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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C02F
管理番号 1373361
審判番号 不服2019-15857  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-26 
確定日 2021-05-11 
事件の表示 特願2015- 71676「排水処理方法および排水処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月10日出願公開、特開2016-190203、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月31日の出願であって、平成31年1月21日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月28日付けで手続補正がされ、令和1年8月16日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和1年8月16日付けで拒絶査定)の拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1?6に係る発明は、以下の引用文献1又は2に記載された発明及び周知技術に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(引用文献等一覧)
1 特開2005-305285号公報
2 特開2008-264772号公報
3 特開平9-10789号公報(周知技術を示す文献)
4 特開2009-220079号公報(周知技術を示す文献)
5 特開2010-29798号公報(周知技術を示す文献)
6 特開2010-17659号公報(周知技術を示す文献)
7 特開2014-124581号公報(周知技術を示す文献)
8 特開平9-57288号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1?6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、平成31年3月28日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定された次のとおりの発明である。

「【請求項1】
有機物を含有する排水を膜分離活性汚泥法で処理する排水処理方法であって、
密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体を生物反応槽内に存在させながら運転することを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理方法であって、前記スポンジ状担体が疎水性ポリウレタン製であることを特徴とする排水処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水処理方法であって、前記膜分離活性汚泥法で使用する膜の材質がフッ素系樹脂であることを特徴とする排水処理方法。
【請求項4】
有機物を含有する排水を膜分離活性汚泥法で処理する排水処理装置であって、
密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体を生物反応槽内に存在させながら運転することを特徴とする排水処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の排水処理装置であって、前記スポンジ状担体が疎水性ポリウレタン製であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の排水処理装置であって、前記膜分離活性汚泥法で使用する膜の材質がフッ素系樹脂であることを特徴とする排水処理装置。」

第4 引用文献、参考文献等
1 引用文献について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1?8には、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。

(1)引用文献1の記載事項
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥による処理において、食物製造用微生物群を水スプレー手段を備えた曝気槽内および/または水スプレー手段を備えた沈殿槽内に導入することを特徴とする活性汚泥処理方法。
・・・
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載の活性汚泥処理方法を用いて有機排水を処理することを特徴とする排水処理方法。
【請求項6】
活性汚泥を用いた処理装置において、液面上部に水スプレー手段が配置された曝気槽内および/または液面上部に水スプレー手段が配置された沈殿槽内に食物製造用微生物群を導入してなることを特徴とする活性汚泥処理装置。」

イ 「【背景技術】
【0002】
活性汚泥は、多数の好気性の微生物・細菌や有機・無機性の浮遊物質などからなるゼラチン状のフロックで、排水中に含まれる有機物を吸着して、酸化し凝集して沈降分離する能力に優れている。そのため、排水中の有機物を活性汚泥に分解させ、排水を浄化するという方法は従来から知られている。
【0003】
このような活性汚泥による処理は、土砂、粗大な浮遊物質などを除去し、水量・水質の平均化、また必要に応じて希釈、pH調整、栄養塩類の添加を行った後、排水を曝気槽に導入し、通気撹拌下で活性汚泥と接触させて、排水中の有機物を活性汚泥により吸着・酸化するものである。活性汚泥混合液は、次の沈殿槽で重力沈降により活性汚泥と処理水に分離され、処理水は塩素滅菌後に放流され、活性汚泥の一部は返送汚泥として曝気槽に戻され、一部は余剰汚泥として系外に排出され、産業廃棄物として処分される。」

ウ 「【0007】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決し、曝気槽での発泡抑制性や沈殿槽での汚泥凝集性などの排水処理の操業性、排水浄化性、余剰汚泥の抑制性、消臭効果に優れた活性汚泥処理方法および処理装置並びに排水処理方法を提供することにある。」

エ 「【0024】
本発明においては、活性汚泥処理工程の曝気槽または沈殿槽、あるいは曝気槽および沈殿槽に、食物製造容細菌を保持できる担体を導入することもできる。この保持担体は、食物製造用細菌を保持できる担体であり、その形態は特に限定されず、スポンジ状、フェルト状、ゲル状、顆粒状などの何れの形態であっても良いが、スポンジ状であることが好ましい。スポンジ状担体としては、排水処理性を良くする観点から、平均細孔が100?10000μm、真比重が1.0?1.6g/cm^(3)、嵩密度が0.01?0.30g/cm^(3)であることが好ましく、平均細孔が100?5000μm、真比重が1.2?1.4g/cm^(3)、嵩密度が0.04?0.12g/cm^(3)であることがより好ましい。ここでいう平均細孔、真比重および嵩密度は、以下の計算により求められるものである。」

(2)引用文献2の記載事項
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物含有水を処理する膜分離活性汚泥装置であって、
上流から下流の方向に、直列に配置された、曝気槽と、生物処理槽と、膜分離槽と、を備え、
前記生物処理槽が担体を有し、前記膜分離槽の汚泥を前記生物処理槽に返送する返送手段をさらに備える、膜分離活性汚泥装置。
・・・
【請求項5】
少なくとも、曝気槽、担体を有する生物処理槽、及び膜分離槽が、有機物含有水の上流から下流方向に直列に配置された膜分離活性汚泥装置を用いる有機物含有水の処理方法であって、
前記有機物含有水を曝気処理する工程と、
前記生物処理槽において生物処理する工程と、
膜分離槽において汚泥を分離する工程と、
分離後の前記汚泥を、前記生物処理槽に返送する工程と、を有する有機物含有水の処理方法。」

イ 「【0006】
上述した従来技術の問題に鑑みて、本発明において解決しようとする課題は、高いBOD容積負荷の条件下で、高い膜透過流束(フラックス)で運転しても、膜の目詰りが遅く、膜の洗浄や交換の頻度を低減でき、さらには処理水の水質悪化や汚泥発生の増大を防止することができる、膜分離活性汚泥装置、及び有機物含有水の処理方法を提供することにある。」

ウ 「【0009】
本発明の膜分離活性汚泥装置、及び有機物含有水の処理方法においては、曝気槽と生物処理槽の活性汚泥中の生物相が大きく異なる点に特徴を有している。
曝気槽では有機物含有水に多く含まれるBOD成分等の可溶成分を処理する生物相が優先化し、可溶成分を高速に処理することができる。
生物処理槽では、膜詰りを発生する物質を低減する生物相や汚泥を消費する生物相が優先化し、膜寿命を延ばすとともに余剰汚泥の発生の低減化を図ることができる。」

エ 「【0021】
生物処理槽2は、担体4を具備している。
担体4としては、固定床式担体と流動床式担体が挙げられるが、生物処理槽2においては、種々の生物処理機能を担うため、細菌のみならず原生動物や後生動物等の多種の微生物が成育可能なように、担体4は固定床式担体であることが好ましい。
固定床式担体は、特に限定されるものではないが、形状は、ハニカム状、ラセン状、中空状、スポンジ状、網目状、棒状、線状等が挙げられ、微生物の生息しやすさや槽内の流動性の観点から、ラセン状が好ましい。
また、固定床式担体としては、芯材と該芯材に一部が固定された繊維状物とからなり、かつ、繊維状物を芯材回りに密生せしめた構成を有しているものが好ましい。芯材の形状は限定されないが、ラセン形状をなしているものが好ましい。
芯材の材料としては、軟鉄、アルミ、銅などの金属、又は軟質塩化ビニル等のプラスチックが使用できる。芯材が金属製である場合には、腐食防止のため防水塗装やプラスチック被覆を施すことが好ましい。芯材の適切な直径は、材質によって異なるが、1mm以上7mm以下が好ましい。
前記繊維状物の材質は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン等が挙げられ、特に、ポリ塩化ビニリデンは、微生物の付着性が良好であるため好ましい。」

オ 「【0034】
(実施例1)
本実施例においては、図1に示す構成の膜分離活性汚泥装置を用いた。
曝気槽1(容量12L)、生物処理槽2(容量12L)及び膜分離槽3(容量4L)は、有機物含有水が流れる上流から下流の方向に、直列に連結されている。
各槽1?3には、それぞれ散気管7が設置されており、曝気可能になされている。
生物処理槽2は、二段に等分されており、両段に固定床式担体4が設置されている。
固定床式担体4は、ポリ塩化ビニリデン繊維を長さ1.5cmのループ状にしてその一部をプラスチック被覆された銅製の芯材に固定し、長さ60cmで外径が8cmのラセン状にしたものを用いた。
膜分離槽3には、膜モジュール(PVDF製中空糸、孔径0.1μm、膜表面積0.035m^(2))が設置されており、膜分離槽中の活性汚泥は送液ポンプにより汚泥返送管5を通じて生物処理槽2の水流方向における上流側(前段側)に返送されるようになされている。
・・・
【0035】
実施例1においては、45日後で膜間差圧(TMP)が3kPa上昇し、膜汚染速度(一日あたりのTMPの増加量)は0.07kPa/日であり、極めて小さかった。
また、この間に引抜いた余剰汚泥量と投入したBOD量から汚泥発生率を計算したところ、12%と極めて小さい値であった。
得られた処理水の水質は、BOD値が2mg/L以下であり、良好な値であることが確認された。
実施例1においては、膜分離された汚泥を生物処理槽に返送するようにしたことにより、膜分離槽3における膜の目詰り発生が効果的に防止され、膜の洗浄や交換の頻度を低減化でき、効率の向上と運転費用の低減化が図られたことが確認された。」

カ 「【0038】
(実施例3)
上記実施例1と同様に、曝気槽1(容量12L)、生物処理槽2(容量12L)及び膜分離槽3(容量4L)が、有機物含有水が流れる上流から下流の方向に、直列に連結されている構成の膜分離活性汚泥装置を用いたが、生物処理槽2における担体4を流動担体に変更した。
この例における膜分離活性汚泥装置の概略構成図を図4に示す。
流動担体4としては、アキレス株式会社製、水処理微生物担体「バイオコロニー」軟質ウレタンスポンジ(7mm角担体)を用いた。
・・・
【0039】
実施例3においては、45日後でTMPが7kPa上昇しており、膜汚染速度(一日あたりのTMPの増加量)は0.66kPa/日であり、実用上十分に小さかった。
また、この間に引抜いた余剰汚泥量と投入したBOD量から汚泥発生率を計算したところ、30%であり実用上十分に小さい値であった。
最終的に得られた処理水の水質は、BOD値が5mg/Lであり、実用上良好な値であることが確認された。
実施例1と実施例3の評価結果を比較すると、生物処理槽2の担体4としては、ラセンの固定床式担体が、より好適であることが確認された。」

(3)引用文献3の記載事項
「【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、活性汚泥などによる生物学的汚水処理は、種々の廃水処理に採用されているが、この場合、微生物の付着担体として不織布が用いられることがある。
・・・
【0007】即ち、本発明は、生物学的汚水処理法において微生物の付着担体とされる廃水処理材であって、平均孔径が100μm以上で、見掛け密度が0.035?0.07g・dry/ml・wetの範囲の連続気泡構造のポリビニルアルコール系スポンジからなることを特徴とする廃水処理材を提供する。」

(4)引用文献4の記載事項
「【0021】
上記ポリウレタン発泡体の密度、セル数等は、特に限定されない。密度は、通常、30?80kg/m^(3)、好ましくは40?60kg/m^(3)である。密度が30?80kg/m^(3)である場合、水処理担体として処理水中で流動し易く、微生物による水処理効率に優れる。
また、セル数は、通常、30?70個/25mm、好ましくは40?60個/25mmに設計される。セル数が30?70個/25mmである場合、ポリウレタン発泡体は機械的強度を備え、対磨耗性及び耐久性に優れると共に、微生物がポリウレタン発泡体で効率よく繁殖できる水処理担体となる。」

(5)引用文献5の記載事項
「【0047】
上記のようにして製造されたポリウレタンフォームは、連続気泡を有する。このポリウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、好ましくは30?80kg/m^(3)、より好ましくは40?70kg/m^(3)である。密度が上記範囲にあると、微生物が繁殖しやすいセル径及び空孔率を有することとなり、水処理用担体が、機械的強度及び耐摩耗性に優れ、その結果、耐久性に優れる。
また、セル数は、用途等により選択されるが、通常、20?70個/25mm、好ましくは30?60個/25mmである。セル数が上記範囲にあると、機械的強度及び耐摩耗性に優れ、その結果、耐久性に優れる。」

(6)引用文献6の記載事項
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献6には、次の事項が記載されている。
「【0030】
上記フォーム原料を用いて、水処理用担体に用いられるポリウレタンフォームを製造することができる。・・・
【0031】
上記のようにして製造されたポリウレタンフォームは、連続気泡を有する。このポリウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、好ましくは30?80kg/m^(3)、より好ましくは40?60kg/m^(3)である。密度が上記範囲にあると、取り扱い性に優れる。
また、セル数は、用途等により選択されるが、通常、20?70個/25mm、好ましくは30?60個/25mmである。セル数が上記範囲にあると、機械的強度及び耐摩耗性に優れ、その結果、耐久性に優れる。」

(7)引用文献7の記載事項
ア 「【0014】
「水処理用担体」
図1は、本実施形態の水処理用担体1の一例を示す模式図である。図1に示す水処理用担体1は、樹脂発泡体2の樹脂骨格表面に、エステル型ノニオン界面活性剤を付着する。
樹脂発泡体2は、水処理用担体1の強度を規定する。図1に示すように、樹脂発泡体2には、複数の空隙3(セル)を形成する。空隙3には、排水を処理する微生物が着床する。
・・・
【0018】
樹脂発泡体2の見かけ密度は、15?70kg/m^(3)が好ましく、より好ましくは20?50kg/m^(3)である。樹脂発泡体2の見かけ密度が上記範囲内であると、樹脂発泡体2は十分な耐久性を有して微生物の繁殖に良好な環境となる。樹脂発泡体2の見かけ密度が高すぎる場合は、樹脂発泡体2の通気性が不十分となる虞がある。樹脂発泡体2の見かけ密度が低すぎる場合は、水処理用担体1の耐久性が不十分となる虞がある。
・・・
【0020】
樹脂発泡体2のセル数は、10?80個/インチが好ましく、より好ましくは20?60個/インチである。樹脂発泡体2のセル数が上記範囲内である場合は、微生物の繁殖に良好な環境となる。樹脂発泡体2のセル数が多すぎる場合は、通気性が低下し、空気や汚水の通りが不十分となる。樹脂発泡体2のセル数が少なすぎる場合は、比表面積が小さくなって微生物の繁殖を促進できない。」

イ 「【0071】
「実験例1」
まず、表面処理剤であるエステル型ノニオン界面活性剤として、脂肪酸がラウリン酸、モノエステル含量80%であるショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製、商品名:リョートーシュガーエステルL-1695、HLB値:16、有効成分100%)5.3重量部を秤量し、純水100重量部を加え、加温、攪拌し、有効成分5.0重量%の製剤を調製した。
【0072】
次に、図2(a)に示すように、純水100重量部に前記有効成分5.0重量%の製剤を25重量部加え、均一になるまで攪拌し、有効成分濃度1.0重量%の表面処理剤4を得た。
【0073】
上述の有効成分濃度1.0重量%の表面処理剤4を、図2(b)に示すように、容器6に移し、図2(c)に示すように、縦150mm、横150mm、厚み10mmのシート状の軟質ポリウレタンフォーム2aを投入した。シート状のポリウレタンフォーム2aに圧力を加え、表面処理剤4を含浸した後にシート状のポリウレタンフォーム2aを取り出した。シート状のポリウレタンフォーム2a密度は43kg/m^(3)、セル数は53個/インチであった。
【0074】
次いで、図2(d)に示すように、ローラ装置7の2つのローラ間に表面処理剤4を含むポリウレタンフォーム2aを通して、表面処理剤4を含むポリウレタンフォーム2aから余分な表面処理剤4を絞り取る。なお、2つのローラ間の間隔は、0.3mmであった。
【0075】
次いで、図2(e)に示すように、箱型の乾燥装置8の炉内に、余分な表面処理剤4を絞り取ったポリウレタンフォーム2aを収容し、摂氏80度で30分間ポリウレタンフォーム2aを乾燥して水分を除去し、ポリウレタンフォームの樹脂骨格表面に界面活性剤の被膜を形成する。
その後、図2(f)に示すように、乾燥したポリウレタンフォーム2aを、トムソン型切断装置を用いて10mm四方の正方形に裁断し、図1に示す水処理用担体1を得た。」

(8)引用文献8の記載事項
「【0011】本発明の生物処理方法は、微生物を担持するスポンジ状担体を用いて有機性排液等の被処理液を生物処理する処理法であればどのような処理法にも適用可能である。このような処理方法としては、例えば硝化菌を用いた硝化方法や硝化脱窒処理方法、BODの分解を主な目的とする活性汚泥処理方法、BOD分解と脱窒とを同時に行う生物学的硝化脱窒処理方法、あるいは嫌気性菌を用いる生物処理方法などがあげられ、好気性処理方法でも嫌気性処理方法でもよい。
【0012】スポンジ状担体としては、連続気泡を有する弾力性のある多孔質体であって、減圧または加圧により圧縮することができ、常圧に戻すことにより完全またはほぼ完全に元の形に復元する多孔質体が使用できる。具体的なものとしては、ポリウレタン等の樹脂製のスポンジなどがあげられる。
【0013】スポンジ状担体の形状は限定されず、サイコロ状、球状、不定形のものなどが使用できる。大きさは、長径が1?50mm程度のものが好ましい。スポンジ状担体の細孔の大きさは限定されないが、50?1000μm、好ましくは100?500μmのものが適当である。孔が大きくなりすぎると孔に浸透した水が曝気により曝気エアーと置換するため、上記上限値を越えないものが好ましい。細孔の数も限定されないが、長さ25mm当りのセル数が25個以上のものが好ましい。」

2 参考文献について
(1)参考文献1(特開平4-35794号公報)の記載事項
「(実施例)
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
第1図は本発明の第1実施例による好気性完全混合式汚水処理装置を示す。図において、処理槽21内には好気性微生物担体22が実体積で槽容積に対して1/3?1/6充填され、該微生物担体22はセル数が13?55ケ/インチで、かつ0.95?1.5の見掛は比重を有する多孔性プラスチック発泡体、例えばウレタン発泡体又はPVC発泡体を用いて構成されている。」(第4頁左下欄第8?18行)

(2)参考文献2(特開2009-39709号公報)の記載事項
「【0021】
本発明を以下の実施例で説明するが、これに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す様に、排水処理装置は、6.6Lの油脂分解槽4、13.2Lの生物処理槽5、4.5Lの沈殿槽7を用いた。油脂分解槽4は中間部に下部を連通とした仕切板で2段にし、固定担体として 軟質塩化ビニリデン繊維ラセン形状の固定担体である旭化成ケミカルズ株式会社製のBS材8を各槽に設置し、下部に散気管10を設けた。生物処理槽5は下部を連通とした仕切板6で4槽にし、各槽に固定担体としてBS材8を設置し、各槽の下部に散気管10を設け接触酸化槽とした。沈殿槽7としてホッパー型汚泥沈殿槽を用いた。沈殿槽下部の沈降汚泥は生物処理槽の第一槽に返送率100%で返送した。固定担体のBS材8は、ポリ塩化ビニリデン繊維を長さ1.5cmのループ状にしてその一部をプラスチック被覆された銅製の芯材に固定し、長さ40cmで外径が8cmのラセン状にしたものを用いた。
・・・
【0028】
[実施例2]
図2で示す様に、油脂分解槽の仕切板をはずし、固定担体の代りに流動担体9を用いた以外は実施例1と同様な装置を用いた。流動担体として、5mm角ブロックのウレタン製スポンジであるバイオコロニー「BCC-2」(アキレス株式会社製)を用いた。スポンジのセル数は13?18ケ/25mmであった。これらの流動担体は中程度の油脂を含有した排水(n-Hex値として200mg/L程度)に適当である。食物連鎖は固定担体と比較すると乏しく50μm以下の小型浮遊性鞭毛虫など特定原生動物の優先性がみられた。」

第5 対比・判断
1 引用文献1を主たる証拠とした拒絶理由に対する判断
(1)引用文献1に記載された発明
上記第4の1(1)ア、イ及びエの記載を整理すると、引用文献1には、次の「排水処理方法」に関する発明(以下、「引用1発明1」という。)、及び、「活性汚泥処理装置」に関する発明(以下、「引用1発明2」という。)が記載されていると認められる。
<引用1発明1>
「排水を曝気槽に導入し、通気撹拌下で活性汚泥と接触させた後、次の沈殿槽で重力沈降により活性汚泥と処理水に分離する活性汚泥法を用いて有機排水を処理する排水処理方法において、
活性汚泥処理工程の曝気槽及び/又は沈殿槽に、平均細孔が100?5000μm、真比重が1.2?1.4g/cm^(3)、嵩密度が0.04?0.12g/cm^(3)である、食物製造用細菌を保持できるスポンジ担体を導入し、
水スプレー手段を備えた曝気槽及び/又は水スプレー手段を備えた沈殿槽に、食物製造用微生物群を導入する排水処理方法。」
<引用1発明2>
「排水を曝気槽に導入し、通気撹拌下で活性汚泥と接触させた後、次の沈殿槽で重力沈降により活性汚泥と処理水に分離する、有機排水を処理するための活性汚泥処理装置において、
活性汚泥処理工程の曝気槽及び/又は沈殿槽に、平均細孔が100?5000μm、真比重が1.2?1.4g/cm^(3)、嵩密度が0.04?0.12g/cm^(3)である、食物製造用細菌を保持できるスポンジ担体を導入し、
液面上部に水スプレー手段が配置された曝気槽及び/又は液面上部に水スプレー手段が配置された沈殿槽に、食物製造用微生物群を導入してなる活性汚泥処理装置。」

(2)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用1発明1とを対比すると、引用1発明1の「有機排水を処理する排水処理方法」は、本願発明1の「有機物を含有する排水を」「処理する排水処理方法」に相当する。
また、引用1発明1の「活性汚泥処理工程の曝気槽及び/又は沈殿槽に」「食物製造容細菌を保持できるスポンジ担体を導入」することは、本願発明1の「スポンジ状担体を生物反応槽内に存在させながら運転する」ことに相当する。
したがって、本願発明1と引用1発明1とは、
「有機物を含有する排水を処理する排水処理方法であって、
スポンジ状担体を生物反応槽内に存在させながら運転する排水処理方法。」
の点で一致し、以下の点で相違するものといえる。
<相違点1>
本願発明1は、「膜分離活性汚泥法」を用いた排水処理方法であるのに対して、引用1発明1は、「排水を曝気槽に導入し、通気撹拌下で活性汚泥と接触させた後、次の沈殿槽で重力沈降により活性汚泥と処理水に分離する活性汚泥法」を用いた排水処理方法である点。
<相違点2>
本願発明1のスポンジ状担体は、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上」のものであるのに対して、引用1発明1のスポンジ担体は、「平均細孔が100?5000μm、真比重が1.2?1.4g/cm^(3)、嵩密度が0.04?0.12g/cm^(3)」のものである点。

イ 相違点についての判断
まず、相違点1について検討する。
引用文献1には、上記第4の1(1)ウのとおり、「本発明の課題は、上記従来の問題点を解決し、曝気槽での発泡抑制性や沈殿槽での汚泥凝集性などの排水処理の操業性、排水浄化性、余剰汚泥の抑制性、消臭効果に優れた活性汚泥処理方法および処理装置並びに排水処理方法を提供することにある。」と記載されていることからして、引用1発明1は、曝気槽での発泡抑制性や沈殿槽での汚泥凝集性などの排水処理の操業性等を改善することを課題とするものであって、曝気槽及び沈殿槽を用いた活性汚泥法を前提とするものである。
そうしてみると、引用1発明1の活性汚泥法を、沈殿槽を使用しない活性汚泥法に変更する動機はないから、「膜分離活性汚泥法」が周知技術であるとしても、引用1発明1において、「膜分離活性汚泥法」を用いることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。

ウ 小括
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

(3)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1を引用するものであって、本願発明1の特定事項をさらに減縮したものであるから、上記(2)に示した理由と同様の理由により、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

(4)本願発明4について
ア 対比
本願発明4と引用1発明2とを対比すると、引用1発明2の「有機排水を処理するための活性汚泥処理装置」は、本願発明4の「有機物を含有する排水を」「処理する排水処理装置」に相当する。
また、引用1発明2の「活性汚泥処理工程の曝気槽及び/又は沈殿槽に」「食物製造容細菌を保持できるスポンジ担体を導入」することは、本願発明4の「スポンジ状担体を生物反応槽内に存在させながら運転する」ことに相当する。
したがって、本願発明4と引用1発明2とは、
「有機物を含有する排水を処理する排水処理装置であって、
スポンジ状担体を生物反応槽内に存在させながら運転する排水処理装置。」
の点で一致し、以下の点で相違するものといえる。
<相違点3>
本願発明4は、「膜分離活性汚泥法」で処理する排水処理装置であるのに対して、引用1発明2は、「排水を曝気槽に導入し、通気撹拌下で活性汚泥と接触させた後、次の沈殿槽で重力沈降により活性汚泥と処理水に分離する」活性汚泥処理装置である点。
<相違点4>
本願発明4のスポンジ状担体は、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上」のものであるのに対して、引用1発明2のスポンジ担体は、「平均細孔が100?5000μm、真比重が1.2?1.4g/cm^(3)、嵩密度が0.04?0.12g/cm^(3)」のものである点。

イ 相違点についての判断
まず、相違点3について検討すると、当該相違点3は、上記(2)イにおいて検討した相違点1と同じ事項であるから、当該相違点1と同様に、引用1発明2の活性汚泥処理装置を、「膜分離活性汚泥法」で処理する排水処理装置に変更することは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。

ウ 小括
したがって、相違点4について検討するまでもなく、本願発明4は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

(5)本願発明5及び6について
本願発明5及び6は、本願発明4を引用するものであって、本願発明4の特定事項をさらに減縮したものであるから、上記(4)に示した理由と同様の理由により、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

2 引用文献2を主たる証拠とした拒絶理由について
(1)引用文献2に記載された発明
上記第4の1(2)アの特許請求の範囲の記載に着目すると、引用文献2には、次の「有機物含有水の処理方法」に関する発明(以下、「引用2発明1」という。)、及び、「膜分離活性汚泥装置」に関する発明(以下、「引用2発明2」という。)が記載されていると認められる。
<引用2発明1>
「少なくとも、曝気槽、担体を有する生物処理槽、及び膜分離槽が、有機物含有水の上流から下流方向に直列に配置された膜分離活性汚泥装置を用いる有機物含有水の処理方法であって、
前記有機物含有水を曝気処理する工程と、
前記生物処理槽において生物処理する工程と、
膜分離槽において汚泥を分離する工程と、
分離後の前記汚泥を、前記生物処理槽に返送する工程と、を有する有機物含有水の処理方法。」
<引用2発明2>
「有機物含有水を処理する膜分離活性汚泥装置であって、
上流から下流の方向に、直列に配置された、曝気槽と、生物処理槽と、膜分離槽と、を備え、
前記生物処理槽が担体を有し、前記膜分離槽の汚泥を前記生物処理槽に返送する返送手段をさらに備える、膜分離活性汚泥装置。」

(2)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用2発明1とを対比すると、引用2発明1の「膜分離活性汚泥装置を用いる有機物含有水の処理方法」は、本願発明1の「有機物を含有する排水を膜分離活性汚泥法で処理する排水処理方法」に相当する。
また、引用2発明1の「担体を有する生物処理槽」「において生物処理する工程」は、本願発明1の「担体を生物反応槽内に存在させながら運転する」ことに相当する。
したがって、本願発明1と引用2発明1とは、
「有機物を含有する排水を膜分離活性汚泥法で処理する排水処理方法であって、
担体を生物反応槽内に存在させながら運転する排水処理方法。」
の点で一致し、以下の点で相違するものといえる。
<相違点5>
本願発明1の担体は、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体」であるのに対して、引用2発明1では、その点が明らかでない点。

イ 相違点についての判断
(ア)引用文献2には、上記第4の1(2)イのとおり、「本発明において解決しようとする課題は、高いBOD容積負荷の条件下で、高い膜透過流束(フラックス)で運転しても、膜の目詰りが遅く、膜の洗浄や交換の頻度を低減でき、さらには処理水の水質悪化や汚泥発生の増大を防止することができる、膜分離活性汚泥装置、及び有機物含有水の処理方法を提供することにある。」と記載されていることからして、引用2発明1は、膜の目詰りが遅く、膜の洗浄や交換の頻度を低減でき、処理水の水質悪化や汚泥発生の増大を防止することを課題とするものである。
そして、引用文献2には、上記第4の1(2)ウによれば、上記課題を解決するために、生物処理槽に、膜詰りを発生する物質を低減する生物相や汚泥を消費する生物相を優先化させること、さらに、上記第4の1(2)エによれば、生物処理槽には担体が設けられ、微生物の育成の観点から、繊維状物を芯材回りに密生せしめた構成を有しているラセン状の固定床式担体が好ましいことが記載されている。
加えて、引用文献2には、上記第4の1(2)オ及びカによれば、実施例1として、ポリ塩化ビニリデン繊維を長さ1.5cmのループ状にしてその一部をプラスチック被覆された銅製の芯材に固定し、長さ60cmで外径が8cmのラセン状にした固定床式担体を用いた処理方法、また、実施例3として、アキレス株式会社製水処理微生物担体「バイオコロニー」軟質ウレタンスポンジの流動担体を用いた処理方法が記載され、さらに、生物処理槽の担体としては、実施例1のラセンの固定床式担体が、実施例3の流動担体より好適であることも記載されている。
そうしてみると、引用2発明1の上記課題や引用文献2の上記記載を併せ考えると、引用2発明1の担体としては、ポリ塩化ビニリデン繊維のような繊維状物を心材に固定したラセン状の固定床式担体を選択することが自然であるから、引用2発明1の担体として、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体」を用いることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。

(イ)次に、引用文献2における実施例3の記載に基づく容易想到性について検討すると、実施例3のアキレス株式会社製水処理微生物担体「バイオコロニー」軟質ウレタンスポンジが、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体」であることを示す証拠はない。
そこで、引用2発明1の担体として使用し得るスポンジ状担体について更に検討すると、上記第4の1(3)?(8)に摘示した引用文献3?8の記載によれば、活性汚泥法の担体として、密度が35kg/m^(3)以上であり、セル数が40?60個/25mmのスポンジ状担体を使用すること、特に、引用文献7の実施例1の記載(上記第4の1(7)イ参照)のとおり、密度が43kg/m^(3)、セル数が53個/インチのシート状ポリウレタンフォームから製造した水処理担体を使用することは、本願出願前の公知技術であったといえる。他方、参考文献1には、上記第4の2(1)のとおり、セル数が13?55個/25cmの微生物担体を使用することが、また、参考文献2には、上記第4の2(2)のとおり、セル数が13?18個/25mmのウレタン製スポンジを流動担体として使用することが、それぞれ記載されていることからして、このような物性のスポンジ状担体を活性汚泥法に使用することも、本願出願前の公知技術であったといえる。よって、引用文献及び参考文献のこれら記載を併せ考えると、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上」のスポンジ状担体が、活性汚泥法における一般的な担体として使用されているものであるとはいえない。
そうしてみると、引用文献2における実施例3の記載に基づき、引用2発明1の担体として、アキレス株式会社製水処理微生物担体「バイオコロニー」軟質ウレタンスポンジや、活性汚泥法における一般的なスポンジ状担体を使用することが容易想到な事項であるとしても、当該スポンジ担体の物性が「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上」であるとも、当該物性のものを用いることが一般的であるともいえないため、引用2発明1の担体として、当該物性、すなわち「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上」のスポンジ状担体を用いることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。

ウ 小括
したがって、本願発明1は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

(3)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1を引用するものであって、本願発明1の特定事項をさらに減縮したものであるから、上記(2)に示した理由と同様の理由により、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

(4)本願発明4について
ア 対比
本願発明4と引用2発明2とを対比すると、引用2発明2の「有機物含有水を処理する膜分離活性汚泥装置」は、本願発明4の「有機物を含有する排水を膜分離活性汚泥法で処理する排水処理装置」に相当する。
また、引用2発明2の「生物処理槽が担体を有」することは、本願発明4の「担体を生物反応槽内に存在させながら運転する」ことに相当する。
したがって、本願発明4と引用2発明2とは、
「有機物を含有する排水を膜分離活性汚泥法で処理する排水処理装置であって、
担体を生物反応槽内に存在させながら運転する排水処理装置。」
の点で一致し、以下の点で相違するものといえる。
<相違点6>
本願発明4の担体は、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体」であるのに対して、引用2発明2では、その点が明らかでない点。

イ 相違点についての判断
当該相違点6は、上記(2)イにおいて検討した相違点5と同じ事項であるから、当該相違点5と同様に、引用2発明2の活性汚泥処理装置の担体として、「密度35kg/m^(3)以上かつセルサイズ46個/25mm以上のスポンジ状担体」を用いることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。

ウ 小括
したがって、本願発明4は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

(5)本願発明5及び6について
本願発明5及び6は、本願発明4を引用するものであって、本願発明4の特定事項をさらに減縮したものであるから、上記(4)に示した理由と同様の理由により、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるといえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?6は、引用文献1又は2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-04-13 
出願番号 特願2015-71676(P2015-71676)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松井 一泰  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 末松 佳記
宮澤 尚之
発明の名称 排水処理方法および排水処理装置  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  

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