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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1376393
審判番号 不服2020-7023  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-22 
確定日 2021-07-29 
事件の表示 特願2019- 11733「熱処理装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月20日出願公開,特開2019- 96894〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2015年(平成27年) 7月24日を出願日とする特願2015-146593号(以下,「原出願」という。)の一部を,2019年(平成31年) 1月25日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 2月19日 :上申書,手続補正書の提出
令和 1年11月22日付け:拒絶理由通知
令和 2年 1月22日 :意見書の提出
令和 2年 2月18日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年 5月22日 :審判請求書,補正書の提出
令和 2年 8月 7日 :上申書の提出
令和 2年12月23日付け:拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)
令和 3年 3月 8日 :意見書,手続補正書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項1-5(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)に係る発明は,令和 3年 3月 8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であるところ,本願発明1は,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
横向きに配置された開口部であって熱処理される被処理物が搬入および搬出される際に通過する開口部,および前記開口部を開閉するためのドアを有する横型炉と,
前記ドアを開閉動作させるための開閉機構と,
前記開口部の周囲を取り囲むとともに,前記開口部の周囲に気流を発生させるためのスカベンジャー部と,を備え,
前記スカベンジャー部は,前記開口部の周囲に配置された底壁,天壁,および,側壁を含み,
前記底壁は前記開口部の下方に配置され,
前記天壁は前記開口部の上方に配置され,
前記側壁は,上下方向に立ち上がり前記横型炉の長手方向に沿って延びており,前記底壁および前記天壁に接続されており,
前記開閉機構全体が,前記上下方向において前記ドアが設置されている領域内に配置されており,
前記開閉機構は,直線運動するように構成された出力部を有し水平に配置された直動アクチュエータと,前記出力部の直線運動を鉛直方向に延びる所定の第1軸線回りの揺動運動に変換しこの揺動運動を前記ドアに伝達するリンク機構と,を含み,
前記直動アクチュエータは,前記出力部を支持する固定部を含み,
前記固定部は,前記側壁の外側面側に配置されることで,前記スカベンジャー部の外側の空間に配置されていることを特徴とする,熱処理装置。」

第3 当審における拒絶の理由
当審拒絶理由通知は,概略,次のとおりのものである。
理由1(進歩性) この出願の請求項1-5に係る発明は,下記の引用文献1-4に記載された発明に基づいて,その原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1 実願昭55-128905号(実開昭57-50846号公報)のマイクロフィルム
引用文献2 特開平7-263362号公報
引用文献3 実願昭49-103970号(実開昭51-32262号公報)のマイクロフィルム
引用文献4 特開平6-302679号公報

第4 引用文献,引用発明等
1 引用文献1に記載されている事項及び引用発明
(1) 当審拒絶理由通知に引用された上記引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同様である。)

「 第1図は本考案装置の一実施例を示す要部の横断平面図,第2図はその斜視図を示し,1は拡散炉を構成する石英管である.2,2’は炉口3を開閉する観音開き式の石英製炉口蓋,4,4’はこの炉口蓋2,2’に嵌込んだ炉口蓋支え枠で,この炉ロ蓋支え枠4,4’の上下部はそれぞれ板バネ5,5’を介して回転軸6,6’に連結されている.回転軸6,6’はアングル7,7’に固定された軸受8,8’に支承され,アングル7,7’はスカベンジヤ9に固定されている。回転軸6,6’の一端部はスカベンジヤ9を貫通して外部に突出され,この突出した回転軸6,6’の一端部にウオームホイール10,10’が固着され,これらと噛合つて回転軸6,6’をそれぞれ互いに反対万向に回転させるためのウオーム11,11’が駆動軸12に嵌着されている。この駆動軸12はカツプリング13を介してモータ14の回転軸に連結され,モータ14はスカベンジヤ9に取付金具15によつて取付けられている。なお16はウエーハを収めたボートを出入するための石英製プツシヤ棒,17はプツシヤ棒16を炉内に入れたまま拡散処理する時の逃げ溝である。
いまモータ14を駆動して駆動軸12を第2図の矢印A方向に回転させ,ウオーム11,11’とウオームホイール10,10’を介して回転軸6,6’をそれぞれ第2図の矢印B,B’方向に回転させれば,回転軸6,6’にバネ5,5’を介して連結された炉口蓋2,2’も第2図の矢印で示す同じB,B’方向に回転され,炉口3は開かれる.炉口3を閉じる場合は上記とは逆の方向にモータ14を駆動させれば炉口蓋2,2’は上記とは逆の方向に回転され,炉口3は閉じられる。」(第2頁第第18行-第4頁第8行)









(2) 上記記載について検討する。
ア 引用文献1には,拡散炉を構成する石英管1の炉口3を開閉する観音開き式の石英製炉口蓋2,2’を,スカベンジヤ9に取付金具15によって取付けられているモータ14を駆動し,モータ14の回転軸に連結された駆動軸12を回転させ,ウオーム11,11’とウオームホイール10,10’を介して回転軸6,6’を回転させることにより,回転軸6,6’にバネ5,5’を介して連結された炉口蓋2,2’を回転させ,炉口3を開閉させる拡散炉が記載されていると認められる。
また,引用文献1において,炉口3が,ウエーハを納めたボートを出入するためのものであること,スカベンジヤ9の壁が,炉口3の周囲を取り囲んでいることは明らかである。

イ 上記第1図,第2図を参酌すると,石英管1が横型炉で,炉口3が横向きに配置されており,炉口蓋2,2’により炉口3は左右方向に開閉すると認められる。
また,モータ14は取付金具15により,スカベンジヤ9の壁の外側面に配置されているといえる。

(3) 以上から,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 拡散炉を構成する石英管1の炉口3を開閉する観音開き式の石英製炉口蓋2,2’を,スカベンジヤ9に取付金具15によって取付けられているモータ14を駆動し,モータ14の回転軸に連結された駆動軸12を回転させ,ウオーム11,11’とウオームホイール10,10’を介して回転軸6,6’を回転させることにより,回転軸6,6’にバネ5,5’を介して連結された炉口蓋2,2’を回転させ,炉口3を左右方向に開閉させる拡散炉であって,
石英管1が横型炉で,炉口3が横向きに配置されており,
また,モータ14はスカベンジヤ9の壁の外側面に配置され,
炉口3が,ウエーハを納めたボートを出入するためのものであること,
スカベンジヤ9が,炉口3の周囲を取り囲んでいること。」

2 引用文献2に記載されている事項
(1) 当審拒絶理由通知に引用された上記引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0016】上記実施例では縦型CVD装置について説明したが,上記実施例に限らず,反応ガスや反応生成物と接し酸化または腐食され易い場所の金属表面にカバー体12を設けることにより耐腐食性の効果が期待できる。例えば,処理装置の排気部分は,第3図に示すように処理室内からの排気ガスの排気を行なう例えばステンレス製箱型状のスカベンジャー51に於て,このスカベンジャー51内部には例えば石英ガラス製の反応管を保持する円環状例えばステンレス製マニホールド52があり,このマニホールド52の開口をプロセス時には熱遮蔽し(排気ガス等は流れる),ウエハを積載した例えば石英ガラス製ボートを反応管内へロード・アンロードする時は待避する如く円板状例えばステンレス製のシャッター53が,例えばエアーシリンダー等からなる駆動機構54により駆動される。また,反応管からの排気ガスや反応生成物は排気管55を通りスカベンジャー51より負圧に保たれた外部の排気処理装置へと排出される。」





(2) 以上で示した事項を参酌すると,上記引用文献2には次の技術が記載されていると認められる。
「処理室内からの排気ガスの排気を行なう例えばステンレス製箱型状のスカベンジャー51に於て,反応管からの排気ガスや反応生成物は排気管55を通りスカベンジャー51より負圧に保たれた外部の排気処理装置へと排出されること。」

3 引用文献3に記載されている事項
(1) 当審拒絶理由通知に引用された上記引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

「 図面を参照してこの考案の実施例を説明する。第2図に示すように拡散炉装置に取りつけられている石英管(11)はその一開口端面が下方に向つて斜めに切りおとされた形に形成されていて(図に点線で開口を略示してある),その上部に2個の突起部(12)が互に対向して設けられている。前記の石英管の開口端の全面をおおうことのできる大きさの長方形あるいは楕円形の石英板(13)の上部中央には突出部(14)が設けられ,この突出部(14)は前記2個の突起部(12)間に嵌合して軸支される。この石英板(13)の裏面は前記石英管(11)の前記開口端全周縁に密着するように平らに形成されている。前記石英板(13)の表面ほぼ中央に2個の突起部(15)が設けられ,これらの間に開閉装置として動作するエアシリンダ(16)の可動桿(17)の一端が軸着せられるものである。エアシリンダ(16)は拡散炉装置の適宜の個所に固定されている。なお石英板(13)の下部にはポート操作棒(18)のための逃げ溝(18)が設けられ,操作棒(18)のめに石英板(13)による石英管(11)の密閉が妨げられないようにされている。
このような構造の装置を使用して拡散作業を行うときには,先ずエアシリンダを動作させると可動桿(17)が上方に動かされ,それにしたがつて石英板(13)が軸支点を支点として上力に(図の矢印)動かされ石英管(11)の開口端を開ける。次に半導体ウエハ(10)を載置したボート(21)を所定の位置まで差し入れ,エアシリンダを前と反対の方向に動作させ
ると可動桿(17)が下方に動かされ石英板(13)は軸支点を支点として下方に(図の矢印)動き,石英管(11)の開口端を密閉する。」(第2頁第16行-第4頁第5行)





(2) 以上で示した事項,特に第2図において,「エアシリンダ(16)」,「可動桿(17)」,「突起部(15)」及び「突出部(14)」が,左右方向において「石英板(13)」が設置されている領域内に配置されている点を参酌すると,上記引用文献3には次の技術が記載されていると認められる。
「エアシリンダ(16)を動作させると,石英板(18)に設けられた突起部(15)に軸着された可動桿(17)が上方・下方に動かされ,石英板(13)が突起部(12)間に嵌合し軸支された突出部(14)を支点として上方・下方・へ動かし,石英管(11)の開口端を開け・密閉する拡散炉装置において,
エアシリンダ(16),可動桿(17),突起部(15)及び突出部(14)が,左右方向において石英板(13)が設置されている領域内に配置されていること。」

第5 当審の判断
1 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

(1) 引用発明の「炉口3」,「炉口蓋2,2’」,「石英管1」,が,本願発明1の「開口部」,「ドア」,「横型炉」に相当し,引用発明の「拡散炉」が,本願発明1の「熱処理装置」に対応する。
また,引用発明の「スカベンジヤ9」が,本願発明1の「スカベンジャー部」と,「前記開口部の周囲を取り囲むとともに」「前記開口部の周囲に配置された壁を含」む点で一致する。

(2) 引用発明の「モータ14」,「駆動軸12」,「ウオーム11,11’」,「ウオームホイール10,10’」,「回転軸6,6’」からなる機構が,本願発明1の「開閉機構」に対応し,ここで,引用発明の「モータ14の回転軸」が,本願発明1の「出力部」に対応し,引用発明の「モータ14」が,本願発明1の「直動アクチュエータ」と,「アクチュエータ」である点で,また,引用発明の「駆動軸12」,「ウオーム11,11’」,「ウオームホイール10,10’」,「回転軸6,6’」が,本願発明1の「リンク機構」と,「出力部の運動を変換し前記ドアに伝達するリンク機構」である点で一致する。
なお,引用発明の「モータ14」は,「スカベンジヤ9に取付金具15によって取付けられ」,「モータ14はスカベンジヤ9の壁の外側面に配置され」ていることから,何らかの「固定部」を有し,該「固定部」が,「スカベンジヤ9」の外側の空間に配置されていることは明らかである。

(3) したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「 横向きに配置された開口部であって熱処理される被処理物が搬入および搬出される際に通過する開口部,および前記開口部を開閉するためのドアを有する横型炉と,
前記ドアを開閉動作させるための開閉機構と,
前記開口部の周囲を取り囲むスカベンジャー部と,を備え,
前記スカベンジャー部は,前記開口部の周囲に配置された壁を含み,
前記開閉機構は,出力部を有するアクチュエータと,前記出力部の運動を変換しこの運動を前記ドアに伝達するリンク機構と,を含み,
前記アクチュエータは,前記出力部を支持する固定部を含み,
前記固定部は,前記壁の外側面側に配置されることで,前記スカベンジャー部の外側の空間に配置されていることを特徴とする,熱処理装置。」

(相違点)
(相違点1)スカベンジャー部に関して,本願発明1は,「前記開口部の周囲に気流を発生させるための」と特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

(相違点2)スカベンジャー部に関して,本願発明1は,「底壁,天壁,側壁」を含み,「前記底壁は前記開口部の下方に配置され,前記天壁は前記開口部の上方に配置され,前記側壁は,上下方向に立ち上がり前記横型炉の長手方向に沿って延びており,前記底壁および前記天壁に接続されており」と特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

(相違点3)開閉機構の配置に関して,本願発明1は,「前記開閉機構全体が,前記上下方向において前記ドアが設置されている領域内に配置されており」と特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

(相違点4)開閉機構に関して,本願発明1は,「直線運動するように構成された出力部を有し水平に配置された直動アクチュエータ」,「前記出力部の直線運動を鉛直方向に延びる所定の第1軸線回りの揺動運動に変換しこの揺動運動を前記ドアに伝達するリンク機構」,「前記固定部は,前記側壁の外側面側に配置される」と特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

2 相違点についての判断
(1) 相違点1,2について
上記相違点1,2についてまとめて検討する。
スカベンジャー部において,炉の開口部の周囲に気流を発生させ,ガスを外部に排出することは,例えば引用文献2に「反応管からの排気ガスや反応生成物は排気管55を通りスカベンジャー51より負圧に保たれた外部の排気処理装置へと排出される。」と記載されているように周知技術にすぎない。
また,引用文献2において,「スカベンジャー51」は「ステンレス製箱型状」であるから,「底壁,天壁,側壁」を含み,「前記底壁は前記開口部の下方に配置され,前記天壁は前記開口部の上方に配置され,前記側壁は,上下方向に立ち上がり前記横型炉の長手方向に沿って延びており,前記底壁および前記天壁に接続されて」いることは明らかである。
そして,引用文献1と引用文献2とは,どちらも,ウェハを処理する処理装置に関するものであるから,引用発明において引用文献2記載の周知技術を採用し,相違点1,2に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

(2) 相違点3,4について
次に,上記相違点3,4についてまとめて検討する。
熱処理装置における炉のドアの開閉機構として,どのような機構を採用するのかは,当業者が実施に当たり適宜なし得る設計的事項であると認められる。
そして,直動アクチュエータとリンク機構からなる炉のドアの開閉機構も,例えば,引用文献3(ここで,引用文献3の「エアシリンダ(16)」,「可動桿(17)」が,本願発明1の「直動アクチュエータ」に,引用文献3の「突起部(15)」,「突出部(14)」が,本願発明1の「リンク機構」に対応し,引用文献3の「エアシリンダ(16)」,「可動桿(17)」,「突起部(15)」及び「突出部(14)」を合わせた機構が,本願発明1の「開閉機構」に対応すると認められる。)に記載されているように周知の機構にすぎない。
また,引用文献3において,「エアシリンダ(16)」,「可動桿(17)」,「突起部(15)」及び「突出部(14)」は,左右方向において「石英板(13)」が設置されている領域内に配置されている。
ここで,ドアの開閉方向を考慮し,開閉機構の配置を特定することは,当業者が実施に当たり当然考慮する設計的事項にすぎず,左右方向にドアが開閉される引用発明において,引用文献3の記載の周知の開閉機構を採用した際に,その配置はドアの左右方向の側に配置されることは明らかである。
この時,開閉機構は上下方向においてドアが設置されている領域内に配置され,固定部は,側壁の外側面側に配置されるものと認められる。
すると,引用発明において引用文献3記載の周知の機構を採用し,相違点3,4に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

(3) 請求人の主張について
請求人は,令和 3年 3月 8日の意見書において,「 本願新請求項1の構成によると,開閉機構全体が,上下方向においてドアが設置されている領域内に配置されます。これにより,開閉機構がドアの上方および下方に突出した配置とならず,横型炉の開口部周辺において熱処理装置の機器のレイアウトを上下にコンパクトにできます。さらに,上下に延びる縦壁としての側壁の外側方で且つ底壁の高さ位置よりも高い位置に直動アクチュエータの固定部が配置されます。直動アクチュエータおよびリンク機構は,適度に高い位置に配置されます。よって,作業員が直動アクチュエータおよびリンク機構をメンテナンスする際に,座った姿勢または立った姿勢等の自然な姿勢でアクチュエータおよびリンク機構を触ることができます。このように,本願請求項1の構成によると,開閉機構が上下にコンパクトに配置され且つ開閉機構のメンテナンス性が高くされています。」と主張している。

しかしながら,上記(2)で検討したように,左右方向にドアが開閉する引用発明において,引用文献3記載の周知の機構を採用した際には,その開閉機構は上下方向においてドアが設置されている領域内に配置されるものと認められる。
ここで,上下方向に配置されている部材を左右方向に配置することにより,上下にコンパクトに配置されることは自明のことにすぎない。
また,開閉機構が,どの程度の位置に配置されるのかは,炉の大きさや設置位置にも依存することは明らかであるから,本願発明1の構成により,開閉機構のメンテナンス性が高くされるとまではいえず,請求人の主張を採用することはできない。

第6 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて,その原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-05-20 
結審通知日 2021-05-25 
審決日 2021-06-09 
出願番号 特願2019-11733(P2019-11733)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宇多川 勉  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 小川 将之
▲吉▼澤 雅博
発明の名称 熱処理装置  
代理人 特許業務法人ブライタス  

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