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| 審決分類 |
審判 審判種別コード:70 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) B21B |
|---|---|
| 管理番号 | 1022181 |
| 審判番号 | 補正審判1999-50121 |
| 総通号数 | 15 |
| 発行国 | 日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 | 特許審決公報 |
| 発行日 | 1993-04-27 |
| 種別 | 補正却下不服の審決 |
| 審判請求日 | 1999-10-13 |
| 確定日 | 2000-05-08 |
| 事件の表示 | 平成 3年特許願第264924号「複層ロール」において、平成3年12月11日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
| 結論 | 本件審判の請求は成り立たない。 |
| 理由 |
(1)本願は、平成3年10月14日の出願であって、平成3年12月11日付けで明細書を補正する手続補正(以下「本件手続補正」という。)がなされたが、本件手続補正は、原審において平成11年8月26日付けで決定をもって却下された。 本件手続補正は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「原明細書」という。)の記載につき、次の(イ)の補正をすることを含むものである。 (イ)特許請求の範囲の欄における「内殻材がヤング率2,000kg/mm2以下の材料で形成されていること」を「内殻材がヤング率20,000kg/mm2以下の材料で形成されていること」と補正すること。 (2)原決定の理由の概要は次のとおりである。 原明細書の記載につき、前記(イ)の補正をすることは明細書の要旨を変更するものと認められ、特許法53条第1項の規定により却下すべきものである。 (3)そこで、以下に検討する。 原明細書には、 「本発明は、圧延ロール等に使用される2層以上の複層ロールに関する。」(【0001】)、 「従来の複層ロールは、その外殻をハイス材とし、内殻(芯材)を例えば、SCM材のようなヤング率2,100kg/mm2 の鋼材とするのが一般的であった。」(【0002】)、 「前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。即ち、本発明の特徴とするところは、最外層をハイス材とする2層以上の複層ロールにおいて、内殻材がヤング率2,000kg/mm2以下の材料で形成されている点にある。」(【0004】) 「以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1に示すものは、外殻1 と内殻2 とから成る2層の複層ロール3 であり、外殻1 はハイス材から形成され、内殻2 は、鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)、黒鉛鋼(SGS)等の、ヤング率2,000kg/mm2以下の材料から形成されている。」(【0006】)、 「ここで、他の条件がすべて同一であると、複層ロールの合成ヤング率E1 が大きいほど、落下物衝突時の応力が増大することが判る。従って、複層ロールの合成ヤング率を小さくすれば、衝撃応力を減少させることができる。従来の合成ヤング率は、ハイス材と、2,100kg/mm2のヤング率の内殻材との合成であったが、本発明では、ハイス材と、2,000kg/mm2以下のヤング率の内殻材との合成となり、本発明の合成ヤング率は、従来のものに比べ小さくなる。その結果、本発明では、従来のものに比べ、ロール表面に走る衝撃荷重による応力が低くなり、ダメージが減少する。」(【0019】)等が記載されているが、 原明細書または図面のいずれにも、 「内殻材がヤング率20,000kg/mm2以下の材料で形成されていること」は、記載されておらず、また、原明細書または図面に記載のものなどから自明でもない。 してみれば、原明細書の記載につき、前記(イ)の補正をすることは、願書に最初に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲のものでなく、これから自明であるとも認められないので、明細書の要旨を変更するものである。 請求人は、 「原明細書には、『SCM材のようなヤング率2,100kg/mm2 の鋼材』とか『鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)、黒鉛鋼(SGS)等の、ヤング率2,000kg/mm2以下の材料』と記載されており、これらの数値は、明らかに、一桁間違っているものであり、甲第1号証や甲第2号証によれば、これらの数値は、正しくは、『21,000』及び『20,000』であると、当業者の技術常識からみて、一義的に見なされるものである。 即ち、有効数字を補正するならともかく、桁を補正する、明らかな誤記の訂正であり、誤記の訂正なら、補正後の数値は最初の明細書に開示されたものと認められる」(審判請求理由補充書第4頁第18〜27行)旨主張している。 甲第1号証[日本機械学会編「機械工学便覧」(昭52-7-15)社団法人日本機械学会p.4-7]には、代表的な材料の縦弾性係数、例えば、炭素鋼(C 0.25%以下)の21.1℃における縦弾性係数は、1.96×10-4 kgf/mm2 、炭素鋼(C 0.25%以上)の21.1℃における縦弾性係数は、2.10×10-4 kgf/mm2 、ねずみ鋳鉄の21.1℃における縦弾性係数は、0.94×10-4 kgf/mm2である等記載され 、また甲第2号証[国立天文台「理科年表 机上版」(平3-11-30)丸善(株)p.物24(444)]には、各種物質のヤング率、例えば、鉄(軟))は、21.14×1010 Pa、鉄(鋳)は、15.23×1010 Pa、鉄(鋼)は、20.1-21.6×1010 Pa等記載されており、甲第1号証における代表的な材料の縦弾性係数の記載及び甲第2号証における各種物質のヤング率の記載等によれば、請求人が指摘する「SCM材のようなヤング率2,100kg/mm2の鋼材」における「2,100」、及び「鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)、黒鉛鋼(SGS)等の、ヤング率2,000kg/mm2以下の材料」における「2,000」は、何らかの数値の誤記であると言える。 しかし、原明細書におけるヤング率についての数値の記載は「2,100」「2,000」のみであれば、それらの有効数字については正しいと言えるものでもない。 つまり、原明細書の「2,000」は誤記で、正しくは「20,000」であることが、甲第1号証における代表的な材料の縦弾性係数の記載や甲第2号証における各種物質のヤング率の記載等から明らかであるので、原明細書の記載につき、前記(イ)の補正をすることは、明細書の要旨を変更するものでないが如き上記請求人の主張は認められない。 (4)以上のとおりであるから、本件手続補正は、明細書の要旨を変更するものであり、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものであるとした原決定は妥当である。 よって、結論のとおり審決する。 |
| 審理終結日 | 2000-02-10 |
| 結審通知日 | 2000-02-25 |
| 審決日 | 2000-03-08 |
| 出願番号 | 特願平3-264924 |
| 審決分類 |
P
1
70・
56-
Z
(B21B)
|
| 最終処分 | 不成立 |
| 前審関与審査官 | 金 公彦 |
| 特許庁審判長 |
中嶋 清 |
| 特許庁審判官 |
富永 正史 中村 朝幸 |
| 発明の名称 | 複層ロール |
| 代理人 | 安田 敏雄 |