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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C01B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
管理番号 1375910
異議申立番号 異議2021-700199  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-24 
確定日 2021-07-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第6745293号発明「六方晶窒化ホウ素粉末、その製造方法、及び化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6745293号の請求項1?6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6745293号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成30年3月28日(優先権主張 平成29年3月28日)に出願され、令和2年8月5日に特許権の設定登録がされ、令和2年8月26日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許の請求項1?6に係る特許のうち、請求項1?4に係る特許について、令和3年2月24日付けで特許異議申立人星正美(以下、「申立人1」という。)による特許異議の申立てがされ、また、請求項1?6に係る特許について、令和3年2月25日付けで特許異議申立人安藤宏(以下、「申立人2」という。)による特許異議の申立てがされた。

第2 本件発明
本件特許の請求項1?6の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
平均粒子径が3μm以上20μm以下かつ最大粒子径が250μm以下であり、比表面積が1m^(2)/g以上10m^(2)/g以下、一次粒子の粉末X線回折法による黒鉛化指数が2.0以下であり、さらに平均摩擦係数が0.90以下、前記平均摩擦係数の変動値が0.015以下、さらに医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下である六方晶窒化ホウ素粉末。
【請求項2】
比表面積が1m^(2)/g以上2.5m^(2)/g以下、さらに医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が10ppm以下である、請求項1記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
【請求項3】
化粧料原料用である、請求項1または2記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
【請求項4】
請求項3記載の六方晶窒化ホウ素粉末を含む化粧料。
【請求項5】
第一焼成条件としてホウ素を含む化合物の粉末及び窒素を含む化合物の粉末の混合粉末を、不活性雰囲気下、及び又はアンモニア雰囲気下で600?1300℃で焼成して低結晶性六方晶窒化ホウ素となし、得られた低結晶性六方晶窒化ホウ素の粉末100質量部と、0.9質量部以上20質量部以下の焼結助剤粉末を含む混合粉末を第二焼成条件として最高温度1600?2200℃、焼成時間2時間以上の焼成条件で焼成することにより粗六方晶窒化ホウ素を得る工程と、得られた粗六方晶窒化ホウ素を洗浄、乾燥し、篩により粗大粒子を除く工程を含む、請求項1または2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
【請求項6】
第一焼成条件としてホウ素を含む化合物の粉末及び窒素を含む化合物の粉末の混合粉末を、不活性雰囲気下、及び又はアンモニア雰囲気下で600?1300℃で焼成して低結晶性六方晶窒化ホウ素となし、得られた低結晶性六方晶窒化ホウ素の粉末100質量部と、2.0質量部以上20質量部以下の焼結助剤粉末を含む混合粉末を第二焼成条件として最高温度1680?2200℃、焼成時間3時間以上の焼成条件で焼成することにより粗六方晶窒化ホウ素を得る工程と、得られた前記六方晶窒化ホウ素を洗浄、乾燥し、篩により粗大粒子を除く工程を含む、請求項2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。」


第3 特許異議申立理由の概要
申立人1、2が主張する特許異議申立理由は、概略、以下のとおりである。
1 申立人1による特許異議申立理由及び証拠方法
(1) 申立理由1-1(新規性進歩性欠如)
ア 本件発明1?4は、甲1-2及び甲1-3の記載を踏まえると、甲1-1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるか、または、甲1-1に記載された発明及び甲1-1?甲1-3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 証拠方法
甲1-1:特開2012-176910号公報
甲1-2:カトーテック株式会社 摩擦感テスター「KES-SE」のカタログ
甲1-3:化粧品基準(厚生省告示第331号)平成12年9月29日付け

(2) 申立理由1-2(明確性要件違反)
本件発明1?4は、下記の指摘事項のとおり、明確であるとはいえないから、本件発明1?4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

本件発明1において、六方晶窒化ホウ素粉末の最大粒子径が特定され、本件明細書の段落【0014】には、最大粒子径の測定サンプルの調製について記載されている。しかし、全体のサンプル量によって最大粒子径が変化すると考えられるところ、本件明細書の記載では実際に測定に供する六方晶窒化ホウ素粉末の量が不明であるから、他で製造された六方晶窒化ホウ素粉末の最大粒子径について、本件特許の充足性を判定することができない。また、保存状態によって窒化ホウ素粉末の凝集状態が変化するから、これについても同様である。
したがって、本件発明1?4の最大粒子径に関する記載は明確でない。

(3) 申立理由1-3(実施可能要件違反)
本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、下記ア?ウの指摘事項のとおり、当業者が、本件発明1?4の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、本件発明1?4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

ア 特許権者は審査過程で、平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値は、粒子形状、粒度分布、粒子の表面状態など他の要素(平均粒子径、最大粒子径、比表面積、黒鉛化指数以外の要素)にも依存するパラメータである旨主張している。しかし、他の要素とは、如何なる物性値であるのか不明であり、これらの物性値をどのように制御すれば平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を本件発明1で特定した範囲の値に制御することができるのか理解することができない。
そうすると、平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を本件発明1で特定した範囲の値に制御するためには、多大な試行錯誤が必要である。

イ 本件明細書には、粉砕を行って本件発明の六方晶窒化ホウ素を製造する工程が記載されている。しかし、粉砕の条件によって、粉砕後の粒子形状、粒度分布、粒子の表面状態が大きく異なることが周知の事実であるところ、本件明細書には、これらの粉砕後の粒子形状等に影響を与える粉砕の条件が具体的に記載されていない。また、実施例では、粗六方晶窒化ホウ素をアルミナ製乳鉢で3分間粉砕する旨が記載されているが(本件明細書段落【0039】)、粉砕の条件によっては粒度分布が大きく異なることは申立人1が行ったアルミナ製乳鉢を用いた同様な実験によっても明らかである。
そうすると、どのような条件で粉砕を行えば粒度分布を適切に制御することができるのかは理解できず、平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を本件発明1で特定した範囲の値に制御するためには、過度な試行錯誤が必要である。

ウ 分級の条件によって、粒子の粒度分布が大きく異なることは周知の事実であるところ、本件明細書には、分級の条件は、乾燥後の粗六方晶窒化ホウ素粉末を目開き250μ以下の篩を用いて分級することが好ましい旨が記載されているのみである(段落【0033】)。
そうすると、いかなる粒度分布となるように分級すれば、六方晶窒化ホウ素粉末の平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を本件発明1で特定した範囲の値に制御することができるのか、当業者といえども理解することができない。

(4) 申立理由1-4(サポート要件違反)
本件発明1?4は、下記の指摘事項のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、本件発明1?4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

本件発明1?4が解決しようとする課題は、六方晶窒化ホウ素粉末の滑り性を向上させることを含むものであって、本件明細書において、六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒子径、比表面積、黒鉛化指数及び平均摩擦係数は滑り性に影響を与えるとされているところ、比較例7は、これらのパラメータが本件発明の数値の範囲内であるにもかかわらず、滑り性が改善されていない。
そうすると、本件発明1?4には、本件発明の目的を達成しない態様が含まれる。

2 申立人2による特許異議申立理由及び証拠方法
(1) 申立理由2-1(進歩性欠如)
ア 本件発明1?6は、甲2-1に記載された発明及び甲2-1?2-7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 証拠方法
甲2-1:特開2012-176910号公報
甲2-2:特開平10-102083号公報
甲2-3:特開2010-37123号公報
甲2-4:特開2015-212217号公報
甲2-5:特開平9-12307号公報
甲2-6:国際公開第2013/133412号
甲2-7:特開2005-60283号公報

(2) 申立理由2-2(進歩性欠如)
ア 本件発明1?6は、甲2-3に記載された発明及び甲2-1?2-7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 証拠方法
上記甲2-1?甲2-7

(3) 申立理由2-3(実施可能要件違反)
本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、下記の指摘事項のとおり、当業者が、本件発明1?6の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、本件発明1?6に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

本件発明1は、平均摩擦係数が0.90以下、かつ前記平均摩擦係数の変動値が0.015以下であることを発明特定事項としている。
特許権者は審査過程で、上記平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値は、粒子形状、粒度分布、粒子の表面状態など他の要素(平均粒子径、最大粒子径、比表面積、黒鉛化指数以外の要素)にも依存するパラメータである旨主張している。
また、本件明細書の実施例には、アルミナ製乳鉢で粉砕したこと、超音波振動篩を用いたことなどが記載されているが、粉砕後の粉末の粒子形状、粒度分布、粒子の表面状態は、粉砕前の粗六方晶窒化ホウ素の状態、粉砕時の乳鉢による加圧条件などの影響を受けることは明らかである。
そうすると、過度の試行錯誤なしに、平均摩擦係数が0.90以下、かつ前記平均摩擦係数の変動値が0.015以下である六方晶窒化ホウ素粉末を当業者が製造できるとは認められない。

第4 当審の判断
1 申立人1による特許異議申立理由について
(1) 申立理由1-1(新規性進歩性欠如)について
ア 甲1-1の記載事項
甲1-1には、以下の記載がある。

1a「【請求項1】
平均長径が2?20μm で厚みが0.05?0.5μm の扁平形状をなす一次粒子が積層した板状の凝集体からなり、比表面積が1?10m^(2)/gで、かつ目開き45μm篩下の凝集体の含有率が50質量%以上で、さらに可溶性ホウ素量が100ppm以下であることを特徴とする化粧料用の窒化ホウ素粉末。」

1b「【0001】
本発明は、化粧料用の六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法に関し、特に該粉体の潤滑性と透明性の向上を図り、もって化粧料使用時における塗擦動作においてスムーズな伸びの実現を図ろうとするものである。
また、本発明は、上記した六方晶窒化ホウ素粉末を用いた化粧料に関し、特に肌への展延性および付着性を向上させて、仕上がりのツヤ感と透明感の両者を達成しようとするものである。」

1c「【発明の効果】
【0021】
本発明の窒化ホウ素粉末は、潤滑性に優れ、軽度の力で滑るように広がる作用があるため、化粧品の使用時における塗擦動作においてスムーズな伸びを達成することができる。
また、本発明の化粧料によれば、肌への展延性および付着性を向上させて、仕上がりのツヤ感および透明感(素肌感)の両者を格段に向上させることができる。」

1d「【0044】
なお、窒化ホウ素粉末の透過度(透明度)、ヘーズ値(濁度)および摩擦係数はそれぞれ、次のようにして測定した。
・・・・・
(3) 摩擦係数
カトーテック(株)の「摩擦感テスター」を用いて測定した。
すなわち、スライドグラスに両面テープを貼ったものに粉体試料を乗せて余分な粉体を振動を与えてふるい落とした後、試料台に固定する。ついで、試料上を1cm角のピアノワイヤーセンサーを0.5mm/sの速さで滑らせて測定した。
この摩擦係数の値が0.15以下であれば、潤滑性に優れていると言える。
【0045】 また、可溶性ホウ素量は、「医薬部外品原料規格2006」に基づき、次のようにして測定した。
・・・・・ 」

1e 段落【0046】の表1には、具体例として、比表面積が2?8m^(2)/g、平均粒径が8?11μm、摩擦係数が0.12?0.15、可溶性ホウ素量が16?19ppmの範囲の窒化ホウ素粉末(No.1?No.4)が記載されている。

イ 甲1-1に記載された発明(甲1-1発明)
上記記載事項1eの具体例に着目して整理すると、甲1-1には、次の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が記載されているといえる。
「平均粒径が8?11μm、比表面積が2?8m^(2)/g、摩擦係数が0.12?0.15、可溶性ホウ素量が16?19ppmである六方晶窒化ホウ素粉末」

ウ 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲1-1発明との対比
本件発明1と甲1-1発明とを対比すると、甲1-1発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒径が8?11μmである点は、本件発明1の「平均粒子径が3μm以上20μm以下」に相当し、また、同比表面積は、本件発明1の範囲内である。さらに、甲1-1発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末の「可溶性ホウ素量」は、記載事項1dによると、「医薬部外品原料規格2006」に基づくものであるから、本件発明1の「医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度」に相当し、その値も本件発明1の範囲内である。
そうすると、両者は、「平均粒子径が3μm以上20μm以下であり、比表面積が1m^(2)/g以上10m^(2)/g以下、さらに医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下である六方晶窒化ホウ素粉末。」である点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。

相違点1:本件発明1は、「最大粒子径が250μm以下」であることが特定されているのに対して、甲1-1発明は、最大粒子径は明らかでない点。

相違点2:本件発明1は、「一次粒子の粉末X線回折法による黒鉛化指数が2.0以下」であることが特定されているのに対して、甲1-1発明は、黒鉛化指数は明らかでない点。

相違点3:本件発明1は、「平均摩擦係数が0.90以下、前記平均摩擦係数の変動値が0.015以下」であることが特定されているのに対して、甲1-1発明は、摩擦係数が0.12?0.15である点。

(イ) 相違点についての検討
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
本件発明1において、「平均摩擦係数が0.90以下、前記平均摩擦係数の変動値が0.015以下」と特定した理由は、「本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の平均摩擦係数(以降MIUと称す)は0.90以下、好ましくは0.80以下である。また平均摩擦係数の変動値(以降MMDと称す)は0.015以下、好ましくは0.010以下である。MIUが0.90を超えると、滑り性が不十分となる。またMMDが0.015を超えると、ざらつき感を強く感じるようになり化粧料として好ましくない。」(本件明細書段落【0020】)というものである。また、平均摩擦係数及び前記平均摩擦係数の変動値の測定は、具体的には「<平均摩擦係数(MIU)、平均摩擦係数の変動値(MMD)> 実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末0.2gを人工皮革(サプラーレ、出光テクノファイン製)に乗せ、摩擦感テスター(カトーテックス製、KES-SE)を用いて、感度:H、試験台移動速度:1mm/sec、センサー:10mm□シリコン、静荷重:25gfの条件で測定した。5回測定を行い、得られた測定結果の平均値を算出した。・・・・・」(本件明細書段落【0044】)とされ、本件明細書【0020】にも同様の記載がある。
他方、甲1-1発明は、記載事項1b、1cなどによると、本件発明1と同様な化粧料用の六方晶窒化ホウ素粉末であり、摩擦係数が小さければ、潤滑性に優れ、軽度の力で滑るというものであるから、甲1-1発明は「摩擦係数」により滑り性が規定されているといえる。
しかし、本件発明1の「平均摩擦係数」及び「前記平均摩擦係数の変動値」は、人工皮革に乗せ、摩擦感テスターで5回測定を行って得られた値を使用するものであるのに対し、甲1-1発明の「摩擦係数」の測定は、記載事項1dで説明されているとおり、ピアノワイヤーセンサーを用いるものであるから、本件発明1の測定方法とは異なるものである上、甲1-1発明は、平均摩擦係数の変動値を算出するものではない。
そうすると、本件発明1の「平均摩擦係数」と甲1-1発明の「摩擦係数」とは、六方晶窒化ホウ素粉末の滑り性を示す指標であるとはいえ、上述のとおり両者の測定方法は異なるのであるから、甲1-1発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末は、本件発明1と同じ「平均摩擦係数」及び「前記平均摩擦係数の変動値」を有するとはいえない。
また、甲1-1をみても、当該甲1-1発明は、本件発明1で特定する「平均摩擦係数」及び「前記平均摩擦係数の変動値」の範囲内に調製可能なものであるというに足りる根拠(調製手法などを含む)を見いだすこともできない。
この点について、申立人1は、3種類の既製品の窒化ホウ素粉末について実験を行って、甲1-1発明で規定する「摩擦係数」と本件発明1で特定する「平均摩擦係数」とを測定した結果、それらは高い相関性を示すことが確認できたことから、当該測定結果に基づいてあらかじめ「摩擦係数」と「平均摩擦係数」との近似直線を作成し、この近似直線に基づいて甲1-1に具体的に記載された窒化ホウ素粉末の摩擦係数から「平均摩擦係数」を換算すると、その数値は本件発明1の「平均摩擦係数」の範囲内である旨主張している。また、「平均摩擦係数の変動値」については、本件明細書の記載から、ざらつき感の指標であり、最大粒子径が250μm以下であれば、本件発明1の「平均摩擦係数の変動値」の範囲内であるといえるから、甲1-1発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末も当該「平均摩擦係数の変動値」を充足する旨主張している(特許異議申立書12?16頁)。
しかし、当該近似直線は、製造会社が異なる3種類の窒化ホウ素粉末を使用し、各粉末の「摩擦係数」及び「平均摩擦係数」の3点のみのデータに基づいて導出されたものであるから、窒化ホウ素粉末全般にあてはまる汎用的な近似直線であるというには程遠いものであるといわざるを得ず、これに甲1-1に記載の六方晶窒化ホウ素粉末のデータをあてはめることで「平均摩擦係数」が正確に推測できるとは言い難い。その上、特許異議申立書に記載された実験概要の記載のみでは、当該実験の信ぴょう性も疑わしいことを踏まえると、上記申立人1の「平均摩擦係数」についての主張は採用できない。また、「平均摩擦係数の変動値」も、本件明細書に記載の「比較例7」のみから、「最大粒子径」と「平均摩擦係数の変動値」とに相関があるとまではいえず、当該主張も採用できない。
そして、甲1-2は、MMD(平均摩擦係数の変動値)がざらつき感の指標であること、甲1-3は、化粧品基準においてホウ酸が配合禁止成分であることを示すための証拠としてそれぞれ提出されたものであるから、これらを参照しても上記相違点3に関する判断に影響しない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1-1発明とはいえず、また、甲1-1発明及び甲1-2、甲1-3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本件発明2?4について
本件発明2、3は、本件発明1に係る六方晶窒化ホウ素粉末をさらに限定したものであり、本件発明4は、本件発明3に係る六方晶窒化ホウ素粉末を含む化粧料を特定するものであるから、これらの発明はいずれも、実質的に本件発明1の発明特定事項を有するものと解することができる。
したがって、本件発明2?4は、本件発明1と同様の理由により、甲1-1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1-1発明及び甲1-1?甲1-3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

オ まとめ
以上のとおりであるから、新規性及び進歩性欠如に関する申立理由1-1は、理由がない。

(2) 申立理由1-2(明確性要件違反)について
本件明細書の段落【0014】には、本件発明の六方晶窒化ホウ素粉末の最大粒子径の測定方法について記載され、ホモジナイザーによる分散処理は行わないことが記載されている。同じく段落【0041】には、実施例で作製した六方晶窒化ホウ素粉末の分散液を用いたことが記載されているから、本件発明1で特定された最大粒子径について当業者であれば理解することができる。
したがって、本件発明1?4は明確であるといえる。

(3) 申立理由1-3(実施可能要件違反)について
ア 指摘事項アについて
上記他の要素については、本件明細書においては詳述されていないが、本件明細書の段落【0020】に記載されているように、平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値は、それぞれ粉末の滑り性及びざらつき感と相関があることは技術常識であり、この平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値の値は、上記他の要素を含めて総合的に六方晶窒化ホウ素の粒子の性状を示すものであることは、当業者であれば明らかである。
そして、本件明細書に記載された実施例及び比較例を見れば(本件明細書の段落【0038】?【0040】、【0048】?【0053】、表1?4)、篩の目開き、焼結助剤の低結晶性六方晶窒化ホウ素に対する質量割合、焼成温度の最高値、焼成時間の焼成条件、焼成助剤の種類や有無などの製造条件を変更して、六方晶窒化ホウ素粉末の平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を制御していることが理解できる。

イ 指摘事項イ、ウについて
粉砕の条件は、申立人1が主張するように、アルミナ製乳鉢で3分間粉砕したことが記載されているのみであるが(段落【0039】)、特に粉砕条件を変更したとの記載はないから、実施例及び比較例において、共通する条件により粉砕したと理解することができる。
また、分級の条件は、本件明細書の実施例には、「得られた粉末を、超音波振動篩(KFS-1000、興和工業所社製)を用いて、目開き250μmで篩い、実施例1の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。なお、ここで使用した篩の目開きの数値も表1に記載した。」(段落【0040】)と具体的に記載され、表1をみると、実施例2で篩の目開きを変更した以外は、すべて共通の条件で分級を行ったことが理解できる。
そして、表3、4を見ると、粉砕及び分級によって制御可能な平均粒子径、最大粒子径及び比表面積が記載され、また、上述のような製造条件を変更して六方晶窒化ホウ素粉末を作り分けていることが理解できるから、これらの記載にしたがって、粉砕及び分級の条件は当業者であれば決定可能であるといえ、六方晶窒化ホウ素粉末の平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を本件発明で特定した範囲の値とするために過度の試行錯誤が必要であるとはいえない。

ウ まとめ
以上のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1?4の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえるから、申立人1の実施可能要件違反の主張は採用できない。

(4) 申立理由1-4(サポート要件違反)について
本件明細書の記載によると(段落【0038】?【0040】)、段落【0052】)、比較例7は、実施例1にて篩を実施しなかった以外は、実施例1と同じ条件で六方晶窒化ホウ素を製造したものである。そして、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の物性値を示す表3、表4によると、比較例7は、最大粒子径及び平均摩擦係数の変動値が本件発明1の数値の範囲外であり、また、他のパラメータの数値も実施例1のものから変化している。
そうすると、比較例7は、実施例1の製造工程における篩を実施しなかった結果、比較例7の六方晶窒化ホウ素粉末の滑り性に影響を与えたと考えるのが自然であり、実施例1と比較例7とを見比べると、申立人1が指摘した平均粒子径等の数値だけではなく、最大粒子径及び平均摩擦係数の変動値を含めた本件発明の特定事項を全て充足することにより、滑り性の向上という本件発明の解決しようとする課題を達成できることを当業者であれば理解することができる。
したがって、申立人1のサポート要件違反の主張は採用できない。

2 申立人2による特許異議申立理由について
(1) 申立理由2-1(進歩性欠如)について
ア 本件発明1について
申立理由2-1(進歩性欠如)の主たる証拠である甲2-1は、上記申立理由1-1の主たる証拠である甲1-1であるから、甲2-1からは、甲1-1発明と同一の発明(ここでは「甲2-1発明」という。)を認定することができる。
そうすると、本件発明1と甲2-1発明との相違点も、上述の相違点1?相違点3であると認められるところ、そのうちの相違点3について、申立人2は特許異議申立書において次のように主張する。
すなわち、甲2-6及び甲2-7によると、化粧料の技術分野において、化粧品原料としてMIU(平均摩擦係数)及びMMD(平均摩擦係数の変動値)により評価すること、及び潤滑性(滑り性、滑らかさ)を向上させるためにMIUを低減し、ざらつき感をなくすためにMMDを低減することは、いずれも周知技術であるといえ、さらに本件発明1と同様に、甲2-1発明は、六方晶窒化ホウ素粉末を化粧料に使用した際の潤滑性の向上とざらつき感の低減を課題としていることから、甲2-1発明において、平均摩擦係数と平均摩擦係数の変動値を低減して、本件発明1の範囲内とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
上記主張について検討すると、化粧品用途の無機粉末を「平均摩擦係数」及び「平均摩擦係数」で評価することが周知であるとしても、上記「1(1)ウ(イ)」の判断と同様、甲2-1発明に係る窒化ホウ素粉末において、本件発明1で特定する「平均摩擦係数」及び「前記平均摩擦係数の変動値」を特定の範囲内に調製することについては、これを容易想到の事項であるというに足りる根拠は見当たらない。
また、甲2-2?甲2-4は窒化ホウ素粉末の黒鉛化指数に関する証拠として、甲2-5は化粧品原料として用いる窒化ホウ素粉末の結晶性に関する証拠として、それぞれ申立人2が提出したものであるから、これらを参照しても上記相違点3に係る本件発明1の構成を容易想到の事項ということはできない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-1発明及び甲2-1?甲2-7に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明2?6について
本件発明2?4は、上記「1(1)エ」に記載したとおり、本件発明1の発明特定事項を有するものであり、また、本件発明5は、本件発明1に係る六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法であり、本件発明6は、本件発明1を限定した本件発明2に係る六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法であるから、これらもそれぞれ本件発明1、本件発明2の発明特定事項を有するものである。
したがって、本件発明2?6は、本件発明1と同様の理由により、甲2-1発明及び甲2-1?甲2-7に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、進歩性欠如に関する申立理由2-1は、理由がない。

(2) 申立理由2-2(進歩性欠如)について
ア 甲2-3の記載内容
甲2-3には、以下の記載がある。

3a「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素含有物質と窒素含有物質とを1300℃以下で反応させて得られる粗製六方晶窒化ホウ素粉末を、大気雰囲気中60℃以下で1週間以上養生させた後に、不活性ガス雰囲気中にて1600?2200℃で再加熱処理し結晶成長させることを特徴とする、高結晶性六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
【請求項2】
大気雰囲気中60℃以下で1週間以上養生させた後再加熱する前の状態における、粗製六方晶窒化ホウ素粉末のX線回折法による黒鉛化指数(GI)が2.5以上かつ数平均粒子径が9μm以下であり、不活性ガス雰囲気中にて1600?2200℃で再加熱処理した後の高結晶性六方晶窒化ホウ素粉末のX線回折法による黒鉛化指数(GI)が1.9以下かつ数平均粒子径が10μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の高結晶性六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
・・・・・」

3b「【0002】
六方晶窒化ホウ素粉末(以下、h-BN粉末と記す)は耐熱性、潤滑性、電気絶縁性、および熱伝導性などに優れた特性を持つことから、固体潤滑材、離型剤、化粧品原料、熱伝導性樹脂用フィラー、焼結体原料、など多くの用述に使用されている。中でも高結晶性のh-BN粉末は、化粧品に混合したときの隠蔽効果に優れることや、熱伝導性が高いことから、化粧品原料や樹脂用フィラーとして特に有用である。」

3c「【0028】
本発明により得られる、粒径が大きくかつ高結晶性のh-BN粉末は、大粒径であるため化粧品に混合したときの隠蔽効果に優れることから、化粧品用途に好ましく用いることが可能である。 ・・・・・」

3d「【実施例】
・・・・・
【0030】
黒鉛化指数(GI)測定:スペクトリス(株)製PANalytical X‘Pert Pro XRD測定装置を用い、Cu・KαのX線にて、広角X線回折測定を行った。得られた測定値から、2θ=41°付近、44°付近、50°付近に見られる(100)(101)(102)の面積を測定し、下記式に基づいて黒鉛化指数(GI)を算出した。GI=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕 数平均粒子径:100mlビーカーにヘキサメタリン酸ナトリウム20重量%水溶液15mlを入れ、この水溶液にh-BN粉末60mgを投入し、超音波分散器で40分間分散処理した。得られた分散液にて、(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定器LA-950を用い、数平均粒子径を測定した。 【0031】 実施例1 オルトホウ酸55重量部、メラミン45重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、窒素フロー下で管状電気炉にて1000℃に加熱し2時間処理後冷却することで、粗製h-BN粉末を得た。この粗製h-BN粉末を23℃50%RH条件にて10日間静置し、養生した。次いで、粗製h-BN粉末80重量部、重質炭酸カルシウム12重量部、オルトホウ酸8重量部、をヘンシェルミキサーで混合した後、窒化ホウ素製ルツボに仕込み、高温加熱が可能な電気雰囲気炉に仕込んだ。内部を窒素置換した後、2050℃にて2時間加熱し、冷却し、硝酸水溶液にて洗浄、乾燥することにより、高結晶性h-BN粉末を得た。得られたh-BN粉末の特性は下記の通りである。粗製h-BN粉末:黒鉛化指数5.22、数平均粒子径1.2μm。高結晶性h-BN粉末:黒鉛化指数1.19、数平均粒子径17.5μm。」

イ 甲2-3に記載された発明(甲2-3発明)
上記記載事項3dの具体例に着目して整理すると、甲2-3には、次の発明(以下、「甲2-3発明」という。)が記載されているといえる。
「数平均粒子径が17.5μm、X線回折法による黒鉛化指数が1.19である六方晶窒化ホウ素粉末」

ウ 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲2-3発明との対比
本件発明1と甲2-3発明とを対比すると、甲2-3発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末の「X線回折法による黒鉛化指数」は、本件発明1の「一次粒子の粉末X線回折法による黒鉛化指数」に相当し、その数値は、本件発明1の黒鉛化指数の上限より小さい。
そうすると、両者は、
「一次粒子の粉末X線回折法による黒鉛化指数が2.0以下である六方晶窒化ホウ素粉末。」
である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

相違点4:本件発明1は、「平均粒子径が3μm以上20μm以下」であるのに対して、甲2-3発明は、「数平均粒子径が17.5μm」である点。

相違点5:本件発明1は、「最大粒子径が250μm以下」であるのに対して、甲2-3発明は、最大粒子径は明らかでない点。

相違点6:本件発明1は、「比表面積が2?8m^(2)/g」であるのに対して、甲2-3発明は、比表面積は明らかでない点。

相違点7:本件発明1は、「平均摩擦係数が0.90以下、前記平均摩擦係数の変動値が0.015以下」であるのに対して、甲2-3発明は、摩擦係数が0.12?0.15である点。

相違点8:本件発明1は、「医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下」であるのに対して、甲2-3発明は、溶出ホウ素濃度は明らかでない点。

(イ) 相違点についての検討
事案に鑑み、上記相違点7について検討する。
申立人2は、相違点7について、甲2-3発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末は化粧用途に用いることを想定したものであることから、上記「2(1)ア」における相違点3についての主張と同様、相違点7に係る平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を、本件発明1の範囲内とすることは当業者にとって容易なことである旨主張している。
しかし、上記「2(1)ア」において検討したとおり、相違点3についての主張は採用できないものであるから、同様の理由により、上記相違点7についての主張も採用することはできず、結局、甲2-1?甲2-7の記載を参照しても、甲2-3発明に係る窒化ホウ素粉末において、上記相違点7に係る本件発明1の構成とすること、すなわち、特定の「平均摩擦係数」及び「前記平均摩擦係数の変動値」の範囲内に調製することは容易想到の事項ということはできない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-3発明及び甲2-1?甲2-7に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本件発明2?6について
上記「2(1)イ」の検討と同様、本件発明2?6は、甲2-3発明及び甲2-1?甲2-7に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

オ まとめ
以上のとおりであるから、進歩性欠如に関する申立理由2-2は、理由がない。

(3) 申立理由2-3(実施可能要件違反)について
申立理由2-3に係る申立人2の実施可能要件違反についての主張は、結局のところ、平均摩擦係数及び平均摩擦係数の変動値を制御するための条件がすべて明らかにされておらず、また、粉砕条件の詳細も明らかでないという、上記申立理由1-3に係る申立人1の実施可能要件違反の主張と同趣旨のものであるといえる。
そうすると、当該主張については、上記「1(3)ア」の「指摘事項アについて」に記載した理由と同様であり、採用することはできないから、当該申立理由2-3についても理由がない。

第5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立理由によっては、本件請求項1?6に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-06-29 
出願番号 特願2018-62351(P2018-62351)
審決分類 P 1 651・ 536- Y (C01B)
P 1 651・ 121- Y (C01B)
P 1 651・ 537- Y (C01B)
P 1 651・ 113- Y (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 壷内 信吾  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 正 知晃
後藤 政博
登録日 2020-08-05 
登録番号 特許第6745293号(P6745293)
権利者 デンカ株式会社
発明の名称 六方晶窒化ホウ素粉末、その製造方法、及び化粧料  
代理人 清水 義憲  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 中塚 岳  

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