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審決分類 |
審判 全部申し立て 特39条先願 A01F |
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管理番号 | 1007591 |
異議申立番号 | 異議1999-72906 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-02-17 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-08-03 |
確定日 | 1999-11-29 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2852650号「コンバイン」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2852650号の特許を維持する。 |
理由 |
1.本件発明 本件特許第2852650号(本件特許は、昭和61年2月19日に出願された実願昭61-23637号を、昭和60年実用新案法第9条第1項により準用する特許法第44条第1項の規定により分割出願した実願平6-8465号を、特許法第46条第1項の規定により出願変更した特願平9-137717号に係り、平成10年11月20日設定登録。)に係る発明(以下、本件発明という。)は、その特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりであり、分節すると下記のとおりのものと認められる。 記 (A):脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側を本機に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、 (B):穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側下面を摺接させる機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、 (C):前記ロック部材(27)と入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)を穀粒タンク(14)前部で互に近接させて配設させたこと (E):を特徴とするコンバイン。 2.特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人井関農機株式会社は、下記甲第1号証〜甲第2号証の3を提出し、本件発明は、同日に同一出願人が出願した甲第1号証記載の発明と同一であるから、本件特許は特許法第39条第2項の規定に違反してなされたものであると主張している。 記 甲第1号証:特許第2,879,053号公報 甲第2号証の1:特開昭59-183625号公報 甲第2号証の2:実願昭57-126596号(実開昭59-31841号)のマイクロフィルム 甲第2号証の3:実願昭58-127429号(実開昭60-36046号)のマイクロフィルム 3.甲号各証記載の発明 甲第1号証には、特許請求の範囲を分節すると、 (A):脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側を本機に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、 (B):穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側下面を摺接させる機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、 (C’):前記ロック部材(27)とコンベア駆動軸(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)を、側面視で穀粒タンク(14)前部の回動遊端の略同一位置に配設させ、 (D’):前記ワンタッチ連結クラッチ(36)取付位置よりも穀粒タンク(14)の水平回動外側に前記ロック部材(27)を取付け、下部コンベア(19)前端部の穀粒タンク(14)下面を機台(3)に摺動自在に上載させ、機台(3)の穀粒タンク(14)摺動案内面と穀粒タンク(14)の間を前記ロック部材(27)によって連結させたこと (E):を特徴とするコンバイン。」が記載され、 「また前記各軸(33)(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)を前記ロック部材(27)と側面視で略同一位置に配置させるから、ロック部材(27)の穀粒タンク(14)固定動作によってワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)の連結を適正に維持でき、」(第8欄第8〜14行)と記載されている。 甲第2号証の1には、コンバインの穀粒タンクを水平回動自在にするにあたり、下部コンベアのベルト機構(25)よりも穀粒タンクの水平回動外側にロック部材(ロックピン45)を取付けたこと」が記載されている。 甲第2号証の2には、コンバインの穀粒タンクを水平回動自在にするにあたり、伝動用ワイヤ(19)よりも穀粒タンクの水平回動外側にロック部材(ロックピン13)を取付けたことが記載されている。 甲第2号証の3には、コンバインの穀粒タンクを水平回動自在にするにあたり、下部コンベアの巻掛け伝動具(16)よりも穀粒タンクの水平回動外側にロック部材(ロックピン23)を取付けたことが記載されている。 4.対比・判断 本件発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、両者は、上記(A)、(B)、(E)の点で一致し、次の各点で相違する。 (i)本件発明が「(C):前記ロック部材(27)と入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)を穀粒タンク(14)前部で互に近接させて配設させたこと」を構成要件としているのに対し、甲第1号証記載の発明は「(C’):前記ロック部材(27)とコンベア駆動軸(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)を、側面視で穀粒タンク(14)前部の回動遊端の略同一位置に配設させ」たことを構成要件としている点。 (ii)本件発明が、甲第1号証記載の発明の構成要件である「(D’):前記ワンタッチ連結クラッチ(36)取付位置よりも穀粒タンク(14)の水平回動外側に前記ロック部材(27)を取付け、下部コンベア(19)前端部の穀粒タンク(14)下面を機台(3)に摺動自在に上載させ、機台(3)の穀粒タンク(14)摺動案内面と穀粒タンク(14)の間を前記ロック部材(27)によって連結させたこと」を有していない点。 上記相違点(i)を検討する。本件発明が、「ロック部材(27)と入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)」を穀粒タンク(14)前部で互に近接させて配設させたことにより、本件特許明細書記載のとおりの「ロック部材(27)の穀粒タンク(14)固定動作とワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)の連結を容易に確認でき」(第7欄第24行〜第8欄第2行)るのに対し、甲第1号証記載の発明は、「ロック部材(27)とコンベア駆動軸(35)とワンタッチ連結クラッチ(36)」を側面視で穀粒タンク(14)前部の回動遊端の略同一位置に配設させたことにより、甲第1号証記載のとおりの「ロック部材(27)の穀粒タンク(14)固定動作によってワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)の連結を適正に維持でき」(第8欄第11〜14行)るから、両者は上記(i)の構成の相違によりその機能を異にしており、申立人の「表現上の差異こそあるものの実質的に同一の位置を指す」という主張は理由がない。 上記相違点(ii)を検討する。コンバインの穀粒タンクを水平回動自在にするにあたり、甲第1号証記載の発明は、「ワンタッチ連結クラッチ取付位置よりも穀粒タンクの水平回動外側に前記ロック部材を取付け」ている。一方、コンバインの穀粒タンクを水平回動自在にするにあたり、甲第2号証の1には「下部コンベアのベルト機構(25)よりも穀粒タンクの水平回動外側にロック部材(ロックピン45)を取付けたこと」が、甲第2号証の2には「下部コンベアの伝動ワイヤ(19)よりも穀粒タンクの水平回動外側にロック部材(ロックピン45)を取付けたこと」が、甲第2号証の3には「下部コンベアの巻掛け伝動具(16)よりも穀粒タンクの水平回動外側にロック部材(ロックピン23)を取付けたこと」が、それぞれ記載され、甲第2号証の1記載の「ベルト機構(25)」、甲第2号証の2記載の「伝動ワイヤ(19)」、及び、甲第2号証の3記載の「巻掛け伝動具(16)」は、甲第1号証記載の発明の「ワンタッチ連結クラッチ(36)」と同様に、「下部コンベアの駆動入力部」といえる。しかしながら、甲第1号証記載の発明は、甲第2号証の1〜甲第2号証の3記載の発明とは異なり、上記「駆動入力部」の下位概念である「ワンタッチ連結クラッチ(36)」の配置を規定したものであるから、例え、甲第2号証の1〜甲第2号証の3記載の発明が周知であっても、「ワンタッチ連結クラッチ取付位置よりも穀粒タンクの水平回動外側に前記ロック部材を取付けたこと」が周知であるとはいえず、このことを前提とした申立人の「本件発明は甲第1号証記載の発明から周知慣用の手段を削除したものにすぎない」という主張は理由がない。 よって、本件特許は、特許法第39条第2項の規定に違反してなされたものであるという申立人の主張は理由がない。 5.むすび 以上のとおりであるから、前記申立人の特許異議申立ての理由及び申立人の提出した証拠方法によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-11-12 |
出願番号 | 特願平9-137717 |
審決分類 |
P
1
651・
4-
Y
(A01F)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 関根 裕、森 正幸、瀬津 太郎 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
新井 重雄 鈴木 寛治 |
登録日 | 1998-11-20 |
登録番号 | 特許第2852650号(P2852650) |
権利者 | ヤンマー農機株式会社 |
発明の名称 | コンバイン |
代理人 | 藤原 忠治 |