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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1373585
審判番号 不服2020-698  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-17 
確定日 2021-04-30 
事件の表示 特願2018-131337号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月11日出願公開、特開2018-158160号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成30年7月11日の出願であって、平成31年2月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月18日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年6月27日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月28日付け(送達日:同年11月5日)で、同年8月30日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和2年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年1月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年1月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成31年4月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
開口部が形成された遊技盤を備え、遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機であって、
所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
前記遊技盤には、前記開口部から視認可能な可動体が設置され、
前記可動体は、本体部、および、前記本体部に収納されている突出部を有し、
前記本体部は少なくとも第1の動作と第2の動作を行うことが可能であり、
前記突出部は、前記本体部に収納されている状態から前記遊技盤の前面よりも前方側に突出することが可能であり、
前記突出部には、第1の突出部と、第2の突出部と、があり、
前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から前記第1の動作を行ってから前記第1の突出部が突出する第1演出と、前記第1演出を実行した後に前記第1の突出部を前記本体部に収納し、前記本体部が前記第2の動作を行い、前記第2の突出部が突出する第2演出と、を実行可能であり、
前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高いことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和2年1月17日付け)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
開口部が形成された遊技盤を備え、遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機であって、
所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
前記遊技盤には、前記開口部から視認可能な可動体が設置され、
前記可動体は、本体部、および、前記本体部に収納されている突出部を有し、
前記突出部は、前記本体部に収納されている状態から前記遊技盤の前面よりも前方側に突出することが可能であり、
前記突出部には、第1の突出部と、第2の突出部と、があり、
前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から所定方向に移動するが、前記第1の突出部および前記第2の突出部が突出しない第1演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出する第2演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に前記第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出して前記本体部に収納され、そこから前記本体部が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転し、前記第2の突出部が突出する第3演出と、を実行可能であり、
前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高く、且つ前記第2演出が実行された場合よりも前記第3演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高いことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「演出実行手段」が「実行可能」な「第1演出」、「第2演出」に関して、本件補正前に「前記本体部は少なくとも第1の動作と第2の動作を行うことが可能であり、」および「前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から前記第1の動作を行ってから前記第1の突出部が突出する第1演出と、前記第1演出を実行した後に前記第1の突出部を前記本体部に収納し、前記本体部が前記第2の動作を行い、前記第2の突出部が突出する第2演出と、を実行可能であり、」とあったものを、「前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から所定方向に移動するが、前記第1の突出部および前記第2の突出部が突出しない第1演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出する第2演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に前記第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出して前記本体部に収納され、そこから前記本体部が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転し、前記第2の突出部が突出する第3演出と、を実行可能であり、」と、「演出実行手段」が「実行可能」な演出に「第1の演出」を追加するとともに、「本体部」が行う「第1の動作」が、「前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に第1の方向に回転」することであるとともに、「本体部」が行う「第2の動作」が、「前記本体部が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転」することであることを限定し、
また、「有利遊技状態になる可能性」の高低に関して、「前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高いこと」とあったものを、「前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高く、且つ前記第2演出が実行された場合よりも前記第3演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高いこと」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0304】?【0308】、【0399】?【0404】、【図41】、【図42】、【図64】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Iは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 開口部が形成された遊技盤を備え、遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機であって、
B 所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
C 前記遊技盤には、前記開口部から視認可能な可動体が設置され、
D 前記可動体は、本体部、および、前記本体部に収納されている突出部を有し、
E 前記突出部は、前記本体部に収納されている状態から前記遊技盤の前面よりも前方側に突出することが可能であり、
F 前記突出部には、第1の突出部と、第2の突出部と、があり、
G 前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から所定方向に移動するが、前記第1の突出部および前記第2の突出部が突出しない第1演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出する第2演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に前記第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出して前記本体部に収納され、そこから前記本体部が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転し、前記第2の突出部が突出する第3演出と、を実行可能であり、
H 前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高く、且つ前記第2演出が実行された場合よりも前記第3演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高い
I ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第6334759号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下のア?スの事項が記載されていると共に、以下のセ?ソの認定事項が示されており、さらに、「変形例2C」について以下のタの認定事項が示されているものと認められる(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
「【0004】
上記特許文献1の遊技機では、演出用可動体を、該演出用可動体の一部が孔部を介して遊技領域側の透明板(第2透過部材)よりも遊技者側に配置されるように設けただけであるため、演出の効果を向上させるのに限界があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、演出の効果を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」

イ 「【0032】
図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面200Aを前面側に有する遊技盤2(ゲージ盤ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域(「遊技部」ともいう)10が形成されている。この遊技領域10は、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれ、打ち込まれた遊技球が流下可能な領域とされている。
・・・
【0036】
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5A,5X,5Yが設けられている。演出表示装置5A,5X,5Yは、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5Aの表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して(例えば、第1特図ゲームや第2特図ゲームと同期して)、例えば3つといった複数の変動表示部となる「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄(飾り図柄)が変動表示(例えば上下方向のスクロール表示や更新表示)される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
・・・
【0039】
また、これら演出表示装置5A,5X,5Yは、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。なお、本実施の形態では、演出表示装置5X,5Yの一部は盤面板200を通して視認できるようになっている。また、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠52が設けられている。」

ウ 「【0086】
本実施の形態では、遊技領域10とは、遊技球が流下可能な領域、つまり、盤面板200の遊技盤面200Aにおいてガイドレール2bに囲まれた領域のうち開口2cを除く領域と、開口2cに対応する領域、つまり、演出表示装置5A,5X,5Yや後述する各種可動体が遊技者から視認可能に設けられる領域と、を含む(図8において斜線で示す領域)。また、開口2cにはセンター飾り枠52が設けられていることで、遊技球が開口2c内に流入することが規制されている。」

エ 「【0093】
次に、図10?図18に基づいて、第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500L,500R及び第4可動体600L,600Rを有する可動体ユニットについて説明する。図10は、動作待機形態の可動体ユニットを斜め前から見た状態を示す斜視図である。図11は、第1動作形態の可動体ユニットを斜め前から見た状態を示す斜視図である。図12は、第2動作形態の可動体ユニットを斜め前から見た状態を示す斜視図である。図13は、動作待機形態の可動体ユニットを正面から見た概略図である。図14は、第1動作形態の可動体ユニットを正面から見た概略図である。図15は、第2動作形態の可動体ユニットを正面から見た概略図である。図16は、動作待機形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。図17は、第1動作形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。図18は、第2動作形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。
【0094】
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
・・・
【0097】
図10?図18に示すように、可動体ユニットは、遊技盤2と該遊技盤2の背面側に設けられる演出表示装置5A,5X,5Yとの間に設けられ、演出表示装置5A,5X,5Yを支持する裏カバー70に固定されるベース部材700と、該ベース部材700に対し移動可能に設けられた第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500L,500R及び第4可動体600L,600Rと、を有する。ベース部材700は、上辺部、左側辺部、右側辺部、下辺部により四角枠状に形成され、各上辺部、左側辺部、右側辺部、下辺部が演出表示装置5Aの表示画面の各辺に沿うように配設され、中央の開口を介して演出表示装置5A,5X,5Yの表示画面を視認できるようになっている。この可動体ユニットは、後述するように動作待機形態、第1動作形態、第2動作形態に変化可能である。
【0098】
第1可動体300は、ベース部材700の上辺部から斜め下方に向けて延びるレール701に沿って前後方向に移動可能に取付けられるスライド板301と、スライド板301の先端に回動軸305を介して回動可能に軸支される本体部302と、本体部302に対し突出及び収納動作可能に取付けられる第1突出部303及び第2突出部304と、第1駆動機構310、第2駆動機構320、第3駆動機構330及び第4駆動機構340(図2参照)と、から主に構成されている。」

オ 「【0103】
第1突出部303は、第3駆動モータ331や図示しないギヤ及びラック等から成る第3駆動機構330により、本体部302に内蔵される第1収納状態(図13、図15及び図16、図18参照)と、本体部302の面Aから外方へ突出する第1突出状態(図14及び図17参照)と、に切換え可能となっている。第1収納状態にあっては、第1突出部303全体が本体部302内に収納されており、該本体部302から外部に突出しないようになっている。第3駆動機構330は、第1突出部303の状態を検出する第1突出位置センサ及び第1収納位置センサを備えている。
【0104】
第2突出部304は、第4駆動モータ341や図示しないギヤ及びラック等から成る第4駆動機構340により、本体部302に一部内蔵される第2収納状態(図13、図14及び図16、図17参照)と、本体部302の面Bから外方へ突出する第2突出状態(図15及び図18参照)と、に切換え可能となっている。第2収納状態にあっては、第1突出部303(「第2突出部304」の誤記と認める。)の一部が本体部302の面Bよりも外方に突出しているが、前記回動待機状態や第1回動状態において面Bの背面側に配置されているため、遊技者(正面側)から目立たなくなっている。第4駆動機構340は、第2突出部304の状態を検出する第2突出位置センサ及び第2収納位置センサを備えている。」

カ 「【0109】
また、図11に示すように、可動体ユニットの第1動作形態にあっては、第1可動体300が第1演出位置、第2可動体400が第2演出位置、第3可動体500L,500Rが第3演出位置、第4可動体600L,600Rが第4待機位置に配置されており、第1可動体300は、第1回動状態であるとともに、第1突出部303は、第1突出状態となり、第2突出部304は、第2収納状態となっている。このとき、第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500L,500R及び第1突出部303が演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され、所定の形状を成す構造物を構成するように互いに接触または近接することにより合体する(図14参照)。つまり、演出制御用CPU120は、第1制御を行った後に、第1可動体300に第2可動体400や第3可動体500L,500Rを合体可能に移動させる制御が可能である。
【0110】
また、図12に示すように、可動体ユニットの第2動作形態にあっては、第1可動体300が第1演出位置、第2可動体400が第2待機位置、第3可動体500L,500Rが第3待機位置、第4可動体600L,600Rが第4演出位置に配置されており、第1可動体300は、第2回動状態であるとともに、第1突出部303は、第1収納状態となり、第2突出部304は、第2突出状態となっている。このとき、第1可動体300、第4可動体600L,600R及び第2突出部304が演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され、第1動作形態とは異なる形状の構造物を構成するように互いに接触または近接することにより合体する(図15参照)。つまり、演出制御用CPU120は、第1制御を行った後に、第1可動体300に第4可動体600L,600Rを合体可能に移動させる制御が可能である。
・・・
【0113】
次に、演出制御用CPU120による可動体ユニットの動作制御の一例について図13?図19を用いて説明する。図19は、可動体演出における各可動体及び演出用LEDの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0114】
図13及び図16に示すように、可動体ユニットの動作待機形態にあっては、第1可動体300は、第1待機位置において、本体部302の面A側(前側)の一部が後透過板261の孔部270を介して後透過板261よりも前透過板251側、つまり前側に位置している(特に、図13及び図16の実線部分参照)。
【0115】
本実施の形態における可動体演出では、図19に示すように、演出制御用CPU120は、可動体演出の開始条件が成立する(例えば、可動演出の実行中における操作手段(例えば、演出ボタンやスティックコントローラ31Aなど)の操作受付期間中に操作手段の操作を検出したときや、操作有効期間が終了して可動体の実行タイミングとなったときなど)と、第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500L,500Rを動作させる。演出用LED9は、第1発光態様により発光演出を行う。
【0116】
詳しくは、第1可動体300は、第1駆動機構310により第1待機位置から第1演出位置に向けて斜め下方向に移動する(図13及び図16の矢印1参照)。図13及び図16の仮想線部分に示すように、第1可動体300が第1演出位置に移動した際には、本体部302の面A側(前側)の所定部(前半分)が後透過板261の孔部270を介して後透過板261よりも前透過板251側に位置し、本体部302が第1待機位置よりも前方側に配置される。つまり、演出制御用CPU120は、第1待機位置にある第1可動体300を、本体部302の面A側(前側)の所定部(前半分)が後透過板261の孔部270を介して後透過板261よりも前透過板251側に位置するまで前側に移動させる第1制御を実行可能である。また、第2可動体400は第2演出位置、第3可動体500L,500Rは第3演出位置に向けて移動する。
【0117】
第1可動体300、第2可動体400、及び第3可動体500L,500Rが所定位置まで移動すると、図示しない第1演出位置センサ、第2演出位置センサ、第3演出位置センサにより検出され、演出制御用CPU120は、前記第1演出位置センサ、第2演出位置センサ、第3演出位置センサが各可動体を検出したことに基づいて、第1可動体300が第1回動状態となるように回動軸305を右側面視反時計回りに回動させる(第1回転、図14及び図17の矢印2参照)。演出制御用CPU120は、第1可動体300が第1回動位置センサに検出されたことに基づいて第1可動体300の第1回動を停止させる。このとき、第2可動体400及び第3可動体500L,500Rの前端側が前方側に傾倒(図14及び図17の矢印3参照)し、第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500L,500Rが合体する。回動するときでも、本体部302の面A側(前側)の所定部(前半分)が後透過板261の孔部270を介して後透過板261よりも前透過板251側に位置している。
【0118】
次いで、演出制御用CPU120は、演出用LED9を第2発光態様により発光させるとともに、第3駆動機構330により第1突出部303を前記第1突出位置センサに検出されるまで本体部302の面Aから外方へ突出させ第1突出状態とする。前述のように第1可動体300の第1回動状態にあっては、本体部302の面Aが斜め前方側上方を向いているため、第1突出部303は斜め前上方に向けて突出する(図14及び図17の矢印4参照)。すなわち、第1突出部303は、本体部302の移動方向(斜め下方向)に対し交差する方向に移動する。つまり、演出制御用CPU120は、第1制御を実行した後、本体部302の面A側(前側)の所定部(前半分)の一部である第1突出部303を、前記第1制御における移動方向(前下方向)に対し交差する方向(前上方向)に移動させる第2制御を実行可能である。これら第1制御と第2制御とを実行することにより、可動体ユニットは第1動作形態に変化する。
【0119】
このように、第1可動体300は、本体部302が斜め前方下側に移動した後、第1突出部303が前透過板251と後透過板261との間に形成された空間部Sで斜め前方側上方に突出するため、後透過板261に接触させることなく、第1突出部303の移動動作を好適に見せることができる。また、第1動作形態や第2動作形態に変化する際においても、前透過板251に接触することはない。」

キ 「【0125】
次に、演出制御用CPU120は、可動体ユニットの第1動作形態の状態が所定時間経過したことに基づいて、第1突出部303を前記第1収納位置センサに検出されるまで移動させて第1収納状態とするとともに、前記第2待機位置センサ及び第3待機位置センサに検出されるまで第2可動体400を第2待機位置、第3可動体500L,500Rを第3待機位置に移動させる(図15及び図18の矢印5参照)。次いで、第2可動体400及び第3可動体500L,500Rが第1可動体300の回動動作に干渉しない位置に到達した後に、第1可動体300が第2回動状態となるように回動軸305を右側面視時計回りに回動させる(第2回転、図15及び図18の矢印6参照)とともに、演出用LED9を第3発光態様により発光させる。演出制御用CPU120は、第1可動体300が第2回動位置センサに検出されたことに基づいて第1可動体300の第2回動を停止させる。
【0126】
そして、第2突出部304を前記第2突出位置センサに検出されるまで突出させて第2突出状態とする(図15及び図18の矢印7参照)とともに、第4可動体600L,600Rを前記第4演出位置センサに検出されるまで第4演出位置に向けて移動させる(図15及び図18の矢印7参照)。つまり、演出制御用CPU120は、第1制御を実行した後、本体部302の面A側(前側)の所定部(前半分)の一部である第2突出部304を、前記第1制御における移動方向(前下方向)に対し交差する方向(前上方向)に移動させる第2制御を実行可能である。これら第1制御と第2制御とを実行することにより、可動体ユニットは第2動作形態に変化する。このとき、演出用LED9を第4発光態様により発光させる。」

ク 「【0150】
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「3」、「7」などの特図)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄(ハズレ図柄、例えば「-」などの特図)が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。大当り遊技状態は、遊技者にとって有利な有利状態である。特図ゲームでの変動表示結果が「ハズレ」のときには、大当り遊技状態には制御されない。」

ケ 「【0209】
S323の処理の後、演出制御用CPU120は、例えばスーパーリーチAのリーチ演出の場合に可動体を動作させる可動体演出設定処理(S323A)を実行する。
・・・
【0211】
図30(B)に示すように、スーパーリーチA(ハズレ)変動パターンの場合は、「実行なし」が15%、「実行あり」で「動作パターンPTA-1(図11に示す第1動作形態)」が55%の確率で決定され、「実行あり」で「動作パターンPTA-2(図11に示す第1動作形態となった後に図12に示す第2動作形態)」が30%の確率で決定される。これに対して、スーパーリーチA(大当り)変動パターンの場合は、「実行なし」が10%、「実行あり」で「動作パターンPTA-1(第1動作形態)」が20%の確率で決定され、「実行あり」で「動作パターンPTA-2(第1動作形態後に第2動作形態)」が70%の確率で決定される。大当りの場合には、ハズレの場合よりも可動体演出が実行され易くなっており、可動体演出について大当りの期待感を持つことができ、遊技の興趣が向上する。また、スーパーリーチA(大当り)変動パターンの場合は、スーパーリーチA(ハズレ)変動パターンの場合よりも、「動作パターンPTA-2(第1動作形態後に第2動作形態)」の可動体演出が実行され易くなっており、第1可動体300が図12に示す第2動作形態に動作する可動体演出について、大当りの期待感を持つことができ、遊技の興趣が向上する。また、スーパーリーチA(大当り)変動パターンの場合にも、「動作パターンPTA-1(図11に示す第1動作形態)」が実行されるため、第1可動体300が図11に示す第1動作形態に動作する可動体演出についても大当りの期待感を持つことができ、遊技の興趣が向上する。なおここでは、動作パターンPTA-2は、第1動作形態となった後に第2動作形態を行うものとしているが、これに限定されない。例えば、動作パターンPTA-2は、図12に示す第2動作形態のみを行うものとしてもよい。」

コ 「【0285】
(変形例2A)上記実施の形態では、第1可動体300は、第1駆動機構310により第1待機位置(原点位置)から第1演出位置に向けて斜め下方向に移動する(図16の矢印1参照)ようにしているが、これに限定されない。図37に示す変形例2Aのように、第1可動体300が原点位置P0から第2位置P2に凹円弧状経路RT1で動作するようにしたり、凸円弧状経路RT2で動作するようにしたりしてもよい。つまり、第1可動体300を下向き案内経路部(図示省略のレール、ガイド部材など)は、凸状または凹状の下向き円弧状の経路に形成されていればよい。変形例2Aによれば、第1可動体300を下向き円弧状の経路で案内することができ、第1可動体300を下向きに加速させて進出させることができる。このため、遊技者に対して迫力のある可動体演出を提供することができる。」

サ 「【図16】:動作待機形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。



シ 「【0287】
(変形例2C)
また、図39に示す変形例2Cのように、第1可動体300は、凹円弧状経路RT1の途中位置PS1と該途中位置PS1よりも進出した進出位置PS2とに進出可能であり、第1可動体300が途中位置PS1に進出する場合と、第1可動体300が進出位置PS2に進出する場合とで、有利状態に制御される期待度(例えば、大当り期待度など)が異なるようにしてもよい。変形例2Cによれば、第1可動体300が途中位置PS1に進出する場合と、第1可動体300が進出位置PS2に進出する場合とで、有利状態に制御される期待度(例えば、大当り期待度など)が異なるので、可動体演出に遊技者を注視させることができる。これにより、演出の効果を向上させることができる。例えば、途中位置PS1よりも進出位置PS2の方が、期待度が高い場合には、進出位置PS2では途中位置PS1よりも遊技者に近い位置での動作演出となることと相まって、可動体演出の効果を高めることができる。」

ス 「【図39】:変形例2Cの第1可動体の複数位置停止を示す説明図である。




セ 【0118】に「第1突出部303を・・・本体部302の面Aから外方へ突出させ第1突出状態とする。・・・第1突出部303は斜め前上方に向けて突出する」との記載、及び、【図17】(:第1動作形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。)の第1突出状態にある第1突出部303が遊技盤200の前方に位置する図示内容から、引用文献1には、次の技術事項が記載されている。
「本体部302から斜め前上方に向けて突出され、第1突出状態にある第1突出部303が遊技盤200の前方に位置すること。」

「【図17】:第1動作形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。



ソ 【0126】に「第2突出部304を・・・突出させて第2突出状態とする。」との記載、及び、【図18】(:第2動作形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。)の第2突出状態にある第2突出部304が遊技盤200の斜め前上方に向けて突出され、遊技盤200の前方に位置する図示内容から、引用文献1には、次の技術事項が記載されている。
「本体部302から斜め前上方に向けて突出され、第2突出状態にある第2突出部304が遊技盤200の前方に位置すること。」

「【図18】:第2動作形態の可動体ユニットを側面から見た概略図である。



タ 変形例2Cについての認定事項
変形例2のうち、まず、「変形例2A」に関して、【0285】に「(変形例2A) 上記実施の形態では、第1可動体300は、第1駆動機構310により第1待機位置(原点位置)から第1演出位置に向けて斜め下方向に移動する(図16の矢印1参照)ようにしているが、これに限定されない。図37に示す変形例2Aのように、第1可動体300が原点位置P0から第2位置P2に凹円弧状経路RT1で動作するようにしたり、凸円弧状経路RT2で動作するようにしたりしてもよい。」と記載されている。
この記載によれば、実施の形態における「第1演出位置」は、変形例2Aにおける「第2位置P2」に対応しているといえる。
一方、「変形例2C」について、【0287】に「また、図39に示す変形例2Cのように、第1可動体300は、凹円弧状経路RT1の途中位置PS1と該途中位置PS1よりも進出した進出位置PS2とに進出可能であり、第1可動体300が途中位置PS1に進出する場合と、第1可動体300が進出位置PS2に進出する場合とで、有利状態に制御される期待度(例えば、大当り期待度など)が異なるようにしてもよい。」と記載されている。
この「第1可動体300は、凹円弧状経路RT1の途中位置PS1と該途中位置PS1よりも進出した進出位置PS2とに進出可能であり」との記載より、変形例2Cにおける「凹円弧状経路RT1」は、変形例2Aにおける「凹円弧状経路RT1」に対応するものといえて、変形例2Cにおける「進出位置PS2」は、変形例2Aにおける「第2位置P2」に対応する。
そうすると、変形例2Aにおける「第2位置P2」が、実施の形態における「第1演出位置」に対応するから、変形例2Cにおける「進出位置PS2」は、実施の形態における「第1進出位置」に対応する。
また、【0113】に「演出制御用CPU120による可動体ユニットの動作制御・・・」との記載がある。

したがって、引用文献1には、「変形例2C」について、次の技術事項が記載されている。
「演出制御用CPU120は、第1可動体300を、第1演出位置に進出させるように動作制御することに加えて、凹円弧状経路RT1の途中位置PS1に進出させるように動作制御し、
途中位置PS1に進出させる場合よりも、第1進出位置に進出させる場合の方が、遊技者に近い位置での動作演出となることと相まって、可動体演出の効果を高めて大当り期待度を高くすることができる(【0285】、【0287】)こと。」

チ 引用発明
上記ア?スの記載事項及び上記セ?タの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?iは、本件補正発明のA?Iに対応させて当審判合議体にて付与した。)。
「a 遊技領域10が形成され、開口2cが形成された遊技盤2を備え、遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機1(【0032】、【0039】、【0150】)であって、

b 演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている演出制御用CPU120(【0094】)と、

c 遊技盤2と該遊技盤2の背面側に設けられる演出表示装置5A,5X,5Yとの間に設けられ、第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500L,500R及び第4可動体600L,600Rを有し、動作待機形態、第1動作形態、第2動作形態に変化可能である可動体ユニット(【0097】)と、を備え、
遊技領域10には、遊技球が流下可能な領域と、演出表示装置5A,5X,5Yや各種可動体が遊技者から視認可能に設けられる、開口2cに対応する領域と、が含まれ(【0086】)、

d、f 第1可動体300は、本体部302と、本体部302に対し突出および収納動作可能に取付けられる第1突出部303および第2突出部304とから主に構成され(【0098】)、
第1突出部303は、本体部302に内蔵される第1収納状態と、本体部302の面Aから外方へ突出する第1突出状態と、に切換え可能となっており(【0103】)、
第2突出部304は、本体部302に一部内蔵される第2収納状態と、本体部302の面Bから外方へ突出する第2突出状態と、に切換え可能となっており、第2収納状態にあっては、その一部が本体部302の面Bよりも外方に突出しているが、回動待機状態や第1回動状態において面Bの背面側に配置されているため、遊技者(正面側)から目立たなくなっており(【0104】)、

e 可動体ユニットの第1動作形態にあって、第1演出位置に配置された第1可動体300は、第1回動状態であるとともに、第1突出部303は、第1突出状態となり、第2突出部304は、第2収納状態となっており、このとき、第1可動体300及び第1突出状態にある第1突出部303が演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され、
可動体ユニットの第2動作形態にあって、第1演出位置に配置された第1可動体300は、第2回動状態であるとともに、第1突出部303は、第1収納状態となり、第2突出部304は、第2突出状態となっており、このとき、第1可動体300及び第2突出状態にある第2突出部304が演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され(【0036】、【0109】?【0110】)、
本体部302から斜め前上方に向けて突出され、第1突出状態にある第1突出部303、及び、第2突出状態にある第2突出部304が遊技盤200の前方に位置し(認定事項セ、ソ)、

g 演出制御用CPU120は、第1可動体300を有する可動体ユニットを動作待機形態、第1動作形態、第2動作形態に変化可能に動作制御し(【0097】、【0113】)、
可動体ユニットの第1動作形態にあっては、
第1可動体300が、
第1待機位置から斜め下方向に移動して第1演出位置に配置され、
次に、右側面視反時計回りに第1回動位置まで回動されて第1回動状態とされ、
その次に、第1突出部303を第1突出状態としたものであり(【0103】、【0109】、【0116】?【0118】)、

可動体ユニットの第2動作形態にあっては、
第1可動体300が、
第1動作形態の状態が所定時間経過したことに基づいて、第1突出部303を第1収納状態とし、
次に、右側面視時計回りに第2回動位置まで回動されて第2回動状態とされ、
その次に、第2突出部304を第2突出状態としたものであり(【0104】、【0110】、【0125】?【0126】)、

第1可動体300は、本体部302が斜め前方下側に移動した後、第1突出部303が前透過板251と後透過板261との間に形成された空間部Sで斜め前方側上方に突出するため、後透過板261に接触させることなく、第1突出部303の移動動作を好適に見せることができ、また、第1動作形態や第2動作形態に変化する際においても、前透過板251に接触することはなく(【0119】)、

第1可動体300を、第1演出位置に進出させるように動作制御することに加えて、凹円弧状経路RT1の途中位置PS1に進出させるように動作制御し(認定事項タ)、

h 途中位置PS1に進出させる場合よりも、第1進出位置に進出させる場合の方が、遊技者に近い位置での動作演出となることと相まって、可動体演出の効果を高めて大当り期待度を高くすることができ(認定事項セ)、
演出制御用CPU120により実行される可動体演出設定処理において、スーパーリーチA(ハズレ)変動パターンの場合は、「動作パターンPTA-1(第1動作形態)」が55%の確率で決定され、「動作パターンPTA-2(第1動作形態となった後に第2動作形態)」が30%の確率で決定され、スーパーリーチA(大当り)変動パターンの場合は、「動作パターンPTA-1(第1動作形態)」が20%の確率で決定され、「動作パターンPTA-2(第1動作形態後に第2動作形態)」が70%の確率で決定される(【0211】)

i パチンコ遊技機1(【0032】)。」

(3)引用文献1に記載された技術事項
引用文献1には、「発明の一実施の形態」に関して、【0211】に「スーパーリーチA変動パターン」に、「動作パターンPTA-1(第1動作形態)」と「動作パターンPTA-2(第1動作形態となった後に第2動作形態)」が含まれることが記載され、「スーパーリーチA(大当り)変動パターンの場合は、スーパーリーチA(ハズレ)変動パターンの場合よりも、「動作パターンPTA-2(第1動作形態後に第2動作形態)」の可動体演出が実行され易くなって」いることが記載されている。

したがって、引用文献1には、次の技術事項が記載されている。
「スーパーリーチA(大当り)変動パターンの場合は、スーパーリーチA(ハズレ)変動パターンの場合よりも、「動作パターンPTA-1(第1動作形態)」よりも、「動作パターンPTA-2(第2動作形態)」の可動体演出が実行され易くなっていること。」


(4)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a、i)
引用発明の「開口2c」、「遊技盤2」、「遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態」、「パチンコ遊技機1」は、それぞれ、本件補正発明の「開口部」、「遊技盤」、「遊技者に有利な有利遊技状態」、「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成a、iは、本件補正発明の構成A、Iに相当する。

(b)
引用発明の「演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出」は、本件補正発明の「所定の演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成bの「演出制御用CPU120」は、本件補正発明の構成Bの「演出実行手段」としての機能を有する。

(c)
引用発明の「可動体ユニット」の「第1可動体300」は、本件補正発明の「可動体」に相当するから、引用発明の「遊技盤2と該遊技盤2の背面側に設けられる演出表示装置5A,5X,5Yとの間に」「第1可動体300を有」する「可動体ユニット」が「設けられた」ことは、本件補正発明の「遊技盤には、」「可動体が設置され」ることに相当する。
そして、引用発明は、「遊技領域10に」「各種可動体が遊技者から視認可能に設けられる、開口2cに対応する領域」が含まれるものである。
また、引用発明の構成eによると、引用発明は、「可動体ユニットの第1動作形態にあって、第1演出位置に配置された第1可動体300」と「第1突出状態にある第1突出部303が演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され」、「可動体ユニットの第2動作形態にあって、第1演出位置に配置された第1可動体300」と「第2突出状態にある第2突出部304が演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され」るものである。
そうすると、引用発明において、「遊技者」は、「演出表示装置5A,5X,5Yの前面側に配置され」る「第1可動体300」、「第1突出状態にある第1突出部303」、及び、「第2突出状態にある第2突出部304」を、「開口2c」から「視認可能」である。
したがって、引用発明の「遊技領域10に」「各種可動体が遊技者から視認可能に設けられる、開口2cに対応する領域」が含まれることは、本件補正発明の「開口部から」「可動体」を「視認可能な」ことに相当する。
よって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する。

(d)
引用発明の「本体部302」、「本体部302に対し」「収納動作可能に取付けられる第1突出部303」は、それぞれ、本件補正発明の「本体部」、「本体部に収納されている突出部」に相当する。
そして、引用発明の「本体部302に対し突出および収納動作可能に取付けられる」「第2突出部304」と、本件補正発明の「本体部に収納されている突出部」とは、前者が、「本体部302に一部内蔵される第2収納状態」「に切換え可能となって」いることから、「本体部に少なくとも一部が収納されている突出部」である点で共通する。
したがって、引用発明の構成d、fと、本件補正発明の構成Dとは、「可動体は、本体部、および、本体部に少なくとも一部が収納されている突出部を有」することで共通する。

(e)
引用発明において、「第1突出状態にある第1突出部303」及び「第2突出状態にある第2突出部304」は、「本体部302から斜め前上方に向けて突出され」るものである。
そうすると、引用発明の「第1突出部303および第2突出部304」は、構成d、fによると、「本体部302に対し突出及び収納動作可能に取付けられる」ものであるから、「本体部302に対し」少なくとも一部が「収納」されている状態から、「突出」「動作可能」なものであり、本件補正発明の「本体部に収納されている状態から」「突出する」ことに相当する。
同様に、引用発明の「第1突出状態にある第1突出部303、及び、第2突出状態にある第2突出部304が遊技盤200の前方に位置」することは、本件補正発明の「突出部は」「遊技盤の前面よりも前方側に突出することが可能であ」ることに相当する。
したがって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。

(f)
引用発明の「第1突出部303」、「第2突出部304」は、それぞれ、本件補正発明の「第1の突出部」、「第2の突出部」に相当する。
したがって、引用発明の構成d、fは、本件補正発明の構成Fを含む。

(g)
上記(b)より、引用発明の「演出制御用CPU120」は、本件補正発明の「演出実行手段」としての機能を有する。
そして、構成d、fより、引用発明の「第1可動体300は」、「本体部302」を含むものであって、その「本体部302に対し突出及び収納動作可能に」「第1突出部303及び第2突出部304」が「取付けられる」ものである。

そうすると、引用発明の
g1 「第1可動体300が、第1待機位置から斜め下方向に移動して第1演出位置に配置され」ること、
g2 「次に、右側面視反時計回りに第1回動位置まで回動されて第1回動状態とされ」ること、
g3 「その次に、第1突出部303を第1突出状態と」すること、
g4 「第1動作形態」、
g5 「第1突出部303を第1収納状態と」すること、
g6 「次に、右側面視時計回りに第2回動位置まで回動されて第2回動状態とされ」ること、
g7 「第2突出部304を第2突出状態と」すること、
g8 「第2動作形態」は、それぞれ、
本件補正発明の
G1 「本体部が所定の待機状態から所定方向に移動」すること、
G2 「後に第1の方向に回転」すること、
G3 「次いで第1の突出部が突出する」こと、
G4 「第2演出」及び「本体部が所定の待機状態から所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで第1の突出部が突出」すること、
G5 「本体部に収納され」ること、
G6 「そこから本体部が第1の方向と反対の第2の方向に回転」すること、
G7 「第2の突出部が突出する」こと、
G8 「第3演出」に相当する。

そして、引用発明の「第1可動体300を」「凹円弧状経路RT1の途中位置PS1に進出させるように動作制御」する演出と、本件補正発明の「本体部が所定の待機状態から所定方向に移動するが、第1の突出部および第2の突出部が突出しない第1演出」とは、「本体部が所定の待機状態から所定方向に移動する」「第1演出」である点で共通する。

したがって、引用発明の構成gと本件補正発明の構成Gとは、「演出実行手段は、」「本体部が所定の待機状態から所定方向に移動する」「第1演出と、本体部が所定の待機状態から所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで第1の突出部が突出する第2演出と、本体部が所定の待機状態から所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで第1の突出部が突出して本体部に収納され、そこから本体部が第1の方向と反対の第2の方向に回転し、第2の突出部が突出する第3演出と、を実行可能であ」ることで共通する。

(h)
引用発明における「途中位置PS1に進出させる」「動作演出」は、上記(g)より、本件補正発明の「第1演出」に相当する。
そして、引用発明の「第1進出位置に進出させる」「動作演出」は、上記(g)より、本件補正発明の「第2演出」、又は、「第3演出」に対応する。
そうすると、引用発明の「途中位置PS1に進出させる場合よりも、第1進出位置に進出させる場合の方が、遊技者に近い位置での動作演出となることと相まって、可動体演出の効果を高めて大当り期待度を高くすることができ」ることは、本件補正発明の「第1演出が実行された場合よりも第2演出が実行された場合の方が有利遊技状態になる可能性が高」いことに相当する。

したがって、引用発明の構成hと本件補正発明の構成Hとは、「第1演出が実行された場合よりも第2演出が実行された場合の方が有利遊技状態になる可能性が高」いことで共通する。

上記(a、i)?(h)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 開口部が形成された遊技盤を備え、遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機であって、
B 所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
C 前記遊技盤には、前記開口部から視認可能な可動体が設置され、
D´前記可動体は、本体部、および、前記本体部に少なくとも一部が収納されている突出部を有し、
E 前記突出部は、前記本体部に収納されている状態から前記遊技盤の前面よりも前方側に突出することが可能であり、
F 前記突出部には、第1の突出部と、第2の突出部と、があり、
G´前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から所定方向に移動する第1演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出する第2演出と、前記本体部が前記所定の待機状態から前記所定方向に移動した後に前記第1の方向に回転し、次いで前記第1の突出部が突出して前記本体部に収納され、そこから前記本体部が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転し、前記第2の突出部が突出する第3演出と、を実行可能であり、
H´ 前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高い
I 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1」(構成D)
突出部に関して、本件補正発明は、突出部が、本体部に収納されているが、引用発明は、第1突出部303については、本体部302に内蔵される第1収納状態に切換え可能となっているが、第2突出部304については、本体部302に一部内蔵される第2収納状態に切換え可能となっている点。

[相違点2」(構成G)
本体部が所定の待機状態から所定方向に移動する第1演出に関して、本件補正発明は、第1の突出部および第2の突出部が突出しないのに対して、引用発明は、第1突出部303及び第2突出部304が突出するか否か明らかでない点。

[相違点3」(構成H)
第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高いことに加え、本件補正発明は、第2演出が実行された場合よりも第3演出が実行された場合の方が有利遊技状態になる可能性が高いのに対して、引用発明は、「第1動作形態」や「第2動作形態」のいずれが実行された場合の方が有利状態になる可能性が高いのか不明である点。

(5)当審判合議体の判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明において、「第2突出部304」は、「本体部302に一部内蔵される第2収納状態」に「に切換え可能」となっているが、「第2収納状態にあっては、その一部が本体部302の面Bよりも外方に突出しているが、回動待機状態や第1回動状態において面Bの背面側に配置されているため、遊技者(正面側)から目立たなくなっている」ものである。
そして、引用発明の「第2突出部304」の「第2収納状態」について、その一部を「本体部302に」「内蔵」させるか、その全部を「本体部302に」「内蔵」させるかは、「第2収納状態に」おいて、「第2突出部304」を「遊技者(正面側)から目立たなく」する必要の程度に応じて、当業者が適宜決定し得たことである。
したがって、引用発明に基いて、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点2について
引用発明において、「第1可動体300」を「途中位置PS1」に進出させる「動作演出」について、「第1可動体300」を「途中位置PS1」に進出させる動作以外に、「第1動作形態」に基づく「第1突出部303」の「突出」「動作」を伴う演出、もしくは、「第2動作形態」に基づく「第2突出部303」の「突出」「動作」を伴う演出を行うか否かについて検討する。
(ア)まず、引用発明において、「本体部302」からの「第1突出部303」または「第2突出部304」の突出動作は、「第1可動体300が、」「第1演出位置に配置され」て初めて実行されるものであり、「第1待機位置から」「第1演出位置」への移動途中において実行されることは、引用文献1には明示的に記載されていない。
(イ)次に、引用発明は、「第1可動体300は、本体部302が斜め前方下側に移動した後、第1突出部303が前透過板251と後透過板261との間に形成された空間部Sで斜め前方側上方に突出するため、後透過板261に接触させることなく、第1突出部303の移動動作を好適に見せることができ」るものであるため、「本体部302が斜め前方下側に移動」する途中で「第1突出部303」を「突出」させると、「後透過板261に接触」する恐れが生じるものである。
そうすると、引用文献1に記載された技術事項において、「凹円弧状経路RT1の途中位置PS1に進出させ」た状態で「第1突出部303」を「突出」させると、「第1突出部303」が「後透過板261に接触」する恐れがあるといえる。
(ウ)最後に、引用文献1に記載された技術事項は、「途中位置PS1に進出させる場合よりも、第1進出位置に進出させる場合の方が、遊技者に近い位置での動作演出となることと相まって、可動体演出の効果を高めて大当り期待度を高くすることができ」ることから、「第1可動体300」を「途中位置PS1に進出させる場合」の可動体演出については、可動体演出の効果を低くする観点から、「第1動作形態」に基づく「第1突出部303」の「突出」「動作」を伴う演出、もしくは、「第2動作形態」に基づく「第2突出部303」の「突出」「動作」を伴う演出を行わない構成とすることが導かれるものである。
上記(ア)?(ウ)の検討内容からみて、引用発明において、「第1可動体300」を「途中位置PS1に進出させる場合」の「動作演出」について、「第1突出部303」の「突出」「動作」を伴う演出、もしくは、「第2突出部303」の「突出」「動作」を伴う演出を行わないようにし、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものである。

[相違点3」(構成H)
第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高いことに加え、本件補正発明は、第2演出が実行された場合よりも第3演出が実行された場合の方が有利遊技状態になる可能性が高いのに対して、引用発明は、「第1動作形態」や「第2動作形態」のいずれが実行された場合の方が有利状態になる可能性が高いのか不明である点で一応相違する。

ウ 相違点3について
引用発明の構成hによると、「途中位置PS1に進出させる場合」に実行される演出よりも、「第1進出位置に進出させる場合」に実行される「第1動作形態」による演出や、「第2動作形態」による演出の方が大当り期待度の高い演出であるといえる。
一方、引用文献1に記載された技術事項によると、「第1動作形態」による演出よりも、「第2動作形態」による演出の方が大当り期待度の高い演出であるといえる。

これらのことから、引用発明、引用文献1に記載された技術事項に基くと、「途中位置PS1に進出させる場合」に実行される演出、「第1進出位置に進出させる場合」に実行される「第1動作形態」による演出、「第1進出位置に進出させる場合」に実行される「第2動作形態」による演出の順に大当り期待度が高くなるといえる。
したがって、引用発明に引用文献1に記載された技術事項を適用して上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

エ 効果について
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

オ 小括
よって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(6)まとめ
上記(1)?(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成31年4月18日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「A 開口部が形成された遊技盤を備え、遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機であって、
B 所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
C 前記遊技盤には、前記開口部から視認可能な可動体が設置され、
D 前記可動体は、本体部、および、前記本体部に収納されている突出部を有し、
G1 前記本体部は少なくとも第1の動作と第2の動作を行うことが可能であり、
E 前記突出部は、前記本体部に収納されている状態から前記遊技盤の前面よりも前方側に突出することが可能であり、
F 前記突出部には、第1の突出部と、第2の突出部と、があり、
G2 前記演出実行手段は、前記本体部が所定の待機状態から前記第1の動作を行ってから前記第1の突出部が突出する第1演出と、前記第1演出を実行した後に前記第1の突出部を前記本体部に収納し、前記本体部が前記第2の動作を行い、前記第2の突出部が突出する第2演出と、を実行可能であり、
H1 前記第1演出が実行された場合よりも前記第2演出が実行された場合の方が前記有利遊技状態になる可能性が高い
I ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特許第6334759号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特許第6334759号公報の記載事項及び引用発明の認定については、前記「第2 2-2(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明における「第1の演出」を削除するとともに、「第2の演出」、「第3の演出」に関する限定を省くものである。

そうすると、本願発明と引用発明とは、実質的に前記相違点1及び相違点3において相違し、その余の点で一致する。
そして、相違点1及び相違点3についての判断は、前記「第2 2-2(5)当審判合議体の判断」において検討したように、引用発明、若しくは、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易になし得たものである。

5 むすび
上記1?4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基いて特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-02-16 
結審通知日 2021-02-24 
審決日 2021-03-09 
出願番号 特願2018-131337(P2018-131337)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福田 知喜  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 長崎 洋一
小島 寛史
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人コスモス国際特許商標事務所  
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