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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  H01L
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:なし  H01L
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  H01L
管理番号 1001185
異議申立番号 異議1998-74961  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-10-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-07 
確定日 1999-06-03 
異議申立件数
事件の表示 特許第2739413号「基板搬送用スカラ型ロボット」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2739413号の特許を維持する。 
理由 1.[本件発明]
本件特許第2739413号(平成5年5月26日出願、平成10年1月23日設定登録。以下、「本件特許」という)に係る発明は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「減速機付きでモータ13を中心部へ内蔵した基台上に該モータ13の駆動により回動されるよう胴体5を取付け、該胴体5内には1対の減速機付きモータ7,7’を対称となる関係に取付け、各出力軸にはモータ7,7’の駆動で回動されるものとなる第1アーム4,4’の片側端部を取付け、且つ該第1アーム4,4’の他端部には各アーム4,4’の回動と共に、各アーム体内でプーリ及びタイミングベルトを介し一定比で回動されるものとなる支軸3a,3a’を該アーム4,4’の回動とは無関係の状態に突出させ、該支軸3a,3a’には第2アーム3,3’の片側端部を取付け、且つ該第2アーム3,3’の他端には各アーム3,3’の回動と共に各アーム体内でプーリ及びタイミングベルトを介して一定比で回動されるものとなる支軸2a,2a’を該アーム体3,3’の回動とは無関係の状態に突出させ、且つ該支軸2a,2a’には夫々れ基板15,15’を吸引止着するための1つがコ字形をなし、他の1つは上記コ字形内を干渉しないように作動する第3アーム2,2’を取付けしめ、該アーム2,2’により処理前基板を取り出し、処理箇所への搬送及び処理済み基板の返送を同一水平線上で互い違いの対称関係で同時進行するように構成したことを特徴とする基板搬送用スカラロボット。」(以下、「本件発明」という)
2.[特許異議申立に係る証拠]
これに対し、各特許異議申立人が提出した証拠は、次の▲1▼〜▲6▼のとおりである。
▲1▼株式会社メックスが提出した証拠
甲第1号証:特開平2-172689号公報
(以下、「第1引用例」という)
甲第2号証:特開昭62-213977号公報
(以下、「第2引用例」という)
甲第3号証:特開平4-171741号公報
(以下、「第3引用例」という)
甲第4号証:特開平5-109866号公報
(以下、「第4引用例」という)
甲第5号証:特開平2-83182号公報
(以下、「第5引用例」という)
甲第6号証:特開平6-69315号公報
(以下、「先願公報」という)
▲2▼株式会社イクイップ ジャパンが提出した証拠
甲第1号証:特許第2739413号公報
(以下、「本件特許公報」という)
甲第2号証:特開平4-30447号公報
(以下、「第6引用例」という)
甲第3号証:上記「第5引用例」と同じ
▲3▼依田昌三が提出した証拠
甲第1号証:特開平4-294984号公報
(以下、「第7引用例」という)
甲第2号証:上記第1引用例と同じ
甲第3号証:上記第6引用例と同じ
甲第4号証:実願平3-77016号(実開平5-20882号のCD-ROM(以下、「第8引用例」という)
甲第5号証:特開昭62-195143号公報
(以下、「第9引用例」という)
甲第6号証:特開昭60-135192号公報
(以下、「第10引用例」という)
甲第7号証:特開平4-87785号公報
(以下、「第11引用例」という)
▲4▼桜井寿子が提出した証拠
甲第1号証:上記第5引用例と同じ
甲第2号証:特開昭62-222906号公報
(以下、「第12引用例」という)
▲5▼株式会社安川電機が提出した証拠
甲第1号証:上記第6引用例と同じ
甲第2号証:上記第10引用例と同じ
甲第3号証:上記第1引用例と同じ
▲6▼井戸勝敏が提出した証拠
甲第1号証:上記第3引用例と同じ
甲第2号証:「電子材料」第30巻第8号(1991年8月1日株式会社工業調査会)第38〜45頁(以下、「第13引用例」という)
3.[特許異議申立理由の概要]
上記の各証拠に基づいて、各特許異議申立人が主張する特許異議申立理由の概要は、次のイ〜ハのとおりである。
イ 発明の容易性について
各特許異議申立人はいずれも、本件発明は、本件特許に係る出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して受けた旨主張し、当該刊行物として、株式会社メックスは上記第1〜第5引用例、株式会社イクイップ ジャパンは上記本件特許公報及び第5、第6引用例、依田昌三は上記第1及び第6〜第11引用例(ただし、第11引用例については、本件発明との関係を直接云々するものではなく、アームを箱状のものとすることが記載されている旨を指摘している)、桜井寿子は上記第5及び第12引用例、株式会社安川電機は第1、第6及び第10引用例、井戸勝敏は第3及び第13引用例を、それぞれ挙げている。 なお、上記刊行物のうち、株式会社イクイップジャパンの指摘した本件特許公報は、従来技術についての説明部分を引用するというものであるが、当該公報は、本件特許に係る出願前に頒布された刊行物とはいえないし、当該従来技術が本件特許に係る出願前に公知であることを明示する記載もないので、以下の検討の対象としない。
先願発明との同一性について
株式会社メックスは、本件発明は、本件特許に係る出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された、上記先願公報に係る特願平4-241239号の出願(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された発明(以下、「先願発明」という)と同一であると認められ、しかも、本件発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本件特許に係る出願時において、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないので、本件特許は特許法第29条の2の規定に違反して受けた旨も主張している。
ハ 明細書の記載不備について
桜井寿子は、特許明細書の記載に関して、二つのチャックが同一水平線上を同時に移動すれば、それぞれのチャックに保持されたウエハーは衝突するはずであるが、かかる衝突をどのように回避するのか不明であるし、「互いに対称関係で動作する」という記載についてもその意味が把握しがたいから、本件特許は、特許法第36条第4項及び第5項の規定を満たしていない出願について受けた旨を主張している。
4.[当審の判断]
イ 発明の容易性について
(1)第1〜第13引用例の記載事項
上記各引用例の記載事項の概要は次のとおりである。
第1引用例には、半導体ウエーハ等の搬送用ロボットに関して、調和駆動モータの回転を、連結された複数のロボット腕、プーリ及びタイミングベルトを介して直線運動に変換する機構と共に、かかる変換機構自体を、補助のモータ駆動装置によって回転することが示されている。(第3頁右下欄第1〜4行、第5頁左上欄第1行〜第6頁右下欄第1行、第1〜5図参照)
第2引用例には、被加工物の搬送装置に関して、互いに反対方向に同期しつつ180度回転される一対の第1及び第2の駆動腕を支持台に配設し、ヒンジ結合された略同一長の第1の前腕及び第1の後腕と、同様の第2の前腕および第2の後腕とを相対向させて、該第1および第2の後腕の夫々の端部を前記第1および第2の駆動軸に固定すると共に、該第1および第2の前腕の夫々の端部を搬送台に回転自在に連結したものが記載されている。(第4頁左上欄第7行〜同頁左下欄第4行、第1、2図参照)
第3引用例には、電子部品の自動搬送装置に関して、一方のハンド取付部を湾曲させることにより、二つの吸着ハンドを上下2段に配置し、夫々の吸着ハンドに対応する移動モータによって、各吸着ハンドを夫々独自に直線運動可能としたものが記載されている。(第2頁右下欄第12行〜第3頁右下欄第2行、第1〜6図参照)
第4引用例には、ウエハ移載ロボットに関して、同軸状に配置した2本のシャフトのそれぞれに、アームとウォンドとを高低差を持つように取り付けたものが記載されている。(第3頁第3欄第21行〜同頁第4欄第6行、第1〜5図参照)
第5引用例には、半導体ウエハー等を搬送するためのハンドリングユニットに関して、同軸状に配置した2本の回転軸のそれぞれに、アームとハンドとを取り付け、これらアームやハンドが同一水平面内で動作することを可能としたものが記載されている。(第2頁右上欄第1行〜第4頁左上欄第8行、第1〜10図参照)
第6引用例には、半導体ウエハ等の基板の移し換え装置に関して、それぞれの先端に基板保持部を取り付けた、二組の平行リンク機構からなる移し換えアームを左右一対に配置し、一方の基板保持部はコ字形の枠部を介して平行リンク機構より少し高い位置に設け、他方の基板保持部は上記のコ字形の枠部の内側を通過して上下にすれ違うことができるようにしたものが記載されている。(第2頁右下欄第13行〜第5頁右上欄第13行、第1〜6図参照)
第7引用例には、半導体ウエハ処理装置等の高真空中で使用する無関節真空ロボットに関して、旋回駆動部の垂直上方に配置された回転ドラム内に2つのモータを配置し、それぞれのモータにより回転軸を駆動して、一対の弾性アームの先端が直線状に移動する曲げモーメントを加えるようにしたものが記載されている。(第5頁右欄第32行〜第6頁左欄第33行、第1〜5図参照)
第8引用例の第1図には、双腕ロボットに関して、架台に回転駆動源を設けることが示されている。
第9引用例には、ウエハ等の基板を搬送に用いられる、基板の高速交換装置に関して、一方の搬送アームをコの字状に形成すると共に、他方の搬送アームをコの字状部内を通過するように配置し、各搬送アームを夫々独自に直線運動可能としたものが記載されている。(第2頁右下欄第7行〜第3頁左上欄第4行、第1〜6図参照)
第10引用例には、スカラロボット型の搬送装置において、アームや可動フレームの駆動源に、減速機付モータを使用することが示されている。(第2頁左下欄第1行〜同頁右下欄第6行、第4図参照)
第11引用例には、半導体基板の処理装置などに用いられる基板搬送装置において、アーム部を備えたロボットを上下に配置すると共に、当該アームをプーリやベルトが収納される箱形に形成することが示されている。(第4頁左上欄第15行〜第5頁右上欄第8行、第3図参照)
第12引用例には、ウエーハ搬送機構に関して、ウエーハを吸着して半径方向に直線移動する第1連結アームと、同じくウエーハを吸着して半径方向に直線移動する第2連結アームとを互いに独立して伸縮可能にターンテーブル上に設け、これら第1及び第2連結アームをターンテーブルの回転によって同時に回転させ、同一平面上で被検ウエーハのカセットからの取り出し・検査装置への載置と検査済みウエーハの検査装置からの受け取り・カセットへの返送とを同時に進行させるようにしたものが記載されている。(第3頁右上欄第第19行〜第4頁左下欄第5行、第1〜6図参照)
第13引用例には、「クリーンロボットを採用したウェハ搬送装置」と題した記事中で、スカラ形クリーンロボットの開発経緯や、当該ロボットの機構及び作動原理が説明されており、ロボットアーム先端のフィンガは、ウエハを真空吸着するものであることが示されている。(第41頁左欄下から4行〜第45頁左欄下から8行、図7、9参照)
(2)発明の対比と判断
本件発明と上記第1〜第13引用例の記載とを対比すると、上記いずれの引用例にも、本件発明における「胴体5内には1対の減速機付きモータ7,7’を対称となる関係に取付け、各出力軸にはモータ7,7’の駆動で回動されるものとなる第1アーム4,4’の片側端部を取付け」ると共に、第1アームに取付けられる第2アーム3,3’の他端に「基板15,15’を吸引止着するための1つがコ字形をなし、他の1つは上記コ字形内を干渉しないように作動する第3アーム2,2’を取付けしめ、該アーム2,2’により処理前基板を取り出し、処理箇所への搬送及び処理済み基板の返送を同一水平線上」で行うという構成を採るものは示されていないことは明らかである。
尤も、かかる構成の一部をなす事項に関して、胴体内に設けた1対のモータの各出力軸にアームの片側端部を取付けることについては、第6、第7引用例に、また、減速機付きモータについては第10引用例に、それぞれ示されており、基板を吸引止着することについては第3、第12及び第13引用例に記載され、一方のアームをコ字形に形成し、他方のアームをコ字形部の内側を通過するように配置することについては、第6、第9の各引用例に、更に、アーム等による基板搬送を同一水平線上で行うことについては、第5引用例に、それぞれ記載されていることは、上記(1)で認定したとおりである。
しかし、これら各引用例に散見される各構成を組み合わせるべき必然性や動機付けについては、いずれの引用例にも見当たらず、また他に示されてもいない以上、本件発明の上記構成が、上記の各引用例の記載に基づいて、当業者が容易に想到できるとはいえない。
そして、本件発明は当該構成を備えることによって、基板の搬送を同一水平線上で無駄なく短時間で行うことが可能となって、基板交換のロス時間が、従来の凡そ3分の1という大幅に短縮できるという、格別の作用効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明は、上記第1〜第13の各引用例の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
先願発明との同一性について
先願明細書等には、「上記基板搬送装置1は、図1に示すように、図示しないモータや回転軸等を内蔵する駆動手段10の上部に、水平方向に回転可能な回転基板11(回転機構)を配設してなり、この回転基板11上の対向位置に2つの伸縮アーム20(移動機構)及びピンセット30(基板保持部)が取り付けられている。各伸縮アーム20は、基端部が回転基板11に回転可能に取付けられる第1のアーム21と、基端部が第1のアーム21の先端部に回転可能に連結される第2のアーム22とで構成されており、第2のアーム22の先端に矩形板上のピンセット30が回転可能に連結されている。なお、駆動手段10は伸縮アーム2の水平方向の移動と、回転基板11の水平方向の回転を司る公知のもので、例えば、伸縮アーム20及び回転基板11を水平方向に回転するモータ(図示せず)と、このモータの回転を伸縮アーム20の節部に伝達するベルトやギア等の伝達部材(図示せず)にて形成されている」という記載(【0016】の欄)や、第10図及びその関連記載(【0028】の欄)がある。
本件発明と先願発明とを対比すると、先願発明における「ベルトやギア等」は、本件発明における「タイミングベルト」及び「プーリ」に相当するものであるから、本件発明と先願発明とは、アームの基本的な配置や作動機構、更には、アームをコ字状に形成することについても軌を一にするものといえる。
しかし、先願明細書中の「上下両ピンセット30の上面は異なる高さに設定される」という記載(【0017】の欄)からも明らかなように、搬送される基板の位置は上下に離れているものであるし、基板の吸引止着についても先願明細書に全く言及がないところから、先願発明は、本件発明における「基板15,15’を吸引止着するための1つがコ字形をなし、他の1つは上記コ字形内を干渉しないように作動する第3アーム2,2’を取付け」、「該アーム2,2’により処理前基板を取り出し、処理箇所への搬送及び処理済み基板の返送を同一水平線上」で行う構成を欠くものであることが明らかである。
しかも、かかる構成は周知慣用のものとはいえず、上記イの判断においても指摘したように、当該構成によって独自の作用効果を奏するのであるから、本件発明と先願発明とを同一のものとすることはできない。
ハ 明細書の記載不備について
桜井寿子が主張するとおり、本件特許明細書には、二つのチャックが「同一水平線上」を同時に移動する旨の記載があるが、各チャックに保持されたウエハーの衝突を回避できる軌跡で移動することは、図1Bの記載や技術常識からみて明らかであり、また、「互いに対称関係で動作する」という記載についても、例えば、当該明細書の「発明の効果」の欄において、チャックの「1つが処理済み基板の返送中、他の1つは処理前基板の取出し移送」することが例示されているように、各チャックの位置が対称関係となる状態で作業を行うことを意味することは、通常の知識に基づいて容易に理解できるところであるから、本件特許明細書の記載に、特許異議申立人が主張する不備があるとすることはできない。
5.[むすび]
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すべきものとすることはできない。
また、他に、本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-04-30 
出願番号 特願平5-163755
審決分類 P 1 651・ - Y (H01L)
P 1 651・ 532- Y (H01L)
P 1 651・ 161- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中西 一友  
特許庁審判長 築山 敏昭
特許庁審判官 神崎 潔
黒瀬 雅一
登録日 1998-01-23 
登録番号 特許第2739413号(P2739413)
権利者 ローツェ株式会社
発明の名称 基板搬送用スカラ型ロボット  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 恩田 博宣  
代理人 飯田 堅太郎  
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