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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  D06N
審判 全部申し立て 2項進歩性  D06N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D06N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D06N
管理番号 1372708
異議申立番号 異議2019-701066  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-26 
確定日 2021-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6536146号発明「発泡壁紙」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6536146号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。 特許第6536146号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 特許第6536146号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6536146号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成27年4月17日に出願され、令和1年6月14日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:令和1年7月3日)がされたものであり、その特許について、令和1年12月26日に特許異議申立人加藤浩志(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、令和2年4月10日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和2年6月4日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がされ、令和2年7月13日に申立人より意見書の提出がされ、令和2年9月15日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である令和2年10月30日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正そのものを「本件訂正」という。)がされたものである。
なお、令和2年6月4日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
また、本件訂正請求における訂正事項は、令和2年6月4日にされた訂正の請求における訂正事項に加え、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に記載されていた発明特定事項を請求項1に付加し、請求項3を削除する訂正事項からなるものであるところ、その請求項3を訂正特許請求の範囲に含む令和2年6月4日の訂正の請求に対して、申立人に訂正の請求があった旨の通知を送付して意見書を提出する機会を既に与えており、本件訂正請求については、特許法第120条の5第5項に規定する特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないとされる特別な事情にあたると認められるため、申立人に、再度、意見書を提出する機会は与えなかった。

第2 本件訂正請求について
1.本件訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第6536146号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正する」ことを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりのものである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記基材上に設けられた発泡樹脂層」と記載されているのを、「前記基材上に設けられ、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を樹脂組成物の樹脂成分として含む発泡樹脂層」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2及び4も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、「算術平均粗さSaの値は50μm以上250μm以下である」と記載されているのを、「算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下であり、」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2及び4も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、「当該発泡壁紙の前記基材とは反対側の最表層の樹脂成分は、前記最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有する」との記載を付加して訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2及び4も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に、「請求項1?3の何れか一項に記載の発泡壁紙。」と記載されているのを、「請求項1又は2に記載の発泡壁紙。」に訂正する。

2.訂正の適否
(1)一群の請求項について
本件訂正前の請求項2?4は、本件訂正前の請求項1を、直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正事項1及び2による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。

(2)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1の「発泡樹脂層」について、含有する樹脂材料について特定していなかったものを、「エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を樹脂組成物の樹脂成分として含む」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、上記のように、本件訂正前の請求項1の発明特定事項をさらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
そして、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)には、段落【0025】に「中でも、本実施形態に係る樹脂組成物の樹脂成分は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を含むことが好ましい。エチレン単独重合体及びエチレンと他のオレフィンとの共重合体を用いることにより、発泡樹脂層3の水に対する親和性が低下し、表面に結露が発生しにくくなる。」と記載されていることから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1の「算術平均粗さSa」の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2は、上記のように、本件訂正前の請求項1の発明特定事項をさらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
そして、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0081】の【表3】に示す実施例1?4及び段落【0062】の記載に基づくものであるから、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項3について
訂正事項3は、請求項1の発泡壁紙について、基材とは反対側の最表層を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3は、上記のように、本件訂正前の請求項1の発明特定事項をさらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
そして、訂正事項3に係る訂正は、本件訂正前の請求項3の記載に基づくものであるから、訂正事項3は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項4について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(6)訂正事項5について
訂正事項5は、請求項4が引用する請求項の数を減らすものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

3.小括
したがって、本件訂正の訂正事項1?5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.本件特許発明
上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1、2、4に係る発明(以下「本件発明1、2、4」という。また、まとめて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
シート状に形成された繊維質の基材と、前記基材上に設けられ、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を樹脂組成物の樹脂成分として含む発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、
当該発泡壁紙の前記基材とは反対側の最表面には凹凸が設けられ、前記凹凸のISO25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSzの値は300μm以上1000μm以下であり、かつ算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下であり、
当該発泡壁紙の前記基材とは反対側の最表層の樹脂成分は、前記最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、発泡壁紙。
【請求項2】
前記凹凸は、前記発泡樹脂層に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発泡壁紙。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記発泡樹脂層は、1層からなり、かつ炭酸カルシウムを含有する充填剤が添加されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡壁紙。」

2.取消理由の概要
本件特許の請求項1?4に係る発明に対して、特許権者に通知した令和2年4月10日付け取消理由、及び令和2年9月15日付け取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。

理由1)本件特許の請求項1?4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記(1)の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記(2)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)引用刊行物
甲1:特開2014-69390号公報

(2)本件特許の請求項1?4に係る発明の解決しようとする課題は、「結露の発生及びカビの発生を容易に抑制できる発泡壁紙を提供すること」(本件特許明細書の段落【0008】)であるところ、本件特許明細書の段落【0024】?【0032】には、発泡樹脂層を形成する樹脂組成物について記載され、特に、段落【0025】には、「エチレン単独重合体及びエチレンと他のオレフィンとの共重合体を用いることにより、発泡樹脂層3の水に対する親和性が低下し、表面に結露が発生しにくくなる。」と記載され、実施例1?4、比較例1?3では、いずれも、ポリエチレンについて結露防止性能を確認している。
一方、特許請求の範囲の請求項1?4においては、特に、どの樹脂か記載されていない。しかし、上記段落【0025】にも記載されているように、樹脂材料の水との濡れ性等の物性が、表面への結露発生の有無に影響することは明らかである。
このため、発明の詳細な説明の記載からは、特許請求の範囲の請求項1?4記載のように、樹脂材料を特定することなしに、最大高さSzと算術平均粗さSaの値を所定範囲とすることで、発明の課題が解決できるものとは認識することができない。
よって、請求項1?4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

3.取消理由についての判断
(1)理由1(甲1を主引用例とする理由)について
ア 甲1には、次の記載がある。
「【請求項1】
繊維質シートの上に少なくとも樹脂層が積層されており、更におもて面にエンボス凹凸模様を有する積層シートであって、 当該エンボス凹凸模様は、凹凸深さ平均が0.2mm以上であり、且つ、凹凸深さの標準偏差が0.1mm以上であることを特徴とする積層シート。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、各種装飾材等として有用な積層シートに関する。なお、本発明の積層シートは発泡樹脂層を有していてもよく、その場合には、発泡壁紙としても有用である。」
「【0017】
樹脂層
本発明の積層シートは、繊維質シートの上に少なくとも樹脂層が積層されている。この樹脂層は、Tダイ製膜法、カレンダー製膜法等の既知の製膜法により形成できる」
「【0024】
本発明では、上記樹脂層は発泡樹脂層であってもよい。発泡樹脂層は、例えば、熱分解型発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させることにより形成できる。発泡剤含有樹脂層は、熱分解型発泡剤を含有する樹脂組成物を製膜することにより形成できる。」
「【0033】
なお、樹脂層(発泡樹脂層の場合を除く)の厚さは40?200μm程度が好ましく、樹脂層が発泡樹脂層の場合の厚さは300?550μm程度が好ましい。」
「【0062】
積層シートのエンボス凹凸模様
積層シートのおもて面には、凹凸深さ平均が0.2mm以上であり、且つ、凹凸深さの標準偏差が0.1mm以上であるエンボス凹凸模様を有する。
【0063】
凹凸深さ平均は0.2mm以上であればよいが、特に0.3?0.5mmが好ましい。また、凹凸深さの標準偏差は0.1mm以上であればよいが、特に0.1?0.2mmが好ましい。このような凹凸深さ平均及び標準偏差の要件を具備することにより、積層シートが間接照明及び/又はLED照明を有する居室中で用いられる場合であっても、下地の不陸の存在が目立ち難いという効果が得られる。
【0064】
なお、本明細書における凹凸深さ平均及び標準偏差は、表面粗さ計(オリンパス株式会社製STM6-F21)を用いて、積層シート(縦10mm×横10mm)について、X方向50点、Y方向50点(計2500点)で凹凸深さを測定し、当該2500点の平均及び標準偏差を算出した値である。」
「【0079】
実施例1?5及び比較例1?6 下記表1に示す条件で実施例1?5及び比較例1?6の積層シートを作製した。≪塩ビ壁紙製造方法:実施例1≫ 繊維質シート(裏打ち紙、興人(株)製、WK-FKKD、坪量60g/m^(2))上に下記組成の発泡剤含有樹脂組成物をコンマコーター法にてコーティングして発泡剤含有樹脂層を形成して積層体を得た。」
「【0095】
【表1】


以上の記載からみて、甲1には、次の「甲1発明」が記載されている。
「繊維質シートの上に樹脂層が積層されており、更におもて面にエンボス凹凸模様を有する積層シートであって、
樹脂層は発泡樹脂層であってよく、樹脂層に含まれる樹脂成分はポリエチレンからなり、
当該エンボス凹凸模様は、凹凸深さ平均が0.2mm以上であり、且つ、凹凸深さの標準偏差が0.1mm以上である、発泡壁紙として用いられる積層シート。」
イ 本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「繊維質シート」、「発泡壁紙として用いられる積層シート」は、それぞれ本件発明1の「シート状に形成された繊維質の基材」、「発泡壁紙」に相当する。
甲1発明の「発泡樹脂層」は、樹脂成分がポリエチレンであり、繊維質シートの上に積層されるものであるから、本件発明1の「基材上に設けられ、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を樹脂組成物の樹脂成分として含む発泡樹脂層」に相当する。また、本件発明1は、「発泡樹脂層」が基材とは反対側の最表層にあたる態様を含むものであるところ、甲1発明の「発泡樹脂層」は、甲1発明の「積層シート」の最表層であり、その樹脂成分のポリエチレンは、本件発明1の「最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有する」ものに該当する。
甲1発明のおもて面の「エンボス凹凸模様」が「凹凸深さ平均が0.2mm以上であり、且つ、凹凸深さの標準偏差が0.1mm以上である」ことと、本件発明1の基材とは反対側の最表面の「凹凸」が「ISO 25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSの値は300μm以上1000μm以下であり、かつ算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下であ」ることとは、基材とは反対側の最表面が所定の表面粗さを有するという限りにおいて一致する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「シート状に形成された繊維質の基材と、前記基材上に設けられ、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を樹脂組成物の樹脂成分として含む発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、
基材とは反対側の最表面が所定の表面粗さを有し、
当該発泡壁紙の前記基材とは反対側の最表層の樹脂成分は、前記最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする発泡壁紙。」で一致し、以下の点で相違する。
《相違点》
基材とは反対側の最表面の表面粗さについて、本件発明1が、「凹凸のISO 25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSの値は300μm以上1000μm以下であり、かつ算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下であ」るのに対し、
甲1発明は、「凹凸深さ平均が0.2mm以上であり、且つ、凹凸深さの標準偏差が0.1mm以上である」点。
ウ 上記相違点について検討する。
甲1発明の凹凸深さの平均は「0.2mm以上」であり、本件発明1の「算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下」の範囲外である。
よって、本件発明1と甲1発明とは、上記相違点で相違するから、本件発明1は、甲1発明ではない。
エ 申立人は、令和2年7月13日の意見書(「(3-2-3)ウ.」)において、甲1の比較例5及び6の凹凸深さ平均は128μm、126μmであり、本件発明1の「50μm以上182μm以下」の範囲内であり、積層シート厚さが450μm、600μmであることを考慮すると、甲1の比較例5及び6の最大高さSzは300?1000μmの範囲内であるはずであり、本件発明1は、甲1の比較例5及び6で開示されている旨主張する。
しかし、甲1の比較例5及び6の積層シートは、積層シートの最表面にエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂系塗料からなる表面保護層を形成した態様てあり(甲1【0087】)、本件発明1の、結露水に対する親和性を下げるために、「最表層の樹脂成分は、前記最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有する」ものとは相違するから、申立人の上記主張は採用できない。
オ さらに、上記相違点に係る本件発明1の技術的意義を検討すると、
本件発明1の凹凸が、「このように発泡壁紙に附形された細かな凹凸により、当該発泡壁紙の最表面の凹部に空気を抱き込むことができる。この凹部に抱き込まれた空気層が断熱層としての役割を果たすことで壁面付近での急激な温度変化を抑え、結露の発生を抑制することができる。ここで、ISO 25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSzの値が300μm未満、又は、算術平均粗さSaの値が50μm未満であると、発泡壁紙の最表面の凹部が抱き込む空気の体積が小さすぎるために断熱層としての効果が十分に発揮されない。逆に最大高さSzの値が1000μmを超える場合、又は、算術平均粗さSaの値が250μmを超える場合には、発泡壁紙の表面積が大きくなることで発泡壁紙近辺の空気に対する吸熱効率が増大してしまい、より結露しやすい壁紙になってしまう。これに対し、本発明のように、最大高さSzの値が300μm以上、かつ、算術平均粗さSaの値が50μm以上であれば、発泡壁紙の最表面の凹部が十分な体積の空気を抱き込むことができるため、断熱層としての効果を十分に発揮することができる。また、最大高さSzの値が1000μm以下、かつ、算術平均粗さSaの値が250μm以下であれば、発泡壁紙近辺の空気に対する吸熱効率が過剰に増大することが避けられるため、結露の発生を抑制できる。以上により、本発明によれば、結露の発生及びカビの発生を容易に抑制できる。」(本件特許明細書の段落【0010】)と記載されている。
一方、甲1発明のエンボス凹凸模様は、「間接照明及び/又はLED照明を有する居室中で用いられる場合であっても、下地の不陸の存在が目立ち難いという効果が得られる。また、この効果は、省エネルギー及び明るさ確保のために、白色のシート(光の反射率が70%以上)を用いる場合であっても得られる。」(【0066】)というものであるから、下地の不陸の存在が目立ち難くするように凹凸の表面粗さが設定される甲1発明のものを、凹部に抱き込まれた空気層を断熱層として機能させる、本件発明1の凹凸の表面粗さの数値範囲のものに換える動機付けがない。
また、他にそのことを示す証拠も提出されていない。
よって、上記相違点に係る本件発明1の構成は、甲1発明に基いて当業者が容易に想到し得たものではなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ 申立人は、「甲1の標準偏差(Raと区別するためにRqと表記される)は、二乗平均であり、構成要件Bの絶対値平均(平均絶対偏差)で計算した場合より壁紙では10?30%程度数値が大きくなる。・・・・」(特許異議申立書22?23頁「(4-3-2-2)オ.」)、
「上述した、平均絶対偏差Ra(Sa)と標準偏差Rq(Sq)の関係は、実際の壁紙において検証することができる。
・・・・
上記の「平均絶対偏差Saと標準偏差Sqの関係」の表で示したように、壁紙において標準偏差Sq/平均絶対偏差Saは、デザインに拘わらず110?130%の範囲にあることが裏付けられる。
よって、この検証結果によっても、甲1における凹凸深さの標準偏差100?200μm(Sq)は、平均絶対偏差(算術平均粗さSa)で75?150μm程度であるということができ、構成要件Bで特定された算術平均粗さSa50?250μmの範囲に包含される。」(特許異議申立書23?24頁「(4-3-2-2)カ.」)と主張する。
しかし、甲1の凹凸深さの標準偏差は、凹凸深さを二乗したものの平均の平方根であるから、平均をとる算術平均粗さに比べて、絶対値が大きい測定値の影響が大きくなり、測定箇所のうち、そのような絶対値が大きい凹凸深さの測定値が多く含まれている場合には、申立人が主張する「標準偏差Sq/平均絶対偏差Saは、デザインに拘わらず110?130%の範囲にある」ということが、必ずしもいえるものではない。
そのため、申立人の上記主張は採用できない。
キ そして、本件発明1の発明特定事項をすべて含む本件発明2、4についても、上記のように、本件発明1が甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2、4は甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ク 以上より、本件発明1、2、4に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

(2)理由2について
ア 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定される要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
イ そこで、本件特許明細書の発明の詳細な説明を参照すると、
・「本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、結露の発生及びカビの発生を容易に抑制できる発泡壁紙を提供することを目的とする。」(段落【0008】)、
・「上記課題を解決するため、本発明に係る発泡壁紙は、シート状に形成された繊維質の基材と、基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、当該発泡壁紙の基材とは反対側の最表面には凹凸が設けられ、凹凸のISO 25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSzの値は300μm以上1000μm以下であり、かつ算術平均粗さSaの値は50μm以上250μm以下であることを特徴としている。」(【0009】)、
・「本発明に係る発泡壁紙では、当該発泡壁紙の基材とは反対側の最表面に凹凸を附形するようにしている。このように発泡壁紙に附形された細かな凹凸により、当該発泡壁紙の最表面の凹部に空気を抱き込むことができる。この凹部に抱き込まれた空気層が断熱層としての役割を果たすことで壁面付近での急激な温度変化を抑え、結露の発生を抑制することができる。ここで、ISO 25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSzの値が300μm未満、又は、算術平均粗さSaの値が50μm未満であると、発泡壁紙の最表面の凹部が抱き込む空気の体積が小さすぎるために断熱層としての効果が十分に発揮されない。逆に最大高さSzの値が1000μmを超える場合、又は、算術平均粗さSaの値が250μmを超える場合には、発泡壁紙の表面積が大きくなることで発泡壁紙近辺の空気に対する吸熱効率が増大してしまい、より結露しやすい壁紙になってしまう。これに対し、本発明のように、最大高さSzの値が300μm以上、かつ、算術平均粗さSaの値が50μm以上であれば、発泡壁紙の最表面の凹部が十分な体積の空気を抱き込むことができるため、断熱層としての効果を十分に発揮することができる。また、最大高さSzの値が1000μm以下、かつ、算術平均粗さSaの値が250μm以下であれば、発泡壁紙近辺の空気に対する吸熱効率が過剰に増大することが避けられるため、結露の発生を抑制できる。以上により、本発明によれば、結露の発生及びカビの発生を容易に抑制できる。」(段落【0010】)、
・「中でも、本実施形態に係る樹脂組成物の樹脂成分は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を含むことが好ましい。エチレン単独重合体及びエチレンと他のオレフィンとの共重合体を用いることにより、発泡樹脂層3の水に対する親和性が低下し、表面に結露が発生しにくくなる。
また、エチレン単独重合体及びエチレンと他のオレフィンとの共重合体は、無極性の非ハロゲン系熱可塑性樹脂であり、これらを用いることで、充填剤を増量した場合の粘度上昇が抑えられるため、高品質の壁紙を安定して生産することができる。」(段落【0025】、【0026】)、
・「また、上記発泡壁紙において、当該発泡壁紙の基材とは反対側の最表層の樹脂成分は、最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。この場合、発泡壁紙の最表層部分に非極性のポリオレフィン系樹脂を使用することで結露水に対する親和性を下げ、結露を発生させにくくすると共に、万一結露が発生してしまった場合においても、その液滴が小さくまた流れ落ちやすくするという効果を奏する。従って、結露の発生及びカビの発生を容易に抑制できる。」(段落【0012】)、
・「また、上記発泡壁紙において、凹凸は、発泡樹脂層に設けられていてもよい。この場合、発泡樹脂層上に更に別の層を設けないため、製造工程が簡素化され、結露の発生及びカビの発生を容易に抑制できる。」(段落【0012】)、
・「また、樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、難燃剤、セル調整剤、安定剤、滑剤等の周知の添加剤を配合することができる。
本実施形態における充填剤としては、例えば炭酸カルシウムが挙げられる。」(段落【0035】、【0036】)と記載されている。
さらに、具体的な実施例として、実施例1?4の結露防止性能を示すとともに、比較例1?3の結果と比較している(段落【0070】?【0081】)。
ウ 上記記載からみて、特許請求の範囲に記載された本件発明1、2、4は発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。
エ 申立人は、令和2年7月13日の意見書(「(3-3)サポート要件違反について」)において、発明の詳細な説明では、樹脂成分として特定のポリエチレン(低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンの混合樹脂)を用いた発泡樹脂層を最表層とした発泡壁紙の実施例、比較例についてのみ、結露防止性能を確認しているにすぎず、また、発泡壁紙の厚みや発泡樹脂層の発泡倍率が結露発生の有無に影響するにもかかわらず、特許請求の範囲の請求項1、2、4には、それらの点について特定されていないため、特許請求の範囲に記載された発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えて特許を請求したものである旨主張する。
しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例において、低密度ポリエチレンからなる樹脂Aで作成された実施例1、超低密度ポリエチレンからなる樹脂Bで作成された実施例3、樹脂Aと樹脂Bの混合樹脂で作成された実施例2及び4からは、樹脂成分が異なっても本件発明1の表面粗さの範囲内のものが、所定の結露防止性能を有することが確認されている。また、実施例1と比較例1、実施例3と比較例2、実施例2及び4と比較例3の結果を比較すると、同じ樹脂成分で作成されたものであっても、異なるエンボス版を押しつけて異なる表面粗さを発泡壁紙の表面に形成した場合には、本件発明1の表面粗さの範囲内のものが、所定の結露防止性能を有する一方、範囲外のものは所定の結露防止性能を有さないことが確認されている。
これらのことから、当業者であれば、本件発明1で特定される表面粗さの範囲を満たせば、樹脂成分、発泡壁紙の厚み及び発泡壁紙が同じ条件下では、少なくとも結露防止性能が良くなることが認識し得るものといえる。
よって、特許請求の範囲に記載された発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えるものではなく、申立人の上記主張は採用できない。
オ 以上より、本件特許の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものではないから、本件発明1、2、4に係る特許は、特許法第113条第4号に該当せず、取り消すべきものではない。

4.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立人は、特許異議申立書(32?41頁「(4-4)理由2(甲2に基づく新規性進歩性欠如)」)において、本件発明は、甲2(特開2014-88560号公報)に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に該当し、また、甲2に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反するものであり、同法第113条第2号の規定により、本件発明に係る特許を取り消すべき旨主張する。
しかし、甲2におけるテクスチャー加工された基材は、「ポリ塩化ビニル製の壁紙」(甲2【0098】)であって、本件発明のようにポリオレフィン系樹脂からなるものではないし、甲2の【0099】の【表1】に示された壁紙資料1?4のいずれも、「最大高さSzの値は300μm以上1000μm以下であり、かつ算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下」ではない。
そして、甲2は、テクスチャー加工された基材表面に取り付ける延伸剥離型感圧接着物品に係る技術について記載されたものであって、本件発明の、凹部に抱き込まれた空気層を断熱層として機能させるために、凹凸の表面粗さを所定の数値範囲のものにする動機付けもない。
よって、申立人の甲2に基づく新規性進歩性欠如に係る申立理由は採用できない。

(2)また、申立人は、特許異議申立書(42?49頁「(4-5)記載不備」)において、
ア 請求項1の「最表面には凹凸が設けられ」の記載が明確ではない旨(「(4-5-1)ア.(i)」)、発明の詳細な説明には、どのようにSa、Sz、凹部の幅やそのような体積を設計すればよいのか記載がなく、また、本件発明には凹部の幅・体積等の空気を抱き込むための手段が反映されておらず、サポート要件の規定に違反している旨(「(4-5-1)イ-2.」)、
イ 本件発明は発明の詳細な説明の段落【0080】に記載されるような特殊な評価方法で評価されており、発明が明確ではない旨(「(4-5-1)ア.(ii)」)、また、そのような特殊な評価方法での評価は現実の住宅の壁紙とは異なるものであり、断熱効果を確認することが不可能であるか過度な負担を必要とするものであり、さらに、そのような特殊な評価方法により確認されたものを、現実の住宅で利用される発泡壁紙を包含する本件発明にまで拡張又は一般化できるとはいえない旨(「(4-5-1)イ-3.」)、
ウ 発明の詳細な説明には、エンボス版A?Eの形状について記載されておらず、本件発明の発泡壁紙を当業者が「その物を作れる」ように記載されていない旨(「(4-5-2)」)、それぞれ主張する。
しかし、上記ア及びウの主張については、請求項1の記載自体は明確であるし、本件特許の発明の詳細な説明には、「本発明に係る発泡壁紙では、当該発泡壁紙の基材とは反対側の最表面に凹凸を附形するようにしている。このように発泡壁紙に附形された細かな凹凸により、当該発泡壁紙の最表面の凹部に空気を抱き込むことができる。この凹部に抱き込まれた空気層が断熱層としての役割を果たすことで壁面付近での急激な温度変化を抑え、結露の発生を抑制することができる。ここで、ISO 25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSzの値が300μm未満、又は、算術平均粗さSaの値が50μm未満であると、発泡壁紙の最表面の凹部が抱き込む空気の体積が小さすぎるために断熱層としての効果が十分に発揮されない。逆に最大高さSzの値が1000μmを超える場合、又は、算術平均粗さSaの値が250μmを超える場合には、発泡壁紙の表面積が大きくなることで発泡壁紙近辺の空気に対する吸熱効率が増大してしまい、より結露しやすい壁紙になってしまう。」(【0010】)と記載され、実施例1?4の結露防止性能に係る記載(【0081】)も参照すれば、発泡壁紙に附形された細かな凹凸の最大高さSz及び算術平均粗さSaの値が所定の範囲となれば、少なくとも結露防止性能が良くなることを当業者は認識できるから、「凹部の幅・体積等の空気を抱き込むための手段」等の最大高さSz及び算術平均粗さSa以外の事項が本件発明において特定されることが必要とされるとはいえない。また、エンボス版の形状は、泡壁紙に附形された細かな凹凸の最大高さSz及び算術平均粗さSaの値が所定の範囲となるようなものとすれば良いのであるから、エンボス版の具体的な形状が記載されていないことが、ただちに当業者が本件発明の発泡壁紙を作ることができるように記載されていないとまではいえない。
また、上記イの主張についても、発明の詳細な説明の段落【0080】の評価方法は、高温多湿の状態から温度を下げた室内に面する発泡壁紙を評価しようとするものと推認できるものであり、本件発明の発泡壁紙が明確でないとはいえず、そのような評価方法で評価されたために実施することができないというものでもない。また、この評価方法による評価の記載から、当業者であれば、本件発明が、「結露の発生及びカビの発生を容易に抑制」するという課題を解決し得ると認識するものといえる。
よって、申立人の記載不備に係る申立理由は採用できない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1、2、4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、2、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正請求に係る訂正により、請求項3に係る特許は削除されたため、請求項3に対して申立人がした特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであることから、特許法第120条の8で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成された繊維質の基材と、前記基材上に設けられ、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を樹脂組成物の樹脂成分として含む発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙であって、
当該発泡壁紙の前記基材とは反対側の最表面には凹凸が設けられ、前記凹凸のISO25178に準拠して測定された粗さパラメーターのうち、最大高さSzの値は300μm以上1000μm以下であり、かつ算術平均粗さSaの値は50μm以上182μm以下であり、
当該発泡壁紙の前記基材とは反対側の最表層の樹脂成分は、前記最表層の樹脂成分の全質量を100質量部とした場合において、30質量部以上100質量部以下のポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、発泡壁紙。
【請求項2】
前記凹凸は、前記発泡樹脂層に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発泡壁紙。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記発泡樹脂層は、1層からなり、かつ炭酸カルシウムを含有する充填剤が添加されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡壁紙。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-02-17 
出願番号 特願2015-84786(P2015-84786)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (D06N)
P 1 651・ 113- YAA (D06N)
P 1 651・ 536- YAA (D06N)
P 1 651・ 121- YAA (D06N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 伊藤 寿美  
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 井上 茂夫
村山 達也
登録日 2019-06-14 
登録番号 特許第6536146号(P6536146)
権利者 凸版印刷株式会社
発明の名称 発泡壁紙  
代理人 阿部 寛  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 黒木 義樹  
代理人 黒木 義樹  
代理人 鈴木 洋平  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 阿部 寛  
代理人 ▲高▼木 邦夫  
代理人 ▲高▼木 邦夫  
代理人 鈴木 洋平  

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