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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29C
管理番号 1378595
審判番号 不服2020-11141  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-11 
確定日 2021-10-04 
事件の表示 特願2018-245948「複合容器の製造方法、複合プリフォーム、複合容器およびプラスチック製部材」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月28日出願公開、特開2019- 48480〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月9日を出願日とする特願2014-183572号(以下、「原出願」という。)の一部を平成30年12月27日に新たな特許出願としたものであって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 1月20日付け:拒絶理由通知
同年 3月10日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 5月12日付け:拒絶査定
同年 8月11日 :審判請求書及び手続補正書の提出
同年10月22日 :上申書の提出

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年8月11日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 令和2年8月11日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正であって、本件補正の前後における特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである。

(1)本件補正前
「【請求項1】
複合容器の製造方法において、
無色透明なプラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
熱収縮性材料からなり、周方向につなぎ目のない筒状に形成されたプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プラスチック製部材を前記プリフォームに緩挿する前に、前記プラスチック製部材の外面のみに印刷を施す工程と、
前記プラスチック製部材を前記プリフォームに緩挿した後、熱収縮させることにより、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、前記プラスチック製部材を接着することなく装着する工程と、
前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させることにより、容器本体と、前記容器本体の外面に接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を得る工程とを備え、
膨張された前記プラスチック製部材の外面のみに印刷が施され、
前記複合容器の、印刷が施された前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とする複合容器の製造方法。」

(2)本件補正後(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
複合容器の製造方法において、
無色透明なプラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
熱収縮性材料からなり、周方向につなぎ目のない筒状に形成されたプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プラスチック製部材を前記プリフォームに緩挿する前に、前記プラスチック製部材の外面のみに印刷を施す工程と、
前記プラスチック製部材を前記プリフォームに緩挿した後、熱収縮させることにより、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、前記プラスチック製部材を接着することなく装着する工程と、
前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させることにより、容器本体と、前記容器本体の外面に接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を得る工程とを備え、
膨張された前記プラスチック製部材の外面のみに印刷が施され、
前記複合容器の、印刷が施された前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっており、
前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を剥離するための切断線が設けられていることを特徴とする複合容器の製造方法。」

2 本件補正の目的
請求項1に係る本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「プラスチック製部材」について、「プラスチック製部材を剥離するための切断線が設けられている」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野(ブロー成形プラスチックボトルの製造方法)及び解決しようとする課題(容器本体をリサイクルすること)が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件違反の有無について
請求項1に係る本件補正は、上記2のとおり、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項等
ア 引用文献1
(ア)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開昭61-206623号公報(昭和61年9月12日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、おおむね次の記載がある。下線については、当審において付与した。
・「特許請求の範囲
(1)熱可塑性樹脂製パリソンの表面に熱収縮フィルムを被覆させたのち二軸延伸ブロー成形する多層容器の製造方法において、熱収縮フィルムが環状インフレーションフィルムであることを特徴とする多層容器の製造方法。
(2)熱収縮フィルムがアクリロニトリルを主成分とする樹脂からなる熱収縮フィルムである特許請求の範囲第1項記載の多層容器の製造方法。
(3)熱可塑性樹脂が飽和ポリエステル樹脂またはポリプロピレンである特許請求の範囲第1項記載の多層容器の製造方法。」(第1ページ左下欄第4行ないし第16行)
・「〔従来の技術〕
近年、ジュース、炭酸飲料、ビール等の容器としてブロー成形されたプラスチック容器が広く使用される様になってきた。このプラスチック容器に要求される性質として透明性、衝撃強度、剛性、軽量性があるが、これらの性質については、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)またはポリプロピレン(以下、PPと略記する。)を使用して、二軸延伸ブロー成形することによって良好な容器特性を示すようになり、消費者に受け入れられている。」(第1ページ左下欄第18行ないし右上欄第3行)
・「〔問題を解決するための手段〕
本発明は熱可塑性樹脂製パリソンの表面に熱収縮フィルムを被覆して成る多層パリソンを用いて二軸延伸ブロー成形する多層容器の製造方法において熱収縮フィルムがインフレーションフィルムである事を特徴とする多層容器の製造方法である。
即ち、本発明における多層化の手段は、熱可塑性樹脂製パリソン表面に、あらかじめインフレーション法で直接作られた環状熱収縮フィルムをかぶせ、熱によって収縮させてパリソンに密着させるものである。この多層化されたパリソンを用いて二軸延伸ブロー成形することにより多層容器を得るので、パリソン本体と被覆フィルムとがブローエアーによって賦形される際に金型に押しつけられ、強い密着性が付与される。被覆フィルムも二軸延伸される為に性能が向上し、ガスバリヤー性フィルムを用いる場合には更にガスバリヤー性が向上し、肉厚の薄いフィルムでもガスバリヤー性の優れた容器となるのである。」(第2ページ右上欄最下行ないし左下欄第18行)
・「本発明において熱可塑性樹脂製パリソンに使用される樹脂としては、二軸延伸ブロー成形可能な樹脂であれば良いが、特に用途から考えて透明性の良い樹脂が適しており、例えばPETに代表される飽和ポリエステル樹脂、PP、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、ポリエチレン等が挙げられる。中でも、PETおよびPPが最適である。PPはプロピレンホモポリマーおよびプロピレンとα-オレフィンとのランダム共重合体が適しており、ポリエチレン、ゴム等の他成分を少量含んでいても良い。」(第2ページ左下欄第19行ないし右下欄第10行)
・「熱収縮フィルムは、インフレーション法によって製造されたものが使用される。インフレーション法による熱収縮フィルムの製造法は公知の方法によって製造され、例えば通常の製膜温度より低目の温度で熱可塑性樹脂を押出し、横方向に1.1?4倍にブローする方法等によって得られる。又、パリソン本体と熱収縮フィルムとの接着性を良くする為に必要に応じてパリソンの表面に接着剤を塗布するかコロナ放電処理又はフレーム処理をしたものが使用される。接着剤としては、例えば二液型ポリウレタン系接着剤、シリコン系接着剤が使用できる。」(第3ページ左上欄第8行ないし第19行)
・「射出延伸ブロー成形のうち、いわゆるホットパリソン方式の成形方法では、射出成形→予備加熱→二軸延伸ブローが連続工程で行なわれるが、円筒状の熱収縮フィルムは射出成形されたホットパリソンに装着され、パリソンの保持する熱によって熱収縮して、パリソン表面を被覆する。この多層パリソンは引続き次の工程へ進んで予備加熱後、二軸延伸ブローされ多層容器が得られる。熱収縮フィルムのパリソンへの被覆は、二軸延伸ブローする前であれば他の工程で行なっても良い。
また、いわゆるコールドパリソン方式の射出延伸ブロー成形では、射出成形されたパリソンが一度冷却して得られ、これを次の工程で延伸に適した温度に再加熱してから延伸ブロー成形されるが、熱収縮フィルムの装着は延伸ブロー成形する前の工程であれば良く、再加熱の前に装着し再加熱の温度を利用してフィルムを熱収縮させる方法、再加熱されたパリソンに装着してパリソンの持つ熱によって収縮する方法、また再加熱工程の前に別途フィルムを装着し熱収縮させる方法など、いずれの方法でもかまわない。
このようにしてパリソンは上記いずれの場合も、パリソン全表面のうち口部直下から胴部周囲全面および底部の一部にかかる範囲で熱収縮フィルムで被覆される。」(第3ページ左上欄最下行ないし左下欄第7行)
・「〔発明の効果〕
通常二軸延伸ブロー成形に使用されるパリソンは、円筒状ないしはそれに類似する極簡単な形状をしているので、これに熱収縮フィルムを収縮させて密着させることは容易に且つ確実に行なわれ、外観上優れた容器を得ることができる。
更に、パリソンに被覆されたガスバリヤー性熱収縮フィルムも、容器の成形時に同時に二軸延伸されるので、このために、同フィルムのガスバリヤー性、透明性、表面光沢等の物性が向上する。又、使用する熱収縮フィルムがインフレーション法で製造されたものである為元来円筒状で継目をもたず、シールする工程が省ける他、得られた多層容器もシール跡のない外観の良い容器となる。
したがって、本発明によって得られる多層容器は、ガスバリヤー性のみならず、外観光沢の優れたものとなり、ジュース、炭酸飲料、ビール等の容器として好適である。」

(イ)引用発明
引用文献1の記載事項、特に下線が付された箇所の記載を中心に整理すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「ジュース、炭酸飲料、ビール等の多層容器の製造方法において、
透明性の良いPETからなるパリソンを準備する工程と、
アクリロニトリルを主成分とする樹脂からなり円筒状で継目をもたない環状インフレーションフィルムである熱収縮フィルムを準備する工程と、
前記熱収縮フィルムを前記パリソンに被覆した後、熱収縮させることにより、前記熱パリソンの口部直下から胴部周囲全面および底部の一部にかかる範囲に、前記熱収縮フィルムを密着する工程と、
前記パリソンおよび前記熱収縮フィルムに対して二軸延伸ブロー成形を施して、前記パリソンおよび前記熱収縮フィルムを一体として膨張させることにより、多層容器の容器本体部分と、前記容器本体部分の外面に密着して設けられた熱収縮フィルムとを有する多層容器を得る工程とを備える多層容器の製造方法。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用され、原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特表2004-532147号公報(平成16年10月21日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、おおむね次の記載がある。なお、下線については、審決の便宜上、当審において付与したものを一部含む。
・「【請求項1】
プレフォームの外面の少なくとも一部の上にラベルスリーブを配置してスリーブ付きプレフォームを製造せしめ;
そして前記スリーブ付きプレフォームをブロー成形してラベル付き容器を製造することを含んでなる、ブロー成形プロセスを用いてラベル付き容器を製造する方法。」
・「【背景技術】
【0002】
多くの異なったラベリング法がボトル業界で見られる。特に炭酸飲料の業界で最もよく見られるものの1つは貼り付けラベル(glue-on label)である。これらは、ボトルの周囲に巻き付けて、一つの縁で貼り付けられた装飾/ラベル付きの平坦なフィルムである。」
・「【0006】
標準的な輪郭フィットラベリングの重要な特徴は、配向フィルム原料を必要とすることである。この配向は通常、幅出機(及び場合によっては縦方向配向ドラフター)又はダブル-バブル・ブローンフィルムラインによって引き起こされる。いずれも費用のかかる方法であり、フィルムの製造方法及び使用方法にかなりの追加費用を加える。更に、容器の周囲で配向フィルム収縮を行うには、コストも増す収縮トンネルが必要である。この余分な装置もまた、プロセスのコストを増す。
【0007】
従って、ストレッチブロー成形プロセスの間に容器にラベルを適用するためのより費用がかからず且つより簡便な方法が必要とされている。」
・「【課題を解決するための手段】
【0012】
これら及びその他の目的は、ラベルスリーブをプレフォームの外面の少なくとも一部の上に配置してスリーブ付きプレフォームを形成し、前記スリーブ付きプレフォームをストレッチブロー成形してぴったりとフィットしたラベルを有するラベル付き容器を形成する、ストレッチブロー成形プロセスを用いたラベル付き容器の新規な製造方法を用いて達成される。この方法は、先行技術の方法によって必要とされる収縮トンネル及びフィルム配向工程を排除することによって、ブロー成形ラベル容器を製造するためのコストを削減し且つ方法の簡便性を増す。」
・「【0020】
この方法で使用するラベルスリーブには、当業者によく知られた方法を用いて所望のラベルデザインを印刷しなければならない。好ましくは、ブロー成形プロセスの間にフィルムが受けるであろう膨張を補正するゆがみ印刷を使用する。膨張は場所によって異なる、即ち、容器のネックは側壁よりも膨張が少ないので、ゆがみ印刷パターンはそれに応じて変化させなければならないであろう。印刷は通常、フラットフィルム上で行い、スリーブチューブを作るにはフラットフィルムの両縁をつなぎ合わせなければならない。しかし、インフレート法を用いてフィルムを形成する場合には、スリッチング(slitting)及び再接着プロセスを経ずに直接チューブに印刷することが可能である。…」
・「【0027】
本発明において使用するプレフォームは、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリカーボネートのような従来の成形用ポリマーから形成する。ポリマーは単層又は多層であることができる。他のポリマーを使用して、多層容器の一部の層を形成することもできる。このようなポリマーは当業界で公知であり、リサイクルポリマー、例えばポリエステル、機能性ポリマー(performancepolymers)、例えばEVOH及びポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ブレンド並びにそれらのコポリマーを含む。
【0028】
ポリエステルは、本発明において使用できる好ましいポリマーである。適当なポリエステルは、好ましくはテレフタル酸又はイソフタル酸、より好ましくは少なくとも約50モル%のテレフタル酸、一部の実施態様では、好ましくは少なくとも75モル%のテレフタル酸を含んでなるジカルボン酸成分並びにエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ブタンジオール及びそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種のジオールを含んでなるジオール成分を含む。…」
・「【0033】
プレフォームは、当業界で公知の方法によって、例えば射出成形によって又はまれにはパイプ押出もしくはスエージングによって形成する。プレフォームはまず、Sidel(商標)型の機械のような赤外線ランプのバンクを用いて、所望のブロー温度(PETプレフォームの場合には通常は約100℃前後)に再加熱する。赤外線加熱後、次に熱プレフォームを直接、ブローホイールへと運搬し、ブローホイールにおいて金型中にインフレートする。しかし、本発明の場合には、別の工程を加えなければならない。ここで、プレフォームが成形ホイールに入る直前の任意の時点で、プレフォームスリーブをプレフォームを覆うようにスライドさせる。スリーブは、最終ボトル上に要求される輪郭ラベル被覆範囲の程度に応じて、適当な長さにカットしなければならない。これは、スリーブをプレフォーム上に配置するときに現位置で行ってもよいし、あるいはスリーブを個々の単位に予めカットしてもよい。いずれにせよ、スリーブをプレフォーム上に迅速に配置するには、適当なウェブ/フィルム取り扱い設備が必要である。当業界において通常の金型内ラベリングに一般に使用される設備を、このスリーブの取り扱いのために改良することができる。
【0034】
ブロー成形法においては、プレフォーム及びスリーブはブロー金型に入り、容器の最終形状にインフレートされる。プレフォームの余熱はスリーブの加熱に役立つので、スリーブは充分に柔軟になり延伸可能であろう。あるいは、プレフォーム及びスリーブの全体に熱風又は輻射熱を吹き込む/又は適用することもできる。スリーブ及びプレフォームは比較的高温においても粘着性であるので、プレフォームを逆さにする(一部のブロー成形機の場合にはそうである)ときにスリーブが滑り落ちる可能性は少ない。必要な場合には、スリーブをプレフォームに関して正しい位置に保持するために割送り又は位置あわせ装置を使用できる。プレフォームが空気圧及び延伸ロッドによって膨張するにつれて、ラベルスリーブも膨張する。ラベルは金型壁にぶつかるまで延伸するので、最終的にはラベルは製品の最終形状を取るであろう。従って、二軸延伸フィルム又は収縮トンネルを必要とせずに、タイトフィットする輪郭ラベルが作られる。」
・「【0036】
ラベルは種々のポリマーから作ることができるので、現位置輪郭フィットラベルの使用はまた、他の機能的可能性を追加する。例えばラベルは容器の透過性の低下を促進するためにEVOH又はメタジレンジアミン(「MXD6」)のような高バリヤーポリマーから作ることができる(単層又は共押出により多層として)。ボトルとラベルとの密着度もまた、樹脂の選択によって左右され得る。PETボトルにPETラベルを用いた試験はかなりの密着を生じたが、ポリプロピレンラベルはPETボトルには貼り付こうとしなかった。密着が必要か否かは通常、リサイクルのための剥離が課題であるか否かによって決まる。」
・「【0039】
例1
PETスリーブを用いた2リットルボトル用輪郭ラベリング
インフレート法を用いて、わずかに配向されたPET 12822フィルムのスリーブを作った。これらのスリーブは、直径が1.44インチであり、呼称厚さが4milであった。ラベリングをシミュレートするために、マジックインキを用いて試験前のスリーブにグリッドパターンを描いた。使用したプレフォームは、外径1.15インチの2リットルボトル用プレフォームである。スリーブは、プレフォームよりもかなり大きかったが、これは試験時に使用できる唯一のスリーブ直径であった。
【0040】
実験室規模のRHBユニットを用いて、再加熱ブロー成形を行った。プレフォームはまず、赤外線石英型ヒーターのバンクを用いて約100℃の温度に加熱した。次に、プレフォームを速やかにブロー成形ステーションに移した。一方、金型を閉じる前に、スリーブはプレフォームを覆うように配置した。スリーブは、一端がネックリングに接触し且つ他端がほんのわずかにプレフォームの底面を越えるように、プレフォームの長さをカットした呼称(約5インチ)。25秒間の均熱処理時間を用いて、熱プレフォームの熱をフィルムに移した。次いで、軸方向延伸ロッド及と空気圧を併用して、プレフォームをブロー成形した。
【0041】
金型から取り出すと、ラベルフィルムはボトルをほとんど完全に包み且つ輪郭の全てにタイトフィットしているのがわかった。最初のスリーブに描いたグリッドパターンは、ボトル中の延伸量(即ち、ネック部では少なく、側壁部では多い)に比例して膨張したので、ゆがみ印刷の補正がどの程度必要かがわかった。延伸後のラベルフィルムは、延伸量に応じて名目上約1/2mil又はそれ以下であった。
【0042】
例2
ポロプロピレンスリーブを用いた2リットルボトル用輪郭ラベル
前記例1と同様な手法に従って、PETの代わりにポリプロピレンを用いてインフレート法によってスリーブを作った。ポリプロピレンは、低コスト及び低密度のために既にラベルに最適の材料とされているので望ましい。ポリプロピレンは、呼称厚さ3mil及び幅1.6インチとした。例1と同様にボトルをブロー成形後、フィルムはボトルの輪郭にぴったりとフィットしているのがわかった。しかし、PETラベルフィルムとは異なり、このフィルムはベースボトルに密着しなかったので、リサイクルの間に容易に剥がすことができる。」
・「【図2】



ウ 引用文献8
特開2004-352325号公報(平成16年12月16日出願公開。以下、「引用文献8」という。)には、図面とともに、おおむね次の記載がある。下線については、当審において付与した。

・「【請求項1】
胴部(21)及び自立させるための接地部(221)が形成された底面(22)を有する光透過性容器(2)と、前記容器(2)の胴部(21)及び底面(22)を被覆可能な遮光性の熱収縮性筒状ラベル(3)とを備え、前記筒状ラベル(3)が、熱収縮により前記容器(2)の胴部(21)に装着され、且つ接地部(221)の形状に沿って装着されていると共に、前記筒状ラベル(3)の下方開口部(35)が前記容器(2)の底面(22)で閉塞されていることを特徴とする遮光容器。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線などの光線透過をより確実に防止するため、容器の胴部及び底面が遮光性ラベルで被覆された遮光容器及び該遮光容器の製造方法に関する。」
・「【0006】
そこで、本発明は、光透過性容器の胴部及び底面からの光透過を防止でき、リサイクル時には、この光遮断手段を簡易に除去することができる遮光容器を提供することを課題とする。
また、本発明は、容器の胴部及び底面を遮光性ラベルで被覆した遮光容器を簡易に製造することができる遮光容器の製造方法を提供することを課題とする。」
・「【0020】
容器2に装着する前(熱収縮前)の筒状ラベル3は、図3及び図4に示すように、容器2の胴部21に挿入脱可能な内径で、且つ熱収縮後に少なくとも容器2の胴部21及び底面22を被覆可能な長さのラベル基材5の両端部5a,5aを、センターシールし、且つこのセンターシール部4の近傍に易開裂手段としてミシン目6が形成された筒状体からなる。…」
・「【0026】
上記構成からなる遮光容器1は、底面22まで遮光性のラベル3で被覆されているので、紫外線などの光透過を防止することができる。さらに、上記ラベル3は、白色系フィルム7の裏面7aに黒色系印刷層8が設けられた基材5からなるので、意匠印刷層8の下地となる白色背景の利点を有しつつ、可視光線の透過も防止できる。可視光線の遮光性の目安は、例えば、内容物がビールやビタミン剤などの場合、波長400?600nmの最大透過率が20%以下、好ましくは10%以下である。
また、光遮断手段が、1つの筒状ラベル3によって容器2を被覆するものであるため、リサイクル時には、既知の胴部ラベル付き容器と同様に、消費者は、ミシン目6などを利用して、ラベル3を切り取りこれを簡単に除去することができる。尚、ミシン目6は微小な孔であるため、光透過の影響は殆ど無視できるほどに小さいが、より確実に遮光するには、上記のような貫通孔型のミシン目6に代えて、非貫通のミシン目やハーフカットの切取り線などのような非貫通型の易開裂手段を用いることが好ましい。…」
・「【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る遮光容器は、紫外線などの透過をより確実に防止でき、リサイクル時には、筒状ラベルを除去するだけで、光透過性容器を分離できる。…」
・「【図3】



(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
引用発明における「ジュース、炭酸飲料、ビール等の多層容器」は、本件補正発明における「複合容器」に相当し、以下同様に、「透明性の良いPETからなるパリソン」は「透明なプラスチック材料製のプリフォーム」に、「アクリロニトリルを主成分とする樹脂からなり円筒状で継目をもたない環状インフレーションフィルムである熱収縮フィルム」は「熱収縮性材料からなり、周方向につなぎ目のない筒状に形成されたプラスチック製部材」に、それぞれ相当する。
引用文献1の「本発明における多層化の手段は、熱可塑性樹脂製パリソン表面に、あらかじめインフレーション法で直接作られた環状熱収縮フィルムをかぶせ、熱によって収縮させてパリソンに密着させるものである。」(第2ページ左下欄第6行ないし第9行)との記載からすれば、引用発明の「熱収縮フィルム」は、熱によって収縮する前はパリソンよりも径が大きいものであって、熱収縮によりパリソンに密着するものであるといえる。そうすると、引用発明の「熱収縮フィルムをパリソンに被覆」は、本件補正発明の「プラスチック製部材をプリフォームに緩挿」に相当する。
引用発明の「パリソンの口部直下から胴部周囲全面および底部の一部にかかる範囲に、熱収縮フィルムを密着」は、本件補正発明の「プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、プラスチック製部材を装着」に相当する。
引用発明における「二軸延伸ブロー成形」は、本件補正発明の「ブロー成形」に相当し、同様に「多層容器の容器本体部分」は「容器本体」に相当する。

イ してみると、本件補正発明と引用発明との一致点は次のとおりである。
<一致点>
「複合容器の製造方法において、
透明なプラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
熱収縮性材料からなり、周方向につなぎ目のない筒状に形成されたプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プラスチック製部材を前記プリフォームに緩挿した後、熱収縮させることにより、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、前記プラスチック製部材を装着する工程と、
前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させることにより、容器本体と、前記容器本体の外面に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を得る工程とを備える複合容器の製造方法。」

ウ そして、以下の点で相違する。
<相違点1>
プリフォームに関して、本件補正発明においては、「無色透明」と特定されるのに対し、引用発明においては、透明ではあるが、色の特定がない点。

<相違点2>
本件補正発明においては、「プラスチック製部材をプリフォームに緩挿する前に、前記プラスチック製部材の外面のみに印刷を施す工程」を備え、「膨張されたプラスチック製部材の外面のみに印刷が施され」ると特定されるのに対し、引用発明においては、印刷に関する特定がない点。

<相違点3>
本件補正発明においては、「プリフォーム」に「プラスチック製部材」が「接着することなく装着」されており、ブロー成形により膨張された「容器本体」に「プラスチック製部材」が「接着されることなく剥離除去可能」に設けられ、「プラスチック製部材を容器本体から剥離除去し、容器本体をリサイクル可能となっており」と特定されるのに対し、引用発明においては、そのような特定がない点。

<相違点4>
本件補正発明においては、「プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を剥離するための切断線が設けられている」と特定されるのに対し、引用発明においては、そのような特定がない点。

(4)判断
ア 相違点1について
例えば、引用文献2の【0002】、【0027】、【0033】、【0036】、【0042】等の記載や、「指定PETボトルの自主設計ガイドライン」(PETボトルリサイクル推進協議会、1992年10月制定、2018年1月4日改訂。以下「ガイドライン」という。)に「1.はじめに・・・目的 本書はPETボトルリサイクル推進協議会…が、資源有効利用促進法規定の指定表示製品(清涼飲料、乳飲料、酒類、特定調味料)に使用されているPETボトル…を、使用後の再処理、衛生性を含めた再利用適性に優れた容器とするために、使用するボトル、ラベル(印刷・接着剤等を含む)、キャップ等について規定した自主設計ガイドライン…です。」(5-4ページ最上欄)との記載がみられるように、飲料等に用いられるPETボトルをリサイクルすることは、原出願時の当業者の技術常識である。
また、PETボトルをリサイクルするに際し、PETボトル本体を無色とすることも、前記ガイドラインに「改訂履歴 改訂年月2001(H13)年04月 改訂内容・説明 本体は無色に、直接印刷を禁じ接着剤が残らないラベルへの変更を指導」(5-2ページ)、「<表1>原則基準 構成物 ボトル 本体 着色 原則基準(☆:必須事項、※:望ましい事項) ☆着色はしない。」(5-5ページ)との記載がみられるように、原出願時の当業者の技術常識であるといえる。
そして、これら技術常識に鑑みれば、引用発明において、PETからなる容器本体部分をリサイクルすることは当業者にとって格別困難なことではないし、容器本体のブロー成形前のパリソンについて、その色を無色とすることもまた当業者であれば容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用発明はジュース、炭酸飲料、ビール等の飲料に用いられる多層容器であるところ、飲料等の用途の多層容器においてその外側に何らかの印刷を施すことは通常行われていることからすれば、引用発明において、多層容器の外側に何らかの印刷を施すことは当業者における通常の創作能力の発揮にすぎない。
そして、引用文献2には、【請求項1】、【0020】等の記載から、プレフォームにラベルスリーブを配置したものをブロー成形してラベル付き容器を製造するにあたり、ラベル付き容器の外側に印刷を施す方法として、インフレート法を用いて形成したチューブ状のラベルスリーブに、スリッチング及び再接着プロセスを経る前(プレフォームにラベルスリーブを配置する前)の段階において印刷を施しておく技術的事項が開示されているといえるところ(なお、チューブ状のラベルスリーブは、インフレーション法で作られたものであることからすれば、外側にのみ印刷が施されていることは技術的に明らかである。)、引用発明と引用文献2に記載された上記技術的事項とは、プレフォームにラベルスリーブを配置したものをブロー成形してラベル付き容器を製造するものであって、容器の外側に印刷を施すものである点で共通していることからすれば、引用発明の多層容器の外側に何らかの印刷をしようと考えた当業者が引用文献2の技術的事項を適用することは容易に想到し得ることであるといえる。

ウ 相違点3について
引用発明は、PETからなるパリソンに、アクリロニトリルを主成分とする樹脂からなる熱収縮フィルムを被覆した後、これを熱収縮させることにより、多層のパリソンを得たものである。ここで、熱収縮フィルムとパリソンとは、異種の樹脂であることから、互いに溶着されることはなく、熱収縮フィルムがパリソンに接着することなく装着されているといえる。このことは、引用文献1に「又、パリソン本体と熱収縮フィルムとの接着性を良くする為に必要に応じてパリソンの表面に接着剤を塗布するかコロナ放電処理又はフレーム処理をしたものが使用される。」(第3ページ左上欄第14行ないし第17行)とあるように、引用発明のパリソンと熱収縮フィルムとは、別途接着剤を塗布するかコロナ放電処理又はフレーム処理しない限り接着性は良くないものとして記載されていることからも明らかである。
そして、そのような多層のパリソンを二軸延伸ブロー成形したものは、熱収縮フィルムが容器本体部分に対して接着することなく密着された状態のまま賦形されているのであるから、二軸延伸ブロー成形した後の熱収縮フィルムは容器本体部分から剥離除去可能となっているといえる。さらに、熱収縮フィルムが剥離除去可能となっているのであるから、容器本体部分はリサイクル可能であることも明らかである。
そうすると、相違点3は、実質的な相違点ではない。
仮に、相違点3が実質的な相違点であったとしても、相違点3に係る構成は、引用発明から当業者が容易になし得たことに過ぎない。

エ 相違点4について
本件補正発明の「前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を剥離するための切断線が設けられている」における「前記プラスチック製部材」は、「複合容器」を構成する「プラスチック製部材」を指すのか、「無色透明なプラスチック材料製のプリフォームを準備する工程」の段階の「プラスチック製部材」を指すのか、一見不明である。この点、「切断線が設けられている」構成について、明細書には、「プラスチック製部材40に予め図示しない切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離したりすることができる。」(【0054】)との記載が唯一うかがえるにすぎず(なお、請求人は、審判請求書において、相違点4に係る補正の根拠として、この段落【0054】を挙げている。)、ここには「容器本体10」の「プラスチック製部材40」に「切断線」が設けられていることが明記されているから、「前記プラスチック製部材」は、「複合容器」を構成する「プラスチック製部材」をいうと解釈することが妥当である。
この点を踏まえ、以下検討する。
上記アで検討したとおり、引用発明のPETからなる容器本体部分をリサイクルすることは、当業者が通常なし得ることである。
筒状ラベルで被覆された容器をリサイクルするに際し、筒状ラベルの除去を容易とするために、筒状ラベルにミシン目を設けることは、例えば、引用文献8の【0026】等にみられる周知技術である。
引用発明と、上記周知技術とは、ともに筒状ラベルで被覆された容器であり、引用発明において、容器本体部分をリサイクルすることが当業者が通常なし得ることであることを考慮すれば、引用発明の容器本体部分をリサイクルするに際し、上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

オ 効果について
本件補正発明が奏するとされる、ラベラーによってラベルを付与する工程を設ける必要がないという効果(本願明細書の【0120】等を参照。)については、引用発明に引用文献2に記載された上記技術的事項を適用した際に当然奏される効果であって、当業者が当然予測できるものであり、格別顕著なものであるともいえない。
また、本件補正発明が奏するとされる、印刷が施されたプラスチック製部材を容器本体から分離除去することができるので、容器本体をリサイクルすることができるという効果(本願明細書の【0121】等を参照。)についても、引用発明及び上記技術常識から当業者が当然予測できるものであり、格別顕著なものであるともいえない。

カ 請求人の主張について
請求人は審判請求書において、引用文献1は、被覆樹脂層を本体樹脂層から剥離除去することについて何ら認識しておらず、「熱収縮フィルム」に切断線を設けることは容易に想到し得ないと旨主張している。
しかしながら、引用発明の熱収縮フィルムに切断線を設けることは、上記エで検討したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。
また、請求人は上申書において、引用発明に引用文献8に記載された技術を適用することに阻害要因があると主張している。
しかしながら、引用文献8の筒状ラベルは、シュリンクゾーンにて熱収縮させて容器に装着されているものであるが、筒状ラベルをどのように容器に装着するかに関しては、切断線を設ける技術思想とは技術的に関係が無いし、さらに、引用発明に引用文献8等にみられる周知の切断線を適用したとしても、引用発明の課題を解決しなくなるものでもないから、引用発明に引用文献8等にみられる周知技術を適用することに阻害要因はないといえる。
したがって、請求人の前記各主張は採用できない。

キ 小括
よって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された上記技術的事項、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)独立特許要件のまとめ
以上のとおり、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

4 補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年8月11日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和2年3月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1を主引用例としたとき、この主引用例に記載された発明に基いて、原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明との対比において、「前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を剥離するための切断線が設けられている」という事項を特定しないものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、上記事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]3で検討したとおり、引用発明から容易に想到し得たものであるから、本願発明も同様に当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-07-21 
結審通知日 2021-07-27 
審決日 2021-08-20 
出願番号 特願2018-245948(P2018-245948)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B29C)
P 1 8・ 575- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 理絵  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 加藤 友也
岩田 健一
発明の名称 複合容器の製造方法、複合プリフォーム、複合容器およびプラスチック製部材  
代理人 中村 行孝  
代理人 村田 卓久  
代理人 朝倉 悟  
代理人 堀田 幸裕  

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