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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  C01B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C01B
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  C01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
管理番号 1374918
異議申立番号 異議2019-700650  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-19 
確定日 2021-04-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6473031号発明「シリカの評価方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6473031号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正することを認める。 特許第6473031号の請求項1?8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6473031号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成27年4月2日に出願され、平成31年2月1日にその特許権の設定登録がされ、平成31年2月20日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和 1年 8月19日 :特許異議申立人 瀬川 忠世(以下、「特許異
議申立人」という。) による請求項1?4
に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 1年10月29日付け:取消理由通知書
令和 1年12月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 2年 1月20日付け:訂正拒絶理由通知書
令和 2年 2月14日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出
令和 2年 6月30日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和 2年 8月24日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出

なお、令和2年8月24日に訂正の請求がされたので、令和1年12月20日にされた先の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。また、同条第5項の規定に基づき、令和2年8月24日にされた訂正の請求による訂正について特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えたが応答はなかった。


第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
令和2年8月24日付けの訂正の請求の趣旨は、特許第6473031号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であるシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
と記載されているのを、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上である請求項1記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
と記載されているのを、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、該シリカ分散液の粒度分布測定において得られる粒度分布図を粒径500nm?3μmで分割し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記溶媒が水である請求項1又は2記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記超音波処理を行う際の超音波出力が、100?180Wであり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質 量%である請求項1?3のいずれかに記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の積算頻度が5%から95%までの分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3に
「前記溶媒が水である請求項1又は2記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項2を引用するものについて、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、15℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正し、新たに請求項5とする。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に
「前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%である請求項1?3のいずれかに記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項2を引用するものについて、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.3?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正し、新たに請求項6とする。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項4に
「前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%である請求項1?3のいずれかに記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項3を引用するものについて、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記超音波処理を行う際の超音波出力が、130?180Wであり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正し、新たに請求項7とする。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4に
「前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%である請求項1?3のいずれかに記載のシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項2を引用した請求項3を引用するものについて、
「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」
に訂正し、新たに請求項8とする。

(9)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
訂正事項1?8に係る本件訂正前の請求項2?4は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであるから、本件訂正前の請求項1?4は、一群の請求項である。
また、特許権者は、本件訂正後の請求項2?8について、引用関係の解消をも目的とする訂正であるから、当該請求項2?8についての訂正が認められる場合には、請求項2?8は、請求項1とは別途訂正することを求めている。

2 訂正の適否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が50℃以下」を「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下」に限定し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0016】の「超音波処理を行う際の溶媒の温度としては、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上が更に好ましい。」との記載及び段落【0008】の「・・・シリカを溶媒に分散させることで得られるシリカ分散液におけるシリカクラスターの粒度分布の分布幅に基づいて、シリカを評価する評価方法であるため、ゴム組成物に配合した場合のゴム硬度が未知なシリカについて、当該シリカを配合した場合のゴム組成物のゴム硬度をより精度高く予測することが可能となり・・・」との記載に基づくものであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改める訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、「シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法」を「シリカ分散液の粒度測定において得られる粒度分布図を粒径500nm?3μmで分割し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法」に限定し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項2の限定は、願書に添付した明細書の段落【0013】の「上記粒度分布の分布幅を解析する方法としては、例えば、上記シリカ分散液の粒度分布測定において得られた粒度分布図を粒径500nm?3μmで分割し、分布幅を解析する方法が好ましい。」との記載及び上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用する記載であったところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、訂正前の「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が50℃以下」を「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下」に限定し、超音波処理に関し、「超音波処理を行う際の超音波出力が100?180Wである」ものに限定し、更にシリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項3の限定は、それぞれ上記段落【0016】の記載、段落【0019】の「上記前処理方法において超音波処理を行う際の超音波出力は、100W以上であることが好ましい。100W未満では、例えば、処理時間10分以上としても、数百nm程度の粒径を持ったシリカ凝集体としてシリカを分散させるうえで充分でない場合がある。超音波出力としてより好ましくは120W以上であり、更に好ましくは130W以上である。また、超音波出力の上限は特に制限されないが、大きすぎても装置への負荷、溶媒の温度制御の困難性、騒音等が大きくなるほどには、シリカの破砕、分散度合いは大きく改善されないことから、例えば、180W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、140W以下が更に好ましい。」との記載及び上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(4) 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1?3を引用する記載であったところ、請求項2、3を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、訂正前の「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が50℃以下」を「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下」に限定し、「シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法」を「シリカクラスターの粒度分布の積算頻度が5%から95%までの分布幅を測定する方法」に限定し、更に、シリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項4の限定は、それぞれ上記段落【0016】の記載、段落【0014】の「抽出された粒度分布からシリカクラスターの分布幅を求める際には、様々な方法を用いることができる。例えば、ピークの半値全幅を求めてもよいし、・・・D95-D5(積算頻度が5%から95%までの分布幅)など、シリカクラスターの差が見えやすいように分布幅を求めることができる。特に分布幅の差を強調したい場合には、D95-D5・・・を用いることが好ましい。」との記載及び上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(5) 訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項3が請求項1又は2のいずれかを引用する記載であったところ、請求項1を引用しないものとした上で、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、訂正前の「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上」を「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、15℃以上」に限定し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項5の限定は、それぞれ上記段落【0016】の記載及び上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(6) 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項4が請求項1?3のいずれかを引用する記載であったところ、請求項1、3を引用しないものとした上で、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、新たに請求項6として独立形式請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、訂正前の「前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%である」を「前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.3?0.5質量%である」に限定し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項6の限定は、それぞれ願書に添付した明細書の段落【0017】の「前処理方法として超音波処理を行う際のシリカ濃度としては、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%がより好ましく、0.3?0.5質量%が更に好ましい。」との記載及び上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(7) 訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項4が請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であったところ、請求項1、2を引用しないものとしたうえで、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、新たに請求項7として独立形式請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、訂正前の「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が50℃以下」を「前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下」に限定し、超音波処理に関し、「超音波処理を行う際の超音波出力が130?180W」であるものに限定し、更にシリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項7の限定は、それぞれ上記段落【0016】、上記段落【0019】及び上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

(8) 訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項4が請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であったところ、請求項1、2を引用しないものとした上で、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、新たに請求項8として請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、シリカクラスターの粒度分布の分布幅に関し、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項8の限定は、上記段落【0008】の記載に基づくものであるから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。

3 小括
上記2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、特許権者から訂正後の請求項1?8について訂正が認められるときには、請求項2?8は、請求項1とは別途訂正することを求めている。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正することを認める。


第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された本件特許の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明8」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、次の事項により特定されるとおりのものであると認められる。

「【請求項1】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項2】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、該シリカ分散液の粒度分布測定において得られる粒度分布図を粒径500nm?3μmで分割し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項3】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記超音波処理を行う際の超音波出力が、100?180Wであり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項4】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の積算頻度が5%から95%までの分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項5】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、15℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項6】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.3?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項7】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記超音波処理を行う際の超音波出力が、130?180Wであり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項8】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。」

2 取消理由の概要について
(1) 令和2年6月30日付けの取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。

ア 取消理由1(新規性)
設定登録時の請求項1?3に係る発明は、下記甲1?3のそれぞれに記載された発明であり、設定登録時の請求項4に係る発明は、甲1、3のそれぞれに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 取消理由2(進歩性)
設定登録時の請求項1?3に係る発明は、下記甲1?3のそれぞれに記載された発明及び下記甲4?6に記載された技術事項に基いて、また、設定登録時の請求項4に係る発明は、甲1又は甲3に記載された発明及び甲4?6に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

新規性進歩性に係る証拠方法>
甲1:特開2013-18690号公報
甲2:特表2005-500420号公報
甲3:特開2003-200658号公報
甲4:特開2015-48297号公報
甲5:特開2012-56788号公報
甲6:特開2015-43049号公報

ウ 取消理由3(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

<サポート要件に係る具体的な指摘事項>
(ア)設定登録時の請求項1、3、4に係る発明は、「超音波処理を行う際の溶媒の温度が50℃以下」であることが特定されているが、実施例は溶媒の温度が常に50℃以下であることを示すのみであって(段落【0044】)、溶媒の温度が低い場合に同様な分散が達成できるとはいえないから、溶媒の温度の下限が特定されていない当該請求項1、3、4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(イ)設定登録時の請求項1?4に係る発明が解決しようとする課題は、「シリカをゴム組成物に配合した場合のゴム硬度をより精度高く予測することができるような、シリカの評価方法を提供する」(段落【0005】)ことであるが、当該請求項1?4に係る発明は、シリカをゴム組成物に配合してゴム硬度を予測するという事項について何ら特定がないから、上記課題を解決できると認識し得る範囲ではなく、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(2) 令和1年10月29日付けの取消理由の概要は、上記取消理由2及び上記取消理由3における指摘事項(ア)と同趣旨のものの他、サポート要件違反として、以下のアを指摘したものである(以下、「取消理由4」という。)。

ア 取消理由4(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

設定登録時の請求項1?4において、「超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04(0.1)?0.5質量%である」ことが特定されているが、実施例のシリカ濃度は0.4質量%のみであるから、上記取消理由3の指摘事項(イ)に記載した上記課題を解決できると認識し得る範囲ではなく、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

3 取消理由1、2についての判断
(1) 各証拠の記載事項
ア 甲1の記載事項
1a「【0018】
上記無機酸化物としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの周期表第4族金属、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの周期表第13族金属、ゲルマニウム、スズなどの周期表第14族金属等の金属酸化物、シリカ(ケイ素の酸化物)、及びこれら元素で構成される複合無機酸化物等が挙げられる。
・・・
【0020】
また、本発明の無機酸化物粉体を形成する無機酸化物粒子の一次粒子は、メジアン径が0.01?5μm、特に、0.01?1μmである。このように粒径が小さな無機酸化物粒子は、凝集力が強く、かかる粒径の小さい粒子において、後述の特性を有することが、本発明の無機酸化物粒子の最大の特徴である。
【0021】
即ち、本発明の無機酸化物粉体は、上記範囲のメジアン径を有しながら、以下の特徴を有する。
【0022】
(1)上記無機酸化物粉体は金属塩が粒子表面に存在しないこと、
(2)上記無機酸化物粉体の水分散液について、レーザー回折散乱法による粒径測定でのピーク極大値が1つであり、且つメジアン径の10倍以上の径の粒子の体積頻度が0.1%以下であること
・・・
【0024】
尚、上記水分散液の調整方法は、無機酸化物粉体0.08gに純水40gを加え、周波数20kHz、出力50Wで16分間超音波分散することにより実施される。具体的には、まず、アズワン株式会社製ラボランスクリュー管瓶50ml(商品名:口内径20.3mm、全長35mm)に、無機酸化物粉体0.08gを入れ、更に純水40gを添加し、測定液とする。超音波分散には、BRABSON社製SONIFIRE250(商品名)を使用し、先端径12.5mm、全長7cmのタップ型ホーンの先端から3cmを上記測定液に浸し、周波数20kHz、出力50Wで16分間超音波分散を行う。
【0025】
そして、上記方法により調整したスラリーを、0.04?2000μmの範囲でのレーザー回折散乱法による粒径測定し、これ基づき粒径分布曲線を作成する。本発明の無機酸化物粉末の前記(2)の特徴は、かかる粒度分布曲線において、ピーク極大値が1つである。このことは、前記した分散液の調整において無機酸化物粉体にかけた軽いエネルギーにより、一次粒子まで容易に分散し、残存する二次凝集粒子が存在しないことを示している。」

1b「【0087】
<分散方法>
アズワン株式会社製ラボランスクリュー管瓶50ml(商品名:口内径20.3mm、全長35mm)に、無機酸化物粉体0.08gを入れ、更に純水40gを添加し、測定液とする。超音波分散には、BRABSON社製SONIFIRE250(商品名)を使用し、先端径12.5mm、全長7cmのタップ型ホーンの先端から3cmを上記測定液に浸し、周波数20kHz、出力50Wで超音波分散を実施した。乾燥後に得た無機酸化物粉体に関しては、4分間、焼成後に得た無機酸化物粉体に関しては16分間分散を行い、後述するレーザー回折散乱法による粒径測定を行い、ピーク極大値の数と、メジアン径の10倍以上の径の粒子の体積頻度を測定した。メジアン径の10倍以上の径の粒子の体積頻度の合計を、凝集塊量とした。
【0088】
<乾燥後及び焼成後の無機酸化物粒子のメジアン径、及び変動係数の測定>
上述した分散方法により得られた分散液のメジアン径、変動係数を、ベックマン・コールター株式会社製、ベックマンコールターLS230(商品名)を使用し、偏光散乱強度差計測により、0.04μm?2000μmの範囲で測定した。また、変動係数は、下記式より算出した。変動係数が小さいほど、粒度分布幅が狭いことを示す。」

イ 甲2の記載事項
2a「【0009】
I. 使用する測定および試験法
I.1 シリカ類の特性決定
以下で説明するシリカ類は、公知のとおり、外力作用下に、例えば、機械加工または超音波の作用下に粒子として離解し得る粒子の凝集物からなる。本出願において使用する用語 粒子 は、 凝結体 ( 二次粒子 とも称する)のその通常の包括的意味で理解すべき であり、該当する場合、この凝結体の1部を構成し得る潜在的な元素状粒子( 一次粒子 とも称する)の意味ではない; 凝結体 とは、公知のとおり、上記充填剤の合成中に生成する、一緒に凝結する元素状(一次)粒子から一般に形成された非開裂性単位(即ち、切断または分割し得ない)を意味するものと理解すべきである。
これらのシリカ類は、下記のようにして特性決定する。
・・・
【0010】
I.1.2 粒度測定
I.1.2.1 平均粒度dw:
粒子の平均粒度(質量による)、dwは、水中での分析すべき充填剤の超音波離解による分散後に通常測定する。
測定は、Brookhaven Instruments社から市販されているX線検出遠心沈降速度計タイプの XDC ( X-rays Disk Centrifuge )を使用し、下記の操作方法に従って行う。
40 mlの水中の分析すべきシリカサンプル 3.2 gの懸濁液を、1500ワット超音波プローブ(Bioblock社から市販されているVibracell 3/4インチ(1.905 cm)超音波発生器)の60%出力(出力対照(output control)の最高位置の60%)での8分間の活動により調製し;超音波発生後、15 mlの上記懸濁液を回転ディスク中に導入し;120分間の沈降後に、粒度の質量分布(mass distribution)をXDC 沈降速度計のソフトウェアによって算出する。
・・・
I.1.2.2 XDCモード:
遠心沈降によるこのXDC粒度測定分析法を使用して、XDCモードと称する粒子の形態値を測定することができる(集積粒度曲線の導関数が度数曲線を与え、その最大の横座標値(主集団の横座標値)をXDCモードと称する)。
上記方法は、dwの測定について上述した方法と、一方で、調製した懸濁液(シリカ+脱塩水)を16分間離解させ、他方で、末端片の無い直径 13 mmの1500ワットのBRANSON超音波プローブを使用する(最高出力の60%で使用)という点で異なる。
【0011】
I.1.2.3 分布幅
分布幅は、上記モード値を測定するのに使用した遠心沈降によるXDC粒度測定分析法に従って測定する。その時、16%、50%(即ち、中央値)および84%(いずれも質量%)で通過する直径値を記録する。
16分の超音波発生時間による超音波離解(水中での)後に、XDC粒度測定によって測定した対象物の粒度分布幅Ldは、比(d84 d16)/d50に相応し、dnは、n%の粒子(質量による)がこの粒度よりも小さい粒度を有する粒度である(従って、分布幅Ldは、全体的に描いた集積粒度曲線上で算出する)。
16分の超音波発生時間による超音波離解(水中での)後に、XDC粒度測定によって測定した500 nm未満の対象物の粒度分布幅L'dは、比(d84 d16)/d50に相応し、dnは、500 nm未満の粒度の粒子に対して、この粒度より小さい粒度のn%の粒子(質量による)が存在する粒度である(従って、分布幅L'dは、500 nmよりも上をカットオフした集積度数分布について算出する)。」

2b「【0016】
I.1.5 離解:
幾つかの場合において、シリカのとりわけエラストマーマトリックス内での分散能力を、特定の離解試験によって評価することができる。
I.1.5.1 離解速度α
離解速度αは、超音波離解試験により、600 W (ワット)プローブの100%出力で、ここでは、測定中の超音波プローブの過剰の加熱を回避するためにパルスモード(即ち、1秒オン、1秒オフ)で操作して測定する。この公知の試験は、とりわけ特許出願WO99/28376号の主題であり(WO99/28380号、WO00/73372号、WO00/73373号も参照されたい)、以下の詳細に従い、超音波発生中の粒子凝結体の平均粒度(容積による)の変化を連続的に測定するのを可能にする。
使用する装備は、レーザー粒度計(MalvernInstruments社から市販されているタイプ“Mastersizer S”;He-Neレッドレーザー源、波長 632.8 nm)およびその準備装置(“Malvern Small Sample Unit MSX1”)からなり、その間に、超音波プローブ(Bioblock社から市販されている600ワット1/2インチ(1.27cm)超音波発生器タイプVibracell)を備えた連続流動処理セル(Bioblock M72410)が挿入されている。
少量(150 mg)の分析すべきシリカを160 mlの水と一緒に上記準備装置に導入し、循環速度をその最高値にセットする。少なくとも3回の連続測定を行い、既知のFraunhofer演算法(Malvern 3$$D演算行列)に従い、dv[0]と表示する凝結体の初期平均直径(容積による)を測定する。その後、超音波発生(パルスモード:1秒オン、1秒オフ)を100%出力(即ち、チップ振幅 の100%の最高位置)で確立させ、時間 t の関数としての容積による平均直径dv[t]の展開を、およそ10秒毎の測定により約8分間モニターする。誘導期間(約3?4分)後、容積による平均直径の逆数1/dv[t]が、時間t の経過につれ、直線状または実質的に直線状変化するのを記録した(安定離解条件)。離解速度αは、安定離解条件(一般に、約4?8分)の領域内の時間 t の関数としての1/dv[t]の展開曲線の回帰直線によって算定する。離解速度αは、μm^(-1)/minで表す。
【0017】
上述の出願WO99/28376号は、この超音波離解試験を実施するのに使用し得る測定装置を詳細に記載している。この装置は、液体中に懸濁させた粒子の凝結体の流れが循環し得る閉鎖型回路からなることを再認識されたい。この装置は、サンプル準備装置、レーザー粒度計および処理セルを本質的に含む。サンプル準備装置および処理セル自体のレベルでの大気圧への通気口により、超音波発生(超音波プローブの活動)中に生成する空気バブルの連続排除が可能である。
サンプル準備装置( Malvern SmallSample Unit MSX1 )は、試験すべきシリカサンプル(液体中の懸濁液中)を受入れ且つサンプルを液体懸濁液の流れの形で予め制御された速度(ポテンショメーター;約3 l/分の最高速度)で上記回路に送ることを意図している。この準備装置は、単純に、分析する上記懸濁液を収容し且つ循環させる受入れタンクからなる。受入れタンクは、懸濁液の粒子凝結体の沈降を防止するための可変速度の攪拌器モーターを備えており;遠心ミニポンプは、上記回路内での懸濁液の循環を意図し;準備装置への入口は、試験すべき充填剤サンプルおよび/または懸濁液において使用する液体を受入れるための開口を介して開放空気に連結している。
上記準備装置には、レーザー粒度計( MastersizerS )が連結しており、その役割は、該粒度計の自動記録および算定手段と連結している測定用セルによって、サンプル流が通過する時の凝結体の容積による平均粒度dv を一定間隔で連続的に測定することである。ここで、レーザー粒度計は、公知のとおり、屈折率が固形物の屈折率と異なる媒質中に懸濁させた固形対象物による光の回折の原理を利用していることを簡単に想い起すべきである。Fraunhoferの理論によれば、対象物の粒度と光の回折角度の間には相関関係が存在する(対象物が小さいほど、回折角度は大きい)。実際に、異なる回折角度で回折した光の量を測定して、粒度分布の容積による平均粒度(dv= Σ(ni di
^(4))/Σ(ni di^(3));niは直径diの粒度群の対象物の数である)に相当するサンプルの粒度分布(容積による)dvを十分に測定し得る。
最後に、上記準備装置とレーザー粒度計の間には、粒子の凝結体をその流れが通過するときに連続的に崩壊させるための、連続またはパルスモードで操作し得る超音波プローブを備えた処理用セルが挿入されている。この流れは、上記プローブを取巻く二重ケーシング中に上記セルのレベルで配列した冷却回路による温度自動調節によって制御され、温度は、例えば、上記準備装置のレベルで液体中に浸漬した熱センサーによって制御される。」

ウ 甲3の記載事項
3a「【0018】本発明における顔料粒子分散物は、1次粒子が凝集して2次粒子を形成して分散しており、その分散粒径の平均値は150?300nmであることが必要である。本発明における平均粒径は、光子相関法を用いて測定した強度分布から求まる平均粒径とする。顔料粒子分散物の無機顔料の質量濃度が高濃度だと正確な平均粒径が測定できないので、顔料粒子分散物を水で希釈して0.01?1%の質量濃度に希釈し、超音波洗浄器で100W・28kHzの条件で5分間超音波処理を行う。その結果、希釈によって凝集した凝集体が解れると考えられる。」

3b「【0021】顔料粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー等の他、各種の天然又は合成の無機微粒子を使用することが出来る。中でも、シリカは低い屈折率を有するため、透明性が要求されるインクジェット記録用媒体のインク受容層(以下、空隙層とも言う)を形成するのに好ましく用いられる。」

エ 甲4の記載事項
4a「【0057】
(ii) シランカップリング剤による表面修飾
前記メソポーラスシリカナノ粒子をアルコールで湿潤状態にしてなるスラリーに、シランカップリング剤の加水分解物の水/アルコール系溶液を添加し、超音波処理を施すことにより前記メソポーラスシリカナノ粒子の表面が前記シランカップリング剤で修飾されてなる表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子の分散物が得られる。
・・・
【0060】
前記超音波処理は、周波数:10?30 Hz、照射出力:300?900 W、及び時間:5?180分で行うのが好ましく、氷浴中で攪拌しながら行うのが好ましい。」

オ 甲5の記載事項
5a「【0086】
<実施例1>
カーボンナノチューブ水分散液の調製
カーボンナノチューブ製造例で示した2層カーボンナノチューブ15mgを量り取り、アニオン性分散剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(シグマアルドリッチジャパン社製low viscosityタイプ)45mgとイオン交換水10gを混合し、氷浴で冷やしながら、超音波分散機(SONICMATERIALS INC社製、MODEL:VC130、ULTRASONIC PROCESSOR)を使用して、装置表示20Wで3分間分散した。
・・・ 」

カ 甲6の記載事項
6a「【0140】
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。また、トナー粒子の造粒性を確認する際には、重合反応終了後のトナー粒子懸濁液を少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。 ・・・ 」

(2) 甲1?甲3に記載された発明
ア 甲1に記載された発明
記載事項1a及び1bによると、甲1には、
「超音波分散を行ってシリカを純水に分散させた水分散液を用いて、シリカ粒子の粒度分布幅を測定する方法であって、超音波分散を行う際に、純水40gにシリカ0.08gを添加した水分散液のシリカ粒子の粒度分布幅を測定する方法。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

イ 甲2に記載された発明
記載事項2a及び2bによると、甲2には、
「超音波離解によりシリカを水に分散させた懸濁液を使用し、シリカ凝結体の粒度分布を測定する方法であって、超音波離解を行う際に、160mlの水にシリカ150mgを含む懸濁液のシリカ凝結体の粒度分布を測定するものであり、前記粒度分布をエラストマーマトリックス内での分散能力の評価に用いる、方法。」の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

ウ 甲3に記載された発明
記載事項3a及び3bによると、甲3には、
「超音波処理によりシリカを水に分散させたシリカ粒子分散物を用いて、光子相関法を用いてシリカ粒子の強度分布から平均粒径を求める方法あって、前記超音波処理を行う際のシリカ粒子の質量濃度が、0.01?1%であるシリカ粒子の光子相関法を用いた強度分布から平均粒径を求める方法。」の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。

(3) 対比・判断
本件発明1?8は、「超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し」、「シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって」、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」ことを特定事項とする点で共通するものである。
これに対して、甲1?3発明は、超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させ、シリカの粒度分布の分布幅を測定するものであるということができる。しかし、甲1、3発明は、シリカをゴム組成物に用いるものではない。また、甲2発明は、シリカを含むゴム組成物のエラストマーマトリックス内での分散能力を評価するものであるが、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を、ゴム組成物のゴム硬度予測用に用いるものではない。
さらに、甲4?6は、超音波処理を行う際の溶媒の温度を50℃以下とすることは技術常識であることを示すための証拠にすぎないもので、これらの文献は、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を、ゴム組成物のゴム硬度予測用とすることについて何ら示唆するものではない。
したがって、本件発明1?8が共通に具備する上記の特定事項は、甲1?3発明のいずれも具備しておらず、甲4?6に記載された事項でもないから、本件発明1?8は、甲1?3に記載された発明とはいえず、また、甲1?3に記載された発明及び甲4?6に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

よって、取消理由1、2は、理由がない。

4 取消理由3についての判断
(1)指摘事項(ア)について
本件発明において、超音波処理を行う際の溶媒の温度として「5℃以上」、「10℃以上」又は「15℃以上」のいずれかの下限値が特定されている。
そして、本件明細書には、
「【0016】
・・・ 超音波処理を行うと溶媒の温度が上昇していき、シリカの破砕効果が小さくなっていってしまうことから、冷却しながら超音波処理を行うことが好ましい。これにより、好適にシリカがシリカクラスターとして存在するシリカ分散液を調製できる。 ・・・ 超音波処理を行う際の溶媒の温度は、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。他方、溶媒を冷却しすぎてもシリカの破砕効果が小さくなっていくおそれがあり、超音波処理を行う際の溶媒の温度としては、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上が更に好ましい。」
と記載され、超音波処理を行う際の溶媒の温度を適切に管理することによりシリカの破砕を行うことが記載され、上記の温度範囲であれば技術常識からしてシリカを破砕、分散可能であることは明らかである。
そうすると、超音波処理を行う際の温度範囲が特定された本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

(2)指摘事項(イ)について
本件発明において、「シリカクラスターの粒度分布の分布幅」について、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」ことが特定されている。
そして、本件明細書には、
「【0006】 ・・・ ゴム組成物中でのシリカクラスターの粒度分布の分布幅が狭いほど当該ゴム組成物のゴム硬度は高くなり、その関係は線形関係となることを見出した。そして更には、同じ種類のシリカであれば、溶媒中に分散させた場合とゴム組成物中に分散させた場合とで同様のシリカクラスターの粒度分布形状を示すことをも見出した。そこで、種類の異なるシリカを配合したゴム組成物それぞれにおいて、シリカクラスターの粒度分布の分布幅と、当該ゴム組成物のゴム硬度とを測定して検量線を作製することで、新規なシリカなどゴム組成物に配合した場合のゴム硬度が未知なシリカについて、溶媒中でのシリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定すれば、当該シリカを配合したゴム組成物のゴム硬度を予測することができ、これにより、ゴム組成物に配合した場合のゴム硬度が未知なシリカについて、当該シリカを配合した場合のゴム組成物のゴム硬度をより精度高く予測することができることに想到し、本発明に到達した。」
と記載され、溶媒に分散させたシリカ分散液のシリカクラスターの粒度分布の分布幅によりゴム組成物のゴム硬度を予測することができることが説明されているから、本件発明により、本件明細書段落【0005】に記載された本件発明の課題を解決することができることを当業者が認識できるものである。
したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

よって、取消理由3は、理由がない。

5 取消理由4についての判断
本件発明の「超音波処理を行う際のシリカ濃度」について、本件明細書には、
「【0017】
・・・ 超音波処理を行う際、溶媒100質量%に対してシリカを0.04?0.5質量%用いることが好ましい。シリカ凝集体の破砕には超音波が直接作用する他、シリカ凝集体同士が衝突して破砕する現象もある。シリカの濃度が溶媒100質量%に対して0.04質量%未満であると、シリカ凝集体同士の衝突頻度が低くなり、破砕効率が悪化するおそれがある。一方、シリカの濃度が溶媒100質量%に対して0.5質量%より高い場合、超音波が直接作用する頻度が小さくなるため、やはり破砕効率が悪化するおそれがある。前処理方法として超音波処理を行う際のシリカ濃度としては、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%がより好ましく、0.3?0.5質量%が更に好ましい。
・・・
【0020】
上記前処理方法において超音波処理を行う際の処理時間としては、超音波の出力、溶媒中のシリカの濃度、溶媒の量等に依存するため、適した処理時間は一概には言えないが、充分にシリカクラスターの状態にまで破砕、分散させるためには、10?25分であることが好ましい。 ・・・ 」
と記載されている。
上記の記載によると、シリカ凝集体を超音波処理により充分にシリカクラスターの状態にまで破砕、分散することが可能なシリカ濃度であって、実施例の「0.4質量%」を含むシリカ濃度「0.1?0.5質量%」の範囲で、本件発明の課題を解決することができることを当業者が認識できるものである。
そして、特許権者は、令和1年12月20日付けの意見書に添付して乙第3号証を提出して、シリカ濃度「0.1?0.5質量%」の範囲で、超音波処理によりシリカが充分に破砕されたシリカ分散液が得られることを実証している。

よって、取消理由4は、理由がない。

6 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
(1) 申立理由の概要
特許異議申立人は、設定登録時の請求項4に係る発明は、甲2発明及び甲3?6に記載された技術事項に基づいて容易になし得るものであり、進歩性を欠如するものである旨主張をしているが(特許異議申立書12頁)、上記「3」で検討したとおり、甲2発明に基づいて本件発明が進歩性を欠如するものということはできないから、ここでは改めて検討しない。
他に採用しなかった特許異議申立理由は、特許法第36条第6項第2号(明確性要件)に関するものであり、その概要は以下のとおりである。

ア 本件の図1及び図2によれば、超音波処理時間により、シリカの粒径は変化するが、設定登録時の請求項1?4に係る発明には、超音波処理時間についての規定はないから、当該発明で得られるシリカクラスターの粒度分布の分布幅はいかなる超音波処理時間におけるものであるのか不明確である。

イ 設定登録時の請求項1?4に係る発明の課題は「ゴム組成物に配合した場合のゴム硬度が未知なシリカについて、当該シリカを配合した場合のゴム組成物のゴム硬度をより精度高く予測することが可能となり、これにより、事前のゴム組成物の配合設計の精度をより高めることができる」というものである(本件明細書段落【0008】)。
しかし、上記請求項1?4には、「シリカクラスターの粒度分布の分布幅」と「ゴム硬度」との関係についての記載はなく、不明確である。

ウ 設定登録時の請求項1に係る発明は、「粒度分布の分布幅を測定する方法」であるが、シリカの分散条件だけが記載され、粒度分布の分布幅を測定する方法についての具体的な発明特定事項は記載されていないから、不明確である。

(2) 申立理由(明確性要件)の検討
上記「(1)ア?ウ」の特許異議申立理由について検討する。
ア 「(1) ア」について
本件明細書の段落【0006】では、「これ以上分解されないシリカ凝集体の単位(本件明細書においては、シリカクラスターとも称する。)」と定義され、「参考例1、2」(段落【0044】?【0047】)には、シリカの水分散液に所定時間以上超音波処理を行うことでシリカをシリカクラスターまで分解して分散させることが記載されているところ、本件発明は「シリカクラスター」の粒度分布の分布幅を測定することが特定されているのであるから、本件発明における超音波処理は、溶媒中のシリカをシリカクラスターの状態とするものであることは明らかであり、超音波処理時間の特定がないことをもって、本件発明が明確でないとはいえない。

イ 「(1) イ」について
本件訂正により、本件発明において「シリカクラスターの粒度分布の分布幅」について「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である」ことが特定され、前記「分布幅」が「ゴム硬度予測用」であることが理解できるから、本件発明は明確であるといえる。

ウ 「(1) ウ」について
本件明細書には、
「【0011】
・・・当該粒度分布測定は、粒度分布の分布幅の解析を行うことができる粒度分布図が得られればよく、そのような粒度分布測定図が得られる従来公知の粒度分布計を用いて通常行われる方法で粒度分布を測定すればよい。
【0012】
上記シリカクラスターの粒度分布を測定する方法としては、具体的には例えば、レーザー回折散乱法、動的光散乱法、重力沈降法、ディスク遠心法などが挙げられ、いずれの方法を用いても、シリカクラスターの粒度分布を測定することができ、結果、当該シリカをゴム組成物に配合した場合のゴム硬度を予測することが可能である。」
と記載されているから、本件発明においては、従来公知の粒度分布測定方法を採用することができ、これにより粒度分布幅を得ることで上記「(1) イ」で指摘された本件発明の課題を解決することができることが当業者であれば理解できるから、「シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって」、「前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅」であることが特定された本件発明は明確であるといえる。

よって、「(1) (ア)?(ウ)」の特許異議申立理由は、理由がない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1?8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項2】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、該シリカ分散液の粒度分布測定において得られる粒度分布図を粒径500nm?3μmで分割し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項3】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記超音波処理を行う際の超音波出力が、100?180Wであり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項4】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の積算頻度が5%から95%までの分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項5】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、15℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.04?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項6】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.3?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項7】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、5℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記超音波処理を行う際の超音波出力が、130?180Wであり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
【請求項8】
超音波処理を用いてシリカを溶媒に分散させたシリカ分散液を使用し、シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法であって、
前記超音波処理を行う際の溶媒の温度が、10℃以上50℃以下であり、
前記溶媒が水であり、
前記超音波処理を行う際のシリカの濃度が、溶媒100質量%に対して0.1?0.5質量%であり、
前記分布幅がゴム組成物のゴム硬度予測用の分布幅である
シリカクラスターの粒度分布の分布幅を測定する方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-03-30 
出願番号 特願2015-76037(P2015-76037)
審決分類 P 1 651・ 851- YAA (C01B)
P 1 651・ 121- YAA (C01B)
P 1 651・ 857- YAA (C01B)
P 1 651・ 537- YAA (C01B)
P 1 651・ 113- YAA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 廣野 知子  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 後藤 政博
岡田 隆介
登録日 2019-02-01 
登録番号 特許第6473031号(P6473031)
権利者 住友ゴム工業株式会社
発明の名称 シリカの評価方法  
代理人 特許業務法人安富国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  

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