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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1376213
審判番号 不服2020-7456  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-02 
確定日 2021-08-03 
事件の表示 特願2018-540403「情報処理方法および電子デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日国際公開、WO2017/132963、平成31年 4月11日国内公表、特表2019-510299、請求項の数(21)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)2月4日を国際出願日とする出願であって、平成30年8月31日に手続補正書が提出され、令和元年7月8日付けで拒絶理由通知がされ、令和元年10月16日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年10月25日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、令和2年1月23日に意見書が提出され、令和2年1月30日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年6月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年1月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

令和元年10月16日付け手続補正書でした補正(以下、「本件補正」という。)は、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第3 本願発明
本願請求項1-21に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明21」という。)は、令和元年10月16日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-21に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-21は以下のとおりの発明である(下線部は補正箇所を示す。)。

「 【請求項1】
情報処理方法であって、
指定された値より小さい値に設定される透明度で電子デバイスのデスクトップ上に表示され、タッチジェスチャ操作におけるスライド操作により前記デスクトップ上を移動可能な浮遊ボタン上の前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作を取得し、前記タッチ操作によって前記浮遊ボタンに作用する第1の圧力強度値を前記タッチ操作にしたがって決定する段階と、
前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記タッチ操作による前記浮遊ボタンの表示位置が前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンと重なっているかどうかを検出する段階と、
前記浮遊ボタンの前記表示位置が前記第1の表示アイコンと重なっている場合、前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す段階と
を備える
方法。
【請求項2】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す前記段階は、
前記第1の表示アイコンがアプリケーションアイコンであるとき、前記アプリケーションアイコンに対応するアプリケーションを有効にする段階、または、
前記第1の表示アイコンがフォルダのアイコンであり、前記フォルダが複数のアプリケーションを含むと決定したとき、前記複数のアプリケーションに対応するプレビュー情報を生成する段階
を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す前記段階は、
前記タッチジェスチャ操作におけるスライド操作による前記浮遊ボタンのスライド軌跡が予め設定された軌跡の形状と同一であるかどうかを判断し、前記スライド操作による前記浮遊ボタンの前記スライド軌跡が前記予め設定された軌跡の前記形状と同一である場合、少なくとも1つの第2の表示アイコンであって、その表示位置が前記スライド軌跡と重なる部分を有する少なくとも1つの第2の表示アイコンを検出する段階と、
前記少なくとも1つの第2の表示アイコンから少なくとも1つの目標表示アイコンを決定し、前記目標表示アイコンと前記第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせる段階と
を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2の表示アイコンから少なくとも1つの目標表示アイコンを決定する前記段階は、
前記スライド操作の間の前記少なくとも1つの第2の表示アイコンのそれぞれの表示位置における前記浮遊ボタン上のタッチ操作のそれぞれの第2の圧力強度値を検出する段階と、
前記少なくとも1つの第2の表示アイコンのうち、前記応答圧力閾値より大きい第2の圧力強度値に対応する第2の表示アイコンを前記少なくとも1つの目標表示アイコンとして決定する段階と
を含む
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す前記段階は、
前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作の押下継続時間値を検出する段階と、
前記押下継続時間値が時間閾値より大きい場合、指定期間内に第3の表示アイコンを押下する操作があるかどうかを検出し、前記指定期間内に前記第3の表示アイコンを押下する操作があった場合、前記第3の表示アイコンと前記第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせる段階と
を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アイコンセット内にフォルダの表示アイコンがあるかどうかを検出し、前記アイコンセット内にフォルダの表示アイコンがある場合、前記フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記フォルダに追加する段階
をさらに備える
請求項3から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記フォルダに追加する前記段階は、
前記アイコンセット内にただ1つのフォルダの表示アイコンがあるとき、前記フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記フォルダに追加する段階、または、
前記アイコンセット内に少なくとも2つのフォルダの表示アイコンがあるとき、前記少なくとも2つのフォルダの属性情報を取得し、前記属性情報にしたがって前記少なくとも2つのフォルダから1つの目標フォルダを決定し、前記目標フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記目標フォルダに追加する段階
を有する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の圧力強度値が前記応答圧力閾値より小さいと決定されたとき、前記浮遊ボタンに対応する機能がトリガされる、
請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
電子デバイスであって、
指定された値より小さい値に設定される透明度で前記電子デバイスのデスクトップ上に表示され、タッチジェスチャ操作におけるスライド操作により前記デスクトップ上を移動可能な浮遊ボタン上のタッチジェスチャ操作におけるタッチ操作を取得し、前記タッチ操作によって前記浮遊ボタンに作用する第1の圧力強度値を前記タッチ操作にしたがって決定するよう構成される入力ユニットと、
前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記タッチ操作による前記浮遊ボタンの表示位置が前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンと重なっているかどうかを検出し、前記浮遊ボタンの前記表示位置が前記第1の表示アイコンと重なっている場合、前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出すよう構成されるプロセッサと
を備える
電子デバイス。
【請求項10】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を前記呼び出すことは、
前記第1の表示アイコンがアプリケーションアイコンであるとき、前記アプリケーションアイコンに対応するアプリケーションを有効にすること、または、前記第1の表示アイコンがフォルダのアイコンであり、前記フォルダが複数のアプリケーションを含むと決定したとき、前記複数のアプリケーションに対応するプレビュー情報を生成すること
を有する、
請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を前記呼び出すことは、
前記タッチジェスチャ操作におけるスライド操作による前記浮遊ボタンのスライド軌跡が予め設定された軌跡の形状と同一であるかどうかを判断することと、前記スライド操作による前記浮遊ボタンの前記スライド軌跡が前記予め設定された軌跡の前記形状と同一である場合、少なくとも1つの第2の表示アイコンであって、その表示位置が前記スライド軌跡と重なる部分を有する少なくとも1つの第2の表示アイコンを検出することと、前記少なくとも1つの第2の表示アイコンから少なくとも1つの目標表示アイコンを決定し、前記目標表示アイコンと前記第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせることと
を有する、
請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2の表示アイコンから少なくとも1つの目標表示アイコンを前記決定することは、
前記スライド操作の間の前記少なくとも1つの第2の表示アイコンのそれぞれの表示位置における前記浮遊ボタン上のタッチ操作のそれぞれの第2の圧力強度値を検出することと、前記少なくとも1つの第2の表示アイコンのうち、前記応答圧力閾値より大きい第2の圧力強度値に対応する第2の表示アイコンを前記少なくとも1つの目標表示アイコンとして決定することと
を含む、
請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を前記呼び出すことは、
前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作の押下継続時間値を検出することと、前記押下継続時間値が時間閾値より大きい場合、指定期間内に第3の表示アイコンを押下する操作があるかどうかを検出することと、前記指定期間内に前記第3の表示アイコンを押下する操作があった場合、前記第3の表示アイコンと前記第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせることと
を有する、
請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサはさらに、前記アイコンセット内にフォルダの表示アイコンがあるかどうかを検出し、前記アイコンセット内にフォルダの表示アイコンがある場合、前記フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記フォルダに追加するよう構成される、
請求項11から13の何れか一項に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記フォルダに前記追加することは、前記アイコンセット内にただ1つのフォルダの表示アイコンがあるとき、前記フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記フォルダに追加すること、または、前記アイコンセット内に少なくとも2つのフォルダの表示アイコンがあるとき、前記少なくとも2つのフォルダの属性情報を取得し、前記属性情報にしたがって前記少なくとも2つのフォルダから1つの目標フォルダを決定し、前記目標フォルダに対応する前記表示アイコン以外の前記アイコンセット内の全ての表示アイコンを前記目標フォルダに追加することを有する、
請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサはさらに、前記第1の圧力強度値が前記応答圧力閾値より小さいと決定したとき、前記浮遊ボタンに対応する機能をトリガするよう構成される、
請求項9から13の何れか一項に記載の電子デバイス。
【請求項17】
電子デバイスであって、
指定された値より小さい値に設定される透明度で浮遊ボタンを表示するよう構成される表示ユニットと、
タッチジェスチャ操作におけるスライド操作により前記表示ユニットのデスクトップ上を移動可能な前記浮遊ボタン上の前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作を取得し、前記タッチ操作によって前記浮遊ボタンに作用する第1の圧力強度値を決定するよう構成される圧力検出ユニットと、
前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記タッチ操作による前記浮遊ボタンの表示位置が前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンと重なっているかどうかを検出し、前記浮遊ボタンの前記表示位置が前記第1の表示アイコンと重なっている場合、前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出すよう構成されるプロセッサと
を備える
電子デバイス。
【請求項18】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を前記呼び出すことは、
前記第1の表示アイコンがアプリケーションアイコンであるとき、前記アプリケーションアイコンに対応するアプリケーションを有効にすること、または、前記第1の表示アイコンがフォルダのアイコンであり、前記フォルダが複数のアプリケーションを含むと決定したとき、前記複数のアプリケーションに対応するプレビュー情報を生成すること
を有する、
請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を前記呼び出すことは、
前記タッチジェスチャ操作におけるスライド操作による前記浮遊ボタンのスライド軌跡が予め設定された軌跡の形状と同一かどうかを判断することと、前記スライド操作による前記浮遊ボタンの前記スライド軌跡が前記予め設定された軌跡の前記形状と同一である場合、少なくとも1つの第2の表示アイコンであって、その表示位置が前記スライド軌跡と重なる部分を有する少なくとも1つの第2の表示アイコンを検出することと、前記少なくとも1つの第2の表示アイコンから少なくとも1つの目標表示アイコンを決定し、前記目標表示アイコンと前記第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせることと
を有する、
請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の表示アイコンから少なくとも1つの目標表示アイコンを前記決定することは、
前記スライド操作の間の前記少なくとも1つの第2の表示アイコンのそれぞれの表示位置における前記浮遊ボタン上のタッチ操作のそれぞれの第2の圧力強度値を検出することと、
前記少なくとも1つの第2の表示アイコンのうち、前記応答圧力閾値より大きい第2の圧力強度値に対応する第2の表示アイコンを前記少なくとも1つの目標表示アイコンとして決定することと
を含む、
請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記第1の表示アイコンに対応する機能を前記呼び出すことは、
前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作の押下継続時間値を検出することと、前記押下継続時間値が時間閾値より大きい場合、指定期間内に第3の表示アイコンを押下する操作があるかどうかを検出することと、前記指定期間内に前記第3の表示アイコンを押下する操作があった場合、前記第3の表示アイコンと前記第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせることと
を有する、
請求項19に記載の電子デバイス。」

第4 原査定について

原査定の拒絶の理由は、上記第2のとおり、本件補正により請求項1-21に追加された「スライド操作によりデスクトップ上を移動可能な浮遊ボタン」という事項(以下、「補正事項」という。)は、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載も示唆もされていないから、本件補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというものである。

上記補正事項が、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて、以下検討する。

1 当初明細書等に記載された事項
当初明細書等には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下、同様。)。

ア 「【0003】
操作を容易にするために、浮遊ボタンは、通常、画面表示層の最上部に表示される。しかしながら、浮遊ボタンは、人々に便利さと共にある種の不便さももたらす。浮遊ボタンがモバイル電子デバイスの表示画面に現れたとき、表示画面上の他のコンテンツが遮られ、遮られた部分(または浮遊ボタンと重なった部分)をユーザが操作するには不便である。遮られた部分に対してユーザが操作を行う必要があるとき、ユーザは、まず浮遊ボタンを移動させ、次に操作を行わなければならない。この方法は複雑な操作段階をもたらし、ユーザの使用感の快適さを低減させる。」

イ 「【0035】
段階101.浮遊ボタン上のタッチジェスチャ操作を取得し、浮遊ボタンに作用する第1の圧力強度値をジェスチャ操作にしたがって決定する。」

ウ 「【0045】
2.浮遊ボタンを使用することによってアイコンを分類する。この段階は具体的に2つの方式を有する。
【0046】
[方式1]
【0047】
(a1)ジェスチャ操作のスライド軌跡が予め設定された軌跡の形状と同一かどうかを判断し、ジェスチャ操作のスライド軌跡が予め設定された軌跡の形状と同一である場合、第2の表示アイコンであって、その表示位置がスライド軌跡と重なる部分を有する第2の表示アイコンを検出する。
【0048】
本実施形態において、予め設定された軌跡は、円弧(例えば、図2に示される円弧)などの、操作が容易な、および/またはユーザの使用習慣に合った任意のスライド軌跡であってよい。」

エ 「【0058】
[方式2]
【0059】
(b1)ジェスチャ操作の押下継続時間値を検出する。
【0060】
(b2)継続時間値が時間閾値より大きい場合、指定期間内に第3の表示アイコンを押下する操作があるかどうかを検出し、指定期間内に第3の表示アイコンを押下する操作があった場合、第3の表示アイコンと第1の表示アイコンとをアイコンセットへと組み合わせる。
【0061】
本例では、まず、ユーザがアイコン分類機能を有効にするかどうかを継続時間値にしたがって決定する。第1のアイコンが選択された後、アイコンを押下する継続時間が時間閾値を超えた場合、アイコン分類機能が有効にされると決定されてよい。次に、ユーザは、当該機能の下で、分類されるべきアイコンを選択してよい。当該機能の下でアイコンを選択する方式は、タップまたはダブルタップなどの、電子デバイスによって認識され得る操作であってよい。図4に示されるように、図4のaにおいて、コントロール7のアイコンへのユーザからの押下の継続時間が時間閾値を超えたとき、それに対応して分類機能が有効にされる。次に、ユーザが次のアイコン(例えば、アイコン5の位置)に移動してタッチ操作を行い、押下継続時間が時間閾値を超えた場合、アイコン5が選択されたと決定されてよい(提示される具体的な表示効果は、図4のbに示されるようにアイコン7とアイコン5とが重なることであってよい)。もちろん、具体的な応用において、より多くのアイコンが選択されてよく、具体的な実装例はアイコン5を選択する方式と同一である。」

オ 「【図2】



カ 「【図4】



2 参考文献に記載された事項
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記参考文献の項目「12. フローティングボタンを有効にする」には、図面とともに次の事項が記載されている。

「スイッチをオンにすると画面上にフローティングボタンと呼ばれる丸いボタンが常駐するようになり、それをタップするとナビゲーションキーの機能や画面ロック、端末最適化といったことが行えるボタンが展開されます。」

「機能をオンにすると画面上に丸いボタンが常駐。画面の端に張り付く仕様となっており、場所も自由に動かせる」





<参考文献>
まきはら とよかず、「Huawei Mate Sを購入したら設定したい12のこと」、[online]、2015年12月17日、[令和3年6月18日検索]、インターネット<URL:http://mobareco.jp/a58279/>

3 判断
当初明細書等には、「タッチジェスチャ操作」が「浮遊ボタン」に作用すること(上記1のイ)、及び「ジェスチャ操作」から「スライド軌跡」が得られること(上記1のウ)が記載されており、図2には、スライド操作を行うユーザの指先の左側に短い直線が示されているから(上記1のオ)、浮遊ボタンに対してスライド操作が行われることは明らかである。
また、上記参考文献には、「画面上にフローティングボタンと呼ばれる丸いボタンが常駐」し、「場所も自由に動かせる」ことが記載されているから、画面上で場所を自由に動かせる、フローティングボタンと呼ばれる丸いボタンなどの画面上に浮かんで表示される操作ボタンは、出願時の技術常識であったといえる。
そして、当初明細書等の図4には、ユーザが押下するアイコン7と重なる位置に二重丸の図形が表示され、ユーザがアイコン5の位置に移動してタッチ操作を行うことにともなって当該二重丸の図形がアイコン5の位置に移動することが記載されているから(上記1のエ及びカ)、上記出願時の技術常識を踏まえれば、当業者であれば、この二重丸の図形が「浮遊ボタン」であると理解することができ、当初明細書等には、ユーザの操作によりデスクトップ上を移動可能な浮遊ボタンが記載されているといえる。
そうすると、「スライド操作によりデスクトップ上を移動可能な浮遊ボタン」という事項は、当初明細書等の記載から自明な事項であるといえる。
よって、かかる補正事項を含む本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものと認めることはできず、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。
したがって、原査定を維持することはできない。

第5 令和元年7月8日付けの拒絶理由で引用された文献に基づく進歩性の判断について
令和元年7月8日付けの拒絶理由通知において、国際公開第2013/061605号(以下、「引用文献1」という。)、特開2010-055627号公報(以下、「引用文献2」という。)、及び米国特許出願公開第2014/0331187号明細書(以下、「引用文献3」という。)に基づく進歩性の判断が示されているため、以下、念のため、引用文献1-3に記載された発明に基づいて、本願発明1-21が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるか否かについて検討する。

1 引用文献、引用発明等
(1) 引用文献1について
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「[0024] 図1に示すように、触感呈示装置1は、表示/触感制御部10と、アプリケーション実行部20と、表示部30と、タッチセンサ40と、触感呈示部50と、押圧検出部60と、記憶部80と、を備えている。
[0025] 記憶部80は、例えばNAND型フラッシュメモリやRAM等によって構成することができる。記憶部80のメモリ領域には、各種のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」と記す)を記憶する領域のほか、オブジェクトおよび画像ファイルなどの表示用リソースを記憶する領域などが含まれる。この記憶部80から供給される表示用リソースのデータには、後述するように、触感制御情報が付加されている。
[0026] アプリケーション実行部20は、CPU等のプロセッサによって構成することができ、各種のアプリケーションのうち指定されたものを記憶部80から読み込んで、当該アプリケーションに基づく処理を実行するとともに、各機能部を当該アプリケーションに基づいて制御する。
[0027] 表示部30は、背景画像などを表示したり、ボタンおよびキー等(以下、単に「キー等」と総称する)のようなオブジェクトを画像表示したりする。このオブジェクトは、接触すべき領域または位置を操作者に示唆する画像である。このような画像のデータは、アプリケーション実行部20の制御により、表示/触感制御部10から供給される。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。
[0028] タッチセンサ40は、通常は表示部30の前面側に配置して、表示部30に表示したオブジェクトに対する操作者の指等(接触対象)による接触(または接触の解除)を、対応する位置のタッチ面において検出する。また、タッチセンサ40は、タッチ面に対する接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を、表示/触感制御部10に通知する。このタッチセンサ40は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の方式のもので構成することができる。」

イ 「[0030] 押圧検出部60は、タッチセンサ40のタッチ面に対してユーザが操作を行う際の押圧を検出するもので、例えば、押圧に応じて物理的または電気的な特性(歪み、抵抗、電圧等)が変化する歪みゲージセンサや圧電素子等の素子等を用いて構成する。押圧検出部60が、例えば、圧電素子等を用いて構成された場合、押圧検出部60の圧電素子は、タッチセンサ40に対する押圧に係る荷重(力)の大きさ(または、荷重(力)の大きさが変化する速さ(加速度))に応じて、電気的な特性である電圧の大きさ(電圧値(以下、押圧に基づくデータと称する))が変化する。この場合、後述する表示/触感制御部10は、押圧検出部60が押圧に基づくデータを表示/触感制御部10に通知することにより、または、表示/触感制御部10が、押圧検出部60の押圧に基づくデータを検出することにより、当該押圧に基づくデータを取得する。つまり、表示/触感制御部10は、タッチセンサ40に対する押圧に基づくデータを押圧検出部60から取得する。なお、押圧に基づくデータは、電圧値の代わりに、押圧に係る荷重の大きさ、電力値、抵抗値等でもよい。そして、アプリケーション実行部20は、タッチセンサ40のタッチ面に対する押圧に基づくデータが所定の閾値以上であることを表示/触感制御部10から通知されると、例えばアプリケーション基づくなどして、所定の処理を行うように制御することができる。」

ウ 「[0035] 表示/触感制御部10は、CPU等のプロセッサによって構成することができ、アプリケーション実行部20からの表示指示に基づいて、表示部30に背景画像やオブジェクトの画像などを表示したり、あるいは当該画像の表示を変更したりする等、表示部30における表示に係る制御を行う。アプリケーション実行部20が表示/触感制御部10に対して表示指示を行う際には、表示部30に表示する画像の表示データなどは、記憶部80に記憶させておいた画像のデータを読み出すことができる。表示/触感制御部10は、このように記憶部80から読み出した画像のデータの供給を受けて、所定の画像を表示部30における所定の位置に描画するように制御する。さらに、表示/触感制御部10は、表示部30が画像を複数のレイヤで表示するように制御することもできる。
[0036] ここで、レイヤ表示とは、表示部に画像を表示する際に、複数の仮想的なレイヤを重畳させたものとして画像を合成して表示することである。例えば透過率が0%の(つまり透過しない)画像がレイヤによって重畳表示される場合、表示部においては画像が表示されたレイヤのうち最上位のレイヤの画像のみが表示され、下位のレイヤの画像のうち重畳された箇所は表示されない。一方、例えば透過率が0%でない(つまり透過する)画像がレイヤによって重畳表示される場合、表示部において画像が表示されたレイヤのうち最上位のレイヤの画像を透過して下位のレイヤの画像も表示される。」

エ 「[0045] すなわち、表示/触感制御部10は、タッチセンサ40がオブジェクト等の画像の画素に対応する位置における接触を検出すると、当該画素に割り当てられた所定の処理を行うように制御する。ここで「所定の処理」とは、例えばアプリケーションのアイコンの画像に対応する位置における接触に対しては、当該アプリケーションを起動する処理などとすることができる。その他、「所定の処理」とは、例えばキー等のオブジェクトの画像に対応する位置における接触に対しては、当該キー等に対応する文字を表示部30に表示する処理などとすることができる。また、これとともに、表示/触感制御部10は、タッチセンサ30のタッチ面に接触している接触対象に対して、当該「画素」に設定された触感を呈示するように触感呈示部50を制御する。」

オ 「[0049] さらに、本実施の形態による触感呈示装置1は、操作者がタッチセンサ40に対する接触操作を行う際に押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータに応じて、異なる処理を区別して実行するのが好適である。すなわち、例えば、触感呈示装置1は、同一のオブジェクトに対応する位置において、操作者がタッチセンサ40に第1段階の力で押圧した場合と、第1段階よりも強い第2段階の力で押圧した場合とで、異なる処理を実行させることができる。」

カ 「[0053] さらに、本実施の形態による触感呈示装置1は、操作者がタッチセンサ40を押圧する際に押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータに応じて、操作者がどのレイヤに対する接触を行っているのかを区別することもできる。すなわち、表示/触感制御部10は、表示部30が画像を複数のレイヤで表示する場合、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータに応じて、タッチセンサ30に対する接触が前記複数のレイヤのうち何れのレイヤの画素に対応する位置における接触であるかを決定することができる。
[0054] この場合、表示/触感制御部10は、所定の処理を開始するとともに触感呈示部50が触感を呈示するための基準を、各画素が存在するレイヤごとに設定する。この場合、例えば、押圧に基づくデータが満たすべき基準を複数段階設定し、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが満たした基準の段階が大きくなるにつれて、より下位のレイヤに対する接触に対応するような設定とすることができる。そして、表示/触感制御部10は、表示部30において触感が設定されたレイヤに表示された画像の画素に対応する位置における接触をタッチセンサ40が検出している際に、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが、当該レイヤに表示された画素に設定された基準を満たすと、当該画素に割り当てられた処理を行うように制御する。これとともに、表示/触感制御部10は、当該レイヤに表示された画素に設定された触感を呈示するように触感呈示部50を制御する。なお、このような場合、表示/触感制御部10は、タッチセンサ40によって接触が検出された位置の情報や押圧検出部60によって検出された押圧に基づくデータ等の情報を、適切なタイミングでアプリケーション実行部20に通知する。」

キ 「[0075] 図4において、(A)に示すレイヤは最下位のレイヤを現し、以下単に「下位レイヤ」と記す。また、(B)に示すレイヤは上述した下位レイヤの直近上位に重なるレイヤを現し、以下単に「中位レイヤ」と記す。さらに、(C)に示すレイヤは上述した中位レイヤの直近上位に重なるレイヤを現し、以下単に「上位レイヤ」と記す。なお、本例においては、説明を簡単にするために、表示部30の表示が3つのレイヤにより構成される場合について説明するが、本実施の形態による触感呈示装置1において、レイヤの数は任意とすることができる。
[0076] 図4(A)に示すように、下位レイヤにおいては、例えば音楽プレーヤのアプリケーションの実行により、背景色が画像として表示されたり、またはアプリケーションに基づく処理を行うためのキー等のオブジェクトが画像として表示される。また、図4(B)に示すように、中位レイヤにおいては、例えば電子メール作成アプリケーションを実行することにより、文字編集画面が表示される。さらに、図4(C)に示すように、上位レイヤにおいては、例えば電話の着信があった際に当該着信を接続するか否かを操作者に選択させるべく、ポップアップ表示のオブジェクトが画像として表示される。」

ク 「[0080] なお、図4(C)の上位レイヤにおいては、ポップアップ表示が行われた様子を図示してあるが、通常の動作時でポップアップ表示が行われていない場合には、図5(C)に示すように、当該レイヤにおいて画像は何も表示されない。また、本例においては、図4に示したような各レイヤに表示されるオブジェクトがそれぞれ透過表示をするものとする。すなわち、複数のレイヤのオブジェクトが位置的に重なって表示されたとしても、各レイヤに表示されたオブジェクトがそれぞれ透過して表示されるようにする。このような透過表示は、図3(B)において説明した(4)の透過の情報において、透過率などを設定することにより行うことができる。また、図5(C)に示したようにオブジェクトが表示されていないレイヤは透明色などで透過表示を行うものとする。」

ケ 「[0082] 図5は、図4に示したレイヤ表示により、触感呈示装置1において音楽プレーヤのアプリケーションを起動しつつ電子メール作成のアプリケーションも起動している際の、通常の表示を示す図である。通常の表示とは、表示部30において操作者に注意を促すようなポップアップ表示を行っていない場合の表示のことである。
[0083] 図5(C)に示すように、ポップアップ表示を行っていない場合の上位レイヤにおいては、図3(C)で説明した(1)触感活性化フラグがOFFであるため、当該レイヤに対する接触は検出されず、触感も呈示されない。また、(2)下位レイヤ制御フラグはONであるため、当該上位レイヤにおいては接触を検出しないが、当該上位レイヤよりも下位のレイヤに対する接触は検出する。なお、当該上位レイヤにおいては接触を検出しないため(6)触感呈示の段階の数はゼロに設定されている。
[0084] 次に、図5(B)に示すように、上位レイヤにポップアップ表示を行っていない場合の中位レイヤにおいて、(1)触感活性化フラグがONであるため、当該レイヤに対する接触は検出され、当該検出に応じて触感が呈示される。すなわち、電子メール作成アプリケーションによるオブジェクトが表示されている箇所に対する接触は検出され、当該接触が検出されると、所定の処理が行われるとともに、当該位置の画素に設定された触感が呈示される。また、(2)下位レイヤ制御フラグはONであるため、当該中位レイヤにおいて接触を検出しつつ、さらに当該中位レイヤよりも下位のレイヤに対する接触も検出する。なお、当該中位レイヤにおいて接触を検出する際の(6)触感呈示の段階の数は1に設定されている。
[0085] さらに、図5(A)に示すように、上位レイヤにポップアップ表示を行っていない場合の下位レイヤにおいては、(1)触感活性化フラグがONであるため、当該レイヤに対する接触は検出され、当該検出に応じて触感が呈示される。すなわち、画面下部に表示されているキー等のオブジェクトが表示されている箇所に対する接触は検出され、当該検出に応じて対応する触感が呈示される。なお、当該下位レイヤにおいては、各オブジェクトに対して2段階の接触または押圧を検出するため(6)触感呈示の段階の数は2に設定されている。すなわち、本例においては、下位レイヤに対する押圧に基づくデータが満たすべき多段階の基準による押圧の区別や、接触または押圧の態様による区別を行うことにより、2段階の接触または押圧を検出する。本例においては、図5(B)に示すように、すでに中位レイヤにおいて1段階目の接触または押圧を検出するため、実際には、図5(C)に示す下位レイヤにおいては2段階目および3段階目の接触または押圧を検出することになる。
[0086] したがって、操作者は、1段階目の接触または押圧を行うことにより、中位レイヤにおける電子メール作成アプリケーションに対する操作を行うことができる。さらに、操作者は、2段階目および3段階目の接触または押圧を行うことにより、下位レイヤにおける音楽プレーヤアプリケーションに対する操作を行うことができる。この場合、例えば、2段階目の接触または押圧を検出することにより、音楽プレーヤにおいて次の曲を再生することができ、3段階目の接触または押圧を検出することにより、音楽プレーヤの再生の音量を上げる、などの処理を割り当てることができる。」

コ 「【図5】



以上ア?コより、特に下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「触感呈示装置1は、表示/触感制御部10と、アプリケーション実行部20と、表示部30と、タッチセンサ40と、触感呈示部50と、押圧検出部60と、記憶部80と、を備えており、
表示部30は、背景画像などを表示したり、ボタンおよびキー等のようなオブジェクトを画像表示したりし、
タッチセンサ40は、表示部30に表示したオブジェクトに対する操作者の指等による接触(または接触の解除)を、対応する位置のタッチ面において検出し、
押圧検出部60は、タッチセンサ40のタッチ面に対してユーザが操作を行う際の押圧を検出し、
表示/触感制御部10は、タッチセンサ40に対する押圧に基づくデータを押圧検出部60から取得し、押圧に基づくデータは、押圧に係る荷重の大きさでもよく、
表示/触感制御部10は、表示部30に背景画像やオブジェクトの画像などを表示したり、あるいは当該画像の表示を変更したりする等、表示部30における表示に係る制御を行い、
表示/触感制御部10は、表示部30が画像を複数のレイヤで表示するように制御し、
表示/触感制御部10は、タッチセンサ40がオブジェクト等の画像の画素に対応する位置における接触を検出すると、当該画素に割り当てられた所定の処理を行うように制御し、
触感呈示装置1は、同一のオブジェクトに対応する位置において、操作者がタッチセンサ40に第1段階の力で押圧した場合と、第1段階よりも強い第2段階の力で押圧した場合とで、異なる処理を実行させることができ、
表示/触感制御部10は、表示部30が画像を複数のレイヤで表示する場合、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータに応じて、タッチセンサ30に対する接触が前記複数のレイヤのうち何れのレイヤの画素に対応する位置における接触であるかを決定することができ、
表示/触感制御部10は、所定の処理を開始するとともに触感呈示部50が触感を呈示するための基準を、各画素が存在するレイヤごとに設定し、この場合、押圧に基づくデータが満たすべき基準を複数段階設定し、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが満たした基準の段階が大きくなるにつれて、より下位のレイヤに対する接触に対応するような設定とすることができ、
表示/触感制御部10は、表示部30において触感が設定されたレイヤに表示された画像の画素に対応する位置における接触をタッチセンサ40が検出している際に、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが、当該レイヤに表示された画素に設定された基準を満たすと、当該画素に割り当てられた処理を行うように制御し、
下位レイヤの直近上位に重なるレイヤを「中位レイヤ」と記し、
下位レイヤにおいては、音楽プレーヤのアプリケーションの実行により、背景色が画像として表示されたり、またはアプリケーションに基づく処理を行うためのキー等のオブジェクトが画像として表示され、
各レイヤに表示されたオブジェクトがそれぞれ透過して表示されるようにし、このような透過表示は、透過率などを設定することにより行うことができ、
触感呈示装置1において音楽プレーヤのアプリケーションを起動しつつ電子メール作成のアプリケーションも起動している際に、
中位レイヤにおいては、電子メール作成アプリケーションを実行することにより、文字編集画面が表示され、
中位レイヤにおいて、電子メール作成アプリケーションによるオブジェクトが表示されている箇所に対する接触は検出され、当該接触が検出されると、所定の処理が行われ、
当該中位レイヤにおいて接触を検出しつつ、さらに当該中位レイヤよりも下位のレイヤに対する接触も検出し、
下位レイヤにおいては、キー等のオブジェクトが表示されている箇所に対する接触は検出され、当該検出に応じて対応する触感が呈示され、
中位レイヤにおいて1段階目の接触または押圧を検出し、下位レイヤにおいては2段階目の接触または押圧を検出し、
操作者は、1段階目の接触または押圧を行うことにより、中位レイヤにおける電子メール作成アプリケーションに対する操作を行うことができ、さらに、操作者は、2段階目の接触または押圧を行うことにより、下位レイヤにおける音楽プレーヤアプリケーションに対する操作を行うことができ、例えば、2段階目の接触または押圧を検出することにより、音楽プレーヤにおいて次の曲を再生することができる、
触感呈示装置1。」

(2) 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0599】
このような3次元空間を表現することが可能な表示装置3が接続されている前記システム制御装置1の場合、前記表示装置3上に、たとえば、図82および図83に示すように、ポインタ401や、フォルダアイコン402aから402g,ウィンドウ403aから403c等のオブジェクトを3次元的に配置(表示)した3次元デスクトップを表示することができる。このとき、前記観察者(操作者)は、前記3次元デスクトップをGUIとして、前記システム制御装置1で実行可能なアプリケーションソフトを利用することができる。
【0600】
このとき、前記手前の表示面301Aと奥の表示面301Bの間の空間を3次元デスクトップ空間とし、たとえば、図82および図83に示したように、前記手前の表示面301Aの奥行き位置がz=0、表示面301A,301BがXY平面と平行であり、かつ、手前の表示面301Aから奥の表示面301Bに向かう方向をZ軸の正の方向とする3次元座標系XYZをとると、前記ポインタ401が指し示している位置は座標(xp,yp,zp)で特定される。そのため、前記入力装置2を用いて、前記ポインタ401が指し示している位置の座標(xp,yp,zp)を決定することで、前記ポインタ401を前記3次元デスクトップ空間内の任意の一点に移動させることができ、前記3次元デスクトップ空間内に配置されたフォルダアイコン402aから402g,ウィンドウ403aから403c等のオブジェクトをポインティングできる。」

「【0606】
本実施例4-1では、たとえば、図82および図83に示したような3次元デスクトップ空間内に表示されたポインタ401を、図84に示したような操作で3次元的に移動させ、前記3次元デスクトップ空間内の任意の一点をポインティングするときに、前記観察者(操作者)から見て、前記ポインタの奥行き位置よりも手前に配置されたオブジェクトを透明化する表示制御方法について説明する。」

「【図82】



以上より、特に下線部に着目すると、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「3次元空間を表現することが可能な表示装置3上に、ポインタ401や、フォルダアイコン402aから402g,ウィンドウ403aから403c等のオブジェクトを3次元的に配置(表示)した3次元デスクトップを表示し、
入力装置2を用いて、前記ポインタ401を前記3次元デスクトップ空間内の任意の一点に移動させることができ、前記3次元デスクトップ空間内に配置されたフォルダアイコン402aから402g,ウィンドウ403aから403c等のオブジェクトをポインティングでき、
3次元デスクトップ空間内に表示されたポインタ401を、3次元的に移動させ、前記3次元デスクトップ空間内の任意の一点をポインティングするときに、操作者から見て、前記ポインタの奥行き位置よりも手前に配置されたオブジェクトを透明化すること。」

(3) 引用文献3について
引用文献3には、次の事項が記載されている。

「[0045] FIG. 3a illustrates a screen shot of an example computing device having a group mode configured in accordance with one or more embodiments of the present invention. As previously explained, the group mode may be configured to run on non-touch sensitive devices, where the user input may be provided using a physical keyboard and a mouse, for example. For ease of description, example group mode functions are discussed herein in the context of a touch sensitive computing device. Continuing with FIG. 3a, the touch sensitive computing device includes a frame that houses a touch sensitive surface, which in this example, is a touch screen display. In some embodiments, the touch sensitive surface may be separate from the display, such as is the case with a track pad. As previously described, any touch sensitive surface for receiving user input (e.g., via direct contact or hovering input) may be used for the group mode user input as variously described herein, such as swipe gestures, spread gestures, and press-and-hold gestures. The gestures may be made by a user's hand(s) and/or by one or more implements (such as a stylus or pen), for example. …(後略)」

(当審訳)
「[0045] 図3aは、本発明の1つまたは複数の実施形態に従って構成されたグループ化モードを有する例示的なコンピューティングデバイスのスクリーンショットを示している。先に説明したように、グループ化モードは、非タッチセンシティブデバイスで実行するように構成でき、ユーザ入力は、たとえば、物理的なキーボードとマウスを使用して提供できる。説明を容易にするために、グループ化モード機能の例を、ここではタッチセンシティブコンピューティングデバイスのコンテキストで説明する。図3aに示されるように、タッチセンシティブコンピューティングデバイスは、タッチセンシティブ表面、この例ではタッチスクリーンディスプレイ、を収容するフレームを含む。いくつかの実施形態では、タッチセンシティブ表面は、トラックパッドの場合のように、ディスプレイから分離され得る。前述のように、ユーザ入力を受けるための任意のタッチセンシティブ表面(例えば、直接接触またはホバリング入力を介して)は、スワイプジェスチャ、スプレッドジェスチャ、およびプレスアンドホールドジェスチャなどの、本明細書で様々に説明されるグループ化モードユーザ入力のために使用することができる。ジェスチャは、例えば、ユーザの手によって、および/または、1つまたは複数の器具(スタイラスまたはペンなど)によって行われ得る。…(後略)」

「[0053] FIGS. 3e-e′ illustrate an example user input used to select objects and group the selected objects into a bundle, in accordance with an embodiment of the present invention. As previously described, the user may preselect objects desired to be grouped using the group mode (e.g., as was the case with FIGS. 3a-3d''') or the objects may be selected and grouped using the same user input. In the example select plus group function in FIGS. 3e-e′, a continuous swipe gesture is being used in FIG. 3e to select which objects are to be grouped when the swipe gesture is released. In this particular configuration, the select plus group function is configured to select items if they have been circled or substantially circled using the continuous swipe gesture as shown. However, various different techniques may be used to select objects using select plus group user input, such as swiping to the center of the object to select it, to name another example. Objects A, C, F, and I were selected using a select plus group swipe gesture as shown in FIG. 3e. After the swipe gesture was released (at the ending contact point indicated by the octagon), the selected objects (i.e., A, C, F, and I) were grouped into a bundle as shown in FIG. 3e′.」

(当審訳)
「[0053] 図3e-e′は、本発明の実施形態による、オブジェクトを選択し、選択されたオブジェクトをバンドルにグループ化するために使用される例示的なユーザ入力を示す。前述のように、ユーザは、グループ化モード(例えば、図3a-3d'''の場合のように)を使用してグループ化することが望まれるオブジェクトを事前に選択することができ、また、オブジェクトは、同じユーザ入力を使用して選択およびグループ化することができる。図3e-e′の選択プラスグループ化機能の例では、スワイプジェスチャがリリースされたときにグループ化するオブジェクトを選択するために、図3eにおいて連続スワイプジェスチャが使用されている。この特定の構成では、選択プラスグループ化機能は、図示されているように連続スワイプジェスチャを使用してアイテムが丸で囲まれているか、実質的に丸で囲まれている場合にアイテムを選択するように構成される。ただし、オブジェクトの中心をスワイプしてオブジェクトを選択するなど、選択プラスグループ化ユーザ入力を使用してオブジェクトを選択するには、さまざまな異なる手法を使用できる。オブジェクトA、C、F、およびIは、図3eに示されるように、選択プラスグループ化スワイプジェスチャを使用して選択されている。スワイプジェスチャがリリースされた後(八角形で示される接触終了点において)、選択されたオブジェクト(すなわち、A、C、F、およびI)は、図3e′に示されるようにバンドルにグループ化されている。」

「[0055] FIGS. 3g-g′ illustrate an example user input used to group preselected objects into a bundle, in accordance with an embodiment of the present invention. FIGS. 3g-g′ show the touch sensitive computing device of FIG. 3a in a vertical or portrait orientation. As shown in FIG. 3g, a press-and-hold gesture (or long press gesture) is being made by the user's hand (specifically, the user's right index finger) to group the preselected objects into a bundle, the result of which is shown in FIG. 3g′. As previously described, various different user input (or user contact in the case of a touch sensitive computing device) may be used to invoke the group mode to group multiple selected objects into a bundle. …(後略)」

(当審訳)
「[0055] 図3g-g′は、本発明の実施形態による、事前に選択されたオブジェクトをバンドルにグループ化するために使用される例示的なユーザ入力を示す。図3g-g′は、垂直または縦向きの、図3aのタッチセンシティブコンピューティングデバイスを示す。図3gでは、プレスアンドホールドジェスチャ(または長押しジェスチャ)が、ユーザの手(具体的には、ユーザの右手の人差し指)によって行われ、事前に選択されたオブジェクトをバンドルにグループ化し、その結果を図3g′に示す。前述のように、さまざまな異なるユーザ入力(またはタッチセンシティブコンピューティングデバイスの場合はユーザ接触)を使用して、グループ化モードを呼び出し、選択した複数のオブジェクトをバンドルにグループ化できる。…(後略)」

以上より、特に下線部に着目すると、引用文献3には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「タッチセンシティブ表面を収容するフレームを含むタッチセンシティブコンピューティングデバイスにおいて、
ユーザ入力を受けるための任意のタッチセンシティブ表面は、スワイプジェスチャ、およびプレスアンドホールドジェスチャなどのグループ化モードユーザ入力のために使用することができ、
連続スワイプジェスチャが使用され、スワイプジェスチャがリリースされた後、選択されたオブジェクトは、バンドルにグループ化され、
プレスアンドホールドジェスチャ(または長押しジェスチャ)が、ユーザの手によって行われ、事前に選択されたオブジェクトをバンドルにグループ化すること。」

2 対比・判断
(1) 本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア) 引用発明の「触感呈示装置1」は、本願発明1の「電子デバイス」に相当する。また、引用発明の当該「触感呈示装置1」が実施する一連の「方法」は、後述する相違点を除き、本願発明1における「情報処理方法」に相当するといえる。

(イ) 引用発明は、「表示/触感制御部10は、表示部30が画像を複数のレイヤで表示するように制御し」、「中位レイヤにおいて、電子メール作成アプリケーションによるオブジェクトが表示され」、「各レイヤに表示されたオブジェクトがそれぞれ透過して表示されるようにし、このような透過表示は、透過率などを設定することにより行うことができ」との構成を備えているから、引用発明の「電子メール作成アプリケーションによるオブジェクト」は、表示部の画面、すなわち「デスクトップ」上に、透過率の値が設定されることにより透過して表示されるものであるといえる。また、本願発明1の「浮遊ボタン」は、操作対象となる要素であるから「オブジェクト」といい得るものである。
よって、引用発明の「電子メール作成アプリケーションによるオブジェクト」と、本願発明1の「指定された値より小さい値に設定される透明度で電子デバイスのデスクトップ上に表示され、タッチジェスチャ操作におけるスライド操作により前記デスクトップ上を移動可能な浮遊ボタン」とは、「所定の値に設定される透明度で電子デバイスのデスクトップ上に表示されるオブジェクト」である点で共通する。

(ウ) 引用発明の「電子メール作成アプリケーションによるオブジェクトが表示されている箇所に対する接触」を「検出」することと、本願発明1の「浮遊ボタン上の前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作を取得し」とは、「オブジェクト上のタッチ操作を取得」する点で共通する。
そして、引用発明は、「表示/触感制御部10は、タッチセンサ40に対する押圧に基づくデータを押圧検出部60から取得し、押圧に基づくデータは、押圧に係る荷重の大きさでもよく」、「表示/触感制御部10は、表示部30において触感が設定されたレイヤに表示された画像の画素に対応する位置における接触をタッチセンサ40が検出している際に、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが、当該レイヤに表示された画素に設定された基準を満たすと、当該画素に割り当てられた処理を行うように制御し」、「中位レイヤにおいて1段階目の接触または押圧を検出し」との構成を備えているから、「中位レイヤ」において「電子メール作成アプリケーションによるオブジェクトが表示されている箇所に対する接触」を「検出」する際に、「押圧に係る荷重の大きさ」を示す「押圧に基づくデータ」が取得されるものと理解できる。
よって、引用発明の、「電子メール作成アプリケーションによるオブジェクトが表示されている箇所に対する接触」を「検出」する際に取得される「押圧に係る荷重の大きさ」を示す「押圧に基づくデータ」と、本願発明1の「前記タッチ操作によって前記浮遊ボタンに作用する第1の圧力強度値」とは、「前記タッチ操作によって前記オブジェクトに作用する第1の圧力強度値」である点で共通する。そして、引用発明の「押圧検出部60」が当該「押圧に基づくデータ」を「検出」することと、本願発明1の「前記タッチ操作によって前記浮遊ボタンに作用する第1の圧力強度値を前記タッチ操作にしたがって決定する段階」とは、「前記タッチ操作によって前記オブジェクトに作用する第1の圧力強度値を前記タッチ操作にしたがって決定する段階」である点で共通する。

(エ) 引用発明の「下位レイヤ」において「音楽プレーヤのアプリケーションの実行により」表示される「キー等のオブジェクト」は、本願発明1の「前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコン」に相当する。
そして、引用発明は、「表示/触感制御部10は、所定の処理を開始するとともに触感呈示部50が触感を呈示するための基準を、各画素が存在するレイヤごとに設定し、この場合、押圧に基づくデータが満たすべき基準を複数段階設定し、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが満たした基準の段階が大きくなるにつれて、より下位のレイヤに対する接触に対応するような設定とすることができ」、「中位レイヤにおいて1段階目の接触または押圧を検出し、下位レイヤにおいては2段階目の接触または押圧を検出し」、「操作者は、1段階目の接触または押圧を行うことにより、中位レイヤにおける電子メール作成アプリケーションに対する操作を行うことができ、さらに、操作者は、2段階目の接触または押圧を行うことにより、下位レイヤにおける音楽プレーヤアプリケーションに対する操作を行うことができ、例えば、2段階目の接触または押圧を検出することにより、音楽プレーヤにおいて次の曲を再生することができる」との構成を備えているから、引用発明は、「押圧に基づくデータ」が、「2段階目」の「押圧」に対応する「基準」を満たす場合に、「下位レイヤにおける音楽プレーヤアプリケーション」の「オブジェクト」に対応する「次の曲を再生する」機能を呼び出すものと理解できる。
よって、引用発明の「2段階目」の「押圧」に対応する「基準」は、本願発明1の「応答圧力閾値」に相当し、引用発明の「押圧に基づくデータ」が「2段階目」の「押圧」に対応する「基準」を満たす場合は、本願発明1の「前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合」に相当する。また、引用発明の「2段階目の接触または押圧を検出することにより、音楽プレーヤにおいて次の曲を再生すること」は、本願発明1の「前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す段階」に相当する。
以上のことから、引用発明の「2段階目の接触または押圧を検出することにより、音楽プレーヤにおいて次の曲を再生すること」は、本願発明1が「前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記タッチ操作による前記浮遊ボタンの表示位置が前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンと重なっているかどうかを検出する段階と、前記浮遊ボタンの前記表示位置が前記第1の表示アイコンと重なっている場合、前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す段階と」を備えることとは、「前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す段階」を備える点で共通するといえる。

イ 一致点・相違点
以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 情報処理方法であって、
所定の値に設定される透明度で電子デバイスのデスクトップ上に表示されるオブジェクト上のタッチ操作を取得し、前記タッチ操作によって前記オブジェクトに作用する第1の圧力強度値を前記タッチ操作にしたがって決定する段階と、
前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す段階と
を備える
方法。」

[相違点]
<相違点1>
本願発明1は、「透明度」が「指定された値より小さい値」に設定されるのに対し、引用発明では、「透明度」が指定された値より小さい値であることは特定されていない点。

<相違点2>
本願発明1では、電子デバイスのデスクトップ上に表示されるオブジェクトは「タッチジェスチャ操作におけるスライド操作により前記デスクトップ上を移動可能な浮遊ボタン」であり、取得されるタッチ操作は「浮遊ボタン上の前記タッチジェスチャ操作におけるタッチ操作」であるのに対し、引用発明では、そのような構成は特定されていない点。

<相違点3>
本願発明1は、第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合に、「前記タッチ操作による前記浮遊ボタンの表示位置が前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンと重なっているかどうかを検出」し、第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す処理は「前記浮遊ボタンの前記表示位置が前記第1の表示アイコンと重なっている場合」に行われるのに対し、引用発明では、そのような構成は特定されていない点。

ウ 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。

上記相違点3に係る本願発明1の「前記第1の圧力強度値が応答圧力閾値より大きいと決定した場合、前記タッチ操作による前記浮遊ボタンの表示位置が前記電子デバイスの前記デスクトップに表示された第1の表示アイコンと重なっているかどうかを検出」し、「前記浮遊ボタンの前記表示位置が前記第1の表示アイコンと重なっている場合、前記第1の表示アイコンに対応する機能を呼び出す」という構成は、上記引用文献1-3には記載されておらず、本願出願日において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2) 本願発明2-8について
本願発明2-8も、上記相違点3に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3) 本願発明9-21について
本願発明9及び本願発明17は、本願発明1に対応する電子デバイスの発明であり、上記相違点3に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものである。
また、本願発明10-16は本願発明9を、本願発明18-21は本願発明17を、それぞれ減縮した発明である。
そうすると、本願発明9-21も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-13 
出願番号 特願2018-540403(P2018-540403)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 55- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼瀬 健太郎  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 野崎 大進
北川 純次
発明の名称 情報処理方法および電子デバイス  
代理人 龍華国際特許業務法人  

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