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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1373037
審判番号 不服2019-15840  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-25 
確定日 2021-04-28 
事件の表示 特願2016-152763「プログラム、コンピュータ及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月 5日出願公開、特開2017- 4545、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月21日に出願した特願2014-214266号の一部を平成28年8月3日に新たな特許出願としたものであって、平成29年10月6日に手続補正書が提出され、平成30年5月23日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年9月21日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年12月6日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、平成31年4月8日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年9月30日付けで平成31年4月8日に提出された手続補正書による手続補正が却下されるとともに拒絶査定がされ、これに対し、令和元年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審において、令和2年12月23日付けで令和元年11月25日に提出された手続補正書による手続補正が却下されるとともに拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和3年2月1日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年9月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 本願請求項1、3、8、9に係る発明は、以下の引用文献Cに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 本願請求項1-3、6-9に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

A.特開2013-134532号公報
B.特開2000-276325号公報
C.特開2012-161604号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2008-272123号公報
2.国際公開2013/124913号
3.特開2013-134532号公報(拒絶査定時の引用文献A)
4.特開2012-161604号公報(拒絶査定時の引用文献C)

第4 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、令和3年2月1日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-9は以下のとおりの発明である(下線部は補正箇所を示す。)。

「 【請求項1】
没入型のヘッドマウントディスプレイを介して仮想空間を提供するためのコンピュータで実行されるプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
ユーザが保持する操作装置から出力される出力データを取得するステップと、
前記取得された出力データに基づいて前記仮想空間を制御するステップと、
前記仮想空間の画像を前記没入型のヘッドマウントディスプレイへ出力するステップと、
実空間にある前記操作装置のセンサディスプレイを仮想的に前記仮想空間上に表示するステップと、
を実行させ、
前記制御するステップは、前記出力データが、前記操作装置が有する、前記操作装置の動きを検出する動きセンサから出力されるデータである場合、前記仮想空間に表示された第1オブジェクトに第1の動作を行わせ、前記出力データが、前記操作装置が有するタッチセンサに対する前記ユーザのタッチ操作により、前記タッチセンサから出力されるデータである場合、前記第1オブジェクトに前記第1の動作とは異なる第2の動作を行わせる、プログラム。
【請求項2】
前記操作装置がネットワークを介して取得した操作装置側インタフェースプログラムと前記コンピュータのコンピュータ側インタフェースプログラムとにより、前記操作装置と前記コンピュータとが接続される、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記出力データは、前記操作装置が有する操作子に対する前記ユーザの操作により、前記操作子から出力されるデータを含む請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記出力データは、前記操作装置が有するメモリから出力される画像データを含む請求項1?3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記出力データは、前記画像データに基づくオブジェクトを操作するためのデータを更に含み、
前記制御するステップでは、前記操作するためのデータに基づいて、前記仮想空間内で前記画像データに基づくオブジェクトの動作を制御する請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記出力データは、前記操作装置が有する音声入力装置に対する前記ユーザの音声入力により、前記音声入力装置から出力されるデータを含む請求項1?5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記出力データは、前記操作装置が有する、前記操作装置に関する地理的情報を検出するセンサから出力されるデータを含む請求項1?6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
没入型のヘッドマウントディスプレイを介して仮想空間を提供するためのコンピュータであって、
前記コンピュータが
プロセッサと、
プログラムを格納するメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
ユーザが保持する操作装置から出力される出力データを取得し、
前記取得された出力データに基づいて前記仮想空間を制御し、
前記仮想空間の画像を前記没入型のヘッドマウントディスプレイへ出力し、
実空間にある前記操作装置のセンサディスプレイを仮想的に前記仮想空間上に表示し、
前記仮想空間の制御では、前記出力データが、前記操作装置が有する、前記操作装置の動きを検出する動きセンサから出力されるデータである場合、前記仮想空間に表示された第1オブジェクトに第1の動作を行わせ、前記出力データが、前記操作装置が有するタッチセンサに対する前記ユーザのタッチ操作により、前記タッチセンサから出力されるデータである場合、前記第1オブジェクトに前記第1の動作とは異なる第2の動作を行わせる、コンピュータ。
【請求項9】
没入型のヘッドマウントディスプレイを介して仮想空間を提供するためのコンピュータで実行される方法であって、
ユーザが保持する操作装置から出力される出力データを取得するステップと、
前記取得された出力データに基づいて前記仮想空間を制御するステップと、
実空間にある前記操作装置のセンサディスプレイを仮想的に前記仮想空間上に表示するステップと、
前記仮想空間の画像を前記没入型のヘッドマウントディスプレイへ出力するステップと、
を含み、
前記制御するステップは、前記出力データが、前記操作装置が有する、前記操作装置の動きを検出する動きセンサから出力されるデータである場合、前記仮想空間に表示された第1オブジェクトに第1の動作を行わせ、前記出力データが、前記操作装置が有するタッチセンサに対する前記ユーザのタッチ操作により、前記タッチセンサから出力されるデータである場合、前記第1オブジェクトに前記第1の動作とは異なる第2の動作を行わせる、方法。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下、同様。)。

ア 「【0001】
本発明は、コンピュータにゲームコントローラに為された操作入力に基づいてゲーム空間に配置された自キャラクタを制御して、所定のゲームを実行させるためのプログラム等に関する。」

イ 「【0042】
次に、本発明を適用した実施形態として、家庭用ゲーム装置においてFPSゲームを実行する場合を例に挙げて説明する。尚、本実施形態が適用可能なゲームジャンルはFPSゲームに限らず、TPSゲームでも良いし、他のゲームでも構わない。ゲームコントローラ1230によるポインティングに基づく操作入力と、ゲームコントローラ1230に作用する加速度に基づく操作入力との両方を使用するゲームであれば同様に適用することができる。
【0043】
[ゲーム装置の構成]
図1は、本実施形態における家庭用ゲーム装置の構成例を説明するシステム構成図である。ここで説明する家庭用ゲーム装置は、例えば任天堂株式会社製の「Wii(ウィー:登録商標)」などで実現されている。
【0044】
同図に示すように、家庭用ゲーム装置1200のゲーム装置本体1201は、例えばCPUや画像処理用LSI、ICメモリ等が実装された制御ユニット1210と、光学ディスク1202やメモリカード1204といった情報記憶媒体の読み取り装置1206,1208を備える。そして、家庭用ゲーム装置1200は、光学ディスク1202やメモリカード1204からゲームプログラム及び各種設定データを読み出し、メインのゲームコントローラ1230及びこれに装着されたサブコントローラ1231に為される操作入力に基づいて制御ユニット1210が各種のゲーム演算を実行し、所与のビデオゲームを実行する。
【0045】
制御ユニット1210は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリなどの電気電子機器を備え、演算処理等を行って家庭用ゲーム装置1200の各部を制御する。本実施形態では、制御ユニット1210は、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)といった通信回線1と接続して外部装置との間でデータ通信を実現する通信装置1212と、近距離無線通信モジュール1214とを備える。
【0046】
近距離無線通信モジュール1214は、近距離無線を介して複数のゲームコントローラ1230それぞれから送信される操作入力信号を受信したり、ゲームコントローラ1230に所定の信号を送信したりする。近距離無線の形式としては、例えばBluetooth(登録商標)やUWB(超広帯域無線)、無線LANなどが適宜適用可能である。
【0047】
ゲーム装置本体1201の制御ユニット1210は、ゲームコントローラ1230から受信した検出信号や操作入力信号に基づいてゲーム画像やゲーム音を生成してビデオゲームを実行する。生成されたゲーム画像やゲーム音は、信号ケーブル1209で接続されたディスプレイモニタ1220に出力される。ディスプレイモニタ1220には、画像を表示する画像表示装置1222と、音声を出力するスピーカ1224とが備えられており、プレーヤは画像表示装置1222に映し出されるゲーム画像を見ながら、スピーカ1224から放音されるゲーム音を聞きつつゲームを楽しむ。
【0048】
図2は、本実施形態において用いられるゲームコントローラ1230の外観の一例を示す図であって、(a)正面図、(b)正面向かって右から見た右側面図、(c)下面図に相当する。同図に示すように、ゲームコントローラ1230は、左右下端が面取りされた断面を有する略四角柱状の棒状の外形を有している。棒状の下側には把持部1232が形成され、中央よりもやや上方位置から断面が小さく絞られて主操作部1234が形成されている。プレーヤは、棒を掴む要領で把持部1232を持ち、持ち手の親指や人差し指で主操作部1234や把持部1232に設けられた各種入力デバイスを操作する。
【0049】
入力デバイスとしては、ゲームコントローラ1230の正面側には、方向入力キー1242とAボタン1244とを備え、裏面側にはトリガー1246を備える。方向入力キー1242は、一体の十字型形状を有するが上下左右の方向をそれぞれ独立して入力することのできるプッシュボタンの一種である。Aボタン1244及びトリガー1246は、例えばプッシュボタンスイッチで実現されるが、指接触を検出するタッチセンサやレバー、ダイヤルなどを用いて実現することもできる。
【0050】
また、ゲームコントローラ1230は、コントローラの実空間中の運動状態量を検出するための手段である3軸加速度センサ1248及び撮像素子1256を備える。また、拡張端子1250と、バイブレータ1251と、スピーカ1254と、近距離無線通信モジュール1252と、内蔵バッテリー1258と、コントローラ制御ユニット1260とを備える。
【0051】
3軸加速度センサ1248は、図2(a)におけるゲームコントローラ1230の長手方向をX軸、左右方向をY軸、表裏方向をZ軸とする3軸方向の加速度を検出することによって、ゲームコントローラ1230の姿勢変化や動きを検出し、コントローラ制御ユニット1260に出力する。尚、3軸加速度センサ1248は、直交するXYZ軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサによって実現できる。更にこれにジャイロスコープを加えることによって、更にXYZの3軸廻りの角速度を検出可能とした6軸加速度センサとすることもできる。また、3軸分の加速度がゲーム操作上必要ない場合には、適宜検出可能な加速度の要素を省略しても良い。また、加速度の検出に代えて、傾斜角度や速度を検出するセンサを代用することもできる。
【0052】
拡張端子1250は、外部からの信号ケーブルを電気的に接続する端子であり、外部からの信号をコントローラ制御ユニット1260へ伝える。拡張端子1250は、例えばゲームコントローラ1230の下部に設けられており、ケーブル等をつなげて他のコントローラ等と電気的・物理的に接続することができる。本実施形態では、拡張端子1250にサブコントローラ1231のコネクタ1257(図1、図3参照)を接続することができる。
【0053】
近距離無線通信モジュール1252は、ゲーム装置本体1201の近距離無線通信モジュール1214と無線通信し、ゲームコントローラ1230とゲーム装置本体1201との間でデータ通信を実現する。例えば、入力デバイスに為された操作入力に応じた操作入力信号や、3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号、或いは拡張端子1250から入力された信号をゲーム装置本体1201へ出力し、反対にゲーム音のデータをゲーム装置本体1201から受信する。」

ウ 「【0067】
[ゲームの概要] 次に、本実施形態におけるゲームの概要について説明する。 本実施形態におけるゲームは、3次元仮想空間に形成されたゲーム空間内で銃とサーベルを備えたプレーヤキャラクタの兵士と、敵キャラクタである複数のロボットとが対戦するFPSゲームである。プレーヤキャラクタは、本実施形態においてプレーヤが操作するキャラクタ(自キャラクタ)である。敵ロボットは、コンピュータ制御される所謂NPC(ノン・プレーヤキャラクタ)である。
【0068】
図5は、プレーヤキャラクタの構成と仮想カメラの相対位置、並びにプレーヤキャラクタの移動操作の割り当てについて説明するための概念図である。同図に示すように、仮想カメラ2は、プレーヤキャラクタ4の頭部に固定されており、常にプレーヤキャラクタ4の前方方向を向いてゲーム空間を撮影する。仮想カメラ2で撮影された画像は、従来のFPSゲームと同様に一人称視点のゲーム空間画像としてゲーム画像内に表示される。」

エ 「【0073】
図8は、本実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図であって、通常射撃時のゲーム画面の例に相当する。同図に示すように、ゲーム画面W2には、主に1人称視点によるゲーム空間画像9が表示される。画面中央領域12の縁部にはダメージゲージや方位ゲージなどの各種HUD表示(ヘッドアップディスプレイ表示)16が合成される。また、ゲーム空間画像9内に写る敵キャラクタ18のうち所定の索敵範囲内に存在するものには、それぞれ敵識別マーカ20A,20Bが合成表示される。
【0074】
次に、通常射撃について説明する。 ゲーム画面W2には、ゲームコントローラ1230が指し示す位置にポインタ10が表示される。ポインタ10は銃6の照準を兼ねており、ゲームコントローラ1230のトリガー1246を操作するとプレーヤキャラクタ4はポインタ10の位置が指し示す方向に射撃するように制御される。射撃とともにバイブレータ1251が作動する体感出力制御が実行され、ゲームコントローラ1230を持つ手にあたかも銃を撃ったかのような擬似的な体感を与える。」

オ 「【0079】
次に、本実施形態における近接動作である近接攻撃について説明する。 本実施形態では、図9の遷移図に示すように、ロックオンした敵キャラクタがプレーヤキャラクタから所定の近接攻撃可能範囲に存在、且つAボタン1244の押下が有った場合に、通常射撃や精密射撃可能な状態から更に近接攻撃が可能な状態に遷移し、ゲームコントローラ1230によるコントローラ運動操作の入力が可能になる。つまり、Aボタン1244は、3次元加速度センサ1248で検出した加速度を利用したコントローラ運動操作を利用する指示を入力する要求指示操作ともいえる。そして、ゲームコントローラ1230で基準以上の振り動作が3軸加速度センサ1248により検出されると近接攻撃操作入力が為されたと判断して、プレーヤキャラクタは近接攻撃をするように制御される。勿論、近接攻撃の操作入力は、公知の操作キー割当の設定(所謂「コントローラ設定」「キーコンフィグレーション設定」)によって、サブコントローラ1231の3軸加速度センサ1278に切り換え可能な構成とすることもできる。この場合、プレーヤの好みの操作系とすることができるので、より操作性を高めることができる。
【0080】
図11は、本実施形態におけるゲーム画面の一例を示す図であって、近接攻撃時のゲーム画面の例に相当する。ロックオンした敵キャラクタが近接攻撃可能な範囲に入ると、近接攻撃可能なロックオン対象であることを示す特別な敵識別マーク20Cが付与される。プレーヤは、敵識別マークの表示形態が変化したことで、近接攻撃可能な距離に接近した敵キャラクタがいることを認知することができる。ここで、ゲームコントローラ1230を振ると、3軸加速度センサ1248によって1Hz以上で反転する基準値以上の加速度が検出された場合に、近接攻撃の操作入力が為されたと判定する。そして、近接攻撃の操作入力は、ロックオンした敵キャラクタがプレーヤキャラクタから所定の近接攻撃可能範囲に存在する場合に受け付けられる。」

カ 「【0083】
[機能ブロックの説明] 次に、上述のようなFPSゲームを実行するための機能構成について説明する。 図12は、本実施形態における家庭用ゲーム装置1200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態では、操作入力部100と、位置基準情報提供部130と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
【0084】
操作入力部100は、プッシュボタンやレバー、タッチパッド、ダイヤル、キーボード、マウス、加速度センサ、傾斜センサ、速度センサ、撮像素子などの入力デバイスやセンサ類によって実現され、プレーヤによって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を処理部200に出力する。図1のゲームコントローラ1230及びサブコントローラ1231がこれに該当する。
【0085】
本実施形態の操作入力部100は、指示位置特定情報生成部102、運動状態量検出部104、体感出力部106及び通信部108を含む。
【0086】
指示位置特定情報生成部102は、例えば、ジョイスティックやタッチパッド、トラックボール、所定の基準点を撮影するイメージセンサ、所定の基準点までの距離を計測する距離計測センサなどによって実現され、ゲーム画面上に指示位置を特定するための指示位置特定情報を生成する。本実施形態では、位置基準情報提供部130から提供される光や電波信号などの相対的な位置変化検出の基準となる情報を検出して指示位置特定情報を生成する。指示位置特定情報生成部102は図2の撮像素子1256、位置基準情報提供部130は図1の光信号出力装置1226が該当する。
【0087】
運動状態量検出部104は、例えば加速度センサや傾斜センサ、速度センサ、角速度センサなどによって実現され、操作入力部100が現実空間中で動かされることに伴う速度や加速度、傾斜角度を運動状態量として検出する。本実施形態では、図2の3軸加速度センサ1248がこれに該当する。
【0088】
体感出力部106は、プレーヤの五感に体感させる出力をする。例えば、バイブレータ、スピーカ、フラッシュライトやLEDなどの発光素子、LCDなどの表示素子、フレグランスの放出器などによって実現される。本実施形態では、図2のバイブレータ1251、スピーカ1254がこれに該当する。
【0089】
通信部108は、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、外部装置との間でデータ通信を実現する。本実施形態では図2の近距離無線通信モジュール1252が該当し、通信部370と通信を実現する。
【0090】
処理部200は、例えばCPUやGPU、I/OコントローラICと言ったマイクロプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、各機能部との間でデータの入出力を行うとともに所定のプログラムやデータ及び操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、家庭用ゲーム装置1200の動作を制御する。本実施形態では、図1の制御ユニット1210が処理部200に該当する。
【0091】
そして、本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0092】
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に係る処理を実行する。例えば、3次元仮想空間中にゲーム空間を形成する処理や、ゲーム空間中に配置されたキャラクタ等のオブジェクトの配置制御処理、プレーヤキャラクタと敵キャラクタとの相対位置の算出処理、敵キャラクタ等のNPC(ノン・プレーヤキャラクタ)の自動制御処理、仮想カメラの撮影条件の変更処理、ヒット判定処理、物理演算処理、ダメージ量やゲームスコアなどのゲーム結果の判定処理等が実行対象に含まれる。
【0093】
また、本実施形態のゲーム演算部210は、指示位置認識部211と、射撃制御部212と、近接攻撃制御部214と、視線方向制御部216と、体感出力制御部218とを含む。
【0094】
指示位置認識部211は、本実施形態では特に、指示位置特定情報生成部102によって生成された指示位置特定情報に基づいてゲーム画面座標系における指示位置、すなわちゲーム画面座標系でのポインティング座標を求める。また、ゲーム画面座標系でのポインティング座標値から3次元仮想空間の座標系における3次元ポインティング座標を求める。3次元ポインティング座標は、仮想カメラのクリッピング面における指示位置である。
【0095】
射撃制御部212は、プレーヤキャラクタの射撃動作に係り、モデリングに射撃動作させる処理や、発射した銃弾の制御、ロックオンの設定/解除などの攻撃補助制御に関する制御を実行する。本実施形態では、通常射撃と精密射撃の射撃モードの切り換え制御、精密射撃モードにおけるプレーヤキャラクタの前後左右への移動制限、上下左右への向き変更制限に係る処理等を実行する。
【0096】
近接攻撃制御部214は、近接攻撃に係る制御を実行する。具体的には、先ず第1に所定の遷移条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合に通常射撃と精密射撃は可能であるが近接攻撃が不可な通常攻撃状態から、射撃に加え近接攻撃も可能な特殊攻撃許可状態へと遷移処理する。本実施形態では、前者から後者への遷移条件を、(1)敵キャラクタをロックオンし、(2)ロックオンした敵キャラクタが所定の近接攻撃可能範囲に存在し、(3)Aボタン1244の操作によるコントローラ運動操作制御の要求操作が有った、3つの条件のAND条件として説明するが、条件(3)を省略する構成としても良い。 そして第2に、特殊攻撃許可状態にある場合に、運動状態量検出部104によって検出された運動状態量に基づいて近接攻撃の操作入力の有無判定処理を実行し、プレーヤキャラクタに近接攻撃をさせる処理を実行する。 よって、近接攻撃制御部214の機能によって、ロックオンされている敵キャラクタが無い場合、又はロックオンされている敵キャラクタは有るが所定の近接攻撃可能範囲に入っていない場合には、近接攻撃の操作入力が有ったと判定してもプレーヤキャラクタに近接攻撃をさせる処理の実行を行わないようにできる。」

キ 「【0101】
画像生成部260は、例えば、GPUやデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのマイクロプロセッサ、その制御プログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等の公知技術によって実現される。そして、画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(1/60秒)で1枚のゲーム画像9を生成するとともに、ゲーム画像9にHUD表示16(82参照)やレティクル17、敵識別マーカ等を合成表示して最終的なゲーム画面W2の画像を生成し、その画像信号を画像表示部360に出力させる。
【0102】
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画面W2を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1のビデオモニタ1220に搭載されている画像表示装置1222が画像表示部360に該当する。
【0103】
通信制御部270は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部370を介して他の家庭用ゲーム装置との間でデータのやりとりを実現する。
【0104】
通信部370は、例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、外部装置との間でデータ通信を実現する。本実施形態では、操作入力部100の通信部108との間でのデータ通信も実現する。図1では通信装置1212、近距離無線通信モジュール1214がこれに該当する。
【0105】
記憶部500は、予め定義されたプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられて処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。
【0106】
本実施形態における記憶部500は、処理部200にゲーム装置1200を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラム501や、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム502並びに各種データ等を記憶する。処理部200がゲームプログラム502を読み出して実行することによって、処理部200にゲーム演算部210としての機能を実現させることができる。」

ク 「【0146】
視線方向変更処理を終了したならば図16のフローに戻る。ゲーム演算部210は次に、コントローラ運動操作を行う旨の要求操作が有ったか否かを判定する(ステップS63)。本実施形態では、Aボタン1244に操作入力が為された場合に肯定判定する。 そして、コントローラ運動操作の要求操作が有ったと判定した場合(ステップS63のYES)、更に検知加速度に基づく近接攻撃の操作入力の有無を判定する(ステップS64)。本実施形態では、3軸加速度センサ1248で検出される加速度が基準値以上の大きさで且つ1Hz以上の反転周期を伴う場合、つまりゲームコントローラ1230を振るといった往復動操作を検出した場合に、近接攻撃の操作入力が有ったと判定する。
【0147】
そして、近接攻撃の操作入力が有ったと判定した場合(ステップS64のYES)、ゲーム演算部210はロックオンフラグ530と近接攻撃可能フラグ532とを参照する(ステップS66)。そして、これらのフラグがともに「1」の場合には(ステップS66のYES)、ロックオンしている敵キャラクタを近接攻撃するようにプレーヤキャラクタを制御する(ステップS68)。一方、近接攻撃の操作入力がなかった場合(ステップS64のNO)、及び近接攻撃の操作入力は有ったがロックオンフラグ530が「0」の場合や近接攻撃可能フラグ532が「0」の場合(ステップS66のNO)には、近接攻撃の操作入力が為されてもプレーヤキャラクタに近接攻撃させる制御は行われない。
【0148】
次に、ゲーム演算部210は、射撃操作の入力が有ったか否かを判定する(ステップS70)。本実施形態では、トリガー1236に操作入力が為されたことを検出すると射撃操作入力が有ったと判定する。そして、射撃操作入力が有った場合(ステップS70のYES)、公知のFPSゲームと同様にポインタ10の指し示す所に向けて射撃するようにプレーヤキャラクタを制御する(ステップS72)。 具体的には、例えば、ポインティング座標526からクリップ面における3次元座標系における3次元ポインティング座標を算出する。そして、仮想カメラ2の視点位置からこの3次元ポインティング座標を通る直線と、ロックオン対象識別情報528に設定されている敵キャラクタのオブジェクトとの交点位置を求め、この交点位置を標的として射撃するようにプレーヤキャラクタの動作(射撃)を制御する。
【0149】
このように、ゲームコントローラ1230を向ける方向で照準位置を入力する所謂ポインティングによる操作入力を基本とした形態では、照準の向きを変える操作に伴う加速度を検出してしまう。そのため、ゲームコンコントローラ1230にかかる加速度に応じて別の操作入力(本実施形態では、近接攻撃の操作入力)ができるように設計しても加速度に応じた操作入力を正しく区別することができないといった事態が生じ得た。しかし、ロックオンフラグ530と近接攻撃可能フラグ532が共に「1」になるといった特定の条件を満たす場合に限って加速度に応じた操作入力を受け付けることで、これを可能にすることができる。
【0150】
プレーヤキャラクタ操作処理を終了したならば図15のフローに戻り、ゲーム演算部210は次に、射撃モードの設定に応じて仮想カメラの撮影条件とHUD表示の設定を変更する処理を実行する(ステップS12)。具体的には、精密射撃モードフラグ534が「1」の場合には射撃モードが精密射撃に設定されているので、仮想カメラの画角を通常射撃の場合よりも狭めて望遠撮影している状態に変更する。つまり、狙撃ライフルのライフルスコープを通して見ているかのような撮影条件とする。更に、精密射撃モードフラグ534が「1」の場合にはHUD表示を、あたかもライフルスコープを覗いているかのように見せる特別な表示形態に設定を変更する(ステップS12)。
【0151】
次に、画像生成部260が仮想カメラからゲーム空間を撮影したゲーム空間画像を生成する(ステップS14)。そして、敵識別マーク設定データ520を参照して、生成したゲーム空間画像に写っている敵キャラクタ毎に、現在のロックオンフラグ530及び近接攻撃可能フラグ532に応じて、敵識別マーク設定データ520で定義されている敵識別マーク20A,20B,20Cのいずれかを合成する(ステップS16)。
【0152】
次に、画像生成部260は、HUD表示などの合成を実行して最終的なゲーム画像を生成し、画像表示部360に出力して表示させる(ステップS18)。」

ケ 「【0164】
コントロール装置1022は、プレーヤがゲームに係る操作を入力するための装置であり、その機能は、レバー、ボタン、タッチパネル、ダイヤル、ポインティングデバイス等のハードウェアにより実現される。尚、このコントロール装置1022は、図12の操作入力部100に相当するものである。」

コ 「【図1】



上記ア?コの記載より、特に下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「家庭用ゲーム装置1200のゲーム装置本体1201は、例えばCPUや画像処理用LSI、ICメモリ等が実装された制御ユニット1210と、光学ディスク1202やメモリカード1204といった情報記憶媒体の読み取り装置1206,1208を備え、
制御ユニット1210は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリなどの電気電子機器を備え、演算処理等を行って家庭用ゲーム装置1200の各部を制御し、
制御ユニット1210は、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)といった通信回線1と接続して外部装置との間でデータ通信を実現する通信装置1212と、近距離無線通信モジュール1214とを備え、
近距離無線通信モジュール1214は、近距離無線を介して複数のゲームコントローラ1230それぞれから送信される操作入力信号を受信したり、ゲームコントローラ1230に所定の信号を送信したりするものであり、
ゲーム装置本体1201の制御ユニット1210は、ゲームコントローラ1230から受信した検出信号や操作入力信号に基づいてゲーム画像やゲーム音を生成してビデオゲームを実行し、
生成されたゲーム画像やゲーム音は、信号ケーブル1209で接続されたディスプレイモニタ1220に出力され、ディスプレイモニタ1220には、画像を表示する画像表示装置1222と、音声を出力するスピーカ1224とが備えられており、プレーヤは画像表示装置1222に映し出されるゲーム画像を見ながら、スピーカ1224から放音されるゲーム音を聞きつつゲームを楽しむものであり、
ゲームコントローラ1230は、左右下端が面取りされた断面を有する略四角柱状の棒状の外形を有しており、棒状の下側には把持部1232が形成され、中央よりもやや上方位置から断面が小さく絞られて主操作部1234が形成されており、
プレーヤは、棒を掴む要領で把持部1232を持ち、持ち手の親指や人差し指で主操作部1234や把持部1232に設けられた各種入力デバイスを操作し、
入力デバイスとしては、ゲームコントローラ1230の正面側には、方向入力キー1242とAボタン1244とを備え、裏面側にはトリガー1246を備え、Aボタン1244及びトリガー1246は、指接触を検出するタッチセンサやレバー、ダイヤルなどを用いて実現することもでき、
ゲームコントローラ1230は、コントローラの実空間中の運動状態量を検出するための手段である3軸加速度センサ1248及び撮像素子1256を備え、また、拡張端子1250と、バイブレータ1251と、スピーカ1254と、近距離無線通信モジュール1252と、内蔵バッテリー1258と、コントローラ制御ユニット1260とを備え、
3軸加速度センサ1248は、ゲームコントローラ1230の長手方向をX軸、左右方向をY軸、表裏方向をZ軸とする3軸方向の加速度を検出することによって、ゲームコントローラ1230の姿勢変化や動きを検出し、コントローラ制御ユニット1260に出力し、
近距離無線通信モジュール1252は、ゲーム装置本体1201の近距離無線通信モジュール1214と無線通信し、ゲームコントローラ1230とゲーム装置本体1201との間でデータ通信を実現し、例えば、入力デバイスに為された操作入力に応じた操作入力信号や、3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号、或いは拡張端子1250から入力された信号をゲーム装置本体1201へ出力し、
ゲームは、3次元仮想空間に形成されたゲーム空間内で銃とサーベルを備えたプレーヤキャラクタの兵士と、敵キャラクタである複数のロボットとが対戦するFPSゲームであり、プレーヤキャラクタは、プレーヤが操作するキャラクタ(自キャラクタ)であり、
仮想カメラ2は、プレーヤキャラクタ4の頭部に固定されており、常にプレーヤキャラクタ4の前方方向を向いてゲーム空間を撮影し、仮想カメラ2で撮影された画像は、従来のFPSゲームと同様に一人称視点のゲーム空間画像としてゲーム画像内に表示され、
ゲームジャンルはFPSゲームに限らず、TPSゲームでも良く、
ゲーム画面W2には、主に1人称視点によるゲーム空間画像9が表示され、
ゲーム画面W2には、ゲームコントローラ1230が指し示す位置にポインタ10が表示され、ポインタ10は銃6の照準を兼ねており、ゲームコントローラ1230のトリガー1246を操作するとプレーヤキャラクタ4はポインタ10の位置が指し示す方向に射撃するように制御され、
ロックオンした敵キャラクタがプレーヤキャラクタから所定の近接攻撃可能範囲に存在、且つAボタン1244の押下が有った場合に、通常射撃や精密射撃可能な状態から更に近接攻撃が可能な状態に遷移し、ゲームコントローラ1230によるコントローラ運動操作の入力が可能になり、ゲームコントローラ1230で基準以上の振り動作が3軸加速度センサ1248により検出されると近接攻撃操作入力が為されたと判断して、プレーヤキャラクタは近接攻撃をするように制御され、
家庭用ゲーム装置1200の機能構成の一例を示す機能ブロックとして、操作入力部100と、位置基準情報提供部130と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備えており、
操作入力部100は、プッシュボタンやレバー、タッチパッド、ダイヤル、キーボード、マウス、加速度センサ、傾斜センサ、速度センサ、撮像素子などの入力デバイスやセンサ類によって実現され、プレーヤによって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を処理部200に出力するものであり、図1のゲームコントローラ1230及びサブコントローラ1231がこれに該当し、
操作入力部100は、指示位置特定情報生成部102、運動状態量検出部104、体感出力部106及び通信部108を含み、
指示位置特定情報生成部102は、例えば、ジョイスティックやタッチパッド、トラックボール、所定の基準点を撮影するイメージセンサ、所定の基準点までの距離を計測する距離計測センサなどによって実現され、ゲーム画面上に指示位置を特定するための指示位置特定情報を生成し、
運動状態量検出部104は、例えば加速度センサや傾斜センサ、速度センサ、角速度センサなどによって実現され、操作入力部100が現実空間中で動かされることに伴う速度や加速度、傾斜角度を運動状態量として検出し、
通信部108は、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、外部装置との間でデータ通信を実現するものであり、近距離無線通信モジュール1252が該当し、通信部370と通信を実現し、
処理部200は、例えばCPUやGPU、I/OコントローラICと言ったマイクロプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、各機能部との間でデータの入出力を行うとともに所定のプログラムやデータ及び操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、家庭用ゲーム装置1200の動作を制御するものであり、図1の制御ユニット1210が処理部200に該当し、
処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備え、
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に係る処理を実行し、例えば、3次元仮想空間中にゲーム空間を形成する処理や、ゲーム空間中に配置されたキャラクタ等のオブジェクトの配置制御処理、プレーヤキャラクタと敵キャラクタとの相対位置の算出処理、敵キャラクタ等のNPC(ノン・プレーヤキャラクタ)の自動制御処理、仮想カメラの撮影条件の変更処理、ヒット判定処理、物理演算処理、ダメージ量やゲームスコアなどのゲーム結果の判定処理等が実行対象に含まれ、
ゲーム演算部210は、指示位置認識部211と、射撃制御部212と、近接攻撃制御部214と、視線方向制御部216と、体感出力制御部218とを含み、
指示位置認識部211は、指示位置特定情報生成部102によって生成された指示位置特定情報に基づいてゲーム画面座標系における指示位置、すなわちゲーム画面座標系でのポインティング座標を求め、
射撃制御部212は、プレーヤキャラクタの射撃動作に係り、モデリングに射撃動作させる処理や、発射した銃弾の制御、ロックオンの設定/解除などの攻撃補助制御に関する制御を実行し、
近接攻撃制御部214は、近接攻撃に係る制御を実行するものであり、具体的には、先ず第1に所定の遷移条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合に通常射撃と精密射撃は可能であるが近接攻撃が不可な通常攻撃状態から、射撃に加え近接攻撃も可能な特殊攻撃許可状態へと遷移処理し、そして第2に、特殊攻撃許可状態にある場合に、運動状態量検出部104によって検出された運動状態量に基づいて近接攻撃の操作入力の有無判定処理を実行し、プレーヤキャラクタに近接攻撃をさせる処理を実行し、
画像生成部260は、例えば、GPUやデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのマイクロプロセッサ、その制御プログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等の公知技術によって実現され、画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(1/60秒)で1枚のゲーム画像9を生成するとともに、ゲーム画像9にHUD表示16やレティクル17、敵識別マーカ等を合成表示して最終的なゲーム画面W2の画像を生成し、その画像信号を画像表示部360に出力させ、
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画面W2を表示し、例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現でき、図1のビデオモニタ1220に搭載されている画像表示装置1222が画像表示部360に該当し、
通信制御部270は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部370を介して他の家庭用ゲーム装置との間でデータのやりとりを実現し、
通信部370は、例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、外部装置との間でデータ通信を実現し、操作入力部100の通信部108との間でのデータ通信も実現し、
ゲーム演算部210は、コントローラ運動操作を行う旨の要求操作が有ったか否かを判定し、
コントローラ運動操作の要求操作が有ったと判定した場合、更に検知加速度に基づく近接攻撃の操作入力の有無を判定し、3軸加速度センサ1248で検出される加速度が基準値以上の大きさで且つ1Hz以上の反転周期を伴う場合、つまりゲームコントローラ1230を振るといった往復動操作を検出した場合に、近接攻撃の操作入力が有ったと判定し、
近接攻撃の操作入力が有ったと判定した場合、ゲーム演算部210はロックオンフラグ530と近接攻撃可能フラグ532とを参照し、これらのフラグがともに「1」の場合には、ロックオンしている敵キャラクタを近接攻撃するようにプレーヤキャラクタを制御し、
ゲーム演算部210は、射撃操作の入力が有ったか否かを判定し、トリガー1236に操作入力が為されたことを検出すると射撃操作入力が有ったと判定し、
射撃操作入力が有った場合、ポインタ10の指し示す所に向けて射撃するようにプレーヤキャラクタを制御し、
画像生成部260が仮想カメラからゲーム空間を撮影したゲーム空間画像を生成し、
画像生成部260は、HUD表示などの合成を実行して最終的なゲーム画像を生成し、画像表示部360に出力して表示させ、
コントロール装置1022は、プレーヤがゲームに係る操作を入力するための装置であり、その機能は、レバー、ボタン、タッチパネル、ダイヤル、ポインティングデバイス等のハードウェアにより実現され、このコントロール装置1022は、操作入力部100に相当するものである、
ゲーム装置本体1201。」

2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

「[0004] 現状、HMDは2種類に大別できる。そのひとつは、没入型のHMDである。没入型のHMDは、外界から遮断された環境下で目の至近距離に配置された液晶ディスプレイを有しており、その液晶ディスプレイに画像を表示する。この方式はゲームなどで利用される場合が多い。
[0005] 他のひとつは、シースルー型のHMDである。シースルー型のHMDは、例えば、眼鏡のような形状をしていて、レーザー光を照射してレンズに画像を表示する。
[0006] 両HMDを比較すると、前者は視界が遮られてしまうため、用途が限られる。それに対し、後者は、視界が遮られずに表示を見ることができる。そのため、シースルー型のHMDは、特にウェアラブル機器向けの表示装置として期待されている。」

上記記載より、特に下線部に着目すると、引用文献2には、以下の事項が記載されていると認められる。

「HMDは、没入型とシースルー型に大別され、没入型のHMDは、外界から遮断された環境下で目の至近距離に配置された液晶ディスプレイを有しており、ゲームなどで利用される場合が多いこと。」

3 引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0023】
<第1の実施形態>
[情報表示装置]
図1は、本技術の一実施形態に係る情報表示装置を示す模式的な斜視図である。本実施形態の情報表示装置100は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)1と、入力デバイス2とを有する。
【0024】
HMD1は、本実施形態において、透過型HMDとして構成される。HMD1は、全体としてメガネ型の形状を有し、ユーザが頭部に装着して外界を視認しつつ、入力デバイス2から出力された情報に基づく画像をユーザに提示させることが可能に構成される。
【0025】
入力デバイス2は、無線でHMD1と通信可能に接続されているが、ケーブル等によって有線でHMD1と通信可能に構成されてもよい。本実施形態では、入力デバイス2は、例えばタッチパネルを有する携帯端末で構成され、インターネット等にも接続されることが可能に構成される。また、入力デバイス2は、HMD1のいわゆるリモートコントローラとして機能し、HMD1の各種設定等に関する入力操作が可能に構成されることも可能である。」

「【0030】
図2は、入力デバイス2の内部構成を示すブロック図である。入力デバイス2は、筐体2Aと、入力操作面21と、タッチセンサ22と、感圧センサ23と、表示素子24と、制御部25と、記憶部26と、送受信器27と、通信部28と、バッテリBTとを有する。タッチセンサ22と、感圧センサ23とは、本実施形態において「センサ部」を構成する。
【0031】
タッチセンサ22は、入力操作面21とほぼ同一の形状及び大きさのパネル形状を有する。タッチセンサ22は、入力操作面21の直下に配置され、入力操作面21に接触する検出対象(指)を検出する。タッチセンサ22は、入力操作面21上の検出対象のxy平面上での動きに対応する座標位置を検出し、その座標位置に応じた検出信号を出力する。
【0032】
タッチセンサ22は、本実施形態において、入力操作面21に接触する検出対象を静電的に検出することが可能な静電容量方式のタッチパネルが用いられる。・・・(後略)」

「【0036】
表示素子24は、入力操作面21及びタッチセンサ22の直下に配置される。本実施形態における表示素子24としては特に限られず、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いることが可能である。これにより、入力操作面21に文字や絵柄等の画像を表示させることが可能となる。
【0037】
制御部25は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro-Processing Unit)で構成される。本実施形態において制御部25は、演算部251と信号生成部252とを有し、記憶部26に格納されたプログラムに従って各種機能を実行する。演算部251は、タッチセンサ22及び感圧センサ23から出力される電気的な信号に対して所定の演算処理を実行し、入力操作面21に接触する検出対象の相対位置に関する情報を含む操作信号を生成する。信号生成部252は、これらの演算結果に基づいて、表示素子24に画像を表示させるための画像信号を生成する。制御部25は、タッチセンサ22を駆動するための駆動回路を有し、本実施形態において当該駆動回路は演算部251に組み込まれる。
【0038】
演算部251は、具体的には、タッチセンサ22及び感圧センサ23から出力される信号に基づいて、入力操作面21上における指のxy座標位置及び接触圧を算出する。さらに、演算部251は、上記算出結果に基づき、例えば、検出対象が所定のxy座標位置にあることが検出され、さらに、その座標位置において所定の閾値以上の接触圧が検出された場合、その座標位置に対応するGUIに割り当てられた所定の処理を実行する。演算部251によるこれらの処理結果は、信号生成部252に送信される。
【0039】
信号生成部252では、演算部251から送信された処理結果に基づき、表示素子24に表示させる画像を形成するための画像信号を生成する。この際、信号生成部252は、入力操作面21上の画像の検出対象のxy座標位置に対応する位置にポインタあるいは輝度、彩度の変化した領域等の補助画像を表示させる信号を生成することも可能である。また、信号生成部252は、検出対象の接触圧に応じて、補助画像の表示形態を変化させる信号を生成することも可能である。
【0040】
制御部25の演算部251で算出されたxy座標位置及び接触圧に関する操作信号と、信号生成部252で生成された画像信号とは、送受信器27を介してHMD1へ送信されるように構成される。また図示せずとも、入力装置2は、タッチセンサ22や感圧センサ23から出力される検出信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/Dコンバータや、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータを含む。」

「【0044】
[HMD]
HMD1は透過型HMDであり、ユーザに外界を視認させつつ、その視野領域に所定の画像を提示することが可能に構成される。本実施形態に係るHMD1は、画像表示装置11と、支持部16とを有し、全体としてメガネ型の形状を有する。例えば、HMD1として透過型のHMDを採用することにより、入力デバイス2の操作中であっても外界を視認することが可能となり、操作中の安全性を向上させることができる。」

「【0047】
図3は、画像表示装置11の内部構成を示すブロック図である。画像表示装置11は、本実施形態において、筐体11Aと、送受信器(受信部)12と、制御部13と、画像表示素子14と、記憶部15とを有する。本実施形態においては、制御部13が「表示処理部」を構成する。
【0048】
送受信器12は、入力デバイス2の送受信器27から出力され、入力操作面21に接触する検出対象のxy座標位置及び接触圧に関する情報を含む操作信号を受信する。さらに、入力デバイス2の入力操作面21に表示される画像の画像信号を受信することも可能である。・・・(中略)・・・
【0049】
制御部13は、典型的には、CPUあるいはMPUで構成され、記憶部15に格納されたプログラムに従って各種機能を実行する。本実施形態において制御部13は、送受信器12により受信された操作信号及び画像信号に基づき、ユーザに提示される画像を画像表示素子14に形成させるための制御信号を生成する。これにより、例えば入力操作面21に表示された画像と同様の画像に、検出対象の位置を示す補助画像が重畳した操作画像を、画像表示素子14に表示させることが可能となる。補助画像の形状は特に限られず、例えば環状(リング状)のポインタ、あるいは輝度、彩度の変化した領域等で構成される。」

「【0058】
図4は、HMD1(制御部13)及び入力デバイス2(制御部25)の一動作例におけるフローチャートである。図5は、情報表示装置100の典型的な動作例を説明する図であり、(A)は、ユーザが入力操作を行っている入力デバイス2の入力操作面21を示し、(B)は、HMD1を介してユーザに提示される操作画面を示す。ここでは、ユーザがHMD1を装着し、入力デバイス2の入力操作面21上の所定位置で押し込み操作を行った際の情報表示装置100の動作例を示す。なお、図中のX軸方向及びY軸方向は、入力操作面21のx軸方向及びy軸方向にそれぞれ対応し、いずれも直交する平面方向を示す。Z軸方向は、入力操作面21のz軸方向に対応し、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ直交する方向を示す。
【0059】
起動された入力デバイス2の入力操作面21上には、例えば、GUIが多数表示された画像v1が表示されている(図5(A))。画像v1は、例えばHMD1の各種設定のメニュー選択画面であり、各GUIは、HMD1の消音モードへの切り替え、音量調節、操作画像の拡大・縮小あるいはポインタの表示形態の変更等に対応している。すなわち、入力デバイス2は、ユーザによって特定のGUIが選択されることで、HMD1の設定を変更することが可能に構成される。
【0060】
この際、入力デバイス2と接続され、起動されたHMD1を装着したユーザにも、HMD1を介して視野領域に画像v1と同様の画像V1が提示される。
【0061】
入力デバイス2は、タッチセンサ22によって入力操作面21上でのユーザの指(検出対象)の接触を判定する(ステップST101)。接触が検出された際(ステップST101でYES)、タッチセンサ22は、指が接触した入力操作面21上のxy座標位置に関する検出信号を制御部25へ出力する。
【0062】
制御部25の演算部251は、上記検出信号に基づいて、入力操作面21上における指のxy座標位置を算出する(ステップST102)。演算部251によって算出されたxy座標位置に関する信号は、送受信器27に出力される。
【0063】
送受信器27は、HMD1の送受信器12に上記xy座標位置に関する操作信号を送信する。
【0064】
HMD1の制御部13は、送受信器12で受信した操作信号及び画像信号に基づいて、画像V1に検出対象の位置を示す補助画像(ポインタP)が重畳した操作画像V10を制御する信号を生成する。この制御信号が出力された画像表示素子14は、ユーザに操作画像V10を提示する(ステップST103、図5(B))。これにより、ユーザは、手元の入力操作面21を見ずとも、HMD1によって提示される操作画像V10上のポインタPの動きを確認することで、所望の操作を行うことが可能となり、ユーザの直感に即した操作を行うことが可能となる。なお、この際、入力操作面21に表示される画像は、画像v1のみであってもよいし、画像v1にポインタ等が重畳された画像であってもよい。」

「【0119】
また、以上の実施形態では透過型のHMDとして説明したが、これに限られず、非透過型のHMDとすることも可能である。この場合も、ユーザは、HMDによって提示される画像を視認しつつ操作を行うことによって、入力デバイスの入力操作面を見ずとも直感に即した操作が可能となる。」

「【図1】



「【図5】



上記記載より、特に下線部に着目すると、引用文献3には、以下の事項が記載されていると認められる。

「入力デバイス2から出力された情報に基づく画像をユーザに提示させることが可能に構成される、非透過型とすることも可能であるヘッドマウントディスプレイ(HMD)1であって、
入力デバイス2は、無線でHMD1と通信可能に接続され、タッチパネルを有する携帯端末で構成され、
入力デバイス2は、筐体2Aと、入力操作面21と、タッチセンサ22と、感圧センサ23と、表示素子24と、制御部25と、記憶部26と、送受信器27と、通信部28とを有し、
タッチセンサ22は、入力操作面21の直下に配置され、入力操作面21に接触する検出対象(指)を検出し、入力操作面21に接触する検出対象を静電的に検出することが可能な静電容量方式のタッチパネルが用いられ、
表示素子24は、入力操作面21及びタッチセンサ22の直下に配置され、
制御部25は、演算部251と信号生成部252とを有し、
演算部251は、タッチセンサ22及び感圧センサ23から出力される信号に基づいて、入力操作面21上における指のxy座標位置及び接触圧を算出し、
信号生成部252では、演算部251から送信された処理結果に基づき、表示素子24に表示させる画像を形成するための画像信号を生成し、
制御部25の演算部251で算出されたxy座標位置及び接触圧に関する操作信号と、信号生成部252で生成された画像信号とは、送受信器27を介してHMD1へ送信されるように構成され、
HMD1は、画像表示装置11と、支持部16とを有し、
画像表示装置11は、筐体11Aと、送受信器(受信部)12と、制御部13と、画像表示素子14と、記憶部15とを有し、
送受信器12は、入力デバイス2の送受信器27から出力され、入力操作面21に接触する検出対象のxy座標位置及び接触圧に関する情報を含む操作信号を受信し、さらに、入力デバイス2の入力操作面21に表示される画像の画像信号を受信し、
制御部13は、送受信器12により受信された操作信号及び画像信号に基づき、ユーザに提示される画像を画像表示素子14に形成させるための制御信号を生成するものであり、これにより、入力操作面21に表示された画像と同様の画像に、検出対象の位置を示す補助画像が重畳した操作画像を、画像表示素子14に表示させることが可能となり、
ユーザがHMD1を装着し、入力デバイス2の入力操作面21上の所定位置で押し込み操作を行った際の動作例では、入力デバイス2の入力操作面21上には、HMD1の各種設定のメニュー選択画面であり、HMD1の設定を変更することが可能に構成された画像v1が表示され、この際、入力デバイス2と接続され、起動されたHMD1を装着したユーザにも、HMD1を介して視野領域に画像v1と同様の画像V1が提示され、
HMD1の制御部13は、送受信器12で受信した操作信号及び画像信号に基づいて、画像V1に検出対象の位置を示す補助画像(ポインタP)が重畳した操作画像V10を制御する信号を生成し、この制御信号が出力された画像表示素子14は、ユーザに操作画像V10を提示し、これにより、ユーザは、手元の入力操作面21を見ずとも、HMD1によって提示される操作画像V10上のポインタPの動きを確認することで、所望の操作を行うことが可能となり、ユーザの直感に即した操作を行うことが可能となる、
非透過型とすることも可能であるヘッドマウントディスプレイ(HMD)1。」

4 引用文献4について
当審拒絶理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
図1は、空間没入型双方向マルチディスプレイヒューマンマシンインターフェースを提供するシステムSの非限定的実施例を示す。非限定的実施例におけるシステムSは、2つのディスプレイ装置SD、MDを含む。一方は可動(例えば把持可能)型であり、他方は静止型である。実施形態における可動型ディスプレイMDは、使用中に自由空間内で物理的に動かすことが可能であり、静止型ディスプレイSDは、使用中に空間内で物理的に相対的に静止している。無論、家庭用テレビなどの静止型ディスプレイSDはある場所から別の場所に移動させることはできるが、使用中は概して動かされない(あるいはあまり動かされない)。静止型ディスプレイSDの相対的に固定された位置によって、物理的に静止しているディスプレイSDと可動型ディスプレイMDとの物理的な相関関係が提供される。したがって用語「静止型」は必ずしも絶対的に動かないことを意味するわけではなく、使用中に概して動かされない(あるいはあまり動かされない)ディスプレイを含み得る。別の非限定的実施形態では、静止型ディスプレイSDも可動であるか、または部分的に可動であり得る。
【0016】
1以上のグラフィックスソースGは、コンピュータで生成された画像または他の画像を表示するようにディスプレイ装置SD、MDを制御するか、または該表示を可能にする。図示する非限定的実施例では、ディスプレイ装置SD、MDは空間的な相関関係を有し、共通の仮想世界の様子であって、例えば異なる視点または視界からの様子をそれぞれ表示する。
【0017】
ディスプレイ装置SDが静止型である場合、3D空間内でのその位置および姿勢は想定することができ、測定する必要はない。センサTは、例えばMARG(「磁気・角速度・重力」)技術を用いて、可動型ディスプレイ装置MDの、変化し得る空間特性である姿勢または他の向きを測定する。
【0018】
グラフィックスソースGは、センサTからの情報に応じて、ディスプレイ装置SD、MDの一方または両方に表示された画像を制御するように構成されている。例えばグラフィックスソースGは、センサTから情報を受け取り、受け取ったセンサ情報に基づいて上記表示された画像を制御する処理回路を含んでもよいし、上記処理回路と通信してもよい。」

「【0061】
上記のように、非限定的ディスプレイ装置MDは、スタイラス(図8E参照)または指(図8B参照)で触れることによって制御可能なタッチスクリーンTSを有する。タッチスクリーンを用いて、手書き、ジェスチャー入力などを含む様々な入力を提供することができる。
【0062】
センサTはディスプレイ装置MDの姿勢を決定する。センサTはディスプレイ装置MD内に収容してもよいし、ディスプレイ装置MD外に配置してもよい。あるいは一部のセンサをディスプレイ装置MD内に収容し、他のセンサをディスプレイ装置MD外に配置してもよい。センサTの構成の非限定的例の更なる詳細は、全体を参考のためここに援用する2011年2月2日出願の米国特許出願13/0199924および米国特許出願13/0199928に記載されている。特別な解決法またはアプリケーションは2D用の「MARG」のうちG(重力)のみ、M(磁気)のみ、またはMG(磁気+ジャイロ)のみ、より少ないまたは低減した動きのアプリケーション、特別なゲームのアプリケーション、または他のアプリケーションを用いてもよい。
【0063】
特定の一実施形態では、センサTはディスプレイ装置MDと、可動型ディスプレイMDを固定的に取付可能な可動付属デバイスとの間に広がる「MARG」センサ列を含んでもよい(図9A、9B参照)。例えばMARGの磁気計は付属デバイス内に配置することができ、MARGの加速度計およびジャイロセンサは可動型ハンドヘルドディスプレイ装置MDのハウジング内に配置することができる。可動型ディスプレイ装置MDと付属デバイスとは連結されており、その電気接続は、付属デバイス内の磁気計が可動型ハンドヘルド可能ディスプレイ装置MDからのパワーを受け取り、かつ可動型ディスプレイ装置が磁気計からのデータを受け取るようにすることができる。他の方法も可能である。
【0064】
別の実施形態では、図1に示すセンサTは任意の所望のセンサ、例えば、機械、音声、超音波、カメラ、光学、赤外線、磁気、電磁(例えば高周波またはマイクロ波)、慣性、ジャイロスコープ、加速度に基づく、基準マーカ(フィデューシャル)に基づく、外側から内側を見る、内側から外側を見る、GPS、携帯電話および/またはこれらのいずれかの組み合わせなどを含んでもよい。」

上記記載より、特に下線部に着目すると、引用文献4には、以下の事項が記載されていると認められる。

「2つのディスプレイ装置SD、MDを含むシステムSにおいて、
可動型ディスプレイMDは、使用中に自由空間内で物理的に動かすことが可能であり、
グラフィックスソースGは、コンピュータで生成された画像または他の画像を表示するようにディスプレイ装置SD、MDを制御し、
グラフィックスソースGは、センサTからの情報に応じて、ディスプレイ装置SDに表示された画像を制御するように構成されており、
センサTはディスプレイ装置MD内に収容されており、
センサTは任意の所望のセンサ、例えば、機械、音声、超音波、カメラ、光学、赤外線、磁気、電磁(例えば高周波またはマイクロ波)、慣性、ジャイロスコープ、加速度に基づく、基準マーカ(フィデューシャル)に基づく、外側から内側を見る、内側から外側を見る、GPS、携帯電話および/またはこれらのいずれかの組み合わせなどを含んでもよいこと。」

5 引用文献Bについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は本発明の表示装置を使用者の頭部に装着した図である。表示装置はディスプレイ2とコンピュータ3に大別され、ディスプレイ2は、コンピュータ3からの画像信号に基づき画像表示する。なお、図示していないが、ディスプレイ2は、コンピュータ3からの信号に対応する画像表示光を出射する表示器を内蔵しており、表示器からの表示光は、ディスプレイ2の先端に設けたコンバイナ4に出射される。コンバイナ4では表示光を使用者の眼に向けて反射させるとともに外界光を透過させる。例えば、コンバイナ4には図1(b)に示すようなコンピュータ画面5が表示される。コンピュータ画面5は、縦罫線を表わすアルファベット、横罫線を表わす数字、カーソル6、作業指示情報などのハイパーテキスト形式の電子マニュアルが表示されている。
【0011】1はマイクであり、使用者の音声を採取してケーブル(図示せず)を介してコンピュータ3に音声信号を入力する。このマイク1及び前記したディスプレイ2は使用者が装着しているヘルメット8に保持されている。マイク1は、例えば使用者の前方等の特定方向の空間の音声を採取する指向性を有するものでもよいし、使用者の全周囲の音声を採取するものであってもよい。また、ディスプレイ2等は固定するのはヘルメットに限らず、ヘッドホルダなどの他の固定方法であってもよい。
【0012】コンピュータ3の内部構造は、図2に示す通りで、サウンドカード7が搭載されており、マイク1の音声信号101はサウンドカード7のADコンバータ102にてデジタル音声信号103に変換される。この信号は入力インターフェース104を介して、音声認識ソフトウエア106を用いCPU105にて処理される。音声認識ソフトウエア106では、デジタル音声信号103から環境音等の雑音成分を取り除き、各周波数におけるパワースペクトルを測定する。このパワースペクトルの形状は音毎に特徴的な形状をしており、入力音声のパワースペクトルの特徴量を音声認識ソフトウエア106の持つ各音モデル毎の特徴量と比較し、言葉に復号している。この復号された言葉は、音声コマンドとしてコンピュータ内のCPU105で処理する。CPU105には、この音声コマンドが入力された時の処理をプログラミングしており、使用者が特定の音声コマンドを発声することにより、コンピュータ画面5の任意の位置にカーソルを移動させたり、画面を切り換えたりする。」

上記記載より、特に下線部に着目すると、引用文献Bには、以下の事項が記載されていると認められる。

「マイク1で使用者の音声を採取し、ケーブルを介してコンピュータ3に音声信号を入力し、
マイク1の音声信号101はサウンドカード7のADコンバータ102にてデジタル音声信号103に変換され、この信号は入力インターフェース104を介して、音声認識ソフトウエア106を用いCPU105にて処理されて言葉に復号され、この復号された言葉は、音声コマンドとしてコンピュータ内のCPU105で処理し、
CPU105には、この音声コマンドが入力された時の処理をプログラミングしており、使用者が特定の音声コマンドを発声することにより、コンピュータ画面5の任意の位置にカーソルを移動させたり、画面を切り換えたりすること。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「画像表示部360」は、「ヘッドマウントディスプレイ」によって実現できるものであるから、引用発明の「画像表示部360」と、本願発明1の「没入型のヘッドマウントディスプレイ」とは、「ヘッドマウントディスプレイ」である点で共通する。

イ 引用発明の「ゲーム装置本体1201」は、ビデオゲームを実行し、3次元仮想空間中にゲーム空間を形成してゲーム画面の画像を生成し、その画像信号を「ヘッドマウントディスプレイ」によって実現できる「画像表示部360」に出力してゲーム画面を表示させるものであるから、引用発明の「ゲーム空間」は、本願発明1の「仮想空間」に相当し、引用発明の「ゲーム装置本体1201」は、本願発明1の「ヘッドマウントディスプレイを介して仮想空間を提供するためのコンピュータ」に相当する。また、引用発明の「ゲーム装置本体1201」の「処理部200」は、「所定のプログラム」に基づいて各種の演算処理を実行して、家庭用ゲーム装置1200の動作を制御するものであり、当該「所定のプログラム」は、本願発明1の「コンピュータで実行されるプログラム」に相当する。

ウ 引用発明の「ゲームコントローラ1230」は、把持部1232を有しており、プレーヤが、棒を掴む要領で把持部1232を持つものであるから、本願発明1の「ユーザが保持する操作装置」に相当する。

エ 引用発明の「ゲームコントローラ1230」は、「入力デバイス」として、正面側に「方向入力キー1242とAボタン1244」とを備え、裏面側には「トリガー1246」を備え、さらに「コントローラの実空間中の運動状態量を検出するための手段である3軸加速度センサ1248」を備えており、「ゲームコントローラ1230」が備える「近距離無線通信モジュール1252」は、「ゲーム装置本体1201の近距離無線通信モジュール1214と無線通信」し、「入力デバイスに為された操作入力に応じた操作入力信号や、3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号」を「ゲーム装置本体1201へ出力」するものであるから、「ゲーム装置本体1201」が、「ゲームコントローラ1230」から出力された「入力デバイスに為された操作入力に応じた操作入力信号や、3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号」を「取得」していることは明らかである。
よって、引用発明の「入力デバイスに為された操作入力に応じた操作入力信号や、3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号、或いは拡張端子1250から入力された信号」は、本願発明1の「ユーザが保持する操作装置から出力される出力データ」に相当し、引用発明の「入力デバイスに為された操作入力に応じた操作入力信号や、3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号」を「ゲーム装置本体1201へ出力」することは、本願発明1の「ユーザが保持する操作装置から出力される出力データを取得するステップ」に相当する。

オ 引用発明の「画像生成部260」は、「ゲーム空間画像を生成」し、「HUD表示などの合成を実行して最終的なゲーム画像を生成」し、「画像表示部360に出力」するものであり、「画像表示部360」は「ヘッドマウントディスプレイ」によって実現できるものであるから、引用発明の「ゲーム画像」を「画像表示部360に出力」することと、本願発明1の「前記仮想空間の画像を前記没入型のヘッドマウントディスプレイへ出力するステップ」とは、「前記仮想空間の画像を前記ヘッドマウントディスプレイへ出力するステップ」である点で共通する。

カ 引用発明の「コントローラの実空間中の運動状態量を検出するための手段である3軸加速度センサ1248」は、本願発明1の「前記操作装置が有する、前記操作装置の動きを検出する動きセンサ」に相当する。
そして、引用発明の「ゲーム演算部210」は、「3軸加速度センサ1248で検出される加速度が基準値以上の大きさで且つ1Hz以上の反転周期を伴う場合、つまりゲームコントローラ1230を振るといった往復動操作を検出した場合に、近接攻撃の操作入力が有ったと判定」し、「ロックオンしている敵キャラクタを近接攻撃するようにプレーヤキャラクタを制御」するものであり、「ゲーム装置本体1201」は、「ゲームコントローラ1230」から出力される「3軸加速度センサ1248による検出結果に基づく検出信号」を取得するものであるから、引用発明の「3軸加速度センサ1248で検出される加速度が基準値以上の大きさで且つ1Hz以上の反転周期を伴う場合、つまりゲームコントローラ1230を振るといった往復動操作を検出した場合」は、本願発明1の「前記出力データが、前記操作装置が有する、前記操作装置の動きを検出する動きセンサから出力されるデータである場合」に相当する。
また、引用発明の「プレーヤキャラクタ」、「近接攻撃」は、それぞれ本願発明1の「第1オブジェクト」、「第1の動作」に相当し、引用発明の「ロックオンしている敵キャラクタを近接攻撃するようにプレーヤキャラクタを制御」することと、本願発明1の「前記仮想空間に表示された第1オブジェクトに第1の動作を行わせ」ることとは、「前記仮想空間の第1オブジェクトに第1の動作を行わせ」る点で共通している。

キ 引用発明の「ゲーム演算部210」は、「トリガー1236に操作入力が為されたことを検出すると射撃操作入力が有ったと判定」し、「射撃操作入力が有った場合」に「ポインタ10の指し示す所に向けて射撃するようにプレーヤキャラクタを制御する」ものであり、「ゲームコントローラ1230」が備える「トリガー」は、「指接触を検出するタッチセンサ」を用いて実現できるものであるから、引用発明の「トリガー1236」に対する「操作入力」は、本願発明1の「前記操作装置が有するタッチセンサに対する前記ユーザのタッチ操作」に相当する。そして、引用発明の「ゲーム装置本体1201」は、「指接触を検出するタッチセンサ」を用いて実現される「トリガー」に為された操作入力に応じた「操作入力信号」を取得するものであるから、引用発明の「トリガー1236に操作入力が為されたことを検出する」場合は、本願発明1の「前記出力データが、前記操作装置が有するタッチセンサに対する前記ユーザのタッチ操作により、前記タッチセンサから出力されるデータである場合」に相当する。
また、引用発明の「ポインタ10の指し示す所に向けて射撃する」ことは、本願発明1の「前記第1の動作とは異なる第2の動作」に相当し、引用発明の「ポインタ10の指し示す所に向けて射撃するようにプレーヤキャラクタを制御」することと、本願発明1の「前記仮想空間に表示された第1オブジェクト」に「前記第1の動作とは異なる第2の動作を行わせ」ることとは、「前記仮想空間の第1オブジェクトに前記第1の動作とは異なる第2の動作を行わせ」る点で共通している。

ク 引用発明の「3軸加速度センサ1248で検出される加速度が基準値以上の大きさで且つ1Hz以上の反転周期を伴う場合、つまりゲームコントローラ1230を振るといった往復動操作を検出した場合に、近接攻撃の操作入力が有ったと判定」し、「ロックオンしている敵キャラクタを近接攻撃するようにプレーヤキャラクタを制御」すること、及び、「トリガー1236に操作入力が為されたことを検出すると射撃操作入力が有ったと判定」し、「射撃操作入力が有った場合」に「ポインタ10の指し示す所に向けて射撃するようにプレーヤキャラクタを制御」することは、ゲームコントローラ1230から出力される信号に基づいてゲーム空間内のプレーヤキャラクタを制御するものであるから、本願発明1の「前記取得された出力データに基づいて前記仮想空間を制御するステップ」に相当する。

(2)一致点・相違点
以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「ヘッドマウントディスプレイを介して仮想空間を提供するためのコンピュータで実行されるプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
ユーザが保持する操作装置から出力される出力データを取得するステップと、
前記取得された出力データに基づいて前記仮想空間を制御するステップと、
前記仮想空間の画像を前記ヘッドマウントディスプレイへ出力するステップと、
を実行させ、
前記制御するステップは、前記出力データが、前記操作装置が有する、前記操作装置の動きを検出する動きセンサから出力されるデータである場合、前記仮想空間の第1オブジェクトに第1の動作を行わせ、前記出力データが、前記操作装置が有するタッチセンサに対する前記ユーザのタッチ操作により、前記タッチセンサから出力されるデータである場合、前記第1オブジェクトに前記第1の動作とは異なる第2の動作を行わせる、プログラム。」

[相違点]
(相違点1)
本願発明1は、「ヘッドマウントディスプレイ」が「没入型」であるのに対し、引用発明の「ヘッドマウントディスプレイ」は、「没入型」であることについて特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、「実空間にある前記操作装置のセンサディスプレイを仮想的に前記仮想空間上に表示」するのに対し、引用発明では、そのような構成が特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1は、「第1オブジェクト」が「表示」されるのに対し、引用発明では、「プレーヤキャラクタ」がゲーム画面に表示されることが特定されていない点。

(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
引用文献2及び4には、本願発明1の上記相違点2に係る構成は記載も示唆もされていない。
引用文献3には、上記第5の3に示したように、タッチパネルを有する携帯端末の入力操作面上に表示されたHMD1の各種設定のメニュー選択画面と同様の画像にポインタPが重畳した操作画像を、非透過型のHMDを介してユーザの視野領域に提示することで、ユーザが手元の入力操作面を見ずとも所望の操作を行うことを可能とすることが記載されている。
しかしながら、引用文献1には、画像表示部360がヘッドマウントディスプレイによって実現できること、及び操作入力部100の機能がタッチパネルにより実現できることが記載されているものの、操作入力部100のタッチパネルの画像に基づいて操作するのは、プレーヤキャラクタ(本願発明1の「仮想空間の第1オブジェクト」に相当する。)であり、その他の操作を行うことは記載も示唆もされておらず、また、引用文献3には、操作画像V10を用いて、HMD1の設定を操作することは記載されているもの、仮想空間のオブジェクトを操作することは記載も示唆もされていないから、引用発明において引用文献3に記載された上記技術を採用する動機付けは存在しない。
したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-9について
本願発明2-9も、上記相違点2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
1 理由1(特許法第29条第1項第3号について)
令和3年2月1日に提出された手続補正書による補正により、補正後の請求項1-9は、上記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなったが、当該構成は、原査定における引用文献C(当審拒絶理由における引用文献4)には記載も示唆もされていないから、本願発明1-9は、原査定における引用文献Cに記載された発明とはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

2 理由2(特許法第29条第2項について)
令和3年2月1日に提出された手続補正書による補正により、補正後の請求項1-9は、上記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなった。
当該構成は、原査定における引用文献B及びC(当審拒絶理由における引用文献4)には記載も示唆もされていない。
引用文献A(当審拒絶理由における引用文献3)には、タッチパネルを有する携帯端末の入力操作面上に表示された画像と同様の画像にポインタPが重畳した操作画像を、非透過型のHMDを介してユーザの視野領域に提示することが記載されているが、引用文献Cには、操作端末とヘッドマウントディスプレイとを備えることは記載も示唆もされていないから、引用文献Cに記載された発明に引用文献Aに記載された上記技術を適用する動機付けは存在しない。
よって、本願発明1-9は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-13 
出願番号 特願2016-152763(P2016-152763)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩屋 雅弘木内 康裕  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 小田 浩
北川 純次
発明の名称 プログラム、コンピュータ及び方法  
代理人 内藤 和彦  
代理人 江口 昭彦  
代理人 阿部 豊隆  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

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