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審決分類 |
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 A61K |
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管理番号 | 1018461 |
異議申立番号 | 異議1999-73994 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-10-26 |
確定日 | 2000-06-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2886020号「皮膚刺激の少ない貼付剤」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2886020号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件特許第2886020号は、平成5年3月19日の出願に係り、平成11年2月12日に設定登録された後、特許異議の申立てがなされたものである。 2.特許異議申立人の主張の概要は、本件特許明細書の発明の詳細な説明においては、水分半透過性のフィルム(a層)、布帛(b層)及び粘着剤層(c層)を有する貼付剤のうち布帛(b層)と粘着剤層(c層)が接する形態の貼付剤のみが記載されているのにすぎず、水分半透過性のフィルム(a層)と粘着剤層(c層)が接する形態の貼付剤は記載されていないのに対し、同特許請求の範囲特に請求項1においては、各層の積層順序が特定されていないので、本件特許請求の範囲の記載は、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」の規定に適合しておらず、本件特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反してなされたものであるというものである。 3.ところで、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。「水分半透過性のフィルム(a層)と、単糸の太さが1〜30μmからなり、且つ目付が8〜100g/m2の布帛(b層)と、薬物を含有した厚みが10〜100μmの粘着剤層(c層)とを必須成分とした大きさが10〜150cm2の貼付剤であって、水分蒸散性が下記(イ)〜(ハ)を満足する貼付剤。 (イ)貼付剤の粘着剤層(c層)の平面方向からフィルム層(a層)の平面方向へは1.0〜30mg/日・cm2であり、(ロ)貼付剤の断面方向へは25〜180mg/日・cm2であり、(ハ)(イ)、(ロ)方向の水分蒸散性を合計した水分蒸散性は2〜40mg/日・cm2である。」 4.そこで、上記異議申立人の主張を以下検討する。 特許法第36条第5項第1条(平成2年法)の要件は、特許請求の範囲にされた事項と対応する事項が、形式的にみて発明の詳細な説明に記載されていれば足りるとされるものであって、本件請求項1における記載事項と対応する事項は、発明の詳細な説明中の段落番号[0019]および[0027]において現に記載されているものであるから、この点でもはや、本件異議申立人の主張は当を得ないものである。 さらにいうと、本件請求項1中の、「水分半透過性のフィルム(a層)と、単糸の太さが1〜30μmからなり、且つ目付が8〜100g/m2の布帛(b層)と、薬物を含有した厚みが10〜100μmの粘着剤層(c層)とを必須成分とした大きさが10〜150cm2の貼付剤であって、水分蒸散性が下記(イ)〜(ハ)を満足する貼付剤。」なる記載は、水分半透過性のフィルム(a層)、布帛(b層)及び粘着剤層(c層)を必須成分として構成された貼付剤が、全体として下記(イ)〜(ハ)に記載された水分蒸散性を有することを示しているとするのが普通である。そうすると、上記摘示した請求項1の記載の後段における、「(イ)貼付剤の粘着剤層(c層)の平面方向からフィルム層(a層)の平面方向へは1.0〜30mg/日・cm2であり、」なる記載は、布帛(b層)をも加え、最下層の粘着剤層(c層)から最上層のフィルム層(a層)に至る貼付剤全体としての水分蒸散性を規定したものであるということができ、該記載においては布帛(b層)についての明示はないものの、この請求項1後段の記載は、本件請求項1の貼付剤の積層順序が粘着剤層(c層)-布帛(b層)-フィルム層(a層)の順であることを実質的に示していると解すべきである。そして、仮に、本件請求項1の貼付剤において、粘着剤層(c層)とフィルム層(a層)とが接している態様をも包含するとすれば、上記請求項1後段の記載は、単に2層の水分蒸散性を表すにとどまり、貼付剤全体の水分蒸散性を表さないことになるから、その上段の記載と矛盾することになり、このような解釈は普通には採用しがたい。 したがって、以上の点からみれば、請求項1においては各層の積層順序が記載されていないとする異議申立人の主張は採用できず、実質的にみても、本件請求項1の記載事項は、発明の詳細な説明中に記載されていたものである。 さらに、本件請求項 2〜13は、請求項1を技術的にさらに限定したものであり、これら請求項についても、本件異議申立人の主張は採用できないものである。 してみると、本件特許請求の範囲の記載が特許法第36条第5項第1号の要件を満たしていないとすることはできない。 4.以上のとおりであるから、本件請求項1〜13に係る特許は、上記特許異議申立ての理由によっては取消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する |
異議決定日 | 2000-06-01 |
出願番号 | 特願平5-60135 |
審決分類 |
P
1
651・
534-
Y
(A61K)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 横尾 俊一 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
宮本 和子 加藤 孔一 |
登録日 | 1999-02-12 |
登録番号 | 特許第2886020号(P2886020) |
権利者 | 帝三製薬株式会社 |
発明の名称 | 皮膚刺激の少ない貼付剤 |