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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K |
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管理番号 | 1374532 |
審判番号 | 不服2020-17469 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-12-22 |
確定日 | 2021-06-15 |
事件の表示 | 特願2018-236598「実装検査装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月23日出願公開、特開2019- 80068、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)9月17日に国際出願した特願2015-537442号の一部を平成30年12月18日に新たな特許出願としたものであって、令和2年2月28日付けで拒絶理由が通知され、同年9月30日付けで拒絶査定されたところ、同年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年9月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1ないし3に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2002-181731号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明である。 本願発明1ないし3は以下のとおりである。 「【請求項1】 基板上に実装された部品の欠品検査を行う欠品検査手段と、 前記欠品検査手段による前記欠品検査の結果に基づき、前記欠品が検出された基板に対して、該基板の前記欠品が検出された面上において、前記欠品に係る部品を異物として検出する異物検査を行う異物検査手段と、 を備えた実装検査装置。 【請求項2】 基板上に実装された部品の欠品検査を行う欠品検査手段と、 前記欠品検査手段による前記欠品検査の結果に基づき、前記欠品が検出された基板に対して、該基板上において、前記欠品に係る部品を異物として検出する異物検査を行う異物検査手段と、 を備え、 前記異物検査手段は、前記基板のうち前記欠品が検出された位置に関する情報である欠品位置情報を取得し、前記基板のうち前記欠品位置情報で特定される前記位置の周辺に対して優先的に前記異物検査を行う、 実装検査装置。 【請求項3】 基板上に実装された部品の欠品検査を行う欠品検査手段と、 前記欠品検査手段による前記欠品検査の結果に基づき、前記欠品が検出された基板に対して、該基板上において、前記欠品に係る部品を異物として検出する異物検査を行う異物検査手段と、 を備え、 前記異物検査手段は、画像処理に基づいて前記異物検査を行うものであり、前記検出された欠品に係る部品の大きさに関する情報である欠品サイズ情報を取得し、該取得した欠品サイズ情報に基づいて、前記画像処理に基づいて検出された異物のうち前記欠品に係る部品よりも小さい異物を無視して前記異物検査を行う、 実装検査装置。」 第4 引用文献1について 1 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。以下同じ。) (引1ア) 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、部品検査方法に関する。この発明は特に、プリント基板などの被検査体に搭載される電子部品の状態を検査する技術に関する。」 (引1イ) 「【0015】 【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態の外観検査装置は、製造状況に柔軟に対応可能な部品検査方法によって、製造工程全体のさらなる効率化と高速化を実現しようとするものである。具体的には、部品が基板に搭載されているか否かを検出する欠品検査において、検査ファイルに部品単位のフラグを用意しておき、そのフラグに、搭載済または未搭載のいずれが正常であるかを示す値を設定する。そして、検査時にこのフラグを参照し、フラグの値に応じた検査結果を出力する。これにより「未搭載が正常」である部品が実際に未搭載であった場合に「合格」の検査結果を出力することができる。」 (引1ウ) 「【0031】図4は、実施の形態に係る部品検査方法の手順を示すフローチャートである。まず、被検査体の機種を特定し、その機種に応じた検査ファイルを設定する(S10)。そして、検査ファイルにおいて欠品検査用に設けられたフラグに、その検査時点での部品搭載予定に応じた値を設定する(S12)。次いで、被検査体を走査して撮影された全体画像を取得する(S14)。画像撮影の後、部品を搭載すべき箇所を特定する(S16)。たとえば、撮影画像に含まれる部品箇所を拡大してクローズアップ画像を生成する特定方法でもよい。部品箇所の特定後、画像解析によって実際の部品搭載状態を検出する(S18)。 【0032】次いで、搭載済であると検出された場合は(S20Y)、検出フラグaに1を設定し(S22)。未搭載であると検出された場合は(S20N)、検出フラグaに0を設定する(S24)。次いで、検査ファイルのフラグを参照する(S26)。次いで、このフラグの値と検出フラグaの値とを比較する(S28)。値が一致すれば合格、不一致であれば不合格の判定結果を出力する(S30)。検査すべき他の部品がまだ残っている場合は(S32Y)、S16からS30までの過程を繰り返す。すべての部品の検査が終わった後(S32N)、全体の検査結果を出力する(S34)。 【0033】なお、S30で不合格の判定結果であった場合に、そこで残り部品の検査をうち切る方法を採用してもよい。また、欠品検査の後に、位置ずれ、ハンダヌレなどを検出する他の検査項目が終わってから全体の検査結果を出力してもよい。」 (引1エ)図4 2 引用文献1に記載された発明 上記1の記載事項及び図面から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 プリント基板などの被検査体に搭載される電子部品の状態を検査する部品検査装置であって、 まず、被検査体の機種を特定し、その機種に応じた検査ファイルを設定し(S10)、そして、検査ファイルにおいて欠品検査用に設けられたフラグに、その検査時点での部品搭載予定に応じた値を設定し(S12)、次いで、被検査体を走査して撮影された全体画像を取得し(S14)、画像撮影の後、部品を搭載すべき箇所を特定し(S16)、次いで、搭載済であると検出された場合は(S20Y)、検出フラグaに1を設定し(S22)、未搭載であると検出された場合は(S20N)、検出フラグaに0を設定し(S24)、次いで、検査ファイルのフラグを参照し(S26)、次いで、このフラグの値と検出フラグaの値とを比較し(S28)、値が一致すれば合格、不一致であれば不合格の判定結果を出力し(S30)、検査すべき他の部品がまだ残っている場合は(S32Y)、S16からS30までの過程を繰り返し、すべての部品の検査が終わった後(S32N)、すなわち欠品検査の後に、位置ずれ、ハンダヌレなどを検出する他の検査項目が終わってから全体の検査結果を出力する(S34)、 部品検査装置。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「プリント基板」、「電子部品」及び「部品検査装置」は、それぞれ、本願発明1の「基板」、「部品」及び「実装検査装置」に相当する。 また、引用発明の「まず、被検査体の機種を特定し、その機種に応じた検査ファイルを設定し(S10)、そして、検査ファイルにおいて欠品検査用に設けられたフラグに、その検査時点での部品搭載予定に応じた値を設定し(S12)、次いで、被検査体を走査して撮影された全体画像を取得し(S14)、画像撮影の後、部品を搭載すべき箇所を特定し(S16)、次いで、搭載済であると検出された場合は(S20Y)、検出フラグaに1を設定し(S22)、未搭載であると検出された場合は(S20N)、検出フラグaに0を設定し(S24)、次いで、検査ファイルのフラグを参照し(S26)、次いで、このフラグの値と検出フラグaの値とを比較し(S28)、値が一致すれば合格、不一致であれば不合格の判定結果を出力し(S30)、検査すべき他の部品がまだ残っている場合は(S32Y)、S16からS30までの過程を繰り返」す「欠品検査」は、本願発明1の「欠品検査」に相当する。 よって、引用発明の「プリント基板などの被検査体に搭載される電子部品の状態を検査する部品検査装置」において、「まず、被検査体の機種を特定し、その機種に応じた検査ファイルを設定し(S10)、そして、検査ファイルにおいて欠品検査用に設けられたフラグに、その検査時点での部品搭載予定に応じた値を設定し(S12)、次いで、被検査体を走査して撮影された全体画像を取得し(S14)、画像撮影の後、部品を搭載すべき箇所を特定し(S16)、次いで、搭載済であると検出された場合は(S20Y)、検出フラグaに1を設定し(S22)、未搭載であると検出された場合は(S20N)、検出フラグaに0を設定し(S24)、次いで、検査ファイルのフラグを参照し(S26)、次いで、このフラグの値と検出フラグaの値とを比較し(S28)、値が一致すれば合格、不一致であれば不合格の判定結果を出力し(S30)、検査すべき他の部品がまだ残っている場合は(S32Y)、S16からS30までの過程を繰り返」す「欠品検査」をする「部品検査装置」は、本願発明1の「基板上に実装された部品の欠品検査を行う欠品検査手段」「を備えた実装検査装置」に相当する。 すると、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。 (一致点) 「基板上に実装された部品の欠品検査を行う欠品検査手段を備えた実装検査装置。」 (相違点) 本願発明1では、「前記欠品検査手段による前記欠品検査の結果に基づき、前記欠品が検出された基板に対して、該基板の前記欠品が検出された面上において、前記欠品に係る部品を異物として検出する異物検査を行う異物検査手段」を備えているのに対し、引用発明では、そのような構成を備えていない点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 ア 引用発明では、「欠品検査の後に、位置ずれ、ハンダヌレなどを検出する」が、欠品検査の後に、欠品に係る部品を異物として検出する異物検査をするものではない。 イ プリント基板において、塵埃などを異物として検出する異物検査は、例示するまでもなく周知であり、引用発明において、このような周知の異物検査を欠品検査の後に行うことは、当業者が適宜為し得ることであるといえる。 ウ しかしながら、本願発明1は、「前記欠品検査手段による前記欠品検査の結果に基づき、前記欠品が検出された基板に対して、該基板の前記欠品が検出された面上において、前記欠品に係る部品を異物として検出する異物検査を行う」ものであって、引用発明に上記イの周知の異物検査を行うための手法を採用したとしても、上記相違点に係る異物検査手段を備えたものとはならず、欠品に係る部品を異物として検出する異物検査が周知であるという証拠もないことから、上記相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得ることでない。 エ そして、本願発明1では、このような異物検査を行う異物検査手段を備えることで、欠品となった電子部品が基板上に放置されたまま後の工程に流れることを防止し、欠品の検出された基板が不良基板になるのをより抑制することができる、という効果を奏するものである(【0004】、【0005】参照)。 オ したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、本願発明1の上記相違点に係る構成を実質的に備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 上記「第5」で検討したように、本願発明1ないし3は、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえないから、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-05-31 |
出願番号 | 特願2018-236598(P2018-236598) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H05K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平田 佳規 |
特許庁審判長 |
三崎 仁 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 ▲高▼見 重雄 |
発明の名称 | 実装検査装置 |
代理人 | 片岡 友希 |