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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F24F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F24F
管理番号 1375907
異議申立番号 異議2021-700370  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-22 
確定日 2021-07-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第6775685号発明「空気調和システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6775685号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6775685号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は
、2017年10月27日(優先権主張 2017年6月14日)を国際出
願日とするものであって、令和2年10月8日にその特許権の設定登録がさ
れ、令和2年10月28日にその特許掲載公報が発行され、その後、その特
許に対し、令和3年4月22日に特許異議申立人 岩崎精孝(以下、「特許
異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
請求項1ないし7に係る特許発明は、それぞれ、本件特許の明細書及び特
許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記
載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
第1の空気調和機と、
第2の空気調和機と、
前記第1の空気調和機を操作可能な第1の操作端末と、
前記第2の空気調和機を操作可能な第2の操作端末と、
前記第1の空気調和機または前記第2の空気調和機を動作させるための第
1の情報と、前記第1の操作端末または前記第2の操作端末に関する情報で
ある第2の情報と、から構成される第1の設定情報を前記第1の操作端末か
ら受信し、前記第1の設定情報に基づいて送信情報を生成し、前記送信情報
を前記第2の操作端末に送信する携帯端末と、
を備え、
前記第1の操作端末および前記第2の操作端末は、
前記第1の設定情報を表示するリモコン表示部を備え、
前記第1の設定情報を変更する時に表示される変更画面が、前記リモコン
表示部に表示される時に、前記携帯端末から第1の設定情報の送信を要求す
る信号である送信要求信号、または第1の設定情報の変更を要求する信号で
ある変更要求信号を受信した場合、前記第1の設定情報は受信不可、または
前記第1の設定情報は変更不可とする不可応答信号を前記携帯端末に送信す
る空気調和システム。
【請求項2】
前記第1の空気調和機を操作可能な第3の操作端末、
を更に備え、
前記第1の操作端末および前記第3の操作端末は、
前記携帯端末からの要求により点滅する表示器をそれぞれ備え、
前記携帯端末と接続後、前記携帯端末が接続している操作端末を確認する
確認要求信号を受信すると、前記表示器が点滅する請求項1に記載の空気調
和システム。
【請求項3】
前記送信情報は、
前記第1の設定情報を含む請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記送信情報は、
前記第1の設定情報に基づいて生成された第2の設定情報を含む請求項1
に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、
前記第1の空気調和機の前記第1の設定情報および前記第2の設定情報と

前記第2の空気調和機の前記第1の設定情報および前記第2の設定情報と

をそれぞれ複数保持する請求項4に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、
前記第1の設定情報の表示および前記第1の設定情報の変更を受け付ける
携帯端末表示操作部を備え、
前記不可応答信号を受信した場合、前記携帯端末表示操作部を用いた前記
第1の設定情報の変更の制限、前記第1の設定情報の受信不可、前記第1の
設定情報の変更は不可である旨を前記携帯端末表示操作部に表示、のうちの
少なくとも1つを実行する請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記第1の情報および前記第2の情報は、
前記第1の操作端末が接続している室内機の形名および製造番号情報と、
前記第1の操作端末が接続している室外機の形名および製造番号情報と、
前記第2の操作端末が接続している室内機の形名および製造番号情報と、
前記第2の操作端末が接続している室外機の形名および製造番号情報と、
を含む請求項1に記載の空気調和システム。」

第3 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人は、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(以下、「甲1」ないし「甲4」という。)を提出し、次の異議理由1及び2を主張している。

甲1:特開2014-217071号公報
甲2:特開2015-105763号公報
甲3:特開2015-224858号公報
甲4:特開2014-31957号公報

1.異議理由1(特許法第29条第1項第3号)
本件特許発明1、3及び4は、甲1に記載された発明であるから、本件特許発明1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであって、特許法第113条第2号の規定により取り消すべきものである(以下、「異議理由1」という。)。

2.異議理由2(特許法第29条第2項)
本件特許発明1ないし7は、甲1ないし甲4に記載された発明に基いて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、特許法第113条第2号の規定により取り消すべきものである(以下、「異議理由2」という。)。

第4 当審の判断
[1]甲1ないし甲4の記載等
1.甲1
(1)甲1の記載等
甲1には、「コントローラ、端末装置、遠隔制御システム、遠隔制御方法、及び、プログラム」に関して概略以下の記載がある(下線は、理解の一助のために当審が付与した、以下同様)。

「【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るコントローラは、
宅外の端末装置から、宅内に設置されている機器を遠隔制御する指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた指示に基づいて、前記機器を制御する機器制御部と、
前記機器がユーザによって直接操作されたことにより設定される、前記端末装置による遠隔操作を禁止する禁止期間内に、前記受付部により前記指示が受け付けられると、遠隔操作できない旨の通知を前記端末装置へ送信する送信部と、
を備える。」
「【0010】
宅内ネットワーク10は、コントローラ100、自立切替盤101、発電システム102、蓄電システム103、空調システム104、IH(Induction Heating)クッキングヒータ106、その他の家電機器107、及び、監視装置108等から構成される。
【0011】
宅外ネットワーク20は、宅外から宅内の空調システム104等を操作するためにユーザが用いる端末装置40(図1では40A,40B,40Cの3つ)、サーバ30、通信ネットワーク50から構成される。通信ネットワーク50は、典型的にはインターネットである。端末装置40は1つだけでもよいし、図1のように複数でもよい。」
「【0024】
本実施形態では、ユーザは、宅内に設置された空調システム104等を宅内で制御できるほか、宅内にいなくても、外出先から通信ネットワーク50を経由して遠隔から制御することもできる。
【0025】
より詳細には、ユーザは、端末装置40を操作し、端末装置40を通信ネットワーク50に繋ぐ。端末装置40は、通信ネットワーク50上に設置されたサーバ30に接続する。端末装置40は、空調システム104等へのコマンドをサーバ30へ送信する。サーバ30は、受信したコマンドを、通信ネットワーク50を介してコントローラ100に送信する。そして、コントローラ100は、受信したコマンドに従って、制御対象の空調システム104等に制御信号を送信する。この結果、機器の遠隔操作が実現される。
【0026】
端末装置40は、本実施形態では、タブレット型情報端末である。ただし、携帯電話機、多機能型携帯電話機(いわゆるスマートフォン)、パーソナルコンピュータ、などを端末装置40として採用することもできる。ユーザは、宅内ネットワーク10内の空調システム104等を制御したり状態を監視したりするソフトウェアアプリケーション(以下、「アプリケーション」という。)を端末装置40に予めインストールしておき、アプリケーションによる表示画面上の所定のソフトウェアボタンをタッチするなどして、遠隔から空調システム104等を制御することができる。」
「【0032】
図2に示すように、コントローラ100は、入力部201、表示部202、記憶部203、通信部204、制御部205を備える。
【0033】
入力部201は、ボタン、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを備える。入力部201は、ユーザからの指示入力を受け付ける。」
「【0063】
例えば、コントローラ100の制御部205は、宅内に空調システム104が2つある場合、それぞれの空調システム104の運転状態を逐次取得する。そして、制御部205は、一方の空調システム104が冷房で運転されているときに、他方の空調システム104を暖房に設定する指示が端末装置40から送信されてきた場合、「他のエアコンが冷房になっていますが、暖房でよいですか?」等のメッセージを含むメッセージデータを、許可要求と共に端末装置40に送信する。端末装置40の制御部307は、メッセージデータを受信すると、このメッセージデータに含まれるメッセージをLCD324に表示する。」
「【0142】
(実施形態6)
次に、実施形態6のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図11を用いて説明する。本実施形態では、制御対象の機器に遠隔操作ではなく直接操作パネルによる指示入力があると、一定期間、遠隔操作を受け付けないようにする。
【0143】
まず、制御対象の機器は、遠隔操作ではない直接操作による指示を受け付けると(ステップS1101)、受け付けた指示に従って処理を実行する(ステップS1102)。
【0144】
直接操作による指示に従って処理を実行すると、機器は、処理を実行してから一定期間、遠隔操作を禁止する(ステップS1103)。
【0145】
この一定期間の長さは任意であり、機器ごとに、あるいは機能ごとに、異なる長さが設定されてもよい。また、コントローラ100が一定期間の長さを設定し、機器に予め通知してもよい。
【0146】
一定期間の起点(開始日時)は、本実施形態ではステップS1102における処理の実行後としているが、ステップS1101で直接操作を受け付けた時点でもよいし、ステップS1102における処理の実行と同時でもよい。なお、一定期間の終点(終了日時)は、開始日時から一定期間が経過した時点である。
【0147】
遠隔操作が禁止される期間中であっても、後述するステップS1107で拒否応答が返ってくるまでは、端末装置40がユーザからの指示(つまり遠隔操作)が受け付けられる可能性がある。遠隔操作が禁止される期間中に、ユーザが指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS1104)。」
「【0200】
制御対象の機器は、端末装置40による遠隔操作を禁止する旨の通知を受信すると、遠隔操作を禁止する(ステップS1605)。これ以降、機器は、自身が備える操作パネルへの直接の指示入力のみ受け付ける。」













(2)甲1の記載から分かること
【0142】、【0200】、図11のフロー図(S1101)の記載から、機器自体に設けられた操作パネルにより、機器に対してユーザによる直接操作が可能であることが分かる。

(3)甲1に記載された発明
上記(1)及び(2)を総合すると、甲1には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)、あるいは以下の事項(以下、「甲1に記載された事項」という。)が記載されている。

「空調システム104等の機器と、
空調システム104等の機器に対してユーザが直接操作を行なう機器自体に設けられた操作パネルと、
制御対象の機器を遠隔操作する端末装置40と、
コントローラ100と、を備え、
コントローラ100は、
端末装置40から機器を遠隔制御する指示を受け付ける受付部と、
受付部により受け付けられた指示に基づいて、機器を制御する機器制御部と、
機器がユーザにより直接操作されたことにより設定される、端末装置40による遠隔操作を禁止する禁止期間内に、受付部により指示が受け付けられると、遠隔操作できない旨の通知を端末装置40へ送信する送信部を備えるものである、エネルギーマネジメントシステム1。」

2.甲2
(1)甲2の記載等
甲2には、「空気調和機」に関して概略以下の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機本体と、該空気調和機本体を運転操作可能な複数の無線リモコンとを備え、前記無線リモコンが一定時間操作されないと前記無線リモコンと前記空気調和機本体との通信を停止するように構成した空気調和機であって、
前記空気調和機本体は、
前記無線リモコンとの間で双方向通信を行う本体送受信部と、
前記本体送受信部で受信した前記無線リモコンからの信号に基づいて空調制御を行う本体制御部と、
を備え、
前記本体制御部は、前記本体送受信部を介して前記複数の無線リモコンの一つと通信を行った後所定時間は他の無線リモコンからの操作を受け付けない操作禁止期間を設け、前記操作禁止期間中に他の無線リモコンからの信号を受信した場合に前記他の無線リモコンへ操作を受け付けない旨を通知するようにすることを特徴とする空気調和機。」
「【0021】
[空気調和機の構成説明]
まず、本発明の一実施例にかかる空気調和機の空気調和機本体とリモコンとの関係を示す概略構成について説明する。図1に示すように、本発明に係る空気調和機10は、複数の部屋RA、RBに配置された空気調和機本体(以下、エアコン)12a、12bと、図示しない室外機と、リモコン14a、14bとで構成され、各エアコン12a、12bおよび各リモコン14a、14bの機能は共通である。
【0022】
この空気調和機10は、エアコンとリモコンのそれぞれに搭載されたRFモジュールによる双方向無線通信を利用し、例えば、リモコン14aからエアコン12a,12bに対してそれぞれ遠隔操作や各種設定を行うことができる。また、リモコン14aは、エアコン12a,12bの運転状態を示す状態情報を記憶する図示しない記憶部と、それを表示する図3に示す液晶表示部92aとを有している。リモコン14aは、後述する信号の送受信によって、エアコン12a,12bの運転状態を示す状態情報を受信すると、受信した状態情報を新たな運転状態を示す情報として図示しない記憶部に記憶すると共に、液晶表示部92aに表示させ、運転管理や各種設定に利用する。他のリモコン14bの場合も同様である。運転状態を示す状態情報には、冷房や暖房といった運転モードの他に、設定温度、風向や消費電力、およびエアコンのエラー情報等の情報を含む。」
「【0027】
一方、リモコン14aは、図3に示すように、エアコン12aのエアコン送受信部86a、あるいは、エアコン12bのエアコン送受信部86bと双方向無線通信を行うRFモジュールからなるリモコン送受信部90a、エアコンの運転状態を示す状態情報(運転時間、消費電力、運転モード等)を表示する液晶表示部92a、エアコンを運転操作する操作部94a、時間管理を行う計時専用のRTC(リアル・タイム・クロック)98a、およびこれらを制御するリモコン制御部96aを有している。このリモコン制御部96aによってペアリングしている自室エアコンまたは他室エアコンを選択することで、それぞれのエアコン間で双方向無線通信が可能となる。なお、本実施例では、リモコン14aの操作部94aの操作が行われてから、一定時間後(例えば、30秒後)に供給電力を低下させて液晶表示部92aの表示を消し、リモコン送受信部90aの動作をオフすることで、使用する電池の消耗を防ぎ、電池の長寿命化を図っている。液晶表示部(LCD)92aの表示を消すLCD消灯時間の計時は、RTC98aにより行われる。リモコン14aがエアコン12aあるいはエアコン12bとの間で通信を再開するには、リモコン14aの液晶表示部92aの表示が消え、リモコンの送受信部90aの動作がオフになった状態から操作部94aが操作されると、リモコン制御部96aは、ボタン操作をトリガーとして液晶表示部92aの表示を再開させ、リモコンの送受信部90aの動作をオンするように電源供給を再開させると共に、操作ボタンに応じた操作を行う。」







(2)甲2に記載された発明
上記(1)を総合すると、甲2には以下の発明(以下、「甲2発明」という。)あるいは、以下の事項(以下、「甲2に記載された事項」という。)が記載されている。

「空気調和機本体12a、12bと、
空気調和機本体12a、12bに対してそれぞれ遠隔操作や各種設定を行うことができるリモコン14a、14bと、
空気調和機本体12a、12bの本体制御部は、本体送受信部を介してリモコン14a、14bの一つと通信を行った後所定時間は他のリモコンからの操作を受け付けない操作禁止期間を設け、操作禁止期間中に他のリモコンからの信号を受信した場合に他のリモコンへ操作を受け付けない旨を通知する、空気調和機。」

3.甲3
(1)甲3の記載等
甲3には、「空気調和システム」に関して概略以下の記載がある。

「【0025】
次に室内機300の発光部302について説明する。各室内機300には図4に示す発光部302が取り付けられる。発光部302は、ルーバー発光部304と、動作発光部305とから構成される。図1に示すように各室内機300は、各方向の吹出し口に風向を変えるルーバー303を備えているが、ルーバー発光部304は各ルーバー303と対になって設けられる。ルーバー発光部304は、対応するルーバー303の角度を色と発光の点灯または点滅により表示する。また、動作発光部305は、室内機30の運転状態を色と発光の点灯または点滅により表示する。
【0026】
図5は、設けられる吹出し口の数が上から4、2、1方向の場合の室内機300である。それぞれが各吹出し口にルーバーを備え、ルーバーに対応したルーバー発光部と動作発光部を備えている。
【0027】
この発光部302を備えることで、ユーザーは視認しながら操作が行え、運転状態の確認を行うことが出来る。例えば複数の室内機とリモコンがある場合、従来ではユーザーがリモコンから操作した場合、どの室内機に操作が行ったのか、操作内容が反映されたのかを室内機の動作(たとえばファンの動作状態やルーバーの動作状態)でしか確認することが出来ず、動作から確認が出来ない操作を行った場合(例えば運転モードを暖房から送風)操作した場合などは、操作内容が室内機に反映されたか正確に確認することが出来なかったが、ユーザーからの操作(モバイル通信端末も含む)された際、室内機の動作発光部305の発光状態から操作したい室内機に対して操作を行っているか確認しながら行える。」

4.甲4
(1)甲4の記載等
甲4には、「空気調和機」に関して概略以下の記載がある。

「【0015】
実施の形態1の家電システム10は、空気調和機12-1?12-3、冷蔵庫13、無線アダプタ(通信装置)14、携帯端末16、ゲートウェイ装置(中継装置)18、インターネット20、サーバ装置22、及びルータ装置26を備える。
【0016】
空気調和機12-1?12-3は、本例では、ユーザの住居24内に3台配置され、例えば、住居24内の異なる部屋ごとに配置される。冷蔵庫13は、同様に住居24内に配置される。
【0017】
無線アダプタ(通信装置)14は、空気調和機12-1?12-3の後述する制御部に電気的に接続するようにそれぞれ配置され、ゲートウェイ装置18と通信するように構成される。無線アダプタ14は、ゲートウェイ装置18から送信される空気調和機12-1?12-3を操作するための操作信号を受信し、受信した操作信号を空気調和機12の制御部に出力する。この操作信号に基づいて、空気調和機12-1?12-3は、対応する動作を実行するように構成される。
【0018】
無線アダプタ14は、また、空気調和機12-1?12-3の識別情報(例えば、製造番号や型番等)を空気調和機12-1?12-3の制御部から取得し、ゲートウェイ装置18に送信するように構成される。なお、無線アダプタ14は、空気調和機12-1?12-3に一体に設けられてもよいし、複数の空気調和機12-1?12-3のいずれにも接続できるように、空気調和機12-1?12-3に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、本実施の形態1の冷蔵庫13は、内蔵された一体型の無線アダプタ(図示せず)により、ゲートウェイ装置18と通信するように構成される。
【0019】
無線アダプタ14は、「接続」ボタン14aを備える。「接続」ボタン14aは、ゲートウェイ装置18と新規に接続するためのものである。「接続」ボタン14aがユーザーによって操作されると、無線アダプタ14は、空気調和機12-1?12-3の制御部から空気調和機12-1?12-3の識別情報(例えば製造番号や型番)を取得するように構成される。」

[2]異議理由についての判断1(甲1を主引用例とした場合の検討)
1.本件特許発明1
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「空調システム104等の機器」は、甲1の段落【0063】において、「空調システム104が2つある」と記載されていることから、本件特許発明1における「第1の空気調和機」及び「第2の空気調和機」に相当し、
甲1発明における「空調システム104等の機器に対してユーザが直接操作を行なう機器自体に設けられた操作パネル」は、本件特許発明1における「第1の空気調和機を操作可能な第1の操作端末」及び「第2の空気調和機を操作可能な第2の操作端末」に相当し、
甲1発明における「エネルギーマネジメントシステム1」は、機器を制御する機器制御部を有し、空調システム104の制御を行うことを含むから、本件特許発明1における「空気調和システム」に相当する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「第1の空気調和機と、
第2の空気調和機と、
前記第1の空気調和機を操作可能な第1の操作端末と、
前記第2の空気調和機を操作可能な第2の操作端末と、
を備える空気調和システム。」

[相違点1]
本件特許発明1においては、「携帯端末」が、「前記第1の空気調和機または前記第2の空気調和機を動作させるための第1の情報と、前記第1の操作端末または前記第2の操作端末に関する情報である第2の情報と、から構成される第1の設定情報を前記第1の操作端末から受信し、前記第1の設定情報に基づいて送信情報を生成し、前記送信情報を前記第2の操作端末に送信する」ものであるのに対して、
甲1発明においては、「端末装置40」が、そのような機能を有するか不明である点。

[相違点2]
本件特許発明1においては、「前記第1の操作端末および前記第2の操作端末は、前記第1の設定情報を表示するリモコン表示部を備え、前記第1の設定情報を変更する時に表示される変更画面が、前記リモコン表示部に表示される時に、前記携帯端末から第1の設定情報の送信を要求する信号である送信要求信号、または第1の設定情報の変更を要求する信号である変更要求信号を受信した場合、前記第1の設定情報は受信不可、または前記第1の設定情報は変更不可とする不可応答信号を前記携帯端末に送信する」のに対して、
甲1発明においては、「機器自体に設けられた操作パネル」が、「変更画面」が表示される「リモコン表示部」を有するか不明であるとともに、「前記第1の設定情報を変更する時に表示される変更画面が、前記リモコン表示部に表示される時に、前記携帯端末から第1の設定情報の送信を要求する信号である送信要求信号、または第1の設定情報の変更を要求する信号である変更要求信号を受信した場合、前記第1の設定情報は受信不可、または前記第1の設定情報は変更不可とする不可応答信号を前記携帯端末に送信する」かも不明である点。

以下、相違点について検討する。

[相違点1について]
甲2に記載された事項は、「空気調和機本体12a、12bと、
空気調和機本体12a、12bに対してそれぞれ遠隔操作や各種設定を行うことができるリモコン14a、14bと、
空気調和機本体12a、12bの本体制御部は、本体送受信部を介してリモコン14a、14bの一つと通信を行った後所定時間は他のリモコンからの操作を受け付けない操作禁止期間を設け、操作禁止期間中に他のリモコンからの信号を受信した場合に他のリモコンへ操作を受け付けない旨を通知する、空気調和機」である。
そして、甲2に記載された事項における「空気調和機本体12a、12b」は、本件特許発明1における「第1の空気調和機」及び「第2の空気調和機」に相当し、同様に、「リモコン14a、14b」は、それぞれ「第1の操作端末」、「第2の操作端末」に相当する。
しかし、上記相違点1に係る本件特許発明1における「前記第1の空気調和機または前記第2の空気調和機を動作させるための第1の情報と、前記第1の操作端末または前記第2の操作端末に関する情報である第2の情報と、から構成される第1の設定情報を前記第1の操作端末から受信し、前記第1の設定情報に基づいて送信情報を生成し、前記送信情報を前記第2の操作端末に送信する携帯端末」については甲2に記載された事項において開示や示唆がされていない。また、甲3、甲4の記載についても同様である。
そうすると、甲1発明に、甲2に記載された事項、及び甲3、甲4に記載された事項を適用して上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない。

したがって、上記相違点2について検討するまでもなく、上記相違点1は実質的な相違点であるから本件特許発明1は甲1発明ではなく、また、本件特許発明1は、甲1発明、甲2に記載された事項、及び甲3、甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本件特許発明2ないし7
本件特許の請求項2ないし7の記載は、請求項の記載を他の記載に置きかえることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本件特許発明1と同様の理由により、本件特許発明3及び4は甲1発明と同一でなく、また、本件特許発明2ないし7は、甲1発明、甲2に記載された事項、及び甲3、甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

[3]異議理由についての判断2(甲2を主引用例とした場合の検討)
1.本件特許発明1
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「空気調和機12a、12b」は、本件特許発明1における「第1の空気調和機」、「第2の空気調和機」に相当し、
甲2発明における「空気調和機本体12a、12bに対してそれぞれ遠隔操作や各種設定を行うことができるリモコン14a、14b」は、本件特許発明1における「前記第1の空気調和機を操作可能な第1の操作端末」、「前記第2の空気調和機を操作可能な第2の操作端末」に相当し、
甲2発明における「空気調和機」は、本件特許発明1における「空気調和システム」に相当する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「第1の空気調和機と、
第2の空気調和機と、
前記第1の空気調和機を操作可能な第1の操作端末と、
前記第2の空気調和機を操作可能な第2の操作端末と、
を備える空気調和システム。」

[相違点3]
本件特許発明1においては、「前記第1の空気調和機または前記第2の空気調和機を動作させるための第1の情報と、前記第1の操作端末または前記第2の操作端末に関する情報である第2の情報と、から構成される第1の設定情報を前記第1の操作端末から受信し、前記第1の設定情報に基づいて送信情報を生成し、前記送信情報を前記第2の操作端末に送信する携帯端末」を備えるのに対して、
甲2発明においては、そのような携帯端末を備えるか不明である点。

[相違点4]
本件特許発明1においては、「前記第1の操作端末および前記第2の操作端末は、前記第1の設定情報を表示するリモコン表示部を備え、前記第1の設定情報を変更する時に表示される変更画面が、前記リモコン表示部に表示される時に、前記携帯端末から第1の設定情報の送信を要求する信号である送信要求信号、または第1の設定情報の変更を要求する信号である変更要求信号を受信した場合、前記第1の設定情報は受信不可、または前記第1の設定情報は変更不可とする不可応答信号を前記携帯端末に送信する」のに対して、
甲2発明においては、「空気調和機本体12a、12bの本体制御部は、本体送受信部を介してリモコン14a、14bの一つと通信を行った後所定時間は他のリモコンからの操作を受け付けない操作禁止期間を設け、操作禁止期間中に他のリモコンからの信号を受信した場合に他のリモコンへ操作を受け付けない旨を通知する」点。


以下、相違点について検討する。

[相違点3について]
甲1記載事項は、「空調システム104等の機器と、
空調システム104等の機器に対してユーザが直接操作を行なう機器自体に設けられた操作パネルと、
制御対象の機器を遠隔操作する端末装置40と、
コントローラ100と、を備え、
コントローラ100は、
端末装置40から機器を遠隔制御する指示を受け付ける受付部と、
受付部により受け付けられた指示に基づいて、機器を制御する機器制御部と、
機器がユーザにより直接操作されたことにより設定される、端末装置40による遠隔操作を禁止する禁止期間内に、受付部により指示が受け付けられると、遠隔操作できない旨の通知を端末装置40へ送信する送信部を備えるものである、エネルギーマネジメントシステム1」である。
そして、甲1記載事項における「空調システム104等の機器」は、甲1の段落【0063】において、「空調システム104が2つある」と記載されていることから、本件特許発明1における「第1の空気調和機」及び「第2の空気調和機」に相当し、甲1記載事項における「空調システム104等の機器に対してユーザが直接操作を行なう機器自体に設けられた操作パネル」は、本件特許発明1における「第1の空気調和機を操作可能な第1の操作端末」及び「第2の空気調和機を操作可能な第2の操作端末」に相当する。
しかし、上記相違点3に係る本件特許発明1における「前記第1の空気調和機または前記第2の空気調和機を動作させるための第1の情報と、前記第1の操作端末または前記第2の操作端末に関する情報である第2の情報と、から構成される第1の設定情報を前記第1の操作端末から受信し、前記第1の設定情報に基づいて送信情報を生成し、前記送信情報を前記第2の操作端末に送信する携帯端末」については甲1記載事項において開示や示唆がされていない。また、甲3、甲4の記載についても同様である。
そうすると、甲2発明に、甲1に記載された事項、及び甲3、甲4に記載された事項を適用して上記相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない。

したがって、上記相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明、甲1に記載された事項、及び甲3、甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本件特許発明2ないし7
本件特許の請求項2ないし7の記載は、請求項の記載を他の記載に置きかえることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本件特許発明1と同様の理由により、本件特許発明2ないし7は、甲2発明、甲1に記載された事項、及び甲3、甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2021-07-09 
出願番号 特願2019-525045(P2019-525045)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (F24F)
P 1 651・ 113- Y (F24F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石田 佳久  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 後藤 健志
松下 聡
登録日 2020-10-08 
登録番号 特許第6775685号(P6775685)
権利者 三菱電機株式会社
発明の名称 空気調和システム  
代理人 高村 順  
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