭化成工業(株)製)、
注2:TETRAD-C(三菱ガス化学(株)製)、
注3:エピコート828(油化シェル(株)製)、
注4:エピコート1004(油化シェル(株)製)、
注5:アドマファインS0-E5(アドマッテクス(株)製)を示す。」

イ 甲3に記載された発明(甲3発明)
上記アの【0031】から、甲3には、「接着剤組成物溶液を、剥離ライナーとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、150℃で3分乾燥させることにより、厚さ50μmの熱硬化型接着剤の層」が「形成」された「熱硬化型接着シート」が記載されているといえる。
そして、上記「接着剤組成物溶液」は、【0036】の【表1】の実施例1においては、カルボン酸変性ブロック共重合体(a)(タフテックM1943(旭化成工業(株)製))100部、エポキシ化合物(b)(TETRAD-C(三菱ガス化学(株)製))0.2部、エポキシ樹脂(c)(エピコート828(油化シェル(株)製))5部からなるものである。
また、【0034】と【0036】の【表1】には、上記実施例1に係る厚さ50μmの熱硬化型接着剤の層は、10cm角にカットした接着シート中央に直径2cmの穴をあけ、温度200℃、圧力0.98MPa、プレス時間10秒のプレス条件にて圧着した後、穴中にはみ出した糊の長さが0.1mm未満(「糊はみ出し(mm)<0.1」)であることが記載されている。
そうすると、甲3には、上記実施例1に関して、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「カルボン酸変性ブロック共重合体(a)(タフテックM1943(旭化成工業(株)製))100部、エポキシ化合物(b)(TETRAD-C(三菱ガス化学(株)製))0.2部、エポキシ樹脂(c)(エピコート828(油化シェル(株)製))5部からなる接着剤組成物溶液を、剥離ライナーとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、150℃で3分乾燥させることにより、厚さ50μmの熱硬化型接着剤の層が形成された熱硬化型接着シートであって、
上記熱硬化型接着剤の層は、10cm角にカットした接着シート中央に直径2cmの穴をあけ、温度200℃、圧力0.98MPa、プレス時間10秒のプレス条件にて圧着した後、穴中にはみ出した糊の長さが0.1mm未満である、
熱硬化型接着シート」

ウ 対比・判断
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「離型処理フイルム」、「接着剤組成物溶液」、「厚さ50μmの熱硬化型接着剤の層」及び「熱硬化型接着シート」は、本件発明1の「基材フィルム」、「接着剤組成物」、「基材フィルムの少なくとも一方の表面」の「接着剤層」及び「接着剤層付き積層体」にそれぞれ相当する。また、甲3発明の「厚さ50μmの熱硬化型接着剤の層」は、熱硬化前のものであるから、本件発明1の「Bステージ状であ」るものに相当し、その厚みは、本件発明1の「接着剤層の厚さは、25?100μm」の範囲に含まれる。
そして、甲3発明の「エポキシ化合物(b)(TETRAD-C(三菱ガス化学(株)製))」は、本件明細書の【0064】に「エポキシ樹脂(B)」として例示されたものの一つであるから、本件発明1の「エポキシ樹脂(B)」に相当する。また、甲3発明の「エポキシ樹脂(c)(エピコート828(油化シェル(株)製))」も、本件発明1の「エポキシ樹脂(B)」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲3発明とは、
「基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤層とを備える接着剤層付き積層体であって、
前記接着剤層は、エポキシ樹脂(B)を含有する接着剤組成物からなるものであり、
前記接着剤層はBステージ状であり、
前記接着剤層の厚さは、25?100μmである接着剤層付き積層体。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1)
本件発明1は、接着剤組成物に「カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)」を含有するのに対し、甲3発明の「接着剤組成物溶液」は「カルボン酸変性ブロック共重合体(a)(タフテックM1943(旭化成工業(株)製))」を含む点。
(相違点2)
本件発明1は、接着剤組成物に「硬化促進剤」を含有するのに対し、甲3発明の「接着剤組成物溶液」は硬化促進剤を含有しない点。
(相違点3)
本件発明1は、接着剤組成物において「カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の含有量が、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であり、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)100質量部に対して1?20質量部であ」る点が特定されているのに対し、甲3発明の「接着剤組成物溶液」では、このようなものであるかどうか不明な点。
(相違点4)
本件発明1では、「6mmφのパンチ穴を開けた接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下である」点が特定されているのに対し、甲3発明では、「熱硬化型接着剤の層は、10cm角にカットした接着シート中央に直径2cmの穴をあけ、温度200℃、圧力0.98MPa、プレス時間10秒のプレス条件にて圧着した後、穴中にはみ出した糊の長さが0.1mm未満である」点。

ここで、相違点について検討する。
事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。
甲3発明は、甲3の【0006】に記載されるように、糊はみ出しが生じない接着剤組成物及び接着シートを提供することを目的としたものであるところ、本件発明1の上記相違点4に係る発明特定事項で規定されるような「パンチ穴からの接着剤の最大流出長さ」を有するものであるかどうかは不明としかいうほかない。
しかも、本件発明1の「接着剤組成物」は、上記相違点2に示したように「硬化促進剤」を含有する点で、甲3発明の「接着剤組成物溶液」と明らかに相違することから、甲3発明が、上記相違点4に係る発明特定事項を満たす蓋然性が高いとはいえない。
そうすると、上記相違点2及び4は実質的な相違点であり、本件発明1は、甲3発明であるということはできない。

そして、本件発明1は、上記相違点4に係る発明特定事項を備えることで、結果的に、接着剤層がBステージ状のときの積層体の反りが少なく、積層体の貯蔵安定性も良好なものなるという、甲3発明からは予測し得ない格別顕著な作用効果を奏するものであって、その作用効果は、明細書に記載された実施例において確認されているといえる。
したがって、上記相違点1?3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。

本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2?14は、本件発明1をさらに特定したものであるから、同様に、甲3発明であるとはいえないし、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。
よって、上記理由3は、理由がない。

(2)理由4(エ.実施可能要件・サポート要件違反)について
本件発明1では、「接着剤層は、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤とを含有する接着剤組成物からなるものであり、前記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の含有量が、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であり、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)100質量部に対して1?20質量部であ」ることが規定されているところ、「カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)と、エポキシ樹脂(B)」に関して、本件明細書には、次のような記載がある。
「【0020】
上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)は、接着剤組成物の主要な成分の1つであり、接着性や硬化物の柔軟性に加えて、電気特性を与える成分である。・・・
【0025】
カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の含有量は、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であることが必要であり、60質量部以上であることが好ましい。この含有量が50質量部未満では、接着剤層の柔軟性が不足し、積層体に反りが生じる。・・・
【0026】
次に、上記接着剤組成物のもう一つの成分であるエポキシ樹脂(B)について説明する。エポキシ樹脂は(B)は、上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)中のカルボキシ基と反応し、被着体に対する高い接着性や、接着剤硬化物の耐熱性を発現させる成分である。・・・
【0030】
上記エポキシ樹脂(B)の含有量は、上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)100質量部に対して1?20質量部であることが必要である。前記含有量は、3?15質量部であることが好ましい。この含有量が1質量部未満であると、十分な接着性と耐熱性が得られない場合がある。一方、この含有量が20質量部を超えると、はく離接着強さや電気特性が低下する場合がある。」

そうすると、本件発明1に、達成すべき結果によって物を特定しようとする記載を含んでいるとしても、本件発明1では、「カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)と、エポキシ樹脂(B)」について特定するものであり、それによって、被着体に対する高い接着性や積層体に反りを生じないようにしたものであることが理解できる。
そして、本件発明1が接着性に優れるだけでなく、積層体の反りがほとんどないものであることは、本件明細書の実施例において具体的に確認されているということができる。
したがって、本件明細書の記載が実施可能要件を満たしていないということはできないし、本件請求項の記載がサポート要件を満たしていないということもできない。
よって、上記理由4は理由がない。

(3)理由5(オ.明確性要件違反)
本件発明1においては、「6mmφのパンチ穴を開けた接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下である」点を発明特定事項とするところ、離型フィルムについては規定されておらず、離型フィルムの存在を前提とする理由5は、その前提を欠くものであって採用することはできない。
また、仮に、接着剤の最大流出長さが離型フィルムのクッション性や追従性によってわずかに変化するとしても、変化の程度については不明であり、しかも、特許異議申立人は具体的な証拠を示していないことから、本件発明1が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
よって、上記理由5は理由がない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤層とを備える接着剤層付き積層体であって、
前記接着剤層は、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤とを含有する接着剤組成物からなるものであり、前記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の含有量が、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であり、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)100質量部に対して1?20質量部であり、
前記接着剤層はBステージ状であり、
前記接着剤層の厚さは、25?100μmであり、
6mmφのパンチ穴を開けた前記接着剤層付き積層体の前記接着層側の面と、銅箔とを重ね合わせ、温度120℃、圧力0.4MPa、速度0.5m/分の条件でラミネートを行った後、温度180℃、圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着したときに、前記パンチ穴からの接着剤の最大流出長さが0.05mm以上0.25mm以下であることを特徴とする
接着剤層付き積層体。
【請求項2】
上記接着剤層が、上記接着剤組成物及び溶媒を含有する樹脂ワニスを、上記基材フィルムの表面に塗布して樹脂ワニス層を形成した後、該樹脂ワニス層から前記溶媒を除去することにより形成されたものである請求項1に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項3】
正方形状の接着剤層付き積層体を、接着剤層を上にして水平面上に載置したときに、前記積層体の端部の浮き上がり高さ(H)と、前記積層体の一辺の長さ(L)との比(H/L)が、0.05未満である請求項1又は2に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項4】
上記基材フィルムが、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコーン離型処理紙、ポリオレフィン樹脂コート紙、TPXフィルム、及びフッ素系樹脂フィルムよりなる群から選択される少なくとも1種のフィルムである請求項1?3のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項5】
上記基材フィルムの厚さが、5?100μmである請求項1?4のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項6】
上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)の酸価が、0.1?25mgKOH/gである請求項1?5のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項7】
上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)が、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のスチレン系エラストマーを、不飽和カルボン酸で変性したものである請求項1?6のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項8】
上記エポキシ樹脂(B)が、グリシジルアミノ基を有しないエポキシ樹脂である請求項1?7のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項9】
上記エポキシ樹脂(B)が、脂環骨格を有する多官能エポキシ樹脂である請求項1?8のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項10】
上記接着剤層の厚さが、25?50μmである請求項1?9のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項11】
上記接着剤層の厚さが、基材フィルムの厚さと同じである、又は基材フィルムの厚さより厚い請求項1?10のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項12】
上記接着剤層を硬化させた後、周波数1GHzで測定した接着剤層付き積層体の誘電率が3.0未満であり、かつ、該誘電正接が0.01未満である請求項1?11のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体。
【請求項13】
請求項1?12のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体の接着剤層に、銅箔を貼り合せてなることを特徴とするフレキシブル銅張積層板。
【請求項14】
請求項1?12のいずれか1項に記載の接着剤層付き積層体の接着剤層に、銅配線を貼り合せてなることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-02-03 
出願番号 特願2018-86618(P2018-86618)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C09J)
P 1 651・ 121- YAA (C09J)
P 1 651・ 537- YAA (C09J)
P 1 651・ 55- YAA (C09J)
P 1 651・ 536- YAA (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 木村 敏康
川端 修
登録日 2019-05-17 
登録番号 特許第6525085号(P6525085)
権利者 東亞合成株式会社
発明の名称 接着剤層付き積層体、並びに、これを用いたフレキシブル銅張積層板及びフレキシブルフラットケーブル  
代理人 井出 正威  
代理人 井出 正威  

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