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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1374718 |
審判番号 | 不服2020-11891 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-08-26 |
確定日 | 2021-06-10 |
事件の表示 | 特願2017-167799号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月22日出願公開、特開2019- 42065号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年8月31日の出願であって、平成30年9月27日に手続補正書が提出され、令和1年5月27日付けで拒絶理由が通知され、同年7月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月15日に最後の拒絶理由が通知され、令和2年1月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月14日付け(謄本送達日:同年同月26日)で同年1月23日提出の手続補正書による補正が却下されるともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年8月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年8月26日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和1年7月23日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、 「ゲームの実行権利として始動記憶を記憶し、該始動記憶に対応するゲームの結果に関連して遊技者に所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、 前記ゲームを表示可能な表示手段と、 一の始動記憶に対応する前記ゲームを特定ゲームとして実行するとき、当該一の始動記憶よりも前記ゲームの実行順序が早い他の始動記憶に対応するゲームで特定演出を実行する制御手段と、を含み、 前記制御手段は、 前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記特定演出の実行前に、前記特定演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し、 当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して特定演出を実行する、 遊技機。」とあったものを、 「ゲームの実行権利として始動記憶を記憶し、該始動記憶に対応するゲームの結果に関連して遊技者に所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、 前記ゲームを表示可能な表示手段と、 一の始動記憶に対応する前記ゲームを特定ゲームとして実行するとき、当該一の始動記憶よりも前記ゲームの実行順序が早い他の始動記憶に対応するゲームで当該一の始動記憶の表示態様を変更可能な保留予告演出と、前記保留予告演出の実行を示唆する示唆演出とを実行可能な制御手段と、を含み、 前記制御手段は、 前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記示唆演出の実行前に、前記保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し、 前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする前記示唆演出を実行し、 当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する、 遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。 2 補正の適否について (1) 補正の目的 ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定演出を実行する」を「当該一の始動記憶の表示態様を変更可能な保留予告演出と、前記保留予告演出の実行を示唆する示唆演出とを実行可能な」と限定するものである。 イ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定演出」に関し、「前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記特定演出の実行前に、前記特定演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し」とあったものを「前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記示唆演出の実行前に、前記保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し」に限定し、「当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して特定演出を実行する」とあったものを「当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する」と限定するものである。 ウ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定演出」を「示唆演出」と限定したものに関し、さらに「前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする前記示唆演出を実行し、」と、限定するものである。 エ 上記アないしウからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【1538】ないし【1541】、【1549】及び図200ないし図202等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしGについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 「A ゲームの実行権利として始動記憶を記憶し、該始動記憶に対応するゲームの結果に関連して遊技者に所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、 B 前記ゲームを表示可能な表示手段と、 C 一の始動記憶に対応する前記ゲームを特定ゲームとして実行するとき、当該一の始動記憶よりも前記ゲームの実行順序が早い他の始動記憶に対応するゲームで当該一の始動記憶の表示態様を変更可能な保留予告演出と、前記保留予告演出の実行を示唆する示唆演出とを実行可能な制御手段と、を含み、 D 前記制御手段は、 前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記示唆演出の実行前に、前記保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し、 E 前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする前記示唆演出を実行し、 F 当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する、 G 遊技機。」 (2)引用例、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-147号公報(平成27年1月5日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、遊技領域に設けられた始動領域を遊技媒体が通過した後に開始条件が成立したことにもとづいて各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段に、あらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。 ・・・略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上記特許文献1に記載された遊技機は、遊技者の操作にもとづいて保留表示の表示態様を通常態様から特別態様に変化させる演出を行い、操作有効期間内に操作が行われなかった場合には変化させないように構成されている。上記特許文献1には操作有効期間内に操作が行われなかった場合にも変化させるようにしてもよいとも記載されているが、いずれにしても保留表示の表示態様が変化するタイミングは固定されている。具体的には、遊技者による操作時または操作有効期間終了時に保留表示の表示態様を変化させる演出が行われる。したがって、上記特許文献1に記載された遊技機では、保留表示の表示態様を変化させる演出が行われるものの、変化させるタイミングが固定されているため、十分に遊技興趣を向上させることができない。 【0008】 そこで、本発明は、保留表示の表示態様を変化させる演出に多様性を持たせ、遊技興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 (手段1)本発明による遊技機は、遊技領域に設けられた始動領域(例えば、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14)を遊技媒体(例えば、遊技球)が通過した後に開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示(例えば、第1特別図柄や第2特別図柄、演出図柄の変動表示)を行い、可変表示の表示結果としてあらかじめ定められた特定表示結果(例えば、大当り図柄)が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)に制御する遊技機であって、普通識別情報を可変表示する普通可変表示手段(例えば、普通図柄表示器10)と、前記普通可変表示手段に所定表示結果(例えば、当り図柄)が導出されたときに、前記始動領域を形成する可変入賞装置を遊技媒体が通過しやすい有利状態に制御する有利状態制御手段(例えば、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる)と、普通識別情報の可変表示に関して所定の動作を行う可動報知手段(例えば、回転板からなる報知用可動部材)と、始動領域を遊技媒体が通過したときに、数値データを抽出する数値データ抽出手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560がステップS1216,S1227を実行する部分)と、始動領域を遊技媒体が通過したにもかかわらず未だ開始条件が成立していない可変表示について、所定の上限数(例えば、4)を限度に、数値データ抽出手段が抽出した数値データを保留記憶(例えば、第1保留記憶や第2保留記憶)として記憶可能な保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファ)と、保留記憶手段に記憶されている保留記憶を保留表示として表示する保留表示手段(例えば、合算保留記憶表示部18c)と、開始条件が成立したことにもとづいて、可変表示の表示結果を特定表示結果とするか否かを決定する事前決定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560がステップS61,S62,S73を実行する部分)と、事前決定手段の決定前に、保留記憶手段に記憶されている保留記憶にもとづく可変表示の表示結果が特定表示結果となるか否かを判定する特定判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560がステップS1217,S1228を実行する部分)とを備え、保留表示の表示態様は、通常態様(本例では「○」:図42(A)参照)と、該通常態様とは異なる態様である特殊態様(本例では「○」の外側に6本の線が描かれている:図43(B)参照)と、該通常態様および該特殊態様とは異なる態様である第1特別態様(本例では「○」内に「×」が含まれる:図42(B1)参照)と第2特別態様(本例では「○」内に「×」が2つ含まれる:図42(B2)参照)とを含み、特定判定手段の判定結果に応じて、異なる割合で該特定判定手段の判定対象となった保留記憶に対応する保留表示を第1特別態様または第2特別態様で表示する保留予告演出(例えば、先読み演出)を実行可能な演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100がステップS67106,S67114,S1813,S1845等を実行する部分。図29(B)参照)をさらに備え、演出実行手段は、複数のタイミング(例えば、始動入賞のタイミングや、任意のシフトタイミング、他の任意のタイミングなど)で保留表示を第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示することが可能であり、保留表示が特殊態様で表示されたとき(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100がステップS67107で先読み演出を第2先読み演出パターンで実行すると決定し、ステップS67112を実行したとき)は、該保留表示に対応する保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を該特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示する(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100がステップS1803,S1811,S1813,S1845等を実行する部分。図30,図31,図43?図44参照) ことを特徴とする。 そのような構成により、複数のタイミングで保留表示を第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示することが可能であるため、保留表示の表示態様を変化させるタイミングに多様性を持たせることができるとともに、保留表示が特殊態様で表示されたときには、保留表示を特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示するため、遊技興趣を向上させることができる。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0014】 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。 ・・・略・・・ 【0017】 遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、演出図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがある。図柄表示エリアには「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアがあるが、図柄表示エリアの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリアの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。 ・・・略・・・ 【0028】 第1特別図柄表示器8aの下部には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器(例えば、LED)からなる第1特別図柄保留記憶表示器18aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器18aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。例えば、後述するタイマ割込処理の表示制御処理(ステップS22)において表示制御を行う処理が実行されることによって実現される。 【0029】 第2特別図柄表示器8bの下部には、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器(例えば、LED)からなる第2特別図柄保留記憶表示器18bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器18bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。例えば、後述するタイマ割込処理の表示制御処理(ステップS22)において表示制御を行う処理が実行されることによって実現される。 【0030】 また、演出表示装置9の表示画面の下部には、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する合算保留記憶表示部18cが設けられている。この実施の形態では、合算保留記憶表示部18cにおいて、第1保留記憶と第2保留記憶とに対応する保留表示が第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞順に並べて表示される。なお、合算保留記憶表示部18cにおいて、第1保留記憶であるか第2保留記憶であるかを認識可能な態様で表示されるようにしてもよい(例えば、第1保留記憶は赤色で表示され、第2保留記憶は青色で表示されるようにしてもよい)。また、合算保留記憶表示部18cに代えて、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部と第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部とを設けるように構成してもよい。 【0031】 演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合わせが停止表示される。 【0032】 また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。 ・・・略・・・ 【0054】 演出制御基板80は、演出制御用CPU101およびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。」 ウ 「【0272】 先読み演出パターンを決定すると、演出制御用CPU101は、予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示の表示態様を変化させる変化タイミング(本例では、保留表示のシフト回数)を決定し、決定した変化タイミング(シフト回数)を、変化タイミング(シフト回数)を特定するためのシフト回数カウンタにセットする(ステップS67108)。この実施の形態では、予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示の表示態様が変化するタイミングは、任意の保留表示のシフトタイミングである。したがって、変化タイミング(シフト回数)を決定することによって、予告対象の変動表示に対応する保留表示に対して何回目のシフトが行われるタイミングで表示態様を変化させるかが決定される。例えば、変化タイミング(シフト回数)を2と決定すると、予告対象の変動表示に対応する保留表示に対して2回目のシフトが行われるタイミングで、その保留表示の表示態様を変化させる。 【0273】 図31は、変化タイミング決定テーブルを示す説明図である。ステップS67108において、演出制御用CPU101は、変化タイミング決定テーブルと合計保留記憶数とにもとづいて、予告対象の変動表示に対応する保留表示の変化タイミング(シフト回数)を決定する。具体的には、演出制御用CPU101は、抽出した最新の入賞時判定結果によって示される変動表示の表示結果が当り(例えば、「通常大当り」、「確変大当り」、「突然確変大当り」または「小当り」)であり(すなわち、入賞時判定結果8指定?入賞時判定結果13指定の場合)、ステップS67107で決定した先読み演出パターンが第1先読み演出パターンである場合に、図31(A)に示す当り時第1先読み演出変化タイミング決定テーブルを用いる。そして、演出制御用CPU101は、図31(A)に示す当り時第1先読み演出変化タイミング決定テーブルにおいて合計保留記憶数ごとに定められた割合で、予告対象の変動表示に対応する保留表示の変化タイミング(シフト回数)を0(入賞時)?7のいずれかに決定する。 【0274】 なお、図31に示す例において、変化タイミング(シフト回数)が0であるということは、始動入賞のタイミングで保留表示が第1特別態様または第2特別態様で表示されることである。始動入賞のタイミングで第1特別態様または第2特別態様で保留表示を表示させる場合には、例えば、新たな保留表示を最初から第1特別態様または第2特別態様で表示することによって実現してもよいし、新たな保留表示を一旦通常態様で表示し、直後に第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示することによって実現してもよい。 ・・・略・・・ 【0286】 変化タイミング(シフト回数)を決定すると、演出制御用CPU101は、ステップS67107において決定した先読み演出パターンが、第2先読み演出パターンである場合には(ステップS67109のY)、保留表示の変化タイミングで行う示唆演出の演出態様を決定する(ステップS67110)。この実施の形態では、保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出がシフトタイミングで実行可能である。また、示唆演出は、第1演出態様または第2演出態様で実行される。ステップS67110では、保留表示の変化タイミングで実行される示唆演出の演出態様が、第1演出態様または第2演出態様のいずれかに決定される。 【0287】 この実施の形態では、示唆演出の演出態様に応じて、異なる割合で保留表示が第1特別態様または第2特別態様に変化する。具体的には、示唆演出が第1演出態様で実行される場合には、保留表示が第1特別態様に変化する割合が高く、示唆演出が第2演出態様で実行される場合には、保留表示が第2特別態様に変化する割合が高い。したがって、示唆演出が実行されることによって、保留表示の表示態様が変化することが示唆され、示唆演出がいずれの演出態様で実行されるかに応じて、いずれの特別態様に変化しやすいかが示唆される。なお、詳細については後述するが、示唆演出は、保留表示の変化タイミング以外のシフトタイミングでも実行される。そのため、これらを区別するために、保留表示の変化タイミングで実行される示唆演出を示唆演出(成功パターン)ともいい、保留表示の変化タイミング以外のシフトタイミングで実行される示唆演出を示唆演出(通過パターン)ともいう。この実施の形態では、示唆演出(成功パターン)と示唆演出(通過パターン)とのいずれについても、第1演出態様または第2演出態様で実行される。そのため、示唆演出の演出態様に応じて、保留表示の表示態様が変化する割合が異なるようにしてもよい。例えば、示唆演出が第1演出態様(例えば、この実施の形態の第1演出態様および第2演出態様とは異なる第1演出態様Aとしてもよい)で実行される場合には、保留表示が変化する割合が低く、示唆演出が第2演出態様(例えば、この実施の形態の第1演出態様、第2演出態様および第1演出態様Aとは異なる第1演出態様Bとしてもよい)で実行される場合には、保留表示が変化する割合が高くなるようにしてもよい。すなわち、示唆演出が第1演出態様(第1演出態様A)で実行される場合には、示唆演出(成功パターン)である割合が高く、示唆演出が第2演出態様(第1演出態様B)で実行される場合には、示唆演出(通過パターン)である割合が高くなるようにしてもよい。 【0288】 図32は、示唆演出態様決定テーブルを示す説明図である。ステップS67110において、演出制御用CPU101は、図32に示す示唆演出態様決定テーブルを用いて、保留表示の変化タイミングで行う示唆演出の演出態様を決定する。具体的には、抽出した最新の入賞時判定結果にもとづいて、最終表示態様決定テーブルにおいて入賞時判定結果(変動表示の表示結果)ごとに定められた割合で、演出態様を第1演出態様または第2演出態様のいずれかに決定する。例えば、入賞時判定結果で変動表示の表示結果が「はずれ」であることが示されている場合(入賞時判定結果1指定?入賞時判定結果7指定に相当)には、演出制御用CPU101は、80%の割合で演出態様を第1演出態様に決定し、20%の割合で演出態様を第2演出態様に決定する。また、例えば、入賞時判定結果で変動表示の表示結果が「通常大当り」または「確変大当り」であることが示されている場合(入賞時判定結果8指定?入賞時判定結果12指定に相当)には、演出制御用CPU101は、20%の割合で演出態様を第1演出態様に決定し、80%の割合で演出態様を第2演出態様に決定する。また、例えば、入賞時判定結果で変動表示の表示結果が「突然確変大当り」または「小当り」であることが示されている場合(入賞時判定結果13指定に相当)には、演出制御用CPU101は、50%の割合で演出態様を第1演出態様に決定し、50%の割合で演出態様を第2演出態様に決定する。」 エ 「【0356】 次に、先読み演出の具体例について説明する。図42は、第1先読み演出パターンにもとづく先読み演出の具体例を示す説明図である。図42(A)に示されるように、演出表示装置9において、演出図柄の変動表示中であって、合算保留記憶表示部18cに2つの保留表示が通常態様(本例では「○」)で表示されているときに始動入賞が行われると、先読み演出の態様(先読み演出パターン、最終表示態様、変化タイミング)および示唆演出の態様が決定され、決定結果に応じて新たな保留表示が表示される。図42に示す例では、先読み演出パターンを第1先読み演出パターンと決定し、最終表示態様を第1特別態様または第2特別態様と決定し、変化タイミングを始動入賞時(シフト回数0)またはシフト回数1と決定する。また、示唆演出(成功パターン)の演出態様を、第1演出態様または第2演出態様と決定する。 【0357】 この実施の形態では、第1先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示が、一旦特殊態様で表示されることなく、最終表示態様の第1特別態様または第2特別態様で表示される。また、保留表示が第1特別態様または第2特別態様で表示されるタイミングは、始動入賞のタイミングまたは任意のシフトタイミングである。そこで、変化タイミングが始動入賞時(シフト回数0)に決定され、最終表示態様が第1特別態様に決定された場合には、図42(B1)に示すように、始動入賞のタイミングで、合算保留記憶表示部18cに3つ目の保留表示が第1特別態様(本例では「○」内に「×」が含まれる)で表示される。また、変化タイミングが始動入賞時(シフト回数0)に決定され、最終表示態様が第2特別態様に決定された場合には、図42(B2)に示すように、始動入賞のタイミングで、合算保留記憶表示部18cに3つ目の保留表示が第2特別態様(本例では「○」内に「×」が2つ含まれる)で表示される。 【0358】 また、最終表示態様が第1特別態様または第2特別態様であっても、変化タイミングが始動入賞のタイミング(シフト回数0)ではなく、任意のシフトタイミング(ここでは、シフト回数1)に決定された場合には、図42(B3)に示すように、始動入賞のタイミングでは、合算保留記憶表示部18cに3つ目の保留表示が通常態様(本例では「○」)で表示される。そして、演出図柄の変動表示が停止し(図42(C))、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、1つ目の保留表示が消去され、2つ目と3つ目の保留表示がそれぞれシフトされる。 【0359】 このとき、変化タイミングがシフト回数1に決定され、示唆演出(成功パターン)の演出態様が第1演出態様に決定されている場合には、保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置9において、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる表示制御がおこなわれる(図42(D1))。 【0360】 そして、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、図42(E1)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの2つ目の保留表示(図42(B3)で新たに表示された保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が第1特別態様(本例では「○」内に「×」が含まれる)に変化して表示される。また、最終表示態様が第2特別態様に決定されている場合には、図42(E2)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの2つ目の保留表示(図42(B3)で新たに表示された保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が第2特別態様(本例では「○」内に「×」が2つ含まれる)に変化して表示される。 【0361】 また、変化タイミングがシフト回数1に決定され、示唆演出(成功パターン)の演出態様が第2演出態様に決定されている場合には、保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置9において、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる表示制御がおこなわれる(図42(D2))。 【0362】 そして、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、図42(E3)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの2つ目の保留表示(図42(B3)で新たに表示された保留表示に相当)に白い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、白い矢が刺さった保留表示が第1特別態様(本例では「○」内に「×」が含まれる)に変化して表示される。また、最終表示態様が第2特別態様に決定されている場合には、図42(E4)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの2つ目の保留表示(図42(B3)で新たに表示された保留表示に相当)に白い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、白い矢が刺さった保留表示が第2特別態様(本例では「○」内に「×」が2つ含まれる)に変化して表示される。 【0363】 既に説明しているように、この実施の形態では、示唆演出(成功パターン)の演出態様が第2演出態様であるときには、第1演出態様であるときに比べて、保留表示の表示態様が第1特別態様よりも大当りとなる期待度が高い第2特別態様になる割合が高くなるように構成されている。したがって、示唆演出(成功パターン)の演出態様が第1演出態様であるとき、すなわち黒い矢が飛んできて保留表示に刺さったときには、保留表示が期待度の低い第1特別態様に変化する割合が高い。つまり図42(D1)から図42(E1)に移行する割合が高い。一方、示唆演出(成功パターン)の演出態様が第2演出態様であるとき、すなわち白い矢が飛んできて保留表示に刺さったときには、保留表示が期待度の高い第2特別態様に変化する割合が高い。つまり図42(D2)から図42(E4)に移行する割合が高い。このように構成されることによって、矢が飛んできて保留表示に刺さる示唆演出(成功パターン)であっても、第2演出態様で行われて欲しいと感じさせるとともに、示唆演出が第1演出態様で行われたとき、すなわち黒い矢が飛んできたときには、保留表示に刺さらずに通過して欲しい(示唆演出(通過パターン)であってほしい)と感じさせることができる。 【0364】 図43、図44は、第2先読み演出パターンにもとづく先読み演出の具体例を示す説明図である。図43(A)に示されるように、演出表示装置9において、演出図柄の変動表示中であって、合算保留記憶表示部18cに2つの保留表示が通常態様(本例では「○」)で表示されているときに始動入賞が行われると、先読み演出(先読み演出パターン、最終表示態様、変化タイミング)および示唆演出の態様が決定され、決定結果に応じて新たな保留表示が表示される。図43、図44に示す例では、先読み演出パターンを第2先読み演出パターンと決定し、最終表示態様を第1特別態様または第2特別態様と決定し、変化タイミングをシフト回数1またはシフト回数2と決定する。また、示唆演出の演出態様を、第1演出態様または第2演出態様と決定する。 【0365】 この実施の形態では、第2先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様で表示され、任意のシフトタイミングで、最終表示態様の第1特別態様または第2特別態様に変化して表示される。そのため、先読み演出パターンが第2先読み演出パターンと決定されると、図43(B)に示すように、始動入賞のタイミングで、合算保留記憶表示部18cに3つ目の保留表示が特殊態様(本例では「○」の外側に6本の線が描かれている)で表示される。 【0366】 そして、演出図柄の変動表示が停止し(図43(C))、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、1つ目の保留表示が消去され、2つ目と3つ目の保留表示がそれぞれシフトされる。このとき、示唆演出の演出態様が第2演出態様に決定されていると、保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置9において、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる(第2演出態様)表示制御がおこなわれる(図43(D))。 【0367】 ここで、変化タイミングがシフト回数1に決定され、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、図43(E1)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの2つ目の保留表示(図43(B3)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に白い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、白い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第1特別態様(本例では「○」内に「×」が含まれる)に変化して表示される。また、変化タイミングがシフト回数1に決定され、最終表示態様が第2特別態様に決定されている場合には、図43(E2)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの2つ目の保留表示(図43(B3)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に白い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、白い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第2特別態様(本例では「○」内に「×」が2つ含まれる)に変化して表示される。 【0368】 また、変化タイミングがシフト回数2に決定されているときには、図43(E3)に示すように、シフトのタイミングで、白い矢がいずれの保留表示にも刺さらず通過する示唆演出(第2演出態様の示唆演出(通過パターン))が行われる。なお、図43(E3)に示す示唆演出は、演出図柄変動開始処理において示唆演出(通過パターン)を第2演出態様で実行すると決定されたときに行われる。このように、この実施の形態では、示唆演出として、演出表示装置9において、表示領域の右側から黒い矢(第1演出態様)または白い矢(第2演出態様)が飛んでくる表示制御を行うことで、保留表示の表示態様が変化することを示唆し、矢が保留表示に刺さると(示唆演出(成功パターン)が行われると)表示態様が変化し、矢がいずれの保留表示にも刺さらず通過すると(示唆演出(通過パターン)が行われると)表示態様が変化しない。 【0369】 その後、演出図柄の変動表示が停止し(図44(F))、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、1つ目の保留表示が消去され、2つ目の保留表示がシフトされる。このとき、保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置9において、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御がおこなわれる(図44(G))。 【0370】 そして、変化タイミングがシフト回数2に決定され、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、図44(H1)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの1つ目の保留表示(図43(B3)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第1特別態様(本例では「○」内に「×」が含まれる)に変化して表示される。また、変化タイミングがシフト回数2に決定され、最終表示態様が第2特別態様に決定されている場合には、図44(H2)に示すように、シフトのタイミングで、合算保留記憶表示部18cの1つ目の保留表示(図43(B3)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第2特別態様(本例では「○」内に「×」が2つ含まれる)に変化して表示される。 【0371】 図42に示すように、この実施の形態では、第1先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示が、一旦特殊態様で表示されることなく、最終表示態様の第1特別態様または第2特別態様で表示される。このとき、最終表示態様に表示されるタイミングは、始動入賞のタイミングの他に、任意のシフトタイミングを含む。また、図43および図44に示すように、第2先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様で表示され、任意のシフトタイミングで最終表示態様の第1特別態様または第2特別態様で表示される。このように、この実施の形態では、複数のタイミングで保留表示を第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示することが可能であるため、保留表示の表示態様を変化させるタイミングに多様性を持たせることができるとともに、保留表示が特殊態様で表示されたときには、保留表示に対応する保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに、保留表示を特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示するため、遊技興趣を向上させることができる。」 オ 「【図42】 【図43】 【図44】 」 カ 遊技機における演出表示装置において、演出図柄や保留表示の背後に、無地の背景画面又は柄等を付した背景画面を備えることは技術常識であり、当該技術常識を考慮すれば、上記オの図42ないし図44の記載からみて、変動表示中の演出図柄や黒い矢又は白い矢が保留表示に刺さる等の演出表示は、背景画面上で表示されているものと認められる。 キ 上記アないしカから、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aないしgについては本願補正発明のAないしGに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。 「a 始動領域を遊技媒体が通過したにもかかわらず未だ開始条件が成立していない可変表示について、所定の上限数(例えば、4)を限度に、数値データ抽出手段が抽出した数値データを第1保留記憶や第2保留記憶として第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに記憶し(【0009】)、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる(【0032】)、パチンコ遊技機1(【0014】)であって、 b 第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と同期する、演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9(【0017】、【0031】)と、 c 予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示の表示態様を変化させる変化タイミング(保留表示のシフト回数)を0(入賞時)?7のいずれかに決定し、保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出をシフトタイミングで実行可能とする、演出制御用CPU101(【0054】、【0272】、【0273】、【0286】)と、を備え、 d 演出制御用CPU101は、 演出表示装置9において、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示を、第1先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、始動入賞のタイミングで通常態様(「○」)で表示し、第2先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、始動入賞のタイミングで特殊態様(「○」の外側に6本の線が描かれている)で表示し(【0054】、【0356】ないし【0358】、【0365】)、 e、f 演出表示装置9において、背景画面上で、演出図柄の変動表示中に、保留表示に黒い矢又は白い矢が刺さる演出を行うとともに、黒い矢又は白い矢が刺さった保留表示を第1特別態様(「○」内に「×」が含まれる)又は第2特別態様(「○」内に「×」が2つ含まれる)に変化させて表示する(【0356】、【0360】、【0362】、上記カ)、 g パチンコ遊技機1(【0014】)。」(以下「引用発明」という。) (3)周知例、周知技術 ア 本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-116551号公報(平成28年6月30日発行、以下「周知例1」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、所定の遊技を行う遊技機に関する。 ・・・略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1に記載の技術では、第1の演出及び第2の演出の実行領域が互いに共通の領域であり、示唆演出が実行された後の演出について、遊技者がある程度予測可能となるため、このような示唆演出についての興趣が十分でなかった。 【0005】 この発明は、示唆演出についての興趣を向上させることができる遊技機の提供を目的とする。 ・・・略・・・ 【発明を実施するための形態】 【0017】 以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」 (イ)「【0264】 まず、先読みチャンス目用示唆演出又は保留表示予告用示唆演出を実行したときの演出画面について説明する。飾り図柄の可変表示が開始されたあと(図27(A))、所定タイミングにて、キャラクタCHが登場する先読みチャンス目用示唆演出又は保留表示予告用示唆演出が開始される(図27(B))。図中の下向き矢印は、飾り図柄が変動する様子を示す。キャラクタCHが登場して所定期間が経過するまで(示唆演出開始から所定期間経過時まで)は、先読みチャンス目用示唆演出と保留表示予告用示唆演出とで共通の演出態様になっており、前記所定期間が経過するまでは、当該示唆演出が先読みチャンス目用示唆演出又は保留表示予告用示唆演出のいずれかであるかがわからないようになっている。なお、当該示唆演出の実行時には、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが中央から左上に移動する。その後、先読みチャンス目用示唆演出の実行時には、キャラクタCHから左上の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rに向けてビームが発射され、先読みチャンス目予告の実行が示唆され(図27(C))、先読みチャンス目用示唆演出が成功の場合には、先読みチャンス目予告が実行され、所定のチャンス目(ここでは、発光態様のチャンス目)が確定飾り図柄(最終停止図柄)として導出される(図27(D))。先読みチャンス目用示唆演出が失敗の場合には、先読みチャンス目予告が実行されず、変動パターンに応じた確定飾り図柄が導出される(図27(E))。その後、保留表示予告用示唆演出の実行時には、キャラクタCHからターゲットの第1保留表示H1に向けてビームが発射され、保留表示予告の実行が示唆され(図27(H))、保留表示予告用示唆演出が成功の場合には、保留表示予告が実行され、ターゲットの第1保留表示H1の表示態様が変化する(図27(I))。保留表示予告用示唆演出が失敗の場合には、保留表示予告が実行されず、ターゲットの第1保留表示H1の表示態様は変化しない(図27(J))。」 (ウ)「【図27】 」 (エ)「【0279】 また、上記実施の形態では、同じターゲットについて、同じ種類の演出のみを実行するようにしていたが、異なる種類の演出を実行するようにしてもよい。例えば、図34に示すように、同じターゲットについて、第1演出として先読みチャンス目予告、第1示唆演出として先読みチャンス目用示唆演出を実行してから、第2演出として保留表示予告、第2示唆演出として保留表示予告用示唆演出を実行するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、同じターゲットについて、複数回示唆演出を行う場合には、全ての回について成功の示唆演出を実行しているが、ある回の示唆演出については失敗とするようにしてもよい(図35参照)。」 (オ)「【図34】 【図35】 」 イ 原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-212129号公報(平成25年10月17日出願公開、以下「周知例2」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、回胴遊技機(スロットマシン)や弾球遊技機(ぱちんこ機)などに代表される遊技台に関する。 ・・・略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来の遊技台では、保留数の表示態様が単調なため、遊技者が図柄変動の保留数の変化に気付きにくい場合があったり、保留数や図柄変動に対する遊技者の興味が薄れてしまうといった問題点があった。 【0005】 本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであって、遊技台の興趣を向上させることができる遊技台を提供することを目的とする。」 (イ)「【0738】 (実施例1-5) 図99および図100は、本実施の形態の実施例1-5における演出表示の例を時系列で示している。図99(a)は、ある特図1変動遊技が終了した状態を示している。特図1表示装置212には、特図E(はずれ)が停止表示されている。特図1保留ランプ218は、左端のLEDを点灯させて特図1の保留が1であることを表示し、特図2保留ランプ220は、全てのLEDを消灯させて特図2の保留が0であることを表示している。 【0739】 図柄表示領域208a?208cには、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾4-装飾2-装飾8」が停止表示されている。第4図柄表示領域208eには、はずれを報知する図柄「×」が停止表示されている。変動アイコン表示領域800での消去アニメーションは既に終了しているため、変動アイコン表示領域800には変動アイコンが表示されていない。保留アイコン表示領域900の第1領域には、保留アイコン901(表示態様:青)が表示されている。 【0740】 図99(b)?図100(c)は、次の特図1変動遊技の変動期間中の状態を示している。特図1表示装置212では、特図1の変動表示が開始される。特図1保留ランプ218は、左端のLEDを消灯することにより、特図1の保留が1から0に減少したことを表示する。ここで、当該変動の当否判定結果は大当り(特図A)であるものとする。 【0741】 装飾図柄表示装置208では、変動開始直後に、画面のほぼ全体が一時的に黒く表示される暗転演出が行われる(図99(b))。暗転演出中において、装飾図柄、変動アイコン、保留アイコン等は、表示されないか、または内部的(制御的)には表示されている(制御的なステータスは表示だが、該表示よりも優先度の高い黒い画像によって覆い隠されている。)が視認することができない。変動開始と同時に保留アイコン901は変動アイコン801となるが、当該変動アイコン801は暗転演出の実行に伴って消去される(変動アイコン801の1回目の消去)。第4図柄表示領域208eでは、暗転演出中においても第4図柄の変動表示が行われ、変動中であることが報知される。 【0742】 その後、暗転演出が終了すると、図柄表示領域208a?208c、変動アイコン表示領域800、保留アイコン表示領域900等が視認できるようになる(図99(c))。本例では、暗転演出中に保留・変動アイコン間の移動アニメーションおよび変化アニメーションが内部的に終了しているため、変動アイコン表示領域800には、表示態様が「青」から「赤」に変化した変動アイコン801が表示されている。 【0743】 その後、図柄表示領域208a、208cにいずれも「装飾3」が表示され、図柄表示領域208bでのみ変動表示が続行されるリーチ状態となる(図99(d))。 【0744】 その後、装飾図柄表示装置208の画面全体の表示が徐々に白く変化し(図99(e))、スーパーリーチ演出(本例では剣豪リーチ演出)用の画面背景に切り替えられる(図99(f))。スーパーリーチ演出の画面背景に切り替えられると、図柄表示領域208a?208cは縮小されて画面右上隅に移動し、変動アイコン表示領域800や保留アイコン表示領域900に表示されていた変動アイコンや保留アイコン(本例では変動アイコン801)は消去される(変動アイコン801の2回目の消去)。第4図柄表示領域208eでは、スーパーリーチ演出用の画面背景への切替中、およびスーパーリーチ演出中においても第4図柄の変動表示が行われ、変動中であることが報知される。 【0745】 その後、画面右上隅の図柄表示領域208a?208cにおいて、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾3-装飾4-装飾3」が仮停止し、仮停止した図柄組合せの揺れ変動が行われる(図99(g))。スーパーリーチ演出用の画面背景(演出表示領域208d)では、「負け」という文字が表示されるとともに、対決に敗北したことを示唆する動画像が表示される。 【0746】 その後、スーパーリーチ演出用の画面背景から通常の画面背景に戻る(図99(h))。通常の画面背景に戻ると、図柄表示領域208a?208cは拡大されて元の位置に戻る。図柄表示領域208a?208cでは、仮停止した図柄組合せの揺れ変動が続行される。また、変動アイコン表示領域800や保留アイコン表示領域900での変動アイコンや保留アイコンの表示が再開される。本例では、スーパリーチ演出中(変動アイコン消去中)に表示態様が「赤」から「金」に変化した変動アイコン801が表示される。通常の画面背景に戻ったときに、当該変動の当否を高信頼度で報知する変動アイコン801を再び表示することにより、変動がまだ終了しておらずチャンスが残っていることを遊技者に報知できる。」 (ウ)「【図99】 」 (エ)「【0971】 特図1の保留アイコンの退避アニメーションの実行期間中に、保留アイコン901の変化アニメーションを実行してもよい(図124(a)?(c))。保留アイコン901の変化アニメーションでは、表示態様「白」の保留アイコン901の手前に所定のエフェクト動画像901aが表示され(図124(a))、エフェクト動画像901aが徐々に縮小されると、表示態様が「白」から「赤」に変化した保留アイコン901が出現する(図124(b)、(c))。 【0972】 ここで、画像同士が重複して表示される部分において、エフェクト動画像は保留アイコンよりも表示優先度が高いため、エフェクト動画像911aは特図1の保留アイコン901よりも手前に表示される(図123(f)、(g))。また、非優先変動側の特図1の保留アイコンは優先変動側の特図2の保留アイコンよりも表示優先度が高いため、特図1の保留アイコン901は、特図2の保留アイコン911よりも手前に表示される(図123(h))。また、後に増加した保留アイコンほど表示優先度が高いため、特図1の保留アイコン904は特図1の保留アイコン903よりも手前に表示される(図123(g)?図124(a))。」 (オ)「【図124】 」 ウ 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第6103791号公報(平成29年3月29日発行、以下「周知例3」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。」 (イ)「【2915】 一方、図230(b-1)では、特図1の図柄変動表示中の様子が示されている。このとき、特図1の変動表示の保留数は4つであるので、第1特図保留ランプ218における4つの保留ランプが点灯しており、特図2の変動表示の保留数は0であるので、第2特図保留ランプ220における保留ランプはいずれも消灯している。一方、第1の特図1保留表示h11?第4の特図1保留表示h14は、いずれもデフォルトの表示態様で表示されている。このとき、第4の特図1保留表示h14における保留アイコンの上端部分に重なるように、演出ボタン画像BTHが小さく表示されている。また、装飾図柄表示装置208の右上隅部には、特図1第四図柄t1が表示されている。特図1第四図柄t1では、第1特図表示装置212の図柄変動表示に対応して、上述したようにして変動表示が行われている。また、特図1第四図柄t1の下方には、特図2第四図柄t2が表示されており、第2特図表示装置214の表示結果に対応してはずれの表示結果で確定表示されている。また、装飾図柄表示装置208の中央下部には変動アイコン表示領域284が設けられており、この変動アイコン表示領域284には、予告表示態様としての六芒星の形状である変動アイコンh00が表示されている。なお、この演出例では、演出ボタン136は、操作受付状態となっているが、演出ボタンランプ138は消灯されている。なお、演出ボタンランプ138を、例えば、赤色に点灯させるようにしてもよい。」 (ウ)「【図230】 」 (エ)「【3504】 図285(A)は、本実施形態にかかるパチンコ機100において実行されるボタン演出の他の例について示す図であり、同図(B)は、本実施形態にかかるパチンコ機において実行される疑似連演出の他の例について示す図である。 【3505】 図285(A1)?同図(A2)は、「特殊2」の装飾図柄によってボタン操作演出の内容を示唆している様子を示している。具体的には、図285(A1)に示す装飾図柄表示装置208では、左図柄、右図柄及び中図柄にそれぞれ「特殊2」の装飾図柄が停止表示している様子が示されている。この演出例では、中図柄に停止表示されている「特殊2」の表示態様が左図柄及び右図柄に停止表示されている「特殊2」の表示態様とは異なっており、演出ボタン136を模した態様とされている。そして、この中図柄の「特殊2」では、その上面に「保留変化」という文字が表示されており、ボタン操作演出において演出ボタン136が操作されることにより、保留アイコン(あるいは、変動アイコン)の表示態様が変化する場合があることが事前に報知されている。すなわち、中図柄の「特殊2」の装飾図柄は、ボタン保留による保留アイコンの変化予告が行われることを報知する専用表示態様ということができる。 【3506】 その後、図285(A2)に示す装飾図柄表示装置208では、ボタン操作演出が開始されている様子が示されている。具体的には、ボタン操作演出が開始されると、装飾図柄表示装置208では、「特殊2」が3つ揃った装飾図柄が消去され、代わりに、特大サイズにで表したボタン画像136aが表示される様子が示されている。このボタン画像136aの上面には「保留変化」という文字が表示されており、ボタン保留による保留アイコンの変化予告が行われていることを報知している。このボタン画像136aは、専用表示態様の「特殊2」とは表示態様は共通しているものの、ボタン操作を促進するアニメーションが行われている点で異なっている。すなわち、図285(A2)に示すボタン画像136aと図285(A1)に示す専用表示態様の「特殊2」の装飾図柄とは、表示態様の一部が共通しているということができる。一方、第一の保留アイコンh11は、デフォルトの表示態様からボタン保留の表示態様に変化している。ボタン保留の表示態様の保留アイコンh11は、その上面に「押」の文字が表示されており、演出ボタン136の操作を促している。その後、演出ボタン136が操作されると、ボタン画像136aが消去され、ボタン保留の表示態様の保留アイコンh11は他の表示態様(例えば、サボハニの表示態様や、デフォルトの表示態様等)に変化する。 ・・・略・・・ 【3876】 この遊技台によれば、先読み予告表示のバリエーションが増加し、興趣が向上する場合がある。」 (オ)「【図285】 」 エ 上記アないしウに示された周知例1ないし3の記載からみて、以下の事項が周知であると認められる。 「装飾図柄表示装置で、一変動中で、背景画面の少なくとも一部、装飾図柄の少なくとも一部及び保留表示の少なくとも一部を視認できなくする演出を実行し、その後、当該演出が終了すると、保留表示の表示態様を変化させる演出を実行する、パチンコ遊技機。」(以下「周知技術」という。) (4)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する(見出し(a)ないし(g)は、本願補正発明の特定事項AないしGに概ね対応する。)。 (a)(g)引用発明の「可変表示」は、技術常識からみて、本願補正発明の「ゲーム」に相当する。また、引用発明の「『第1保留記憶』又は『第2保留記憶』」、「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願補正発明の「始動記憶」、「遊技機」に相当する。 また、引用発明のaにおいて、始動領域を遊技媒体が通過したにもかかわらず未だ開始条件が成立していない可変表示(ゲーム)について、所定の上限数を限度に、数値データ抽出手段が抽出した数値データを第1保留記憶や第2保留記憶(始動記憶)として第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに記憶しているから、引用発明のaは、本願補正発明の「ゲームの実行権利として始動記憶を記憶し、」との特定事項を備えることは明らかである。 また、引用発明のaの「第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる」ことは、本願補正発明の「該始動記憶に対応するゲームの結果に関連して遊技者に所定の遊技価値を付与」に相当する。 そうすると、引用発明のa及びgは、それぞれ本願補正発明の特定事項A及びGに相当する。 (b)引用発明の「b 第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と同期する、演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9」は、本願補正発明の「B 前記ゲームを表示可能な表示手段」に相当する。 (c)引用発明のcの「予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示」、「保留表示の表示態様を変化させる」こと、「予告対象の変動表示」は、それぞれ本願補正発明の「一の始動記憶の表示態様」、「保留予告演出」、「特定ゲーム」に相当する。また、引用発明の「示唆演出」は、本願補正発明の「示唆演出」に相当する。 そして、引用発明のcの「演出制御用CPU101」は、予告対象の変動表示(本願補正発明の「特定ゲーム」に相当)に対応する保留表示(本願補正発明の「一の始動記憶の表示態様」に相当)の表示態様を変化させる(本願補正発明の「保留予告演出」に相当)保留表示のシフト回数を、0(入賞時)?7のいずれか、すなわち、保留表示(一の始動記憶の表示態様)に対応する変動表示よりも変動表示(ゲーム)の実行順序が早い他の保留表示に対応する変動表示(ゲーム)のタイミングに決定し、保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出をシフトタイミングで実行可能とするものである。 そうすると、引用発明のcの「演出制御用CPU101」は、保留表示(一の始動記憶の表示態様)に対応する変動表示(ゲーム)を予告対象の変動表示(特定ゲーム)として実行するとき、保留表示(一の始動記憶の表示態様)よりも変動表示(ゲーム)の実行順序が早い他の保留表示に対応する変動表示(ゲーム)で保留表示(一の始動記憶の表示態様)の表示態様を変化させること(保留予告演出)と、保留表示の表示態様が変化すること(保留予告演出)を示唆する示唆演出(示唆演出)とを実行可能であるといえるから、本願補正発明の「制御手段」に相当するといえる。 してみると、引用発明のcは、本願補正発明の特定事項Cに相当する。 (d)引用発明の「通常態様(「○」)」及び「特殊態様(「○」の外側に6本の線が描かれている)」は、保留表示(一の始動記憶)の表示態様を変化させること(保留予告演出)の演出態様を明示しているわけではないから、本願補正発明の「保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様」に相当する。 そして、引用発明のdにおいて、演出制御用CPU101(制御手段)は、予告対象となる変動表示(特定ゲーム)に対応する保留表示(始動記憶)を、始動入賞のタイミングで通常態様(「○」)又は特殊態様(「○」の外側に6本の線が描かれている)(複数の潜伏態様のいずれか一の表示態様)で、演出表示装置9(表示手段)で表示するから、引用発明のdは、本願補正発明の「D 前記制御手段は、前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記示唆演出の実行前に、前記保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し、」に相当する。 (e)引用発明のe、fの「背景画面」又は「変動表示中」の「演出図柄」は、本願補正発明の「演出要素」に相当する。 また、引用発明のe、fにおいて、背景画面上で、演出図柄(演出要素)の変動表示中に、保留表示(一の表示態様で表示された始動記憶)に黒い矢又は白い矢が刺さる演出(本願補正発明の「示唆演出」に相当)を行うとともに、黒い矢又は白い矢が刺さった保留表示(一の表示態様で表示された始動記憶)を第1特別態様又は第2特別態様に変化させて表示するものである。 そうすると、引用発明のeと、本願補正発明の特定事項Eとは、「E’『前記ゲームの演出要素』、『および前記一の表示態様で表示された始動記憶』を表示している際に、『前記示唆演出を実行し、』」で一致する。 (f)引用発明のe、fにおいて、保留表示(一の表示態様で表示された始動記憶)に黒い矢又は白い矢が刺さる演出(示唆演出)を行うとともに、黒い矢又は白い矢が刺さった保留表示(一の表示態様で表示された始動記憶)を第1特別態様又は第2特別態様に変化させて表示するものである。 そうすると、引用発明のe、fは、本願補正発明の「F 当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する、」との特定事項を備える。 以上のとおりであるから、本願補正発明と引用発明とは、 「A ゲームの実行権利として始動記憶を記憶し、該始動記憶に対応するゲームの結果に関連して遊技者に所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、 B 前記ゲームを表示可能な表示手段と、 C 一の始動記憶に対応する前記ゲームを特定ゲームとして実行するとき、当該一の始動記憶よりも前記ゲームの実行順序が早い他の始動記憶に対応するゲームで当該一の始動記憶の表示態様を変更可能な保留予告演出と、前記保留予告演出の実行を示唆する示唆演出とを実行可能な制御手段と、を含み、 D 前記制御手段は、 前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記示唆演出の実行前に、前記保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し、 E’前記ゲームの演出要素、および前記一の表示態様で表示された始動記憶を表示している際に、前記示唆演出を実行し、 F 当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する、 G 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1(特定事項E) 「示唆演出」に関し、 本願補正発明では、「前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする前記示唆演出を実行」するのに対し、 引用発明では、保留表示に黒い矢又は白い矢が刺さる演出(示唆演出)が、背景画面(演出要素)の少なくとも一部、変動表示中の演出図柄(演出要素)の少なくとも一部、および保留表示(一の表示態様で表示された始動記憶)の少なくとも一部を視認不能とするといえるかどうか明らかでない点。 (5)判断 上記相違点について検討する。 ア パチンコ遊技機において、装飾図柄表示装置で、一変動中で、背景画面の少なくとも一部、装飾図柄の少なくとも一部及び保留表示の少なくとも一部を視認できなくする演出を実行し、その後、当該演出が終了すると、保留表示の表示態様を変化させることは周知技術(上記(3)エ)である。 周知技術の「『背景画面』又は『装飾図柄』」及び「保留表示」は、それぞれ本願補正発明の「ゲームの演出要素」及び「一の表示態様で表示された始動記憶」に相当する。また、周知技術の「背景画面の少なくとも一部、装飾図柄の少なくとも一部及び保留表示の少なくとも一部を視認できなくする演出」は、当該演出を実行した後、保留表示の表示態様を変化させているから、実質的に本願補正発明の「示唆演出」に相当するといえる。 してみると、周知技術は、本願補正発明の「E 前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする前記示唆演出を実行し、」との特定事項を備える。 イ 引用発明と周知技術とは、保留予告演出と、前記保留予告演出の実行を示唆する示唆演出とを実行可能なパチンコ遊技機である点で技術分野が共通し、保留表示の表示態様を変化させる演出に多様性を持たせ、遊技興趣を向上させるという課題でも共通することが明らかであるから、周知技術を引用発明に適用することは当業者が適宜なし得たことである。 具体的に検討すると、引用発明は、通常態様又は特殊態様(一の表示態様)で表示された保留表示(始動記憶)に黒い矢又は白い矢が刺さる演出を含む示唆演出を行い、黒い矢又は白い矢が刺さった保留表示を第1特別態様(「○」内に「×」が含まれる)又は第2特別態様(「○」内に「×」が2つ含まれる)に変化させて表示するものであるところ、当該周知技術を引用発明に適用することにより、一変動中で実行される示唆演出の際に、背景画面(演出要素)の少なくとも一部、装飾図柄(演出要素)の少なくとも一部及び保留表示(一の表示態様の始動記憶)の少なくとも一部を視認不能となすことは当業者が適宜なし得たことである。 してみると、引用発明において、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。 (6)請求人の主張について 請求人は、審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」において、概ね以下のとおり主張している。 「(d)特許されるべき理由について (d1)特許法第29条第1項第3号について (d1-1)請求項1について ・・・略・・・ これに対して、引用文献1は、「前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする前記示唆演出を実行し、当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する」構成について開示しない。 そして、請求項1に係る発明は、当該構成によって引用文献1には記載や示唆のない格別の効果を奏することから引用文献1と実質同一でもない。 したがって、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明と相違し、同一の発明ではない。 (d2)特許法第29条第2項 (d2-1)請求項1について ・・・略・・・ しかしながら引用文献1の示唆演出は、ゲームの演出要素の少なくとも一部、および一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とするものではない。 したがって、当然、引用文献1は、ゲームの演出要素の少なくとも一部、および一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする示唆演出を実行し、一の表示態様で表示された始動記憶に対して表示態様を変更する保留予告演出を実行することで、示唆演出への遊技者の注目を集めた後、示唆演出に注目していた遊技者の注目を保留予告演出(始動記憶)へとスムーズに移すという技術思想を開示しない。 引用文献2-4についても同様に、ゲームの演出要素の少なくとも一部、および一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能とする示唆演出を実行し、一の表示態様で表示された始動記憶に対して表示態様を変更する保留予告演出を実行することで、示唆演出への遊技者の注目を集めた後、示唆演出に注目していた遊技者の注目を保留予告演出(始動記憶)へとスムーズに移すという技術思想を開示しない。 したがって、上記引用文献に基づいて「前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能 とする前記示唆演出を実行し、当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する」構成を有する請求項1に係る発明に想到し得たとは考えられない。 以上より、請求項1に係る発明は、上記引用文献に記載や示唆のない構成を備え、当該構成によって上記引用文献が開示しない技術的思想を実現することにより顕著な作用効果を奏することから、上記引用文献から当業者が容易に発明し得たとは考えられない。」 しかしながら、上記(5)で示したとおり、「前記ゲームの演出要素の少なくとも一部、および前記一の表示態様で表示された始動記憶の少なくとも一部を視認不能 とする前記示唆演出を実行し、当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する」ことは周知技術であり、当該周知技術を引用文献1に記載された発明(引用発明)に適用して本願補正発明のようになすことは当業者が容易になし得たものであるから、上記主張は採用できない。 (7)まとめ 以上のように、本願補正発明は、当業者が、引用発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、令和1年7月23日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、以下の理由を含むものである。 (理由1)この出願の令和1年7月23日提出の手続補正書により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (理由2)この出願の令和1年7月23日提出の手続補正書により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項1 ・引用文献等 1 ・請求項 2 ・引用文献等 2 ・請求項 2 ・引用文献等 3 <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2015-147号公報 引用文献2.特開2004-187702号公報 引用文献3.特開2013-212129号公報 3 引用例 引用例(引用文献1)は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。 4 対比 本願発明は、本願補正発明から、特定事項Eに係る発明特定事項を削除するとともに、「当該一の始動記憶の表示態様を変更可能な保留予告演出と、前記保留予告演出の実行を示唆する示唆演出とを実行可能な」(特定事項C)を「特定演出を実行する」と上位概念化し、「前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記示唆演出の実行前に、前記保留予告演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し」(特定事項D)を「前記特定ゲームに対応する始動記憶が生じた場合には前記特定演出の実行前に、前記特定演出の演出態様を非明示とした複数の潜伏態様のうちのいずれか一の表示態様で前記特定ゲームに対応する始動記憶を前記表示手段に表示し」と上位概念化し、「当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して前記保留予告演出を実行する」(特定事項F)を「当該一の表示態様で表示された始動記憶に対して特定演出を実行する」と上位概念化したものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、上記相違点(特定事項E)が存在しないことになるとともに、その他の特定事項についても相違する点がないから、同一である。 よって、本願発明は、引用例に記載された発明である。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-03-25 |
結審通知日 | 2021-03-30 |
審決日 | 2021-04-14 |
出願番号 | 特願2017-167799(P2017-167799) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) P 1 8・ 113- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀 圭史、湊 和也 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
鉄 豊郎 小島 寛史 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人扶桑国際特許事務所 |