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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1373226
審判番号 不服2020-3762  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-19 
確定日 2021-05-11 
事件の表示 特願2017-535066「メディアコンテンツ上に重ね合わされるテキストのソーシャルリマークスを提供するためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月 7日国際公開、WO2016/108899、平成30年 1月25日国内公表、特表2018-502398、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)12月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年12月30日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年 7月31日付け:拒絶理由通知書
令和 元年11月 6日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年11月12日付け:拒絶査定
令和 2年 3月19日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提


第2 原査定の概要
原査定(令和元年11月12日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
この出願の以下の請求項に係る発明は、以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1,4-6,8,10,12-14,16,17について
引用文献1-3
・請求項2,3,11,15について
引用文献1-4
・請求項7について
引用文献1-3,5
・請求項9について
引用文献1-3,6
引用文献等一覧
1 特開2014-216929号公報
2 特開2014-38429号公報
3 米国特許出願公開第2012/0066618号明細書
4 特開2002-190009号公報
5 特開2004-128614号公報
6 特開2007-59034号公報

第3 本願発明
本願請求項1?16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明16」という。)は、令和2年3月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1,9,13は、それぞれ以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
コンピュータが実行する方法であって、
コンピューティングシステムが、第1のユーザによってソーシャルネットワーキングシステムに投稿された画像を受信するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記画像において、第2のユーザに関連付けられた顔を識別するステップと、
前記コンピューティングシステムが、第2のユーザが前記画像に応答して前記ソーシャルネットワーキングシステムに複数のコメントを投稿したことを決定するステップと、
前記コンピューティングシステムが、第1のコメントが前記複数のコメントのうちの直近のコメント、または前記複数のコメントのうち最も多い量のソーシャルエンゲージメントを受け取ったコメントのうちの少なくとも1つに対応しているとの判断に基づいて、前記複数のコメントから前記第1のコメントを前記画像上に重ねて提示するために選択するステップと、
前記コンピューティングシステムが、顔が配置された画像内の位置を決定するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記第1のコメントが画像に重ね合わせて現れるように前記第1のコメントを前記画像上に提示するために提供するステップであって、前記第1のコメントが現れる前記画像の位置は、顔が配置された位置に基づいて決定されるステップと、
第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定するステップと、
前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出するステップと、
顔が配置された位置とは異なる第2の位置に前記画像に重ね合わせて現れるように第3のユーザに関連付けられているグラフィカル要素を提示のために提供するステップと、
前記第2のコメントが前記画像に重ね合わせて現れるとともに、前記第2の位置から許容可能な近接領域内に現れるように前記第2のコメントを提示のために提供するステップと
を含むコンピュータが実行する方法。」
「【請求項9】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を含むメモリとを備え、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによる実行時に、システムに
第1のユーザによってソーシャルネットワーキングシステムに投稿された画像を受信し、
前記画像において、第2のユーザに関連付けられた顔を識別し、
第2のユーザが前記画像に応答して前記ソーシャルネットワーキングシステムに複数のコメントを投稿したことを決定し、
第1のコメントが前記複数のコメントのうちの直近のコメント、または前記複数のコメントのうち最も多い量のソーシャルエンゲージメントを受け取ったコメントのうちの少なくとも1つに対応しているとの判断に基づいて、前記複数のコメントから前記第1のコメントを前記画像上に重ねて提示するために選択し、
顔が配置された画像内の位置を決定し、
前記第1のコメントが画像に重ね合わせて現れるように前記第1のコメントを前記画像上に提示するために提供し、ここで前記第1のコメントが現れる前記画像の位置は、顔が配置された位置に基づいて決定されるものであり、
第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定し、
前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出し、
顔が配置された位置とは異なる第2の位置に前記画像に重ね合わせて現れるように第3のユーザに関連付けられているグラフィカル要素を提示のために提供し、
前記第2のコメントが前記画像に重ね合わせて現れるとともに、前記第2の位置から許容可能な近接領域内に現れるように前記第2のコメントを提示のために提供することを行わせる、システム。」
「【請求項13】
命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピューティングシステムの少なくとも1つのプロセッサによる実行時に、前記コンピューティングシステムに
第1のユーザによってソーシャルネットワーキングシステムに投稿された画像を受信し、
前記画像において、第2のユーザに関連付けられた顔を識別し、
第2のユーザが前記画像に応答して前記ソーシャルネットワーキングシステムに複数のコメントを投稿したことを決定し、
第1のコメントが前記複数のコメントのうちの直近のコメント、または前記複数のコメントのうち最も多い量のソーシャルエンゲージメントを受け取ったコメントのうちの少なくとも1つに対応しているとの判断に基づいて、前記複数のコメントから前記第1のコメントを前記画像上に重ねて提示するために選択し、
顔が配置された画像内の位置を決定し、
前記第1のコメントが画像に重ね合わせて現れるように前記第1のコメントを前記画像上に提示するために提供し、ここで前記第1のコメントが現れる前記画像の位置は、顔が配置された位置に基づいて決定されるものであり、
第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定し、
前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出し、
顔が配置された位置とは異なる第2の位置に前記画像に重ね合わせて現れるように第3のユーザに関連付けられているグラフィカル要素を提示のために提供し、
前記第2のコメントが前記画像に重ね合わせて現れるとともに、前記第2の位置から許容可能な近接領域内に現れるように前記第2のコメントを提示のために提供することを行わせる、非一時的なコンピュータ可読媒体。」

また、本願発明2?8は本願発明1を、本願発明10?12は本願発明9を、本願発明14?16は本願発明13を、それぞれ減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「【0010】
(第1の実施例) 図1は本実施例のコンテンツ鑑賞システムの一例を示す模式図である。コンテンツ管理装置101は、画像データや動画データ、音楽データなどのコンテンツを管理し、閲覧者端末102に提供する。コンテンツ管理装置101は、これらのコンテンツが閲覧者端末102の画面上で再生できるように、コンテンツを含むWebページを生成して閲覧者端末102へ送信する。ネットワーク103はインターネット網、イントラネット網、公衆回線網などであり、ネットワーク103を介してコンテンツ管理装置101と閲覧者端末102は通信可能となる。」

イ 「【0017】
本実施例では、コンテンツ管理装置101がコンテンツとして静止画像データを閲覧者端末102に提供し、静止画像データを一枚ずつ順に切り替えて閲覧者端末102の表示装置201に表示する場合について説明する。
【0018】
図3は本実施例のコンテンツ鑑賞画面の一例を示す図である。コンテンツ鑑賞画面は閲覧者端末102の表示装置201に表示され、閲覧者は撮像装置203により撮影される。閲覧者は、ボタン304や表示装置201上に設置されたタッチパネルを操作装置204として使用し、コンテンツ鑑賞画面に対して所望の操作を行う。タッチパネルはペンや閲覧者の指などの外部からの物理的な接触やその接触の位置を感知する機能を備えている。
【0019】
図3(a)のコンテンツ鑑賞画面では、静止画像データがコンテンツ再生領域305に表示され、当該静止画像データに関連付けて記憶されている複数のコメントデータがコメント表示領域306に一覧表示される。図3(a)は、コメント入力モードが起動していない状態のコンテンツ鑑賞画面を示す。閲覧者は、コンテンツ再生領域305に表示中の静止画像データに対してコメントの入力を要求する場合、コメント入力ボタン307を選択操作することで、コンテンツ入力モードを起動することができる。」

ウ 「【0023】
本実施例における閲覧者端末102の動作について図4を参照して説明する。以下に説明する動作は、閲覧者端末102の制御部206が記憶装置209やROM207、RAM208から各種プログラムやデータを読み出し、各デバイスを制御することにより実現される。
【0024】
まず、制御部206はコンテンツ管理装置101から再生対象の静止画像データを取得して(S401)、静止画像データの総数を変数Nに代入し、初期値“1”を変数iに代入する(S402)。ステップS401において、制御部206は、静止画像データとともに、静止画像データに関連付けて記憶されたコメントデータも取得する。
【0025】
制御部206は、i枚目の静止画像データに対して顔認識処理を実行し、顔画像を取得する(S403)。制御部206は、撮像装置203により閲覧者を撮影して撮影画像データを取得し(S404)、顔認識処理を実行し、閲覧者の顔画像を取得する(S405)。制御部206は、i枚目の静止画像データに含まれる顔画像と閲覧者の顔画像を比較し(S406)、類似するかどうかを判定する(S407)。例えば、制御部206は顔画像から特徴量を算出して、i枚目の静止画像データに含まれる顔画像の特徴量と閲覧者の顔画像の特徴量を比較する(S406)。比較の結果、特徴量の差分が閾値より小さければ類似すると判定し(S407でYes)、閾値より大きければ類似しないと判定する(S407でNo)。
【0026】
制御部206は、i枚目の静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似すれば(S407でYes)、図3(b)のようにコメント入力モードを起動した状態でコンテンツ鑑賞画面のコンテンツ再生領域305にi枚目の静止画像データを表示する(S408)。
【0027】
制御部206は、閲覧者の操作に応答して、コメントの入力完了が指示されたか否かを判定する(S409)。制御部206は、実行ボタン313が選択操作されたことを検知すると、コメントの入力完了が指示されたと判定する。
【0028】
制御部206は、コメントの入力完了が指示されたと判定すれば(S409でYes)、入力された文字列をコメントデータとして、表示中の静止画像データを一意に特定する画像IDとともにコンテンツ管理装置101へ送信する(S410)。コンテンツ管理装置101はコメントデータを受信し、画像IDと関連付けて保存する。
【0029】
制御部206は、閲覧者の操作に応答して、コンテンツ再生領域305の表示を次の静止画像データに切り替えると判定されれば(S411でYes)、変数iに1を加算する(S412)。そして、変数iが変数Nより小さければ(S413でNo)、i枚目の静止画像データについて同様に処理を実行する。
【0030】
一方、制御部206は、i枚目の静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似しなければ(S407でNo)、図3(a)のようにコメント入力モードを起動せずに、コンテンツ再生領域305にi枚目の静止画像データを表示する(S414)。その後、制御部206は、閲覧者によりコメント入力モードの起動指示を受付ければ(S415でYes)、コメント入力モードを起動し、図3(b)に示すようにコメント入力パネル310を表示する(S416)。」

エ 「【図3】



(2)上記(1)の記載について、次のことがいえる。
ア 「コンテンツ鑑賞システムのコンテンツ管理装置101は、画像データなどのコンテンツを管理し、閲覧者端末102に提供する」(段落【0010】)から、「閲覧者端末102」は、「コンテンツ鑑賞システムにおいて画像データなどのコンテンツを管理するコンテンツ管理装置101から、コンテンツとして静止画像データの提供を受ける」ものである。

イ 段落【0023】の記載によれば、「制御部206」は「閲覧者端末102」の内部の構成であるから、以降に記載されている「制御部206」の動作として記載されている内容は、上記アの「提供を受ける」動作や「静止画像データを一枚ずつ順に切り替えて閲覧者端末102の表示装置201に表示する」動作(段落【0017】)とともに、「閲覧者端末102が実行する方法」に含まれる動作であるといえる。

(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「閲覧者端末102が実行する方法であって、
閲覧者端末102は、コンテンツ鑑賞システムにおいて画像データなどのコンテンツを管理するコンテンツ管理装置101から、コンテンツとして静止画像データの提供を受け、
静止画像データを一枚ずつ順に切り替えて閲覧者端末102の表示装置201に表示する場合に、コンテンツ鑑賞画面が閲覧者端末102に表示され、コンテンツ鑑賞画面では、静止画像データがコンテンツ再生領域305に表示され、当該静止画像データに関連付けて記憶されている複数のコメントデータがコメント表示領域306に一覧表示され、
閲覧者端末102の動作は、閲覧者端末102の制御部206が記憶装置209やROM207、RAM208から各種プログラムやデータを読み出し、各デバイスを制御することにより実現され、
制御部206は、静止画像データに含まれる顔画像と閲覧者の顔画像を比較し、類似するかどうかを判定し、
静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似すれば、コメント入力モードを起動した状態でコンテンツ鑑賞画面のコンテンツ再生領域305に静止画像データを表示し、
制御部206は、コメントの入力完了が指示されたと判定すれば、入力された文字列をコメントデータとして、コンテンツ管理装置101へ送信し、
一方、制御部206は、静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似しなければ、コメント入力モードを起動せず、その後、閲覧者によりコメント入力モードの起動指示を受付ければ、コメント入力モードを起動する、
ことを含む、閲覧者端末102が実行する方法。」

2 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0075] FIG. 15 depicts an example of a “most popular” user interface element 1500. The presentation engine 210 may represent the popularity of various activities within a group in the “most popular” user interface element 1500. A particular area of the group home page may be designated for the presentation engine 210 to display the “most popular” user interface element. In the “most popular” user interface element 1500, the presentation engine 210 may present a subset (e.g., 10) of the discussions within the group that have received the most attention from group members (e.g., discussions that have received the most comments, expressions of liking or disliking, or reading by group members). When a user navigates manually between subsets of items displayed by the carousel (e.g., when the user clicks on an arrow button to manually scroll forward or backward through the subsets, thus ignoring a subset of items) or when the group member explicitly specifies a passing on the item (e.g., when the group member clicks on a “Pass” link associated with the item), the carousel engine 208 may associate the user's action with a negative popularity of the item.
[0076] The presentation engine 210 may sort the activities within the “most popular” user interface element based on various popularity factors, including the number of comments received, the number of expressions of likes, ignores, and passes, or the number of clicks or reads. Thus, after a user makes a submission to the group, the submission may flow into the carousel user interface 700, which may bring the submission to the attention of other users. The other users may, in turn, perform an action related to the submission that drives up (or down) the popularity of the submission directly (e.g., by commenting on the submission) or indirectly (e.g., by bringing the submission to the attention of a follower, who then comments on the submission). Eventually, the submission may become one of the most popular submissions of the group, and appear in the “most popular” user interface element 1500, which may, in turn, further drive group participation in activities (e.g. additional comments or submissions) related to the submission.
[0077] Like the carousel user interface 700, the “most popular” user interface element 1500 may include a title (e.g.,“MOST ACTIVE DISCUSSIONS”) and each item presented in the “most popular” user interface element 1500 may include configurable presentation elements. For example, each item may be associated with one or more images associated with one or more users who provided comments on the content item, and a clicking of one of the images may display a comment provided by the user associated with the image. An excerpt of one or more comments associated with the content item along with metadata about the comment (e.g., elapsed time since a submission or publication of the item) may be included in a display of the content item in the “most popular” user interface element. The carousel and the “most popular” user interface element may use the same content item presentation elements or different content item presentation elements (e.g., the carousel user interface 700 may not display the number of comments associated with an item, whereas the “most popular” user interface element 1500 may display the number of comments associated with the item). A user may be able to perform the same actions with respect to the “most popular” user interface element 1500 as the group member can perform with respect to the carousel user interface element 700 and vice versa.」
(当審訳: [0075] 図15は“最も人気”ユーザインターフェース要素1500の例を示す図である。プレゼンテーションエンジン210は、“最も人気”ユーザインターフェース要素1500のグループ内の様々な活動の人気度を表し得る。グループホームページの特定のエリアは、“最も人気”ユーザインターフェース要素を表示するプレゼンテーションエンジン210に対して指定することができる。“最も人気”ユーザインターフェース要素1500では、プレゼンテーションエンジン210は、グループメンバーから多くの注目を集めたグループ内の議論(例えば、グループメンバーによって大半のコメント、好き又は嫌いの表現、または読み取りを受けた議論)の部分集合(例えば、10)を提示することができる。ユーザが手動でカルーセルによって表示された項目のサブセットの間でナビゲートする場合(例えば、サブセットにわたって手動で前方または後方にスクロールするためにユーザが矢印ボタンをクリックすることにより、項目のサブセットを無視するとき)又はグループメンバーが明示的にその項目をパスすることを特定するとき(例えば、グループメンバーが、その項目に関連付けられた“パス”リンクをクリックするとき)、カルーセルエンジン208は、ユーザのアクションをその項目の否定的な人気と関連付ける。
[0076] プレゼンテーションエンジン210は、“最も人気”ユーザインターフェース要素の内で、受信されたコメントの数、好き、無視、パス、クリックの数又は読まれた回数を含む、様々な人気度の要因に基づいて、活動をソートしてもよい。これにより、ユーザは、グループに投稿した後、投稿は、他のユーザの注意を喚起し得るカルーセルユーザインターフェース700に流入し得る。他のユーザは、今度は、直接的(例えば、投稿にコメントすることによって)に又は間接的に(例えば、後に投稿に対してコメントするフォロワーの注意に投稿を向けさせることによって)投稿の人気度を上げる(又は下げる)、投稿に関係するアクションを実行するかもしれない。最終的に、投稿はそのグループの最も人気な投稿の一つとなるかもしれない、そして、“最も人気”ユーザインターフェース要素1500の中に出現するかもしれない、それは、続いて、更にその投稿に関連する活動(例えば追加のコメントまたは投稿)へのグループの参加を駆り立てるかもしれない。
[0077] カルーセルユーザインターフェース700と同様、“最も人気”ユーザインターフェース要素1500は、タイトル(例えば、“最も活動的議論”)を含んでいてもよく、“最も人気”ユーザインターフェース要素1500に提示される各項目は、設定可能な提示要素を含んでもよい。例えば、各項目は、そのコンテンツ項目に関するコメントを提供した1人または複数のユーザに関連付けられた1つまたは複数の画像と関連付けられてもよく、画像のうちの1つをクリックすることが、その画像に関連付けられたユーザによって提供されたコメントを表示してもよい。コンテンツ項目に関連した1つまたは複数のコメントの抜粋とともに、コメントについてのメタデータ(例えば、項目の投稿または公開からの経過時間)は、“最も人気”ユーザインターフェース要素においてコンテンツ項目の表示中に含めることができる。カルーセルおよび“最も人気”ユーザインターフェースエレメントは、同じコンテンツ項目のプレゼンテーション要素又は異なるコンテンツアイテムのプレゼンテーション要素を使用してもよい(例えば、“最も人気”ユーザインターフェース要素1500は、項目に関連付けられたコメントの数を表示してもよいのに対し、カルーセルユーザインターフェース700は、項目に関連付けられたコメントの数を表示しなくてもよい)。グループメンバーが、カルーセルユーザインターフェース要素700に関して実行できるのと同様に、ユーザは“最も人気”ユーザインターフェース要素1500に関して同じアクションを実行することができるようになり得、その逆も同じである。)

イ 図15




(2)上記(1)から、引用文献3には次の事項が記載されていると認められる。
「提示される各項目が、設定可能な提示要素を含み、各項目は、そのコンテンツ項目に関するコメントを提供した1人または複数のユーザに関連付けられた1つまたは複数の画像と関連付けられる、ユーザインターフェース要素。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明の「静止画像データ」は、ユーザ(第1のユーザ)によって「投稿された画像」であることが明らかであり、「閲覧者端末102」において、「コンテンツ鑑賞画面では、静止画像データがコンテンツ再生領域305に表示され、当該静止画像データに関連付けて記憶されている複数のコメントデータがコメント表示領域306に一覧表示され」るから、「コンテンツ鑑賞システム」は、ソーシャルネットワーキングサービスを提供するシステムであるといえ、本願発明1の「ソーシャルネットワーキングシステム」に相当する。
また、引用発明の「閲覧者端末102」は、「コンテンツ管理装置101」から「静止画像データの提供を受け」る、すなわち「受信する」ものであり、その動作を含む「閲覧者端末102の動作」は、「閲覧者端末102の制御部206が記憶装置209やROM207、RAM208から各種プログラムやデータを読み出し、各デバイスを制御することにより実現され」るものであって、ここで、「制御部206」、「各種プログラム」等はシステムを構成しているといえ、本願発明1の「コンピューティングシステム」に相当する。
以上のことから、引用発明は、本願発明1の「コンピューティングシステムが、第1のユーザによってソーシャルネットワーキングシステムに投稿された画像を受信するステップ」に相当する構成を有している。

(イ)引用発明の「制御部206は、静止画像データに含まれる顔画像と閲覧者の顔画像を比較し、類似するかどうかを判定し」、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似」すると判定することについて、「静止画像データの顔画像」と「顔画像が類似」する「閲覧者」が上記(ア)のユーザと異なるユーザ(第2のユーザ)である場合は当然に想定されることである。また、「類似」すると「判定」することは、「静止画像データ」において、「閲覧者」に「関連付けられた顔を識別する」ことであるといえる。
以上の点について上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「コンピューティングシステムが、前記画像において、第2のユーザに関連付けられた顔を識別するステップ」に相当する構成を有している。

(ウ)引用発明の、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似」する場合における、「制御部206は、コメントの入力完了が指示されたと判定すれば、入力された文字列をコメントデータとして、コンテンツ管理装置101へ送信」することについて、「送信」される「コメントデータ」は、「静止画像データの顔画像」と「顔画像が類似」する「閲覧者」が「静止画像データ」に「応答して」、「コンテンツ鑑賞システム」に「投稿した」「コメント」のデータであるといえ、「制御部206」は、「コメントを投稿したことを決定する」といえる。
以上の点について上記(ア)、(イ)を踏まえると、本願発明1の「前記コンピューティングシステムが、第2のユーザが前記画像に応答して前記ソーシャルネットワーキングシステムに複数のコメントを投稿したことを決定するステップ」に関し、引用発明と本願発明1とは、「前記コンピューティングシステムが、第2のユーザが前記画像に応答して前記ソーシャルネットワーキングシステムにコメントを投稿したことを決定するステップ」を有する点で共通している。

(エ)引用発明は、「閲覧者端末102に表示され」る「コンテンツ鑑賞画面」では、「静止画像データがコンテンツ再生領域305に表示され、当該静止画像データに関連付けて記憶されている複数のコメントデータがコメント表示領域306に一覧表示され」るものであり、ここで、「閲覧者端末102」で行われる「一覧表示」には、上記(ウ)の「静止画像データの顔画像」と「顔画像が類似」する「閲覧者」の「コメント」(第1のコメント)が当然存在し、また、「一覧表示」することは、本願発明1の「提示する」ことに含まれる。
以上の点について上記(ア)を踏まえると、本願発明1の「前記コンピューティングシステムが、前記第1のコメントが画像に重ね合わせて現れるように前記第1のコメントを前記画像上に提示するために提供するステップであって、前記第1のコメントが現れる前記画像の位置は、顔が配置された位置に基づいて決定されるステップ」に関し、引用発明と本願発明1とは、「前記コンピューティングシステムが、第1のコメントを提示するステップ」を有する点で共通している。

(オ)引用発明の「制御部206は、静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似しなければ、コメント入力モードを起動せず、その後、閲覧者によりコメント入力モードの起動指示を受付ければ、コメント入力モードを起動する」ことについて、「静止画像データの顔画像」と「顔画像が類似」しない「閲覧者」は上記(イ)の「静止画像データの顔画像」と「顔画像が類似」する「閲覧者」(第2のユーザ)とは異なる一方、上記(ア)のユーザ(第1のユーザ)とも異なるユーザ(第3のユーザ)である場合は当然に想定されることである。また、「コメント入力モードを起動」した後、上記(ウ)の「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似」する場合と同様に、「コメントデータ」が「送信」されることが明らかであり、ここで、当該「コメントデータ」に対応する「コメント」は上記(ウ)の「コメント」(第1のコメント)とは当然異なるもの(第2のコメント)である。
以上の点について上記(ウ)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定する」ことに相当する動作を実行するものである。

(カ)引用発明において、「制御部206は、静止画像データに含まれる顔画像と閲覧者の顔画像を比較し、類似するかどうかを判定」して、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似しな」いと「判定」することは、「静止画像データ」において、「閲覧者」に対する「顔認識の欠如を検出する」ことであるといえる。
この点について上記(オ)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出する」ことに相当する動作を実行するものである。

(キ)本願発明1の「第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定するステップ」における「第3のユーザ」は、「第2のコメントを投稿したことを決定する」ことにより特定されるユーザであるものと解される。そうすると、本願発明1の「前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出するステップ」は、「第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定するステップ」の後(当該決定するステップにより「第3のユーザ」が特定された後)に実行されるステップである。
これに対し、引用発明は、上記(オ)、(カ)のとおり、「・・・第2のコメントを投稿したことを決定する」こと及び「・・・顔認識の欠如を検出する」ことに相当する動作を実行するものであるものの、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似しなければ、コメント入力モードを起動せず、その後、閲覧者によりコメント入力モードの起動指示を受付ければ、コメント入力モードを起動する」ことから明らかなように、両動作の実行順序が本願発明1と逆である。
したがって、本願発明1の「第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定するステップ」及び「前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出するステップ」に関し、引用発明と本願発明1とは、各動作の実行順序を考慮しないことを条件に、「第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定すること、及び、前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出することを行うステップ」を有する点で共通している。

(ク)上記(オ)の「コメント」に関して、上記(エ)と同様のことがいえ、「閲覧者端末102」で行われる「一覧表示」には、上記(オ)の「静止画像データの顔画像」と「顔画像が類似」しない「閲覧者」の「コメント」(第2のコメント)が当然存在する。そうすると、本願発明1の「前記第2のコメントが前記画像に重ね合わせて現れるとともに、前記第2の位置から許容可能な近接領域内に現れるように前記第2のコメントを提示のために提供するステップ」に関し、引用発明と本願発明1とは、「前記第2のコメントが現れるように前記第2のコメントを提示のために提供するステップ」を有する点で共通している。

(ケ)引用発明の「閲覧者端末102」は、本願発明1の「コンピュータ」に相当する。

イ しがたって、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。
(一致点)
「コンピュータが実行する方法であって、
コンピューティングシステムが、第1のユーザによってソーシャルネットワーキングシステムに投稿された画像を受信するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記画像において、第2のユーザに関連付けられた顔を識別するステップと、
前記コンピューティングシステムが、第2のユーザが前記画像に応答して前記ソーシャルネットワーキングシステムにコメントを投稿したことを決定するステップと、
前記コンピューティングシステムが、第1のコメントを提示するステップと、
前記コンピューティングシステムが、顔が配置された画像内の位置を決定するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記第1のコメントが画像に重ね合わせて現れるように前記第1のコメントを前記画像上に提示するために提供するステップであって、前記第1のコメントが現れる前記画像の位置は、顔が配置された位置に基づいて決定されるステップと、
第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定すること、及び、前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出することを行うステップと、
前記第2のコメントが現れるように前記第2のコメントを提示のために提供するステップと、
を含むコンピュータが実行する方法。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「第2のユーザ」が「前記ソーシャルネットワーキングシステム」に「投稿」する「コメント」が「複数」であり、更に、本願発明1は「前記コンピューティングシステムが、第1のコメントが前記複数のコメントのうちの直近のコメント、または前記複数のコメントのうち最も多い量のソーシャルエンゲージメントを受け取ったコメントのうちの少なくとも1つに対応しているとの判断に基づいて、前記複数のコメントから前記第1のコメントを前記画像上に重ねて提示するために選択するステップ」を含むのに対し、引用発明では、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似」する場合の当該「閲覧者」により「送信」される「コメントデータ」に対応する「コメント」が「複数」であるとは特定されず、本願発明1の上記ステップを含むものでもない点。

(相違点2)
本願発明1は「前記コンピューティングシステムが、顔が配置された画像内の位置を決定するステップ」を含むのに対し、引用発明は当該ステップを含むものではない点。

(相違点3)
本願発明1は、「前記コンピューティングシステムが、前記第1のコメントが画像に重ね合わせて現れるように前記第1のコメントを前記画像上に提示するために提供するステップであって、前記第1のコメントが現れる前記画像の位置は、顔が配置された位置に基づいて決定されるステップ」を含むのに対し、引用発明では、「閲覧者端末102」で行われる「一覧表示」に、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似」する場合の当該「閲覧者」により「送信」される「コメントデータ」に対応する「コメント」が存在する(上記ア(エ))ものの、「表示」の態様が「静止画像データ」に「重ね合わせて現れる」ものではなく、当該「コメント」が現れる「静止画像データ」に基づく「画像」の「位置」が、「顔が配置された位置に基づいて決定される」ものでもない点。

(相違点4)
本願発明1は、「第3のユーザが前記画像に応答して第2のコメントを投稿したことを決定するステップ」及び「前記画像において、前記第3のユーザに対する顔認識の欠如を検出するステップ」を含み、前者のステップの後に後者のステップが実行されるのに対し、引用発明は、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似しなければ、コメント入力モードを起動せず、その後、閲覧者によりコメント入力モードの起動指示を受付ければ、コメント入力モードを起動する」ものであって、各動作の実行順序が本願発明1と逆である(上記ア(キ))点。

(相違点5)
本願発明1は、顔認識の欠如が検出された「第3のユーザ」に関し、「顔が配置された位置とは異なる第2の位置に前記画像に重ね合わせて現れるように第3のユーザに関連付けられているグラフィカル要素を提示のために提供するステップ」を含むのに対し、引用発明は当該ステップを含むものではない点。

(相違点6)
本願発明1は、「前記第2のコメントが前記画像に重ね合わせて現れるとともに、前記第2の位置から許容可能な近接領域内に現れるように前記第2のコメントを提示のために提供するステップ」を含むのに対し、引用発明では、「閲覧者端末102」で行われる「一覧表示」に、「静止画像データの顔画像と閲覧者の顔画像が類似」しない場合の当該「閲覧者」により「送信」される「コメントデータ」に対応する「コメント」が存在する(上記ア(ク))ものの、「表示」の態様が「静止画像データ」に「重ね合わせて現れる」ものではなく、「前記第2の位置から許容可能な近接領域内に現れるように」、上記「コメント」を「提示のために提供する」ものでもない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点5について先に検討する。
引用文献3には、上記第4の2(2)のとおり、「提示される各項目が、設定可能な提示要素を含み、各項目は、そのコンテンツ項目に関するコメントを提供した1人または複数のユーザに関連付けられた1つまたは複数の画像と関連付けられる、ユーザインターフェース要素。」との事項が記載されていることが認められるところ、このように、ソーシャルネットワーキングサービスのユーザインターフェースにおいて、コメントを投稿したユーザに関連付けられているグラフィカル要素(画像)を提示することは周知技術であるといえる。
しかしながら、画像において顔認識の欠如を検出する対象となったユーザについて、当該画像における他のユーザの顔が配置された位置と異なる位置に重ね合わせて現れるように当該ユーザに関連付けられているグラフィカル要素を提示することは、原査定で引用された引用文献1?6のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前の周知技術であったとも認められないから、相違点5に係る構成は、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に想到し得るものではない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?16について
本願発明9,13は、それぞれシステムの発明、コンピュータ可読媒体の発明であって、いずれも本願発明1に対応しており、相違点5に対応する発明特定事項を含んでいる。
また、本願発明2?8は本願発明1を、本願発明10?12は本願発明9を、本願発明14?16は本願発明13を、それぞれ減縮した発明である。
よって、本願発明2?16も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1は「顔が配置された位置とは異なる第2の位置に前記画像に重ね合わせて現れるように第3のユーザに関連付けられているグラフィカル要素を提示のために提供するステップ」という相違点5に係る発明特定事項を含むものとなり、本願発明9,13も当該相違点5に対応する発明特定事項を含むものとなっており、本願発明1?16が当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは、上記第5のとおりである。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-13 
出願番号 特願2017-535066(P2017-535066)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 林 毅
富澤 哲生
発明の名称 メディアコンテンツ上に重ね合わされるテキストのソーシャルリマークスを提供するためのシステムおよび方法  
代理人 特許業務法人World IP  

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