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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1375720
審判番号 不服2020-4818  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-08 
確定日 2021-07-09 
事件の表示 特願2016-66647号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月5日出願公開、特開2017-176369号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年3月29日の出願であって、平成31年4月18日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年6月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月18日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年11月25日に意見書と2通の手続補正書が提出されたところ、令和2年4月2日付け(送達日:同年同月6日)で令和1年11月25日付け手続補正がいずれも却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和2年4月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年12月23日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和3年2月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年2月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定されるとおりのものであると認められ、分説し、AないしJの符号を付与すると、次のとおりのものである。

「【請求項1】
A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、
B 遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段と、
C 遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段と、
D 前記遊技には通常遊技と該通常遊技より有利な有利遊技があり、前記役抽選手段の内部抽選結果に基づいて、該有利遊技に移行させるか否かを決定する決定手段と、
を具備し、
E 前記有利遊技には疑似ボーナスがあり、該疑似ボーナスは前記役抽選手段によって内部抽選される役ではなく、前記決定手段が該疑似ボーナスに移行させることを決定したことを契機に当選フラグが立ち、
F 前記疑似ボーナスは、複数の種類があり、その種類に応じて疑似ボーナスの当選フラグを立ち、
G 前記役抽選手段がボーナス役を当選させて、該ボーナス役が内部当選中に、前記図柄表示制御手段が複数の回胴を停止させて表示させることが可能な複数のリーチ目があり、
H 前記図柄表示制御手段は、前記決定手段の決定結果に応じて、前記回胴を停止させる為の制御を変更すると共に、前記有利遊技に移行させることが決定され、前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、前記役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、複数のリーチ目の中の1つのリーチ目を表示させることが可能であり、
I 前記有利遊技の当選の有無、または当選した前記有利遊技の種類に応じて、前記図柄表示制御手段は、リールの図柄停止制御を変更可能なこと、
J を特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由は、以下のとおりのものである。

本件補正前の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内において頒布された下記の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:「ドロンジョにおまかせ」,パチスロ必勝ガイド攻略年鑑 2004 第7巻第2号,株式会社白夜書房パチスロ必勝ガイドMAX2003年9月号,株式会社白夜書房,2004年2月1日発行,P.10-19
引用文献2:「ドロンジョにおまかせ」,パチスロ必勝ガイドMAX2003年9月号,株式会社白夜書房,2003年9月1日発行,P.4-11

第4 当審拒絶理由の検討

1 引用文献及び引用発明

(1) 引用文献1の記載事項、認定事項及び引用発明
当審における拒絶理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された「ドロンジョにおまかせ」,パチスロ必勝ガイド攻略年鑑 2004 第7巻第2号,株式会社白夜書房パチスロ必勝ガイドMAX2003年9月号,株式会社白夜書房,2004年2月1日発行,P.10-19の記載事項、及び、当該記載事項より認定できる事項は、以下のとおりである(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

ア P.10右上に掲載されたパチスロ機「ドロンジョにおまかせ」の正面図


上記したパチスロ機「ドロンジョにおまかせ」の正面図より、以下の点が見て取れる。
パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」は、横に3列並んだ図柄を遊技者が視認可能な窓が設けられ、その下に、スタートレバーと3個のボタンを備えるものである。
そして、パチスロ機の技術常識を参酌すると、横に3列並んだ図柄は、外周面に複数種類の図柄が配置された3つのリールに記載されたものであり、3個のボタンは、それぞれ、上記の3つのリールに対応しており、スタートレバーを操作することによりリールが回転駆動し、ボタンを操作することによって、それぞれのリールが停止するように構成されていると認められ、当該パチスロ機が、リールの回転駆動及び停止を行う手段(以下、「リール制御を行う手段」という。)を有することは、当業者にとって明らかである。

イ P.10上部に掲載された「基本スペック表」、「各役払い出し表」の欄

上記した「各役払い出し表」の欄を参照すると、パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」には、最上段にBIG BONUSである「赤7」、2段目にスーパードロンボーナスである「青7」、右下側に5枚役である「ベル」、2枚役である「チェリー」等の役が存在することが示されており、複数の役が設定されていることが見て取れる。
そして、パチスロ機の技術常識を参酌すると、上記の複数の役が、内部抽選により決定されることは当業者にとって明らかであり、パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」は役の内部抽選を行う抽選手段を備えるものと認められる。

ウ P.10下部右側に掲載された「3種のボーナスを搭載」の欄

上記した「3種のボーナスを搭載」の欄において、「レギュラー非搭載の爆裂仕様・ATマシン!!」のタイトル以降に、以下の記載がある。
「2003年、最大のヒットと言って過言ではない平和の『ドロンジョにおまかせ』。
まずは基本スペックを確認しよう。本機はレギューラーボーナスを搭載していないAタイプ。赤7揃いでスタートするビッグボーナスの他に2種類のAT機能を搭載している。各ATにはそれぞれ「ドロンボーナス(DB)」と「スーパードロンボーナス(SDB)」という名前がつけられており、ドロンボー絵柄が揃うとDB、青7が揃った場合はSDBへと突入する。他の一般的なAT機では特に特定の絵柄が揃わなくてもATは発動するが、本機は「絵柄を揃えて初めて発動する」ということを頭に入れておこう。」

エ P.10下部左側に掲載された「ビッグ&2種類のAT」の欄


上記した「ビッグ&2種類のAT」の欄の記載より、パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」は、3種のボーナスとして、「平均獲得枚数が402.00枚の「ビッグボーナス」、平均獲得枚数が459.88枚の「スーパードロンボーナス(SDB)」、平均獲得枚数が114.97枚の「ドロンボーナス(DB)」の3種のボーナスの状態が設定されている点が見て取れる。
また、パチスロ機の技術常識を参酌すると、遊技の状態のうち、ボーナスの状態が遊技者に有利な遊技状態であることは明らかであり、また、ボーナスの状態以外に、遊技の状態として、通常の状態が存在することも、当業者にとって明らかである。

オ P.11上部右側に掲載された「ボーナスが揃うまでの流れ」の欄

上記した「ボーナスが揃うまでの流れ」の欄において、「液晶演出の連続発生がボーナス告知の前兆!!」のタイトル以降に、以下の記載がある。
「3種類のボーナスのうち、ビッグに関しては当然のことながら毎ゲーム抽選されているのだが、ATは「純ハズレ成立時にのみ抽選」となる(純ハズレは通常ゲーム中に約3分の1で成立)。
抽選をクリアして見事ビッグやATを引き当てた場合は、続いて「演出用RT」に突入するかどうかを選択。RTなし(3分の1)の場合は即座に確定系の演出が出現するのだが、RT突入(3分の2)が選択された場合は、最大で7GにわたってRTが継続…この間はアツい演出が頻発し、RT終了時に確定系の演出が出現する。いずれにしても、実際にボーナス絵柄を揃えられるのはほぼ「液晶での確定告知後」となるので、それまでは、演出の行方をじっくりと見守ろう。」
上記の記載より、「純ハズレ成立時」に、「AT抽選」が行われていることが読み取れることから、ATにするか否かの抽選であるAT抽選は、純ハズレ成立時に行われるといえ、パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」は、AT抽選を行う手段(以下、「AT抽選手段」という。)を有するものと認められる。
また、「抽選をクリアして見事」「ATを引き当てた場合」とは、AT抽選において、ATに当選した場合のことであることは、当業者にとって明らかである。

カ P.11上部左側に掲載された「ボーナスは告知後に揃えられる」の欄

上記した「ボーナスが揃うまでの流れ」の左側部分に記載された「ボーナスは告知後に揃えられる」の欄を参照すると、当該欄において、「ビッグorAT(SDB・DB)に当選」と記載された部分を起点とした矢印が「確定系の演出が出現」の部分に伸ばされ、「確定系の演出が出現」の部分を起点とする矢印が、「ビッグやATが揃う状態になる」と記載された部分に伸ばされている。
そして、「確定系の演出が出ないとビッグorATともに揃えられない」と記載され、さらに「最終的に「確定告知」が出ればボーナス絵柄を揃えられる。」と記載されている。
ここにおいて、「ビッグorATともに揃えられない」状態と、「ビッグやATが揃う状態」が、リール制御を変更することによって実現されていることは、パチスロ機の技術常識を参酌すれば当業者にとって明らかである。
してみると、上記の欄の記載及び上記ウの記載より、AT(スーパードロンボーナス、又は、ドロンボーナス)に当選した場合に、確定系の演出が出現し、青7又はドロンボー絵柄が揃えられるようにリール制御が変更される点が記載されていると認められる。

キ P.11下部に掲載された「DDT打法でボーナスを迅速に察知」の欄」の「ビッグorAT当選時に出現する出目」の欄

上記した「ビッグorAT当選時に出現する出目」として、右側の図において、リーチ目が選択率1/10で出現することが記載されていることから、ビッグボーナス又はATであるスーパードロンボーナス(SDB)、ドロンボーナス(DB)のいずれかのボーナスに当選すると、リーチ目が出現し得ることが見て取れる。

ク P.15下部に掲載された「ビッグ中の強ハズレ」の欄

上記した「ビッグ中の強ハズレ」の欄には、「純ハズレの約240分の1が「強ハズレ」となり、これを引くとリーチ目が停止→ビッグ後は必ずATの連チャン状態に突入する。・・・」と記載されている。
上記の記載より、強ハズレが、役の内部抽選で不当選となった複数種類のハズレのうちの一つであり、リーチ目は、強ハズレの場合に停止する点が読み取れる。

上記アないしクに示した事項より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、aないしjの符号は、本願発明の構成AないしJに対応させて当審にて付与した。

「a 外周面に複数種類の図柄が配置された3つのリールを有し(ア)、
b 役の内部抽選を行う抽選手段を備え(イ)、
c 3個のボタンを備えているとともに、リール制御を行う手段を備え、3個のボタンは、それぞれ、3つのリールに対応しており、ボタンを操作することによって、それぞれのリールが停止するように構成されており(ア)、
d 遊技の状態として、通常の状態と、遊技者に有利な遊技状態である平均獲得枚数が402.00枚のビッグボーナス、平均獲得枚数が459.88枚のスーパードロンボーナス、平均獲得枚数が114.97枚のドロンボーナスの状態があり(エ)、
e、f スーパードロンボーナス(SDB)及びドロンボーナス(DB)は、ATであり(ウ)、ATにするか否かの抽選であるAT抽選は、AT抽選手段により純ハズレ成立時に行われ、AT抽選においてATに当選し(オ)、スーパードロンボーナス(SDB)は青7が揃った場合に発動するように、ドロンボーナス(DB)はドロンボー絵柄が揃った場合に発動するように構成され(ウ)、
g ビッグボーナス、スーパードロンボーナス(SDB)、ドロンボーナス(DB)のいずれかのボーナスに当選すると、リーチ目が出現し得るものであり(キ)、
h、i スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選した場合に、確定系の演出が出現し(カ)、リール制御を行う手段は、確定系の演出が出現すると、青7、又は、ドロンボー絵柄が揃えられるようにリール制御を変更し(カ)、役の内部抽選で不当選となった複数種類のハズレの一つである強ハズレの場合に、リーチ目が停止する(ク)、
j パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」(ア)。」

(2) 引用文献2の記載事項及び認定事項
当審における拒絶理由に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布された「ドロンジョにおまかせ」,パチスロ必勝ガイドMAX2003年9月号,株式会社白夜書房,2003年9月1日発行,P.4-11の記載事項、及び、当該記載事項より認定できる事項は、以下のとおりである

ア P.9右上部の「フラグ成立を察知するまでの道程!!」の欄

上記した「フラグ成立を察知するまでの道程!!」の欄には、「ボーナスフラグ(ビッグorSDBorDB)に当選」と記載され、当該欄のタイトルが「フラグ成立を察知するまでの道程!!」とされていることから、ビッグボーナス、SDB、DBに当選すると、ボーナスフラグが立てられると認められ、「ボーナスフラグ(ビッグorSDBorDB)に当選」した場合において、右側に「リーチ目が出現」と記載されていることから、リーチ目が出現し得るようになるものと認められる。
以上のことから、引用文献2には、「ビッグボーナス、SDB又はDBに当選すると、ボーナスフラグが立てられ、リーチ目が出現し得るようになる点。」(以下、「引用文献2記載事項1」という。)が記載されていると認められる。

イ P.9の左下部分の「DDT打法使用時の重要出目」の欄

上記した「DDT打法使用時の重要出目」の欄には、リーチ目として、5種類の出目が記載されており、そのリーチ目は、上記(2)アに示した「フラグ成立を察知するまでの道程!!」の欄において、「ボーナスフラグ(ビッグorSDBorDB)に当選」した場合に出現するものであるから、上記の5種類のリーチ目は、「ボーナスフラグ(ビッグorSDBorDB)に当選」した場合に出現し得るリーチ目の例であると認められる。 したがって、リーチ目として、複数種類の出目が設定されており、「ボーナスフラグ(ビッグorSDBorDB)に当選」した場合に、それらのうちの1つのリーチ目が出現するものと認められる。
以上のことから、引用文献2には、「ビッグボーナス、SDB又はDBに当選した場合に出現するリーチ目には複数種類の出目が設定され、ビッグボーナス、SDB又はDBに当選した場合には、それらのうちの1つのリーチ目が出現する点。」(以下、「引用文献2記載事項2」という。)が記載されていると認められる。

2 対比

本願発明と引用発明とを対比する。なお、(a)ないし(j)の符号は、本願発明の構成AないしJに対応させて合議体により付与した。

(a) 本願発明の構成Aについて
引用発明の構成aにおける「外周面に複数種類の図柄が配置された3つのリール」は、本願発明の「外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

(b) 本願発明の構成Bについて
引用発明の構成bにおける「役の内部抽選を行う抽選手段」は、遊技毎に役の内部抽選を行うことは、パチスロ機の技術常識を考慮すると明らかであるから、本願発明の構成の構成Bにおける「遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

(c) 本願発明の構成Cについて
引用発明の構成cにおける「それぞれ、3つのリールに対応」する「3個のボタン」は、本願発明の構成Cにおける「各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチ」に相当する。
また、引用発明の構成cにおける「ボタンを操作することによって、それぞれのリールが停止する」ことは、本願発明の構成Cにおける「停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ」ることに相当する。
そして、引用発明の構成cにおける「リール制御を行う手段」は、パチスロ機の技術常識を参酌すると、構成bにおける「抽選手段」の「役の内部抽選」の結果に基づいて図柄を表示させるものであることは明らかであるから、本願発明の構成Cにおける「内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段」に相当する。
また、引用発明の構成cにおける「リール制御を行う手段」が、遊技毎に複数の回胴を回転させるものであることは、パチスロ機の技術常識である。
したがって、引用発明の構成cにおける「それぞれ、3つのリールに対応」する「3個のボタン」「を操作することによって、それぞれのリール」を「停止」させ、「抽選手段」の「役の内部抽選」の結果に基づいて図柄を表示させる「リール制御を行う手段」は、本願発明の構成Cにおける「遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。

(d) 本願発明の構成Dについて
引用発明の構成dにおける「遊技の状態」のうち、「通常の状態」は、本願発明の構成Dにおける「通常遊技」に相当する。
引用発明の構成dにおける「遊技者に有利な遊技状態である平均獲得枚数が402.00枚のビッグボーナス、平均獲得枚数が459.88枚のスーパードロンボーナス(SDB)、平均獲得枚数が114.97枚のドロンボーナス(DB)の状態」は、本願発明の構成Dにおける「通常遊技より有利な有利遊技」に相当する。
また、引用発明の構成e、fにおける「純ハズレ成立時に行われ」る「ATにするか否かの抽選であるAT抽選」は、「純ハズレ」が、役の内部抽選で不当選となったハズレを意味することは、パチスロ機の技術分野における技術常識であるから、構成bにおける「抽選手段」による「役の内部抽選」に基づくものである。
そして、引用発明の構成e、fにおける「ATであ」る「スーパードロンボーナス(SDB)及びドロンボーナス(DB)」は「通常遊技より有利な有利遊技」であり、「AT抽選手段」により「ATにするか否か」が抽選されるものである。
してみると、引用発明の構成e、fにおける「純ハズレ成立時に」、「ATであ」る「スーパードロンボーナス(SDB)及びドロンボーナス(DB)」「にするか否か」を「抽選」する「AT抽選手段」は、本願発明の構成Dにおける「前記役抽選手段の内部抽選結果に基づいて、該有利遊技に移行させるか否かを決定する決定手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。

(e) 本願発明の構成Eについて
引用発明の構成e、fにおける「ATであ」る「スーパードロンボーナス(SDB)及びドロンボーナス(DB)」は、「AT抽選手段により純ハズレ成立時に行われ」る「ATにするか否かの抽選であるAT抽選」の「当選」が条件となるものであるから、本願発明の構成Eにおける「前記役抽選手段によって内部抽選される役ではな」い「疑似ボーナス」に相当する。
また、引用発明の構成e、fにおける、「ATであ」る「スーパードロンボーナス(SDB)及びドロンボーナス(DB)」が、「ATにするか否かの抽選であるAT抽選」で「当選」することは、本願発明の構成Eにおける「前記決定手段が該疑似ボーナスに移行させることを決定」することに相当する。
よって、引用発明と本願発明の構成Eとは、「前記有利遊技には疑似ボーナスがあり、該疑似ボーナスは前記役抽選手段によって内部抽選される役ではなく、前記決定手段が該疑似ボーナスに移行させることを決定」する点で一致する。

(f) 本願発明の構成Fについて
本願発明の構成Fに関して、「疑似ボーナスの当選フラグを立ち」の記載は、「疑似ボーナスの当選フラグが立ち」の誤記であると認められることから、本願発明の構成Fは、「決定手段が疑似ボーナスに移行させることを決定したことを契機に当選フラグが立ち、前記疑似ボーナスの種類に応じて擬似ボーナスの当選フラグが立ち、前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、リーチ目を表示させることが可能である」の記載によって特定される構成であると認定し、以下、検討する。
引用発明の構成e、fにおける「AT」として「スーパードロンボーナス(SDB)及びドロンボーナス(DB)」があることは、本願発明の構成Fにおける「前記疑似ボーナスは、複数の種類があ」ることに相当する。
よって、引用発明と本願発明の構成Fとは、「前記疑似ボーナスは、複数の種類があ」る点で一致する。

(g) 本願発明の構成Gについて
引用発明の構成b及び構成gにおける「役の内部抽選を行う抽選手段」により「ビッグボーナス」「に当選」したことは、本願発明の構成Gにおける「前記役抽選手段がボーナス役を当選させて、該ボーナス役が内部当選中」であることに相当する。
また、引用発明の構成gにおける「ビッグボーナス」「に当選すると、リーチ目が出現し得る」ことは、本願発明の構成Gにおける「該ボーナス役が内部当選中に、」「リーチ目」を「表示させることが可能」であることに相当する。
そして、引用発明の構成gにおける、リーチ目の出現は、構成cにおける「ボタンを操作することによって、それぞれのリールが停止するように構成され」た「リール制御を行う手段」によって実現されるものであるから、引用発明の構成c及び構成gにおける「ボタンを操作することによって、それぞれのリールが停止するように構成され」た「リール制御を行う手段」により「リーチ目が出現し得る」ことは、本願発明の構成Gにおける「前記図柄表示制御手段が複数の回胴を停止させて表示させることが可能な」「リーチ目があ」ることに相当する。
以上のことから、引用発明と本願発明の構成Gとは、「前記役抽選手段がボーナス役を当選させて、該ボーナス役が内部当選中に、前記図柄表示制御手段が複数の回胴を停止させて表示させることが可能な」「リーチ目があ」る点で一致する。

(h) 本願発明の構成Hについて
引用発明の構成h、iにおける「リール制御」が「変更」されることは、本願発明の構成Hにおける「前記回胴を停止させる為の制御を変更する」ことに相当する。
そして、引用発明の構成h、iにおける「スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選した場合に、」「青7、又は、ドロンボー絵柄が揃えられるようにリール制御を変更」することは、本願発明の構成Hにおける「前記図柄表示制御手段は、前記決定手段の決定結果に応じて、前記回胴を停止させる為の制御を変更する」ことに相当する。
また、引用発明の構成h、iにおいて、「リーチ目が停止」することは、リーチ目が表示されることを意味することが当業者にとって明らかであるから、引用発明の構成h、iにおける「スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選した場合に、確定系の演出が出現」し、「役の内部抽選で不当選となった複数種類のハズレの一つである強ハズレの場合に、リーチ目が停止する」ことと、本願発明の構成Hにおける「前記有利遊技に移行させることが決定され、前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、複数のリーチ目の中の1つのリーチ目を表示させることが可能なこと」とは、「前記有利遊技に移行させることが決定され」た「場合に、」「役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、」「リーチ目を表示させることが可能」である点で一致する。
よって、引用発明の構成h、iにおける「スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選した場合に、確定系の演出が出現し」、「リール制御を行う手段は、確定系の演出が出現すると、青7、又は、ドロンボー絵柄が揃えられるようにリール制御を変更し」、「役の内部抽選で不当選となった複数種類のハズレの一つである強ハズレの場合に、リーチ目が停止する」ことと、本願発明の構成Hにおける「前記図柄表示制御手段は、前記決定手段の決定結果に応じて、前記回胴を停止させる為の制御を変更すると共に、前記有利遊技に移行させることが決定され、前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、前記役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、複数のリーチ目の中の1つのリーチ目を表示させることが可能なこと」とは、「前記図柄表示制御手段は、前記決定手段の決定結果に応じて、前記回胴を停止させる為の制御を変更すると共に、」「前記有利遊技に移行させることが決定され」た「場合に、」「役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、」「リーチ目を表示させることが可能」である点で一致する。

(i) 本願発明の構成Iについて
引用発明の構成h、iにおける「スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選した場合に、」「青7、又は、ドロンボー絵柄が揃えられるようにリール制御を変更」することは、構成cを参酌すると「ボタンを操作することによって、それぞれのリールが停止する」制御である「リール制御」に関して、有利遊技に当選したか否かに応じて「リール制御を変更」することであるから、本願発明の構成Iにおける「前記有利遊技の当選の有無、または当選した前記有利遊技の種類に応じて、前記図柄表示制御手段は、リールの図柄停止制御を変更可能なこと」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Iに相当する構成を有する。

(j) 本願発明の構成Jについて
引用発明の構成jにおける「パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」」は、本願発明の構成Jにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Jに相当する構成を有する。

上記(a)ないし(j)より、本願発明と、引用発明とは、以下の点で一致する。

<一致点>

A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、
B 遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段と、
C 遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段と、
D 前記遊技には通常遊技と該通常遊技より有利な有利遊技があり、前記役抽選手段の内部抽選結果に基づいて、該有利遊技に移行させるか否かを決定する決定手段と、
を具備し、
E’ 前記有利遊技には疑似ボーナスがあり、該疑似ボーナスは前記役抽選手段によって内部抽選される役ではなく、前記決定手段が該疑似ボーナスに移行させることを決定し、
F’ 前記疑似ボーナスは、複数の種類があり、
G’ 前記役抽選手段がボーナス役を当選させて、該ボーナス役が内部当選中に、前記図柄表示制御手段が複数の回胴を停止させて表示させることが可能なリーチ目があり、
H’ 前記図柄表示制御手段は、前記決定手段の決定結果に応じて、前記回胴を停止させる為の制御を変更すると共に、前記有利遊技に移行させることが決定された場合に、役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、リーチ目を表示させることが可能であり、
I 前記有利遊技の当選の有無、または当選した前記有利遊技の種類に応じて、前記図柄表示制御手段は、リールの図柄停止制御を変更可能な
J 遊技機。

そして、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。

<相違点1> (構成E、F、Hに関して)
本願発明は、決定手段が疑似ボーナスに移行させることを決定したことを契機に当選フラグが立ち、前記疑似ボーナスの種類に応じて疑似ボーナスの当選フラグが立ち、前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、リーチ目を表示させることが可能であるのに対して、引用発明は、ATにするか否かの抽選であるAT抽選で当選すると、強ハズレの場合に、リーチ目が表示されるが、その場合に当選フラグが立つか否かが不明である点。

<相違点2> (構成G、Hに関して)
リーチ目に関して、本願発明は、複数のリーチ目があり、前記有利遊技に移行させることが決定される場合に、表示させることが可能であるリーチ目が、複数のリーチ目の中の1つであるのに対して、引用発明は、AT抽選で当選すると表示されるリーチ目が複数のリーチ目の1つであるか否かが不明である点。

3 検討

(1) 相違点1について
引用文献1と引用文献2は、いずれも、パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」の記事であり、両者は、同一のパチスロ機について記載したものであるから、引用発明における「スーパードロンボーナス(SDB)」と引用文献2記載事項1における「SDB」、引用発明における「ドロンボーナス(DB)」と引用文献2記載事項1における「DB」は、それぞれ、同一の遊技状態である。
そして、引用文献2には、引用文献2記載事項1として、「ビッグボーナス、SDB又はDBに当選すると、ボーナスフラグが立てられ、リーチ目が出現し得るようになる点」が記載されており、引用文献2記載事項1における「SDB又はDBに当選」すると立てられる「ボーナスフラグ」は、本願発明の上記相違点1に係る構成における「疑似ボーナスの当選フラグ」に相当し、引用文献2記載事項1における「SDB又はDBに当選すると、ボーナスフラグが立てられ」ることは、本願発明の上記相違点1に係る構成における「決定手段が疑似ボーナスに移行させることを決定したことを契機に当選フラグが立」つことに相当し、引用文献2記載事項1における「ボーナスフラグが立てられ、リーチ目が出現し得るようになる」ことは、本願発明の上記相違点1に係る構成における「前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、リーチ目を表示させることが可能である」ことに相当する。
してみると、上記相違点1に係る構成のうち、「決定手段が疑似ボーナスに移行させることを決定したことを契機に当選フラグが立ち、」「疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、リーチ目を表示させることが可能である」点は、引用文献2に記載されていると認められる。
また、例えば、特開2004-89345号公報の段落【0046】に「・・・この抽選結果が特別賞に当選する(ステップ30)と、対応するフラグ(ビッグボーナス賞、レギュラーボーナス賞で異なるフラグを立てるのが一般的である)をセットする(ステップS40)。」と記載され、特開2006-116052号公報の段落【0232】に「また、複数種類のボーナス(異なる当選フラグに対応したもの)がある場合において、・・・」と記載されているように、複数の異なるボーナスが設定された場合のような、複数の異なる遊技状態が存在する場合において、各々の遊技状態毎に異なるフラグを立てることにより、フラグによって遊技状態を区別可能とすることは、パチスロ機の技術分野において当業者の技術常識である。
そして、引用発明は、スーパードロンボーナス(SDB)とドロンボーナス(DB)のように、複数の異なる遊技状態が設定されていることから、引用発明に引用文献2記載事項1を適用するにあたって、上記技術常識を勘案し、スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選し、AT抽選においてATに当選した場合において、それらに対して異なるボーナスフラグを立てるとともに、リーチ目が出現し得るように構成し、本願発明の相違点1に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2) 相違点2について
引用文献2には、引用文献2記載事項2として、「ビッグボーナス、SDB又はDBに当選した場合に出現するリーチ目には複数種類の出目が設定され、ビッグボーナス、SDB又はDBに当選した場合には、それらのうちの1つのリーチ目が出現する点」が記載されている。
そして、上記(1)において指摘したように、引用文献1と引用文献2は、いずれも、パチスロ機「ドロンジョにおまかせ」の記事であることから、引用文献2記載事項2における「SDB」及び「DB」は、ATであり、引用文献2記載事項2における「SDB又はDBに当選」することは、引用発明の「AT抽選においてATに当選すること」に相当する。
してみると、引用発明に、引用文献2記載事項2を適用し、引用発明において、AT抽選で当選すると表示させることが可能なリーチ目として、複数種類の出目を設定し、本願発明の上記相違点2に係る構成を成すことは、当業者であれば容易になし得ることである。

(3) 作用効果について
本願発明によって奏される効果は、引用発明、引用文献2に記載された事項から、当業者が予測し得る程度のものである。

4 請求人の主張について

請求人は、令和3年2月9日提出の意見書において、本願発明は、特に「前記有利遊技には疑似ボーナスがあり、該疑似ボーナスは前記役抽選手段によって内部抽選される役ではなく、前記決定手段が該疑似ボーナスに移行させることを決定したことを契機に当選フラグが立ち、
前記疑似ボーナスは、複数の種類があり、その種類に応じて疑似ボーナスの当選フラグを立ち、
前記役抽選手段がボーナス役を当選させて、該ボーナス役が内部当選中に、前記図柄表示制御手段が複数の回胴を停止させて表示させることが可能な複数のリーチ目があり、
前記図柄表示制御手段は、前記決定手段の決定結果に応じて、前記回胴を停止させる為の制御を変更すると共に、前記有利遊技に移行させることが決定され、前記疑似ボーナスの当選フラグが立っている場合に、前記役抽選手段が内部抽選で不当選となったとき、複数の回胴を停止させて、複数のリーチ目の中の1つのリーチ目を表示させることが可能であり、
前記有利遊技の当選の有無、または当選した前記有利遊技の種類に応じて、前記図柄表示制御手段は、リールの図柄停止制御を変更可能なこと、」に特徴付けられるものである点を主張し、上記特徴的構成について、引用文献等を詳細に確認しても、記載や示唆は一切無い旨を主張している。
そこで、本願発明の「前記疑似ボーナスは、複数の種類があり、その種類に応じて疑似ボーナスの当選フラグが立ち、」の記載によって特定される構成について検討すると、確かに、引用文献1及び引用文献2には、疑似ボーナスの種類に応じて疑似ボーナスの当選フラグを立てることは直接的には記載されていない。しかしながら、上記3(1)において検討したように、パチスロ機の技術常識を参酌すると、フラグは、遊技状態を区別するために立てられるものであるから、有利遊技が複数種類設定された場合に、その種類に応じて疑似ボーナスの当選フラグを立てることは、当業者であれば当然に考え得ることであり、その構成が特定されたことによって、本願発明が格別な効果を奏し得るものとは認められない。
また、本願発明の「前記有利遊技の当選の有無、または当選した前記有利遊技の種類に応じて、前記図柄表示制御手段は、リールの図柄停止制御を変更可能なこと」の記載によって特定される構成について検討すると、引用発明は、構成h、iとして、「スーパードロンボーナス(SDB)、又は、ドロンボーナス(DB)に当選した場合に、確定系の演出が出現し」「、リール制御を行う手段は、確定系の演出が出現すると、青7、又は、ドロンボー絵柄が揃えられるようにリール制御を変更し」「、役の内部抽選で不当選となった複数種類のハズレの一つである強ハズレの場合に、リーチ目が停止する」構成を備えていることから、「2 対比」「(i) 本願発明の構成Iについて」において検討したように、引用発明も、本願発明の上記の構成に相当する構成を備えるものであり、本願発明の上記の構成に関する請求人の主張は採用できない。

第5 結び

以上のことから、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項、及び、技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-05-11 
結審通知日 2021-05-12 
審決日 2021-05-25 
出願番号 特願2016-66647(P2016-66647)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 澤田 真治
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
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