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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02C |
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管理番号 | 1378471 |
審判番号 | 不服2020-14231 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-09 |
確定日 | 2021-09-29 |
事件の表示 | 特願2018- 3824「パルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月25日出願公開、特開2019-124763〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続等の経緯 特願2018-3824号(以下「本件出願」という。)は、平成30年1月12日を出願日とする特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 平成31年 1月31日付け:拒絶理由通知書 平成31年 4月26日 :手続補正書、意見書 令和 元年 9月18日付け:拒絶理由通知書 令和 元年12月25日 :手続補正書、意見書 令和 2年 6月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和 2年10月 9日 :審判請求書 令和 2年10月 9日 :手続補正書 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年10月9日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 鋼型と、パルスレーザー装置と、成型金型とを含むパルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュールであって、 前記パルスレーザー装置は、発射時間が10^(-9)秒より低い超短パルスレーザーの装置であり、 前記鋼型は、前記超短パルスレーザーによって、前記鋼型の表面において彫刻され、前記鋼型表面が削り除かれて内側を凹ませることで彫刻層が刻まれ、顔料を前記彫刻層内に充填することによってカラー層が形成され、そして前記カラー層が凝固する前にプラスチックヘッドによって前記カラー層を前記鋼型より転写し、 前記成型金型には下型と上型があり、保護層が前記カラー層と前記下型との間に配置されることで前記コンタクトレンズを色付けることを特徴とするパルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュール。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 「 【請求項1】 鋼型と、パルスレーザー装置と、成型金型とを含むパルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュールであって、 前記パルスレーザー装置は、発射時間が10^(-9)秒より低い超短パルスレーザーの装置であり、 前記鋼型は、彫刻層とカラー層とが設けられ、 前記彫刻層は、前記鋼型の表面において前記超短パルスレーザーによって彫刻され、鋼型の表面が削り除かれて内側を凹ませることで形成され、 前記カラー層は、顔料を前記彫刻層内に充填することによって形成され、前記カラー層は、凝固する前にプラスチックヘッドによって前記カラー層を前記鋼型より転写し、 前記成型金型には、凹部を有する下型と、前記凹部に対応する凸部を有する上型を有し、前記カラー層と前記下型との間に、保護層が配置され、前記コンタクトレンズを色付けることを特徴とするパルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュール。」 2 本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の、発明を特定するために必要な事項である「下型」及び「上型」の構成を、本件出願の願書に最初に添付した明細書の【0014】の記載に基づいて、それぞれ「凹部を有する」及び「前記凹部に対応する凸部を有する」と限定して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)とする補正事項を含むものである。 ここで、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後発明の産業上の利用分野及び発明が解決しようとする課題は、同一である(本件出願の明細書の【0001】、【0004】?【0006】)。 そうしてみると、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものであり、また、同条第5項2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後発明が、同条第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3 独立特許要件違反についての判断 (1)引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由において引用された、特表2013-546027号公報(以下「引用文献2」という。)は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。 なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。 ア 「【請求項1】 カラーコンタクトレンズであって、: 不透明でない瞳孔部と、 瞳孔部を囲む略環状虹彩部とを含み、虹彩部が着色され、印刷された、不透明な、断続的パターンを有し、パターンが: a)環状パターンが不透明なカラードットからなる、第一の色合いを有する色の環状パターンと、 b)最外星形パターン、外側星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群のパターンから選択される、虹彩部の一部にわたる少なくとも二つの他のカラーパターンとを含み、最外星形パターンが第二の色合いのドットを含み、外側星形パターンが第三の色合いのドットを含み、内側星形パターンが第四の色合いのドットを含み、第四の色合いが第三の色合いとは異なり、第二の色合いと同じであるか異なり、カラードットのサイズおよび/または環状カラーパターンのカラードット間の間隔量が半径方向に制御されるように変化して、局所的カラードット範囲を環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大させ、環状カラーパターンが眼の虹彩の大部分または全体を覆って眼の色を変更または強調させるに十分なサイズを有し、実質的に環状のカラーパターンと他のカラーパターンとの組み合わせがレンズ装着者の虹彩の見かけの色を変更する、カラーコンタクトレンズ。 ・・・省略・・・ 【請求項19】 カラーコンタクトレンズを作成するための方法であって、以下の工程を含む方法: (a)コンタクトレンズの前面を画定する第一の成形面を有する第一の成形用半型と、コンタクトレンズの後面を画定する第二の成形面を有する第二の成形用半型とを包含する成形用型を提供する工程であって、第一および第二の成形用半型が互いを受けるように構成されて、第一の成形面と第二の成形面との間にコンタクトレンズ形成キャビティが形成される工程と; (b)パッド転写またはインクジェット印刷技術を使用することにより、レンズ成形用型の少なくとも一つの成形面上に最外星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群から選択される少なくとも一つのパターンを適用し、その部分の各々が複数の点において互いに重なる工程と; (c)パッド転写またはインクジェット印刷技術を使用することにより、外側星形パターンと組み合わせた環状カラーパターンを成形用型の面上に適用する工程であって、環状カラーパターンと外側星形パターンとが単一の印刷版(クリシェ)において共に融合し、環状パターンが不透明なカラードットからなり、ドットサイズおよび/または環状カラーパターンのドット間の間隔量が半径方向に制御されるように変化して、局所的カラードット範囲が環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大する工程と; (d)成形用型上に印刷されたインクを部分的または全面的に硬化させてカラーコートをカラーフィルムに転換させ、レンズ形成材料をレンズ形成キャビティに分注する工程と; (e)レンズ形成キャビティ内のレンズ形成材料を硬化させてカラーコンタクトレンズを形成し、それにより、カラーフィルムが成形面から剥がれてコンタクトレンズの本体と一体化する工程であって、カラーフィルムがカラーコンタクトレンズの前面および後面のいずれかの部分になり、レンズへの優れた接着力を有する工程とを含む方法。 【請求項20】 カラーコンタクトレンズを作成するための方法であって、以下の工程を含む方法: (a)予め形成されたコンタクトレンズを提供する工程と; (b)外側星形パターンと組み合わせた環状カラーパターンを適用する工程であって、環状カラーパターンと外側星形パターンとが単一の印刷版(クリシェ)において共に融合し、環状パターンが不透明なカラードットからなり、ドットサイズおよび/または環状カラーパターンのドット間の間隔量が半径方向に制御されるように変化して、局所的カラードット範囲が環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大する工程と; (c)最外星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群から選択される少なくとも一つのパターンをコンタクトレンズ面上に適用する工程とを含む方法。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、装着者の自然な外観を維持しつつ、自然な眼の色を強調または変更するためのカラーコンタクトレンズに関する。本発明は、本発明のカラーコンタクトレンズを設計および製造するための方法にも関する。 【0002】 発明の背景 ・・・省略・・・ 【0006】 それらのカラーレンズは、装着者の眼の色を強調または変更するものの、以下のような一つ以上の不都合を有する可能性がある。第一に、それらは、業界で所望される、際立って自然な外観を達成できない可能性がある。第二に、装着者の眼の色を変更するための不透明色は、色の修正がより顕著となる暗色の眼を持つ消費者よりも、中位の暗色の眼を持つ消費者に対し、効果がより少ない結果をもたらす可能性がある。それゆえに、下層にある虹彩構造を維持しつつ、自然な虹彩と比較した差異を視覚的に認めるのに十分な色相または色明度に変更できるカラーコンタクトレンズに対する要望がなおもある。 【0007】 発明の概要 【0008】 一つの点において、本発明は、カラーコンタクトレンズを提供し、カラーコンタクトレンズが: 不透明でない瞳孔部と、 瞳孔部を囲む略環状虹彩部とを含み、虹彩部が着色され、印刷された、不透明な、断続的パターンを有し、パターンが: a)環状カラーパターンが不透明なカラードットからなる、第一の色合いを有する色の環状パターンと、 b)最外星形パターン、外側星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群のパターンから選択される、虹彩部の一部にわたる少なくとも二つの他のカラーパターンとを含み、最外星形パターンが第二の色合いのドットを含み、外側星形パターンが第三の色合いのドットを含み、内側星形パターンが第四の色合いのドットを含み、第四の色合いが第三の色合いとは異なり、第二の色合いと同じであるか異なることができ、ドットのサイズおよび/または環状カラーパターンのドット間の間隔量が半径方向に制御されるように変化して局所的カラードット範囲を環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大させ、眼の虹彩の少なくとも10パーセントを覆う環状パターンのドットが眼の色を変更または強調し、環状カラーパターンと他のカラーパターンとの組み合わせがレンズ装着者の虹彩の見かけの色を強調または変更する。 【0009】 もう一つの態様では、本発明は、カラーコンタクトレンズを作成するための方法を包含し、方法が: (a)コンタクトレンズの前面を画定する第一の成形面を有する第一の成形用半型と、コンタクトレンズの後面を画定する第二の成形面を有する第二の成形用半型とを包含する成形用型を提供する工程であって、第一および第二の成形用半型が互いを受けるように構成されて、第一の成形面と第二の成形面との間にコンタクトレンズ形成キャビティが形成される工程と; (b)パッド転写またはインクジェット印刷技術を使用することにより、レンズ成形用型の少なくとも一つの成形面上に最外星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群から選択される少なくとも一つのパターンを適用し、その部分の各々が複数の点において互いに重なる工程と; (c)パッド転写またはインクジェット印刷技術を使用することにより、外側星形パターンと組み合わせた環状カラーパターンを成形用型の面上に適用する工程であって、環状カラーパターンと外側星形パターンとが単一の印刷版(クリシェ)において共に融合し、環状パターンが不透明なカラードットからなり、ドットサイズおよび/または環状カラーパターンのドット間の間隔量が半径方向に制御されるように変化して、局所的カラードット範囲が環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大する工程と; (d)成形用型上に印刷されたインクを部分的または全面的に硬化させてカラーコートをカラーフィルムに転換させ、レンズ形成材料をレンズ形成キャビティに分注する工程と; (e)レンズ形成キャビティ内のレンズ形成材料を硬化させてカラーコンタクトレンズを形成し、それにより、カラーフィルムが成形面から剥がれてコンタクトレンズの本体と一体化する工程であって、カラーフィルムがカラーコンタクトレンズの前面および後面のいずれかの部分になり、レンズへの優れた接着力を有する工程とを含む。 【0010】 なおももう一つの態様では、本発明は、カラーコンタクトレンズを作成するための方法を包含し、方法が: (a)予め形成されたコンタクトレンズを提供する工程と; (b)外側星形パターンと組み合わせた環状カラーパターンを適用する工程であって、環状カラーパターンと外側星形パターンとが単一の印刷版(クリシェ)において共に融合し、環状パターンが不透明なカラードットからなり、ドットサイズおよび/または環状カラーパターンのドット間の間隔量が半径方向に制御されるように変化して、局所的カラードット範囲が環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大する工程と; (c)最外星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群から選択される少なくとも一つのパターンをコンタクトレンズ面上に適用する工程とを含む。」 ウ 「【0013】 好ましい実施態様を実施するための形態 【0014】 本発明の実施態様をここで詳細に参照する。本発明の範囲または本質を逸することなく、本発明において種々の変形および変化をなすことができることは当業者に明らかである。例えば、一つの実施態様の一部として示すか記載するフィーチャをもう一つの実施態様に使用して、なおもさらなる実施態様をもたらすことができる。したがって、本発明が請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるものとして、そのような変形および変化を含むことが意図される。本発明の他の目的、フィーチャおよび態様は、以下の実施するための形態に開示されるか、それから自明になる。当業者は、本論述が単なる例示的な実施態様の記載であり、本発明のより広範な態様の限定を意図しないことを理解する。 【0015】 特に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明に属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用する術語および実験手順は、当技術分野において周知であり、一般に用いられている。これらの手順には、従来方法、例えば、当技術分野および種々の一般文献で提供されている方法が使用される。用語が単数形で提供される場合、本発明者らはその用語の複数形も想定している。本明細書で使用する術語および以下に記載する実験手順は、当技術分野において周知であり、一般に用いられているものである。 【0016】 「コンタクトレンズ」は、装着者の眼の上または眼の中に設置することができる対象物を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改良または改変できるが、必ずしもそうでない場合もある。コンタクトレンズは、当技術分野において公知または今後開発される任意の適切な材料からなることができ、ソフトレンズ、ハードレンズまたはハイブリッドレンズであることができる。コンタクトレンズは、任意のカラーパターンを印刷する前に色付けすることができる。コンタクトレンズは、乾燥状態または湿潤状態であることができる。「乾燥状態」は、水和に先立つ状態のソフトレンズまたは保存もしくは使用条件下にあるハードレンズの状態を指す。「湿潤状態」は、水和状態のソフトレンズを指す。 【0017】 本明細書で使用する、コンタクトレンズの「フロント面または前面」は、装着中に眼から見て外方に向くレンズ面を指す。通常実質的に凸面である前面は、レンズのフロントカーブと呼ぶこともできる。 【0018】 本明細書で使用する、コンタクトレンズの「リア面または後面」は、装着中に眼の方を向くレンズ面を指す。通常実質的に凹面であるリア面は、レンズのベースカーブと呼ぶこともできる。 【0019】 「カラーコンタクトレンズ」は、その上に印刷されたカラー画像を有する(ハードまたはソフト)コンタクトレンズを指す。カラー画像は、美粧的パターン、例として、虹彩様パターン、Wild Eye(商標)パターン、特注(MTO)パターンなど;使用者がコンタクトレンズを容易に取り扱いおよび挿入できるようにする反転マーク;円環状回転マークまたはコンタクトレンズ在庫管理単位(SKU)、例として、番号またはバーコードのいずれかの形態であることができる。カラー画像は、単色画像または多色画像であることができる。カラー画像は、好ましくは、デジタル画像であるが、アナログ画像であることもできる。 【0020】 用語「眼の色」は、虹彩の色を指す。 【0021】 用語「平常の観察者」は、本発明のレンズを装着している者からおよそ5フィート離れて立っている正常な20/20の視力を有する者を意味することを意図している。 【0022】 本明細書で使用する用語「不透明でない」は、透明もしくは半透明色、または着色されいないか、透明もしくは半透明色の着色料で着色されたレンズの部分を表すことを意図している。 【0023】 「カラーコート」は、対象物上の、その中に印刷されたカラー画像を有するコーティングを指す。 【0024】 「着色剤」は、コンタクトレンズに着色要素のパターンを印刷するために使用される、一つ以上の染料もしくは一つ以上の顔料またはそれらの混合物のいずれかを意味する。 【0025】 「染料」は、溶剤に可溶性であり、色を付与するために使用される物質を意味する。染料は、通常、透明または半透明であり、光を吸収するが、散乱させない。染料は、コンタクトレンズの光学領域およびコンタクトレンズの非光学領域の両方に及ぶことができる。 【0026】 「顔料」は、それが不溶性である液体の中で懸濁する粉末状の物質を意味する。顔料は、色を付与するために使用される。顔料は、概して、染料よりも不透明である。 ・・・省略・・・ 【0035】 「レンズ形成材料」は、架橋されたポリマーを得るために熱的または化学線的に(すなわち、化学線によって)硬化(すなわち重合および/または架橋)させることができる重合性組成物を指す。化学線の例としては、紫外線照射、電離放射線(例えば、ガンマ線またはX線照射)、マイクロ波照射などがある。熱硬化または化学線硬化方法は、当業者に周知である。レンズ形成材料は、当業者に周知である。 ・・・省略・・・ 【0050】 「カラーコンタクトレンズを製造するためのプリントオンモールドプロセス」は、Rawlingsらへの米国特許第5,034,166号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載のカラーコンタクトレンズを成形するためのプロセスを指す。 【0051】 インクまたはカラーコートに関連する「成形用型からコンタクトレンズへの優れた転写特性」は、成形用型の成形面にインクで印刷されたカラー画像を、その成形用型内で(熱的または化学線的に)硬化されたコンタクトレンズに完全に転写できることを意味する。 ・・・省略・・・ 【0056】 概して、本発明は、平常の観察者によって知覚される非常に自然な外観を提供しつつ、装着者の眼の色を強調または変更するために設計されたカラーコンタクトレンズに関する。 【0057】 そのような美粧的効果(すなわち、非常に自然な外観を提供しつつ、装着者の眼の色を強調または変更すること)は、コンタクトレンズ上にカラーインクの下層環状層を印刷して虹彩の自然な色を強調または変更し、次に、下層環状層の上部に少なくとも二つの他のカラーパターンを適用することにより達成できることが見出された。環状カラー背景のコントラストにより、自然なパターンを失うことなく、最終的なレンズ上の他のカラーパターンの色をより鮮やかに、より顕著にする。少なくとも一つのコンタクトレンズ面の虹彩ゾーン上に印刷できる下層環状カラー層は、色明度が環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に明色から暗色へと変遷する、色明度の半径方向の濃度勾配を有する環状カラーパターンである。環状カラーパターンは、コンタクトレンズの環状虹彩部上のドット間に様々な間隔量を持つ、種々のサイズの不透明なカラードットからなる。ドットのサイズおよび/またはドット間の間隔量は、半径方向に制御されるように、カラードット範囲が環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大するように制御される。カラーディスクの環状虹彩部の内周囲に近づくにつれ、間隔が離れたより少ないまたはより小さいカラードットがある一方、カラーディスクの環状虹彩部の外周囲に近づくと、間隔が接近したより多いまたはより大きい黒色ドットがある。利用者が眼の色の強調を望む場合、そのようなカラーパターンに目を向けると、人間の眼は、それを平均し、半径方向に色明度レベルが増大する(すなわち、環状虹彩部の内周囲から環状虹彩部の外周囲まで半径方向に増大する)ような錯覚を生み出すと考えられている。環状カラーパターンは、好ましくは、利用者の眼の色に類似するか補う単一着色剤を使用して、コンタクトレンズの環状虹彩ゾーン一面に印刷される。そのようなカラーパターンにより、本発明のカラーコンタクトレンズの下層にある眼の虹彩の色および質感は、眼の色を強調しつつ、平常の観察者に対して非常に自然に見えるカラーパターンを透けて見せることができる。しかしながら、利用者が色の変更を望む場合、環状カラーパターンは、自然な眼の色から変更するために、好ましくは、彼らが望む眼の色に類似するか補う単一着色剤を使用して、コンタクトレンズの環状虹彩ゾーン一面に印刷される。加えて、下層にある層で印刷されたカラーコンタクトレンズが最外星形パターン、外側星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群のパターンから選択される、虹彩部の一部を挟んで延伸する少なくとも二つの他のカラーパターンをさらに含むとき、平常の観察者に対して眼を非常に自然に見せつつ、眼の色をより効果的に強調または変更することができる。 ・・・省略・・・ 【0081】 着色剤が不透明なカラードットを提供することができる限り、任意の着色剤を使用して本発明のカラーパターンを印刷することができる。例示的な着色剤は、顔料を包含する。顔料は、サイズを十分に小さくして、可視光を少ししか散乱させないようにする。好ましくは、顔料のサイズは、およそ1ミクロンよりも小さい。 ・・・省略・・・ 【0083】 図2に、一例として、濃度勾配ドットマトリクスの環状リングからなる環状カラーパターンの例を概略的に示す。好ましくは不透明ドットであるドットは、規則的または不規則な任意の形状、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、六角形、長尺形などを有することができる。すべてのドットは、類似した、または異なる形状を有することができる。好ましくは、すべてのドットは、実質的に類似の形状を有する。より好ましくは、すべてのドットは、円形形状を有する。第一の印刷パターンは、レンズの中心と同心であり、実質的に均等な外周端部および実質的に均等な内周端部を有する。外周端部は、およそ13.5mm?およそ12.5mmの直径を有することができ、内周端部は、およそ5mm?およそ7mmの直径を有することができる。環状カラーパターンは、多くの色、例として、青色、灰色、茶色、ライトブルー、青緑色、紫色、暗紫色、青紫色、水色、黄色、黒色、茶色または緑色であることができる。環状カラーパターンの好ましい色は、利用者が自然な眼の色を強調または変更することを望むか否かに依存する。利用者が眼の色の変更を望む場合、環状カラーパターンは、自然な眼の色を変更するために、好ましくは、彼らが望む眼の色に類似するか補う単一着色剤を使用して、コンタクトレンズの環状虹彩ゾーン一面に印刷される。しかしながら、利用者が眼の色の強調を望む場合、環状カラーパターンは、好ましくは、自然な眼の色に類似するか補う単一着色剤を使用して、コンタクトレンズの環状虹彩ゾーン一面に印刷される。環状カラーのためのドット範囲(印刷区域)は、外側透明周辺区域(図1の部分22)を除くコンタクトレンズ区域の少なくとも10パーセントまたはおよそ10パーセント?およそ35パーセント、好ましくは、およそ20パーセント?およそ30パーセント、より好ましくは、およそ25パーセントである。外側透明周辺区域は、環状カラーパターン印刷区域の外側の区域であり、印刷されない区域である。この区域は、眼の外周囲における強膜に対応する。用語「印刷範囲またはドット範囲のパーセント」は、区域内の画素数を決定するためにAdobe Photoshop(グラフィック画像処理ソフト)を使用して測定される、カラードットによって覆われた領域内の合計区域の部分を指す。印刷範囲のパーセントは、以下のように計算される。 印刷範囲%=[(ドット範囲区域の画素数)/(合計区域の画素数)]×100 合計区域=印刷区域+印刷されない区域 【0084】 本発明の改良は、装着者の虹彩の自然な外観を維持しつつ、環状カラーパターンを、装着者の眼の自然な色の強調または変更の有効性を大いに改良する少なくとも二つの他のカラーパターンと組み合わせることである。少なくとも二つの他のカラーパターンは、最外星形パターン、外側星形パターンおよび内側星形パターンからなる一群のパターンから選択される。この改良を生み出すために、先に記載した環状カラーパターンに加えて、少なくとも二つの他のカラーパターンを二つ以上の部分に印刷する。本発明に従い、少なくとも二つの他のパターン要素は、好ましくはドットであり、特に好ましくは、その一部が混ざり合っているドットである。少なくとも二つの他のパターンは、不透明であり、規則的または不規則な、均一または不均一な形状、例として、丸形、正方形、六角形、長尺形または他のドット形状を有するドットで作成することができる。 【0085】 少なくとも二つの他のパターン要素の第一の部分は、第二の色合い(第一の色合いは環状カラーパターン)からなり、概ね虹彩部の外側にあるが、虹彩部内、すなわち、環状虹彩部の外周囲上またはその近くに位置付けられたドットまたは他の要素の最大密集を概ね有する。この部分は、最外星形とともに印刷されることもできる。最外星形パターンを図3に示す。黒色または何か他の暗色、例えば、灰色、暗茶色または紺青色が最外星形の色として最も多くの場合に使用される。 【0086】 要素の第二の部分は、第二の色合いとは異なる第三の色合いであり、最外星形内上に概ね位置付けられた、概ね、常にそうであるとは限らないが、最外星形部分によって囲まれた要素の最大密集を有する。この部分は、外側星形とともに印刷されることができる。外側星形を図4に示す。外側星形パターンは、多くの色、例として、青色、灰色、茶色、ライトブルー、青緑色、紫色、青紫色、水色、黄色または緑色であることができる。 ・・・省略・・・【0097】 着色剤は、少なくとも一つの染料または好ましくは一つの顔料を含む。従来の顔料および/または真珠光沢顔料を本発明に使用することができる。 ・・・省略・・・ 【0104】 本発明のカラーレンズを印刷するインクは、任意の公知の好適な方法に従い調製することができる。例として、まず、結合ポリマーの溶液および溶剤を調製してから、この溶液を着色剤含有のペーストと混合してインクを形成する。およそ40,000cpsの粘度を有する結合ポリマー溶液からインクを形成することが、現在のところ好ましい。 【0105】 パッド転写印刷は、当技術分野において周知である(例として、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Spivackへの米国特許第3,536,386号;Knappへの米国特許第4,582,402号および第4,704,017号;Rawlingsらへの米国特許第5,034,166号を参照されたい)。この印刷の典型的な例について、次に説明する。画像を金属にエッチングして印刷版(クリシェ)を形成する。印刷版(クリシェ)をプリンター内に設置する。一度プリンター内に設置されると、印刷版(クリシェ)は、開放インクウェルドクタリングシステムまたは画像を挟んで滑動する閉鎖インクカップのいずれかによってインクが付けられる。次に、シリコーンパッドは、印刷版(クリシェ)からインク付けされた画像を拾い、コンタクトレンズに画像を転写する。シリコーンパッドは、弾性が違うシリコーンを含む材料から作成される。シリコーン材料の特性は、一時的にパッドにインクを接着させるが、パッドがコンタクトレンズまたは成形用型に接触すると、パッドからインクを完全に解離することを許容する。適切なパッド転写印刷構造は、当技術分野において公知のとおり、タンポ印刷構造(Tampo vario 90/130)、ゴムスタンプ、シンブル、ドクターブレード、直接印刷または転写印刷を非限定的に包含する。 【0106】 任意の公知の好適なシリコーンパッドを本発明に使用することができる。シリコーンパッドは市販されている。しかしながら、異なるパッドは、異なる印刷品質を付与することができる。当業者は、所与のインクのためのパッドを選択する方法を知る。 【0107】 印刷版(クリシェ)は、セラミックまたは金属(例えば、スチール)で作成することができる。印刷版(クリシェ)をスチールで作成する場合、緩衝剤(例えば、例として、リン酸塩)を追加することにより、水性インクのpHを中和する(例えば、pHを6.8?7.8に調整する)ことが望ましい。画像は、当業者に公知の任意の方法、例として、化学的エッチングまたはレーザーアブレーションなどによって、印刷版(クリシェ)にエッチングすることができる。使用後に、当業者に公知の標準的な洗浄技術、例えば、例として、溶剤への浸漬、超音波処理または機械摩耗を使用して印刷版(クリシェ)を洗浄することも望ましい。 【0108】 レンズの前面(凸面)または後面(凹面)のいずれかを印刷することができるが、現時点では前面の印刷が好ましいことが理解される。 【0109】 インクジェット印刷プロセスを使用したレンズの印刷は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、公開された米国特許出願第2001/0050753号,第2001/0085934号、第2003/0119943号および第2003/0184710号に記載されている。 【0110】 好ましい実施態様に従って、カラーコンタクトレンズは、さらに、レンズの少なくともカラー中央ゾーンを覆う透明コーティングを含むことができる。透明コーティングは、任意の着色剤を含まない透明な重合性溶液の層をカラー印刷付きレンズ面上に適用し、次に、透明な重合性溶液の層を重合することによって、カラー中央ゾーン上に形成することができる。透明コートによって、着色剤の浸出を最小限にし、装着者の快適性を改善することができる。 【0111】 あるいは、本発明のカラーコンタクトレンズは、Rawlingsらへの米国特許第5,034,166号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものに類似するプリントオンモールドプロセスによって作成されることができる。まず、パッド転写印刷(またはパッド印刷)またはインクジェット印刷を使用して、(カラー画像付き)カラーコートを形成することにより、一つまたは両方の成形用型部分の成形面上にインクを適用することができる。カラーコートは、コンタクトレンズの後面(凹面)を画定する成形面上、コンタクトレンズの前面を画定する成形面上または両方の成形用型部分上に適用することができる。好ましくは、(カラー画像付き)カラーコートを、コンタクトレンズの前面を画定する成形面上に適用する。 【0112】 任意で、パッド転写印刷によりインクを適用する前に、成形用型の成形面に転写可能なコーティングを適用することができる。転写コーティングは、成形用型の成形面から剥がれて成形用型内で成形されるコンタクトレンズの本体と一体化することができるコーティングを表すように意図されている。転写可能なコーティングを、任意の好適な技術、例えば、例として、噴霧、印刷、スワッビングまたはディッピングによって、成形用型の成形面に適用することができる。転写可能なコーティングは、重合性成分を含み、着色剤を含まない溶液から調製することができる。例として、実質的に均一な厚さ(200ミクロン未満)の転写可能なコーティングは、使用するインクの(着色剤なしの)組成物を有する溶液またはプレポリマーもしくは使用するレンズ形成材料の溶液を成形面に噴霧することにより調製することができる。この転写可能なコーティングを、任意で、乾燥または硬化させることにより、(顔料なしの、任意で、反応性染料を包含する染料を持つ)転写可能な透明フィルムを形成することができる。次に、この転写可能なコーティングまたはフィルム上に、一つ以上のカラーパターンを印刷することができる。転写可能なコーティングを印刷前に適用することにより、当業者は、印刷されたカラーパターンが転写可能なコーティングから得られるフィルムの直下に埋め込まれたカラーレンズを作成することができる。そのようなレンズは、装着をより快適にし、カラーレンズからの着色剤の浸出に対する脆弱性をはるかに少なくすることができる。 【0113】 本発明のインクを成形用型の成形面上に印刷した後、印刷されたインクを、紫外線または他の化学線によって硬化させて、本発明に従ったカラーフィルムを形成することができる。印刷されたインクをある程度化学線的に硬化させて、レンズ形成材料のその後の充填から生じる、カラーコートのパターンの鮮明度の損失を最小限にすることが望ましい。 【0114】 コンタクトレンズを作成するためのレンズ成形用型は、当業者に周知であり、例として、注型または回転成形に用いられるものである。例として、(注型用の)成形用型は、一般的に、少なくとも二つの成形用型部(または部分)または成形用半型、すなわち、第一および第二の成形用半型を含む。第一の成形用半型は第一の成形(または光学)面を画定し、第二の成形用半型は第二の成形(または光学)面を画定する。第一および第二の成形用半型は、互いを受けるように構成されて、第一の成形面と第二の成形面との間にレンズ形成キャビティを形成する。成形用半型の成形面は、成形用型のキャビティ形成面であり、レンズ形成材料と直接接触する。 ・・・省略・・・ 【0117】 任意のレンズ形成材料を本発明に使用することができるため、現時点では、本発明の本態様の重大な部分であるとは考慮されない。コンタクトレンズの製作に好適なレンズ形成材料は、数々の発行された米国特許に示されており、当業者によく知られている。好ましいレンズ形成材料は、ヒドロゲルの形成が可能なものである。レンズ形成材料は、一つ以上のプレポリマー、任意で、一つ以上のビニルモノマーおよび/またはマクロマーを含むことができ、任意で、さらに、種々の成分、例えば、光開始剤、可視性着色剤、充填剤などを包含することができる。任意のシリコーン含有プレポリマー、またはシリコーンを含有しない任意のプレポリマーを本発明に使用できることが理解される。 【0118】 レンズ形成材料の好ましい群は、先に記載したように、水溶性および/または溶融可能なプレポリマーである。レンズ形成材料は、主として、好ましくは実質的に純粋な形態である(例えば、限外ろ過によって精製された)一つ以上のプレポリマーを含むことが有利である。そのため、化学線によって架橋/重合した後、コンタクトレンズは、実際には、それ以上その後の精製、例えば、非重合構成物質の複雑な抽出を要さないことができる。さらに、架橋/重合を無溶剤でまたは水溶液中で行うことができ、その後の溶剤の交換または水和工程を必要としない。 【0119】 レンズ形成キャビティ内のレンズ形成材料を化学線的または熱的に硬化してコンタクトレンズを形成する方法は、当業者に周知である。 【0120】 好ましい実施態様では、任意で他の成分が存在する、レンズ形成材料が一つ以上のプレポリマーの溶液、無溶剤液または融液である場合、再利用可能な成形用型を使用して、レンズ形成材料を化学線の空間的限定下で化学線的に硬化して、カラーコンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能な成形用型の例は、全体が参照により組み込まれる、1994年7月14日に出願された米国特許出願第08/274,942号、2003年12月10日に出願された第10/732,566号、2003年11月25日に出願された第10/721,913号および米国特許第6,627,124号に開示されている。 【0121】 この場合、互いに接しないが、それらの間に配置された環状設計の薄いギャップを有する二つの成形用半型からなる成形用型にレンズ形成材料を投入する。ギャップは、成形用型キャビティに接続され、過剰なレンズ材料をギャップに流すことができる。再利用可能な石英、ガラス、サファイア成形用型は、レンズの生産に続いて、成形用型を水または好適な溶剤を使用して迅速に洗浄および乾燥して、架橋されなかったプレポリマーおよび他の残留物を効果的に除去することができるため、一度のみしか使用できないポリプロピレン成形用型の代わりに、使用することが可能である。再利用可能な成形用型は、ドイツ、フランクフルトおよびニュージャージー州サミットのTicona GmbHのTopas(登録商標)COC grade 8007-S10(エチレンとノルボルネンの透明な非晶質コポリマー) で作成することもできる。製造されるレンズの領域、すなわち、キャビティまたは実際の成形用型表面において成形用半型が互いに接しないため、接触の結果としての損傷は排除される。これにより、成形用型の高耐用年数を保障し、とりわけ、製造されるコンタクトレンズの高再現性も保障する。」 エ 図2 「 」 (2)引用文献2に記載された発明 上記(1)によれば、引用文献2の【0111】?【0121】には、「カラーコンタクトレンズ」を「プリントオンモールドプロセスによって作成」する方法が記載されている。そして、その作成にあたっては、各プロセスに応じた作成装置(例えば、[0113]に記載された「カラーフィルムを形成する」プロセスにおける「レンズ成形用型」等)が存在することは自明である。以下、各プロセスに応じた作成装置を総称して「装置」という。 以上によれば、引用文献2には、次の「カラーコンタクトレンズを作成する装置」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、「本発明のカラーレンズを印刷するインク」及び「本発明のインク」を、「インク」と用語を統一して記載した。 「カラーコンタクトレンズをプリントオンモールドプロセスによって作成する装置であって、パッド転写印刷を使用して、カラーコートを、コンタクトレンズの前面を画定する成形面上に適用し、 インクを成形用型の成形面上に印刷した後、印刷されたインクを、紫外線または他の化学線によって硬化させて、カラーフィルムを形成し、 インクは、結合ポリマーの溶液および溶剤を調製してから、この溶液を着色剤含有のペーストと混合してインクを形成するものであり、 着色剤は、少なくとも一つの染料または好ましくは一つの顔料を含み、 コンタクトレンズを作成するためのレンズ成形用型は、第一および第二の成形用半型を含み、第一の成形用半型は第一の成形面を画定し、第二の成形用半型は第二の成形面を画定し、第一および第二の成形用半型は、互いを受けるように構成されて、 パッド転写印刷によりインクを適用する前に、成形用型の成形面に転写可能なコーティングを適用し、この転写可能なコーティングを、乾燥または硬化させることにより、顔料なしの転写可能な透明フィルムを形成することができ、転写可能なコーティングを印刷前に適用することにより、印刷されたカラーパターンが転写可能なコーティングから得られるフィルムの直下に埋め込まれたカラーレンズを作成し、装着をより快適にし、カラーレンズからの着色剤の浸出に対する脆弱性をはるかに少なくすることができる、 カラーコンタクトレンズをプリントオンモールドプロセスによって作成する装置。」 (3)対比 本件補正後発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。 ア 成型金型 引用発明の「成形用型」は、「コンタクトレンズを作成するための」ものであり、「第一および第二の成形用半型を含み、第一の成形用半型は第一の成形面を画定し、第二の成形用半型は第二の成形面を画定し、第一および第二の成形用半型は、互いを受けるように構成され」る。 上記「成形用型」の構成及び役割からみて、引用発明の「成形用型」は、本件補正後発明の「成型金型」に相当する。 イ カラー層、保護層 引用発明の「カラーコート」は、「パッド転写印刷を使用して、」「コンタクトレンズの前面を画定する成形面上に適用」されるものである。そして、そのようにして得られる、引用発明の「カラーコート」は、層を形成するといえる。そうしてみると、引用発明の「カラーコート」は、本件補正後発明の「カラー層」に相当する。 また、引用発明の「プリントオンモールドプロセスによって作成する装置」は、「パッド転写印刷によりインクを適用する前に、成形用型の成形面に転写可能なコーティングを適用し、この転写可能なコーティングを、乾燥または硬化させることにより、顔料なしの転写可能な透明フィルムを形成することができ、転写可能なコーティングを印刷前に適用することにより、印刷されたカラーパターンが転写可能なコーティングから得られるフィルムの直下に埋め込まれたカラーレンズを作成し、カラーレンズからの着色剤の浸出に対する脆弱性をはるかに少なくすることができる」ものである。上記下線部のプロセス及び機能からみて、引用発明の「転写可能なコーティングから得られるフィルム」は、層状のものであって、カラーレンズを保護する機能を具備しているといえる。そうしてみると、引用発明の「転写可能なコーティングから得られるフィルム」は、本件補正後発明の「保護層」に相当する。 さらに、引用発明の「プリントオンモールドプロセス」は、「パッド転写印刷を使用して、カラーコートを、コンタクトレンズの前面を画定する成形面上に適用」するプロセス及び「パッド転写印刷によりインクを適用する前に、成形用型の成形面に転写可能なコーティングを適用」するプロセスを含む。これらのプロセスからみて、引用発明の「転写可能なコーティングから得られるフィルム」は、「カラーコート」と「成形用型」との間に配置されるものといえる。 上記位置関係及び上記アの対比結果によれば、引用発明の「カラーコート」及び「転写可能なコーティングから得られるフィルム」と、本件補正後発明の「カラー層」及び「保護層」とは、「カラー層と」「型との間に、保護層が配置され」る点で共通する。 ウ コンタクトレンズを色付けること 引用発明の「装置」は、「パッド転写印刷を使用して、カラーコートを、コンタクトレンズの前面を画定する成形面上に適用し」、「印刷されたカラーパターンが転写可能なコーティングから得られるフィルムの直下に埋め込まれたカラーレンズを作成」するためのものである。そうしてみると、引用発明の「装置」は、実質的に「コンタクトレンズ」を色付けるためのものといえる。 以上によれば、引用発明と、本件補正後発明とは、「コンタクトレンズを色付ける」ものであるという点で共通する。 エ コンタクトレンズ転写モジュール 引用発明の「装置」は、「パッド転写印刷を使用して、カラーコートを、コンタクトレンズの前面を画定する成形面上に適用」し、「印刷されたカラーパターンが転写可能なコーティングから得られるフィルムの直下に埋め込まれたカラーレンズを作成」する「カラー」「コンタクトレンズを」「作成する装置」である。 その機能からみて、引用発明の「装置」と、本件補正後発明の「コンタクトレンズ転写モジュール」とは、少なくとも「コンタクトレンズ転写装置」である点において共通するといえる。 (4)一致点及び相違点 ア 一致点 本件補正後発明と引用発明は、次の構成で一致する。 「成型金型を含むコンタクトレンズ転写装置であって、 カラー層と型との間に、保護層が配置され、コンタクトレンズを色付けることを特徴とするコンタクトレンズ転写装置。」 イ 相違点 本件補正後発明と引用発明は、以下の点で相違する。 (相違点1) 「コンタクトレンズ転写装置」が、本件補正後発明では、「鋼型と、パルスレーザー装置と」を含み、「前記パルスレーザー装置は、発射時間が10^(-9)秒より低い超短パルスレーザーの装置であり」、「前記鋼型は、彫刻層とカラー層とが設けられ、前記彫刻層は、前記鋼型の表面において前記超短パルスレーザーによって彫刻され、鋼型の表面が削り除かれて内側を凹ませることで形成され、前記カラー層は、顔料を前記彫刻層内に充填することによって形成され、前記カラー層は、凝固する前にプラスチックヘッドによって前記カラー層を前記鋼型より転写」するものであるのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 (相違点2) 「成型金型」が、本件補正後発明では、「凹部を有する下型と、前記凹部に対応する凸部を有する上型を有し」と特定されているのに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。 (相違点3) 「保護層」が、本件補正後発明では、「カラー層と下型との間に」「配置され」ているのに対して、引用発明では、カラー層と型との間ではあるが、当該型が下型であると特定されていない点。 (相違点4) 「コンタクトレンズ転写装置」が、本件補正後発明では、「パルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュール」とされるものであるのに対して、引用発明では、そのように特定されてない点。 (5)判断 ア 相違点1について 引用文献2には、「パッド転写印刷は、当技術分野において周知である」、「この印刷の典型的な例について、次に説明する。画像を金属にエッチングして印刷版(クリシェ)を形成する。・・・シリコーンパッドは、印刷版(クリシェ)からインク付けされた画像を拾い、コンタクトレンズに画像を転写する。」(【0105】)及び「「印刷版(クリシェ)は、セラミックまたは金属(例えば、スチール)で作成することができる。」(【0107】)と記載されている。ここで、印刷版(クリシェ)により、インク付けされた画像が拾われて転写されるのであるから、印刷版(クリシェ)は、一種の型といえる。さらに、前記印刷板(クリシェ)は、画像を金属にエッチングして形成するものであるから、その表面が取り除かれて内側を凹ませて形成された層を具備すると認められる。以上によれば、引用文献2には、本件補正後発明において、「彫刻層」「が設けられ、前記彫刻層は、前記鋼型の表面において」「彫刻され、鋼型の表面が削り除かれて内側を凹ませることで形成され」とされる、「鋼型」(「スチール」からなる「印刷版(クリシェ)」)が記載されている。 (当合議体注:本件補正後発明の「彫刻層」における「層」は、必ずしも、「鋼型」の表面に別の層が形成されているような構造を意味するとは解されない。) さらに、引用発明の「プロセス」においては、印刷版(クリシェ)にインクが付けられ、シリコーンパッドがインク付けされた画像を拾い、画像を転写するのであるから、印刷版(クリシェ)は、インクを表面が取り除かれて内側を凹ませて形成された層内に充填することによって形成された層が設けられ、その層がシリコーンパッドによって印刷板(クリシェ)より転写されるものと認められる。ここで、パッドは、実質的に本件補正後発明の「ヘッド」であるといえる。また、引用文献2には、「シリコーンパッドは市販されている。しかしながら、異なるパッドは、異なる印刷品質を付与することができる。当業者は、所与のインクのためのパッドを選択する方法を知る。」(【0106】)と記載されており、パッドとしてプラスチック材料のものを用いてもよいことが示唆されている。さらに、引用発明は、「インクを成形用型の成形面上に印刷した後、印刷されたインクを、紫外線または他の化学線によって硬化させて、カラーフィルムを形成」するものであるから、インクを成形面上に印刷する前のインクは凝固していないものと認められる。そうしてみると、引用文献2には、[A]本件補正後発明において、「顔料を前記彫刻層内に充填することによって形成され、前記カラー層は、凝固する前にプラスチックヘッドによって前記カラー層を前記鋼型より転写し」とされる、「カラー層」(「カラーコート」)及び[B]本件補正後発明において、「カラー層とが設けられ」とされる、「鋼型」が記載されている。 さらにくわえて、引用文献2には、「画像は、当業者に公知の任意の方法、例として、化学的エッチングまたはレーザーアブレーションなどによって、印刷版(クリシェ)にエッチングすることができる。」(【0107】)と記載されている。ここで、レーザー加工の技術分野において、[C]発射時間が10^(-9)秒より短い超短パルスレーザーの装置を用いること及び[D] 印刷版の加工に、上記発射時間の超短パルスレーザーの装置を用いることは、それぞれ、本件出願前の周知技術である。([C]については、例えば、特開2006-176725号公報の【0020】?【0022】、兼平 真悟, 平尾 一之、フェムト秒レーザープロッセッシングによる3次元ナノ構造体の創製、溶接学会誌、日本、一般社団法人溶接学会、2007年、第76巻第3号、p.181?185、特開平9-85475号公報の【0013】、特開2004-249475号公報の請求項1等、[D]については、例えば、特開平9-85475号公報の【0029】及び特開2004-249475号公報の請求項1等を参照。) 以上によれば、引用発明の「カラーコンタクトレンズをプリントオンモールドプロセスによって作成する装置」において、引用文献2の上記記載にしたがって、上記周知技術を心得た当業者が、本件補正後発明のような「鋼型」、「彫刻層」、「カラー層」及び「発射時間が10^(-9)秒より短い超短パルスレーザーの装置」の構成を採用し、相違点1に係る本件補正後発明の構成に到ることは容易になし得たことである。 イ 相違点4について 相違点4に係る本件補正後発明の構成は、上記アにおいて引用発明及び周知技術から容易に想到し得る発明が具備する構成である。 (当合議体注:一般的に「モジュール」とは、「機械・システム・ソフトウエアなどを構成する、機能的にまとまった部分」(広辞苑第6版)を意味し、引用発明から容易に想到し得る発明における、「鋼型」、「パルスレーザー装置」及び「成型金型」等は、転写によってコンタクトレンズを色付けてコンタクトレンズ作成するという機能的にまとまった部分(モジュール)とみることができる。) ウ 相違点2及び3について 引用発明の「装置」は、「コンタクトレンズを作成するためのレンズ成形用型は、第一および第二の成形用半型を含み、第一の成形用半型は第一の成形面を画定し、第二の成形用半型は第二の成形面を画定し、第一および第二の成形用半型は、互いを受けるように構成されて」いる。ここで、レンズ成形用型の2つの半型を、凹部を有する下型及び凹部に対応する凸部を有する上型とすることは、コンタクトレンズの一般的な形状(メニスカス形状)からみて、当業者が自然に採用し得る周知の技術的事項である。 そうしてみると、引用発明の「レンズ成形用型」の「第一の成形用半型」及び「第二の成形用半型」として、上記周知の技術的事項を採用し、相違点2に係る本件補正後発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たことである。 また、相違点3に係る本件補正後発明の構成は、上記周知の半型を採用してなる引用発明が具備する構成である。 (6)発明の効果について 本件出願の明細書の【0012】には、発明の効果として、「従来技術に対する効果は、本発明のパルスレーザー装置は超短パルスレーザー装置であって、発射時間が10^(-9)秒より低い超短パルスレーザーによって鋼型において彫刻作業が行われる時、該彫刻層の凹溝底面は平坦度が保たれて水平表面が形成される。それに該彫刻層の周辺はバリが生じないため、該鋼型表面の平坦性が確保される。顔料が該彫刻層に充填される時、該カラー層模様の完璧性が保たれるだけでなく、一方でプラスチックヘッドがカラー層を該彫刻層より取り出して転写させる時、プラスチックヘッドがバリに傷付けられる恐れがなく、プラスチックヘッドのカラー層における転写の安定性が保持され、加工作業の効率及び製品収率が増加され、経済効果の上昇に繋がる。」と記載されている。 しかしながら、超短パルスレーザー装置で加工することによって、バリの少ない加工となることは、兼平真悟, 平尾 一之、フェムト秒レーザープロッセッシングによる3次元ナノ構造体の創製、溶接学会誌、日本、一般社団法人溶接学会、2007年、第76巻第3号、p.181?185のp.182右欄第6?8行、特開平9-85475号公報の【0026】?【0027】に記載されているように本件出願前における技術常識である。 そして、このような長短パルスレーザーの加工特性が、引用発明において有益であることは、当業者に明らかである。 (7)請求人の主張について 請求人は、令和2年10月9日提出の審判請求書において、概略、以下の点を主張している。 ア 引用文献2の【0107】の「画像は、当業者に公知の任意の方法、例として、化学的エッチングまたはレーザーアブレーションなどによって、印刷版(クリシェ)にエッチングすることができる。使用後に、当業者に公知の標準的な洗浄技術、例えば、例として、溶剤への浸漬、超音波処理または機械摩耗を使用して印刷版(クリシェ)を洗浄することも望ましい」という記載から、引用文献2に記載の金型を加工した後、他の加工方法(研削、研磨、バリ取り等)で金型の表面を洗浄する必要があり、引用文献2は、本願請求項1に記載の「超短パルスレーザーによって、前記鋼型の表面において彫刻され、前記鋼型表面が削り除かれて内側を凹ませることで彫刻層が刻まれる」とは実際に異なっている点。 イ 引用文献3は、本願請求項1に使用される鋼材料で形成される鋼型を含んでおらず、本願発明の彫刻層の外周のバリなどによる課題に直面しておらず、引用文献3に使用されている技術的な手段は、本願請求項1に規定の「発射時間が10^(-9)秒より低い超短パルスレーザーの装置」であることと異なる点。 ウ 引用文献4は、レーザー加工方法のみを開示しており、本願発明の彫刻層の周辺にあるバリで着色剤を充填すると、着色剤がバリによって容易にブロックされ、凝縮できず、また、カラーフィルムを鋼型からコンタクトレンズに転写する際に、転写ヘッドがバリの影響を受け、カラーフィルムを確実に貼り付けることができないだけでなく、カラーフィルムが取り出にくく、転写ヘッドがバリで引っかかれるという問題の提示がなく、引用文献4の技術的手段と効果は、本願請求項1の「発射時間が10^(-9)秒より低い超短パルスレーザーの装置」であることと異なる点。 上記主張について検討する。 上記アについて、引用文献2の【0107】には、「印刷版(クリシェ)を洗浄することも望ましい」と記載されていることから、洗浄は、印刷版(クリシェ)の加工において必須のものではなく、また、エッチングの後の洗浄は、本件補正後発明において特定された事項でもない。 上記イ、ウについて、前記(5)アで述べたとおりである。 以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。 (9)小括 本件補正後発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 補正の却下の決定のむすび 本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものである。 したがって、本件補正は同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正の却下の決定の結論]に記載のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2」[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特表2013-546027号公報(引用文献2)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 3 引用文献及び引用発明 引用文献2の記載及び引用発明は、前記「第2」[理由]3(1)及び(2)に記載したとおりである。 4 対比及び判断 本願発明は、実質的にみて、前記「第2」[理由]3で検討した本件補正後発明から「凹部を有する下型」、「凹部に対応する凸部を有する上型」との限定を省いたものに相当する。そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正後発明が、前記「第2」[理由]3(4)で述べたとおり、引用文献2に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献2に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2021-04-20 |
結審通知日 | 2021-04-27 |
審決日 | 2021-05-12 |
出願番号 | 特願2018-3824(P2018-3824) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G02C)
P 1 8・ 121- Z (G02C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山▲崎▼ 和子 |
特許庁審判長 |
里村 利光 |
特許庁審判官 |
関根 洋之 井亀 諭 |
発明の名称 | パルスレーザー処理のコンタクトレンズ転写モジュール |
代理人 | 伊藤 寛之 |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | SK特許業務法人 |