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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1374351
審判番号 不服2019-12899  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-27 
確定日 2021-05-20 
事件の表示 特願2017-175324号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月7日出願公開、特開2017-213437号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成25年5月16日に出願した特願2013-103960号の一部を平成27年9月10日に新たな特許出願(特願2015-178090号)とし、さらにその一部を平成29年9月13日に新たな特許出願(特願2017-175324号)としたものであって、平成29年9月13日に手続補正書が提出され、平成30年6月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月16日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに平成31年1月7日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月19日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年7月2日付け(送達日:同年同月9日)で、平成31年3月19日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和1年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和2年8月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月23日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年10月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A?Hは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 順方向及び逆方向のステップ移動により回転する演出モータの動作に基づき、可動演出体が待機回収位置に位置するか否かを示す検出信号を出力可能な感知センサにより判定可能な待機回収位置と、対応する感知センサを設けない目的演出位置とを往復移動可能な可動演出体による一連の可動演出を、所定の制御周期で制御する演出制御手段を設けた遊技機であって、
B1 前記一連の可動演出を規定する演出テーブルには、演出モータの回転動作や停止動作を含んだ各種の単位動作を特定する実行情報が、単位動作ごとに順番に記憶されていると共に、
B2 前記演出テーブルに含まれる任意の一群の単位動作の繰返し動作に関する、開始情報及び終了情報を含んだ各種の管理情報が順番に記憶され、
C 前記演出制御手段は、前記演出テーブルを、前記実行情報又は前記管理情報ごとに、各々を一単位の制御情報として判定して、前記実行情報又は前記管理情報に対応する動作を実行しており、
D 演出モータの回転動作を特定する前記実行情報には、順方向又は逆方向の回転方向と、前記ステップ移動までの待機時間を、前記制御周期の連続回数で表現することで実質的に回転速度を規定する速度情報と、演出モータの回転量を、前記ステップ移動の繰返し回数で規定する移動情報と、前記回転量又は前記検出信号に基づいて規定される動作終了条件と、が含まれ、
E 前記管理情報には、前記繰返し動作について、開始を指示する前記開始情報と、終了を指示する前記終了情報と、繰り返し回数とが、全体として二単位の制御情報として含まれており、
F 前記単位動作には、前記検出信号が変化したことを条件に開始され、その開始時からの前記回転量に基づく動作終了条件が規定された順方向移動の単位動作が含まれ、
G 前記演出制御手段は、前記演出テーブルに記憶された前記実行情報や前記管理情報に基づいて可動演出体を駆動制御し、前記一連の可動演出には、前記順方向移動の単位動作を実行して可動演出体を目的演出位置に移行させて停止させる動作が含まれている
H ことを特徴とする遊技機。」

3 拒絶の理由
当審判合議体による拒絶の理由は、次のとおりである。
(進歩性)
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例1:特開2012-217732号公報
引用例2:特開2010-115442号公報
引用例3:特開2012-91045号公報

4 進歩性について
(1)引用例1について
当審判合議体による拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例1(特開2012-217732号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来技術では、「往」の移動をおこなうための駆動回転の完了時または「復」の移動をおこなうための駆動回転の完了時に、可動役物には慣性力が残存しており、この慣性力が可動役物を振動させるように作用する。具体的には、「往」の移動および「復」の移動における駆動回転の完了後に、慣性力によって支軸を支点にして可動役物を回動させる力が働いてしまう。そのため、駆動回転の方向を切り替える際の待機時間が、上述した従来技術のように30msecといった短時間であると、「往」の移動開始時または「復」の移動開始時に、駆動モータの駆動力に対して、慣性力が反対方向または同一方向に作用することがある。
【0013】
このように、慣性力が働くと駆動モータの回転方向の切り替えにともなって、可動役物が俊敏に動作しなかったり可動役物が共振したりし、すなわち、可動役物が円滑に動作せず、演出上の見栄えが悪くなることがあるといった問題があった。
【0014】
本発明は、上記の従来技術による問題点を解消するため、可動役物の往復移動における円滑な動作を可能にすることを目的とする。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、本発明にかかる遊技機を、旧第一種に属するぱちんこ遊技機(いわゆる「デジパチ」)に適用した例である。」

(イ)「【0036】
画像表示部104の前面には、「十手」を象った棒状可動役物30が配置されている。棒状可動役物130は、左役物130aと右役物130bとからなる。左役物130aおよび右役物130bは、それぞれ別々の駆動モータを有する駆動部を備え、駆動部に接続する支軸を支点にして画像表示部104の前面で往復移動する。」

(ウ)「【0043】
(棒状可動役物の構成) つぎに、図2-1および図2-2を用いて、棒状可動役物の構成について説明する。図2-1は、本実施の形態にかかる棒状可動役物の構成例を示す説明図(その1)である。図2-3は、本実施の形態にかかる棒状可動役物の構成例を示す説明図(その2)である。
【0044】
図2-1は、図1に示した左役物130aを遊技盤101の正面から見た状態を示している。一方、図2-2は、図1に示した左役物130aを遊技盤101の背面から見た状態を示している。本発明の駆動手段に相当する駆動モータ201は、駆動モータ201の回転軸上に設けられる駆動ギア202を回転させる。駆動モータ201としては、ステッピングモータが用いられる。駆動ギア202は、基部210の一端に設けられる従動ギア211と歯合連結し、従動ギア211を支軸として基部210を回動させる。また、基部210の他端には、「十手」を象った装飾部220が設けられている。装飾部220は、内部にLEDなどの発光体を備えている。
【0045】
さらに、基部210には、固定配置されているガイドプレート230の開口230aに沿って摺動可能に嵌め込まれる摺動部212が設けられている。また、摺動部212には、被検出部212aが設けられ、フォトセンサ240によって基準位置(原点)が検出されるようになっている。具体的には、フォトセンサ240は、発光部と受光部とを有し、被検出部212aが発光部と受光部との間に位置することによって発光部からの発光を遮蔽した場合に、フォトセンサ240は基準位置を検出する。
【0046】
つぎに、棒状可動役物130の動作について説明する。駆動モータ201が駆動回転すると、駆動ギア202を介して駆動力が従動ギア211に伝達される。この駆動力によって基部210は、従動ギア211を支軸としてガイドプレート230の開口230aに沿って進出方向に回動する。このとき、装飾部220は、画像表示部104の前面に移動する。装飾部220が画像表示部104の前面に移動した状態で、駆動モータ201が所定量、正転および逆転を繰り返すことにより、棒状可動役物130を用いた往復移動の演出がおこなわれる。
【0047】
棒状可動役物130を用いた往復移動の演出が終わると、駆動モータ201を逆方向に回転させることにより、基部210は従動ギア211を支軸としてガイドプレート230の開口230aに沿って逆方向(基準位置方向)に回動する。そして、被検出部212aがフォトセンサ240によって検出されることにより、基準位置に戻り、一連の動作が終了する。」

(エ)「【0072】
(2-3.ランプ制御部) つぎに、ランプ制御部302cの構成について説明する。ランプ制御部302cは、CPU361と、ROM362と、RAM363と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU361は、演出ライト部116や盤ランプ122などのランプの点灯を制御したり、棒状可動役物130や可動役物131,132の駆動を制御したりするための処理を実行する。ROM362には、上記の処理を実行するために必要となる各種プログラム、当該処理に必要となるデータや、可動役物130,131,132などが記憶されている。RAM363は、CPU361のワークエリアとして機能する。」

(オ)「【0090】
駆動制御部401は、具体的には、記憶部402に記憶されている駆動データを用いて、駆動モータ201を駆動回転させる。駆動データは、たとえば図5を用いて後述する。駆動制御部401は、ランプ制御部302cのCPU361によって実現される。すなわち、ランプ制御部302cがROM362に記憶されている各種プログラムを実行することにより、駆動制御部401の機能を実現する。また、記憶部402は、ランプ制御部302cのROM362によって実現される。
【0091】
(棒状可動役物の駆動データの一例) つぎに、図5を用いて、棒状可動役物130に用いられる駆動モータ201の駆動データの一例について説明する。図5は、棒状可動役物に用いられる駆動モータの駆動データの一例を示す説明図である。図5に示す、駆動データ500は、棒状可動役物130のうち左役物130aに用いるデータである。図5に示す駆動データ500は、駆動モータ201のステップ数と、駆動モータ201の回転速度(pps)と、駆動モータ201の回転方向と、ループ回数とを示している。
【0092】
棒状可動役物130を往復移動させる場合、まず、符号501に示すように、100ステップ正転させ、画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させる。そして、符号502に示すように、20msec待機させる。この後、符号503に示すように、105msec待機し、200ppsで4ステップ、250ppsで5ステップ、200ppsで4ステップ、正転させる。このように、105msec待機して所定ステップ数、正転させる動作が往復移動における「往」の移動となる。
【0093】
「往」の移動が完了すると、符号504に示すように、駆動モータ201の回転方向を切り替えるため、105msec待機する。そして、200ppsで4ステップ、250ppsで5ステップ、200ppsで4ステップ、逆転させる。このように、105msec待機して所定ステップ数、逆転させる動作が往復移動における「復」の移動となる。「往」の移動と「復」の移動とを、たとえばループ回数として26回おこなうことにより、棒状可動役物130を用いた26往復の往復移動がおこなわれる。
・・・
【0095】
26回のループを終えると、符号505に示すように、そのまま逆転の回転方向で、100ステップ動作させ、棒状可動役物130を、画像表示部104から退避した収納位置に移動させる。このようにして、棒状可動役物130を用いた一連の動作がおこなわれるようになっている。」

(カ)【図5】
(「棒状可動役物に用いられる駆動モータの駆動データの一例を示す説明図である。」、【0018】)



(キ)「【0098】
(棒状可動役物を用いた演出動作の一例) つぎに、図6を用いて棒状可動役物130を用いた演出動作の一例について説明する。図6は、棒状可動役物を用いた演出動作の一例を示す説明図である。図6において、棒状可動役物130は、画像表示部104の前面に移動している。棒状可動役物130は、画像表示部104の前面に移動した状態から、さらに往復移動する。」

(ク)「【0125】
(2.演出統括部がおこなう処理) つぎに、演出制御部302がおこなう処理について詳細に説明する。まず、演出制御部302の演出統括部302aがおこなう処理から説明する。なお、以下に説明する演出統括部302aがおこなう各処理は、たとえば、演出統括部302aのCPU341がROM342に記憶されたプログラムを実行することによりおこなう。
【0126】
(演出タイマ割込処理) 図10は、演出タイマ割込処理の処理内容を示すフローチャートである。演出統括部302aは、起動中継続的に演出メイン処理(不図示)をおこなっており、この演出メイン処理に対して、図10に示す演出タイマ割込処理を、所定の周期(たとえば4ms)で割り込み実行する。
【0127】
演出タイマ割込処理において、演出統括部302aは、まず、コマンド受信処理(図11参照)をおこなう(ステップS1001)。コマンド受信処理をおこなった後、可動役物130,131,132の動作を制御する役物演出中処理(図13参照)をおこなう(ステップS1002)。つづいて、演出ボタン119やカーソルキー120により遊技者からの操作を受け付けた際に操作コマンドを設定する操作受付処理をおこなう(ステップS1003)。
【0128】
この後、コマンド出力処理をおこなう(ステップS1004)。コマンド出力処理では、コマンド受信処理、操作受付処理または可動役物演出中処理どによりRAM343に設定されたコマンドを、ランプ制御部302cや画像・音声制御部302bに対して出力する処理をおこなう。」

(ケ)「【0138】
(役物演出中処理) つぎに、図13を用いて、図10のステップS1002に示した役物演出中処理について説明する。図13は、役物演出中処理の処理内容を示すフローチャートである。役物演出中処理において、演出統括部302aは、可動役物130,131,132の動作タイミングとなったか否かを判定する(ステップS1301)。可動役物130,131,132の動作タイミングとは、具体的には、各可動役物130,131,132を動作させるタイミングであり、図12のコマンド出力タイミングt1,t2,t3である。
・・・
【0140】
(3.ランプ制御部がおこなう処理) つぎに、ランプ制御部302cがおこなう処理について詳細に説明する。なお、以下に説明するランプ制御部302cがおこなう各処理は、たとえば、ランプ制御部302cのCPU361がROM362に記憶されたプログラムを実行することによりおこなう。
【0141】
(ランプ制御処理)図14は、ランプ制御処理の処理内容を示すフローチャートである。ランプ制御部302cは、演出統括部302aから変動演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1401)。変動演出開始コマンドは、演出統括部302aがおこなうコマンド受信処理において設定されるコマンドである(図11のステップS1103参照)。変動演出開始コマンドを受信しない場合(ステップS1401:No)、ステップS1404に移行する。
【0142】
変動演出開始コマンドを受信した場合(ステップS1401:Yes)、変動演出開始コマンドを解析する(ステップS1402)。そして、盤ランプ122や、可動役物130,131,132が有するランプなどを点灯させるための点灯データをRAM363に設定する(ステップS1403)。この後、演出統括部302aから動作コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1404)。動作コマンドは、演出統括部302aがおこなう役物演出中処理において設定されるコマンドである(図13のステップS1302参照)。
【0143】
動作コマンドを受信しない場合(ステップS1404:No)、そのままランプ制御処理を終了する。動作コマンドを受信した場合(ステップS1404:Yes)、動作コマンドを解析する(ステップS1405)。解析結果を用いて、動作させる棒状可動役物130に対応する駆動データをRAM363に設定し(ステップS1406)、ランプ制御処理を終了する。」

(コ)【図14】
(「ランプ制御処理の処理内容を示すフローチャートである。」、【0018】)




(サ)「【0148】
また、本実施の形態では、リーチ演出などへの発展を示唆する煽り演出において棒状可動役物130を用いるようにした。ここで、煽り演出は、リーチ演出に発展するかもしれないといった期待感と、リーチ演出に発展しないかもしれないといった不安感とを遊技者に与える演出であり、棒状可動役物130の動作にメリハリが必要な演出である。本実施の形態では、メリハリをつけて俊敏に棒状可動役物130を動作させることができるので、遊技者にインパクトを与えることができ、煽り演出の演出効果を向上させることができる。」

イ 認定事項
(シ)【図5】には、【0090】?【0095】の記載に基づくと、棒状可動役物130の往復移動を含む一連の動作をおこなう場合に、記憶部402に記憶されている駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向について、
符号501で示される1行目に、まず、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」が図示され、
符号502で示される2行目に、1行目の駆動データの後に、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「20msec待機」が図示され、
符号503で示される3行目に、2行目の駆動データの後に、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「105msec待機」が図示され、
同じく、符号503で示される4行目に、「往」の移動が完了すると、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「正」が図示され、
同じく、符号503で示される5行目に、4行目の駆動データの次に、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「5」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」が図示され、
同じく、符号503で示される6行目に、5行目の駆動データの次に、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「正」が図示され、
符号504で示される7行目に、「往」の移動が完了すると、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「105msec待機」が図示され、
同じく、符号504で示される8行目に、7行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「逆」が図示され、
同じく、符号504で示される9行目に、8行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「5」、「pps」:「250」、「回転方向」:「逆」が図示され、
同じく、符号504で示される10行目に、9行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「逆」が図示され、
同じく、符号505で示される11行目に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「逆」が図示されている。

したがって、引用例1には、棒状可動役物130を往復移動させる場合に、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向を用いて、駆動モータ201の正転、逆転、及び、待機について、1行目から10行目に掛けて、
1行目に、まず、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」が記憶され、
2行目に、1行目の駆動データの後に、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「20msec待機」が記憶され、
3行目に、2行目の駆動データの後に、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「105msec待機」が記憶され、
4行目に、「往」の移動が完了すると、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「正」が記憶され、
5行目に、4行目の駆動データの次に、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「5」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」が記憶され、
6行目に、5行目の駆動データの次に、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「正」が記憶され、
7行目に、「往」の移動が完了すると、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「105msec待機」が記憶され、
8行目に、7行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「逆」が記憶され、
9行目に、8行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「5」、「pps」:「250」、「回転方向」:「逆」が記憶され、
同じく、符号504で示される10行目に、9行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「逆」が図示され、
11行目に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「逆」が記憶されるというように1つずつ順番に記憶される記憶部402を備えることが図示されているものと認められる(以下「認定事項1-1」という。)。

また、【図5】には、【0091】、【0093】?【0094】の記載に基づくと、棒状可動役物130を往復移動させる場合に、記憶部402に記憶されている、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データには、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回とするデータが含まれることが図示されているものと認められる(以下「認定事項1-2」という。)。

さらに、【図5】には、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データと、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータとが区別して記憶部402に記憶されていることが図示されているものと認められる(以下「認定事項1-3」という。)。

ウ 引用発明
上記アの記載事項、上記イの認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?hは、本願発明のA?Hに対応させて当審判合議体にて付与した。)。

「a 左役物130aと右役物130bとからなる棒状可動役物130(【0036】)と、
発光部と受光部とを有し、棒状可動役物130の左役物130aの基部210に設けられている摺動部212の被検出部212aが、発光部と受光部との間に位置することによって発光部からの発光を遮蔽した場合に、基準位置を検出するフォトセンサ240(【0044】?【0045】)と
ステッピングモータを用いた駆動モータ201(【0044】)と、
少なくとも、可動役物130の動作を制御する役物演出中処理と、可動役物演出中処理によりRAM343に設定されたコマンドをランプ制御部302cに対して出力する処理を行うコマンド出力処理と、を含む演出タイマ割込処理を所定の周期(たとえば4ms)で割り込み実行する演出統括部302aのCPU341(【0125】?【0128】)と、
演出統括部302aから動作コマンドを受信することで、棒状可動役物130の駆動を制御し、一連の動作を行うランプ制御処理を行うランプ制御部302cのCPU361(【0072】、【0092】、【0095】、【0140】?【0143】)を備えたぱちんこ遊技機(【0019】)であって、
演出統括部302aのCPU341は、棒状可動役物130を用いた一連の演出動作をおこなう場合、まず、駆動モータ201を所定ステップ数正転させる動作により画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ、画像表示部104の前面に移動した状態から、駆動モータ201が所定量、正転および逆転を繰り返すことにより、さらに往復移動を行なった後、そのまま逆転の回転方向で、100ステップ動作させ、棒状可動役物130を、画像表示部104から退避した収納位置に移動させ(【0092】?【0093】、【0098】、【0126】)、

b1 棒状可動役物130を往復移動させる場合に、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向を用いて、駆動モータ201の正転、逆転、及び、待機について、1行目から10行目に掛けて、
1行目に、まず、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」が記憶され、
2行目に、1行目の駆動データの後に、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「20msec待機」が記憶され、
3行目に、2行目の駆動データの後に、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「105msec待機」が記憶され、
4行目に、「往」の移動が完了すると、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「正」が記憶され、
5行目に、4行目の駆動データの次に、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「5」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」が記憶され、
6行目に、5行目の駆動データの次に、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「正」が記憶され、
7行目に、「往」の移動が完了すると、待機させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「105msec待機」が記憶され、
8行目に、7行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「逆」が記憶され、
9行目に、8行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「5」、「pps」:「250」、「回転方向」:「逆」が記憶され、
同じく、符号504で示される10行目に、9行目の駆動データの次に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「4」、「pps」:「200」、「回転方向」:「逆」が図示され、
11行目に、逆転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「逆」が記憶されるというように1つずつ順番に記憶される記憶部402(認定事項1-1)を備え、

b2、e 棒状可動役物130を往復移動させる場合に、記憶部402に記憶されている、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データには、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回とするデータが含まれ(認定事項1-2)、

c、g ランプ制御部302cのCPU361は、演出統括部302aから動作コマンドを受信した場合、動作コマンドを解析して、棒状可動役物130の動作に対応する駆動データをRAM363に設定することで駆動モータ201を駆動回転させ(【0090】、【0140】?【0143】)、
駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データと、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータとが区別して記憶部402に記憶され(認定事項1-3)、

d、f 駆動データには、駆動モータ201の正方向又は逆方向の回転方向と、駆動モータ201の回転速度(pps)と、駆動モータ201のステップ数とが含まれ(【0047】、【0091】、【図5】)、
ランプ制御部302cのCPU361は、棒状可動役物130の往復移動を含む一連の動作をおこなう場合、まず、駆動モータ201を100ステップ正転させ、画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ、棒状可動役物130を、画像表示部104の前面に移動した状態からさらに往復移動させ(【0091】?【0092】、【0098】、【0143】)、
また、一連の動作は、被検出部212aがフォトセンサ240によって検出されることにより、基準位置に戻ることで終了する(【0047】)、
h ぱちんこ遊技機。」

(2)引用例2に記載された技術事項
当審判合議体による拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例2(特開2010-115442号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技機では、趣向を凝らした演出が求められている。例えば、パチンコ機では、遊技中に始動入賞口への入賞によって、種々の抽選が行われることがある。抽選の際には、表示パネルに表示された図柄が種々の変動パターンで変動した後、停止して抽選結果を表示する。図柄変動中には、変動パターンに趣向を凝らした演出表示が行われたり、種々の大当たり予告表示が行われたりする。
これらの演出表示では、同じ処理を繰り返し用いる場合がある。
しかし、単に一定の演出表示を繰り返し表示させるだけでは、演出が単調となり興趣を十分に高めることはできない。例えば、演出用の表示画像として、動画A、動画B、動画Cなどが存在する場合に、動画Aばかりを繰り返し表示していても単調である。興趣を高めるためには、動画A→動画Bという組合せで繰り返し表示したり、動画C→動画Aという組合せで繰り返し表示するというように、多種多様な組合せでの繰り返し表示を可能としておくことが好ましい。
こうした課題を解決するためには、予め「動画A→動画B」や「動画C→動画A」などの多様な動画データを用意しておく方法も考えられるが、この方法では、用意すべき動画データに重複部分が生じ、データ量が膨大になるという別の課題を招いてしまう。動画と音声とも多様な組合せを実現しようとすれば、データ量は看過し得ないほど、膨大となるおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑み、遊技機において、演出用のデータを効率的に用いて、多様な演出表示を実現可能にすることを可能とすることを目的とする。」

(イ)「【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機としては、スロットマシン等の回胴式遊技機やパチンコ機などが含まれる。本発明の遊技機は、遊技中に、遊技者に示される視聴覚的な演出に用いられる複数種類の演出装置と、所定の条件下で、遊技媒体を遊技者に払い出すための払出装置とを有している。複数種類の演出装置としては、例えば、音声出力装置、ランプなどの照明装置、画像を表示するための画像表示装置、セグメント式の表示装置などが挙げられる。音声出力装置を音楽用、アナウンス用などに細分化して設けても良い。遊技媒体とは、遊技球やメダルなど遊技中に投資、特典の対象となる媒体を言う。
遊技機は、また、遊技の進行を統合制御する主制御装置と、主制御装置から出力される指示情報に基づき、遊技の遊技状態に応じて複数種類の演出装置を制御する演出制御装置とを有している。主制御装置と演出制御装置とは、主制御装置から演出制御装置への単方向で信号伝達を行う単方向信号線で接続されている。
・・・
【0008】
演出制御装置は、主制御装置から主基板指示情報を入力する入力部と、演出命令データ記憶部、演出制御実行部を備えている。これらの各部も、ソフトウェア的に構成してもよいし、ハードウェア的に構成してもよい。
演出命令データ記憶部は、各演出装置の種類に応じた視聴覚的な演出内容を規定する演出命令データを複数種類記憶している。
演出命令データは、演出の制御を行うために要求される複数の処理のうち実行すべき所定の処理を指示する処理命令を実行すべき順序で複数格納したデータ構造とすることができる。処理命令とはインタープリタプログラムにおけるコマンドに相当するものである。音声出力装置で再生される音声データや、表示装置に表示される画像データなどのように単にそれぞれの演出装置に出力されるデータの羅列ではなく、処理内容を指示するものである。
音声データや画像データの羅列の場合には、演出制御装置は、読み込んだこれらのデータを、そのまま演出装置に出力するようプログラミングしておけばよい。これに対し、処理命令の場合には、演出制御装置は、その内容を解析し、指定された処理を実行することになる。従って、処理命令に対して演出制御装置が行う動作は、多様であり、演出装置への出力を伴わない処理も含まれる。
演出装置への出力を伴わない処理の一例として、この処理命令には、演出の制御を行うための所定の処理を繰り返し実行することを指示するループ命令が含まれる。
・・・
【0010】
繰り返し範囲としてのアドレス範囲は、種々の方法で指定可能である。
例えば、ループ命令に対応するループエンド命令を用意してもよい。この場合は、ループ命令からループエンド命令に至るまでの範囲が繰り返し範囲となる。
別の態様として、ループ命令において、繰り返し範囲の最終アドレスを指定するようにしてもよい。この態様では、上述のループエンド命令を省略できる利点がある。最 終アドレスは、絶対アドレスで指定してもよいし、ループ命令を基準とする相対アドレスで指定してもよい。
【0011】
ループ命令での繰り返しは、処理の内容上、必然的に定まる範囲内で行うものとすることができる。上述したデータベースの検索などの処理では、指定されたデータベース全体を超えて実行されることはありえないため、繰り返しの上限は、必然的に、データベース全体のサイズで決まることになる。
このように必然的に定まる繰り返し範囲に限らず、ループ命令は、終了条件を指定可能としてもよい。つまり、繰り返し処理は、指定された終了条件を満足するまで実行されるものとしてもよい。この場合、終了条件は、繰り返し数で指定してもよいし、所定の遊技状態が実現されるなどの態様で指定してもよい。」

(ウ)「【0033】
サブ制御基板200は、内部にCPU201、ROM202、RAM203等を備えるマイクロコンピュータとして構成されている。CPU201は、ROM202に記憶されたプログラムおよびデータを用いて、RAM203を活用しながら種々の演出制御処理を実行する。CPU201は、ランプ30に点灯パターンを表すランプデータを出力することによって、その点灯状態を制御することができる。

(エ)「【0074】
C4.演出モジュールの機能:
図6は演出モジュール240の機能を示す説明図である。演出モジュール240は、イベントモジュール230から演出番号を受け取り、VDP204、サウンドモジュール250およびランプモジュール260に出力するコマンドを設定する。図中には、このコマンドを設定するために参照される統合演出命令データ241の構造を示した。
【0075】
本実施例では、統合演出命令データ241は、イベントモジュール230から指定される演出番号ごとに用意され、ROM202に格納されている。
統合演出命令データ241と演出番号との対応関係は、演出管理テーブルに規定されている。図の左側に示す通り、演出管理テーブルは、統合演出命令データの格納アドレスを示す、演出管理ポインタを備えている。演出管理ポインタは、演出番号に対応する数だけ用意されているが、ここでは5つのみを例示した。
図の例では、例えば、演出管理ポインタ[1]は、最初は、統合演出命令データ241の先頭アドレスA1を格納していることになる。
統合演出命令データの処理が実行されるにつれ、演出管理ポインタ[1]の値は、順次、A1、A2と移行していく。一通り演出を終えた後、演出番号01Hが再度指定された時には、アドレスA1から開始される演出を再開できるよう、演出管理ポインタ[1]の初期値(アドレスA1)は、統合演出命令データの処理を実行している最中も保存しておくことが必要である。初期値の保存は種々の方法が可能である。
第1に、統合演出命令データの処理を実行する際には、演出管理ポインタ[1]の初期値を一旦、初期値保存用のメモリに退避した後、演出管理ポインタ[1]をA1、A2と移行させ、演出が終了した時点で、初期値を復帰させる方法である。
第2に、予めROM内に演出管理ポインタ[1]の初期値を保存しておき、起動時にはRAM上にワークとして構成された演出管理テーブルに、この初期値を読み込む方法である。この場合は、演出が終了した時点で、ROMから再び初期値を読み込めば初期値を復帰させることができる。
第3に、演出管理テーブルとは別に、演出制御用の制御ポインタを設け、統合演出命令データの実行時には、演出管理ポインタ[1]の値を、制御ポインタに格納する方法である。この方法では、制御処理の実行時には、制御ポインタがA1、A2と移行し、演出管理ポインタ[1]の値は初期値のまま変化しないことになる。
演出管理ポインタ[1]だけでなく、他の演出管理ポインタについても同様に、制御の実行時には初期値を保存しておく必要がある。上述の第1?第3のいずれの方法を採ってもよいが、本実施例では、第2の方法、即ち別途ROM内に用意されたテーブルからRAM上の演出管理ポインタに、それぞれの初期値が読み込まれているものとして説明する。
・・・
【0077】
統合演出命令データ241においては、図示する通り、一つ一つのコマンドは、原則として処理命令とパラメータから構成される。処理命令とは、演出モジュール240が実行すべき機能である。本実施例で用いる処理命令の例を以下に示す。パラメータは、処理命令の処理内容を具体的に指示する変数である。パラメータを指定する必要がない処理命令を設けても良い。
(1) 主基板コマンド受信チェック…所定の主基板コマンドを受信したか否かをチェックする。チェック対象となる主基板コマンドは、パラメータで指定する。
(2) ジャンプ…パラメータで指定されたアドレスを演出管理ポインタにセットする。演出モジュール240は、指定されたアドレスにジャンプして統合演出命令データの処理を継続することになる。
(3) コール…次の処理命令のポインタ値を待避した上で、パラメータで指定されたアドレスを演出管理ポインタにセットする。演出モジュール240は、一時的にパラメータで指定されたアドレスに移行して統合演出命令データの処理を行った後、上述の待避したポインタ値に基づき、従前の処理に復帰することができる。
(4) リターン…コール先から復帰するための指示である。コールで待避したポインタ値を、演出管理テーブルに設定する機能を有する。
(5) タイマセット…待ち時間用のタイマの値を設定する。このタイマ値は、処理中に順次、減算される。タイマ値が0となった時に指定された待ち時間が経過したことを表す。
(6) タイマウェイト…設定されたタイマが0となるまで待って、統合演出命令データの処理を継続する。
(7) メモリ参照…所定のイベントの発生有無が設定された条件を満たすか否かを判断し、満たしたか否かによって、次に行う処理を分岐する。いわゆる条件分岐に相当する。イベントの発生有無は、パラメータが示すイベント用メモリの値を参照することによって監視する。
(8) ループ…ループからループエンドまでの間の処理命令を、パラメータで指定された回数だけ繰り返し実行する。
(9) ループエンド…ループの終了を表す。
(10) 演出終了…演出番号をクリアし、実行終了する。この際、演出管理ポインタに統合演出命令データの先頭アドレスを書き込むことによって、リセットしておく。
(11) 液晶コマンドセット…液晶に送信するコマンドを設定する。
(12) 音声動作番号セット…サウンドモジュール250に出力する音声動作番号を設定する。
(13) ランプ動作番号セット…ランプスケジュール260に出力するランプ動作番号を設定する。」

(オ)【図6】
(「演出モジュール240の機能を示す説明図である。」、【0176】)















(カ)「【0101】
統合演出命令データにおいて有用な処理命令として、図6で示したコール命令、図7?10で示した条件分岐の他に、ループ命令が挙げられる。次に、ループ命令の使用例について説明する。
図11はループ命令の使用例を示す説明図である。統合演出命令データの内容を示した。
アドレスA101においてループ命令が設定されており、パラメータでは、ループの終了条件として、「コインの投入」が指定されている。この処理命令では、終了条件が満たされるまで、ループエンド(アドレスA105)までの処理が繰り返し実行される。図の例では、アドレスA102のデモ用動作番号による音声出力と、アドレスA103のデモ用表示コマンドの液晶出力等の処理が繰り返し実行されるのである。
図の右側に、処理が進行する流れを矢印で示した。まず矢印P1で示すように、アドレスA101?A105の処理がアドレス順に実行される。そして、アドレスA105のループエンドまで来ると、処理は、矢印P2に示すように、アドレスA101のループ命令に戻る。
アドレスA101では、「コイン投入」という終了条件が満たされるか否かが判断される。終了条件が満たされない場合には、再び矢印P1、P2に沿って、処理が進行する。終了条件が満たされる場合には、矢印P3に示されるようにループエンド(アドレスA105)の次のアドレスA106の処理に無条件に移行する。
・・・
【0103】
繰り返し処理の範囲は、上述のように、ループエンドで指定する方法の他、アドレスで指定する方法を採っても良い。
図中のアドレスA110のループ命令では、繰り返し処理の範囲をアドレスで指定する例を示した。この例では、3回繰り返しという終了条件が満たされるまで、パラメータで指定されたアドレスA112までの処理が繰り返される。 従って、右側の矢印P11に示すように、音声の動作番号出力(アドレスA111)、および液晶の表示コマンド出力(アドレスA112)を行った後、繰り返し数が3回に満たない場合には矢印P12のようにループ命令に戻って、再び矢印P11に沿った処理が実行される。繰り返し数が3回に至ると、矢印P13のように繰り返し範囲の次のアドレスA113の処理に移行する。」

(キ)【図11】
(「ループ命令の使用例を示す説明図である。」、【0176】)




(ク)「【0128】
D.演出制御処理:
本実施例では、以上で説明した各モジュールの機能によって、演出制御が実行される。以下では、演出制御の処理内容を示す。それぞれの処理は、ソフトウェア的には先に説明した各モジュールが連動して実現するものであり、ハードウェア的にはサブ制御基板200のCPU201が実行する処理である。」

(ケ)「【0139】
D3.演出データ処理: 図16は演出データ処理のフローチャートである。演出モジュール240が実行する処理であり、メイン処理ルーチンのステップS40に相当する処理である。
【0140】
CPU201は、演出番号を読み込み(ステップS41)、演出番号が正常か否かを判断する(ステップS42)。ノイズ等の影響で、正常でない演出番号が指定されている場合には(ステップS42)、CPU201は、演出データ処理を終了する。この際、読み込んだ演出番号は破棄される。
【0141】
演出番号が正常な場合には(ステップS42)、CPU201は、演出管理テーブル(図6参照)を参照し(ステップS43)、演出番号に対応した演出管理ポインタ値を得る。この演出管理ポインタ値が異常の場合には(ステップS44)、CPU201は、レイヤ制御部を停止して(ステップS46)、処理を終了する。
【0142】
演出管理ポインタ値が正常の場合には(ステップS44)、そのポインタで指定された統合演出命令データを読み込み、そこに規定された処理命令を実行する(ステップS45)。統合演出命令データの構造および処理命令の種類は、図6で説明した通りである。この処理によって、遊技状態に応じた演出を実現するための液晶コマンド、音声動作番号、ランプ動作番号が設定され、ワーク231(図5参照)に格納される。CPU201は、条件分岐、タイムウェイトなどの処理によって統合演出命令データの処理の中断が指示される場合、または演出終了が指示されるまで、この処理を継続する(ステップS47)。」

(コ)「【0159】
F.第2実施例:
F1.遊技機の構成:
図19は第2実施例としてのパチンコ機に用いられる遊技盤70の正面図である。遊技盤70は、パチンコ機の外枠(図示せず)に取り付けられており、中央に遊技領域71を備えている。遊技者は、図示しないハンドルを操作して遊技領域71内に遊技球を打ち込み、入賞口に入賞させる遊技を行うことができる。
・・・
【0161】
開口中に可変入賞装置80内に入り込んだ遊技球は、矢印Dに示すように、左右に円弧状に設けられた流路83内を、左右から中央に延びるアーム84上に向かって転がり落ちる。可変入賞装置80は、全体が矢印Aに示すように左右に揺動するため、遊技球はアーム84上で左右に不安定に転がった後、駆動装置85駆動装置85駆動装置85駆動装置85駆動装置85適当なタイミングで落下する。落下タイミングによっては、遊技球は、一般入賞口86に入り、V入賞口87に入る。アーム84および駆動装置85が、大当りか否かを決める振分機構として機能することになる。V入賞口87に入賞すると「大当り」となり、第1可動片81、第2可動片82が、所定のパターンで開閉を繰り返す「大当り遊技」が開始される。」

(サ)「【0165】
図20はパチンコ機の制御ソフトウェア構成を示す説明図である。スロットマシン10と同じモジュールには同一の符号を付したため、説明を省略する。本実施例のパチンコ機は、図19に示した駆動装置85の動作を制御するためのモジュールが追加されている点が、実施例(図3)と相違する。
【0166】
駆動装置85はランプ等と同様、出力ポートイメージワーク214を介して駆動装置モジュール270に接続されており、イベントモジュール230Aおよび駆動装置モジュール270によって制御される。駆動装置85には駆動用に複数のステッピングモータが設けられており、これらのステッピングモータの動作が制御対象となる。具体的な制御項目は、次の通りである。
(1)移動量…ステッピングモータの回転ステップ角;
(2)移動時間…現在の位置から次の位置まで移動させるための時間;
(3)移動速度…モータの回転速度;
(4)励磁方法…1-1相励磁、1ー2相励磁、2-2相励磁の区別;
(5)台形駆動…回転開始、停止時にステップ関数的に速度を変化させるのではなく、所定の角加速度で回転速度を変化させる;
(6)回転方向…モータの回転方向;
(7)原点位置まで戻すための復帰動作の実行指示;
(8)メカエンド停止の指示; ここでメカエンド停止とは、駆動装置85の可動範囲が機械的に制限されている時に、可動範囲の限界位置に付勢した状態で停止させることを意味する。
【0167】
駆動装置85の制御方法は、ランプ等と同様である。演出モジュール240Aは、コマンドを解析して駆動装置85の動作態様を決定し、動作態様を表す駆動装置動作番号を駆動装置モジュール270に出力する。駆動装置モジュール270は、駆動装置動作番号に応じた種別演出命令データを参照する。駆動装置85用の種別演出命令データには、上述した制御項目(1)?(8)等を指定するための処理命令およびパラメータが用意されている。また、コール、条件分岐、演出抽選も同様に設けられている。」

イ 認定事項
引用例2には、【0010】に「・・・ループ命令に対応するループエンド命令を用意してもよい。この場合は、ループ命令からループエンド命令に至るまでの範囲が繰り返し範囲となる。」と記載され、【0077】に「統合演出命令データ241においては、・・・一つ一つのコマンドは、原則として処理命令とパラメータから構成される。・・・処理命令の例を以下に示す。パラメータは、処理命令の処理内容を具体的に指示する変数である。パラメータを指定する必要がない処理命令を設けても良い。・・・(8) ループ…ループからループエンドまでの間の処理命令を、パラメータで指定された回数だけ繰り返し実行する。」と記載され、【0101】に「アドレスA101においてループ命令が設定されており、パラメータでは、ループの終了条件・・・が指定されている。」と記載され、【0103】に「・・・3回繰り返しという終了条件・・・」と記載されている。
また、【図11】には、アドレスA101、A110に、処理命令として「ループ」命令が指定され、パラメータとして所定の「終了条件」が指定され、また、A105に処理命令として「ループエンド」命令が指定されることが図示されている。
したがって、引用例2には、「ループ命令は、1つのアドレスに、「ループ命令」と、パラメータとして「繰り返し回数」を指定し、他のアドレスに、「ループエンド命令」を指定」することが示されているものと認められる(以下、「認定事項2」という。)。

ウ 引用例2に記載された技術事項
上記アの記載事項、上記イの認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用例2には、次の技術事項(以下「引用例2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる(a-2?h-2は、本願発明のA?Hに対応させて当審判合議体にて付与した。)。

「a-2 大当りか否かを決める振分機構として機能する駆動装置85をランプ等と同様、イベントモジュール230A、演出モジュール240、及び、駆動装置モジュール270によって制御するパチンコ機において(【0074】、【0159】、【0161】、【0166】)、
b2-2、c-2 演出モジュール240は、イベントモジュール230Aから演出番号を受け取り、VDP204、サウンドモジュール250、ランプモジュール260、及び、駆動装置モジュール270に出力するコマンドを、統合演出命令データ241を参照して設定し(【0074】、【0166】)、
統合演出命令データ241は、イベントモジュール230から指定される演出番号ごとに用意され、ROM202に処理命令を実行すべき順序で複数格納され、統合演出命令データ241と演出番号との対応関係は、演出管理テーブルに規定され、演出管理テーブルは、統合演出命令データ241の格納アドレスを示す、演出管理ポインタを備え、演出管理ポインタ[1]は、最初は、統合演出命令データ241の先頭アドレスA1を格納し、統合演出命令データ241の処理が実行されるにつれ、順次A1、A2と移行していき(【0008】、【0075】)、
統合演出命令データ241の一つ一つのコマンドは、原則として処理命令とパラメータから構成され、処理命令には、ループ命令からループエンド命令に至るまでの繰り返し範囲の処理命令をパラメータで指定された回数だけ実行するループ命令、ジャンプ命令、コール命令、液晶コマンドセット、音声動作番号セット、ランプ動作番号セット、駆動装置動作番号に応じた種別演出命令等があり(【0008】、【0010】、【0077】)、
サブ制御基板200のCPU201は、演出制御処理として、まず、演出番号を読み込み、その後、演出管理テーブルを参照して演出番号に対応した演出管理ポインタ値を得、その後、そのポインタで指定された統合演出命令データ241を読み込み、そこに規定された処理命令を実行し(【0033】、【0128】、【0139】?【0142】)、
e-2 ループ命令は、1つのアドレスに、「ループ命令」と、パラメータとして「繰り返し回数」を指定し、他のアドレスに、「ループエンド命令」を指定する(認定事項2)、
h-2 パチンコ機(【0006】)。」

(3)引用例3に記載された技術事項
当審判合議体による拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例3(特開2012-91045号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、遊技機が衝撃により振動しても、演出可動体を安定して移動させることができる遊技機を提供することを目的とする。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0021】
? 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。」

(ウ)「【0075】
? 受信コマンドには、変動パターンコマンド、予告演出コマンド、報知用制御コマンドなどが含まれている。そこで、受信コマンド解析処理では、図9(d)に示す通り、先ず、変動パターンコマンドを新規に受信したか否かを判定し(ST10)、変動パターンコマンドを受信している場合には、演出内容を具体的に特定する演出抽選を実行する(ST12)。そして、これから実行すべき演出シナリオについて初期設定処理を実行する(ST13)。その他、予告演出コマンドを受信した場合にも、予告演出のシナリオについて初期設定をする(ST11、ST13)。予告演出には演出可動体AMUを回転させる演出が含まれている。そして、このようにして初期設定された演出シナリオは、その他のランプ演出処理などと共に、メイン処理において、4mS間隔で進行される(ST7?ST8)。」

(エ)「【0081】
例えば、図11の第一行では、ステイタス値STSによってNG_ED動作とFR動作とが指示されている。また、スピード値SPDが12/2であり、タイマ上限値TMRが200であると特定されている。そのため、第一行は、(a)タイマ上限値TMR=200に至るまで、スピード値SPD=6で順方向に回転すること、但し、(b)その途中で、スイッチ信号SNが立下れば、そのタイミングで第一行の動作を終えることが規定されることになる。なお、スピード値SPDは、その値が大きいほど回転速度が遅くなる。
【0082】
図11の第二行は、第一行に続く動作を規定しており、スイッチ信号SNのON/OFFに拘わらず、タイマ上限値TMR=10に至るまで、スピード値SPD=4で順方向に回転することを意味している。その後の動作も同様に解釈され、第三行では、(a)タイマ上限値TMR=400に至るまで、スピード値SPD=2で順方向に回転すること、但し、(b)その途中でスイッチ信号SNが立上れば、そのタイミングで第三行の動作を終えることが規定されている。なお、図5(c)に示す通り、この実施例では、回転部材ROTは、245ステップの駆動パルスΦ1?Φ4を受けて一回転するので、上記した第三行の動作は、演出可動体AMUを、ほぼ一回転させて、原点付近に戻すことを意味している。」

(オ)「【0086】
? 以上の動作をまとめると、最初、原点スイッチORGがON状態の原点位置から低速(SPD=6)で順回転を開始し、その後、原点スイッチORGがOFF状態になると回転速度を少し速め(SPD=4)、少し順回転した後で、更に回転速度を速め(SPD=2)、その速度で、原点位置まで回転させることになる。図5(c)は、この関係を図示したものであり。原点位置HPから順回転して、スイッチ信号SNの立下りを検出した後、少しだけ、CONT動作(continuous)を実行する状態を示している。」

イ 引用例3に記載された技術事項
上記アの記載事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用例3には、次の技術事項(以下「引用例3記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる(a3、f3は、本願発明のA、Fに対応させて当審判合議体にて付与した。)。

「a3 演出可動体AMUを回転させる予告演出を行うパチンコ機GM(【0021】、【0075】)において、
f3 原点スイッチORGがON状態の原点位置から低速(SPD=6)で順回転を開始し、その後、原点スイッチORGがOFF状態になると回転速度を少し速め(SPD=4)、タイマ上限値TMR=10に至るまで、スピード値SPD=4で順方向に回転し、その後で、更に回転速度を速め(SPD=2)、その速度で、原点位置まで回転させること(【0086】)。」

(4)対比 本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a、h)
引用発明の「ステッピングモータ」は、「所定ステップ数正転」する「動作」及び「所定ステップ数逆転」する「動作」を行うものであるから、本願発明の「順方向及び逆方向のステップ移動により回転する」「動作」を行う「演出モータ」に相当する。
そして、引用発明の「左役物130a」を有する「棒状可動役物130」、「フォトセンサ240」により「検出」される「基準位置」は、それぞれ、本願発明の「可動演出体」、「待機回収位置に位置するか否かを示す検出信号を出力可能な感知センサにより判定可能な待機回収位置」に相当するから、引用発明の「発光部と受光部とを有し、棒状可動役物130の左役物130aの基部210に設けられている摺動部212の被検出部212aが、発光部と受光部との間に位置することによって発光部からの発光を遮蔽した場合に、」「フォトセンサ240」により「検出」される「基準位置」は、本願発明の「可動演出体が待機回収位置に位置するか否かを示す検出信号を出力可能な感知センサにより判定可能な待機回収位置」に相当する。
また、引用発明の「画像表示部104から退避した収納位置」は、「基準位置」でもあるから、本願発明の「待機回収位置」に相当し、引用発明の「画像表示部104の前面」の位置は、当該位置に「フォトセンサ240」等の位置検出センサが設けられていないものであるから、本願発明の「対応する感知センサを設けない目的演出位置」に相当する。
さらに、引用発明の「棒状可動役物130を用いた一連の演出動作」は、「棒状可動役物130」の「画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面」への「移動」と、「画像表示部104から退避した収納位置」への「移動」とを含むものであるから、本願発明の「待機回収位置と、」「目的演出位置とを往復移動可能な可動演出体による一連の可動演出」に相当する。そうすると、引用発明の「棒状可動役物130を用いた一連の演出動作をおこなう場合、まず、駆動モータ201を所定ステップ数正転させる動作により画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ、画像表示部104の前面に移動した状態から、駆動モータ201が所定量、正転および逆転を繰り返すことにより、さらに往復移動を行なった後、そのまま逆転の回転方向で、100ステップ動作させ、棒状可動役物130を、画像表示部104から退避した収納位置に移動させ」る「演出統括部302aのCPU341」は、本願発明の「待機回収位置と、対応する感知センサを設けない目的演出位置とを往復移動可能な可動演出体による一連の可動演出を、所定の制御周期で制御する演出制御手段」に相当する。
また、引用発明の「ぱちんこ遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成a、hは、本願発明の構成A、Hに相当する。

(b1)
引用発明の「棒状可動役物130の往復移動を含む一連の動作をおこなう場合に、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データ」を「記憶する記憶部402」は、本願発明における「一連の可動演出を規定する演出テーブル」に相当する。
そして、引用発明の「駆動モータ201の正転、逆転」(1行目、4?6行目、8?10行目)、「駆動モータ201」の「待機」(2行目?3行目、7行目)は、それぞれ、本願発明の「演出モータの回転動作」、「演出モータの」「停止動作」に相当するから、引用発明の「1行目から10行目に掛けて」「1つずつ順番に記憶される」「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向を用い」た「駆動モータ201の正転、逆転、及び、待機について」の「駆動データ」は、本願発明の「演出モータの回転動作や停止動作を含んだ各種の単位動作を特定する実行情報」に相当する。
また、引用発明における「1つずつ順番に記憶する」ことは、本願発明の「単位動作ごとに順番に記憶されている」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成b1は、本願発明の構成B1に相当する。

(b2)
引用発明の「繰返し実行」の開始が「3行目」であることを示すデータ、「繰返し実行」の終了が「10行目」であることを示すデータは、それぞれ、本願発明の「開始情報」、「終了情報」に相当する。
また、引用発明の「繰返し実行」の開始が「3行目」であることを示す情報、「繰返し実行」の終了が「10行目」であることを示す情報、及び、「ループ回数」は、本願発明の「各種の管理情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データに」「含まれ」る「3行目から12行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回とするデータ」は、本願発明の「任意の一群の単位動作の繰返し動作に関する、開始情報及び終了情報を含んだ各種の管理情報」に相当する。
したがって、引用発明の構成b2、eと本願発明の構成B2とは、「演出テーブルに含まれる任意の一群の単位動作の繰返し動作に関する、開始情報及び終了情報を含んだ各種の管理情報が」「記憶され」ることで共通する。

(c)
引用発明において、「動作コマンドを解析して、棒状可動役物130の動作に対応する駆動データをRAM363に設定する」ことは、「駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についてのデータと、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータとが区別して記憶部402に記憶され」ていることからみて、「動作コマンド」を「解析」するに際して、「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データと、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータと」を区別して判定しているものと認められる。
そして、引用発明の「ステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データ」は、上記(b1)によると、本願発明の「実行情報」に相当し、引用発明の「3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータ」は、上記(b2)によると、本願発明の「管理情報」に相当する。

また、引用発明の「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データ」は、構成b1によると、1行毎に「記憶部402」に記憶されるものである。
そうすると、引用発明の「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データ」は、本願発明における「一単位の制御情報として判定」される「実行情報」に相当する。
したがって、引用発明の構成c、gと本願発明の構成Cとは、「演出制御手段は、演出テーブルを、一単位の制御情報としての実行情報、又は、管理情報ごとに」「判定して、実行情報又は管理情報に対応する動作を実行して」いることで共通する。

(d)
引用発明の「駆動モータ201の正方向又は逆方向の回転方向」、「駆動モータ201のステップ数」は、それぞれ、本願発明における「順方向又は逆方向の回転方向」、「演出モータの回転量を、前記ステップ移動の繰返し回数で規定する移動情報」に相当する。
そして、引用発明の「駆動モータ201の回転速度(pps)」と、本願発明の「ステップ移動までの待機時間を、制御周期の連続回数で表現することで実質的に回転速度を規定する速度情報」とは、「速度情報」である点で共通する。
また、引用発明の「駆動モータ201を100ステップ正転させ、画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ」ることは、上記(a、h)より、引用発明の「画像表示部104の前面」の位置は、本願発明の「対応する感知センサを設けない目的演出位置」に相当することからみて、「駆動モータ201を100ステップ正転させ」ることは、「画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ」ることの終了条件であるといえる。そうすると、引用発明の「駆動モータ201を100ステップ正転させ」ることは、本願発明の「回転量」「に基づいて規定される動作終了条件」に相当する。
さらに、引用発明の「一連の動作」が「基準位置に戻ることで終了」することの条件となる「被検出部212aがフォトセンサ240によって検出される」ことは、本願発明の「検出信号に基づいて規定される動作終了条件」に相当する。
したがって、引用発明の構成d、fと本願発明の構成Dとは、「演出モータの回転動作を特定する実行情報には、順方向又は逆方向の回転方向と、」「速度情報と、演出モータの回転量を、ステップ移動の繰返し回数で規定する移動情報と、回転量又は検出信号に基づいて規定される動作終了条件と、が含まれ」ることで共通する。

(e)
上記(b2)より、引用発明の「繰返し実行」の開始が「3行目」であることを示すデータ、「繰返し実行」の終了が「10行目」であることを示す情報は、それぞれ、本願発明の「開始を指示する開始情報」、「終了を指示する終了情報」に相当する。
そして、引用発明の「ループ回数」は、本願発明における「繰り返し回数」に相当する。
したがって、引用発明の構成b2、eの「記憶部402に、棒状可動役物130を往復移動させる場合に、記憶部402に記憶されている、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データには、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回とするデータが含まれる」ことと、本願発明の構成Eの「管理情報には、繰返し動作について、開始を指示する開始情報と、終了を指示する終了情報と、繰り返し回数とが、全体として二単位の制御情報として含まれて」いることとは、「管理情報には、繰返し動作について、開始を指示する開始情報と、終了を指示する終了情報と、繰り返し回数とが、」「制御情報として含まれて」いることで共通する。

(g)
引用発明の「記憶部402に記憶され」た「棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データと、3行目から12行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータ」は、上記(b1)?(b2)によると、本願発明の「演出テーブルに記憶された」「可動演出体を駆動制御」するための「実行情報や管理情報」に相当する。
そして、引用発明の「記憶部402」には、構成b1によると、「1行目に、まず、正転により移動させるために用いられる駆動データとして、「ステップ数」:「100」、「pps」:「250」、「回転方向」:「正」」が「記憶され」るものであり、構成d、fによると、「ランプ制御部302cのCPU361は」、該1行目に記載された駆動データを用いて、「棒状可動役物130の往復移動を含む一連の動作をおこなう場合、まず、駆動モータ201を100ステップ正転させ、画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ」るものである。ここで、引用発明の「駆動モータ201を100ステップ正転させ、画像表示部104から退避した収納位置から画像表示部104の前面に棒状可動役物130を移動させ」ることは、本願発明の「一連の可動演出には、前記順方向移動の単位動作を実行して可動演出体を目的演出位置に移行させて停止させる動作が含まれている」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成c、gは、本願発明の構成Gに相当する。

上記(a)?(g)によれば、本願発明と引用発明は、
「A 順方向及び逆方向のステップ移動により回転する演出モータの動作に基づき、可動演出体が待機回収位置に位置するか否かを示す検出信号を出力可能な感知センサにより判定可能な待機回収位置と、対応する感知センサを設けない目的演出位置とを往復移動可能な可動演出体による一連の可動演出を、所定の制御周期で制御する演出制御手段を設けた遊技機であって、
B1 前記一連の可動演出を規定する演出テーブルには、演出モータの回転動作や停止動作を含んだ各種の単位動作を特定する実行情報が、単位動作ごとに順番に記憶されていると共に、
B2´前記演出テーブルに含まれる任意の一群の単位動作の繰返し動作に関する、開始情報及び終了情報を含んだ各種の管理情報が記憶され、
C´前記演出制御手段は、前記演出テーブルを、前記実行情報又は前記管理情報ごとに、判定して、前記実行情報又は前記管理情報に対応する動作を実行しており、
D´演出モータの回転動作を特定する前記実行情報には、順方向又は逆方向の回転方向と、速度情報と、演出モータの回転量を、前記ステップ移動の繰返し回数で規定する移動情報と、前記回転量又は前記検出信号に基づいて規定される動作終了条件と、が含まれ、
E´前記管理情報には、前記繰返し動作について、開始を指示する前記開始情報と、終了を指示する前記終了情報と、繰り返し回数とが、制御情報として含まれており、
G 前記演出制御手段は、前記演出テーブルに記憶された前記実行情報や前記管理情報に基づいて可動演出体を駆動制御し、前記一連の可動演出には、前記順方向移動の単位動作を実行して可動演出体を目的演出位置に移行させて停止させる動作が含まれている
H 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成B2)
開始情報及び終了情報を含んだ各種の管理情報に関して、本願発明は、演出テーブルに順番に記憶されているのに対して、引用発明は、「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向」についての「駆動データ」は、1行毎に記憶部402に記憶しているが、「3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回と」するデータを、どのように記憶部402に記憶するのか明らかでない点。

[相違点2](構成C)
管理情報に対応する動作の実行に関して、本願発明は、演出制御手段が、実行情報又は管理情報ごとに、各々を一単位の制御情報として判定するのに対して、引用発明は、「動作コマンド」を「解析」するに際して、「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データと、3行目から10行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数についてのデータと」を区別して判定しているが、それぞれのデータを一単位のデータとして判定しているか否か明らかでない点。

[相違点3](構成D)
実行情報に含まれる速度情報に関して、本願発明は、ステップ移動までの待機時間を、制御周期の連続回数で表現することで実質的に回転速度を規定するものであるのに対して、引用発明は、回転速度(pps)である点。

[相違点4](構成E)
繰返し動作についての管理情報に関して、本願発明は、開始を指示する前記開始情報と、終了を指示する前記終了情報と、繰り返し回数とが、全体として二単位の制御情報として含まれているのに対して、引用発明は、3行目から12行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回とするデータが、全体として二単位の制御情報であるか否か明らかでない点。

[相違点5](構成F)
本願発明は、単位動作には、検出信号が変化したことを条件に開始され、その開始時からの回転量に基づく動作終了条件が規定された順方向移動の単位動作が含まれるのに対して、引用発明は、そのような構成を有しない点。

(5)当審判合議体の判断
ア 相違点1、2、4について
相違点1、2、4は、管理情報に関する事項なのでまとめて検討する。
本願発明と引用例2に記載された技術事項との対応関係について検討する。
(ア)構成B2について
引用例2に記載された技術事項の「統合演出命令データ241の」「一つのコマンド」としての「ループ命令」は、構成b2-2、c-2によると、「ループからループエンドまでの間の処理命令をパラメータで指定された回数だけ繰り返し実行する」命令である。
ここで、引用例2に記載された技術事項の「処理命令を実行すべき順序で複数格納され」た「ROM202」、「ループ命令」、「ループエンド命令」、「演出」に係る「ループ命令からループエンド命令に至るまでの繰り返し範囲の処理命令をパラメータで指定された回数だけ実行する」ことは、それぞれ、本願発明の「演出テーブル」、「開始情報」、「終了情報」、「任意の一群の単位動作の繰返し動作」に相当する。
また、引用例2に記載された技術事項の「ループ命令」、「ループエンド命令」及び「パラメータで指定された回数」や、「ジャンプ命令、コール命令」は、本願発明の「各種の管理情報」に相当する。
そして、引用例2に記載された技術事項は、「サブ制御基板200のCPU201は、演出制御処理として、まず、演出番号を読み込み、その後、演出管理テーブルを参照して演出番号に対応した演出管理ポインタ値を得、その後、そのポインタで指定された統合演出命令データ241を読み込み、そこに規定された処理命令を実行」するものであって、「演出管理ポインタ[1]は、最初は、統合演出命令データ241の先頭アドレスA1を格納し、統合演出命令データ241の処理が実行されるにつれ、順次A1、A2と移行してい」くものであるから、「統合演出命令データ241」は、「演出管理テーブル」にアドレスにしたがって1つずつ「処理命令を実行すべき順序で複数」記憶されているとともに、1つずつ順番に「処理命令」が実行されていくものである。
したがって、引用例2に記載された技術事項の構成b2-2、c-2の「統合演出命令データ241」としての「ループ命令」、「ループエンド命令」及び「パラメータで指定された回数」や、「ジャンプ命令、コール命令」が、「ROM202に処理命令を実行すべき順序で複数格納され」ていることは、本願発明の構成B2の「演出テーブルに含まれる任意の一群の単位動作の繰返し動作に関する、開始情報及び終了情報を含んだ各種の管理情報が順番に記憶され」ることに対応する。

(イ)構成Cについて
引用例2に記載された技術事項の「駆動装置動作番号に応じた種別演出命令」は、本願発明の「実行情報」に相当する。
そして、上記(ア)の検討事項より、引用例2に記載された技術事項の「ループ命令、ジャンプ命令、コール命令、液晶コマンドセット、音声動作番号セット、ランプ動作番号セット、駆動装置動作番号に応じた種別演出命令」といった「統合演出命令データ241の一つ一つのコマンド」は、「演出管理テーブル」にアドレスにしたがって1つずつ「処理命令を実行すべき順序で」記憶されているとともに、統合演出命令データ241の処理が実行されるにつれ、演出管理ポインタ[1]が順次A1、A2と移行することで、「サブ制御基板200のCPU201」によって、アドレスに従って1つずつ順番に「処理命令」が「読み込」まれ、順次「実行」されていくものである。
したがって、引用例2に記載された技術事項の構成b2-2、c-2の「ROM202に処理命令を実行すべき順序で複数格納され」ている「ループ命令、ジャンプ命令、コール命令、液晶コマンドセット、音声動作番号セット、ランプ動作番号セット、駆動装置動作番号に応じた種別演出命令」といった「統合演出命令データ241の一つ一つのコマンド」を、アドレスに従って1つずつ順番に「処理命令」が「読み込」み、順次「実行」していく「サブ制御基板200のCPU201」は、本願発明の構成Cの「演出テーブルを、実行情報又は管理情報ごとに、各々を一単位の制御情報として判定して、実行情報又は管理情報に対応する動作を実行」する「演出制御手段」に対応する。

(ウ)構成Eについて
引用例2に記載された技術事項の「ループ命令は、1つのアドレスに、「ループ命令」と、パラメータとして「繰り返し回数」を指定し、他のアドレスに、「ループエンド命令」を指定」することは、「ループ命令」を全体として2つのアドレスに記憶させることであるから、本願発明の「管理情報には、繰返し動作について、開始を指示する開始情報と、終了を指示する終了情報と、繰り返し回数とが、全体として二単位の制御情報として含まれて」いることに相当する。
したがって、引用例2に記載された技術事項の構成eは、本願発明における構成Eに対応する。

(エ)引用発明への引用例2に記載された技術事項の適用について
引用発明と引用例2に記載された技術事項とは、演出制御手段が実行する命令に、駆動に係るデータと繰返しに係るデータとを含み、これらのデータを記憶部に記憶し、記憶したデータに基づいて演出が実行される点で共通する。
そして、両者は、演出効果を向上させるという共通の作用効果を奏する(引用例1の記載(サ)、引用例2の記載(ア)を参照。)ものである。
さらに、遊技機の技術分野において、駆動データをメモリに順番に記憶し、駆動データを記憶されている順番に順次読み出して実行することは、引用例2に限らず、引用例3の【図10】、【図11】や、上記特開2013-22300号公報の【図8】、【図9】に示されているように当業者における技術常識でもある。

したがって、当該技術常識を踏まえつつ、引用発明に引用例2に記載された技術事項を適用し、具体的に、
・「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データ」や、所定範囲の「駆動データを繰返し実行するループ回数」についてのデータを「記憶部402」に記憶する際に、所定範囲の「駆動データを繰返し実行するループ回数」のデータについても1つずつ順番に記憶し、
・そして、「駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向についての駆動データ」や、所定範囲の「駆動データを繰返し実行するループ回数」についてのデータを、「ランプ制御部302cのCPU361」により、アドレスに従って1つずつ順次「読み込み、そこに規定された処理命令を実行」し、
・さらに、「3行目から10行目の正転、逆転による往復移動の繰返し回数を26回とするループ回数が含まれる」「駆動データ」を記憶部402の2行に記憶し、上記相違点1、2、4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点3について
遊技機の技術分野において、演出モータの回転動作を特定する速度情報を、ステップ移動までの待機時間を、制御周期の繰り返し回数で表現することで実質的に回転速度を規定することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、上記引用例3には、
【0081】
例えば、図11の第一行では、ステイタス値STSによってNG_ED動作とFR動作とが指示されている。また、スピード値SPDが12/2であり、タイマ上限値TMRが200であると特定されている。そのため、第一行は、(a)タイマ上限値TMR=200に至るまで、スピード値SPD=6で順方向に回転すること、但し、(b)その途中で、スイッチ信号SNが立下れば、そのタイミングで第一行の動作を終えることが規定されることになる。なお、スピード値SPDは、その値が大きいほど回転速度が遅くなる。
【0082】
図11の第二行は、第一行に続く動作を規定しており、スイッチ信号SNのON/OFFに拘わらず、タイマ上限値TMR=10に至るまで、スピード値SPD=4で順方向に回転することを意味している。その後の動作も同様に解釈され、第三行では、(a)タイマ上限値TMR=400に至るまで、スピード値SPD=2で順方向に回転すること、但し、(b)その途中でスイッチ信号SNが立上れば、そのタイミングで第三行の動作を終えることが規定されている。なお、図5(c)に示す通り、この実施例では、回転部材ROTは、245ステップの駆動パルスΦ1?Φ4を受けて一回転するので、上記した第三行の動作は、演出可動体AMUを、ほぼ一回転させて、原点付近に戻すことを意味している。
【0083】
続く第四行では、スイッチ信号SNのON/OFFに拘わらず、タイマ上限値TMR=21に至るまで、スピード値SPD=2で順方向に回転することが規定されている。図5(b)に示す通り、この実施例では、原点位置を中心に、駆動パルス±21ステップの範囲で、スイッチ信号がON状態となるので、第四行の動作によって、演出可動体AMUを、初期状態の原点位置に位置決めすることになる。
・・・
【0094】
続いて、更新又は維持された駆動データΦ1?Φ4の値を出力バッファに転送する(ST41)。また、回転制御テーブルTBLにおいて、ポインタPTが指示するスピード値を、回転速度変数SPDに初期設定する(ST42)。次に、回転速度変数SPDの値を-2する(ST43)。ここで、回転速度変数SPDを-2するのは、モータ処理が2mS毎に起動されるためである。
【0095】
本実施例では、(a)回転速度変数SPDが2mS毎に-2され、(b)回転速度変数SPDがゼロになる毎に駆動データΦ1?Φ4が更新されるので(ST37?ST41)、回転速度変数SPDは、演出可動体AMUの回転速度を規定していることになる。
【0096】
例えば、SPD=12/2に初期設定される始動動作では、12mSに一回、駆動データΦ1?Φ4が更新される。そして、この実施例では、回転部材ROTのステップ角θが360/245°であるから、演出可動体AMUは、2.94秒(=12*245)で一回転する低速度で始動されることになる。この低速回転によって、高い駆動トルクが発揮されて、磁性体MG1,MG2の拘束から円滑に離脱できることは、先に説明した通りである。」ことが記載されている。
そして、上記【0081】には、スピード値SPD=12/2=6であることが記載されている。
また、上記【0094】には、「モータ処理が2mS毎」の起動周期により「起動される」ことが記載されている。
そうすると、引用例3に記載された「モータ処理が2mS毎に起動され」、「例えば、SPD=12/2に初期設定される始動動作では、12mSに一回、駆動データΦ1?Φ4が更新される。」ことは、起動周期(2ms)が6回経過するのを待って、駆動データΦ1?Φ4を1回更新するものである。
ここで、引用例3に記載された「12mS」、起動周期である「2mS」は、それぞれ、本願発明の「待機時間」、「制御周期」に相当する。し、また、引用例3に記載された「回転速度変数SPD=12/2=6」は、起動周期である「2mS」が連続的に6回発生する毎に「駆動データΦ1?Φ4を1回更新する」ことを意味するから、本願発明の「制御周期の連続回数」及び「回転速度」に相当する。
したがって、引用例3には、「駆動データ」を「更新」する周期を、起動周期の繰り返し回数で表現した「回転速度変数SPD」を用いて、実質的に「演出可動体AMUの回転速度を規定」することが記載されている。
また、引用例3と同様の記載が特開2012-85826号公報の【0127】?【0128】、【0141】にも記載されている。)。

そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、演出モータの回転動作を特定する速度情報の特定に関する技術である点で共通する。
よって、引用発明に上記周知の技術事項を適用して、駆動モータ201を回転速度(pps)により規定することに換えて、ステップ移動までの待機時間を、起動周期の繰り返し回数で表現することで実質的に回転速度を規定することとし、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ 相違点5について
本願発明と引用例3に記載された技術事項との対応関係について検討する。
本願発明の構成Fの「単位動作には、検出信号が変化したことを条件に開始され、その開始時からの回転量に基づく動作終了条件が規定された順方向移動の単位動作」は、平成30年8月16日付け意見書の(C)の(4)において、「単位演出9に続いて実行される単位演出10の動作に基づきます。」と請求人が主張するように、本願明細書の【0153】の「検出スイッチOFFまで低速で正転し(単位演出9)、更に、280ステップ高速で正転した後(単位演出10)」との記載等を根拠とするものである。
そして、引用例3に記載された技術事項の「原点スイッチORGがOFF状態になる」ことは、本願発明の「検出信号が変化した」ことに相当し、引用例3に記載された技術事項の「タイマ上限値TMR=10に至るまで、スピード値SPD=4で順方向に回転」させることは、時間と速度で定まる一定距離だけ移動させることで動作を終了させるひとまとまりの動作であるから、本願発明の「開始時からの回転量に基づく動作終了条件が規定された順方向移動の単位動作」を行うことに相当する。

そうすると、引用例3に記載された技術事項のf3の「原点スイッチORGがON状態の原点位置から低速(SPD=6)で順回転を開始し、その後、原点スイッチORGがOFF状態になると回転速度を少し速め(SPD=4)、少し順回転」させることは、本願発明の構成Fの「単位動作には、検出信号が変化したことを条件に開始され、その開始時からの回転量に基づく動作終了条件が規定された順方向移動の単位動作」に相当する。
そして、引用発明と引用例3に記載された技術事項とは、可動演出体を回転させる演出を実行するという共通の機能を有するとともに、可動演出体を円滑に安定して動作させるという共通の課題を解決する(引用例1の記載(ア)、引用例3の記載(ア)を参照。)ものである。
よって、引用発明の棒状可動役物130の回転制御に、引用例3に記載された技術事項を適用して、棒状可動役物130の収納位置から画像表示部104の前面への移動に際して、フォトセンサ240がOFFとなることで、棒状可動役物130の画像表示部104の前面への移動速度を速め、上記相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

エ 請求人の主張について
令和2年10月23日付け意見書において、請求人は次の主張をする。
「引用例1には、目的位置で停止した後、棒状可動役物130をブルブル震わせて戻ってくる役物演出の動作内容が、それを実現する具体的な実現手段が不明の状態で、ただ漠然と記載されているに過ぎません。
指摘するまでもありませんが、「200ppsの速度で4ステップ、正方向に移動せよ。」とコンピュータに指示したからといって、コンピュータが、その動作を実現できる筈もない以上、少なくとも、コンピュータに実現可能な、それなりの実現手段が記載されて、初めて、本願発明と対比可能な先行文献と評価されるべきです。
しかるに、引用例1には、実現手段の記載が皆無であって、棒状可動役物130の動作内容を、いわば、希望的に記載しているに過ぎません。そして、そのような、技術的に空疎な引用例1の記載内容を、本願発明の構成と比較して、本願発明は、容易に想到できる評価するのは、合理性を欠いた手法であると考えます。」((D)本願発明の特許性)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
引用発明の「記憶部402」は、構成b1より、「棒状可動役物130を往復移動させる場合に、駆動モータ201を駆動回転させるための、棒状可動役物130の左役物130aに用いる駆動データのうち、駆動モータ201のステップ数、回転速度(pps)、回転方向を用いて、駆動モータ201の正転、逆転、及び、待機について、1行目から10行目に掛けて」、駆動データの具体的な値を「1つずつ順番に記憶」するものである。そして、引用発明において、「ランプ制御部302cのCPU361」は、遊技機に記憶されたプログラムに従って、「記憶部402」に記憶された1つ1つの具体的な駆動データを用いて、「棒状可動役物130を」「移動」させる「一連の動作」を行うものである。
一方、引用発明の「記憶部402」は、構成b2より、「3行目から12行目までの駆動データを繰返し実行するループ回数を26回と」するデータを記憶部402に記憶し、実行するものであるが、その際に、上記「(5)当審判合議体の判断 ア 相違点1、2、4について」において検討したように、引用発明に引用例2に記載された技術事項のループ命令の記憶、実行に関する構成を適用して、本願発明の構成B2、C、Eとすることは、当業者が容易になし得たものである。
このように、審決においては、事実に基づいて進歩性の判断を行うものである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

オ 本願発明の奏する効果について
本願発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用例2?3に記載された技術事項、及び、周知の技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

(6)まとめ
上記(1)?(5)より、 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-03-09 
結審通知日 2021-03-16 
審決日 2021-03-30 
出願番号 特願2017-175324(P2017-175324)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 長崎 洋一
佐藤 高之
発明の名称 遊技機  
代理人 野中 誠一  
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