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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1376167 |
審判番号 | 不服2020-6368 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-11 |
確定日 | 2021-07-15 |
事件の表示 | 特願2018-169344「ゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月28日出願公開、特開2019- 48057〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年1月31日(以下「分割原出願日」という。)に出願した特願2012-19119号の一部を平成26年3月14日に新たに出願した特願2014-52031号の一部を平成28年11月24日に新たに出願した特願2016-228286号の一部を平成30年9月11日に新たに出願したものであって、令和1年8月6日付けで拒絶理由が通知され、同年9月27日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月6日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年5月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和2年5月11日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和2年5月11日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和1年9月27日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項4を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項4へと補正することを含むものである。(下線は審決で付した。以下同じ。) (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項4】 他のコンピュータ装置とネットワークを介して接続が可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、 コンピュータ装置を、 コンピュータ装置を操作するプレイヤの操作入力に基づいて、他のコンピュータ装置において実行される対戦イベントの内容を決定するイベント内容決定手段、 前記イベント内容決定手段によって決定された対戦イベントに関する情報を送信する送信手段、 前記送信手段によって対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段、 として機能させ、 他のコンピュータ装置が、 前記送信手段により送信された対戦イベントに関する情報を受信し、 受信した対戦イベントに関する情報に基づいて、対戦イベントを実行するものであり、 前記イベント内容決定手段が、コンピュータ装置を操作するプレイヤが使用可能なキャラクタの中から、対戦イベントにおいて対戦相手となる1以上のキャラクタを決定するキャラクタ決定手段、及び、 対戦イベントにおいて課される課題を決定する課題決定手段を含む、 ゲームプログラム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項4】 他のコンピュータ装置とネットワークを介して接続が可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、 コンピュータ装置を、 コンピュータ装置を操作するプレイヤの操作入力に基づいて、他のコンピュータ装置において実行される対戦イベントの内容を決定するイベント内容決定手段、 前記イベント内容決定手段によって決定された対戦イベントに関する情報を送信する送信手段、 前記送信手段によって対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段、 として機能させ、 他のコンピュータ装置が、 前記送信手段により送信された対戦イベントに関する情報を受信し、 受信した対戦イベントに関する情報に基づいて、対戦イベントを実行するものであり、 前記イベント内容決定手段が、コンピュータ装置を操作するプレイヤが使用可能なキャラクタの中から、対戦イベントにおいて対戦相手となる1以上のキャラクタを決定するキャラクタ決定手段、及び、 対戦イベントにおいて課される課題を決定する課題決定手段を含み、 プレイヤが使用可能なキャラクタが、プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである、 ゲームプログラム。」 2 本件補正の適否について 本件補正により、本件補正前の発明特定事項である「プレイヤが使用可能なキャラクタ」について、「プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである」との限定を付加するものである。 そして、補正前の請求項4に記載された発明と補正後の請求項4に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、本願の願書の最初に添付した明細書の 「【0041】 次に、サブキャラクタの配置処理について説明する。図6は、サブキャラクタの配置処理についてのフローチャートを表す図である。まず、プレイヤによる十字キー14eへの操作にしたがって、メインキャラクタが移動する(ステップS1)。さらに、プレイヤによる表示器12のタッチパネル上のサブキャラクタの配置要求のためのアイコン(図10に図示)へのタッチ操作を受け付けると(ステップS2)、派遣対象となるサブキャラクタの選択が可能となる。次に、メインキャラクタに従属しているサブキャラクタを示すアイコン(図10に図示)へのタッチ操作により、サブキャラクタの選択が受け付けられる(ステップS3)。同じ位置に配置できるサブキャラクタの数については、1体に限られるわけではなく、複数であってもよい。」 の記載に基づいており、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について 本件補正の目的が、特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。 (2)引用例 ア 引用例1 原査定の拒絶の理由において引用された「inFAMOUS_(TM)2,電撃PlayStation,日本,株式会社アスキー・メディアワークス,2011年5月26日,第17巻第15号,第102頁」(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「PS3 ACT 7月7日発売 inFAMOUS2」 (イ)「可能性は無限!? のミッション作成モード 本作では、自分だけのオリジナルミッションを作成できることが判明。プレイヤーは物語の舞台となる大都市・ニューマレイの広大なマップを利用して、さまざまなミッションを作成できる。作成したミッションは、ネットをとおして他プレイヤーと共有可能。敵や人、障害物などのオブジェクトも自由に配置できるので、自分だけのユニークなミッションを作ろう!!」 (ウ)「ミッション内容も自由に設定可能 (右向き黒三角)ターゲットの暗殺や要人の防衛、拠点の破壊など、ミッション内容を自分好みに設定することも!!」 (エ)上記(ア)より、「inFAMOUS2」は、PlayStation3で実行されるゲームプログラムのゲームタイトルであると認められる。 (オ)上記(イ)より、「inFAMOUS2」は、プレイヤーが物語の舞台となる大都市・ニューマレイの広大なマップを利用して、自分だけ、すなわち、プレイヤーだけのオリジナルミッションを作成するミッション作成モードを有するものと認められる。 (カ)上記(イ)より、「inFAMOUS2」で作成したオリジナルミッションは、ネットをとおして他プレイヤーと共有可能なものと認められる。 (キ)上記(イ)より、「inFAMOUS2」で作成したオリジナルミッションは、プレイヤーだけのユニークなものであって、敵や人、障害物などのオブジェクトを自由に配置できるものと認められる。 (ク)上記(ウ)より、「inFAMOUS2」で作成したオリジナルミッションは、ターゲットの暗殺や要人の防衛、拠点の破壊など、をその内容とするものであると認められる。 そうすると、上記(ア)乃至(ク)の記載事項より、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「PlayStation3で実行されるゲームプログラム「inFAMOUS2」であって、 プレイヤーが物語の舞台となる大都市・ニューマレイの広大なマップを利用して、プレイヤーだけのオリジナルミッションを作成するミッション作成モードを有し、 作成したオリジナルミッションは、ネットをとおして他プレイヤーと共有可能であって、 作成したオリジナルミッションは、プレイヤーだけのユニークなものであって、敵や人、障害物などのオブジェクトを自由に配置できるものであって、 作成したオリジナルミッションは、ターゲットの暗殺や要人の防衛、拠点の破壊など、をその内容とするものである、 ゲームプログラム「inFAMOUS2」。」 イ 引用例2 原査定の拒絶の理由において引用された特開2009-233104号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、ゲームシステム、ゲーム装置、サーバ、プログラム、情報記憶媒体に関する。」 (イ)「【課題を解決するための手段】 【0006】 (1) 本発明は、複数のゲーム装置を含むゲームシステムであって、ゲーム装置は、プレーヤからの操作情報に基づいて、ゲーム空間にオブジェクトを配置してゲームステージを作成するゲームステージ作成部と、作成された前記ゲームステージがクリア可能か否かを判定する判定部と、クリア可能と判定された前記ゲームステージをサーバまたは他のゲーム装置に送信する通信制御部とを含み、前記他のゲーム装置は、クリア可能と判定された前記ゲームステージを前記サーバまたは前記ゲーム装置から受信する通信制御部と、受信した前記ゲームステージを用いてゲーム処理を行うゲーム処理部とを含むゲームシステムに関するものである。」 (ウ)「【0031】 ゲーム装置10は、ゲームステージを作成し、作成したゲームステージをサーバ20にアップロードするとともに、サーバ20からゲームステージをダウンロードし、ダウンロードしたゲームステージを用いてゲームを実行する。 … 【0033】 2.ゲーム装置10の機能ブロック図2は、本実施形態のゲーム装置10の機能ブロック図の一例である。なお本実施形態のゲーム装置10では、図2の構成要素(各部)を全て含む必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。」 (エ)「【0046】 処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作情報、情報記憶媒体180や携帯型情報記憶装置182から記憶部170に展開されたプログラムやデータなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、あるいは音生成処理などの各種処理を主記憶部171をワーク領域として行う。なお処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。 【0047】 そして処理部100は、ゲームステージ作成部110、判定部112、検証部114、通信制御部116、ゲーム処理部118、描画部140、音生成部150を含んで構成される。なお、これらの一部を省略する構成としてもよい。」 (オ)「【0055】 また通信制御部116は、サーバ20に送信したゲームステージを作成したプレーヤに付与されるゲーム上の特典をサーバ20から受信する処理を行う。「ゲーム上の特典」とは、プレーヤのゲーム資産の価値を高めることをいい、例えば、得点、ゲーム内通貨、ゲーム実行可能回数(ライフ)、キャラクタの能力値(ステータスパラメータ)などの加算やレアリティの高いアイテムの付与などがある。 【0056】 ゲーム処理部118は、サーバ20から受信したゲームステージや、ゲームステージ作成部110に作成されたゲームステージを用いてゲーム処理を行う。ゲーム処理としては、例えば、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、キャラクタやマップなどのオブジェクトを配置する処理、オブジェクトを表示する処理、ゲーム結果を演算する処理、あるいはゲーム終了条件(例えば、クリア条件)が満たされた場合にゲームを終了する処理などを行う。」 (カ)「【図2】 」 (キ)上記(カ)より、ゲーム装置は、通信制御部及びゲーム処理部を含む処理部並びに記憶部から構成されるものと認められる。 (ク)上記(エ)より、処理部はプログラムに基づいて各種処理を行うものであるところ、処理部は、ゲーム処理部及び通信制御部から構成されるのであるから、プログラムは、ゲーム処理部及び通信制御部の処理を実行させるものと認められる。 (ケ)上記(イ)より、ゲーム処理とは、ゲームステージをクリアすることを意味するものと認める。 そうすると、上記(ア)乃至(カ)の記載事項及び上記(キ)乃至(ケ)の認定事項より、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「通信制御部及びゲーム処理部を含む処理部並びに記憶部から構成されるゲーム装置に、ゲームステージをクリアするゲーム処理を実行させる記憶部に展開されたプログラムであって、 ゲームステージは、ゲーム装置で作成され、サーバにアップロードされ、サーバからゲーム装置にダウンロードされるものであって、 プログラムは、 ゲーム処理部に、ゲームステージを用いて、ゲームステージをクリアするゲーム処理を実行させ、 通信制御部に、ゲームステージを作成したプレーヤに付与されるゲーム上の特典をサーバから受信する処理を実行させる、 プログラム。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、 ア 後者の「PlayStation3」、「ネット」、「ゲームプログラム「inFAMOUS2」」は、それぞれ、前者の「コンピュータ装置」、「ネットワーク」、「ゲームプログラム」に相当する。 イ 後者の「ゲームプログラム『inFAMOUS2』」は、作成したオリジナルミッションをネットをとおして他プレイヤーと共有可能とするものであるから、前者の「ゲームプログラム」と後者の「ゲームプログラム『inFAMOUS2』」とは、「他のコンピュータ装置とネットワークを介して接続が可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラム」との概念で共通する。 ウ 後者の「作成したオリジナルミッション」の内容であるところの「要人の防衛」には、敵との対戦が、包含されることは明らかであることから、後者の「作成したオリジナルミッション」は、前者の「対戦イベント」に相当する。 エ 後者の「ミッション作成モード」でプレイヤーだけのオリジナルミッションが作成されると、該プレイヤーだけのオリジナルミッションのゲームが実行されることとなるのであるから、前者の「イベント内容決定手段」と後者の「ミッション作成モード」とは、「対戦イベントの内容を決定する」ものとの概念で一致する。 そうすると、後者の「オリジナルミッションを作成するミッション作成モード」を有する「ゲームプログラム「inFAMOUS2」」は、前者の「コンピュータ装置を、イベント内容決定手段として機能させるゲームプログラム」に相当する。 後者の「プレイヤーだけのオリジナルミッション」は、PlayStation3で、プレイヤーが作成するものであることから、後者の「ミッション作成モード」は、コンピュータ装置を操作するプレイヤーの操作入力に基づくものといえる。 後者の「作成したオリジナルミッション」は、他プレイヤーと共有可能であることから、後者の「作成したオリジナルミッション」は、他プレイヤーのPlayStation3において実行されるものといえる。 してみると、後者の「オリジナルミッションを作成するミッション作成モード」を有する「ゲームプログラム「inFAMOUS2」」は、前者の「コンピュータ装置を、コンピュータ装置を操作するプレイヤの操作入力に基づいて、他のコンピュータ装置において実行される対戦イベントの内容を決定するイベント内容決定手段、として機能させるゲームプログラム」に相当する。 オ 後者の「作成したオリジナルミッション」は、ミッション作成モードで作成され、ネットをとおして他プレイヤーと共有可能であることから、前者の「ゲームプログラム」と後者の「ゲームプログラム『inFAMOUS2』」とは、「コンピュータ装置を、イベント内容決定手段によって決定された対戦イベントに関する情報を送信する送信手段、として機能させるゲームプログラム」との概念で共通する。 カ 後者の「作成したオリジナルミッション」は、他プレイヤーと共有可能であることから、後者の「作成したオリジナルミッション」は、他プレイヤーのPlayStation3において実行されるものといえるのであるから、前者の「他のコンピュータ装置」と後者の「『他プレイヤー』の『PlayStation3』」とは、「送信手段により送信された対戦イベントに関する情報を受信し、受信した対戦イベントに関する情報に基づいて、対戦イベントを実行するもの」との概念で共通する。 キ 後者の「敵」は、前者の「対戦イベントにおいて対戦相手となるキャラクタ」に相当し、後者の「作成したオリジナルミッション」は、プレイヤーだけのユニークなものであって、敵を自由に配置できるものであるのだから、実質的に敵を選択し決定しているといえる。 してみると、前者の「ゲームプログラム」と後者の「ゲームプログラム『inFAMOUS2』」とは、「コンピュータ装置を、対戦イベントにおいて対戦相手となる1以上のキャラクタを決定するキャラクタ決定手段を含むイベント内容決定手段として機能させる、ゲームプログラム」との概念で共通する。 ク 後者の「作成したオリジナルミッション」の「内容」であるところの「ターゲットの暗殺や要人の防衛、拠点の破壊など」は、前者の「対戦イベントにおいて課される課題」に相当するから、前者の「ゲームプログラム」と後者の「ゲームプログラム『inFAMOUS2』」とは、「コンピュータ装置を、対戦イベントにおいて課される課題を決定する課題決定手段を含むイベント内容決定手段として機能させる、ゲームプログラム」との概念で共通する。 したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 [一致点] 「他のコンピュータ装置とネットワークを介して接続が可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、 コンピュータ装置を、 コンピュータ装置を操作するプレイヤの操作入力に基づいて、他のコンピュータ装置において実行される対戦イベントの内容を決定するイベント内容決定手段、 前記イベント内容決定手段によって決定された対戦イベントに関する情報を送信する送信手段、 として機能させ、 他のコンピュータ装置が、 前記送信手段により送信された対戦イベントに関する情報を受信し、 受信した対戦イベントに関する情報に基づいて、対戦イベントを実行するものであり、 前記イベント内容決定手段が、対戦イベントにおいて対戦相手となる1以上のキャラクタを決定するキャラクタ決定手段、及び、 対戦イベントにおいて課される課題を決定する課題決定手段を含み、 ゲームプログラム。」 [相違点1] 本願補正発明は、コンピュータ装置を「前記送信手段によって対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段」として機能させるゲームプログラムであるのに対し、引用発明1は、PlayStation3をそのような特典付与手段として機能させるものではないではない点。 [相違点2] 本願補正発明の「キャラクタ」は、「コンピュータ装置を操作するプレイヤが使用可能なキャラクタの中から」決定されるものであって、「プレイヤが使用可能なキャラクタが、プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである」のに対し、引用発明1の「敵」は、そのような特定がされていないものである点。 (4)判断 上記各相違点について、以下、検討する。 ア [相違点1]について 引用発明2の「ゲームステージ」は、ゲーム処理における、クリアする事項といえるものであるから、本願補正発明の「イベント」に相当する。 そして、引用発明2の「ゲーム装置」は、作成したゲームステージをサーバにアップロードするのであるから、本願補正発明の「コンピュータ装置」と引用発明2の「ゲーム装置」とは、「送信手段」を備えているといえる。 そして、引用発明2の「ゲーム装置」が、作成したゲームステージをサーバにアップロードするにあたっては、作成したゲームステージに関する情報を送信するものであることは、通信技術においては自明の事項であるから、本願補正発明の「コンピュータ装置」と引用発明2の「ゲーム装置」とは、「イベントに関する情報を送信する送信手段」を備えているといえる。 そして、引用発明2の通信制御部の「特典をサーバから受信する処理」において、ゲームステージを作成したプレーヤが特定できるのは、プレーヤがゲームステージを作成し、作成したゲームステージをサーバにアップロードした後であることは明らかといえる。 そうすると、引用発明2の「通信制御部に、ゲームステージを作成したプレーヤに付与されるゲーム上の特典をサーバから受信する処理を実行させる」プログラムは、本願補正発明の「イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段」として機能させるゲームプログラムに相当する。 そして、引用発明1においても、プレイヤーだけのオリジナルミッションをプレイヤーだけのユニークなものを作成することに対して、インセンティブを与えるために、プレイヤーに対して特典を付与することは、当業者であれば、想起し得ることである。 してみると、引用発明1において、引用発明2のサーバにアップロードしたゲームステージを作成したプレーヤに対して、ゲーム上の特典を付与することを適用して、ミッションを作成して他のプレイヤーと共有可能としたことをもって、特典を付与するようにし、もって、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。 イ [相違点2]について プレイヤーが、プレイヤーが操作するキャラクタ(大名家(当主))に従っているキャラクタ(豪族武将や部隊)の中から戦闘を行うキャラクタ(豪族武将や部隊)を選択し配置することは、ゲームプログラムの分野において、従来より、周知の技術手段(例えば、「天下統一V,[online],公知日:2011年9月9日,インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20110909030726/https://www.4gamer.net/games/048/G004895/20080614002/>」及び「★PS2/PSPゲームレビュー★実はPC版よりも高度なゲームに!!戦略級プレイも可能な新時代の「天下統一」「戦国天下統一」,[online],公知日:2011年9月9日,インターネット:<URL:https://game.watch.impress.co.jp/docs/review/168445.html>」)であって、プレイヤーが操作可能なことも自明であるところ、引用発明において、配置する敵や人をプレイヤーが操作するキャラクタに従属する使用可能なキャラクタとすることで、以て、上記相違点2の構成とすることは当業者が適宜なし得る程度のことである。 してみると、引用発明において、上記相違点2のように構成することは、当業者が適宜なし得るものである。 請求人は、「本願請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、「プレイヤが使用可能なキャラクタが、プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである」という構成を有するものです。引用文献1においてミッション中に配置可能な敵は、ミッション作成モードのオブジェクトの一種であり、プレイヤが操作するキャラクタ(inFAMOUS2のプレイヤキャラクタ・コール)に従属するものではありません。つまり、引用文献1において対戦相手となる敵は、「プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタ」ではありません。よって、引用文献1には、本願発明の上記構成は記載されておりません。一方、本願発明は、「ゲーム装置を操作するプレイヤが使用可能なキャラクタの中から、対戦イベントにおいて対戦相手となる1以上のキャラクタを決定するキャラクタ決定手段」、「プレイヤが使用可能なキャラクタが、プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである」、及び「対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段」という構成全てを有しているため、プレイヤは、第二キャラクタが対戦イベントにおいて活躍したことにより、特典を得たような感覚を得ることができるという、優れた効果を奏するものです。このような感覚は、配置可能なオブジェクトから敵を選択して対戦イベントを作成し、送信したときに特典が付与されるというような、引用文献1に引用文献2を組み合わせただけの場合には得られないものです。」と主張する。 しかし、上記のとおり、プレイヤが使用可能な従属するキャラクターの中から配置するキャラクターを選択することは従来より周知の技術手段であるのであるから、上記相違点2の構成とすることに何ら困難性はないといえる。 また、本願補正発明における特典の付与は、対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて付与されるものであるところ、従属するキャラクタが対戦イベントにおける活躍の如何に応じて付与されるものではないし、そのような効果は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面には、何ら記載されていない。 他方で、請求人が主張する上記作用効果が、明細書等から当業者にとって自明のものだとするのであるなら、そのような作用効果は、当業者が予測し得る程度のものといえる。 よって、請求人の主張は採用できない。 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、当業者が容易に発明できた発明であって、特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項の規定に違反してされたものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明は、令和1年9月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項4】 他のコンピュータ装置とネットワークを介して接続が可能なコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムであって、 コンピュータ装置を、 コンピュータ装置を操作するプレイヤの操作入力に基づいて、他のコンピュータ装置において実行される対戦イベントの内容を決定するイベント内容決定手段、 前記イベント内容決定手段によって決定された対戦イベントに関する情報を送信する送信手段、 前記送信手段によって対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段、 として機能させ、 他のコンピュータ装置が、 前記送信手段により送信された対戦イベントに関する情報を受信し、 受信した対戦イベントに関する情報に基づいて、対戦イベントを実行するものであり、 前記イベント内容決定手段が、コンピュータ装置を操作するプレイヤが使用可能なキャラクタの中から、対戦イベントにおいて対戦相手となる1以上のキャラクタを決定するキャラクタ決定手段、及び、 対戦イベントにおいて課される課題を決定する課題決定手段を含む、 ゲームプログラム。」(以下「本願発明」という。) 2 引用例 令和1年8月6日付けの拒絶理由通知に引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用例」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、実質的に、本願補正発明の「プレイヤが使用可能なキャラクタが、プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである」との限定を省くものである。 そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 3 (3)対比」での検討を勘案すると、両者は、下記の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、コンピュータ装置を「前記送信手段によって対戦イベントに関する情報が送信されたことに基づいて特典を付与する特典付与手段」として機能させるものであるのに対し、引用発明1は、そのような特典付与手段として機能させるものではない点。 [相違点2’] 本願補正発明の「キャラクタ」は、「コンピュータ装置を操作するプレイヤが使用可能なキャラクタの中から」決定するものであるのに対し、引用発明1は、そのように特定されない点。 そして、上記[相違点2’]は、上記[相違点2]から、「プレイヤが使用可能なキャラクタが、プレイヤが操作する第一キャラクタに従属する第二キャラクタである」との事項を削除したものであることから、上記「第2 3 (4)判断」における検討内容を踏まえれば、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-05-10 |
結審通知日 | 2021-05-11 |
審決日 | 2021-05-25 |
出願番号 | 特願2018-169344(P2018-169344) |
審決分類 |
P
1
8・
56-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 奈良田 新一 |
特許庁審判長 |
藤田 年彦 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 清水 康司 |
発明の名称 | ゲームシステム |
代理人 | 特許業務法人ライトハウス国際特許事務所 |