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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G04B
管理番号 1375261
審判番号 訂正2021-390023  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-01-22 
確定日 2021-04-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6818228号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6818228号の明細書を、令和3年3月18日付けの手続補正により補正された審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1?10〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
この訂正審判事件に係る特許第6818228号(以下「本件特許」という。)の請求項1から請求項10に係る発明は、令和3年1月5日にその特許権の設定の登録がされたものであるところ、本件特許について、令和3年1月22日に訂正審判に係る審判請求書が提出された。
当審の審判長は、令和3年3月5日付けで手続補正指令書(方式)を通知したところ、令和3年3月18日に手続補正書が提出された。

第2 請求の趣旨
令和3年3月18日付けの審判請求書の補正は、請求の趣旨及び請求の理由についてした補正を含むものであるところ、この補正は、上記手続補正指令書(方式)において審判請求書について補正をすべきことを命じられた事項についてしたものであるから、特許法131条の2第1項ただし書き3号に該当し、適法な補正である。
以下、この補正された審判請求書を「本件審判請求書」という。
したがって、この訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、訂正後の請求項1?10について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
以下、この訂正審判に係る訂正を「本件訂正」という。

第3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、本件審判請求書において訂正事項1として記載されたものであり、訂正事項1は次のとおりである。下線は訂正箇所を示す。
[訂正事項1]
本件訂正前の明細書の段落【0007】に
「、前記ケースには、前記緩衝保護部材の外周に位置した状態で、前記緩衝保護部材をスライド可能に保持する保持筒部が、前記ケースの外部に突出して設けられ」
と記載されているのを、
「 この発明は、貫通孔が設けられたケースと、前記ケースの前記貫通孔に対してスライド可能に設けられた軸部、および前記軸部の外端部に設けられて前記ケースの外部に配置された頭部を備えた操作部材と、前記操作部材の前記頭部の外周を覆った状態で、前記ケースに、前記操作部材のスライド方向にスライド可能に設けられた緩衝保護部材と、を備え、前記ケースには、前記緩衝保護部材の外周に位置した状態で、前記緩衝保護部材をスライド可能に保持する保持筒部が、前記ケースの外部に突出して設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。」
と訂正する。

第4 当審の判断
1 訂正の目的
本件訂正は、本件訂正前の請求項1が
「貫通孔が設けられたケースと、
前記ケースの前記貫通孔に対してスライド可能に設けられた軸部、および前記軸部の外端部に設けられて前記ケースの外部に配置された頭部を備えた操作部材と、
前記操作部材の前記頭部の外周を覆った状態で、前記ケースに、前記操作部材のスライド方向にスライド可能に設けられた緩衝保護部材と、
を備え、
前記ケースには、前記緩衝保護部材の外周に位置した状態で、前記緩衝保護部材をスライド可能に保持する保持筒部が、前記ケースの外部に突出して設けられていることを特徴とするスイッチ装置。」
という記載であるのに対して、本件訂正前の明細書の段落【0007】が、上記請求項1の一部である「、前記ケースには、前記緩衝保護部材の外周に位置した状態で、前記緩衝保護部材をスライド可能に保持する保持筒部が、前記ケースの外部に突出して設けられ」という記載を引用したのみであり、【課題を解決するための手段】の記載として不明瞭であったものを、上記請求項1の記載を全部引用することにより、その不明瞭な記載を正すための訂正である。
すなわち、本件訂正は、明細書の段落【0007】において、上記請求項1の記載と整合を図り、本来の意を明らかにするものであるから、特許法126条1項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

2 新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の実質拡張、変更の存否
本件訂正後の明細書の段落【0007】の記載は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を全部引用したものであるから、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正は、特許法126条5項及び同条6項の規定に適合するものである。

3 独立特許要件
本件訂正は、特許法126条1項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであるから、同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。

4 明細書の訂正と関係する請求項
本件訂正は、明細書の段落【0007】において、上記請求項1の記載を全部引用することにより、上記請求項1の記載と整合を図り、本来の意を明らかにするものであるところ、請求項2?10は請求項1の記載を引用するものであるから、本件訂正は、請求項1?10と関係するものであり、特許法126条4項の規定に適合するものである。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は適法であり、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1?10〕について訂正することを認める。
よって、上記結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スイッチ装置および時計
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計や携帯電話機、携帯情報端末機などの電子機器に用いられるスイッチ装置およびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースに取り付けられて外部に突出した竜頭などの釦頭部の外端部を覆って保護する釦保護装置を備えた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-163340号公報
【0004】
この種の釦保護装置は、釦頭部の両側に位置する腕時計ケースの外面に2つの保護突起部を釦頭部よりも突出させて設け、この保護突起部の一方に可動保護部の一端部を回転可能に取り付け、この可動保護部の他端部を他方向の保護突起部に着脱可能に取り付けることにより、これら2つの保護突起部と可動保護部とで釦頭部の外周を覆って保護するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような腕時計の釦保護装置では、腕時計ケースの外部に突出する釦頭部の両側に2つの保護突起部を釦頭部よりも突出させて設け、これら2つの保護突起部に可動保護部を梁渡す構成であるから、釦頭部を操作する際に、一方の保護突起部に対して可動保護部を回転させて、釦頭部を開放させなければ、釦頭部を操作することができないため、操作性が悪いという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、操作性が良く、かつ耐衝撃性を確保することができるスイッチ装置およびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、貫通孔が設けられたケースと、前記ケースの前記貫通孔に対してスライド可能に設けられた軸部、および前記軸部の外端部に設けられて前記ケースの外部に配置された頭部を備えた操作部材と、前記操作部材の前記頭部の外周を覆った状態で、前記ケースに、前記操作部材のスライド方向にスライド可能に設けられた緩衝保護部材と、を備え、前記ケースには、前記緩衝保護部材の外周に位置した状態で、前記緩衝保護部材をスライド可能に保持する保持筒部が、前記ケースの外部に突出して設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、操作部材の頭部を押し込む際に、緩衝保護部材を操作部材の頭部と共にスライドさせた上、操作部材のみをスライドさせて押し込むことができるので、操作部材の押し込み感覚が良く、操作部材の操作性を向上させることができ、また緩衝保護部材が外部から衝撃を受けた際に、緩衝保護部材を操作部材の頭部と共にスライドさせることができるので、緩衝保護部材によって衝撃を緩衝することができると共に、操作部材の頭部を保護することができ、これにより耐衝撃性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大正面図である。
【図2】図1に示された腕時計のA-A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図3】図2に示されたスイッチ装置の緩衝保護部材が外部から衝撃を受けた状態を示した要部の拡大断面図である。
【図4】図3に示されたスイッチ装置の操作部材が更に押し込まれてスイッチ部をオン動作させた状態を示した要部の拡大断面図である。
【図5】この発明のスイッチ装置における第2の付勢部材の変形例を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1?図4を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、本体ケース2と外装ケース3とで構成されている。
【0011】
この場合、本体ケース2は、図2に示すように、金属またが硬質の合成樹脂で形成されている。外装ケース3は、合成樹脂で形成され、本体ケース2の上部外周に防水パッキン3aを介して取り付けられている。腕時計ケース1の上部開口部、つまり外装ケース3の上部開口部には、図1に示すように、時計ガラス4が取り付けられている。また、この腕時計ケース1の下部、つまり本体ケース2の下部には、図2に示すように、裏蓋5が防水リング5aを介して取り付けられている。
【0012】
この腕時計ケース1の内部、つまり本体ケース2の内部には、図2に示すように、時計モジュール6が配置されている。この時計モジュール6は、指針6aを駆動するための時計ムーブメントや、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネル、これらを電気的に駆動するための回路部などの時計機能に必要な各種の部品(いずれも図示せず)を備えている。この場合、時計モジュール6は、図1に示すように、その上部に文字板6bが配置され、この文字板6bの上方を指針6aが運針するように構成されている。
【0013】
一方、腕時計ケース1の12時側と6時側との各側部には、図1に示すように、バンド取付部8がそれぞれ外部に突出して設けられている。これらバンド取付部8には、時計バンド7がそれぞれ取り付けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、3時側、4時側、8時側、および10時側の各側部には、スイッチ装置10がそれぞれ設けられている。
【0014】
これらスイッチ装置10のうち、例えば2時側に位置するスイッチ装置10は、図2?図4に示すように、腕時計ケース1の本体ケース2に設けられた貫通孔11に防水リング12を介して取り付けられた筒状部材13と、この筒状部材13にスライド可能に挿入されて腕時計ケース1の外部に突出する操作部材14と、腕時計ケース1にスライド可能に取り付けられて操作部材14の外端部を覆って保護する緩衝保護部材15と、を備えている。
【0015】
この場合、貫通孔11は、図2?図4に示すように、本体ケース2にその内部と外部とに貫通して設けられている。この貫通孔11の内周部には、雌ねじ部11aが設けられている。また、この貫通孔11の外端部における縁部には、防水リング12が配置される切欠き溝11bが環状に設けられている。
【0016】
筒状部材13は、図2?図4に示すように、本体ケース2の貫通孔11内に取り付けられる筒状部16と、本体ケース2の外面に配置される鍔状部17と、を備え、これらが金属や硬質の合成樹脂で一体に形成されている。筒状部16は、その外径が本体ケース2の貫通孔11の内径と同じ大きさで、その軸方向の長さが貫通孔11の軸方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、この筒状部16の外周部には、貫通孔11の雌ねじ部11aに螺合する雄ねじ部16aが設けられている。
【0017】
これにより、筒状部16は、図2?図4に示すように、本体ケース2の貫通孔11内に挿入されて、雄ねじ部16aが貫通孔11の雌ねじ部11aに螺合して締め付けられることにより、本体ケース2の貫通孔11内に取り付けられるように構成されている。この場合、筒状部16は、その軸方向の内端部が本体ケース2の内周面とほぼ同一面上に位置し、また軸方向の外端部が本体ケース2の外面とほぼ同一面上に位置するように形成されている。
【0018】
また、鍔状部17は、図2?図4に示すように、筒状部16の軸方向に位置する外端部にリング状に形成された板部であり、その軸方向の内端面が本体ケース2の外面に配置されるように構成されている。この場合、鍔状部17は、その内径が筒状部16の内径と同じ大きさで、外径が貫通孔11の切欠き溝11bの外周側の内径よりも大きく形成されている。この場合、鍔状部17の軸方向の外端面には、ドライバなどの工具が挿入する締付溝17bが設けられている。
【0019】
これにより、鍔状部17は、図2?図4に示すように、筒状部16の雄ねじ部16aが本体ケース2の貫通孔11に設けられた雌ねじ部11aに螺合した状態で、締付溝17bにドライバなどの工具を挿入させて、筒状部16の雄ねじ部16aを貫通孔11の雌ねじ部11aに締め付けることにより、鍔状部17の内端面が本体ケース2の外面に押し当てられて、防水リング12を本体ケース2の切欠き溝11b内に押し付けるように構成されている。
【0020】
一方、操作部材14は、図2?図4に示すように、筒状部材13の筒状部16内にスライド可能に挿入される軸部18と、この軸部18の外端部に設けられて筒状部材13の鍔状部17の外部側、つまり本体ケース2の外部に配置される頭部19と、を備えている。軸部18は、その外径が筒状部16の軸挿入孔16cの内径とほぼ同じ大きさで、軸方向の長さが筒状部材13の軸方向の長さよりも長く形成されている。
【0021】
これにより、軸部18は、図2?図4に示すように、筒状部16の軸挿入孔16c内に挿入された際に、その内端部が本体ケース2の内部に突出し、外端部が筒状部材13の鍔状部17から本体ケース2の外部に突出するように構成されている。この場合、軸部18の外周部には、複数の防水リング20が設けられている。これら複数の防水リング20は、その外周部が筒状部材13の筒状部16の内周面に圧接した状態で摺動することにより、軸部18の外周面と筒状部16の内周面との間の防水を図るように構成されている。
【0022】
また、本体ケース2の内部に突出する軸部18の内端部には、図2?図4に示すように、Eリングなどの抜止め部材21が取り付けられている。これにより、軸部18は、抜止め部材21が本体ケース2の貫通孔11内に取り付けられた筒状部16の内端部に接離可能に当接することにより、本体ケース2の外部に抜け出さないように構成されている。
【0023】
さらに、この軸部18は、図2?図4に示すように、その内端部が本体ケース2内の時計モジュール6に設けられたスイッチ部22に接離可能に対応するように構成されている。この場合、スイッチ部22は、時計モジュール6の外周部に設けられた接点部22aと、軸部18の内端部で押されて接点部22aに接離可能に接触する接点ばね22bと、を備えている。この接点ばね22bは、板ばねであり、その一端部が時計モジュール6の外周部に設けられ、可変側の他端部が常に軸部18の内端部に弾接するように構成されている。
【0024】
これにより、スイッチ部22は、図2?図4に示すように、操作部材14が押されて軸部18の内端部が本体ケース2内に押し込まれた際に、軸部18の内端部によって接点ばね22bが押されて接点部22aに押し付けられることにより、オン動作するように構成されている。また、このスイッチ部22は、操作部材14が押し出されて軸部18の内端部が接点部22aから離れた際に、接点ばね22bが軸部18の内端部に接触した状態で弾性復帰して接点部22aから離れることにより、オフ状態になるように構成されている。
【0025】
一方、操作部材14の頭部19は、図2?図4に示すように、筒状部材13の鍔状部17から本体ケース2の外部に突出した軸部18の外端部に設けられている。この頭部19は、その外径が筒状部材13の鍔状部17の外径とほぼ同じ大きさで、全体が円板状に形成されている。また、この頭部19は、筒状部材13の鍔状部17から本体ケース2の外部に向けて所定間隔(S1)だけ離れて配置されるように構成されている。
【0026】
すなわち、この頭部19は、図2?図4に示すように、軸部18の内端部に設けられた抜止め部材21が本体ケース2の内周面に位置する筒状部材13の筒状部16の内端面に当接した状態のときに、操作部材14のスライド長さS1だけ、筒状部材13の鍔状部17から本体ケース2の外部に向けて離れるように構成されている。
【0027】
この場合、操作部材14のスライド長さS1は、図2?図4に示すように、操作部材14が押し出された第1の位置(図2に示す位置)と操作部材14が押し込まれて時計モジュール6のスイッチ部22がオン状態になった第2の位置(図4に示す位置)との間の長さに設定されている。すなわち、この操作部材14のスライド長さS1は、軸部18の内端部に弾接する接点ばね22bの可変側の端部からスイッチ部22の接点部22aまでの長さである。
【0028】
また、この操作部材14は、図2?図4に示すように、第1の付勢部材である第1ばね部材23によって本体ケース2の外部に向けて押し出される方向に付勢されるように構成されている。すなわち、この第1ばね部材23は、コイルばねであり、軸部18の外周に配置されている。
【0029】
この場合、第1ばね部材23は、図2?図4に示すように、その内端部が筒状部材13の鍔状部17の外面に環状に設けられた凹部17c内に配置されて弾接し、外端部が頭部19の内端面に環状に設けられた凹部19a内に配置されて弾接することにより、頭部19を本体ケース2の外部に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。
【0030】
これにより、操作部材14は、図2に示すように、通常状態のときに、第1ばね部材23のばね力によって頭部19が本体ケース2の外部に向けて押し出されて、第1の位置に配置された際に、軸部18の内端部の抜止め部材21が本体ケース2内に位置する筒状部16の内端面に当接して、軸部18の内端部が時計モジュール6のスイッチ部22の接点部22aから離れることにより、スイッチ部22をオフ状態にするように構成されている。
【0031】
また、この操作部材14は、図4に示すように、第1ばね部材23のばね力に抗して頭部19が本体ケース2の内部に向けて押し込まれ、軸部18の内端部の抜止め部材21が本体ケース2内に位置する筒状部16の内端面から離れて、軸部18の内端部が本体ケース2の内部に向けて突出した際に、この突出した軸部18の内端部が時計モジュール6のスイッチ部22の接点ばね22bを押圧して接点部22aに接触させた第2の位置に配置されることにより、スイッチ部22をオン動作させるように構成されている。
【0032】
ところで、緩衝保護部材15は、図2?図4に示すように、操作部材14の頭部19の外周を覆った状態で、本体ケース2に対してスライド可能に設けられている。すなわち、この緩衝保護部材15は、ほぼ円筒状に形成され、その内部に操作部材14の頭部19がスライド可能に配置され、この状態で本体ケース2に設けられた保持筒部24内にスライド可能に取り付けられるように構成されている。
【0033】
この場合、保持筒部24は、図2?図4に示すように、ほぼ円筒状をなし、本体ケース2にその外部に突出して設けられている。また、保持筒部24は、緩衝保護部材15の軸方向の長さの半分ぐらいまで延出して設けられている。すなわち、この保持筒部24は、その内径が緩衝保護部材15の外径とほぼ同じ大きさで、軸方向の長さが緩衝保護部材15の軸方向の長さよりも短く、かつ筒状部材13の鍔状部17の軸方向の長さ(厚み)とほぼ同じ長さで形成されている。
【0034】
また、この保持筒部24内に位置する本体ケース2の外面には、図2?図4に示すように、緩衝保護部材15の内端部が挿入する保持溝25が、保持筒部24の内周に沿って環状に設けられている。この保持溝25は、その軸方向の長さ(深さ)が筒状部材13の鍔状部17の軸方向の長さ(厚み)とほぼ同じ長さに形成されている。これにより、緩衝保護部材15は、その軸方向の長さにおける半分程度の部分が、保持筒部24内に配置されてガイドされるように構成されている。
【0035】
この場合、保持溝25は、図2?図4に示すように、その径方向における外周側の内径が保持筒部24の内径と同じ大きさで、径方向における内周側の内径が筒状部材13の鍔状部17の外径よりも小さく形成されている。このため、筒状部材13の鍔状部17は、その外周部17aが保持溝25の内周側から外周側に位置する保持筒部24に向けてストッパ部として突出するように構成されている。
【0036】
一方、緩衝保護部材15は、図2?図4に示すように、ほぼ円筒状に形成され、その外径が本体ケース2の保持筒部24の内径とほぼ同じ大きさで、内径が操作部材14の頭部19の外径および筒状部材13の鍔状部17の外径とほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、緩衝保護部材15は、本体ケース2の保持筒部24内にその軸方向にスライド可能に配置され、この状態で内部に操作部材14の頭部19がその軸方向にスライド可能に配置されるように構成されている。
【0037】
また、この緩衝保護部材15は、図2?図4に示すように、その軸方向の長さが、操作部材14の頭部19が押し出された第1の位置(図2に示す位置)の状態で、その頭部19の外端面から筒状部材13の鍔状部17の内端面までの長さよりも長く、かつ頭部19の外端面から本体ケース2の保持溝25における軸方向の内端面(底面)までの長さよりも短い長さで形成されている。これにより、保持筒部24の保持溝25は、その内部に緩衝保護部材15の内端部がスライドするための隙間が設けられるように構成されている。
【0038】
この場合、緩衝保護部材15の内端部には、図2?図4に示すように、本体ケース2の保持溝25内にスライド可能に配置された状態で、筒状部材13の鍔状部17の外周部17aに接離可能に当接する当接部15aが、緩衝保護部材15の中心軸側に向けて突出して設けられている。また、この緩衝保護部材15の外周部には、本体ケース2の保持筒部24の外端部に接離可能に当接する位置規制部15bが設けられている。
【0039】
これにより、緩衝保護部材15は、図2に示すように、その内端部および当接部15aが本体ケース2の保持溝25内にスライド可能に配置された状態で、本体ケース2の保持筒部24から外部に向けて押し出されて、その内端部に設けられた当接部15aの外側面が鍔状部17の外周部17aの内側面に当接した際に、緩衝保護部材15の外周部の位置規制部15bが本体ケース2の保持筒部24の外端部から軸方向に所定間隔(S2)だけ離れるように構成されている。
【0040】
また、この緩衝保護部材15は、図4に示すように、本体ケース2の保持筒部24内に押し込まれて、その外周部の位置規制部15bが本体ケース2の保持筒部24の外端部に当接した際に、緩衝保護部材15の内端部に設けられた当接部15aの外側面が鍔状部17の外周部17aの内側面から軸方向に所定間隔(S2)だけ離れるように構成されている。
【0041】
この場合、緩衝保護部材15は、図2?図4に示すように、第2の付勢部材である第2ばね部材26によって本体ケース2の保持筒部24内から外部に向けて押し出される方向に付勢されるように構成されている。すなわち、この第2ばね部材26は、リング形状の皿ばねであり、本体ケース2の保持溝25内に配置されるように構成されている。
【0042】
この場合、第2ばね部材26は、図2?図4に示すように、その外周側の縁部が保持溝25内における軸方向の内面(底面)に弾接し、第2ばね部材26の内周側の縁部が緩衝保護部材15の内端部に設けられた当接部15aの内端面に弾接することにより、緩衝保護部材15を本体ケース2の保持筒部24内から外部に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。
【0043】
これにより、緩衝保護部材15は、図2?図4に示すように、通常状態のときに、第2ばね部材26のばね力によって本体ケース2の保持筒部24内から外部に向けて押し出され、また第2ばね部材26のばね力に抗して保持筒部24の内部に向けて押し込まれるように構成されている。
【0044】
この場合、第2ばね部材26は、図2?図4に示すように、そのばね力が第1ばね部材23のばね力とほぼ同じ強さに設定されていても良いが、第1ばね部材23のばね力よりも強く設定されていることが望ましい。すなわち、この第2ばね部材26は、緩衝保護部材15が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃に応じて緩衝保護部材15がスライドして圧縮されることにより、衝撃を緩衝するために、第1ばね部材23のばね力よりも強く設定されている。
【0045】
また、この緩衝保護部材15は、図2?図4に示すように、そのスライド長さS2が操作部材14のスライド長さS1よりも短く(S2<S1)設定されている。すなわち、緩衝保護部材15のスライド長さS2は、緩衝保護部材15の内端部に設けられた当接部15aが鍔状部17の外周部17aに当接した第1の位置(図2に示す位置)と、緩衝保護部材15の外周部の位置規制部15bが本体ケース2の保持筒部24の外端部に当接した第3の位置(図3に示す位置)との間の長さに設定されている。
【0046】
この場合、第1の位置は、図2に示すように、緩衝保護部材15の内端部に設けられた当接部15aが鍔状部17の外周部17aに当接した状態で、操作部材14が第1ばね部材23によって押し出され、操作部材14の軸部18の内端部に設けられた抜止め部材21が筒状部材13の筒状部16の内端面に当接したときに、緩衝保護部材15の外端面と操作部材14の頭部19の外端面とがほぼ同一面上に配置される位置である。
【0047】
また、第3の位置は、図3に示すように、緩衝保護部材15が操作部材14の頭部19と共に本体ケース2に向けて押し込まれて、緩衝保護部材15の外周部の位置規制部15bが本体ケース2の保持筒部24の外端部に当接した状態で、緩衝保護部材15の外端面と操作部材14の頭部19の外端面とがほぼ同一面上に配置されたときに、操作部材14の軸部18の内端部が本体ケース2の内部に突出しても、スイッチ部22がオン状態にならない位置である。
【0048】
次に、このような腕時計のスイッチ装置10の作用について説明する。
このスイッチ装置10を組み立てる場合には、予め、本体ケース2の上部外周に防水パッキン3aを介して外装ケース3を取り付ける。そして、この本体ケース2の保持筒部24内に位置する保持溝25内に第2ばね部材26を配置し、この状態で緩衝保護部材15を本体ケース2の保持筒部24内に挿入させて、緩衝保護部材15の内端部および当接部15aを本体ケース2の保持溝25内に配置する。
【0049】
この状態では、緩衝保護部材15の内端部と本体ケース2の保持溝25における軸方向の内端面(底面)との間に第2ばね部材26が挟まれる。この状態で、本体ケース2の切欠き溝11b内に防水リング12を配置して、本体ケース2の貫通孔11内に筒状部材13の筒状部16を取り付ける。このときには、筒状部材13の筒状部16を本体ケース2の貫通孔11内に挿入すると共に、筒状部材13の鍔状部17を緩衝保護部材15の内部に配置する。
【0050】
この状態で、鍔状部17の締付溝17bにドライバなどの工具を挿入させて、鍔状部17を回転させることにより、筒状部16の雄ねじ部16aを貫通孔11の雌ねじ部11aに螺合させて締め付ける。これにより、筒状部16が貫通孔11に取り付けられると共に、鍔状部17が防水リング12を切欠き溝11b内に押し付ける。
【0051】
また、このときには、鍔状部17の外周部17aの内側面が緩衝保護部材15の当接部15aの外側面に当接して、第2ばね部材26を緩衝保護部材15の内端部と本体ケース2の保持溝25における軸方向の内端面(底面)との間に弾力的に挟み付ける。これにより、緩衝保護部材15が本体ケース2の保持筒部24内にスライド可能な状態で取り付けられる。
【0052】
この場合には、緩衝保護部材15が第2ばね部材26のばね力によって本体ケース2の外部に向けて押し出されることにより、緩衝保護部材15の内端部に設けられた当接部15aの外側面が鍔状部17の外周部17aの内側面に当接し、緩衝保護部材15の外周部の位置規制部15bが本体ケース2の保持筒部24の外端部から軸方向に所定間隔(S2)だけ離れた状態で配置される。
【0053】
そして、操作部材14を筒状部材13に取り付ける。このときには、予め、操作部材14の軸部18の外周部に複数の防水リング20を取り付けると共に、軸部18の外周に第1ばね部材23を配置する。この状態で、操作部材14の軸部18を本体ケース2の保持筒部24側から筒状部材13の筒状部16内に挿入させて、軸部18の内端部を本体ケース2内に突出させると共に、操作部材14の頭部19を緩衝保護部材15内に挿入させる。
【0054】
この状態で、本体ケース2内に突出した軸部18の内端部に抜止め部材21を取り付ける。これにより、軸部18の複数の防水リング20が筒状部材13の筒状部16の内周面に摺動可能な状態で圧接することにより、軸部18の外周面と筒状部16の内周面との間の防水が図られる。
【0055】
また、このときには、第1ばね部材23のばね力によって頭部19が緩衝保護部材15内から外部に向けて押し出されることにより、軸部18の内端部の抜止め部材21が本体ケース2の内周面に位置する筒状部材13の筒状部16の内端面に当接する。この状態では、頭部19の外端面と緩衝保護部材15の外端面とが同一面上に配置される。
【0056】
この状態で、本体ケース2内に時計モジュール6を組み込む。このときには、時計モジュール6に設けられたスイッチ部22を操作部材14の軸部18の内端部に対応させる。この場合には、予め、時計モジュール6の外周部にスイッチ部22の接点部22aを設け、この接点部22aの近傍に位置する時計モジュール6の外周部にスイッチ部22の接点ばね22bの一端部を設け、この接点ばね22bbの可変部の他端部を接点部22aに接離可能に対応させる。これにより、時計モジュール6にスイッチ部22が取り付けられる。
【0057】
この状態で、時計モジュール6を本体ケース2内に組み込む際には、スイッチ部22の接点ばね22bを、本体ケース2内に突出した操作部材14の軸部18の内端部に弾接させた状態で配置する。これにより、スイッチ装置10が腕時計ケース1に組み付けられる。この後は、本体ケース2の下面に裏蓋5を取り付ければ良い。
【0058】
次に、このスイッチ装置10を使用する場合について説明する。
このスイッチ装置10では、通常状態のときに、図2に示すように、緩衝保護部材15が第2ばね部材26のばね力によって本体ケース2の保持筒部24内から外部に向けて押し出される。また、このときには、操作部材14の頭部19が第1ばね部材23のばね力によって本体ケース2の外部に向けて押し出されて、第1の位置に配置される。
【0059】
すなわち、緩衝保護部材15が第2ばね部材26のばね力によって押し出された際には、図2に示すように、緩衝保護部材15の内端部における当接部15aの外側面が筒状部材13の鍔状部17における外周部17aの内側面に当接し、緩衝保護部材15の外周部に設けられた位置規制部15bが本体ケース2の保持筒部24の外端部から所定間隔(S2)だけ離れた位置に配置される。
【0060】
また、操作部材14の頭部19が第1ばね部材23のばね力によって押し出された際には、図2に示すように、操作部材14の軸部18の内端部に設けられた抜止め部材21が本体ケース2内に位置する筒状部16の内端面に当接して、この軸部18の内端部が時計モジュール6のスイッチ部22の接点部22aから離れる。これにより、スイッチ部22がオフ状態になる。この状態では、緩衝保護部材15の外端部と操作部材14の頭部19の外端面とがほぼ同一面上に配置される。
【0061】
そして、操作部材14の頭部19を押圧する際には、頭部19よりも外径の大きい緩衝保護部材15が頭部19と共に押圧される。このときには、第2ばね部材26のばね力が第1ばね部材23のばね力よりも強く設定されていることにより、第2ばね部材26のばね力に抗して緩衝保護部材15を操作部材14の頭部19と共に押圧する。
【0062】
これにより、図3に示すように、操作部材14の頭部19よりも外径の大きい緩衝保護部材15と共に操作部材14の頭部19がスライドすることで、操作部材14の押し込み感覚が向上する。このため、緩衝保護部材15が保持筒部24でガイドされながら本体ケース2側に向けてスライドし、緩衝保護部材15の位置規制部15bが保持筒部24の外端部に当接して位置規制される。
【0063】
これと同時に、操作部材14の頭部19が緩衝保護部材15と共に本体ケース2内に向けてスライドする。このときには、図3に示すように、操作部材14の軸部18が筒状部材13の筒状部16内をスライドし、軸部18の内端部が本体ケース2内に突出して、時計モジュール6のスイッチ部22の接点ばね22bを接点部22aに向けて押圧するが、緩衝保護部材15のスライド長さS2が操作部材14のスライド長さS1よりも短いため、軸部18の内端部が本体ケース2内に突出しても、スイッチ部22がオンすることはない。
【0064】
この状態で、操作部材14の頭部19を第1ばね部材23のばね力に抗して押圧する。このときには、図4に示すように、緩衝保護部材15はスライドせず、操作部材14のみがスライドし、頭部19が第1ばね部材23を圧縮させて筒状部材13の鍔状部17に接近すると共に、軸部18の内端部が更に本体ケース2内に突出して、スイッチ部22の接点ばね22bを接点部22aに押し付けて接触させる。これにより、スイッチ部22がオン状態になる。
【0065】
一方、スイッチ装置10が通常状態のときに、緩衝保護部材15が外部から衝撃を受けた際には、その衝撃に応じて緩衝保護部材15が操作部材14の頭部19と共にスライドして、第2ばね部材26を圧縮すると共に、頭部19が第1ばね部材23を圧縮する。これにより、衝撃が緩衝されると共に、緩衝保護部材15によって操作部材14の頭部19が保護される。
【0066】
また、緩衝保護部材15が外部から衝撃(緩衝保護部材15の軸方向に対して垂直方向や斜め方向からの衝撃)を受けた際には、保持筒部24が、ほぼ円筒状をなし、緩衝保護部材15の軸方向の長さの半分ぐらいまで延出して設けられているので、緩衝保護部材15が軸方向に対してねじれることなく、緩衝保護部材15によって操作部材14の頭部19が保護される。
【0067】
この場合、外部からの衝撃を緩衝しきれないときには、図3に示すように、緩衝保護部材15が更にスライドして、緩衝保護部材15の位置規制部15bが保持筒部24の外端部に当接して位置規制される。これにより、外部の衝撃を緩衝保護部材15によって確実に受け止めて、スイッチ部22が不用意にオンするのを確実に防ぐと共に、緩衝保護部材15によって操作部材14の頭部19を確実にかつ良好に保護する。
【0068】
また、このときには、操作部材14の軸部18が緩衝保護部材15と共にスライドして、軸部18の内端部が本体ケース2内に突出するが、図3に示すように、時計モジュール6のスイッチ部22がオン状態になることはない。このため、外部からの衝撃を受けても、軸部18の内端部によってスイッチ部22が誤動作したり破損したりすることがなく、スイッチ部22および時計モジュール6を良好に保護することができる。
【0069】
このように、この腕時計のスイッチ装置10によれば、貫通孔11が設けられた腕時計ケース1の本体ケース2と、この本体ケース2の貫通孔11に対してスライド可能に設けられた軸部18、およびこの軸部18の外端部に設けられて本体ケース2の外部に配置された頭部19を備えた操作部材14と、この操作部材14の頭部19の外周を覆った状態で、本体ケース2にスライド可能に設けられ、かつそのスライド長さS2が操作部材14のスライド長S1さよりも短く設定された緩衝保護部材15と、を備えていることにより、操作部材14の操作性を向上させ、かつ耐衝撃性を確保することができる。
【0070】
すなわち、この腕時計のスイッチ装置10では、操作部材14の頭部19を押し込む際に、操作部材14の頭部19と共に緩衝保護部材15をスライドさせた上、操作部材14のみをスライドさせて押し込むことができるので、操作部材14の頭部19の外径よりも大きい外径の緩衝保護部材15を操作部材14の頭部19と共にスライドさせることができ、これにより操作部材14の押し込み感覚を向上させることができるので、操作部材14の操作性を向上させることができる。
【0071】
また、この腕時計のスイッチ装置10では、緩衝保護部材15が外部から衝撃を受けた際に、緩衝保護部材15が操作部材14の頭部19を覆った状態で、緩衝保護部材15を頭部19と共にスライドさせることができるので、緩衝保護部材15によって衝撃を緩衝することができると共に、操作部材14の頭部19を良好に保護することができ、これにより耐衝撃性を確保することができる。
【0072】
この場合、本体ケース2は、その貫通孔11に設けられた筒状部材13と、緩衝保護部材15がスライド可能に配置される保持筒部24と、を備えていることにより、貫通孔11に設けられた筒状部材13によって操作部材14を本体ケース2の貫通孔11に対して確実にかつ良好に取り付けることができると共に、保持筒部24によって緩衝保護部材15をスライド可能な状態で本体ケース2に対して確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0073】
すなわち、筒状部材13は、本体ケース2の貫通孔11内に固定された筒状部16と、本体ケース2の外面に配置された鍔状部17と、を備えているので、筒状部16内に操作部材14の軸部18をスライド可能な状態で確実にかつ良好に取り付けることができる。また、保持筒部24は、緩衝保護部材15の外周に位置した状態で、本体ケース2にその外部に突出して設けられているので、保持筒部24の内部に緩衝保護部材15をスライド可能な状態で確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0074】
この場合、緩衝保護部材15は、その内端部に筒状部材13の鍔状部17の外周部17aに接離可能に当接する当接部15aが設けられ、外周部に保持筒部24の外端部に接離可能に当接する位置規制部15bが設けられていることにより、緩衝保護部材15のスライド長さS2を精度良く正確に設定することができる。
【0075】
すなわち、緩衝保護部材15は、本体ケース2の外部に向けて押し出された際に、当接部15aが鍔状部17の外周部17aに当接して、位置規制部15bが保持筒部24の外端部から所定間隔(S2)だけ離れ、本体ケース2の内部に向けて押し込まれた際に、位置規制部15bが保持筒部24の外端部に当接し、当接部15aが鍔状部17の外周部17aから所定間隔(S2)だけ離れることにより、緩衝保護部材15のスライド長さS2を精度良く正確に設定することができる。
【0076】
また、このスイッチ装置10では、操作部材14を本体ケース2の外部に向けて付勢する第1の付勢部材である第1ばね部材23と、緩衝保護部材15を本体ケース2の外部に向けて付勢する第2の付勢部材である第2ばね部材26と、を備えていることにより、第1ばね部材23のばね力によって操作部材14を本体ケース2の外部に向けて押し出すことができ、また第2ばね部材26のばね力によって緩衝保護部材15を本体ケース2の外部に向けて押し出すことができる。
【0077】
このため、このスイッチ装置10では、緩衝保護部材15が外部から衝撃を受けた際に、緩衝保護部材15がスライドしながら第2ばね部材26を圧縮させると共に、緩衝保護部材15のスライドに伴って操作部材14の頭部19がスライドして第1ばね部材23を圧縮させるので、衝撃を良好に緩衝することができると共に、操作部材14の頭部19を確実にかつ良好に保護することができる。
【0078】
また、このスイッチ装置10では、操作部材14の頭部19を押し込む際に、第2ばね部材26のばね力に抗して緩衝保護部材15を押し込むことにより、この緩衝保護部材15と共に操作部材14の頭部19を押し込むことができ、これにより緩衝保護部材15の位置規制部15bが保持筒部24の外端部に当接して、緩衝保護部材15のスライドを停止させた状態で、頭部19を第1ばね部材23のばね力に抗して更に押し込むことができるので、操作部材14の押し込み感覚を向上させることができ、これにより操作部材14の操作性を向上させることができる。
【0079】
この場合、第2ばね部材26は、そのばね力が第1ばね部材23のばね力よりも強く設定されていることにより、第2ばね部材26のばね力に抗して緩衝保護部材15を操作部材14の頭部19と共に押圧すると、緩衝保護部材15のスライドに伴って操作部材14の頭部19を確実にかつ良好にスライドさせることができ、緩衝保護部材15のスライドが停止した状態で、第2ばね部材26のばね力よりも軽い力で頭部19を更に押し込むことができるので、操作部材14の押し込み感覚を更に向上させることができ、これにより操作部材14の操作性を、より一層、向上させることができる。
【0080】
また、第2ばね部材26は、リング形状の皿ばねであることにより、構造が簡単で、低価格を図ることができると共に、設置スペースのコンパクト化を図ることができ、これにより緩衝保護部材15の内端部とこれに対応する本体ケース2の保持溝25内における軸方向の内端面との間の僅かな隙間に効率良く良好に設置することができる。
【0081】
また、このスイッチ装置10では、緩衝保護部材15が本体ケース2の外部に押し出された際に、その外端面と操作部材14の頭部19の外端面とがほぼ同一面上に位置することにより、外部からの衝撃を、操作部材14の頭部19が受けることがなく、緩衝保護部材15で受け止めることができるので、この緩衝保護部材15によって操作部材14を確実にかつ良好に保護することができる。
【0082】
さらに、このスイッチ装置10では、本体ケース2内に設けられて、操作部材14が緩衝保護部材15のスライド長さS2よりも長いスライド長さS1で押し込まれた際に、オン動作するスイッチ部22を備えていることにより、外部から衝撃を受けて緩衝保護部材15が操作部材14と共にスライドして押し込まれても、操作部材14がスイッチ部22をオン状態にさせないようにすることができ、これにより外部からの衝撃によるスイッチ部22の誤動作およびスイッチ部22の破損を確実に防ぐことができる。
【0083】
また、このスイッチ装置10における操作部材14のスライド長さS1は、操作部材14が押し出された第1の位置と操作部材14が押し込まれてスイッチ部22がオン状態になった第2の位置との間の長さに設定され、緩衝保護部材15のスライド長さS2は、緩衝保護部材15が押し出されてその外端部と操作部材14の外端面とがほぼ同一面上に位置する第1の位置と緩衝保護部材15が操作部材14と共に押し込まれてスイッチ部22がオン状態にならない第3の位置との間の長さに設定されていることにより、操作部材14の操作性が良く、かつ外部からの衝撃によるスイッチ部22の誤動作およびスイッチ部22の破損を確実に防ぐことができる。
【0084】
すなわち、このスイッチ装置10では、緩衝保護部材15のスライド長さS2が操作部材14のスライド長さS1よりも短いため、外部から衝撃を受けて緩衝保護部材15が操作部材14と共にスライドして押し込まれても、操作部材14がスイッチ部22をオン状態にさせないようにすることができ、これにより外部からの衝撃によるスイッチ部22の誤動作およびスイッチ部22の破損を確実に防ぐことができる。
【0085】
また、このスイッチ装置10では、操作部材14によってスイッチ部22をオン動作させる際に、まず、緩衝保護部材15を操作部材14と共に押し込んで、操作部材14の軸部18の内端部をスイッチ部22に接近させ、この状態で操作部材14のみを更に押し込んで、スイッチ部22をオン動作させることができるので、操作部材14の押し込み感覚を向上させることができ、これにより操作部材14の操作性が良く、確実にかつ良好にスイッチ部22をオン動作させることができる。
【0086】
なお、上述した実施形態では、第2の付勢部材であるばね部材26が皿ばねである場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えばスプリングワッシャなどの板状のばねであっても良い。
【0087】
また、上述した実施形態では、第2の付勢部材として、ばね部材26を用いた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば図5に示す変形例のように、第2の付勢部材として弾性部材30を用いても良い。この場合、弾性部材30は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エラストマなどの弾力性を有する合成樹脂、または衝撃吸収性を有するゲル状の樹脂などである。
【0088】
また、上述した実施形態では、スイッチ部22が接点部22aと接点ばね22bとを備えた構成である場合について述べたが、この発明はこれに限らず、マイクロスイッチや近接スイッチなどのスイッチ部であっても良い。
【0089】
さらに、上述した実施形態では、緩衝保護部材15の内端部に当接部15aを緩衝保護部材15の中心軸側に向けて突出させて設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、緩衝保護部材15の内端部に当接部を緩衝保護部材15の径方向における外周側に向けて突出させて設けた構成であっても良い。
【0090】
この場合には、本体ケース2に設けられた保持筒部24の内周面に緩衝保護部材15の当接部がスライド可能に挿入するガイド溝を設け、このガイド溝の軸方向における本体ケース2の外部側に位置する内端面に緩衝保護部材15の当接部が接離可能に当接することにより、緩衝保護部材15が外部に向けて押し出された際の位置を規制するように構成すれば良い。
【0091】
なおまた、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は必ずしも時計である必要はなく、例えば、携帯電話機や携帯情報端末機などの電子機器にも適用することができる。
【0092】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0093】
(付記)
請求項1に記載の発明は、貫通孔が設けられたケースと、前記ケースの前記貫通孔に対してスライド可能に設けられた軸部、および前記軸部の外端部に設けられて前記ケースの外部に配置された頭部を備えた操作部材と、前記操作部材の前記頭部の外周を覆った状態で、前記ケースに、前記操作部材のスライド方向にスライド可能に設けられた緩衝保護部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0094】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記緩衝保護部材のスライドの長さが前記操作部材のスライドの長さよりも短く設定されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0095】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記ケースには、前記緩衝保護部材の外周に位置した状態で、前記緩衝保護部材をスライド可能に保持する保持筒部が、前記ケースの外部に突出して設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0096】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチ装置において、前記保持筒部は、前記緩衝保護部材の軸方向の長さの半分ぐらいまで延出して設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0097】
請求項5に記載の発明は、請求項1?請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記操作部材を前記ケースの外部に向けて付勢する第1の付勢部材と、前記緩衝保護部材を前記ケースの外部に向けて付勢する第2の付勢部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0098】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチ装置において、前記第2の付勢部材は、ばね部材であることを特徴とするスイッチ装置である。
【0099】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチ装置において、前記第2の付勢部材は、弾力性を有する弾性部材であることを特徴とするスイッチ装置である。
【0100】
請求項8に記載の発明は、請求項1?請求項7のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記緩衝保護部材は、前記ケースの外部に前記操作部材と共に押し出された際に、前記緩衝保護部材の外端面と前記操作部材の外端面とがほぼ同一面上に位置することを特徴とするスイッチ装置である。
【0101】
請求項9に記載の発明は、請求項1?請求項8のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記ケース内に設けられて、前記操作部材が前記緩衝保護部材のスライド長さよりも長いスライド長さで押し込まれた際に、オン状態になるスイッチ部を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0102】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載のスイッチ装置において、前記操作部材のスライド長さは、前記操作部材が押し出された第1の位置と前記操作部材が押し込まれて前記スイッチ部がオン状態になった第2の位置との間の長さに設定され、前記緩衝保護部材のスライド長さは、前記緩衝保護部材が押し出されてその外端部と前記操作部材の外端面とがほぼ同一面上に位置する前記第1の位置と前記緩衝保護部材が前記操作部材と共に押し込まれても前記スイッチ部がオン状態にならない第3の位置との間の長さに設定されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0103】
請求項11に記載の発明は、請求項1?請求項10のいずれかに記載されたスイッチ装置を備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0104】
1 腕時計ケース
2 本体ケース
3 外装ケース
6 時計モジュール
10 スイッチ装置
11 貫通孔
11a 雌ねじ部
13 筒状部材
14 操作部材
15 緩衝保護部材
16 筒状部
16a 雄ねじ部
17 鍔状部
18 軸部
19 頭部
20 防水リング
21 抜止め部材
22 スイッチ部
23 第1ばね部材
24 保持筒部
25 保持溝
26 第2ばね部材
30 弾性部材
S1 操作部材のスライド長さ
S2 緩衝保護部材のスライド長さ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-03-31 
結審通知日 2021-04-05 
審決日 2021-04-16 
出願番号 特願2016-114613(P2016-114613)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G04B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 濱野 隆
岸 智史
登録日 2021-01-05 
登録番号 特許第6818228号(P6818228)
発明の名称 スイッチ装置および時計  
代理人 鹿嶋 英實  
代理人 鹿嶋 英實  

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