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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  E04H
管理番号 1373792
異議申立番号 異議2020-700441  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-06-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-24 
確定日 2021-04-22 
異議申立件数
事件の表示 特許第6626390号発明「機械式駐車設備の制御方法と機械式駐車設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6626390号の請求項1、2、3、8に係る特許を取り消す。 同請求項4ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6626390号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成28年3月30日に出願され、令和1年12月6日にその特許権の設定登録がされ、令和1年12月25日に特許掲載公報が発行された。その後、令和2年6月24日に、特許異議申立人 川股くみ子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審より令和2年10月1日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。

2 本件発明
本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、を有し、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理の前に前記契約者認証処理で契約者であることが認証されることで該第1操作許可者認証データ取得処理が有効となるように構成されており、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有し、
前記操作許可者のみが前記機械式駐車設備の入出庫操作を行えるように構成されている、ことを特徴とする機械式駐車設備の制御方法。
【請求項2】
利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、前記契約者認証処理に基づいて行われる搬送呼出処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理と、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有している、ことを特徴とする機械式駐車設備の制御方法。
【請求項3】
利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が契約者として認証手段を与えられたまたは予め登録された前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理と、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有している、ことを特徴とする機械式駐車設備の制御方法。
【請求項4】
利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理と、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有し、
前記登録処理は、前記操作許可者の生体認証データを登録する処理を含むとともに、該操作許可者の前記生体認証データと関連付けられた前記生体認証データ以外の第2認証データの登録を含み、
前記第1操作許可者認証データ取得処理及び前記第2操作許可者認証データ取得処理の一方が、前記操作許可者の前記生体認証データを得る生体認証で構成される場合に、
前記第1操作許可者認証データ取得処理と前記第2操作許可者認証データ取得処理とは異なる認証手段で行われることが可能とされており、
前記第1操作許可者認証データ取得処理の認証データと前記第2操作許可者認証データ取得処理の認証データとのいずれか一方が登録された前記操作許可者の前記生体認証データであり、他方が該操作許可者の前記第2認証データであることで、前記閉扉処理が行われるように構成されている、ことを特徴とする機械式駐車設備の制御方法。
【請求項5】
前記生体認証は、前記出入口扉の近傍に備えられた撮像手段による顔認証であり、前記操作許可者が前記出入口扉の近傍に近づくと自動的に前記顔認証が行われるように構成されている、請求項4に記載の機械式駐車設備の制御方法。
【請求項6】
前記生体認証は、前記操作許可者が前記出入口扉の近傍に備えられた装置に直接触れる操作によって行われるように構成されている、請求項4に記載の機械式駐車設備の制御方法。
【請求項7】
前記操作許可者の生体認証データは、開扉動作前の最後に行われた生体認証の生体認証データが記憶されるように構成されている、請求項4?6のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の制御方法。
【請求項8】
利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備であって、
請求項1?7のいずれか1項に記載の制御方法により制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、前記操作許可者による前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記登録された認証データと照合した結果に基づいて前記出入口扉を開放し、前記操作許可者による前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データと前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データとを照合した結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖するように構成されている、ことを特徴とする機械式駐車設備。」

3 取消理由の概要
本件発明1、2、3、8に係る特許に対して、当審が令和2年10月1日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

「(拡大先願)本件特許の請求項1、2、3、8に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、請求項1、2、3、8に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。


〔先の特許出願〕特願2015-231891号
(平成27年11月27日出願、平成29年6月1日出願公開(特開2017-96053号)。)
なお、特願2015?231891号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面は、特開2017-96053号公報(申立人が提出した甲第1号証)を代用する。」

4 文献の記載
取消理由で通知した、先の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の内容を出願公開した特開2017-96053号公報(甲第1号証)には、以下の事項が記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置の運用形態としては、主に時間貸し式と定期式の2種類に分けられる。
時間貸し式は、例えば商業施設等に併設されている機械式駐車装置で用いられる運用形態である。時間貸し式は、利用者が不特定多数の者(以下「一時利用者」という。)であり、入出庫操作は機械式駐車装置の操作教育を受けた専任の操作員や商業施設等の管理人が行う。
定期式は、例えば、マンションやテナント等に併設されている機械式駐車装置で用いられる運用形態である。定期式は、利用者が契約した者(以下「定期契約者」という。)であり、入出庫操作は定期契約者自身で行う。
【0003】
ここで、機械式駐車装置に対して入出庫操作を行う場合に、例えば乗降室内に前の利用者が残された状態で、次の利用者が乗降室内に人がいないと誤認して、入出庫扉を閉じて起動してしまう可能性がある。
特に近年は電気自動車(EV)の充電設備を備えた機械式駐車装置が普及しつつあり、乗降室内で利用者が充電ケーブルと車両とを接続する場合、その利用者は車両の傍らに屈みこんで作業するため、他の利用者等から認識され難い。」

(2)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているICカードでは、時間貸しの一時利用者や定期契約者、操作員等が混在して利用される機械式駐車装置において利用者毎の権限を管理できない。
【0008】
また、例えば入出庫操作の教育を受けてない利用者でも、ICカードの情報が機械式駐車装置に登録されていれば、例えば操作員が不在時でも入出庫操作の教育を受けてない利用者自身で、当該機械式駐車装置の入出庫操作が可能である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、機械式駐車装置の操作を特定の利用者のみに確実に限定できる、機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法を提供することを目的とする。」

(3)「【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0011】
本発明の第一態様に係る機械式駐車装置の制御装置は、機械式駐車装置の利用可否を示した利用権限及び操作可否を示した操作権限を、登録者毎の権限として該登録者の識別情報と関連付けて記憶している記憶手段と、前記登録者の識別情報が入力される入力手段と前記入力手段に入力された前記識別情報に関連付けられた前記権限に基づき、前記識別情報を入力した前記登録者による前記機械式駐車装置の利用可否及び操作可否を認証する認証手段と、前記認証手段による認証結果に応じて前記機械式駐車装置を制御する制御手段と、を備える。
【0012】
本構成によれば、機械式駐車装置の利用権限及び操作権限が、登録者毎の権限として登録者の識別情報と関連付けて記憶手段に記憶されている。
なお、利用とは、自身の車両を機械式駐車装置に駐車することであり、機械式駐車装置に入庫予約や出庫予約を行うことも含まれる。操作とは、自身が機械式駐車装置に対して機械操作することであり、例えば車両の入庫又は出庫のために入出庫扉の開閉操作やリフトの上下動操作等を行うことである。そして、利用権限とは、上記利用が可能であること、操作権限とは、上記操作が可能であることである。
【0013】
入力手段に登録者の識別情報が入力されると、この記識別情報に関連付けられた権限に基づき、識別情報を入力した登録者による機械式駐車装置の利用可否及び操作可否が認証手段によって認証される。なお、入力手段は、例えば識別情報が記憶されたIDカードの読み取り手段や、識別情報(数値番号等)を登録者自らが入力するキー入力手段である。この認証結果に応じて機械式駐車装置が制御手段によって制御される。
従って、登録者毎に権限が与えられ、登録者であっても操作権限の無い者は機械式駐車装置を操作できないため、本構成によれば、機械式駐車装置の操作を特定の者のみに確実に限定できる。」

(4)「【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、機械式駐車装置の操作を特定の利用者のみに確実に限定できる、という効果を有する。」

(5)「【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0037】
図1は、機械式駐車場設備100の実施形態を示すエレベータ式の立体駐車場の縦断面図である。なお、本発明に係る制御装置及び制御方法は、以下に述べるエレベータ式の立体駐車場に限らず、複数の駐車スペースに搬送機で駐車車両を入出庫させる機械式駐車場設備100であれば、他の様々な形式のものにも幅広く適用することができる。また、機械式駐車場設備100は、複数の立体駐車場で構成されていてもよい。
【0038】
この立体駐車場とされた機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備えている。駐車塔3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が開設されている。入出庫口4には上下スライド式の入出庫扉4aが設けられている。
【0039】
駐車塔3の地上階は図2にも示す乗降室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗降室7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
【0040】
駐車塔3の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(エレベータ状のパレット搬送機)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔3の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる4組のワイヤロープ15に四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0041】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両2を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0042】
リフト14と車両格納棚17の床面には、リフト14と車両格納棚17との床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18(以下「空パレット」という。)、又は車両2が積載されたパレット18(以下「実パレット」という。)を、リフト14から車両格納棚17に、又は車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0043】
車両2の入庫時は、まず空パレットが収容されている車両格納棚17から、リフト14によって空パレットが乗降室7に降ろされ、パレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、このパレット18に車両2が乗り上げて、そのままパレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、リフト14で昇降通路13を上昇し、車両格納棚17に収容される。
【0044】
また、出庫時は、出庫する車両2が収容されている車両格納棚17の高さまでリフト14が上昇し、パレット18ごと出庫車両がリフト14に引き取られ、そのままパレット18はリフト14によって乗降室7に降ろされ、パレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、出庫車両が入出庫口4から出庫する。
【0045】
図2は、乗降室7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫口4に向かって左側に非常用出入口20があり、入出庫口4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、入出庫口4の上部には、入庫又は出庫させる車両2の利用者を特定する情報(以下「利用者番号」という。)を表示する利用者番号表示器60が設けられている。
【0046】
乗降室7内には、安全確認の実施位置の近辺に配置され、人による無人確認の実施状態が入力される入力手段である無人確認ボタン48が備えられる。無人確認ボタン48は、人によって押圧されるボタン(押ボタン)である。無人確認ボタン48は、パレット18(車両2)を挟んだ位置、図2の例では左右の壁面毎に2か所備えられる。
【0047】
さらに、入出庫口4に向かって右側に操作盤22が設けられている。 操作盤22は、利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部である。さらに、操作盤22の上方の壁面等に、緑、黄、赤の3色を有する三色灯23が設置されている。
【0048】
乗降室7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースがあり、入出庫口4の正面の壁には車両2の位置をドライバーが確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の指示を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。また、乗降室7の両側面の壁には、車両2の大きさや前後位置を検知するための人感・車両センサ26,27や、非常停止ボタン28等が設けられている。停車位置指示灯25は、人感・車両センサ26,27により検知される車両位置のデータに基づいて、車両2のドライバーに車両位置の指示を行う。
【0049】
さらに、図1及び図2に示すように、乗降室7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う立駐制御装置30が設置されている。立駐制御装置30は、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置である。立駐制御装置30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。
【0050】
図3に示すように、操作盤22は、手前側に開口する筐体33と、この筐体33の開口部を覆う開閉可能な蓋34とを備えており、筐体33の内部には、図4に示すように、例えばタッチパネル式の液晶画面である操作画面35(表示部35aと入力部35bとを備える)と、後述する記憶部50に予め登録されている登録者が所持するIDカード等の識別情報(以下「ID番号」という。)を読み取るID読取部36と、非常停止ボタン37等とが配置されている。操作画面35を使用しない時には、蓋34を閉じることで操作画面35を外部から覆い、内部を保護することができる。
また、例えば筐体33の下面には、ユーザー検知部47が設けられている。ユーザー検知部47は、例えば人感センサであり、利用者や車両2が操作盤22の正面に停止したことを検知する。ユーザー検知部47が利用者等を検知すると、操作画面35には機械式駐車装置1の動作状態に応じた画像が表示される。
【0051】
また、蓋34には、引き開けるための取手を兼ねるとともに、蓋34を施錠するための施錠部38が設けられている。施錠部38は、蓋34が閉められると同時に施錠されるオートロック形式であるが、立駐制御装置30からの解錠信号を受けると、図示しないソレノイド等の駆動機構によって解錠されるように構成されている。さらに、施錠部38は、蓋34の開閉状態を立駐制御装置30に出力することができる。
【0052】
施錠部38は、そのキーシリンダ38aに、専用のキーを差し込んで捻ることにより、手動で解錠及び施錠することができる。さらに、蓋34には、施錠部38の解錠時に緑色に点灯し、施錠時に赤色に点灯する施錠灯39等が設置されている。
また、操作盤22には、利用者が乗降室内に人が居ないことを確認した後に押される無人確認ボタン49が備えられている。機械式駐車装置1は、入出庫時において、無人確認ボタン49が押された後でないと、入出庫扉4aを閉じ、リフト14を動かす等の起動操作をすることはできない。
【0053】
IDカードに記憶されているID番号は、ID読取部36にIDカードをかざすことで読み取られ、操作盤22に入力されるが、登録者が自身のID番号(数値番号)をキー入力手段として機能する入力部35bを介して入力してもよい。
【0054】
本実施形態に係る機械式駐車装置1は、利用権限及び操作権限が登録者毎の権限として登録者の識別情報と関連付けて記憶されている。そして、この権限に基づき、登録者による機械式駐車装置1の利用可否及び操作可否の認証(以下「権限認証」という。)が行われる。
【0055】
図5は、機械式駐車場設備100の制御装置の権限認証に関する電気的な全体概略構成を示すブロック図である。
【0056】
立駐御装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0057】
そして、立駐制御装置30は、権限認証に関する構成として、記憶部50、認証部51、及び制御部52を備えている。
【0058】
記憶部50は、機械式駐車装置1の利用可否を示した利用権限及び操作可否を示した操作権限を、登録者毎の権限として該登録者のID番号と関連付けて記憶している。
【0059】
利用とは、機械式駐車装置1への車両2の駐車(入庫)や駐車した車両2を出すこと(出庫)であり、機械式駐車装置1に入庫予約や出庫予約を行うことも含まれる。
操作とは、機械式駐車装置1に対して機械操作することであり、例えば入出庫扉4aの開閉操作やリフト14の上下動操作等を行うことである。操作は、必ずしも自身の車両2を入出庫する場合にだけ行われるのではなく、他人の車両2を入出庫する場合でも管理員等によって行われる。
【0060】
そして、利用権限とは、上記利用を可能とする権限であり、操作権限とは、上記操作を可能とする権限である。操作権限は、例えば、機械式駐車装置1の使用説明及び操作教育を受けて者に付与される。
【0061】
権限には、機械式駐車装置1の管理を可能とする管理権限、又は機械式駐車装置1の保守を可能とする保守権限が含まれる。
管理権限は、機械式駐車装置1の管理員に与えられる権限であり、機械式駐車装置1に予め設けられている管理員システムや管理画面の操作を可能とする権限である。
保守権限は、機械式駐車装置1の保守員に与えられる権限であり、機械式駐車装置1に予め設けられている保守員システムや保守画面の操作を可能とする権限である。
【0062】
なお、登録者とは、機械式駐車装置1の利用権限及び操作権限の少なくとも何れか、又は管理権限及び保守権限の何れかを有し、記憶部50に登録されている者をいう。
【0063】
認証部51は、ID読取部36等の入力手段に入力されたID番号に関連付けられた権限に基づき、ID番号を入力した登録者による機械式駐車装置1の利用可否及び操作可否を認証する。なお、利用権限に基づく機械式駐車装置1の利用可否の認証を利用認証といい、操作権限に基づく機械式駐車装置1の操作可否の認証を操作認証という。
【0064】
制御部52は、認証部51による認証結果に応じて機械式駐車装置1を制御する。この制御には、入出庫予約やリフト14や入出庫扉4a等を動作させることである。」

(6)「【0077】
なお、定期契約者には、ID番号が記憶されているIDカードが予め配布されている。時間貸しの利用者には、ID番号が例えばバーコード等で記されている駐車券が車両2を入庫する毎に配布される。
表3における管理員は例えば機械式駐車装置1だけではなく、商業施設も含んで管理する者である。また、保守員は、保守のために機械式駐車装置1を動作させることが考えられるので、操作権限が与えられる。さらに、表3の例では、機械式駐車装置1の製造者にも、管理権限と保守権限が与えられている。
【0078】
表4は、例えばマンション等に併設されている機械式駐車装置1であって、利用者は定期契約のみであり、専任の操作員も居ない場合の権限付与の例である。この場合、定期契約者には、利用権限と共に、利用者自身の車両2に対する入出庫操作のみを可能とする操作権限が与えられる。なお、マンション等に併設されている機械式駐車装置1では、時間貸しの利用者の登録はできない。」

(7)「【0080】
次に、権限認証を含む機械式駐車装置1の各種処理について図6?8のフローチャートを参照して説明する。
【0081】
図6は、入出庫操作を行う場合における機械式駐車装置1の操作処理の流れを示すフローチャートである。なお、図6では、一例として、利用権限を有するものの操作権限を有しない利用者と、利用権限を有しないものの操作権限を有する操作員とによって入出庫が行われる場合について説明する。
【0082】
まず、ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行う。ステップ100で求められる利用認証は、表1の利用権限のうち、DB番号“1”で示される権限である。
【0083】
利用認証が認められると、次のステップ102で操作盤22を介して、利用者による入庫予約又は出庫予約が行われる。
【0084】
次のステップ104では、操作員が操作盤22を介して操作認証を行う。なお、利用者は、操作権限を有しないので操作認証が認められることはない。このため、利用者による機械式駐車装置1の操作が防止される。
【0085】
操作認証が認められると、次のステップ106で機械式駐車装置1が起動し、リフト14が乗降室7へ移動する。なお、入庫の場合、リフト14は空パレットを乗降室7へ移動させる。一方、出庫の場合、リフト14は利用者の車両2が載置された実パレットを乗降室7へ移動させる。
【0086】
次のステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定する。
【0087】
ステップ108の操作認証が認められると、次のステップ110で乗降室7の入出庫扉4aの開操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが開かれる。
【0088】
ステップ112では、利用者が乗降室7内で作業を行う。ここでいう乗降室7内の作業とは、入庫の場合は、車両2をパレット18の載置し(当審注:「パレット18の載置し」は「パレット18に載置し」の誤記と認める。)、運転者が降車して乗降室7から退室することである。一方、出庫の場合は、パレット18に載置されている車両2に運転者が搭乗し、乗降室7外に車両2を移動させることである。
【0089】
次のステップ114では、利用者が操作盤22を介して再び利用認証を行い、ステップ100で利用認証を行った利用者と同一か否かを判定する。
【0090】
次のステップ115では、利用者によって乗降室7が無人であるか確認を行う。利用者が乗降室7内に設置された複数の無人確認ボタン48を全て押下することで、操作盤22に備えられた無人確認ボタン49が有効となる。そして、利用者が乗降室7から退室後、操作盤22で無人確認ボタン49を押下することで、利用者に対し、確実に乗降室7内が無人であることを確認させることができる。
【0091】
ステップ114による利用認証が認められ、かつステップ115による乗降室7の無人状態が確認されると、次のステップ116では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104,108で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定する。
【0092】
ステップ116の操作認証が認められると、次のステップ118で乗降室7の入出庫扉4aの閉操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが閉じられる。
【0093】
図6に示すように本実施形態に係る操作処理では、利用認証と操作認証を個別に行っている。これにより、機械式駐車装置1の運用形態に応じて適切な権限管理及び認証が行われるため、機械式駐車装置1の安全性が向上する。
【0094】
また、操作認証は、機械式駐車装置1に対する機械操作毎に行われる。これにより、操作権限を有しない者が機械式駐車装置1を機械操作することがより確実に防止される。」

(8)「【0113】
以上説明したように、本実施形態に係る機械式駐車装置1は、機械式駐車装置1の利用可否を示した利用権限及び操作可否を示した操作権限を、登録者毎の権限として該登録者のID番号と関連付けて記憶している記憶部50を備える。そして、機械式駐車装置1は、入力された登録者のID番号に関連付けられた権限に基づき、ID番号を入力した登録者による機械式駐車装置1の利用可否及び操作可否を認証し、認証結果に応じて機械制御を行う。
このように、本実施形態に係る機械式駐車装置1は、登録者毎に権限が与えられるので、登録者であっても操作権限の無い者は機械式駐車装置1を操作できないため、機械式駐車装置1の操作を特定の者のみに確実に限定できる。」

(9)「【0131】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0132】
例えば、上記各実施形態では、ID番号をIDカードに記憶させる形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ID番号がリモコン送信機等、カード状の媒体以外に記憶される形態としてもよい。
【0133】
また、上記各実施形態で説明した各種処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。」

(10)図1及び図2は以下のとおり。
【図1】



【図2】



(11)上記(5)の【0038】及び【0039】の記載を踏まえて、上記(10)の図1及び図2を参照すると、駐車塔3の1階部分と地上階は同じ階であること、及び地上階の乗降室7には入出庫口4が開設されていることが看取できる。

(12)上記(1)ないし(11)からみて、甲第1号証には次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認める。
「複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備え、駐車塔3の地上階は、入出庫扉4aが設けられ、車両2を入出庫させる入出庫口4が開設された乗降室7となっている機械式駐車装置1の制御方法であって、
乗降室7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行うものであって、権限認証に関する構成である記憶部50、認証部51、及び制御部52を備え、操作盤22が接続された立駐制御装置30が設置されており、
入出庫口4に向かって右側に設けられた操作盤22は、手前側に開口する筐体33を備え、筐体33の内部には、タッチパネル式の液晶画面である操作画面35と、記憶部50に予め登録されている登録者が所持するIDカードの識別情報(以下「ID番号」という。)を読み取るID読取部36とが配置され、筐体33の下面には、利用者や車両2が操作盤22の正面に停止したことを検知する人感センサであるユーザー検知部47が設けられており、
記憶部50は、機械式駐車装置1の利用可否を示した利用権限及び操作可否を示した操作権限を、登録者毎の権限として該登録者のID番号と関連付けて記憶しており、
ここで、利用とは、機械式駐車装置1への車両2の駐車(入庫)や駐車した車両2を出すこと(出庫)であり、操作とは、入出庫扉4aの開閉操作やリフト14の上下動操作等の機械式駐車装置1に対して機械操作することであって、
認証部51は、ID読取部36等の入力手段に入力されたID番号に関連付けられた権限に基づき、ID番号を入力した登録者による機械式駐車装置1の利用可否及び操作可否を認証(それぞれ「利用認証」及び「操作認証」という。)するものであり、
制御部52は、認証部51による認証結果に応じて機械式駐車装置1を制御するものであり、
入出庫操作を行う場合における機械式駐車装置1の操作処理の流れは、
まず、ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行い、
利用認証が認められると、次のステップ102で操作盤22を介して、利用者による入庫予約又は出庫予約が行われ、
次のステップ104では、操作員が操作盤22を介して操作認証を行い、
操作認証が認められると、次のステップ106で機械式駐車装置1が起動し、リフト14が乗降室7へ移動し、
次のステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、
ステップ108の操作認証が認められると、次のステップ110で乗降室7の入出庫扉4aの開操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが開かれ、
ステップ112では、利用者が乗降室7内で、車両2をパレット18に載置したり、乗降室7外に車両2を移動させる作業を行い、
次のステップ114では、利用者が操作盤22を介して再び利用認証を行い、ステップ100で利用認証を行った利用者と同一か否かを判定し、
次のステップ115では、利用者によって乗降室7が無人であるか確認を行い、
ステップ114による利用認証が認められ、かつステップ115による乗降室7の無人状態が確認されると、次のステップ116では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104,108で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、
ステップ116の操作認証が認められると、次のステップ118で乗降室7の入出庫扉4aの閉操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが閉じられるものである、
登録者であっても操作権限の無い者は機械式駐車装置1を操作できないため、機械式駐車装置1の操作を特定の者のみに確実に限定できる、
制御方法。」

5 当審の判断
(1)請求項1について
本件発明1と先願発明を対比する。
ア 先願発明の「入出庫を行う利用者」、「乗降室7」、「機械式駐車装置1」、「操作認証が認められ」た「操作員」、「操作権限」と「関連付け」られた「登録者のID番号」、「入出庫扉4a」、「入出庫扉4aが開かれ」ること、「入出庫扉4aが閉じられ」ることは、それらの構成及び機能からみて、それぞれ、本件発明1の「利用者」、「入出庫部」、「機械式駐車設備」、「操作許可を得た操作許可者」、「操作許可者の認証データ」、「出入口扉」、「開扉処理」、「閉扉処理」に相当する。

イ 先願発明は、「利用者が乗降室7内で、車両2をパレット18に載置したり、乗降室7外に車両2を移動させる作業を行」っていることから、先願発明の「駐車塔3の地上階は、」「車両2を入出庫させる入出庫口4が開設された乗降室7となっている機械式駐車装置1の制御方法」は、本件発明1の「利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法」に相当する。

ウ 甲第1号証に「【0002】機械式駐車装置の運用形態として、主に時間貸し式と定期式の2種類に分けられる。・・・【0003】定期式は、例えば、マンションやテナント等に併設されている機械式駐車装置で用いられる運用形態である。定期式は、利用者が契約した者(以下「定期契約者」という。)であり、・・・」(上記4のア)と記載されているように、定期式においては、定期契約者が利用者であるから、先願発明において、「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行い、利用認証が認められると、」とある利用者の利用認証は、利用者が契約者であることを認証していることと解される。
よって、先願発明の「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行」うことは、本件発明1の「前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理」に相当する。

エ 先願発明において、「記憶部50は、機械式駐車装置1の」「操作可否を示した操作権限を、登録者毎の権限として該登録者のID番号と関連付けて記憶しており、」「操作とは、入出庫扉4aの開閉操作やリフト14の上下動操作等の機械式駐車装置1に対する機械操作することであ」るから、機械操作の操作可否に係る登録者毎の権限としての該登録者のID番号を予め登録する処理を行うことは自明である。よって、先願発明の上記処理は、本件発明1の「前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理」に相当する。

オ 先願発明の「ステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定」することにおいて、「操作認証を再び行」うために、「記憶部50」に記憶された「操作権限」と「関連付け」た「登録者のID番号」を取得することが手段が必要であるから、該ステップ108に関連して、先願発明は該取得する手段を備えることは自明である。
また、先願発明において、「ステップ108の操作認証が認められると、次のステップ110で乗降室7の入出庫扉4aの開操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが開かれ」ることから、上記ステップ108は、入出庫扉4aが開かれる前に行われるものである。
よって、先願発明のステップ108における該取得する手段は、本件発明1の「出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理」に相当する。

カ 先願発明の「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行い、利用認証が認められると、次のステップ102で操作盤22を介して、利用者による入庫予約又は出庫予約が行われ、次のステップ104では、操作員が操作盤22を介して操作認証を行い、操作認証が認められると、次のステップ106で機械式駐車装置1が起動し、リフト14が乗降室7へ移動し、 次のステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定」する構成は、各ステップの順序を勘案すると、ステップ108に移行するには、ステップ100を経ることが必要であって、つまり、ステップ100によりステップ108が有効となることを意味する。
よって、先願発明の上記構成は、上記ウ及びオの相当関係を勘案すると、本件発明1の「第1操作許可者認証データ取得処理の前に前記契約者認証処理で契約者であることが認証されることで該第1操作許可者認証データ取得処理が有効となるように構成されて」いることに相当する。

キ 先願発明の「ステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、ステップ108の操作認証が認められると、次のステップ110で乗降室7の入出庫扉4aの開操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが開かれ」ることは、上記オの相当関係を勘案すると、本件発明1の「前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理」に相当する。

ク 先願発明において、「ステップ116では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104,108で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定」するには、「操作認証を再び行」うために、「記憶部50」に記憶された「操作権限」と「関連付け」た「ID番号」を取得する手段が必要であるから、該ステップ116に関連して、先願発明は該取得する手段を備えることは自明である。
同じく、「ステップ116の操作認証が認められると、次のステップ118で乗降室7の入出庫扉4aの閉操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが閉じられるものである」ことにおいて、入出庫扉4aの閉操作に係るステップ118の前に、操作認証に係るステップ116が処理されるといえる。
よって、先願発明の上記取得する手段は、ステップ116及び118の順序を勘案すると、本件発明1の「前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理」に相当する。

ケ 先願発明の「ステップ116では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104,108で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、ステップ116の操作認証が認められると、次のステップ118で乗降室7の入出庫扉4aの閉操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが閉じられる」ことは、上記クの相当関係を勘案すると、本件発明1の「前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理」に相当する。

コ 先願発明において、「ステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、ステップ108の操作認証が認められると、次のステップ110で乗降室7の入出庫扉4aの開操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが開かれ」ること、及び、「ステップ116では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104,108で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、ステップ116の操作認証が認められると、次のステップ118で乗降室7の入出庫扉4aの閉操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが閉じられる」ことを勘案すると、先願発明の「登録者であっても操作権限の無い者は機械式駐車装置1を操作できないため、機械式駐車装置1の操作を特定の者のみに確実に限定できる」ことは、本件発明1の「前記操作許可者のみが前記機械式駐車設備の入出庫操作を行えるように構成されている」ことに相当する。

サ 上記アないしコからみて、本件発明1と先願発明とは、
「利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、を有し、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理の前に前記契約者認証処理で契約者であることが認証されることで該第1操作許可者認証データ取得処理が有効となるように構成されており、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有し、
前記操作許可者のみが前記機械式駐車設備の入出庫操作を行えるように構成されている、機械式駐車設備の制御方法。」で一致し、相違点は存在しないから、本件発明1は先願発明と同一である。

(2)請求項2について
本件発明2と先願発明を対比する。
ア 上記(1)のア?オ及びキ?ケに記載の相当関係については、本件発明2と先願発明との対比においても同様である。

イ 先願発明の「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行い、利用認証が認められると、次のステップ102で操作盤22を介して、利用者による入庫予約又は出庫予約が行われ、次のステップ104では、操作員が操作盤22を介して操作認証を行い、操作認証が認められると、次のステップ106で機械式駐車装置1が起動し、リフト14が乗降室7へ移動」することにおいて、「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行」うことの後に、直接ではないものの、結果的に、「ステップ106で機械式駐車装置1が起動し、リフト14が乗降室7へ移動」することとなるので、先願発明のステップ100からステップ106の処理は、本件発明2の「前記契約者認証処理に基づいて行われる搬送呼出処理」に相当する。

ウ 上記ア及びイからみて、本件発明2と先願発明とは、
「利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、前記契約者認証処理に基づいて行われる搬送呼出処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理と、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有している、機械式駐車設備の制御方法。」で一致し、相違点は存在しないから、本件発明2は先願発明と同一である。

(3)請求項3について
本件発明3と先願発明を対比する。
ア 上記(1)のア?オ及びキ?ケに記載の相当関係については、本件発明3と先願発明との対比においても同様である。

イ 甲第1号証に「【0002】機械式駐車装置の運用形態として、主に時間貸し式と定期式の2種類に分けられる。・・・【0003】定期式は、例えば、マンションやテナント等に併設されている機械式駐車装置で用いられる運用形態である。定期式は、利用者が契約した者(以下「定期契約者」という。)であり、・・・」(上記4のア)と記載されているように、定期式においては、定期契約者が利用者であるから、先願発明において、「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行い、利用認証が認められると、」とある利用者の利用認証は、利用者が契約者であることを認証していることと解される。
また、先願発明において、「記憶部50は、機械式駐車装置1の利用可否を示した利用権限」「を、登録者毎の権限として該等力者のID番号と関連付けて記憶しており、ここで、利用とは、機械式駐車装置1への車両2の駐車(入庫)や駐車した車両2を出すこと(出庫)であ」るから、利用者は利用権限を有する契約者として予め登録されているものである。
さらに、先願発明において、「記憶部50に予め登録されている登録者が所持するIDカードの識別情報」は、「IDカード」が保持しているので、先願発明の「IDカード」は、「契約者として認証手段を与えられた」ものに相当する。
よって、先願発明の「ステップ100では、入出庫を行う利用者が操作盤22を介して利用認証を行」うことは、本件発明3の「前記利用者が契約者として認証手段を与えられたまたは予め登録された前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理」に相当する。

ウ 上記ア及びイからみて、本件発明3と先願発明とは、
「利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が契約者として認証手段を与えられたまたは予め登録された前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理と、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有している、機械式駐車設備の制御方法。」で一致し、相違点は存在しないから、本件発明3は先願発明と同一である。

(4)請求項4について
ア 対比
本件発明4と先願発明を対比する。
上記(1)のア?オ及びキ?ケに記載の相当関係については、本件発明4と先願発明との対比においても同様である。
そうすると、本件発明4と先願発明とは、以下の一致点を有する。
〔一致点〕利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備の制御方法であって、
前記利用者が前記機械式駐車設備の契約者であることを認証する契約者認証処理と、
前記機械式駐車設備の操作許可を得た操作許可者の認証データを予め登録する登録処理と、
出入口扉を開放する前に前記操作許可者の認証データを得る第1操作許可者認証データ取得処理と、
前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを登録された前記操作許可者の認証データと照合し、登録された前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を開放する開扉処理と、
前記出入口扉を閉鎖する前に前記操作許可者の認証データを得る第2操作許可者認証データ取得処理と、
前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た前記操作許可者の登録された認証データと照合し、前記操作許可者であることの照合結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖する閉扉処理と、を有する、機械式駐車設備の制御方法。」

そして、本件発明4と先願発明とは、以下の相違点を有する。
〔相違点1〕本件発明4が、前記登録処理は、前記操作許可者の生体認証データを登録する処理を含むとともに、該操作許可者の前記生体認証データと関連付けられた前記生体認証データ以外の第2認証データの登録を含み、
前記第1操作許可者認証データ取得処理及び前記第2操作許可者認証データ取得処理の一方が、前記操作許可者の前記生体認証データを得る生体認証で構成される場合に、
前記第1操作許可者認証データ取得処理と前記第2操作許可者認証データ取得処理とは異なる認証手段で行われることが可能とされており、
前記第1操作許可者認証データ取得処理の認証データと前記第2操作許可者認証データ取得処理の認証データとのいずれか一方が登録された前記操作許可者の前記生体認証データであり、他方が該操作許可者の前記第2認証データであることで、前記閉扉処理が行われるように構成されている、との構成を備えるのに対し、先願発明は、本件発明4の上記構成を備えていない点。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)上記相違点1に係る構成は、下記(イ)で検討したとおり、申立人が提示する証拠をみても、本件特許の出願前に周知の技術であったとは認めらない。
よって、上記相違点1に係る構成は、課題解決のための具体化手段としての微差程度のものではない。

(イ)申立人は、ユーザ認証の技術分野において、生体認証を用いて人物の同一性を判定することは周知技術に過ぎず(必要であれば、甲第2号証?甲第5号証を参照。)、また、生体認証データ(例えば、指紋、顔の画像、虹彩等)と生体認証データ以外の認証データ(例えば、暗証番号等)を組み合わせて、換言すると、2種以上の識別情報を組み合わせて人物の同一性を判定することも、安全性を向上させるために行われる慣用技術であり(必要であれば、甲第2号証を参照。)、また、2種以上の認証データを組み合わせて人物の同一性を判定する場合に、同一人物に関する2種以上の認証データを関連付けた情報を予め記憶させておくことも当業者が通常行う技術常識に過ぎない旨(特許異議申立書23頁7?16行)、主張している。
しかしながら、甲第2号証(特開2001-175947号公報)には、駐車場の利用者の同一性を判定する際の認証データについて、「利用者情報としては、暗証番号、指紋、声紋、虹彩(眼球の特徴)、画像処理による顔、車種、登録番号等が用いられる。また、これらの情報は、管理の安全性を考慮すれば、1つだけでなく2以上を用いることが好ましい。」(段落【0040】)と記載されているとおり、認証データの選択肢として各種挙げられており、2以上用いることが開示されているものの、生体認証データ(指紋、声紋、虹彩(眼球の特徴)、画像処理による顔)と、生体認証データ以外の認証データ(暗証番号、車種、登録番号)との両方を組合せて用いることまでは記載されていない。
また、利用者の同一性の判定において、甲第3号証(特開2008-30734号公報)の段落【0090】には、指紋、静脈パターン、網膜パターン等の生体認証データ、暗証番号、IDカード、ICチップが内蔵された携帯端末やカード等の生体認証以外の認証データを用いることが、甲第4号証(特開2002-194911号公報)の段落【0018】及び甲第5号証(実願平2-39317号(実開平3-129661号)のマイクロフィルム)の明細書10頁2行?11頁12行には、指紋認証データを用いることが記載されている程度であって、生体認証データと生体認証データ以外の認証データの両方を組み合わせて用いることは記載されていない。
よって、甲第2号証ないし甲第5号証をみても、人物の同一性を判定する際の認証データについて、生体認証データと、生体認証データ以外の認証データの両方を用いることは、本件特許の出願前に周知の技術とは認められない。
なお、甲第6号証(特開2016-3493号公報)は、本件発明6に対する取消理由で請求人が提示するものである。
以上のとおり、上記相違点1は、実質的な相違点であるから、本件発明4は、先願発明と同一ではない。

(5)請求項5?請求項7について
本件発明4を直接又は間接的に引用した本件発明5ないし本件発明7は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(4)で示した理由と同様の理由により、本件発明5ないし本件発明7は、先願発明と同一ではない。

(6)請求項8について
ア 対比
本件発明8と先願発明を対比する。
(ア)本件発明8が引用する本件発明1ないし本件発明3と、先願発明との対比については、上記(1)のア?コ、(2)のア及びイ、(3)のア及びイに記載したとおりである。

(イ)先願発明の「乗降室7」内では、「利用者」が「車両2をパレット18に載置したり、乗降室7外に車両2を移動させる作業を行」っていることから、先願発明の「駐車塔3の地上階は、車両2を入出庫させる入出庫口4が開設された乗降室7となっている機械式駐車装置1」は、本件発明8の「利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備」に相当する。

(ウ)先願発明の「立駐制御装置30」は、本件発明8の「制御装置」に相当する。
上記(1)?(3)で検討したとおり、本件発明1ないし本件発明3は、先願発明と同一であるから、先願発明の制御方法において機械式駐車装置1を制御する立駐制御装置30と、本件発明8の「請求項1?7のいずれか1項に記載の制御方法により制御を行う制御装置」とは、「請求項1?3のいずれか1項に記載の制御方法により制御を行う制御装置」で共通する。

(エ)先願発明において、「立駐制御装置30」は「機械式駐車装置1の全体の制御を行」っており、「機械式駐車装置1の操作処理の流れ」のうち、「ステップ108では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、ステップ108の操作認証が認められると、次のステップ110で乗降室7の入出庫扉4aの開操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが開かれ」ること、及び「次のステップ116では、操作盤22を介して操作員による操作認証を再び行い、ステップ104,108で操作認証を行った操作員と同一か否かを判定し、ステップ116の操作認証が認められると、次のステップ118で乗降室7の入出庫扉4aの閉操作が可能となり、操作員によって入出庫扉4aが閉じられるものである」ことは、それぞれ、本件発明8の「前記制御装置は、前記操作許可者による前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記登録された認証データと照合した結果に基づいて前記出入口扉を開放」すること、及び「前記操作許可者による前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データと前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データとを照合した結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖するように構成されている」ことに相当する。

(オ)上記(ア)ないし(エ)からみて、本件発明8と先願発明とは、
「利用者が入出庫部において車両の入出庫を行う機械式駐車設備であって、
請求項1?請求項3のいずれか1項に記載の制御方法により制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、前記操作許可者による前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データを前記登録された認証データと照合した結果に基づいて前記出入口扉を開放し、前記操作許可者による前記第2操作許可者認証データ取得処理で得た認証データと前記第1操作許可者認証データ取得処理で得た認証データとを照合した結果に基づいて前記出入口扉を閉鎖するように構成されている、機械式駐車設備。」で一致しており、相違点は存在しないから、本件発明8は先願発明と同一である。

6 むすび
以上のとおり、請求項1?3、8に係る発明は、先願発明と同一である。
そして、本件特許の発明者が先願の発明者と同一であるとはいえず、また、本件特許の出願の時に、その出願人が先願の出願人と同一であるともいえない。
よって、請求項1?3、8に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
また、請求項4?7に係る発明は、先願発明と同一ではないから、取消理由通知書に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項4?7に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項4?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2021-03-05 
出願番号 特願2016-68989(P2016-68989)
審決分類 P 1 651・ 16- ZC (E04H)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 立澤 正樹  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 土屋 真理子
住田 秀弘
登録日 2019-12-06 
登録番号 特許第6626390号(P6626390)
権利者 新明和工業株式会社
発明の名称 機械式駐車設備の制御方法と機械式駐車設備  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  

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