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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A63F |
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管理番号 | 1023766 |
異議申立番号 | 異議1999-71802 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-06-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-05-11 |
確定日 | 2000-03-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2823014号「パチンコ機における回路基板収納用箱」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2823014号の特許を維持する。 |
理由 |
一、本件手続の経緯 本件特許第2823014号発明は、昭和60年7月17日に出願された類似意匠登録出願(意願昭60-30461号)を昭和63年7月18日に実用新案登録出願(実願昭63-95017号)に出願変更し、その一部を平成1年11月21日に新たな実用新案登録出願(実願平1-135141号)として分割出願し、さらにその一部を平成7年12月28日に新たな実用新案登録出願(実願平7-14587号)として分割出願し、そして該分割出願を平成10年1月8日に出願変更した特許出願(特願平10-14974号)に係り、平成10年9月4日にその発明の設定登録がなされ、その後、特許異議の申立てが河井清悦よりなされ、当審において取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成11年12月10日付けで訂正請求がなされたものである。 二、訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるにあり、その訂正の要旨は、前記訂正請求書の「7.請求の理由」の「(3)訂正の趣旨」の項に記載された次のとおりに訂正しようとするものである。 (1)特許請求の範囲の訂正 a.本件特許明細書の特許請求の範囲を、「【請求項1】パチンコ機の裏側に配置固定されて、該パチンコ機に使用される電子部品を実装した回路基板を保護する回路基板収納用箱において、該回路基板収納用箱を、前記パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の前記回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される前記回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、前記回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、前記回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したことを特徴とするパチンコ機における回路基板収納用箱。」と訂正する。 (2)発明の詳細な説明の訂正 b.本件特許明細書の【0005】の欄を、「【0005】【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る回路基板収納用箱は、実施形態に対応する図面を参照して説明すると、該回路基板収納用箱10を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20の全体をその底面から浮かせて支持する本体11と、該本体11内に浮かせて支持される回路基板20の一側に幅狭に偏在するコネクター部21を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体13と、により構成し、回路基板20のコネクター部21に対して配線22の先端に設けられるコネクター23を垂直方向に押圧接続したときに、回路基板20の一部が変形しないように回路基板20のコネクター部21の裏面を支持する支持部としての支持用突起12を本体11に一体的に形成したことを特徴とするものである。」と訂正する。 c.本件特許明細書の【0008】の欄を、「【0008】本体11上には、図3及び図10〜図12にて示すように、その図示下部に支持部として一対の支持用突起12が一体的に形成してある。これら各支持用突起12は、回路基板20側のコネクター部21の裏面側に位置するものであり、このコネクター部21を介して回路基板20に力が加えられたとき、この力を受けるものである。また、本体11上のやや内側四隅に、該本体11の底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20を浮かせて止着するための取付ボス11aが突設されている。」と訂正する。 d.本件特許明細書の【0014】の欄を、「【0014】【発明の効果】以上、説明したところから明らかなように、本発明に係る回路基板収納用箱は、回路基板収納用箱を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を本体に一体的に形成しているので、回路基板収納用箱内に収納した回路基板側のコネクター部に多数の電線を接続したコネクターが差込まれる時に、回路基板側のコネクター部に対して力が加わったとしても、この回路基板は、支持部によって支持されるため、回路基板が湾曲したり破損したりすることがなく、回路基板上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができる。」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記(1)a.の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、上記(2)b.、c.及びd.の訂正は、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、上記(2)b.、c.及びd.の訂正は明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、これらの訂正は、訂正前の明細書、又は図面に記載された事項の範囲内において訂正するものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 3.独立特許要件の判断 (1)訂正明細書の発明 訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】パチンコ機の裏側に配置固定されて、該パチンコ機に使用される電子部品を実装した回路基板を保護する回路基板収納用箱において、該回路基板収納用箱を、前記パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の前記回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される前記回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、前記回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、前記回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したことを特徴とするパチンコ機における回路基板収納用箱。」 (2)取消理由 当審において通知した取消理由は、本件の請求項1に係る発明は、本件出願前に頒布された下記引用例1及び引用例2に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたというものである。 記 引用例1:実願昭58-180317号(実開昭60-86376号)のマイクロフィム(特許異議申立人提出の甲第1号証) 引用例2:実願昭56-27142号(実開昭57-140783号)のマイクロフィルム(特許異議申立人提出の甲第2号証) 周知例 :実願昭56-143247号(実開昭58-46496号)のマイクロフィルム(特許異議申立人提出の甲第3号証) (3)各引用例に記載の発明 上記引用例1には、パチンコ機に関してつぎの事項が記載されている。 「(1)被制御体を制御する回路基板を収納するコントロールボックスを、着脱可能なカバーケースとべースとで構成し、該カバーケース若しくはベースの一端側をパチンコ機本体内裏側にその他端側が該本体内裏側に対して接近・離間可能に枢着し、前記ベースに、前記回路基板をねじ止めするための複数の取付座を設けたことを特徴とするパチンコ機。」(1頁5〜13行)、 「このベース9は箱状をなしており、その上・下端縁部にはそれぞれ当接部16,17が設けられている。当接部16には、その一端側(第8図中、右側)において、前記支持板13が一体化されており、その他端側にはビス取付用ボス18が前記取付ボス8に対応して設けられており、支持板13とビス取付用ボス17との間における当接部16には一対のボトル挿通孔19が穿設されている。当接部17には、その一端側(第8図中、右側)において前記支持板14が一体化されており、その一端側近傍にはボス20が前記ロック用ボス7に対応して設けられている。ベース9の内側両端には、取付座としての一対の回路基板取付用ボス21,22,23,24,25及び位置決めピン26が突設されており、これら一対の回路基板取付用ボス21〜25は取付け予定の回路基板の大きさに応じて位置決めされている。」(6頁5行〜7頁2行)、 「シールドプレート10は箱状をなしており、その上端縁部には当接部27が設けられ、その下端縁部両端には一対の取付け部28が設けられている。シールドプレート10の底部には、前記一対の回路基板取付用ボス21,22,23,24及び位置決めピン26に対応して一対の孔29,30,31,32,33が穿設されており、その一対の孔29〜33に前記一対の回路基板取付用ボス21〜24及び位置決めピン26が挿通されている。当接部27には、前記一対のボルト挿通孔19に対応して一対のボルト挿通孔34が穿設されており、一対の取付け部28には前記一対の回路基板取付用ボス25のねじ穴に対応して一対のボルト挿通孔35が穿設されている。」(7頁3〜17行)、 「カバーケース11は箱状をなしており、その上・下周壁面には、内外を連通させる複数の放熱孔36が穿設されている。このカバーケース11の上端周緑部には前記当接部27に対応して当接部37が設けられており、その下端周縁部両端には、前記一対の取付部28に対応する一対の取付部38が設けられている。当接部37には前記一対のボルト挿通孔34とビス取付用ボス18とにそれぞれ対応する一対のボルト挿通孔37aとビス挿通孔37bとが穿設されており、一対の取付部38には前記一対のボルト挿通孔35に対応するボルト挿通孔40がそれぞれ穿設されている。」(7頁18行〜8頁10行)、 「コントロールボックス12に収納される回路基板41はその四隅にビス挿通孔42及びボルト挿通孔43が穿設されており、この両挿通孔42,43は、本実施例においては、前記一対の回路基板取付用ボス24,25に対応している。そして、この回路基板41は、その上端部がビス挿通孔42を通ってボス24に螺合されるビス44によりシールドプレート10を介してベース9に取付けられている。カバーケース11の当接部37は、ボルト挿通孔37a,34,19を通るボルト45と、ナット46とによりシールドプレート10の当接部27を介してベース9の当接部16に固定されており、該カバケース11の一対の取付け部38は、ボルト挿通孔40,43,35を通って回路基板取付用ボス25に螺合されるボルト47により回路基板41及び一対の取付け部28を介してベース9の回路基板取付用ボス25に固定されている。このとき、回路基板41に設けられた接続端子48がカバーケース11の一対の取付部28の間に位置する。」(8頁11行〜9頁11行)。 つぎに、上記引用例2には、プリント配線基板の保持構造に関して、つぎの事項が記載されている。 「(1)電子部品差し込み用のソケットを取付けたプリント配線基板の保持構造において、該プリント配線基板のソケット取付部分とケースとの間にサポータを介在せしめると共に、サポータをプリント配線基板に近接させて設置したことを特徴とするプリント配線基板の保持構造。」(1頁5〜10行)、 「とくに差し込み動作の場合、P-ROMをソケットに差し込んだ後さらに強い力でこれを押圧する場合が多く、このためプリント配線基板1が強い力を受けて弓なりにたわみ、取付部分すなわちスリットla部分にクラックが入ってプリント配線基板1を破損させる場合がある。」(3頁16行〜4頁1行)、 「本考案の目的は、プリント配線基板にソケットを取付け、これに抜差し可能な電子部品を取付けた構造において、電子部品の抜き差し時にプリント配線基板が破損しないような新規な構造を提供することにある。」(4頁2〜6行)、 「このサポータ5の取付位置は、第3,4図からもあきらかなように、ソケット4の真下に位置する。したがって、サボータ5の突起5bはソケット4の下面のプリント配線基板1と当接している。」(5頁18行〜6頁2行)、 「次に、ソケット4にP-ROMなどの半導体集積回路が差し込まれ、これが完全に取付けられた後さらに押圧されると、プリント配線基板1が大きな押圧力を受けるが下からサポータ5に支えられているため、たわむことができない。このため、プリント配線基板1のスリットlaには何ら力が作用せず、これを破損することもない。」(6頁3〜9行)、 「以上詳細に説明したように、本考案によれば、ソケットを取付けたプリント配線基板において、ソケット取付部分とケースとの間にサポータを介在せしめているため、ソケットがケース方向に強く押圧されてもプリント配線基板のたわみが極めて少なく、したがって、プリント配線基板の取付部分に殆んど力が掛らないため、これが割れたりクラックが入るような不都合は一切生じなくなった。」(6頁13〜20行)。 さらに、周知例には、弾球遊技機における回路基板収納装置に関して、「(1)弾球遊技機の遊技盤に装着される各種部品を電気的に制御するための電子回路を含む回路基板を収納しかつ遊技盤の裏面に設けられた機構板に装着される回路基板収納装置であって、前記回路基板を収納可能な大きさの箱状に形成され、外部から静電気が入り込まずかつ回路基板で発生した熱を放熱可能な相対的に小さな径に選ばれた孔が少なくとも前記機構板に装着されたときに上向きとなる上面の長手方向に沿って複数個穿設された筐体、前記筐体を前記機構板に装着したとき機構板に相対する面に関連的に装着されかつ機構板に取付けるための取付部材、および前記取付部材を前記機構板に取付ける取付具を備えた、弾球遊技機における回路基板収納装置。」(1頁5〜19行)が記載されている。 (4)対比・判断 本件発明と上記引用例1及び引用例2に記載の発明とを対比すると、引用例1及び引用例2に記載の発明は、本件発明を特定する、本件訂正によって限定された事項である「回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したこと」の構成を備えていない。また、周知例においても該構成が記載されていない。そして、本件発明は前記構成により明細書記載の効果を奏するものと認められるから、本件発明を、上記引用例1及び引用例2に記載の発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 したがって、本件発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項の規定において準用する同第126条第2ないし4項の訂正に関する規定に適合するので、当該訂正を認める。 三、特許異議の申立てについて 1.特許異議申立理由の概要 特許異議申立人河井清悦は、下記の証拠方法を提示して、本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は取り消されるべきである、と主張している。 記 甲第1号証:実願昭58-180317号(実開昭60-86376号)のマイクロフィルム 甲第2号証:実願昭56-27142号(実開昭57-140783号)のマイクロフィルム 甲第3号証:実願昭56-143247号(実開昭58-46496号)のマイクロフィルム 甲第4号証:実願昭59-51127号(実開昭60-163987号)のマイクロフィルム 2.当審の判断 (1)本件発明 本件発明は、上記二、3.独立特許要件の判断の(1)訂正明細書の発明の項に記載したとおりのものである。 (2)甲第1号証に記載の発明 上記甲第1号証には、上記二、3.独立特許要件の判断の(3)各引用例に記載の発明の項に引用例1に記載の発明として記載したとおりの発明が記載されている。 しかし、甲第1号証には、本件発明の「回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したこと」の構成が記載されてなく、また示唆されてもいない。 また、特許異議申立人が提出した他の甲第2号証及び甲第3号証にも、本件発明の上記「回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したこと」の構成が記載されてなく、また示唆もない。(なお、特許異議申立人が提出した甲第4号証は、本件特許の出願の日である昭和60年7月17日の後の昭和60年10月31日に頒布された刊行物であり、本件特許の出願前に頒布された刊行物に該当しないので、周知技術を立証する証拠方法として採用することができない。)そして、本件発明は前記構成により明細書記載の効果を奏するものと認められるから、本件発明を、甲第1号証乃至甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたもの、とすることができない。 3.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の申立ての理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明の特許を取り消すことができない。また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 パチンコ機における回路基板収納用箱 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 パチンコ機の裏側に配置固定されて、該パチンコ機に使用される電子部品を実装した回路基板を保護する回路基板収納用箱において、 該回路基板収納用箱を、前記パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の前記回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される前記回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、前記回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、前記回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したことを特徴とするパチンコ機における回路基板収納用箱。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、パチンコ機の裏側に配置されて、該パチンコ機に使用される電子部品を実装した回路基板を保護する回路基板収納用箱に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 近年のパチンコ機は、多種多様のIC・LSI等の電子部品を採用して構成されるようになってきているが、これらの電子部品は、パチンコ機の裏側における各種作業から保護されなければならず、また、ホコリ等からも保護しなければならない。そのために、従来は、上記のような電子部品を回路基板上にまとめると共に、これをパチンコ機の裏側に配置固定される収納用箱内に収納することが行われていた。そして、この収納用箱は、単に回路基板を支持収納するだけの構造であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、パチンコ機における実状を加味すると、電子部品を実装した回路基板を単に箱体内に収納するのみでは、十分なものとは言えなかった。すなわち、回路基板に対しては、多数の電線を接続しなければならないが、この接続は、回路基板側のコネクターに多数の電線を接続したコネクターを差込むことにより行われる。この差込み時には、回路基板側に大きな力が加わることになるが、この力によって回路基板が大きく湾曲したり破損したりして、回路基板上の配線パターンと電子部品との電気的接続が不良になるだけでなく、場合によっては回路基板上の配線パターンが断線するという問題があった。 【0004】 本発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、収納された回路基板に力が加えられてもこれによる回路基板上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができるパチンコ機における回路基板収納用箱を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記した目的を達成するために、本発明に係る回路基板収納用箱は、実施形態に対応する図面を参照して説明すると、 該回路基板収納用箱10を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20の全体をその底面から浮かせて支持する本体11と、該本体11内に浮かせて支持される回路基板20の一側に幅狭に偏在するコネクター部21を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体13と、により構成し、回路基板20のコネクター部21に対して配線22の先端に設けられるコネクター23を垂直方向に押圧接続したときに、回路基板20の一部が変形しないように回路基板20のコネクター部21の裏面を支持する支持部としての支持用突起12を本体11に一体的に形成したことを特徴とするものである。 【0006】 上記のように構成されることにより、回路基板20は、本体11と蓋体13とによって形成される空所内に収納されるのであるが、図7に示すように、特にそのコネクター部21が形成されている部分の裏面が本体11上の支持部としての支持用突起12によって支持され得る状態になる。これにより、このコネクター部21に多数の配線22を接続したコネクター23が垂直方向から差込まれる時に、回路基板20側のコネクター部21に対して力が加わったとしても、この回路基板20は、支持用突起12によって支持されるため、回路基板20が湾曲したり破損したりすることがなく、回路基板20上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができる。 【0007】 【発明の実施の形態】 以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。図1は、本発明に係る回路基板収納用箱10の斜視図が示してあり、この回路基板収納用箱10は、図3に示すように、主として本体11とこれに嵌合固定される蓋体13とからなっている。そして、この回路基板収納用箱10は、図2に示したように、その本体11をパチンコ機1の裏面に固定することにより、この裏側の所定箇所に配置され、図3及び図7に示したように、本体11と蓋体13とによって構成された空間内に回路基板20を収納するものである。 【0008】 本体11上には、図3及び図10〜図12にて示すように、その図示下部に支持部として一対の支持用突起12が一体的に形成してある。これら各支持用突起12は、回路基板20側のコネクター部21の裏面側に位置するものであり、このコネクター部21を介して回路基板20に力が加えられたとき、この力を受けるものである。また、本体11上のやや内側四隅に、該本体11の底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20を浮かせて止着するための取付ボス11aが突設されている。 【0009】 蓋体13は、図7〜図9に示すように、回路基板20及びこれに実装された各種電子部品を収納するのに適した収納部を有するものであり、回路基板20の一側に幅狭に偏在するコネクター部21を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する板状部13aとコネクター部21の上方を開放する開口窓13bとからなるものであり、また、図示の実施形態においては、蓋体13の上側面に空気抜け孔13cが形成されている。更に、蓋体13の左右両側側壁を図示下方に延在させることにより、図4〜図6に示すように、この延在部分を保護壁14としているものである。これらの保護壁14は、図2に示したように、回路基板20側のコネクター部21と配線22側のコネクター23とを一体化して構成されるコネクター部を保護するものであり、このコネクター部の左右両側を覆うことができる程度の大きさのものとしてある。 【0010】 また、図1及び図4に示したように、この蓋体13の図示右側部分には、収納凹所15が形成してある。この収納凹所15は、蓋体13の右側部分に段部15aを形成すると共に、この段部15aの上下両端部に突起15bを立設することにより形成したものである。なお、この収納凹所15は、上下に連続する溝として形成して実施することもできるが、本実施形態のように、段部15aと上下の突起15bによって構成した方が、両突起15b間に指等を入れる隙間を形成することができて、収納凹所15内の配線22を取出す場合等の作業をより良好に行えるものである。 【0011】 以上のように構成された回路基板収納用箱10においては、回路基板20が本体11と蓋体13とによって形成される空所内に収納されるのであるが、図7に示すように、特にそのコネクター部21が形成されている部分の裏面が本体11上の支持用突起12によって支持され得る状態になる。つまり、回路基板20のコネクター部21は、それまで支持用突起12から浮いた状態にあったとしても、その下側に支持用突起12が存在することによって、この支持用突起12に支持され得るのである。これにより、このコネクター部21に多数の配線22を接続したコネクター23が垂直方向から差込まれる時に、回路基板20側のコネクター部21に対して力が加わったとしても、この回路基板20は、支持用突起12によって支持されるため、回路基板20が湾曲したり破損したりすることがなく、回路基板20上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができる。 【0012】 また、回路基板20側のコネクター部21に配線22側のコネクター23が差し込まれたとき、このコネクター部21は、図2に示すように、蓋体13に一体的に形成した各保護壁14によって特にその両側が保護されるのである。これにより、この回路基板収納用箱10の周囲において、パチンコ店の店員等が各種作業を行うに際し、その道具や身体等がコネクター部21あるいはコネクター23に直接接触するのを防止している。従って、両コネクター部21及びコネクター23の接触不良が発生したり、一方のコネクター部21から他方のコネクター23が外れたりするようなことはない。 【0013】 更に、多数の配線22は、図2に示したように、回路基板収納用箱10が有している収納凹所15内に一ケ所に集約した状態で収納される。これにより、各配線22が特に回路基板収納用箱10の周囲においてバラバラに露出することはなく、パチンコ機の裏側は、整然となった状態となるのである。 【0014】 【発明の効果】 以上、説明したところがら明らかなように、本発明に係る回路基板収納用箱は、回路基板収納用箱を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を本体に一体的に形成しているので、回路基板収納用箱内に収納した回路基板側のコネクター部に多数の電線を接続したコネクターが差込まれる時に、回路基板側のコネクター部に対して力が加わったとしても、この回路基板は、支持部によって支持されるため、回路基板が湾曲したり破損したりすることがなく、回路基板上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係る回路基板収納用箱の斜視図である。 【図2】 回路基板収納用箱を配置したパチンコ機の背面図である。 【図3】 回路基板収納箱の分解斜視図である。 【図4】 回路基板収納用箱の正面図である。 【図5】 回路基板収納用箱の右側面図である。 【図6】 回路基板収納用箱の底面図である。 【図7】 図4のA-A線に沿ってみた断面図である。 【図8】 図4のB-B線に沿ってみた断面図である。 【図9】 図4のC-C線に沿ってみた断面図である。 【図10】 回路基板収納用箱の本体の側面図である。 【図11】 回路基板収納用箱の本体の正面図である。 【図12】 回路基板収納用箱の本体の底面図である。 【図13】 蓋体の背面図である。 【符号の説明】 10 回路基板収納用箱 11 本体 12 支持用突起(支持部) 13 蓋体 13a 板状部 13b 開口窓 13c 空気抜け孔 14 保護壁 15 収納凹所 20 回路基板 21 コネクター部 22 電線 23 コネクター |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 ▲1▼特許第2823014号発明の明細書中特許請求の範囲に 「【請求項1】パチンコ機の裏側に配置固定されて、該パチンコ機に使用される電子部品を実装した回路基板を保護する回路基板収納用箱において、該回路基板収納用箱を、前記パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の前記回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される前記回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、前記回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、前記回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に設けたことを特徴とするパチンコ機における回路基板収納用箱。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、 「【請求項1】パチンコ機の裏側に配置固定されて、該パチンコ機に使用される電子部品を実装した回路基板を保護する回路基板収納用箱において、該回路基板収納用箱を、前記パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の前記回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される前記回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、前記回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、前記回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を前記本体に一体的に形成したことを特徴とするパチンコ機における回路基板収納用箱。」と、訂正する。 ▲2▼特許第2823014号発明の明細書の段落番号【0005】(特許掲載公報2頁3欄22〜37行)に、 「【0005】【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る回路基板収納用箱は、実施形態に対応する図面を参照して説明すると、該回路基板収納用箱10を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20の全体をその底面から浮かせて支持する本体11と、該本体11内に浮かせて支持される回路基板20の一側に幅狭に在するコネクター部21を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体13と、により構成し、回路基板20のコネクター部21に対して配線22の先端に設けられるコネクター23を垂直方向に押圧接続したときに、回路基板20の一部が変形しないように回路基板20のコネクター部21の裏面を支持する支持部としての支持用突起12を本体11に設けたことを特徴とするものである。」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、 「【0005】【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る回路基板収納用箱は、実施形態に対応する図面を参照して説明すると、該回路基板収納用箱10を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20の全体をその底面から浮かせて支持する本体11と、該本体11内に浮かせて支持される回路基板20の一側に幅狭に偏在するコネクター部21を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体13と、により構成し、回路基板20のコネクター部21に対して配線22の先端に設けられるコネクター23を垂直方向に押圧接続したときに、回路基板20の一部が変形しないように回路基板20のコネクター部21の裏面を支持する支持部としての支持用突起12を本体11に一体的に形成したことを特徴とするものである。」と、訂正する。 ▲3▼特許第2823014号発明の明細書の段落番号【0008】(特許掲載公報2頁4欄13〜25行)に、 「【0008】本体11上には、図3及び図10〜図12にて示すように、その図示下部に支持部として一対の支持用突起12が一体的に形成してある。これら各支持用突起12は、回路基板20側のコネクター部21の裏面側に位置するものであり、このコネクター部21を介して回路基板20に力が加えられたとき、この力を受けるものである。また、本体11上のやや内側四隅に、該本体11の底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20を浮かせて止着するための取付ボス11aが突設されている。なお、本実施形態においては、各支持用突起12は、本体11と一体的に形成したが、別体に形成して設けてもよいし、その形状も支持する構造であればどのような構造であってもよい。」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、 「【0008】本体11上には、図3及び図10〜図12にて示すように、その図示下部に支持部として一対の支持用突起12が一体的に形成してある。これら各支持用突起12は、回路基板20側のコネクター部21の裏面側に位置するものであり、このコネクター部21を介して回路基板20に力が加えられたとき、この力を受けるものである。また、本体11上のやや内側四隅に、該本体11の底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板20を浮かせて止着するための取付ボス11aが突設されている。」と、訂正する。 ▲4▼特許第2823014号発明の明細書の段落番号【0014】(特許掲載公報3頁5欄37行〜3頁6欄12行)に、 「【0014】【発明の効果】以上、説明したところがら明らかなように、本発明に係る回路基板収納用箱は、回路基板収納用箱を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を本体に設けられているので、回路基板収納用箱内に収納した回路基板側のコネクター部に多数の電線を接続したコネクターが差込まれる時に、回路基板側のコネクター部に対して力が加わったとしても、この回路基板は、支持部によって支持されるため、回路基板が湾曲したり破損したりすることがなく、回路基板上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができる。」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、 「【0014】【発明の効果】以上、説明したところがら明らかなように、本発明に係る回路基板収納用箱は、回路基板収納用箱を、パチンコ機の裏側に配置固定され且つその底面形状とほぼ同一形状の1枚の回路基板の全体をその底面から浮かせて支持する本体と、該本体内に浮かせて支持される回路基板の一側に幅狭に偏在するコネクター部を除く電子部品が実装された部分を覆蓋する蓋体と、により構成し、回路基板のコネクター部に対して配線の先端に設けられるコネクターを垂直方向に押圧接続したときに、回路基板の一部が変形しないように回路基板のコネクター部の裏面を支持する支持部を本体に一体的に形成しているので、回路基板収納用箱内に収納した回路基板側のコネクター部に多数の電線を接続したコネクターが差込まれる時に、回路基板側のコネクター部に対して力が加わったとしても、この回路基板は、支持部によって支持されるため、回路基板が湾曲したり破損したりすることがなく、回路基板上の電気的接続の不良や断線という事故を確実に防止することができる。」と、訂正する。 |
異議決定日 | 2000-02-15 |
出願番号 | 特願平10-14974 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A63F)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 浅野 清、瀬津 太朗 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
佐藤 昭喜 吉村 尚 |
登録日 | 1998-09-04 |
登録番号 | 特許第2823014号(P2823014) |
権利者 | 株式会社三洋物産 |
発明の名称 | パチンコ機における回路基板収納用箱 |
代理人 | 今崎 一司 |
代理人 | 今崎 一司 |