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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01S
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  H01S
審判 全部申し立て 1項1号公知  H01S
管理番号 1012558
異議申立番号 異議1998-70195  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-12-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-01-16 
確定日 2000-03-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第2631554号「レーザの波長制御装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2631554号の特許を維持する。 
理由 理 由
1,手続の経緯
本件特許の出願日 平成1年5月23日
特許権設定登録 平成9年4月25日
特許異議の申立て(申立人:サイマー インコーポレイテッド)
平成10年1月16日
証人尋問申立 平成10年1月16日
異議申立人に対する審尋 平成10年11月13日
異議申立人からの回答 平成11年1月25日
取消理由通知 平成11年2月9日
訂正請求 平成11年4月26日
証人尋問 (証人:リチャード・サンドストローム)
平成11年10月29日

2,訂正の適否
(訂正の内容)
特許権者は、特許請求の範囲の【請求項1】中の「波長選択素子としてグレーティングを用いたエキシマレーザにおいて、」について、「波長選択素子としてグレーティングを用い、レーザ光をフロントミラーを介して出射するエキシマレーザにおいて、レーザ光の光路に沿って前記グレーティング、レーザチャンバ、前記フロントミラーを順次配置し、」と訂正し(訂正事項a)、同請求項中の「前記レーザチャンバと前記グレーティングとの間に配設され、その角度を変化させることにより前記グレーティングの選択波長波長を制御する光学素子を備えた」について、「前記レーザチャンバと前記グレーティングとの間の光路上に、前記グレーティングよりも小さく軽い光学素子を設け、前記光学素子の角度を変化させることにより前記グレーティングの選択波長を制御することを特徴とする」と訂正する(訂正事項b)請求を行った。
(訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否)
願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、上記訂正事項aについては、「第1図は第1実施例を示す構成図であり、両端にウィンドウ2、3が設けられたレーザチャンバ1とグレーティング5との間に、全反射ミラー6を配置し、この全反射ミラー6のレーザ光7に対する角度を変化させることにより波長を変化させるものである。なお、4はフロントミラーである。」(特許公報第2頁第4欄第13〜18行)という記載がなされており、また、上記訂正事項bについては、「レーザチャンバとグレーティングとの間にある光学素子はグレーティングよりもかなり小さく、軽いため、非常に速くまた正確に角度を変化させることができる。そのため波長の制御性および安定性がよくなる。」(同第2頁第4欄第7〜10行)という記載及び「全反射ミラー6」に関して上述した記載(特許公報第2頁第4欄第13〜18行)がなされていることから、上記各訂正は願書に添付した明細書に記載されている事項を限定したにすぎないものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
(独立特許要件)
イ、訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「波長選択素子としてグレーティングを用い、レーザ光をフロントミラーを介して出射するエキシマレーザにおいて、
レーザ光の光路に沿って前記グレーティング、レーザチャンバ、前記フロントミラーを順次配置し、
前記レーザチャンバと前記グレーティングとの間の光路上に、前記グレーティングよりも小さく軽い光学素子を設け、前記光学素子の角度を変化させることにより前記グレーティングの選択波長を制御することを特徴とするレーザの波長制御装置。」
ロ、特許法第29条第2項について
同じく取消理由に引用した刊行物2(OPTICS COMMUNICATIONS, Vol.4, No.2, October 1971, p.187-189、異議申立人が提出した甲第2号証)の特に第187頁のFig.1とそれに関連した同頁の左欄の下から第9〜6行には、グレーティング又はプリズムのいずれかを回転させることにより波長のチューニングを行い、プリズムの側面にミラーからの出力光を反射させるようにして、ダイレーザの放射光をグレーティングと光路分離用のプリズムとで狭帯域化を行うシステムがすることが記載されている。
同刊行物記載の上記頁に記載されているプリズムの大きさについては、グレーティングよりも大きく描かれている。
同じく取消理由に引用された刊行物3(Applied Optics. Vol.23(9), 1 May 1984, p.89-92、異議申立人が提出した甲第6号証と実質的に同一)の特に第90頁のFig.1とそれに関連した第89頁の右欄には、グレーティングにより狭帯域化を行うようにしたダイレーザにおいて、グレーティングの後方に載置したミラーの回転によって波長の調整を行うことが記載されている。
訂正明細書の請求項1に係る発明と上記刊行物1記載の技術内容とを比較すると、両者は「グレーティングを用い、レーザ光をフロントミラーを介して出射するエキシマレーザにおいて、レーザ光の光路に沿って前記グレーティング、レーザチャンバ、前記フロントミラーを順次配置し、前記レーザチャンバと前記グレーティングとの間の光路上に、光学素子を設けたレーザの波長制御装置。」という点で一致するが、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1記載の技術内容に対して、(A)グレーティングは波長選択素子であること、(B)光学素子はグレーティングよりも小さくて軽く、その角度を変化させることによりグレーティングの選択波長を制御すること、という2点で相違する。これらの相違点について検討すると、上記(A)の相違点は、刊行物2及び刊行物3に示されている。しかしながら、上記(B)の相違点は、上記何れの刊行物にも示されていない。そして、訂正明細書の請求項1に係る発明は、(B)の点により、「レーザチャンバとグレーティングとの間にある光学素子はグレーティングよりもかなり小さく、軽いため、非常に速くまた正確に角度を変化させることができる。そのため波長の制御性及び安定性がよくなる。」(特許公報第2頁第4欄第7〜10行)という本件特許明細書記載の通りの顕著な作用効果を奏するものである。
また、特許異議申立人が提出した甲第3号証(Optical and Quantum Electronics. 7(1975), p.115-119)には、レーザビームをプリズムでエキスパンドして、狭帯域化するためにグレーティングへ照射し、プリズムの側面より出力光を出射するようにしたダイレーザシステムが記載されている。
同じく甲第4号証(Optics Communications. 23(2), November 1977, p.273-278)には、レーザビームをプリズムでエキスパンドして、狭帯域化するためにグレーティングへ照射し、出力ミラー(フロントミラー)より出力光を出射するようにしたダイレーザシステムが記載されている。
同じく甲第5号証(Optics Communications. 35(1), October 1980, p.100-104)には、、レーザビームを2つのプリズムでエキスパンドして、狭帯域化するためにグレーティングへ照射し、出力ミラー(フロントミラー)より出力光を出射するようにしたダイレーザシステムが記載されている。
同じく甲第7号証(Applied Optics. 21(15), August 1982, pp.2783-2786)には、レーザビームを1つまたは2つのプリズムでエキスパンドして、狭帯域化するためにグレーティングへ照射し、出力ミラー(フロントミラー)より出力光を出射するようにしたダイレーザシステムが記載されている。
異議申立人が提出した書証で、取消理由に採用しなかった上記各刊行物には、何れにも上記(B)の点が示されていない。
したがって、当審が通知した当審において通知した取消理由で示した刊行物及びその他異議申立人が提出した各刊行物に記載された内容に基づいて、訂正明細書の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとは云えない。
ハ、特許法第29条第1項第1号及び同項第2号について
異議申立人の「本件特許は、甲第8号証中の米国における別件に係る宣誓供述書及び図面と写真に示された型式がCX2-LSである狭帯域化エキシマレーザ装置(以下「CX2-LS」という。)によって、日本国内において公然実施され、また公然知られたものである」という主張に基づく証人尋問の申立がなされ、証人尋問において、証人:リチャード・サンドストロームは、主尋問、反対尋問及び補足尋問に対して各証言を行った。証言の要旨は以下の通りである。
○ 主尋問に対する証言
a、証人は、カリフォルニア大学で博士号を取得した後、異議申立人であるサイマー・コーポレーションの創立に関わり、そこで引き続きエキシマレーザの開発と研究を行った。サイマー設立当初におては、エキシマレーザは広帯域のものであったが、その後狭帯域化の方向へ転じ、その結果「CX2-LS」を完成させた。Cはサイマー、Xはエキシマ、2は2番目のモデル、LSはラインナロー・ステディライザーという意味である。(「証人等の陳述を記載した書面」(以下「陳述書」という。)の010-028)
b、「CX2-LS」については、本件特許の出願日である1989年の5月23日以前にマスコミ発表を行っており、その一つは1989年2月に米国のSPIEでの発表であり、また、日本では、「日経マイクロデバイス」1989年5月号で発表した。その内容は、英語バージョンと共に、資料5として提出した。英語バージョンのFig.2には、タイプミスで「CS-LS」となっているが「CX2-LS」の全体の概略図が示されており、そこには、ダイアグノスティック・アンド・スタビライゼーション・パッケージ(「陳述書」の“ダシアクノスティック・アンド・スタグライゼーション”は「ダイアグノスティック・アンド・スタビライゼーション」の誤記である。)とCX2―レーザヘッドとライン・ナローイング・パッケージとが示されており、ダイアグノスティック・アンド・スタビライゼーション・パッケージは光学的モジュールのことであり、CX2―レーザヘッドはレーザチャンバのことである。そして、ライン・ナローイング・パッケージは、甲第8号証にExhibit Bとして示されている「ライン・ナローイング・モジュール」のことである。(「陳述書」029-057)
c、「CX2-LS」の光学系の概略図を手で描き、右のものがライン・ナローイング・モジュールであり、真ん中のものがレーザチャンバで、左側のものがスタビライゼーション・モジュールであり、ライン・ナローイング・モジュールは、グレーティングと3つのプリズムと全面反射ミラーとを含む旨を説明した。全面反射ミラーは、回転を行い、バツ印の箇所が回転軸であり、回転によって波長を調整することができる。(「陳述書」058-074)
d、今描いた図面は、1989年の5月15日より前にキャノン、ニコンなどに販売された「CX2-LS」のガイダンスである。甲第8号証のExhibit Aは、1989年5月頃までに出荷した「CX2-LS」のリストである。リストの「デステネーション」は送られた国の名前であり、空輸で送られている。「ユースト」(「陳述書」の“ユース”は“ユースト”の誤記である。)は、お客様のレーザが稼働した日である。私は、梱包を解く時に立ち会っている。(「陳述書」075-093)
e、資料3の(3-8)の下の、証人のサインは、私どもがニコン、キャノンなどで、モジュールをレーザから解体して、再び合体するデモを行ったことを表している。資料4に写っている写真は、キャノンに出荷した3006、ライン・ナロー・モジュール014である。それが、何故に異議申立人の事務所にあるかという理由は、1990年のモジュール交換のために、サイマー社に戻って来たものである。これは甲第8号証のExhibitB
に示されているライン・ナロー・パッケージと同じである。資料4には、グレーティング、プリズムと、ミラー及びミラーを回転させるステッパ・モーターが写っている。グレーティングの部分が非常に大きい理由は、グレーティングの光角度を保つためである。グレーティングは、ミラーに比べて大きく、重さも何倍も重い。その関係は、「CX2-LS」の全てに同じである。(「陳述書」094-117)
f、資料4の写真2に貼ってある「ウォーニング」(「陳述書」の“ワービング”は“ウォーニング”の誤記である)というシールは、もし、これを破って中を開ければ、保証を無効にするという勧告である。その理由は、グレーティングなどは汚れに敏感であり、損傷を受けるからである。しかし、中を開けても保証が無効になるだけであって、中を開けることを防止することはできない。
写真3に写っている開口からは、グレーティングやプリズムなどを見ることは出来るが、回転ミラーを見るのは若干難しい。しかし、ファイバースコープなどを使えばミラーを見ることは出来る。ミラーの角度を調整することができるということは、装置をひっくり返してみて、そこの小さなカバーを見れば、全体動くことが示唆されている。
キャノンやニコンの人たちが、また、キャノン、ニコンからこの機器を買い取ったお客さんが、このモジュールを解体して、中の構造を調べることは禁じられてはいなかった。しかし、誰かがこの部分を取り外して観察したかどうかということについては、自分のフィールドサービスノートなどには、そういった記録は特になく、また、そういったことについては存じてない。(「陳述書」118-133)
○ 反対尋問に対する証言
g、1989年5月23日以前に「CX2-LS」を「日経マイクロデバイス」等に公開した内容は、狭帯域モジュールなど詳細な構造は含まない。資料4の写真1に出ている6番は、ミラーを縦軸でマニュアルにより上下方向に調整してフィックスさせるマイクロメータ・アジャストメントである。
レーザ装置の納入に際して行うフィールドサービスにおけるアジャストメントに際しては、狭帯域モジュールの蓋を外す、ということはない。
(甲第8号証のリストに載っている)シリアルナンバーは、お客様から何台のレーザが他へ受け取られているか分からないようにするために、例えば、008というようなものは、3001といふうに変えて使っている。
資料2の「アイテム1、By8-31-88」と甲第8号証のExhibitAの一番上の装置の記載との関係については、「アイテム1、By8-31-88」はレーザの出荷要請日であり、実際には4月24日であるが、出荷が遅れた理由はレーザの生産遅延のためである。甲第8号証のExhibitAにある3006については、4月28日、89年とあるが、実際には5月18日だったかもしれない。(「陳述書」134-171)
i、キャノンやニコンがチャンバを開封したまま、エンドユーザーに出荷はできる。
「デンジャー」という張り紙の、「カバー・インター・ロック」という文字は、もし、蓋が外された場合、ユーザはラディエーションに暴露される、という警告であるが、この張り紙はレーザ全体の箱の外にも貼られている。全体を覆っている別の蓋があり、インターロックとは、その蓋が開いている時は電気系統が作動しないことを云う。したがって、ここでいう蓋は、ライン・ナロー・モジュールの蓋のことではない。
もし、モジュールの開口部からファイバースコープを使って中を見た場合、光学配置に傷が付く可能性はある。
損傷が起きた場合、修理をあくまでサイマー社で行う。その場合、古いモジュールを引き取って、新しいモジュールを渡したりする。
キャノンやニコンが、モジュールの中身について第三者に示すことを禁じられていない、という先ほどの証言については、自分が知っている限りで申せば、そのような制限、制約はない、ということである。
サイマーの装置を組み込んだステッパーをエンドユーザーに出荷した際に、サイマーのエキシマレーザをエンドユーザーにおいて見ることができない理由は、ニコンやキャノンはレーザの供給というものを独立させ、別離してやりたいと思っているのではないかと思う。
レーザを出荷するに当たって、シリアルナンバーを順番で付けないのは、装置のトップシークレットを保ちたい、という意味ではなく、それぞれの納入先の企業の販売情報の取り扱いに支障を与えたくない、という配慮からである。
モジュールはクリーンな環境で使用されなければならない、というのは確かである。特に、ライン・ナロー・モジュールの稼働は鮮明な窒素を使う必要がある。(「陳述書」172-204)
○ 補足尋問に対する証言
h、サイマー社の社長から、ニコンやキャノンに、「CX2-LS」の構成にについての設計情報を秘密にしてくれと頼んだという話は聞いたことはあるが、それは断られたと聞いている。また、これらの会社がサイマーに対して秘密の義務を負う、という話も聞いたことはない。
「CX2-LS」の内、狭帯域モジュールのコンポーネント価格は、だいたい20、000ドル位であったと思う。つまり、20、000ドルのコストをかければ、リバースエンジニアリングが可能であったということになる。もし、新たに光学モジュールを開発するとしたら、その費用より高くかかることは確かだ。
甲第8号証のExhibitAの「ユースト」という日は、私のフィールドノートでは、レーザが梱包から外され、そして実際にスイッチを入れた日であると記録されている。
資料3などのエクスターナル・エタロンは、波長の幅を計測するためのものであり、ディアグノスティック・スタビライゼーション・パッケージに使われているものである。
1989年の5月までの間、戻ってきた狭帯域モジュールの内で、その蓋についているラベルが破られている、といったケースは、私は知らない。故障したモジュールは交換し、残さない、という会社の方針であり、殆ど全てが戻って来たと思う。(「陳述書」205-244)
○ 証言の内容と判断
以上の証言によれば、狭帯域エキシマレーザ装置(型番「CX2-LS」)の狭帯域モジュールのカバーには、このシールを破ってカバーを開けると保証を無効にすると言う警告文が記載されたシール(以下「警告シール」という。)が貼られており、該警告シールが破られたという証拠はない。そうすると、上記「CX2-LS」の回転ミラーによる波長調整機構が見える状態で使用されてはいないから、本件特許発明は、本件特許出願前に日本国内において公然実施をされた発明であるとはいえない。
次に、キャノン及びニコンのユーザー、並びにエンドユーザーに頒布された「CX2-LS」の狭帯域モジュールの中で、修理のために回収された狭帯域モジュールについては、上記警告シールが破られたケースを知らないという証言及び上記狭帯域モジュールの開口部から波長調整用回転ミラーを視認することは困難であるとの証言からすると、上記「CX2-LS」の回転ミラーによる波長調整機構が日本国内で公然知られたという証拠はない。
なお、キャノン及びニコンにおいて、「CX2-LS」の狭帯域モジュールに貼付されている警告シールを破り、該モジュールを分解し、該モジュールの内部を知り得た可能性は否定し得ないが、上記シールを破棄した証拠がない状態において、保証を無効にしてまでも上記シールを破棄し、内部を知ることが行われたとは認められない。
また証言からは、上記「CX2-LS」を組み込んだステッパーがキャノン及びニコンよりそれらのエンドユーザーに譲渡されたことが明らかであるが、譲渡時期についての証言(特に譲渡時期が本件特許出願以前であるかどうかということについて)はないので、上記「CX2-LS」の狭帯域モジュールが本件特許出願前に上記エンドユーザーにおいて、公然と知られていた又は公然と知られ得る状態にあったとは認められない。
したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願以前に公然と知られた発明であるとはいえない。
以上述べたとおり、当審が通知した取消理由通知に引用した刊行物によっても、証人の証言によっても、またその他の特許異議申立人の提示した刊行物によっても、訂正明細書の請求項1に係る発明が、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものとはいえない。
(むすび)
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の同法第126条第1-3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3,特許異議の申立てについての判断
(本件発明)
本件訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記2.の(独立特許要件)イ、「訂正明細書の請求項1に係る発明」に示した通りのものである。以下、「訂正明細書の請求項1に係る発明」を「本件請求項1に係る発明」という。
(申立の理由の概要)
(判断)
当審において通知した取消理由で示した刊行物及びその他異議申立人が提出した各刊行物に記載された内容に基づいて、本件請求項1に係る発明を、それらと同一もしくは当業者が容易に想到し得たものとすることができないことは、上記の2、の(独立特許要件)のロ、「特許法第29条第2項について」の項で述べたとおりである。
また、本件請求項1に係る発明が、本件特許の出願前に公然実施されれ、または公然知られていた事実が明らかでないことも、上記2、の(独立特許要件)のハ、「特許法第29条第1項第1〜2号について」の項で述べたとおりである。
そして、本件特許請求項1に係る発明が、特許法第第29条第1項第3号、同法同条第2項及び同法同条第1項第1〜2号の規定に違反してなされたものと云えない以上、本件請求項1に係る発明をさらに限定した本件請求項2〜3に係る各発明も、特許法第29条の上記各規定に違反してなされたものと云うことはできない。

4,むすび
以上のとおりであるから、当審が通知した取消理由通知及び引用刊行物によっても、また、特許異議申立ての理由及び証拠等によっても、本件特許の請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-02-15 
出願番号 特願平1-129392
審決分類 P 1 651・ 112- YA (H01S)
P 1 651・ 121- YA (H01S)
P 1 651・ 111- YA (H01S)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原 光明  
特許庁審判長 小林 邦雄
特許庁審判官 河原 英雄
左村 義弘
登録日 1997-04-25 
登録番号 特許第2631554号(P2631554)
権利者 株式会社小松製作所
発明の名称 レーザの波長制御装置  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 今城 俊夫  
代理人 弟子丸 健  
代理人 中村 稔  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 竹内 英人  
代理人 小川 信夫  
代理人 木村 高久  
代理人 村社 厚夫  
代理人 小幡 義之  
代理人 大塚 文昭  

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