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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  E04H
管理番号 1375904
異議申立番号 異議2020-700829  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-26 
確定日 2021-07-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第6688128号発明「機械式立体駐車設備の制御方法及び機械式立体駐車設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6688128号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6688128号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成28年3月30日に出願され、令和2年4月7日にその特許権の設定登録がされ、同年4月28日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。
令和2年10月26日 特許異議申立人小松珠美(以下「申立人」と いう。)による請求項1ないし5に係る発明 の特許に対する特許異議の申立て
令和3年 1月 7日付け 取消理由通知
同年 3月10日 意見書の提出
同年 4月15日付け 審尋
同年 5月21日 申立人による回答書の提出

第2 本件発明
本件特許の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明5」という。)は、特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力ステップと、
前記第1入力ステップにおいて入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力ステップと、
前記第2入力ステップにおいてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、
を含み、
前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成され、前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであることを特徴とする機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項2】
前記操作盤は、ICカードリーダー及びキー操作部の双方の装置を含み、
前記第1記憶ステップでは、前記第1記憶手段に、前記第1暗証コード及び前記第1暗証コードに関連付けられた第1情報を記憶しておき、
前記第1入力ステップにおいて前記暗証コードは前記キー操作部を介して入力される、又は、前記ICカードリーダーを介してカードIDとして入力され、
前記第1認証ステップにおいては、前記第1入力ステップにおいて前記ユーザが前記暗証コードを入力した場合は前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定し、又は、前記第1入力ステップにおいて前記ユーザが前記カードIDを入力した場合は前記第1記憶手段に記憶された前記第1情報と一致するか否かを判定することにより、前記第1入力ステップにおいて入力を行った前記ユーザが契約したユーザであるか否かを判定する、請求項1に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項3】
前記第1認証ステップと前記第2認証ステップとの間において、当該第1認証ステップで入力された前記暗証コードが前記第1認証コードと一致すると判定された場合に、当該第1暗証コードに基づいて、当該第1暗証コードの前記一部の所定桁のコードであって且つ当該ユーザの同一の利用契約に係る前記第2暗証コードを生成し、第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップを更に含む、請求項1に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項4】
同一ユーザが複数台の利用契約に応じて前記第1暗証コードが複数付与される場合、所定桁数の当該第1暗証コードは前記一部の所定桁に同一のコードが含まれるように構成され、当該ユーザに係る第2暗証コードは当該同一のコードで共通のコードである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項5】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、
前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力処理と、
前記第1入力処理において入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証処理と、
前記第1認証処理において、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力処理と、
前記第2入力処理においてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証処理と、
前記第2認証処理において前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致していると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行し、
前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成され、前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードであることを特徴とする機械式立体駐車設備。」

第3 特許異議申立理由、取消理由の概要
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証ないし甲第4号証を提出し、請求項1?5に係る発明は、先願発明(甲第1号証に記載された発明)と同一であり、請求項1?5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである旨主張している。

2 取消理由の概要
当審が令和3年1月7日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
(拡大先願)本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、請求項1ないし5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

<証拠>
甲第1号証:特許出願2015-116426号の公開公報である特開2 017-2538号公報
甲第2号証:特許第4672250号公報

第4 当審の判断
1 取消理由(拡大先願)について
(1)各甲号証について
ア 先願明細書等の記載(下線は、当審で付した。以下同様。)
甲第1号証によれば、先願明細書等には、次の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、複数の車両を駐車させる駐車装置とその制御方法に係る。」

(イ)「【0030】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる装置である。
本発明の実施形態にかかる駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法である。
【0031】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、駐車機構100と制御機構200とで構成される。
駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である。
駐車機構100は、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉を設けられる入出庫空間との間で移動できてもよい。
入出庫空間120は、入庫時にドライバーが車両を入れて、乗り捨てる空間である。
入出庫空間120は、出庫時にドライバーが車両に乗り込む空間である。運転手は、車両に沿って、入出庫空間120から外へでる。
入出庫空間扉130は、入出庫空間120と外部空間との境をしきる開閉可能な扉である。
通常操作では、入出庫空間扉130が閉じているときにのみ、 駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間120との間で移動できる様になっている。
【0032】
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器である。 制御機構200の操作盤は、入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる。
ドライバーが制御機構200の操作盤を操作するときに、ドライバーは開いた入出庫空間扉130から入出庫空間120の内部を見張ることができる。
制御機構200は、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施する。
入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である。
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理である。
以下では、操作盤を操作するドライバーを操作者と呼称する。
以下では、説明の便宜上、駐車機構が車両をパレットに乗せて取り扱う形式であるとして、説明する。
以下では、制御機構200の実施する入出庫処理S100を説明する。」

(ウ)「【0033】
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できる。
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
制御機構200は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
【0034】
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する。
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
図1、図2は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
図3、図4は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
【0035】
開始処理S10は、開始指令を受ける処理である。
開始処理S10は、操作者が安全確認釦が押すのを待ってもよい。
操作者が、操作盤に設けられた安全確認釦を押す。
開始処理S10を完了すると、次ぎに第一認証処理S20を実施する。
開始処理S10を省略し、第一認証処理S20の開始をもって開始指令としてもよい。
開始処理S10において、操作者は入庫要求か出庫要求の何方の処理かを選択しても良い。
【0036】
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第一認証処理S20が、第一認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第一コードを記録してもよい。
第一認証処理S20が、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを記録してももよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを自動生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
【0037】
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S21は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S21は、操作者がキー入力するコードを入力する。 操作者適任?S22は、入力したコードから操作者が適任であるか否かを判定する。
例えば、操作者適任?S22は、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断する。
操作者適任?S22は、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断する。
操作者適任?S22は、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものでないとき操作者を適任と判断しない。
操作者を適任と判断したとき、次の操作者情報記録S23を実施する。 操作者を適任と判断しないとき、再度、操作者認証S21へ戻る。
操作者情報記録S23は、入力したコードを第一コードとして記録してもよい。。
操作者情報記録S23は、入力したコードに紐 付けされる紐付コードを第一紐付コードとして記録してもよい。
【0038】
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理である。
呼出処理S30は、スタート釦を押されるのをまち、入出庫空間の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にしてもよい。
操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押す。
入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させる。
パレットに普通車用パレットと大型車用パレットの形式があるとき、入力コー ドに応じて、普通車用パレットと大型車用パレットのどちらか一方の形式のパレットを入出庫空間120に移動させる。
出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる。
ここで、駐車機構がパレットを用いない形式である場合、入力コードに応じた車両を入出庫空間120に移動させる。
呼出処理S30を完了すると、次ぎに、扉開処理S40を実施する。
【0039】
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理である。
扉開処理S40は、呼出処理S30を完了すると、操作者の追加の操作を待たずに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
扉開処理S40は、操作者から扉開指令を待ち、扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
例えば、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押す。
扉開処理S40を完了すると、次ぎにドライバー入出庫待ちS50を実施する。
【0040】
ドライバー入出庫待ちS50は、操作者であるドライバーが入出庫作業をするのを待つ。
入庫要求であれば、ドライバーは、車両を入出庫空間120に入れて、車両を降り、入出庫空間120から出る。
出庫要求であれば、ドライバーは、入出庫空間120に入り、入出庫空間120にある車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
必要があれば、制御機器は、車両の誘導等を音声等により行う。
場合によっては、制御機器は、ドライバー入出庫待ちS50において特に何の処理もせず、次の扉閉指令受取処理S60を実施する。
【0041】
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理である。
例えば、扉閉指令受取処理S60は、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待つ。
扉閉指令受取処理S60を完了すると、次の第二認証処理S70を実施する。
【0042】
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第二認証処理S70が、第二認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第二コードを記録してもよい。
【0043】
第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成されてもよい。
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S71は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S71は、操作者がキー入力するコードを入力する。
操作者情報記録S73は、入力したコードを第二コードとして記録する。
第二認証処理S70を完了すると、次ぎに操作者判定処理S80を実施する。
【0044】
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理である。
操作者判定処理S80が、操作者一致?S81で構成されてもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが部分一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが所定の部分で一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
【0045】
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応すると判断しないときに、第二操作者に第一コードに相当するコードの入力を求めて、第一コードと第二操作者により入力されたコードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
【0046】
第一紐付コードは、第一コードに紐付けされ第一コードとは異なる紐付コードである。
第一紐付コードが第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが操作者に紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが、自動生成され、第一コードに紐付けされるコードであってもよい。
第一紐付コードが、自動生成され、操作者に紐付けされ、結果として第一コードに紐付けされるコードであってもよい。
【0047】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない。
【0048】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると操作者による追加の操作を必要とせずに扉閉処理をS90実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しなくてもよい。
【0049】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定する扉閉指令受け取り処理S60を行い、その後で扉閉処理をS90実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しなくてもよい。
図4は、操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定する扉閉指令受け取り処理S60を行い、その後で扉閉処理をS90実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉指令受け取り処理S60と扉閉処理S90とを実施しない様子を示す。
【0050】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定せず扉閉処理S90を実施しないときに、再度、扉閉指令受付処理S80と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とをこの順に実施してもよい。
図1は、操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定せず扉閉処理S90を実施しないときに、再度、扉閉指令受付処理S80と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とをこの順に実施する様子を示す。
【0051】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定せず扉閉処理S90を実施しないときに、再度、第二認証処理S70と操作者判定処理S80とをこの順に実施してもよい。
図2、図3は、 操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定せず扉閉処理S90を実施しないときに、再度、第二認証処理S70と操作者判定処理S80とをこの順に実施する様子を示す。
【0052】
扉閉処理S90は、入出庫空間扉の状態を開状態から閉状態に変化させる処理である。
扉閉処理S90が完了すると、入出庫処理S100を完了する。
【0053】
扉開処理S40を実施した時から所定時間を経過しても扉閉処理S90を実施しないときに、警告信号を出力してもよい。
【0054】
以下に本発明の幾つかのタイプの実施形態にかかる駐車装置とその制御方法を、詳述する。
最初に、本発明の第一の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法を、詳述する。
以下では、前述で説明した点と同一の点は説明を省略し、異なる点のみを、説明する。
【0055】
第一認証操作は操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる操作である。
第一コードはカード読み込機器により認証用カードを読み込んで獲得したコードである。
第二認証操作は操作者が文字コードをキー入力機器に入力する操作である。
第二コードはキー入力機器により入力されて獲得した文字コードである。
紐付コードが操作者の持つ認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである。
第一紐付コードが、第一操作者の持つ認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである。
例えば、文字コードが認証カードの裏面に印刷される。」

(エ)図面
a 図1



b 図5



上記図5から以下の点が看取できる。
・駐車機構100が、立体的であり、入出庫空間扉130を有している点。
・駐車機構100の外部に制御機構200の操作盤が設けられている点。

(オ)上記(ア)ないし(エ)からみて、先願明細書等には次の発明(以下「先願発明1-1」、「先願発明1-2」という。)が記載されているものと認める。
(先願発明1-1)
「駐車機構100と制御機構200とで構成され、複数の車両を駐車させる駐車装置の制御方法であって、
駐車機構100は、立体的であり、車両をパレットに乗せて取り扱う形式であり、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉が設けられる入出庫空間120との間で移動できるものであって、入出庫空間扉130を有していて、駐車機構100の外部に制御機構200の操作盤が設けられており、
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であり、
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できるものであり、
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されており、
操作者認証S21は、カード読み取り機器でICカードのコード、操作者がキー入力するコードを入力するものであり、
操作者適任?S22は、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断し、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断するものであり、
操作者情報記録S23は、入力したコードに紐付けされる紐付コードを第一紐付コードとして記録しておくものであり、
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理であって、スタート釦を押されるのをまち、操作者により、操作盤に設けられるスタート釦が押され、入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させるものであり、
呼出処理S30を完了すると、次に、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施し、
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されており、
操作者認証S71は、カード読み取り機器でICカードのコード、操作者がキー入力するコードを入力するものであり、操作者情報記録S73は、入力したコードを第二コードとして記録するものであり、
第二認証処理S70を完了すると、次に、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する操作者判定処理S80を実施するものであり、
操作者判定処理S80が構成される操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定するものであり、
第一紐付コードが、第一コードに紐付けされ第一コードとは異なる紐付コード、第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコード、操作者に紐付けされる様に予め設定されるコード、自動生成され、第一コードに紐付けされるコード、自動生成され、操作者に紐付けされ、結果として第一コードに紐付けされるコードであり、
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、入出庫空間扉の状態を開状態から閉状態に変化させる扉閉処理S90を実施する、
駐車装置の制御方法。」

(先願発明1-2)
「駐車機構100と制御機構200とで構成され、複数の車両を駐車させる駐車装置であって、
駐車機構100は、立体的であり、車両をパレットに乗せて取り扱う形式であり、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉が設けられる入出庫空間120との間で移動できるものであって、入出庫空間扉130を有していて、駐車機構100の外部に制御機構200の操作盤が設けられており、
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であり、
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できるものであり、
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されており、
操作者認証S21は、カード読み取り機器でICカードのコード、操作者がキー入力するコードを入力するものであり、
操作者適任?S22は、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断し、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断するものであり、
操作者情報記録S23は、入力したコードに紐付けされる紐付コードを第一紐付コードとして記録しておくものであり、
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理であって、スタート釦を押されるのをまち、操作者により、操作盤に設けられるスタート釦が押され、入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させるものであり、
呼出処理S30を完了すると、次に、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施し、
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されており、
操作者認証S71は、カード読み取り機器でICカードのコード、操作者がキー入力するコードを入力するものであり、操作者情報記録S73は、入力したコードを第二コードとして記録するものであり、
第二認証処理S70を完了すると、次に、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する操作者判定処理S80を実施するものであり、
操作者判定処理S80が構成される操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定するものであり、
第一紐付コードが、第一コードに紐付けされ第一コードとは異なる紐付コード、第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコード、操作者に紐付けされる様に予め設定されるコード、自動生成され、第一コードに紐付けされるコード、自動生成され、操作者に紐付けされ、結果として第一コードに紐付けされるコードであり、
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、入出庫空間扉の状態を開状態から閉状態に変化させる扉閉処理S90を実施する、
駐車装置。」

イ 甲第2号証の記載
(ア)「【0001】 本発明は、通行を管理する入退室管理システムに関するものであり、例えばビルの入退室管理を行う入退室管理システムに関する。」

(イ)「【0028】
さらに、管理エリアに応じて、通行管理制御部3が照合に用いる暗証番号の桁数を変更することは、来訪者の操作面においても次のメリットがある。すなわち 、メイン管理エリアAに入る際には暗証番号の全ての桁を入力する必要があるが、何回も入退室する可能性があるサブ管理エリアB、Cにおいては、暗証番号の一部の桁だけを入力することにより容易に入退室ができる。」

ウ 甲第3号証の記載
(ア)「(産業上の利用分野)
本発明は、金融システムに利用される複数枚カードによる自動入出金システムに関するものである。」(第1頁左欄第19行?右欄第3行)

(イ)「さらに、親カードの暗証コードの一部をそのまま子カードの暗証コードとしているので、自動入出金装置側における暗証コードの管理や照合処理が簡易になるという効果もある。」(第3頁左上欄第19行?右上欄第2行)

エ 甲第4号証の記載
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不正なパスワード入力を防止したデータ処理装置に関するものである。」

(イ)「【0059】図6に不正入力後、照合する暗証番号の桁数を変化させるフローを示す。不正入力とは所定の回数(ここでは3回)以上誤った暗証番号を入力することを言う。S3で操作者が暗証番号入力キー5bを押した後、テンキー5aから4桁または8桁の番号を入力する。S4でメモリカードの不一致回数9bが3よりも大きいか否かの判定を行ない、3以下であればS6でメモリカードに登録された8桁の暗証番号9aの下4桁と操作者の入力した番号とを比較する。S7で一致すれば、S8でメモリカードの不一致回数9bを0クリアし、S9でデータを復号化して操作者がデータをアクセスできる状態にする。不一致回数9bを0クリアするのは手段(2)の実施例である。S7で一致しなければ、不一致回数9bに1を足してカウントアップし、操作者が暗証番号を入力するのを待つ。S4で不一致回数9bが3よりも大きければ、メモリカードの8桁の暗証番号9aの全ての桁数と操作者が入力した暗証番号とを比較する。」

(2)本件発明1?5の拡大先願についての判断
ア 本件発明1
(ア)対比
請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)と先願発明1-1を対比する。
a 先願発明1-1の「立体的であ」る「駐車機構100及び制御装置200」で構成された「駐車装置」は、本件発明1の「機械式立体駐車設備」に相当し、
また、先願発明1-1の「駐車装置の制御方法」は、本件発明1の「制御方法」に相当し、
先願発明1-1の「車両をパレットに乗せて」「移動できる」「駐車空間」ないし「入出庫空間120」は、本件発明1の「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置」に相当し、
先願発明1-1の「駐車機構100の外部」に「設けられ」た「操作盤」は、本件発明1の「車庫装置の外部に設けられた操作盤」に相当する。
また、先願発明1-1の「第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施」できる「制御機構200」は、操作盤の操作に基づいて制御されることは明らかであるから、本件発明1の「操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置」に相当する。

b 先願発明1-1の「駐車装置」における「予め記録された適任コードテーブルに記載された」コードは、技術常識を踏まえれば、駐車装置の利用契約に応じてユーザに付与されたコードであり、また認証に利用されるコードであるから暗証コードであるといえ、また「予め記録」されたものであるから、制御装置が当然に有している記憶手段に記憶されているコードであるといえる。また、前記コードは、操作者がキー入力するコードとの比較に使用されるものであり、キー入力する以上所定桁数を有していることは明らかである。
そうすると、先願発明1-1は、本件発明1の「予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップ」の構成を有しているといえる。

c 先願発明1-1の操作者の「コード」の「入力」は、技術常識を踏まえれば、操作盤を介して行われるものであり、「入出庫空間扉130」が開く前に行われるものである。
そうすると、先願発明1-1は、本件発明1の「前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力ステップ」の構成を有しているといえる。

d 先願発明1-1の「入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断し、入力したコードが適任コードテーブルに記載され たものであるとき操作者を適任と判断する」ことは、本件発明1の「前記第1入力ステップにおいて入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証ステップ」に相当する。

e 先願発明1-1の「制御機構200」は、「第一認証処理S20」の後に「パレットを入出庫空間120に移動させる」「呼出処理S30」を実施するものである。
そうすると、先願発明1-1は、本件発明1の「前記第1認証ステップにおいて当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップ」を有しているといえる。

f 先願発明1-1は、「呼出処理S30を完了すると、次ぎに、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施」することから、本件発明1の「前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップ」を有しているといえる。

g 先願発明1-1において、「扉閉処理S90」の前に「第二認証処理S70」を実施することは、本件発明1の「ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力ステップ」に相当する。先願発明1-1の「第二認証処理S70」は、技術常識を踏まえれば、操作盤を介して行われるものである。
そうすると、先願発明1-1は、本件発明1の「前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力ステップ」を有しているといえる。

h 先願発明1-1の「第一紐付コード」は、本件発明1の「第2暗証コード」に相当する。また、先願発明1-1の「操作者判定処理S80」は、本件発明1の「第2認証」に相当する。
そうすると、先願発明1-1は、本件発明1の「前記第2入力ステップにおいてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証ステップ」を有しているといえる。

i 先願発明1-1の「操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、入出庫空間扉の状態を開状態から閉状態に変化させる扉閉処理S90を実施する」ことは、本件発明1の「前記第2認証ステップにおいて前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップ」に相当する。

以上のことから、本件発明1と先願発明1-1の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力ステップと、
前記第1入力ステップにおいて入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力ステップと、
前記第2入力ステップにおいてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、
を含む、
機械式立体駐車設備の制御方法。」

<相違点1>
本件発明1は、「前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成され、前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードである」のに対して、先願発明1-1は、「第一紐付コード」と「予め記録された適任コードテーブルに記載されたもの」が上記のような関係を有するか明らかでない点。

(イ)判断
a 上記相違点1について検討する。
上記相違点1に係る構成により、第2暗証コードを第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成しつつ第1暗証コードの桁数よりも少なくすることにより、扉を開く前の第1認証では、十分なセキュリティを確保しつつ、車両を入庫又は出庫させた後に行う第2認証では、セキュリティは初回よりも低くなるもののユーザによる暗証コードの入力の手間を軽減することで利便性を向上させるという効果を奏すると認められるところ、甲第1号証にも、申立人が提出した甲第2号証ないし甲第8号証のいずれにも、機械式駐車装置における扉を開く前の第1認証の場面と車両を入庫又は出庫させた後に行う第2認証の場面との間でセキュリティとユーザの利便性を図ることは示されておらず、単なる設計事項とも認められないから、上記相違点1に係る構成は実質的な相違点であるというべきである。
以上のとおりであるから、本件発明1と先願発明1-1とは同一ではない。

イ 本件発明2?4について
本件発明2?4は、本件発明1を直接的又は間接的に引用しさらに限定するものであるから、本件発明1と同様の理由により、先願発明1-1と同一ではない。

ウ 本件発明5について
(ア)対比
請求項5に係る発明(以下「本件発明5」という。)と先願発明1-2を対比する。
a 先願発明1-2の「立体的であ」る「駐車機構100及び制御装置200」で構成された「駐車装置」は、本件発明5の「機械式立体駐車設備」に相当し、
先願発明1-2の「制御装置200」は、本件発明5の「制御装置」に相当し、
先願発明1-2の「車両をパレットに乗せて」「移動できる」「駐車空間」ないし「入出庫空間120」は、本件発明5の「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置」に相当し、
先願発明1-2の「駐車機構100の外部」に「設けられ」た「操作盤」は、本件発明5の「車庫装置の外部に設けられた操作盤」に相当する。
また、先願発明1-2の「第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施」できる「制御機構200」は、操作盤の操作に基づいて制御されることは明らかであるから、本件発明5の「操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置」に相当する。

b 先願発明1-2の「駐車装置」における「予め記録された適任コードテーブルに記載された」コードは、技術常識を踏まえれば、駐車装置の利用契約に応じてユーザに付与されたコードであり、また認証に利用されるコードであるから暗証コードであるといえ、また「予め記録」されたものであるから、制御装置が当然に有している記憶手段に記憶されているコードであるといえる。また、前記コードは、操作者がキー入力するコードとの比較に使用されるものであり、キー入力する以上所定桁数を有していることは明らかである。
そうすると、先願発明1-2の「制御機構200」は、本件発明5の「制御装置」が実行する「予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶処理」を、実行しているといえる。

c 先願発明1-2の操作者の「コード」の「入力」は、技術常識を踏まえれば、操作盤を介して行われるものであり、「入出庫空間扉130」が開く前に行われるものである。
そうすると、先願発明1-2の「制御機構200」は、本件発明5の「制御装置」が実行する「前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力処理」を、実行しているといえる。

d 先願発明1-2の「制御機構200」が、「入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断し、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断する」ことは、本件発明5の「制御装置」が、「前記第1入力ス処理において入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証処理」を実行することに相当する。

e 先願発明1-2の「制御機構200」は、「第一認証処理S20」の後に「パレットを入出庫空間120に移動させる」「呼出処理S30」を実施するものである。
そうすると、先願発明1-2の「制御機構200」は、本件発明5の「制御装置」が実行する「前記第1認証ステップにおいて当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理」を、実行しているといえる。

f 先願発明1-2の「制御機構200」は、「呼出処理S30を完了すると、次ぎに、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施」することから、本件発明5の「制御装置」が実行する「前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理」を、実行しているといえる。

g 先願発明1-2の「制御機構200」が、「扉閉処理S90」の前に「第二認証処理S70」を実施することは、本件発明5の「制御装置」が「ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力処理」を実行することに相当する。先願発明1-2の前記認証処理は、技術常識を踏まえれば、操作盤を介して行われるものである。
そうすると、先願発明1-2の「制御機構200」は、本件発明5の「制御装置」が実行する「前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力処理」を、実行しているといえる。

h 先願発明1-2の「第一紐付コード」は、本件発明5の「第2暗証コード」に相当する。また、先願発明1-2の「操作者判定処理S80」は、本件発明5の「第2認証」に相当する。
そうすると、先願発明1-2の「制御機構200」は、本件発明5の「前記第2入力処理においてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証処理」を、実行しているといえる。

i 先願発明1-2の「制御機構200」が、「操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、入出庫空間扉の状態を開状態から閉状態に変化させる扉閉処理S90を実施する」ことは、本件発明5の「制御装置」が、「前記第2認証処理において前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理」を実行することに相当する。

以上のことから、本件発明5と先願発明1-2の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤と、前記操作盤の操作に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、
前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じてユーザに付与された所定桁数の第1暗証コードを第1記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記操作盤を介して、ユーザが契約したユーザであることを認証するための暗証コードの入力を受け付ける第1入力処理と、
前記第1入力処理において入力された暗証コードに基づいて、入力された暗証コードが前記第1記憶手段に記憶された前記第1暗証コードと一致するか否かを判定することにより、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであるか否かを判定する第1認証処理と、
前記第1認証処理において、当該暗証コードを入力したユーザが契約したユーザであると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記操作盤を介して、ユーザによる暗証コードの入力を受け付ける第2入力処理と、
前記第2入力処理においてユーザにより入力された当該暗証コードが、第2暗証コードと一致するか否かを判定する第2認証処理と、
前記第2認証処理において前記暗証コードが前記第2暗証コードと一致していると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行する
機械式立体駐車設備。」

<相違点2>
本件発明5は、「前記第2暗証コードは、前記第1暗証コードの一部の所定桁のコードによって構成され、前記第1暗証コードの桁数よりも少ない所定のコードである」のに対して、先願発明1-2は、「第一紐付コード」と「予め記録された適任コードテーブルに記載されたもの」が上記のような関係を有するか明らかでない点。

上記相違点2は相違点1と同じである。
よって、相違点2については、上記ア(イ)で判断したとおりである。

したがって、本件発明5は、先願発明1-2と同一ではない。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1ないし4は、先願発明1-1と同一ではなく、また本件発明5は、先願発明1-2と同一でない。

オ 申立人の主張について
申立人は、甲第2号証には、暗証番号に関し、メイン管理エリアの暗証番号の一部の桁だけをサブ管理エリアの暗証番号として用いる点が記載され、甲第3号証には、親カードの暗証番号の一部の桁だけを子カードの暗証番号として用いる点が記載され、甲第4号証には、8桁の暗証番号の下4桁を用いて認証を行う点が記載されており、相違点1は、利用者認証の技術分野における周知技術・慣用技術にすぎない旨主張する。(回答書第4頁下から8行?第5頁第3行)
しかしながら、上記ア(イ)のとおり、甲第2号証ないし甲第4号証に記載された技術は、先願発明1-1とは、異なる技術分野のものであり、その内容も、相違点1に係る本件発明1の構成とは異なるものであるから、相違点1が、周知技術・慣用技術にすぎないとはいえない。

また、申立人は、利便性を向上させるという課題は、本件発明の出願時において周知の課題であり、また、扉を開く前の第1認証(最初の利用者認証)では、セキュリティを高くするために通常の桁数の暗証番号を用い、車両を入庫又は出庫させた後に行う第2認証(2回目以降の利用者認証)では、セキュリティを初回よりも低くするために、通常の暗証番号を一部の桁数の暗証番号を使用することは,利用者認証の分野における常套手段であり(甲第2号証?甲第4号証)、また、甲1発明において、第2認証で用いる第二コード(第一紐付コード)を第1認証で用いる第一コードよりも簡素化することは、機械式駐車装置の技術分野における技術常識であり、さらに、第二コード(第一紐付コード)を第一コードよりも簡素化することは、至極同然の成り行きであり、単なる取り決めや単なる設計事項に過ぎない旨主張する。(回答書第6頁第3?下から4行、第2頁第13?16行)
たしかに、機械式駐車装置において、利便性を向上させるという課題はあるものの(甲第7号証や甲第8号証)、機械式立体駐車設備において安全性及び利便性の向上を図るという課題があることを立証する証拠は、提出されていない。また、車両を入庫又は出庫させた後に行う第2認証(2回目以降の利用者認証)で、通常の暗証番号を一部の桁数の暗証番号を使用することや、第二コード(第一紐付コード)を第一コードよりも簡素化することが、常套手段であること、ないしは、単なる取り決めや単なる設計事項に過ぎないことは、甲第5号証ないし甲第8号証をみても立証されているとはいえない。

以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。

第5 まとめ
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由(実質的に特許異議申立書に記載した特許異議申立理由を全て含んでいる)及び証拠によっては、本件発明1?5の特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1?5の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-07-05 
出願番号 特願2016-69202(P2016-69202)
審決分類 P 1 651・ 161- Y (E04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 美紗子  
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 長井 真一
西田 秀彦
登録日 2020-04-07 
登録番号 特許第6688128号(P6688128)
権利者 新明和工業株式会社
発明の名称 機械式立体駐車設備の制御方法及び機械式立体駐車設備  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  

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