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| 審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 C08F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08F 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08F |
|---|---|
| 管理番号 | 1018146 |
| 異議申立番号 | 異議1998-75764 |
| 総通号数 | 13 |
| 発行国 | 日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 | 特許決定公報 |
| 発行日 | 1990-05-28 |
| 種別 | 異議の決定 |
| 異議申立日 | 1998-11-19 |
| 確定日 | 1999-11-22 |
| 異議申立件数 | 2 |
| 訂正明細書 | 有 |
| 事件の表示 | 特許第2781208号「吸水性樹脂の製造法」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
| 結論 | 訂正を認める。 特許第2781208号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 |
| 理由 |
I.手続きの経緯 本件特許第2781208号は、平成1年6月19日(優先権主張、昭和63年6月22日、昭和63年8月15日、昭和63年8月30日、いずれも日本)に出願された特願平1-156601号の出願に係り、平成10年5月15日に設定登録がなされた後、2件の特許異議の申立てがあり、それに基づく特許取消の理由通知に対し、平成11年8月10日付けで訂正請求がなされたものである。 II.本件訂正請求 (1)訂正事項 本件訂正請求は、本件明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、即ち、 ▲1▼特許請求の範囲の請求項1における「水溶性エチレン性不飽和モノマー」を「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマー」に訂正し、 ▲2▼同範囲同項における「気相を収容する重合器」を「気相が循環される重合器内」に訂正し、 ▲3▼同範囲同項における「相対湿度30%以上」を「相対湿度60%以上」に訂正し、 ▲4▼明細書9頁9〜16行(本件特許公報5欄13〜19行)の「即ち、本発明は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相を収容する重合器に供給し、該気相中、気相の相対湿度30%以上の条件下で重合して吸水性樹脂を製造する方法を提供するものである。」を「即ち、本発明は、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相が循環される重合器内に液滴として供給し、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させることを特徴とする、吸水性樹脂の製造法を提供するものである。」に訂正し、 ▲5▼明細書3頁9行(同公報3欄11行)、同3頁11行(同3欄12〜13行)、同3頁14〜15行(同3欄15〜16行)、同3頁16行(同3欄17行)、同4頁3〜4行(同3欄22〜23行)、同4頁19行(同3欄37行)、同10頁2行(同5欄24行)、同10頁15〜16行(同5欄35〜36行)、同16頁3行(同7欄32行)、同16頁11行(同7欄39行)及び同20頁3行(同9欄3行)各記載の「水溶性エチレン性不飽和モノマー」を「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマー」に訂正し、 ▲6▼明細書15頁20行〜16頁1行(同公報7欄30行)の「エチレン性不飽和モノマー」を「架橋剤を含有するエチレン性不飽和モノマー」に訂正し、 ▲7▼明細書23頁13〜14行(同公報10欄14〜15行)の「気相の相対湿度は、一般には30%以上、好ましくは60%以上である。」を「気相の相対湿度は60%以上である。」に訂正し、 ▲8▼明細書25頁12〜13行(同公報10欄47〜48行)の「向流流れ、並流流れ、あるいは静止状態の何れでもよく、」を「向流流れ、あるいは、並流流れの何れでもよく、」に訂正し、 ▲9▼明細書49頁(同公報19欄)表1の実施例20の重合器内壁面温度を示す「180」を「230」に訂正する、ものである。 (2)訂正の可否 上記訂正事項▲1▼は、特許請求の範囲の請求項1における「水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー」を、より下位概念の「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー」に限定するものであるが、当該「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー」は、訂正前の明細書13頁末行〜14頁2行(本件特許公報6欄44〜46行)に「更には、これらモノマーに吸水性能向上のため架橋剤や添加剤を加えることも可能である。架橋剤としては、前記モノマーと共重合可能な」と記載されていることから、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内での特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、 上記訂正事項▲2▼は、特許請求の範囲の請求項1における「気相を収容する重合器に」を、より下位概念の「気相が循環される重合器内に」に限定するものであるが、当該「気相が循環される重合器内に」は、訂正前の明細書18頁7〜11行(同公報8欄22〜25行)に「器壁温度を所定レベルに保持するためには、重合器内気相の外部循環系を設けてそこで加熱ないし冷却を行なったり、外部にジャケットを設けて適当な加熱媒体を流通させたり、電熱によったりすることができる。」と記載されていること、並びに、実施例1〜37及び図1〜4に気相が循環する反応器が記載されていることから、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内での特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、更に、上記訂正事項▲3▼は、特許請求の範囲の請求項1における「該気相中、気相の相対湿度30%以上の条件下で重合させる」を、より下位概念の「該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させる」に限定するものであるが、当該「該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させる」ことは、訂正前の明細書23頁13〜14行(同公報10欄14〜15行)に「気相の相対湿度は、一般には30%以上、好ましくは60%以上である。」と記載されていることから、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内での特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 上記▲4▼〜▲8▼の訂正事項は、上記▲1▼〜▲3▼の特許請求の範囲を減縮する訂正に対応させて発明の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 また、上記▲9▼の訂正は、実施例20において重合器内壁温度を180℃から230℃に訂正するものであるが、訂正前の明細書45頁1行〜46頁4行(同公報17欄37行〜18欄6行)には、実施例20が記載され、ここでは「重合器内壁面温度は、ジャケットにスチームを通すことによって230℃に設定した(重合系の気相より50℃高温)。」と記載されていることから、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内での誤記の訂正を目的とするものである。 そして、これら訂正はいずれも特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、後記するように、本件訂正後の特許請求の範囲の記載により構成される発明が出願の際、独立して特許を受けることができない発明とも認められない。 したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号〜第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第3項で準用する同法第126条第2〜4項の規定に適合するものである。 III.本件発明 本件特許第2781208号の請求項に係る発明は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により構成される次のとおりのもの(以下一括して「本件発明」という。)である。 「1. 架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相が循環される重合器内に液滴として供給し、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させることを特徴とする、吸水性樹脂の製造法。 2. 水溶性エチレン性不飽和モノマーが(メタ)アクリル酸及び/又はその塩であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 3. 水溶性エチレン性不飽和モノマーがアクリル酸の部分中和塩であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 4. 前記溶液が、そのカルボキシル基の20%以上〜95%未満がナトリウム塩に中和されてなるアクリル酸の部分中和塩を45〜80重量%含む水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 5. 前記溶液が、そのカルボキシル基の40%以上がカリウム塩に中和されてなるアクリル酸の部分中和塩を45〜80重量%含む水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 6. 前記気相が空気及び/又は窒素と水蒸気との混合物からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 7. 前記気相が水蒸気又は水蒸気及び空気からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 8. 重合が水溶性ラジカル重合開始剤を用いて行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 9. 水溶性ラジカル重合開始剤がレドックス開始剤であることを特徴とする、請求項8に記載の吸水性樹脂の製造法。 10. 重合器内壁温度が重合温度より少なくとも10℃高く設定されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。」 IV.特許異議申立人の主張の概要 (1)特許異議申立人川井正三は、下記甲第1〜第5号証を提示し、本件特許請求の範囲の請求項1〜10に係る発明は、本件の出願前出願され、本件の出願後に出願公開された特願昭63ー95681号の願書に最初に添付した明細書(甲第4号証に掲載され、以下「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であり、本件の出願前頒布された甲第1、第2号証に記載された発明であり、そして、本件の出願前頒布された甲第1、第2、第3、第5号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件は特許法第29条の2、同法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に違反して特許されたものであって、その特許は取り消されるべきである旨、主張している。 記 甲第1号証:特開昭56ー147809号公報 (以下「刊行物1」という。) 甲第2号証:特開昭49ー105889号公報 (以下「刊行物2」という。) 甲第3号証:特開昭63ー28639号公報 (以下「刊行物4」という。) 甲第4号証:特開平1ー268701号公報 (先願明細書掲載公報) 甲第5号証:特開昭58ー71907号公報 (以下「刊行物5」という。) (2)特許異議申立人花王株式会社は、下記甲第1〜第5号証を提示し、 本件特許請求の範囲の請求項1〜9に係る発明は甲第1号証に記載された発明であり、また、甲第1、第3、第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものであるから、本件は特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に違反して特許されたものであり、その特許は取り消されるべきである旨、主張している。 記 甲第1号証:特公昭32ー10196号公報 (以下「刊行物3」という。) 甲第2号証:「化学装置・機械実用ハンドブック」株式会社朝倉書店、昭和47年発行、412〜413頁 (以下「刊行物7」という。) 甲第3号証:特開昭63ー28639号公報 (「刊行物4」) 甲第4号証:特開昭62ー62829号公報 (以下「刊行物6」という。) V.当審の判断 以下、まず訂正後の本件第1発明(本件特許請求の範囲第1項記載の発明)と特許異議申立人の提示した証拠とを対比させ本件特許の取消理由の存否を検討する。 (1)特許法第29条の2の取消理由について 先願明細書には、「単量体と水溶性過酸化物触媒と架橋剤と水から実質的に構成されている混合物を、流動性が失われない温度または滞留時間以内に制御された噴霧装置から、最高温度が架橋反応の開始温度以上で、かつ溶剤の沸点以上で、しかも単量体の分解温度以下の温度に保持された容器内に噴霧し、反応、微粉化、乾燥を一工程で行うことを特徴とする高吸水性材料の製法」(特許請求の範囲第1項)についての発明が記載され、当該発明は、医療衛生材料、土木建築、農業用資材等に広く使用されている高吸水性材料を極めて効率よく生産するための製造方法に関するものであること(1頁右下欄)、単量体と触媒と架橋剤は水に溶解することが好ましく、その際の単量体の重量比率は5〜80%、より好適には20〜70%の範囲が使用されること(3頁右上欄)が、記載されている。 しかしながら、先願明細書には、本件第1発明で必須の構成要件としている「重合時、重合器内に水蒸気又は水蒸気と他の重合に不活性性を示す気体との混合物からなる気相を循環させ、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上とする」ことは、全く記載されておらず、この点で、本件第1発明が先願明細書に記載された発明と同一とすることはできない。 (2)特許法第29条第1項第3号による取消理由について 刊行物1には、(a)アクリル酸の水溶性塩及び/又はメタクリル酸の水溶性塩:アクリル酸及び/又はメタクリル酸の比率が98〜10:2〜90(重量比)である単量体を少くとも全共重合単量体の70重量%以上と(b)分子内に二個以上の(a)と共重合可能な反応性基を有する架橋剤0.001〜1重量%から成る水性媒体混合物を噴霧又は薄膜共重合法にて共重合させることを特徴とする高吸水性ヒドロゲルの製造方法。」(特許請求の範囲第6項)についての発明が記載され、原料としての酸モノマーとその水溶性塩モノマーとの混合比率を予め調整することにより、重合後の酸又は塩基による処理を必須とせず、しかも各々単独系よりも顕著に優れた吸水性を有するヒドロゲルを製造することができること(3頁右下欄)、該酸モノマー、該酸の水溶性塩、架橋剤及び触媒を均一に分散させた懸濁水溶液を噴霧し、極めて短時間に重合を完結し、直接乾燥固体共重合体を得る噴霧共重合法が採用されること(4頁左上欄)、重合懸濁水溶液の単量体濃度は通常10〜60重量%の混合物として用いればよいこと(4頁左上欄)が、いずれも記載されている。 しかしながら、重合器内における加熱手段については、「窒素、ヘリウム、炭酸ガス等不活性ガスの約100〜250℃に加熱された加熱媒質中に噴霧し」(4頁左上欄)と記載され、噴霧重合を行った実施例2、6、7においても、加熱窒素雰囲気下で噴霧重合したことが記載されているだけで、「重合時、重合器内に水蒸気又は水蒸気と他の重合に不活性性を示す気体との混合物からなる気相を循環させ、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上とする」手段を採用することは、記載も示唆もされていない。 刊行物2には、「有機不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選ばれた1種もしくは2種以上を噴霧重合せしめるに際し、一般式R-O-O-H(但し、Rはアルキル基、アリル基、アラルキル基を示す。)で表わされる有機ハイドロパーオキサイドと還元剤からなるレドックス系重合開始剤を使用することを特徴とする重合方法。」(特許請求の範囲1項)についての発明が記載され、滞留時間が限られている噴霧重合では短時間に重合が完結する開始剤の使用が必要であり、過硫酸アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が示唆されてきたが、生成した重合体は重合開始剤に含まれている硫酸基によってしばしば架橋反応を伴い重合体の溶解に際してはその溶液中に不溶解微粒子が残るか或いは溶解しないものになってしまうものを、有機ハイドロパーオキサイドと還元剤によるレドックス系開始剤を使用することによって不溶解分の生成を全く伴わずに高重合率で重合体を得ることができたことが記載されている(1頁右下欄〜2頁右下欄)。 そして刊行物2には、加熱ガスは窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の如き不活性ガスの使用が重合率を上げる上で好ましいが、湿潤空気ないし水蒸気を加熱ガスとして使用することも重合率を向上させる上で有効な手段であることも記載されている(3頁左下欄〜右下欄)。 しかしながら、刊行物2記載の発明は、不溶解成分の生成を極力抑えることを目的の1つとする水溶性重合体の製造法に関するものであり(2頁右下欄〜3頁左上欄)、当然ながら、刊行物2には架橋性モノマーを用いることは示されておらず、まして高吸水性樹脂を製造することは全く記載されていない。 したがって、本件第1発明は刊行物2に記載された発明ではない。 刊行物3には、「アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレアミン酸、シトラコン酸、アコニット酸の水溶性塩からなる群から選ばれた1種又はそれ以上、又はこの他にアクリルアミド、無水アクリル酸、メタクリルアミド、マレアミン酸、アクリル酸メチル、ジアクリル酸エチレングリコールからなる単量体の何れかを添加し、或は添加せずして噴霧重合せしめる場合に、前記単量体の水溶液を過硫酸アルカリ金属塩又は過硫酸アンモニウム触媒の存在下で300〜900°Fの加熱されたガス媒質中に噴霧することを特徴とする重合法」(特許請求の範囲)についての発明が記載され、水溶性の単量体濃度は相当に濃縮乃至飽和しているのがよく、例えば溶液は15〜40%或はそれ以上の単量体或は単量体混合物を含むこと(2頁中段)、湿潤空気或は水蒸気中への噴霧、又は加熱噴射空気の代わりに過熱水蒸気を使用することも高分子量、高変化率を得るのに有利な別法であることも記載されている(3頁中段)。 しかしがら、得られた重合体の用途に関しては、「合成樹脂分散液・・に粘稠化剤として入れられる・・・、ボイラーに使用され罐石の沈積を防ぎ、又油井のドリル泥中に入れドリルを潤滑し、又ドリル泥の損失を防ぐ為ロック形成に於て穴をふさぐのに役立つ・・土壊調整剤として、耕土の改良に使用され、又凝結剤として水性懸濁液から濾過静置、傾斜等により水を除くのを助ける。」(3頁左欄)と記載されているにすぎず、吸水性樹脂としての用途は示されていない。 なお、架橋モノマーとして知られているエチレングリコールジアクリレートを用いて重合することは例7に記載されているが、ここにおいても、重合後、重合体の5%水溶液として粘度が測定されており、この例も吸水性樹脂を製造するものではない。 したがって、刊行物1〜3には、その何れにも本件第1発明は記載されていない。 (2)特許法第29条第2項の取消理由について 刊行物1〜3には上記したとおりの発明が記載されている。 刊行物4には、基材と吸水性ポリマーとの複合体からなる吸水性複合体の製造法についての発明が記載され、該発明は繊維状基材に水溶性のエチレン性不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤、必要に応じ水溶性の架橋剤を含む水溶液を付着させモノマーの重合を行い、更に反応後のポリマーをバインダーとして作用させることにより他の基材と接着できることを見出したことに基づくものであることが記載されている。 そして重合反応の雰囲気として重合反応を遅滞なく進行させ、しかも重合反応後のポリマーが含水状態にあり、更に吸液物性の優れた吸液体を得るため、重合反応を阻害しない重合不活性な雰囲気にしておくこと及びモノマー水溶液の水分揮散を抑制するため加湿状態にしておくことも記載されているが、あくまで、静止状態における重合法を記載するのみで、モノマー混合物を噴霧して重合することは全く記載されていない。 刊行物5には、アクリル酸カリウムと水混和性乃至水溶性ジビニル系化合物とを含有し、之等単量体の濃度が65〜80重量%の範囲にある加温水溶液に重合反応開始剤を添加して外部加熱を行うことなく重合反応を行わせると共に水分を気化させてポリアクリル酸塩架橋物乾燥固体を得ることを特徴とする吸水性樹脂乾燥固体の製造方法についての発明が記載され、アクリル酸の塩としてカリウム塩を使用することにより高濃度水溶液とすることができ、これにより外部加熱することなく、目的物が得られることが記載されているが、噴霧重合に関する記載は全く存在しない。 刊行物6には、吸水性複合体の製造法について記載されているが、成形した繊維質基体に少量の架橋剤を含むアクリル酸及びアクリル酸塩を主体とする重合性単量体と水溶性ラジカル重合開始剤を予め均一混合後、該混合液を霧状にして施し、次いで重合せしめ、高吸水性ポリマーが成形した繊維質基体に固定された吸水性複合体の製造法に関するもので(2頁左上欄〜右上欄)、アクリル酸系モノマーの濃度は水中で20重量以上、好ましくは30重量%以上であり、高ければ高い程良いことは記載されているものの(4頁右上欄)、重合は、あくまで繊維基質に噴霧した後これを加熱して行うとしており、静止状態で重合させるもので、噴霧状態で重合させることは全く記載されていない。 以上、刊行物2,3には、モノマー水溶液を噴霧して重合させる重合体の製造法が記載され、加熱水蒸気を噴霧することも加熱法の1つとして記載されてはいるが、いずれも水溶性の重合体を得ることを目的とするもので、架橋剤モノマーの存在により重合時架橋反応をも生じさせ、これにより吸水性重合体を得ることは全く記載されていないのであるから、これら刊行物の記載から水蒸気加熱の部分のみを取り出し、これを目的物が相違する、刊行物1記載の吸水性樹脂の製造に適用することが当業者の容易に想到しうるとすることはできない。 刊行物4〜6は、噴霧重合に関するものではなく、その記載を刊行物1〜3の記載に合わせ検討しても同様である。 一方本件第1発明は、上記認定したとおりの構成を採用し、これにより簡単な構造の反応器で粒状の吸水性樹脂を短時間で得ることができる等の明細書記載の相当の効果を奏し得たものと認められる。 なお、刊行物7には、噴霧乾燥装置について説明され、これは溶液またはスラリ状の被乾燥材料を熱風中噴霧分散させ熱風に接触させることによって一挙に粉粒状の乾燥製品を得る方式であると説明されているにすぎす、それ以上に格別本件第1発明を示唆する記載は見出せない。 したがって、本件第1発明が、刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本件第2発明〜本件第10発明は、いずれも本件第1発明の構成をその構成の1部とし、これにさらに限定を付すものであるから、本件第1発明と同様先願明細書に記載された発明と同一ではなく、刊行物1〜3に記載された発明ではなく、そして刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 V.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の提示する証拠によっては本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
| 発明の名称 |
(54)【発明の名称】 吸水性樹脂の製造法 (57)【特許請求の範囲】 1. 架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相が循環される重合器内に液滴として供給し、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させることを特徴とする、吸水性樹脂の製造法。 2. 水溶性エチレン性不飽和モノマーが(メタ)アクリル酸及び/又はその塩であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 3. 水溶性エチレン性不飽和モノマーがアクリル酸の部分中和塩であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 4. 前記溶液が、そのカルボキシル基の20%以上〜95%未満がナトリウム塩に中和されてなるアクリル酸の部分中和塩を45〜80重量%含む水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 5. 前記溶液が、そのカルボキシル基の40%以上がカリウム塩に中和されてなるアクリル酸の部分中和塩を45〜80重量%含む水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。 6. 前記気相が空気及び/又は窒素と水蒸気との混合物からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 7. 前記気相が水蒸気又は水蒸気及び空気からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 8. 重合が水溶性ラジカル重合開始剤を用いて行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 9. 水溶性ラジカル重合開始剤がレドックス開始剤であることを特徴とする、請求項8に記載の吸水性樹脂の製造法。 10. 重合器内壁温度が重合温度より少なくとも10℃高く設定されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。 【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 (産業上の利用分野) 本発明は、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる吸水性樹脂を製造するにあたり架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液を気相中に供給し、該気相中で重合させる方法に関する。 本発明の一面によれば、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる吸水性樹脂を製造するにあたり、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液を水蒸気又は水蒸気と少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体を混合してなる混合物からなる気相中に供給し、該気相中で気相の相対湿度が60%以上の条件下で重合させることを特徴とする吸水性樹脂の製造法が提供される。 更に、本発明の他の面によれば、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液を上記気相中で重合させて吸水性樹脂を製造するにあたり、重合器内壁温度を気相温度より高く設定することを特徴とする吸水性樹脂の製造法が提供される。 吸水性樹脂は、近年、生理用品、おむつ、使い捨て雑巾などの衛生関係、保水剤、土壌改良剤として農園芸関係などに使われているほか、汚泥の凝固、結露防止や油類の脱水などの種々の用途にもまた使用方法が開発されている。 これらの中でも、特に生理用品、おむつ、などの衛生用品に吸水性樹脂が盛んに使用されているし、結露防止としては、建材、コンテナー輸送、海上輸送などに利用され、社会生活に大きく貢献している。 (従来の技術) この種の架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる吸水性樹脂としては、アクリル酸塩重合体架橋物、アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、澱粉-アクリル酸塩グラフト共重合体架橋物、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体架橋物のケン化物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコール重合体架橋物、ポリエチレンオキシド架橋物などが知られている。例えば、特公昭60-25045号、特開昭57-158210号、特開昭57-21405号、特公昭53-46199号、特開昭58-71907号、特開昭55-84304号各公報などにその詳細が示されているが、代表的な製造例としては、次のようなものが掲げられる。 例-1 α、β-不飽和カルボン酸及びそのアルカリ金属塩水溶液を架橋剤の存在下または不存在下にショ糖脂肪酸エステルを含有する石油系炭化水素溶媒中に懸濁させ、ラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法。 例-2 アクリル酸及びアクリル酸アルカリ塩水溶液をHLB8〜12の界面活性剤を共有する脂環族または脂肪族炭化水素溶媒中に懸濁させ、水溶性ラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法。 例-3 デンプン及びセルロースのうち少なくとも1種(A)と付加重合性二重結合を有する水溶性の、または加水分解により、水溶性となる単量体の少なくとも1種(B)を必須成分として重合し、必要により架橋剤(C)を添加して重合したり、重合体を加水分解を行い重合体を得る方法。 例-4 アクリル酸カリウムと水混和性ないし水溶性ジビニル系化合物とを含有し、これら単量体の濃度が55〜80重量%の範囲にある加温水溶液に重合反応開始剤を添加して、外部加熱を行うことなく重合反応を行わせると共に水分を気化させ水膨潤性ポリマーを得る方法。 例-5 分子量750〜10000のモノオレフィン重合体に1〜20%のα、β-不飽和カルボン酸あるいは、その無水物をグラフトした反応生成物、またはモノオレフィン重合体を最終的に酸価が10〜100になるように酸化して得られる生成物を保護コロイドに用いて、単量体水溶液を重合不活性で疎水性の液体中に懸濁させて、水溶性ラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法。 吸水性樹脂は、一般に逆相懸濁重合、逆相乳化重合、水溶液重合または有機溶媒中での反応等の方法によって、重合体を合成し製造されている。 これら、従来の重合は、塊状状態での重合であったり、モノマー溶液が液滴状態ではあるが溶剤中に分散した状態での重合であるため、種々の問題が生じている。 例えば、塊状状態での重合は、重合物が非常に大きな粘性を示すために特殊な重合反応器を必要としたり、反応器内部に多量の残留物を残したり、あるいはこの残留物を抑制するために特殊な界面活性剤を添加したりする必要があった。また、得られた重合物を粉体状の製品にするための粉砕機が必要となり、このために生じる微粉末等を造粒、あるいは再粉砕する必要から必ずしも経済的に優れた重合法と言えなかった。 一方、モノマー粒液が液滴状態ではあるが溶剤中に分散した状態での重合は、汎用の槽型反応器を使用でき、重合物が、粒状となっているため、工業プロセスとしては取り扱いやすいものであるが、用いる溶剤との分離、溶剤の回収/精製設備等が必要となりこれもまた経済的に優れた重合法と言えなかった。 特公昭32-10196号公報には、アクリル酸塩を噴霧法で重合させ広範囲の分子量を高変化率で得る方法が提案されている。しかしながら、この方法では過硫酸塩の誘導期間が長いため単に空気を過熱するのみの条件では温度上昇により相対湿度が低下し、且つ高温のため供給されたモノマー液滴から水分が選択的に蒸発し、アクリル酸塩が析出して、モノマー転化率及び重合度が極めて低く、水溶性のポリマーしか得られない。 また、特開昭49-105889号公報には、アクリル酸塩をレドックス系開始剤を用いて噴霧重合する方法が提案されている。しかしながら、この方法で得られるものは水溶性のポリマーであり、本発明のような自己架橋した水不溶性の吸水性樹脂は得られない。 〔発明の概要〕 要 旨 本発明は、従来技術の欠点を排除して、水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる吸水性樹脂を安定的に製造する方法を提供しようとするものである。 即ち、本発明は、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相が循環される重合器内に液滴として供給し、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させることを特徴とする、吸水性樹脂の製造法を提供するものである。 また、更に本発明は、かかる気相重合を、その内壁温度を気相温度より高く設定した重合器を使用して行う吸水性樹脂の製造法を提供するものである。 効 果 この種の架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる吸水性樹脂を、例えば、塊状状態での重合により製造する場合は、特殊な重合反応器を必要としたり、反応器内部に多量の残留物を残したり、製造工程上、粉砕、微粉末等を造粒、あるいは再粉砕の必要があった。一方、モノマー溶液が液滴状態ではあるが溶剤中に分散した状態での重合により吸水性樹脂を製造する場合には、用いる溶剤との分離、溶剤の回収/精製設備等が必要であった。しかしながら、本発明の方法を用いると、簡単な構造の反応器で粒状の重合物が得られ、しかも溶剤を用いないので、従来の重合法の問題の解決に大きく貢献するものと言えよう。また、本発明によれば、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの重合を水蒸気、又はそれと重合に実質的に不活性性を示す気体との混合気相中で行うことにより、該モノマーの重合を短時間で行うことができる。更に、本発明において、重合器の内壁温度を重合器内の気相温度より高く設定することによって、重合器内壁に重合物の付着物が蓄積しにくくなり、また、蓄積があったとしてもそれは簡単に除去することができる。 本発明により、経済的プロセスが構成でき、安価で安定した品質を得ることが可能となるため、工業的貢献度は極めて高いものである。 〔発明の具体的な説明〕 (水溶性エチレン性不飽和モノマー) 本発明に使用される水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、高吸水性樹脂に転換可能で、重合、乾燥等の後に良好な吸水性能を与えるものであれば何れでもよい。 そのような性能を与える水溶性モノマーとしては、官能基としてカルボン酸または(及び)その塩、リン酸または(及び)その塩、スルホン酸または(及び)その塩から誘導される基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。具体的には(メタ)アクリル酸あるいはその塩、マレイン酸あるいはその塩、イタコン酸あるいはその塩、ビニルスルホン酸あるいはその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸あるいはその塩、2-アクリロイルエタンスルホン酸あるいはその塩、2-アクリロイルプロパンスルホン酸あるいはその塩、2-メタクロイルエタンスルホン酸あるいはその塩、ビニルホスホン酸あるいはその塩等を例示でき、これらの1種または2種以上から構成される。なお、ここで「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」および「メタクリル」の何れをも意味するものとする。このうち特に好ましいのはアクリル酸あるいは(及び)その塩である。この場合そのカルボキシル基の少なくとも20%が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等により、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されてなるものである。この部分中和度が20%未満であるとポリマーの吸水能が著しく低下する。 本発明に使用されるアクリル酸の部分中和塩の中、ナトリウム塩については、そのカルボキシル基の20%以上〜95%未満、好ましくは35%以上〜90%未満、より好ましくは40%以上〜80%未満がナトリウム塩に中和されてなるものである。20%未満での中和では部分中和アクリル酸ナトリウムの水溶解性は著しく大きくなるものの、吸水性能が小さくなり、また95%以上の中和では、水への溶解性が著しく小さく、さらに吸水能に著しい向上効果が認められないので好ましくない。また、カリウム塩については、そのカルボキシル基の40%以上、好ましくは60%以上がカリウム塩に中和されてなるものである。 また本発明では、前記の水溶性エチレン性不飽和モノマー以外にこれらと共重合体可能な単量体、例えば(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または低水溶性モノマーではあるがアクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル類等も生成吸水性樹脂の性能を低下させない範囲の量で共重合させても差しつかえない。 更には、これらモノマーに吸水性能向上のため架橋剤や添加剤を加えることも可能である。架橋剤としては、前記モノマーと共重合可能な、例えばN,N′-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート類等のジビニル化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール、及びエチレンジアミン等のポリアミンなどカルボン酸、リン酸、スルホン酸等の官能基と反応しうる2個以上の官能基を有する水溶性の化合物等が好適に使用しうる。このうち特に好ましいのはN,N′-メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。架橋剤の使用量は、モノマーの仕込み量に対して0.001〜1.0重量%、好ましくは、0.01〜0.5重量%である。架橋剤の使用量が1.0重量%より多い時は、極度に架橋度が高い重合体が得られるために吸水能が著しく低下する。また、0.001重量%より少ない時は、極度に架橋度が低い重合体が得られるため、吸水時のポリマーの強度が弱く、実用上使用に耐えない物であったり、水溶性ポリマーであったりするため、好ましくない。 添加剤としては、微粒子状リシカ、二酸化チタン粉末、及びアルミナ粉末等の不活性な無機質粉末、あるいは界面活性剤等があって、所望の目的に応じて適時、適量添加される。 また、本発明では、上記のような成分から構成されるモノマー水溶液中に分散させてあるいはこのモノマー水溶液とは別に供給されるものとして、粉〜粒状の吸水性樹脂用担体を併用することができる。そのような担体としては、多孔性ないし吸水性材料たとえばセルロース粉末、繊維裁断物、スポンジ粉砕物、クレー、セラミック等の無機物粉末、その他がある。これらの添加剤は、水溶性モノマー、ひいてはそれから生成する吸水性ポリマー、より多量に使用されることがあるが、そのような場合であっても、特に添加剤がモノマー溶液中に存在している場合であっても、重合系をなす気相中に供給するのは「架橋剤を含有するエチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液」であると考えるものとする。 本発明によれば、「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液」の溶媒は、水または水と水溶性ないし水混和性の各種資材との混合物である。後者の水溶性ないし水混和性の資材としては、水溶性有機溶媒、水溶性無機塩等があって、それぞれ所期の目的に従って使用される。また、この溶液は、水溶性重合開始剤(詳細後記)の溶存したものであってもよい。 上述の架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液、すなわち重合原料用モノマー溶液、の水溶性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、20重量%以上、好ましくは25重量%以上、である。濃度が20重量%より少ないと重合後の吸水性樹脂の吸水能が十分に得られないため好ましくない。上限は80重量%程度である。 また、上記のアクリル酸の部分中和塩の水溶液中での濃度は、中和度によって変化するが、ナトリウム塩の場合、通常は45〜80重量%、好ましくは55〜70重量%が採用される。80重量%以上の濃度では部分中和アクリル酸ナトリウム水溶液の温度を著しく高くするか、あるいは中和度を小さく、例えば20%以下とする必要がある為に好ましくない。一方、45重量%以下の濃度では吸水能向上効果は認められず、かつ、水分濃度が高くなることから後の乾燥処理に負荷がかかって得策ではない。また、カリウム塩の場合、通常は45〜80重量%、好ましくは55〜80重量%が採用される。 上記のようなナトリウム塩のアクリル酸の中和には、ナトリウムの水酸化物や重炭酸塩等が使用可能であるが、特に好ましいものとしては水酸化ナトリウムが挙げられる。 重 合 本発明による重合法は、モノマー溶液を気相中で重合させることからなるものである。従って、そのような重合が可能で、しかも本発明の特徴に従って重合器内壁温度を気相重合温度より高く設定することが可能である限り、合目的的な任意の方法および機器を採用することができる。 (重合器) 重合の場である気相を収容して本発明の気相重合を実施するための重合器は、その内壁温度を所定のレベルに保つことができる任意の槽状、管状、その他の形状のものでありうる。 器壁温度を所定レベルに保持するためには、重合器内気相の外部循環系を設けてそこで加熱ないし冷却を行なったり、外部にジャケットを設けて適当な加熱媒体を流通させたり、電熱によったりすることができる。 重合器内は、ポリマーの付着防止あるいは付着物の除去容易化のためには付設物が何もない事が好ましいが、器内の気相の流動状態を調節するために適当な付設物たとえば邪魔板、攪拌翼その他があってもよい。 重合器内にモノマー水溶液等を供給する少なくとも1個所の供給口を設けることが必要であり、また生成ポリマー粉末を排出するための回分式または連続式排出口を設けることが必要である。生成ポリマー粉末の排出は、気相の一部と共に流動状態で行なうことも可能である。 添付の第1〜3図は、本発明で使用するのに適当な装置の具体例を示すものである。図示のものは原理を示すにとどまるものであって、本発明の趣旨を損なわない限りは付帯設備の追加は本発明の範疇に入るものである。 第1図は、化学的重合開始剤を利用して重合開始を行う場合の重合装置の1例である。第2図は、UV照射及び/あるいは高エネルギー放射線を利用して重合開始を行う場合の重合装置の1例である。なお、この装置を使用する場合に、化学的重合開始剤を併用することもできる。 第3図は、第1図の装置構成に乾燥設備を付帯させたものである。この付帯設備は第2図の装置構成にも付帯できることは明白である。 第4図は、第1図の装置構成において、気流の流れをモノマー液滴供給方法と向流接触させた装置を示すものである。いずれの装置においても、図中の記号については後記の図面の簡単な説明を参照されたい。 (重合器へのモノマー溶液の供給および重合開始) 架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とする溶液は、上記のような重合器内の気相中に、好ましくは均一に分散させて、1個所または数個所の供給口から供給される。供給方法には特に限定はないが、均一分散の観点からはアトマイザー又はスプレーによる噴霧供給が適当である。供給方向は、重力方向、反重力方向、水平方向たとえば重合器求心方向あるいは切線方向、その他でよいが、反重力方向への供給が好ましい。 供給すべきモノマー溶液の温度は、常温でも、また温度制御上から常温より高くてもあるいは低くてもよい。 供給後の重合開始は、水溶性エチレン性不飽和モノマー溶液に重合開始剤を予めあるいは重合器内でたとえばモノマー水溶液とは別の供給口から供給して混合し、必要ならば加熱等の処理を用いたり、あるいは、増感剤を混合した該溶液を供給後に紫外線照射したり、あるいは、該溶液を供給後に高エネルギー放射線を照射したりして行われる。 すなわち、本発明でモノマーを重合させる方法の典型的なものとしては、水溶性ラジカル重合開始剤によるもの、紫外線あるいは高エネルギー放射線の照射によるもの等があり、これらの1種、あるいは2種以上の方法を用いることができる。 本発明で使用する水溶性ラジカル開始剤は、高分子化学の分野において周知のものである。具体的には、無機または有機過酸化物例えば過硫酸塩(アンモニウム塩、アルカリ金属塩(特にカリウム塩、その他)、過酸化水素、ジ第三ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド、その他、がある。これらの酸化物の他に、所定の水溶性が得られるならば、アゾ化合物その他のラジカル重合開始剤、例えば2,2′-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、も使用可能である。 重合は、これらのラジカル重合開始剤の分解によって開始されるわけであるが、分解のための慣用手段である加熱(モノマーと接触したときの温度がすでに分解温度である場合が多く、特に加熱をしなくても重合開始剤をモノマーに添加するだけで重合が開始される場合をこの明細書では加熱による分解の範疇に入れるものとする)の外に、化学物質によって重合開始剤の分解を促進することもまた周知の手段である。重合開始剤が過酸化物であるときのその分解促進物質は還元性化合物(本発明では水溶性のもの)例えば過硫酸塩に対しては酸性亜硫酸塩、アスコルビン酸、アミン等であって、過酸化物と還元性化合物との組合わせからなる重合開始剤は、「レドックス開始剤」として高分子化学の分野で周知のものである。従って、本発明で「重合開始剤」という用語は、この様な分解促進物質との組み合わせ、特にレドックス開始剤、を包含するものである。 上記の様な水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は、水溶性エチレン性不飽和モノマーに対して一般的には0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、である。 高エネルギー放射線としては、電磁放射線や微粒子イオン放射線等がある。紫外線照射による場合は、増感剤を使用することがしばしば行なわれる。 (気相条件) 上述の水溶性エチレン性不飽和モノマーの溶液を重合させる場を与える気相を構成する気体の種類は、重合に実質的に不活性性を示す気体であればいずれでもよい。具体的には、たとえば、水蒸気、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等から選ばれた1種または2種以上が使用でき、工業的に好適なものとしては、空気及び/又は窒素と水蒸気との混合物、或いは水蒸気のみが好ましい。気相の相対湿度は60%以上である。相対湿度が30%未満であると、供給されたモノマー水溶液の液滴径が10μφ未満の場合、重合開始前にモノマー液滴から水分が蒸発し、固形分が析出し、未反応モノマー分として残留したり、全く反応が開始されなくなる場合もあるので好ましくない。 空気は重合を抑制することがあるが、本発明では重合に実質的に不活性性を示す気体として扱うこととする。 気相の温度は、供給されるモノマー水溶液の持ち込む熱量および重合熱を考慮して、重合が遅滞なく開始されかつ継続されるのに十分なものであるように設定すべきである。重合開始後の重合温度でいえば、これは使用する重合開始方法及び/あるいは重合速度に相関するものであるけれども、一般には、10-300℃、好ましくは20-250℃、より好ましくは20-110℃である。10℃より低いと重合速度が遅いために空間距離が長くなるので、経済的な工業プロセスとならない。また、300℃より高いと、生成ポリマーが自己架橋しやすくなるため架橋密度が増加し、吸水能が低くなる。 また、水蒸気のみを使用する場合、気相の温度は、一般には、20-300℃、好ましくは105-230℃、である。20℃より低いと重合速度が遅いために滞留時間が長くなるので、経済的な工業プロセスとならない。また、300℃より高いと、生成ポリマーが自己架橋しやすくなるため架橋密度が増加し、吸水能が低くなる。なお、本発明方法が通常の液相重合では採用され難い200℃以上の高温でさえも実施できるのは、重合時間が短時間となるので生成ポリマーの品温がそれほど上昇してないからであろうと推定される。 気相の圧力は特に限定されず、減圧下、常圧下、加圧下の何れで実施してもよい。 気相を構成する気体の流れは、供給された水溶性エチレン性不飽和モノマー溶液の流動方向に対して特に限定されず、向流流れ、あるいは、並流流れの何れでもよく、好ましくは、水溶性エチレン性不飽和モノマー溶液の重合時の滞空時間を長くできる反重力方向の流れがよい。また、流れの状態は、反応器内部で速度分布を持つことが好ましく、壁面近傍を高速流速で流したり、壁面から気体を供給することも可能である。流れの速度は気相流れの平均速度として、20M/秒以下、好ましくは5M/秒以下、が良い。20M/秒より大きい速度では、大量の気相流れが必要となって、大型の送風機等が必要となることから経済的に好ましくない。 気流中での滞留時間については、気流温度、気流中の水蒸気分圧、モノマー供給温度等により良好な結果を得ることができる範囲は異なるが、好ましくは0.01秒〜120秒、更に好ましくは0.1秒〜60秒である。0.01秒未満であるとモノマーのポリマーへの転化率が低く、かつ架橋が充分でないため、得られたポリマーの吸水時の形態保持性が悪い。また、120秒より大きいと重合器のサイズが大きくなるため経済的でない。 以上の気相条件中で実施される重合は、その大部分を気相中で進行させることが好ましい。また、この重合は、回分操作、半回分操作、連続操作の何れによって行ってもよく、原料モノマー液の重合器供給後の滞空時間を気流流れの速度で制御すれば何れの方法も簡単に設定できる。このうち工業的に好ましいのは、連続操作である。重合後の生成ポリマーの収集方法は、静置沈降、サイクロン、フィルター等何れでもよく、得られる重合物の粒子径によって選択すればよい。 (反応器壁面温度条件) 反応器壁面での重合物の付着抑制あるいは付着物の除去を容易にするため、反応器壁面温度は反応器内気相温度より少なくとも10℃高いこと、好ましくは少なくとも30℃高いこと、が望ましい。温度差が10℃未満であると、付着物蓄積量が増大して、長時間の連続運転は困難となる。また、反応器内壁面温度そのものは少なくとも20℃であること(300℃以下が好ましい)、好ましくは少なくとも90℃、更に好ましくは少なくとも130℃、であることが望ましい。 反応器壁面状態は、上述の壁面温度条件を実施すれば、重合付着物を抑制、あるいは簡便に除去できるが、更にこの効果を増大させるため、金属面であればその壁面平滑度を増加させたり、樹脂等のコーティングを施すことも本発明の条件下で実施できる。 反応器内壁面に付着した重合物を運転中に簡便に除去する方法としては、例えば、エアーノッカー等の軽度の衝撃を与える方法、エアースイーパー等による壁面に気流を与える方法等があり、本発明の条件下での併用で、更に良好な結果を得ることができる。 このようにして得られたポリマーからなる吸水性樹脂は、用途に応じて必要があれば引き続いて該樹脂を乾燥する工程等を施せばよい。これらの工程は公知の方法をそのまま適用すればよく、特別の操作、装置を使用する必要はない。例えば、乾燥装置として熱風乾燥機、赤外線乾燥機、流動層乾燥機等を使用でき、乾燥温度は通常70-200℃程度とすれば良い。得られた乾燥吸水性樹脂は、例えば振動式分級機、風力式分級機等を用いて所望の粒度に分級することができる。 上記方法で得られた吸水性樹脂は、必要に応じて後改質することも可能である。例えば、吸水性樹脂に含有されるカルボキシレートと水溶性ジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、アルデヒド化合物、シアノール化合物等の公知の架橋剤とを反応させて吸水性樹脂の表面改質をすることも可能である。このような改質物も吸水性樹脂として前記と同じ用途に利用することができる。 〔実験例〕 以下、実施例、比較例、参考例によって本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことはもとよりである。 参考例1 攪拌機およびジャケットを備えたSUS304製の攪拌槽中に80重量%のアクリル酸水溶液37.5重量部を取り、外部より冷却しつつ、25.4重量%の苛性ソーダ水溶液49.3重量部を滴下して75モル%の中和を行った後、N,N′-メチレンビスアクリルアミド0.021重量部を加えて溶解して、モノマー濃度42.5重量%のアクリル酸部分中和塩水溶液を原料モノマーとした。 参考例2 攪拌機およびジャケットを備えたSUS304製の攪拌槽中に79.1重量%のアクリル酸水溶液100重量部を取り、外部より冷却しつつ、48重量%の苛性ソーダ36.6重量部を滴下して40モル%の中和を行った後、N,N′-メチレンビスアクリルアミド0.03重量部を加えて溶解して、モノマー濃度65重量%のアクリル酸部分中和塩水溶液を原料モノマーとした。 参考例3 攪拌機、ジャケットを備えたSUS306製の攪拌槽中に79.1重量%のアクリル酸水溶液90.1重量部を取り、外部より冷却しつつ、96重量%の苛性カリ40.9重量部を滴下して75モル%の中和を行った後、N,N′-メチレンビスアクリルアミド0.024重量部を加えて溶解し、モノマー濃度74.7重量%のアクリル酸部分中和塩水溶液を原料モノマーとした。 実施例1 参考例1の原料モノマー100重量部に開始剤としてL-アスコルビン酸0.75重量部を混合/溶解し、A液とした。次に、同じ参考例1の原料モノマー100重量部に開始剤として濃度31重量%の過酸化水素水2.5重量部を混合/均一化し、B液とした。A液とB液は、第1図の重合器(300cmφ×900cm)に供給され、重合された。重合器の気相流れ条件は、窒素及び水蒸気雰囲気下、重合器入口の気相温度40℃、気相の相対湿度70%、重合部の気流平均流速0.9M/秒であった。原料であるA液とB液の供給条件は、供給圧力2kg/cm2、供給速度0.1リットル/分で、供給ラインの先端には供給ノズルとして(株)イケウチ製のLumina PR-8を設置した。重合は、約1秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約20秒で重合器より系外へ流出させた。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は、連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重860倍であるものであり、平均粒径は130μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例2 重合器の気相流れ条件を、重合器入口の気相温度60℃、重合部の気流平均流速1.9M/秒、原料であるA液とB液の供給条件を、供給圧力2kg/cm2、供給速度0.2リットル/分に変更した以外は実施例1と同一条件で実施した。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の800倍であるものであり、平均粒径は290μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例3 参考例2の原料モノマー100重量部に開始剤としてL-アスコルビン酸0.55重量部を混合/溶解し、C液とした。次に、同じ参考例2の原料モノマー100重量部に開始剤として濃度31重量%の過酸化水素1.9重量部を混合/均一化し、D液とした。C液とD液は第1図の重合器に供給され、重合された。重合器の条件は、実施例1と同一条件で実施した。重合は、C液とD液の供給後、約3秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約5秒で終了した。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の760倍であるものであり、平均粒径は150μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例4 重合器の気相流れ条件を、重合器入口の気相温度60℃、重合部の気流平均流速1.3M/秒、原料であるC液とD液の供給を、供給速度0.2リットル/分に変更した以外は実施例3と同一条件で実施した。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の720倍であるものであり、平均粒径は210μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例5 重合器の気相流れ条件を、窒素雰囲気下から空気雰囲気下に変更した以外は実施例1と同一条件で実施した。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の740倍であるものであり、平均粒径は150μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例6 参考例3の原料モノマー100重量部に開始剤としてL-アスコルビン酸0.75重量部を混合/溶解し、E液とした。次に、同じ参考例3の原料モノマー100重量部に開始剤として濃度31重量%の過酸化水素水2.5重量部を混合/均一化し、F液とした。E液とF液は、第1図の重合器に供給され、重合された。重合器の気相流れ条件は、実施例1と同一とした。また、原料であるE液とF液の供給条件は、実施例1と同一とした。重合は、約1秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約10秒で終了した。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は、連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の680倍であるものであり、平均粒径は140μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例7 重合器の気相流れ条件を、重合器入口の気相温度60℃、重合部の気流平均流速1.3M/秒、に変更した以外は実施例6と同一条件で実施した。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の620倍であるものであり、平均粒径は140μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例8 参考例2の原料モノマーを重合器入口温度70℃、モノマー供給ノズルとして(株)イケウチ製の充円錐ノズル1/4MJ020S316Wを設置し供給圧力2kg/cm2、供給速度0.2リットル/分で供給した以外は実施例1と同一の供給条件にて、第2図の重合器(300cmφ×660cm)に供給し、重合した。重合開始のため用いられたのは、ダイナミトロン加速機を装備した電子線装置で線量20メガラドにて実施した。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度70℃以外は、実施例1と同一条件で実施した。重合は、重合器に原料モノマー供給後、電子線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約5秒で重合器より流出させた。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の640倍であるものであって、平均粒径は160μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例9 参考例3の原料モノマーを実施例8と同一の供給条件にて、第2図の重合器に供給し、重合した。重合開始のため用いられたのは、ダイナミトロン加速機を装備した電子線装置で線量20メガラドにて実施した。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度70℃以外は、実施例6と同一条件で実施した。重合は、重合器に原料モノマー供給後、電子線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約5秒で終了した。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の620倍であるものであって、平均粒径は130μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例10 参考例1の原料モノマー100重量部に増感剤として2,2′-アゾビス(N,N′-ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩0.05重量部を混合/溶解し、この原料を重合器入口温度50℃、相対湿度80%以外は実施例8と同一の供給条件にて、第2図の重合器に供給し、重合した。重合開始のために用いられたのは、高圧水銀ランプによる紫外線照射で、該ランプは4KW×8灯(2灯対抗配置)、120W/cmにて実施した。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度50℃以外は、実施例1と同一条件で実施した。重合は、重合器に原料モノマー供給後、紫外線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約20秒で重合器より流出させた。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の800倍であるものであり、平均粒径は150μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例11 増感剤として2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンを参考例2の原料モノマー100重量部に対して0.07重量部を混合し、実施例8と同一の供給条件にて、第2図の重合器に供給し、重合した。重合開始のために用いられたのは、高圧水銀ランプによる紫外線照射で、該ランプは4KW×4灯(2灯対抗配置)、80W/cm、及びダイナミトロン加速機を装備した電子線装置(線量10メガラド)を直列配置にて実施した。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度50℃以外は、実施例8と同一条件で実施した。重合は、重合器に原料モノマー供給後、紫外線及び電子線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約8秒で終了した。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の620倍のものであり、平均粒径は150μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例12 参考例3の原料モノマー100重量部に増感剤として2,2′-アゾビス(N,N′-ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩0.04重量部を混合/溶解し、この原料を第2図の重合器に供給し、重合した。重合開始のために用いられたのは、高圧水銀ランプによる紫外線照射で、該ランプは4KW×8灯(2灯対抗配置)120W/cmにて実施した。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度50℃以外は、実施例6と同一条件で実施した。また、原料の供給条件は実施例8と同一とした。重合は、重合器に原料モノマー供給後、紫外線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約15秒で終了した。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施された。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の690倍であるものであり、平均粒径は150μm、粒子形状は擬似球形であった。 比較例1 実施例1のA液、及びB液のそれぞれ100重量部に純水120重量部をそれぞれ混合しモノマー濃度19.3重量%の重合用原料液(G液、H液)を作成した。このG液、H液を用いた以外は実施例1と同一の条件で重合を実施した。得られた重合物は、含水状態で形態保持性がないものであった。 比較例2 参考例2の原料モノマー100重量部に純水358重量部を加えてモノマー濃度18重量%の重合用原料(I液)を作成した。このI液を用いた以外は実施例8と同一条件で重合を実施した。得られた重合物は、含水状態で形態保持性がないものであった。 実施例13 実施例1に記載のA液、B液を用いて第1図の重合器に供給して、重合させた。重合器の気相流れ条件は、過熱された水蒸気雰囲気下、重合器入口の気相温度150℃、相対湿度90%、重合部の気流平均流速0.9M/秒であった。原料であるA液とB液の供給条件は、実施例1と同一である。重合は、約1秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始され、開始後約5秒で終了した。原料モノマーの供給及び得られた重合物の固気分離は、連続的に実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の770倍のものであり、平均粒径130μm、粒子形状は擬似球形を示した。 実施例14 重合器の気相流れ条件を、重合部の気流平均流速1.3M/秒、原料であるA液とB液の供給条件を、供給圧力2kg/cm2、供給速度0.1リットル/分に変更した以外は実施例13と同一条件で重合等を実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の740倍のものであり、平均粒径190μm、粒子形状は擬似球形を示した。 実施例15 実施例3に記載のC液、D液を用いて実施例13と同一条件で実施した。重合は、C液とD液の供給後、約1秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約4秒で終了した。原料モノマーの供給、及び得られた重合物の固気分離は、連続的に実施された。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の690倍のものであり、平均粒径150μm、粒子形状は擬似球形を示した。 実施例16 重合器の気相流れ条件を、重合器入口の気相温度150℃、重合部の気流平均流速1.3M/秒、原料であるC液とD液の供給条件を、供給圧力2kg/cm2、供給速度0.1リットル/分に変更した以外は実施例15と同一条件で重合等を実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の650倍のものであり、平均粒径210μm、粒子形状は擬似球形を示した。 実施例17 重合器の気相流れ条件を、過熱された水蒸気雰囲気下、重合器入口の気相温度150℃、相対湿度90%、重合部の気流平均流速0.8M/秒、に変更した以外は実施例6と同一条件で実施した。重合物は、乾燥後の純水に対する吸水量が自重の700倍であるものであり、平均粒径は130μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例18 原料モノマーを実施例8と同一の供給条件にて、第2図の重合器に供給し、重合させた。重合開始のために用いられたのは、ダイナミトロン加速機を装備した電子線装置で線量20メガラドにて実施した。重合器の気相流れ条件を、重合器入口の気相温度160℃、相対湿度70%にした以外は、実施例8と同一条件で重合等を実施した。重合は、重合器に原料モノマー供給後、電子線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約4秒で終了した。原料モノマーの供給及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の580倍のものであり、平均粒径170μm、粒子形状は擬似球形を示した。 実施例19 実施例10の原料を、重合器入口の気相温度160℃、相対湿度85%とした以外は、実施例10と同一の供給条件にて、第2図の重合器に供給し、重合させた。重合開始のため用いられたのは、高圧水銀ランプによる紫外線照射で、該ランプは4KW×8灯(2灯対抗配置)120W/cmであった。重合は、重合器に原料モノマー供給後、紫外線が照射され直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約8秒で終了した。原料モノマーの供給及び得られた重合物の固気分離は、連続的に実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の760倍のものであり、平均粒径150μm、粒子形状は擬似球形を示した。 比較例3 重合器の気相流れ条件を、過熱された乾燥空気130℃雰囲気下とした以外は、実施例1と同一の条件で重合を行なった。重合は、A液とB液の供給後、約2秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約3秒で停止した。重合物は、水溶性ポリマーであり、未反応のアクリル酸及びアクリル酸ナトリウムが70重量%、得られた重合物中から検出された。平均粒径は130μm、粒子形状は擬似球形であった。 実施例20 参考例1の原料モノマー100重量部に開始剤としてL-アスコルビン酸0.55重量部を混合/溶解して、J液とした。次に、同じ参考例1の原料モノマー100重量部に開始剤として濃度31重量%の過酸化水素水1.9重量部を混合/均一化して、K液とした。J液とK液は、第1図の重合器に供給して、重合させた。重合器の気相流れ条件は、過熱された水蒸気雰囲気下、重合器入口の気相温度180℃、相対湿度80%、重合部の気流平均流速0.9M/秒であった。原料であるJ液とK液の混合液の供給条件は、実施例1と同じである。重合器内壁面温度は、ジャケットにスチームを通すことによって230℃に設定した(重合系の気相より50℃高温)。重合は、J液とK液の供給後、約1秒後に、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約5秒で重合器より流出させた。原料モノマーの供給及び得られた重合物の固気分離は、連続的に実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の690倍のものであり、平均粒径150μm、粒子形状は擬似球形を示した。24時間連続運転後の重合器内壁面付着量は、表1に示す通りであった。 実施例21-25 重合器内壁面温度を変更した以外は、実施例20と同一条件にて重合等を実施した。24時間連続運転後の重合器内付着量は、表1に示す通りであった。 実施例26 参考例2の原料モノマーを、実施例8と同一の供給条件にて第2図の重合器に供給して、重合させた。重合開始のために用いたのは、ダイナミトロン加速機を装備した電子線装置による線量20メガラドの電子線照射であった。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度110℃、相対湿度95%、重合器内壁面温度を210℃とした以外は、実施例13と同一であった。重合は、重合器に原料モノマー供給後、電子線が照射されると直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約4秒で重合器より流出させた。原料モノマーの供給及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の600倍のものであり、平均粒径160μm、粒子形状は擬似球形を示した。24時間連続運転後、重合器内壁面付着量は、表2に示す通りであった。 実施例27-31 重合器内壁面温度を変更した以外は、実施例26と同一条件にて重合等を実施した。24時間連続運転後の重合器内壁面付着量は、表2に示す通りであった。 実施例32 参考例2の原料モノマー100重量部に増感剤として2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン0.07重量部を混合/溶解し、この原料を、重合器入口温度50℃以外は実施例8と同一の供給条件にて第2図の重合器に供給して、重合させた。重合開始のために用いたのは、高圧水銀ランプによる紫外線照射で、該ランプは4KW×8灯(2灯対向配置)、120W/cmであった。重合器の気相流れ条件は、重合器入口の気相温度110℃、相対湿度95%以外は、実施例8と同一であった。重合は、重合器に原料モノマー供給後、紫外線が照射されると直ちに、すでに液滴として供給された気相流中で開始し、開始後約8秒で終了した。原料モノマーの供給及び得られた重合物の固気分離は連続的に実施した。重合物は、乾燥後、純水に対する吸水量が自重の760倍のものであり、平均粒径150μm、粒子形状は擬似球形を示した。24時間連続運転後、重合器内壁面付着量は、表3に示す通りであった。 実施例33-37 重合器内壁面温度を変更した以外は、実施例32と同一条件にて重合等を実施した。24時間連続運転後の重合器内付着量は、表3に示す通りであった。 ![]() ![]() ![]() 【図面の簡単な説明】 第1〜2図は、本発明で使用する重合装置の具体例の二例をそれぞれ示す説明図である。 第3図は、第1図の装置に乾燥装置を付帯させた一具体例を示す説明図である。 第4図は、第1図の装置の改変例を示す説明図である。 1…重合器(スチームジャケット付)、2…原料モノマー供給ノズル、3…気流分散板、4…原料モノマー供給ライン、5…気流供給ライン、6,15…気流加熱機、7…気流供給ブロアー、8…気流調整用ダンパー、9…気流補充ライン、10…気流廃棄ライン、11…固機分離器、12…固体(重合物)排出ライン、13…UV照射機、及び/あるいは高エネルギー線放射機、14…気流循環ライン、16…乾燥処理部、17…エアーノッカー、18…スチーム供給ライン。 |
| 訂正の要旨 |
訂正の要旨 本件訂正請求は、本件明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、即ち特許請求の範囲の減縮を目的として、 ▲1▼特許請求の範囲の請求項1における「水溶性エチレン性不飽和モノマー」を「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマー」に訂正し、 ▲2▼同範囲同項における「気相を収容する重合器」を「気相が循環される重合器内」に訂正し、 ▲3▼同範囲同項における「相対湿度30%以上」を「相対湿度60%以上」に訂正し、明りょうでない記載の釈明を目的として、 ▲4▼明細書9頁9〜16行(本件特許公報5欄13〜19行)記載の「即ち、本発明は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相を収容する重合器に供給し、該気相中、気相の相対湿度30%以上の条件下で重合して吸水性樹脂を製造する方法を提供するものである。」を「即ち、本発明は、架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを主成分とするモノマー濃度が少なくとも20重量%の溶液を、水蒸気又は水蒸気と他の少なくとも一種の重合に実質的に不活性性を示す気体との混合物からなる気相が循環される重合器内に液滴として供給し、該重合器内の気相の相対湿度を60%以上の条件下で重合させることを特徴とする、吸水性樹脂の製造法を提供するものである。」に訂正し、 ▲5▼明細書3頁9行(同3欄11行)、同3頁11行(同3欄12〜13行)、同3頁14〜15行(同3欄15〜16行)、同3頁16行(同3欄17行)、同4頁3〜4行(同3欄22〜23行)、同4頁19行(同3欄37行)、同10頁2行(同5欄24行)、同10頁15〜16行(同5欄35〜36行)、同16頁3行(同7欄32行)、同16頁11行(同7欄39行)、同20頁3行(同9欄3行)各記載の「水溶性エチレン性不飽和モノマー」を「架橋剤を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマー」に訂正し、 ▲6▼明細書15頁20行〜16頁1行(同公報7欄30行)記載の「エチレン性不飽和モノマー」を「架橋剤を含有するエチレン性不飽和モノマー」に訂正し、 ▲7▼明細書23頁13〜14行(同公報10欄14〜15行)記載の「気相の相対湿度は、一般には30%以上、好ましくは60%以上である。」を「気相の相対湿度は60%以上である。」に訂正し、 ▲8▼明細書25頁12〜13行(同公報10欄47〜48行)記載の「向流流れ、並流流れ、あるいは静止状態の何れでもよく、」を「向流流れ、あるいは、並流流れの何れでもよく、」に訂正し、 ▲9▼そして、誤記の訂正を目的として、明細書49頁(同公報19欄)表1の実施例20の重合器内壁面温度の「180」を「230」に訂正する、ものである。 |
| 異議決定日 | 1999-11-08 |
| 出願番号 | 特願平1-156601 |
| 審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(C08F)
P 1 651・ 121- YA (C08F) P 1 651・ 161- YA (C08F) |
| 最終処分 | 維持 |
| 前審関与審査官 | 油科 壮一 |
| 特許庁審判長 |
柿崎 良男 |
| 特許庁審判官 |
佐野 整博 船岡 嘉彦 |
| 登録日 | 1998-05-15 |
| 登録番号 | 特許第2781208号(P2781208) |
| 権利者 | 三菱化学株式会社 |
| 発明の名称 | 吸水性樹脂の製造法 |
| 代理人 | 佐藤 一雄 |
| 代理人 | 奥村 茂樹 |
| 代理人 | 中村 行孝 |
| 代理人 | 紺野 昭男 |
| 代理人 | 中村 行孝 |
| 代理人 | 佐藤 一雄 |
| 代理人 | 小野寺 捷洋 |
| 代理人 | 紺野 昭男 |
| 代理人 | 小野寺 捷洋 |