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審決分類 審判 補正却下の決定 2項進歩性  G02B
審判 補正却下の決定 5項独立特許用件  G02B
管理番号 1014750
審判番号 審判1998-18100  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-08-20 
種別 補正却下の決定 
確定日 2000-05-23 
事件の表示 平成7年特許願第271327号「逆行反射性シート」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 
結論 平成10年12月16日付けの手続補正を却下する。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、昭和59年4月10日(パリ条約による優先権主張:1983年4月11日:米国)になされた昭和59年特許願第71689号(以下「原出願」という。)を基礎として平成7年10月19日になされた分割出願であって、前審において、拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成9年9月4日に意見書および手続補正書が提出されたが、拒絶理由が解消されていない旨をもって、平成10年8月6日付(平成10年8月18日謄本発送)で拒絶査定された。そして、審判請求人(出願人)より、当該拒絶査定に対する不服審判が請求され、当該審判請求に係る特許法第17条の2に規定の期間内である平成10年12月16日に手続補正書が提出されている。
本補正却下の決定は、平成10年12月16日付手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)に係るものである。
2.分割出願の適否
まず、本件出願に係る出願の分割の適否について検討する。
本件出願の願書に添付された明細書および図面には、下記の事項が記載されている。
▲1▼「【発明が解決しようとする課題】
優れた逆行反射性を維持しながら繰り返し伸び緊張と弛緩を受けることができる、レンズ埋め込みタイプの逆行反射性シートを提供することが要求されている。」 (段落[0014])
▲2▼「この実施例のシートは逆反射性シートのための新規な延伸可能性(stretchability)を示した。例えば延伸間に1.0秒の緩和を与えながら最初の大きさの125%迄10回延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定すると、シートはその最初の反射輝度の71%を維持していた。」(段落[0031])
しかしながら、原出願の願書に最初に添付された明細書ないし図面には、上記▲1▼に記載の技術的課題および当該課題に係る上記▲2▼に記載の「延伸間に1.0秒の緩和を与えながら反射輝度にそって測定する」点に係る記載はなく、当該事項を示唆し得る記載もない。
したがって、上記▲1▼ないし▲2▼の記載事項は、原出願の願書に最初に添付された明細書または図面に記載されていない新規の発明の解決課題およびその課題に係る新規の技術事項を追加したものである。
以上のとおりであるから、本件出願は、原出願の願書に最初に添付された明細書および図面に記載された事項の範囲内で、同明細書および図面に記載された2以上の発明を一部分割したものではなく、したがって、当該分割は不適法なものである。
3.本件補正の適否
(1)適用法令
上記2.の理由により、本件出願に係る出願の分割は不適法なものであるから、本件出願は、原出願の出願日になされたものとみなすことができず、また、パリ条約による優先権の主張も実質的に失効するものであるから、実際の出願日(平成7年10月19日)になされたものであり、同出願日に施行されている法令を適用して以下検討する。
(2)本件補正の内容
本件補正では、特許請求の範囲について、補正前における
「【請求項1】a)透明なガラス微小球の単層
(27):
b)i)前記微小球の後面の下に横たわっており、そしてこれら微小球の前記後面から離れこれら微小球の曲面に従うように順応する後面を有している、透明な重合体のスペース層(19c)と、
ii)前記微小球の前面を覆っている透明な重合体のカバー層(10a)と、
を含んでいる、その中に前記微小球が埋められているシート;および、
c)前記スペース層の前記の順応する後面上に被覆されている鏡面反射層(28)、
を包含している逆行反射性シートであって、
前記シートは延伸することができ、そして前記シートを、延伸間に10秒の緩和を与えながら最初の大きさの125%迄10回延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定すると、シートはその最初の反射輝度の91%を維持している、
有効な逆行反射特性を維持しながら繰り返し延伸され緩和されることができる、埋設レンズ逆行反射性シート。
【請求項2】スペース層(19c)が熱可塑性脂肪族ポリウレタンからなる、請求項1に記載の逆行反射性シート。
【請求項3】カバー層(10a)が熱可塑性脂肪族ポリウレタンからなる、請求項1又は2に記載の逆行反射性シート。」
なる記載を、
「【請求項1】a)透明なガラス微小球(27)の単層;
b)i)前記微小球の後面の下に横たわっており、そしてこれら微小球の前記後面から離れこれら微小球の曲面に従うように順応する後面を有している、透明な重合体のスペース層(19c)と、
ii)前記微小球の前面を覆っている透明な重合体のカバー層(10a)と、を含んでいる、その中に前記微小球が埋められているシート;及び、
c)前記スペース層の前記の順応する後面上に被覆されている鏡面反射層(28)、を包含している逆行反射性シートであって、
前記の透明な重合体の層は、弾性材料から構成されており、そして前記シートを、延伸間に1.0秒の緩和を与えながら最初の大きさの125%迄10回延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定すると、シートはその最初の反射輝度の71%を維持しており、そして、
前記微小球(27)の層の後面は、実質的に一線に並んでおり、
前記微小球(27)の層の後面が埋まっているスペース層(19c)の重合体は、前記微小球(27)の層の前面が埋まっているカバー層(19a)の重合体よりも低いメルトインデックスをもっている、
有効な逆行反射特性を維持しながら繰り返し延伸され緩和されることができる、埋設レンズ逆行反射性シート。
【請求項2】スペース層(19c)が熱可塑性脂肪族ポリウレタンからなる、請求項1に記載の逆行反射性シート。
【請求項3】カバー層(10a)が熱可塑性脂肪族ポリウレタンからなる、請求項1又は2に記載の逆行反射性シート。
【請求項4】前記微小球(27)の層の後面が埋まっているスペース層(19c)の重合体及び前記微小球(27)の層の前面が埋まっているカバー層(10a)の重合体がいずれも、ダイン/cm2として測定した損失弾性率の減少が1桁より小さいことによって示されるように、軟化範囲において50℃の温度間隔に亘ってゆるやかな粘度変化を受ける重合体である、請求項1、2又は3に記載の逆行反射性シート。」に補正している。
(3)補正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
本件補正は、実質的に特許請求の範囲の減縮に相当するものと認められ、上記補正後の特許請求の範囲に記載された事項は、本件の補正前の特許明細書に記載されている事項のみであるから、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(4)独立特許要件に係る判断
(A)原査定に係る引用例に記載の発明
本件補正後の請求項1に記載の発明(以下「本件発明」という。)に対して、前審が原査定で引用した引用例(特開昭59-198402号公報)には、以下の事項が記載されている。
▲1▼「(1)第一及び第二透明重合体層、該第一層に埋められた透明な微小球の単層で、平均してそれらの球の径の半分より少ないが1/10よりは多く埋められ、それら微小球の前記第一層より突出した部分の一番端が、実質的な共通な平面内に配列しており、前記第二透明重合体層が第一層の微小球で覆われた表面に実質的に完全に接触して積層されていて、それによって前記微小球間の前記第一層から突出した微小球と接触し且つそれらの曲面に順応しているようになっている透明微小球の単層と、前記第二層の露出した成形表面上に被覆された鏡面反射性層とからなる逆行反射性シート。」
(第1頁、特許請求の範囲第1項)
▲2▼「(4)第一及び第二重合体層の少なくとも一方が、その重合体の軟化温度範囲内で50℃の温度間隔に亘って示すダイン/cm2で表した損失弾性率の減少が1桁より小さい前記第1項、第2項又は第3項のいずれか1項に記載の逆行反射性シート。」
(第1頁、特許請求の範囲第4項)
▲3▼「(7)第一層が、イオノマー、ポリウレタン、エチレン共重合体、及びイソフタール酸とテレフタール酸との混合物に基づくポリエステルから選択された重合体からなる前記第1項〜第6項のいずれか1項に記載の逆行反射性シート。
(8)第二層が、イオノマー、ポリウレタン、エチレン共重合体、及びイソフタール酸とテレフタール酸との混合物に基づくポリエステルから選択された重合体からなる前記第1項〜第7項のいずれか1項に記載の逆行反射性シート。」
(第1頁〜第2頁、特許請求の範囲第7項および第8項)
▲4▼「実施例2
実施例1をくり返した。但しa)微小球が部分的に埋められた層10aの高溶融粘度イオン性共重合体を、17.2の溶融指数をもつ熱可塑性脂肪族ポリウレタン樹脂・・(中略)・・で置き代え、・・(中略)・・d)スペース層19cの低粘度イオン性共重合体を、2.6の溶融指数をもつ熱可塑性脂肪族ポリウレタン樹脂・・(中略)・・に置き換え、・・(中略)・・用いた)。・・(中略)・・
この実施例のシートは逆反射性シートのための新規な延伸可能性を示した。例えば延伸間に10秒の緩和を与えながら最初の大きさの125%まで10回延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定すると、シートはその最初の反射輝度の71%を維持していた。」
(第7頁右上欄第14行〜右下欄第5行)
以上の記載事項からみて、引用例には、
「a)透明なガラス微小球の単層;
b)i)前記微小球の後面の下に横たわっており、そしてこれら微小球の前記後面から離れこれら微小球の曲面に従うように順応する後面を有している、透明な熱可塑性脂肪族ポリウレタン樹脂のスペース層と、
ii)前記微小球の前面を覆っている透明な熱可塑性脂肪族ポリウレタン樹脂のカバー層と、を含んでいる、その中に前記微小球が埋められているシート;及び、
c)前記スペース層の前記の順応する後面上に被覆されている鏡面反射層、を包含している逆行反射性シートであって、
前記の透明な樹脂の層は、弾性材料から構成されており、そして前記シートを、延伸間に10秒の緩和を与えながら最初の大きさの125%迄10回延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定すると、シートはその最初の反射輝度の71%を維持しており、そして、
前記微小球の層の後面は、実質的に同一平面上に並んでおり、
前記微小球の層の後面が埋まっているスペース層の樹脂は、前記微小球の層の前面が埋まっているカバー層の重合体よりも低い溶融指数をもっている、
埋設レンズ逆行反射性シート。」に係る発明(以下「引用例記載の発明」という。)が記載されている。
(B)対比・判断
ここで、本件発明と引用例記載の発明とを対比すると、次の二点で相違し、その余の点で一致している。
▲1▼本件発明では、シートを延伸間に1.0秒の緩和を与えながら延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定するのに対して、引用例記載の発明では、シートを延伸間に10秒の緩和を与えながら延伸し、延伸完了後5分で反射輝度にそって測定する点。
▲2▼本件発明では、「有効な逆行反射特性を維持しながら繰り返し延伸され緩和されることができる」点が規定されているのに対して、引用例には、当該点に係る記載がない点。
そこで、まず、上記相違点▲1▼について検討すると、技術的常識からみて、延伸工程の中途で緩和を与える場合、緩和する時間が長いと収縮量も大きくなるから、引用例記載の発明における測定方法が、本件発明のものに比して、厳しい測定条件でなされているものと解される。してみると、両発明の反射輝度に係る下限値は同じく71%であるから、引用例記載の発明のものに比して、本件発明のものが、格別の技術的創意を有するものではない。
次に、上記相違点▲2▼について検討すると、本件発明における「有効な逆行反射特性を維持しながら繰り返し延伸され緩和されることができる」なる規定は、本件発明における他の構成事項を具備することにより得られる発明の効果に係るものであり、当該他の構成事項を具備する引用例記載の発明においても、同様の効果を奏し得るものであるから、当該規定に格別な技術的創意があるものではない。
してみると、本件発明は、上記引用例記載の発明から、当業者が容易に発明し得たものであるから、特許第29条第2項の規定により、拒絶すべきものである。
したがって、本件発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
(C)むすび
以上のとおりであり、本件補正は、特許法第159条第1項で同法第121条第1項の審判に準用するものとされる同法第53条の規定を適用する場合において、読み替えるものとされる同法第17条の2第1項第3号に掲げる補正について、同法同条第4項第2号の場合に、同法同条第5項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
決定日 1999-11-17 
出願番号 特願平7-271327
審決分類 P 1 93・ 575- (G02B)
P 1 93・ 121- (G02B)
前審関与審査官 森内 正明山村 浩上田 忠  
特許庁審判長 森 正幸
特許庁審判官 辻 徹二
橋本 栄和
発明の名称 逆行反射性シート  
代理人 浅村 肇  
代理人 浅村 皓  
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