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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない A61H
管理番号 1019620
審判番号 審判1999-35607  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-01-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-10-28 
確定日 2000-07-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第2934310号発明「人体マツサージ装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人が3分の2、被請求人が3分1の負担とする。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第2934310号(以下「本件特許」という。)及び本件無効審判事件に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
本件特許の出願日:平成2年6月19日
優先権主張日(国):1989年6月20日(米国)
特許権の設定の登録:平成11年5月28日
特許無効審判の請求:平成11年10月28日
答弁書:平成12年4月24日付け
訂正請求:平成12年4月24日
口頭審理陳述要領書(被請求人):平成12年5月8日付け(同年5月18日提出)
口頭審理陳述要領書(被請求人):平成12年5月9日付け(同年5月18日提出)
口頭審理:平成12年5月18日
〔2〕当事者の主張
1.これに対して、請求人は、「特許第2934310号発明の明細書の請求項1ないし請求項17に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」(請求の趣旨)ものであって、請求の理由(概要)は、「請求項1ないし請求項17に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により、特許無効とすべきである。」というにあるものと認める。
そして、請求人は以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特公昭39-15383号公報
甲第2号証:実開昭62-113547号公報およびその全文明細書
甲第3号証:米国特許第4757562号明細書
甲第4号証:特開昭56-125046号公報
甲第5号証:特開昭61-56649号公報
甲第6号証:実開昭63-182746号公報およびその全文明細書
甲第7号証:特開昭59-75049号公報
甲第8号証:特開昭63-216568号公報
甲第9号証:特開昭63-154176号公報
甲第10号証:特開昭63-294855号公報
甲第11号証:米国特許第3880154号明細書
2.一方、被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」(答弁の趣旨)ものである。

〔3〕訂正事項及び訂正の適否
1.訂正請求は、特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1の「オープンメッシュ構造にし」の次に「、該内部マッサージ室の外側にこの内部マッサージ室の内部と連通して設けられて内部マッサージ室内に充填された空気を加圧するファンを設け」を挿入するとともに、請求項9の「とよりなる」を「および該内部マッサージ室の外側にこのマッサージ室の内部と連通して設けられて内部マッサージ室内に充填された空気を加圧するファンを備えたことを特徴とする」と訂正し、併せて、誤記の訂正ないし明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第9頁第3行(本件特許公報第8欄第35行)及び明細書第15頁第23行(本体特許公報第12欄第6行)の「56」を削除し、明細書第10頁第17行(本件特許公報第9欄第24行)の「ハウジング20」を「内部マッサージ室25」と訂正するものであると認められる。
3.そして、上記請求項1及び請求項9の訂正は、各発明を明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載された実施例ないし実施態様に限定するものであるから、この訂正は、特許法第134条2項第1号の特許請求の範囲の減縮に該当し、また、特許法第134条第5項で準用する同法第126条第2項及び第3項に規定する訂正の要件にも適合するものであると認められる。また、発明の詳細な説明の訂正は、誤記の訂正ないし明りょうでない記載の釈明を目的としたものであると認められる。そして、さらに、本件訂正後の請求項1乃至請求項17に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることもできない(後述のとおり本件審判請求は成り立たず、その他本件訂正後の請求項1乃至請求項17に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由を発見しない。)ので、本件訂正事項は、特許法第134条第5項で準用する同法第126条第4項の規定にも適合するものである。
したがって、本件訂正はこれを認めることとする。

〔4〕本件特許に係る発明
本件特許に係る発明は、訂正された明細書及び図面からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至請求項17に記載された以下のものにある。
「請求項1
内部マッサージ室と該マッサージ室と連通する上向きの開口とを画成するハウジングと、該開口を全体に水平方向に該ハウジングに実質的に密封関係に且つ十分に緊張させた状態において該ハウジングに固着されて使用者がマッサージ治療を受けるために横たわる時の人体支持体用表面を形成するための弾力的可撓性膜とを有するベッド構造体と、上記マッサージ室が少なくとも一部に空気が充填されていること、上記膜に流体ジェット噴射を向けるため上記室内に配置された流体ジェット装置と、上記膜を介して膜上に横たわる使用者の人体にマッサージ効果を伝達するに十分な力を以て噴射するため上記流体ジェット装置に加圧マッサージ流体の量を供給するための装置とよりなる人体マッサージ装置において、
使用者を補助的に支持するため前記膜の下側に全体に水平方向に前記開口を横切って緊張状態に前記ハウジングに固着された網を設け、該網が前記マッサージ流体を概して無制限に網を通過させるためオープンメッシュ構造にし、該内部マッサージ室の外側にこの内部マッサージ室の内部と連通して設けられて内部マッサージ室内に充填された空気を加圧するファンを設けたことを特徴とする人体マッサージ装置。
請求項2
前記流体噴霧装置が急速に継続するパルスとして前記マッサージ液を噴出する装置を含めたことをさらに特徴とする請求の範囲第1項に記載の人体マッサージ装置。
請求項3
前記マッサージ流体の温度を調整する装置を設けたことをさらに特徴とする請求の範囲第1項に記載の人体マッサージ装置。
請求項4
前記流体ジェット装置が実質的に前記膜に沿って横行移動のため運動可能とし、
前記流体ジェット装置の横行運動を案内するため軌道装置が設けられたことをさらに特徴とする請求の範囲第1項に記載の人体マッサージ装置。
請求項5
前記流体ジェット装置の横行運動を駆動する装置を設けたこと、該駆動装置が可逆モータおよび該モータを逆転させるための制御装置よりなることをさらに特徴とする請求の範囲第4項に記載の人体マッサージ装置。
請求項6
前記制御装置が前記流体ジェット装置の横行移動の両端を限定する感知装置を含めたことをさらに特徴とする請求の範囲第5項に記載の人体マッサージ装置。
請求項7
前記制御装置が前記感知装置の中間において前記流体ジェット装置の横行移動のより小さい範囲を選択的に決定する装置を含めたことをさらに特徴とする請求の範囲第6項に記載の人体マッサージ装置。
請求項8
前記駆動装置は前記マッサージ室を長手方向に通って延びる駆動スクリューよりなり、該駆動スクリューを両方向に被駆動回転させるために該駆動スクリューは可逆モータに作動可能に接続され、前記流体ジェット装置は駆動スクリューが回転すると該駆動スクリューに沿って被駆動するため該駆動スクリューに螺合装着されたことをさらに特徴とする請求の範囲第5項に記載の人体マッサージ装置。
請求項9
内部マッサージ室を画成するハウジング、該マッサージ室の下側に配置された液貯蔵槽、該マッサージ室と連通する上向きの開口、および全体に水平方向に該開口を横切って実質的に密封関係に且つ使用者がマッサージ治療を受けるため横たわる時の身体支持体の表面を形成するため十分に緊張した状態において上記ハウジングに固着された弾性的可撓性膜を有するベッド構造体と、上記貯水槽はマッサージ液の量を含むことおよび上記マッサージ室の残り部分は実質的には空気が充填されていること:上記膜に沿って且つ該膜と対面する関係に横行移動のため上記マッサージ室内に移動可能に配置されたマッサージヘッドと、該マッサージヘッドは上記膜に流体ジェット噴射を向けるため多数の噴射開口を含むこと、および上記貯水槽から上記マッサージ液を取り出すと共に上記膜上に横たわる使用者の身体に該膜を通してマッサージ効果を伝達するに十分な力を以て上記噴射開口から噴射させるべく上記マッサージヘッドに上記マッサージ液を圧力下に供給する装置および該内部マッサージ室の外側にこのマッサージ室の内部と連通して設けられて内部マッサージ室内に充填された空気を加圧するファンを備えたことを特徴とする人体マッサージ装置。
請求項10
使用者を補助的に支えるため前記膜の下側に全体に水平方向に前記開口を横切って緊張状態の上記ハウジングに固着された網を設け、該網が上記マッサージ液を全体に無制限に該網に通すためオープンメッシュ構造であることをさらに特徴とする請求の範囲第9項に記載の人体マッサージ装置。
請求項11
前記マッサージヘッドは前記マッサージ液を迅速に継続するパルスとして噴射する装置を含むことをさらに特徴とする請求の範囲第9項に記載の人体マッサージ装置。
請求項12
前記マッサージ液の温度を制御する装置を設けたことをさらに特徴とする請求の範囲第9項に記載の人体マッサージ装置。
請求項13
前記マッサージヘッドの横行運動を案内するため軌道装置を設けたことをさらに特徴とする請求の範囲第9項に記載の人体マッサージ装置。
請求項14
前記マッサージヘッドの横行運動を駆動する装置を設け該駆動装置が可逆モータおよび該モータを逆転させるための制御装置よりなることをさらに特徴とする請求の範囲第9項に記載の人体マッサージ装置。
請求項15
前記制御装置は前記マッサージヘッドの横行移動の両端を限定する感知装置を含むことをさらに特徴とする請求の範囲第14項に記載の人体マッサージ装置。
請求項16
前記制御装置は前記感知装置の中間に前記マッサージヘッドの横行移動のより小さい範囲を選択的に決定する装置を含むことをさらに特徴とする請求の範囲第15項に記載の人体マッサージ装置。
請求項17
前記駆動装置は前記マッサージ室内を長手方向に通って延びる駆動スクリューよりなり、該駆動スクリューを両方向に被駆動回転させるために該駆動スクリューは可逆モー夕に作動可能に接続され且つ前記マッサージヘッドは駆動スクリューが回転すると該スクリューに沿って被駆動運動するため駆動スクリューに螺合装着されたことをさらに特徴とする請求の範囲第14項に記載の人体マッサージ装置。」

〔5〕これに対して、請求人の提出した甲号各証には、請求人が主張する事項が記載されているものと認められる。
しかしながら、平成12年4月24日の訂正請求によって加えられた各発明の構成、すなわち、「内部マッサージ室と該マッサージ室と連通する上向きの開口とを画成するハウジングと、該開口を全体に水平方向に該ハウジングに実質的に密封関係に且つ十分に緊張させた状態において該ハウジングに固着されて使用者がマッサージ治療を受けるために横たわる時の人体支持体用表面を形成するための弾力的可撓性膜とを有するベッド構造体と、上記マッサージ室が少なくとも一部に空気が充填されていること、上記膜に流体ジェット噴射を向けるため上記室内に配置された流体ジェット装置と、上記膜を介して膜上に横たわる使用者の人体にマッサージ効果を伝達するに十分な力を以て噴射するため上記流体ジェット装置に加圧マッサージ流体の量を供給するための装置とよりなる人体マッサージ装置」において、「内部マッサージ室の外側にこの内部マッサージ室の内部と連通して設けられて内部マッサージ室内に充填された空気を加圧するファン」を設ける点に関しては、甲号各証のいずれにも記載も示唆もない。
そして、本件の各発明は、その構成に基づいて、甲号各証に記載された発明に対して有利な効果を奏するものであると認められる。
したがって、その余について検討するまでもなく、本件特許の請求項1乃至請求項17に係る発明が甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
(なお、請求人も、平成12年5月18日期日の口頭審理において、訂正された請求項1乃至請求項17に係る発明については、甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないことを認めている。)

〔6〕以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件請求項1乃至請求項17に係る発明の特許を無効とすることはできない。
また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条乃至第64条の規定を考慮し、請求人が3分の2、被請求人が3分の1を負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2000-06-20 
出願番号 特願平2-509892
審決分類 P 1 112・ 121- YA (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲積 義登  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 和泉 等
藤本 信男
登録日 1999-05-28 
登録番号 特許第2934310号(P2934310)
発明の名称 人体マツサージ装置  
代理人 安達 光雄  
代理人 風早 信昭  
代理人 安達 智  
代理人 村田 実  
代理人 風早 信昭  
代理人 安達 智  
代理人 安達 光雄  

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